オーバーロード 古い竜狩りの英雄譚(?) 作:Mr.フレッシュ
本当は4話程連続投稿しようとしたが、私のウッカリのせいで間違って全て消してしまった。やむを得なく、なんとか復元できた第四話のみ投稿させていただく。心が折れそうだ………
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「シャナロット、時間が来たようだ。私は今から闘技場に向かうのだが………君も来るか?」
「私は貴方の望む限りお側に居ます……」
「(……………………結婚したい)」
できれば今すぐ。
できれば今すぐ告白して嫁にしたい。
だが、今はそんな状況ではないので、告白はまた今度の機会に…………取り敢えずは闘技場に行こう。
そう思って指輪『リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』を使って、闘技場に転移しようとするが、
「……………」
「…………シャナロット、リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを持っているか?」
「持っていません。」
「そうか、そうだったな……」
そういえばNPCだし、持ってないんだよな。指輪自体は100個程作られてるから予備のをあげれれば良いのだが、残念な事に今は予備を持っていない。いや、持っていたとしても勝手に渡すのもどうかと思う。まずはギルド長(笑)のモモンガさんに相談してからだな。
となると、指輪による転移は止めておこう。ではどうするか。
「………………………よし、シャナロット、口を閉じてろ」
「はい?キャッ!?」
槍を仕舞ってシャナロットを横抱きにしてダッシュする。その過程で随分と可愛らしい声が聞こえて意外に思ったが、今はそれを無視して走る。架け橋を高速で下り、勢い余って高台から盛大にfry highして入口近くの広場まで一気にショートカットする。
【注意:このエリアではフライの魔法が使えないようになっているため、一歩間違えるとそのまま湖に落下します、良い子はマネしないでね☆】
いや、マネできねーよ!!!!
「ん、シャナロット何か言ったか?」
「……………………!!!!!」
「ああ、悪い少し速すぎたか……」
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エルダーがシャナロットを横抱きにし、絶叫系アトラクションの如く地下六階のジャングルのエリアに存在する闘技場まで走っている時から少し時間は巻き戻る。
モモンガはエルダーと別れた後、アルベドに各階層の守護者達をナザリック地下六階の闘技場に集めるように命令を出し、次に今は居ないたっち・みーが創った執事のNPC、セバスに〈伝言〉を使っての連絡を試みていた。
〈セバスか?私だ、モモンガだ〉
ちゃんと通じるか……アルベド以外のNPCも生きているのか?と思いつつの試しであったが。
〈はい。何で御座いましょうか、モモンガ様〉
よし、通じた!と内心ガッツポーズをとる。
〈姿を見せぬままですまないが、至急ナザリックの外へ出て周囲の地理の調査を頼む。なにか知的生命体が居た場合はなるべく争いは避け、できるだけ情報を入手せよ〉
〈畏まりました、モモンガ様〉
そこで〈伝言〉を切り一息つく。
「はあ………何がなんだがさっぱりだよ。でもやっぱりユグドラシルが現実になったのは本当っぽいな。」
NPCの生命反応、コンソールの消失、運営との連絡不可、フレンドリィファイアの解禁、18禁相当の行動の解禁…………これらの状況から判断すると、先程の仮説の信憑性は高い。
「(他には魔法がいつも通り使用可能か、とかあるけど、それは後だな。)」
次に闘技場へ向かうため、『リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』を使っての転移を試みる。
使用すると一瞬視界が黒く染まるも、次の瞬間には闘技場の中の通路に転移していた。
「(よし、上手くいった。転移系の指輪の効果はしっかりと働いているな。)」
そして闘技場の広場へ出ると、そういえばこの階層の守護者はダークエルフの姉弟だったはず……と考えたところで、小柄な人影が観客席からアクロバットな跳躍をして闘技場の地面に着地した。
「ブイ!!」
ピースサインをする人影の正体は、男装した活発で明るい雰囲気を感じさせるダークエルフの少女、アウラ・ベラ・フィオーラだった。
アウラは小走り気味にモモンガに近付いて来る。もっともその速度は獣以上であるが。そしてモモンガの目の前までやって来ると、急ブレーキをかけたかの様にキキィッと止まる。
「いらっしゃいませ、モモンガ様。あたし達の守護階層までようこそ!!」
「……ああ、少しの間邪魔させてもらおう。 」
「何を言うんですかー。モモンガ様はナザリック地下大墳墓の主であり、絶対の支配者ですよ?そのお方がナザリックの何処に居ても邪魔者扱いされるはずがないですよー。」
「そんなものか……?ところでアウラはここに居たみたいだが……?」
と、その言葉にピンときたのか、アウラがその場で後ろを向き、貴賓室の方を睨んで大声を上げた。
「マーレ!!モモンガ様が来てるんだよ!早くしなさいよ!!」
貴賓室の中で、何かが動いているのが確認できた。
「む、無理だよぅ……お姉ちゃん……」
はぁ、アウラは溜め息をついて頭をおさえる。
「すみませんモモンガ様、あの子はちょっと臆病で……」
「無論、了解しているともアウラ。」
と、モモンガが優しくそう言う。
「ほら!早く来なさいよ!モモンガ様に失礼でしょうが!!さっさとしないと─────
─────もぐわよ?」
どこを?
「ふえぇぇ!?わ、わかったよお姉ちゃん……………えい」
アウラの言葉(脅迫)に渋々といった感じで貴賓室から飛び降りる人影。
その姿は、可愛らしい女の子のようだが、れっきとした男(の娘)であるマーレ・ベロ・フィオーレであった。
だが、モモンガはまったく別のことが気になっていた。
「……………アウラ」
「何でしょうかモモンガ様?」
「………その言葉、何処で覚えた?」
「ぶくぶく茶釜様とペロロンチーノ様が………」
「そうか……」
『エロは人間の文化の極みなんだ!!』
『黙れ弟』
『姉ちゃんがなんと言おうとこれだけは……!!』
『もぐわよ?』
『誠に申し訳ありませんでした』
容易く想像できてしまうのがどこか悲しい……。
マーレがスカートの端を押さえつつ、小走りで近付いて来た。
「お、お待たせしました、モモンガ様……」
「よい、気にするな。それに二人共元気そうでなによりだ」
「「あ、ありがとうございます。」」
二人を見ているとどうもぶくぶく茶釜とペロロンチーノの事を思い出すモモンガ。あちらもこちらも姉の方が上なのはこの世の真理か……。
『姉より優れた弟なんぞ存在しねぇ!!』
前にぶくぶく茶釜さんがそんなこと言ってたっけ、とアホな事を考えつつも、そろそろ実験を幾つかしようと思って、二人に危ないから下がっていろと命令し、誰も居ない方へ魔法を発動させる。
「
するとモモンガの手から火球が撃ち出され、それは闘技場の壁まで飛んで行き……
ドガァァァァァァン!!
「あ………」
「す、すみませんモモンガ様!気が回らず……今すぐ的の藁人形を!!マーレ、壁を直して置いて!!」
「う、うん」
しばらくの間、闘技場でフリーズするオーバーロードと、必死に藁人形を設置し、壁を直すダークエルフの姉弟の姿がそこにあったという………
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あれから何度か魔法の確認をし、アウラとマーレに『スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』の自慢をしたりしていたモモンガは、ふと試しに〈伝言〉の魔法を発動させる。
相手はエルダー以外のほかの40人のギルドメンバー。
しかし結局はどれも応答がなく、〈伝言〉はその効果時間を無情にも終わらせた。
次にモモンガはセバスへと〈伝言〉を飛ばす。
〈これは、モモンガ様。どうかなさいましたか?〉
〈…………いや、なんでもない。それより周辺の様子はどうだ?〉
〈周辺一帯は草原です。今のところ知性ある存在の確認はできておりません〉
〈何、草原だと?沼地ではないのか?〉
〈はい、草原です〉
〈そうか………ではあと20分ほどしたら戻ってこい。各階層守護者達を地下六階の闘技場に集めているから、そこでお前が見たことを説明してもらうとしよう〉
〈わかりました。それではまた後ほど……〉
そこで〈伝言〉が切れる。
「(……………何が起きているのか、本当にさっぱりだよ。でもこれでゲームが現実になった、ていう話は本当っぽくなってきたなあ)」
あまりにもぶっ飛んだ真実に、モモンガは溜め息を吐きざるを負えなかった。
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あれから時は進み、闘技場では各階層の守護者が集まり、モモンガにひれ伏していた。
「それでは皆、忠誠の儀を」
「第一、第二、第三階層守護者、シャルティア・ブラッド・フォールン、御身の前に。」
「第五階層守護者、コキュートス、御身の前に。」
アルベドの言葉を皮切りに、次々と守護者達が忠誠を誓う中、モモンガはエルダーがなかなか来ない事を疑問に思っていた。
「第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ、御身の前に」
「お、同じく第六階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレ、御身の前に」
「(うーん、エルダーさんは『リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』を持っていたから、すぐに転移で来れる筈なのに、遅いな……)」
守護者達を軽く無視して、何か事故でも起こったか?と思ってしまうモモンガ。
実際は自身の嫁(予定)を横抱きにして走っているのだが、そのような事をモモンガは知るすべがない。〈伝言〉を使おうにも、こうして守護者達に忠誠を誓われている最中なため、無駄に空気を読んでしまって使おうにも使えなかった。
「第七階層守護者、デミウルゴス、御身の前に。」
モモンガが悶々としている一方で、守護者達の忠誠の儀は進み、今では終わりかけていた。
「 守護者統括、アルベド、御身の前に。
第四階層守護者ガルガンチュア及び第八階層守護者ヴィクティムを除き、各階層守護者、御方々に平伏し奉る。
──ご命令を、至高の御身よ。我らの忠義全てを御身に捧げます。」
そして今、忠誠の儀は終わった。
「モモンガ様?」
いつまでも無反応な主に対し、アルベドが思わず声をかける。
それにつられたかのように、次第に他の守護者達も疑問の目をモモンガに向け始めていた。
まさか、どこかお気に召さないところでも……?と守護者達が頭に思い浮かべた瞬間───
「「何かが来ます!!」」
最初に気が付いたのはこのエリアを隅々まで知っていたダークエルフの姉弟だった。
「何が来ているの!?」
「わ、わかりません!!」
アルベドの疑問の言葉に困惑しながらも答えるマーレ。
しかし、そうでありながらも守護者達の動きは素早く、アルベドとコキュートスは何故か先程から微動だにしないモモンガの前に出て自らの身を盾とし。シャルティアは一瞬で真紅の鎧を纏い、その手に神器級アイテム『スポイトランス』を構える。アウラとマーレ、デミウルゴスはそれぞれ何時でも戦闘に入れるように臨戦体勢に入った。
守護者達に緊張が走る。ダークエルフの姉弟の焦りを見て、ただ事ではないと感じたのだ。
「来ルゾ、上ダ!」
コキュートスがそう言うのと同時に、何かが守護者達の目の前に落ちてきた。
着地の衝撃で舞い上がった砂煙が止むと、そこには───
「ふむ、これはどういう状況だ?」
獅子を模した兜に、黒く錆び付いた鎧。そしてその腕には女性を横抱きにした騎士が居た。
「(何やってんですかエルダーさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!??)」
一人のオーバーロードが内心悲鳴を上げていた。
NEXT?
うわー、グダグダだー。
取り敢えずはシャナロットと竜狩りへの愛で再執筆してますが、少々時間がかかります。誠に申し訳ありませんが、消した分を再執筆するのに時間がかかります。すみません……
感想批判誤字脱字、あらゆるものを待ってます。