魔法少女リリカルなのはジャンパー   作:ファイター

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第十七話

 

 

 

昼前の平日に車いすに乗ったはやて。そして、車いすを押すシグナム。そしてシャマル。

なぜ、病院にいるはずのはやてが此処にいるのか。それには理由がある。

朝、石田先生に言われたのだ。

 

 

 

「良くもなってないし悪くもなっていのよね。どう、退院する?」

 

 

 

勿論はやては即答した。「うん!」と。家に連絡を入れると、護衛にシグナムと医療に詳しいシャマルが迎えに来てくれたのだ。そして今に至る。

 

 

 

「まったく。騎士悠也は昼になっても起きてこないとは」

 

 

 

「あれ?シグナムだって私が起こさなかったら寝てたじゃない」

 

 

 

「む。それはだな、騎士悠也が面白い本を貸してくれたのが悪いのだ」

 

 

 

「ふふふ。そうね」

 

 

 

「……なんだこの敗北感は」

 

 

 

二人のやり取りをクスクスと笑いながら聞いているはやては、自分の家の前で立っている小さな少女を見つけた。赤毛の髪を後ろに結ってポニーテイルにしているヴィータだ。

そんなヴィータは、俯いて足をブラブラとさせていたがシグナムとシャマル。そして、はやての声を聴くと勢いよく顔を上げ、駆けだした。

 

 

 

「はやて!」

 

 

 

「ヴィータ!」

 

 

 

やはり、外見的に年齢の近い二人はよく気が合うのか仲がいい。守護騎士の中でも、だ。

だからと言ってシグナム、シャマル、ザフィーラとも仲がいい。シグナムとは一緒にお風呂に入った時のターゲットで、ヴィータとは一緒にゲームをしたりして遊んでいるし、シャマルとは一緒に料理をするし、ザフィーラとは一緒に日向ぼっこをしたりしている。

まぁ、日向ぼっこにはヴィータもシャマルも参加していたりするのだが。

 

 

 

まぁ、何はともあれ家族が揃ったのだ。

はやて。シグナム。ヴィータ。シャマル。ザフィーラ。只一人、悠也を除いて。

 

 

 

「あれ、洗濯物とかないん?」

 

 

 

家に入ったはやては、まず脱衣所の前に来ていた。そこに、本来なら家事が出来る唯一のはやてが居ない状況で溜まっている筈の洗濯物が無いのだ。一つも。

 

 

 

「私がやりました」

 

 

 

車いすを押してくれていたシャマルが胸を張って自慢げに言う。表情は、まさに私がやりました!と言わんばかりだ。

はやてが入院する前は、本当に簡単なことしかできなかったのだ。皿洗いや、家の掃除。洗濯物を干す事など。

 

 

 

「それは騎士悠也が教えてくれたからだろう」

 

 

 

 

「言わないでよシグナム!」

 

 

 

そう。事実は悠也が丁寧に一から教えていたのだ。悠也曰く、料理以外は水を吸収するスポンジみたいに覚えがいいらしい。だからと言って、料理が全くできないわけではない。

最近は簡単なものが出来るようになったのだ。朝ごはんの簡単なものが……

 

 

 

 

「ほな、そろそろお昼ご飯でも作ろかな」

 

 

 

「あ、私も手伝います」

 

 

 

「お願いな」

 

 

 

「はい」

 

 

 

久しぶりに揃った家族で食べるお昼ご飯は美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は過ぎ、夜になると悠也が買い物袋を持ってはやての家にお邪魔していた。

と言うのも、はやてが入院している間のご飯は悠也が作っていたからだ。そのため、はやての家の冷蔵庫の中には昨日の残り物が少し残っていただけなのである。

だから、悠也の手の中にはパンパンの買い物袋がある。

 

 

 

「騎士悠也、どうですか?」

 

 

 

「いや、いきなりレヴァンティン突き付けられてもな?」

 

 

 

荷物をザフィーラとシャマルに渡して、突き付けられたレヴァンティンをどける。

ふとヴィータを見ると、大きい鍋を被って部屋を走り回っていた。

 

 

 

「なにやってんだ」

 

 

 

「あ、悠也!見てくれよ、カッコよくねぇか!?」

 

 

 

「こら!」

 

 

 

「あっ」

 

 

 

まるで、小さな男の子が五色の全身タイツの被るヘルメットを手に入れたかの様な喜びようだ。だが、すぐに追いかけてきたはやてに取り上げられて、しょんぼりしている。

 

 

 

「はやてのいけず」

 

 

 

「あ、言ったな~。ヴィータのプリンは無しや」

 

 

 

「えぇ!?」

 

 

 

「なら、はやてはダイエットでプリン無しな」

 

 

 

そう言いながらヴィータを後ろから抱き上げる。はやてと同じくらいか、それ以上に軽い。

 

 

 

「えぇ!?って、悠也!」

 

 

 

「ほら、最近お腹のお肉がとか言ってたみたいっ!?」

 

 

 

言い終える前に車いすごと突っ込んできた。悠也が避ければいいのだが、後ろは壁だ。

それに、両手はヴィータを抱っこしてるからふさがっている。結果、悠也の脛に車いすのフ

レームが直撃した。思わず蹲る悠也だが、首の後ろに手を回された。

はやてだ。

 

 

 

「悠也」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

「ただいま」

 

 

 

「おかえり」

 

 

 

そっと、首に回していた手を離してシグナム、シャマル、ザフィーラの方に向いた。

 

 

 

「ただいま」

 

 

 

「おかえりなさい主はやて」

 

 

 

「あかえり、はやてちゃん」

 

 

 

「おかえり、主」

 

 

 

「お帰りはやて!」

 

 

 

外は寒いというのに、家の中は春が訪れたかのように暖かい。

はやてが笑顔でいる。それだけで騎士たちは笑顔に慣れる。皆が笑顔でいる。それだけで悠也

は笑顔になれる。騎士達の心に、また深く誓いが刻まれる。

 

 

 

この笑顔を守るためなら、我らヴォルケンリッターは修羅にでもなりましょうと。

 

 

 

そんな主と騎士を見守る悠也にも、また深く心に刻まれる。

 

 

 

この暖かい家族をいつまでも守ろう。そして、はやてを必ず救うと。

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