魔法少女リリカルなのはジャンパー   作:ファイター

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第十九話

 

 

 

 

「けほっ、けほっ」

 

 

 

 

埃を吸ってしまった為に、なのはは咳き込んだ。そして、辺りを見渡すと顔を引き攣らせた。

 

 

 

 

「うわぁ……どうしよう。怒られちゃうよ」

 

 

 

叩き込まれたビルは、当たり前の様に破壊されていた。綺麗に空まで見えるし、少女も見える。因みに、結界を張る前なら会社員が居て確実に警察沙汰になっているが結界の中なので問題は無い。

 

 

 

「Are you ok?」

 

 

 

「うん、大丈夫だよ」

 

 

 

衝撃こそ凄まじかったが、体に傷はない。バリアジャケットだけでも相当な強度を誇るのだ。

バリアジャケットに着いた埃を払い、なのはは少女を睨み付ける。これも、クロノに教えてもらった事だ。管理局相手に、わざわざ喧嘩を売る奴なんていない。と、頭の中で訓練を思い出しながらなのはは思った。「私、(見習い)管理局って言ってないし名前も聞いてないし教えてないよ!?」と。

 

 

 

「まずは私の名前を知ってもらわなくちゃ、だね」

 

 

 

「Well. Let's go.Master」

 

 

 

レイジングハートの声を聴き、なのはは再び空に上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイゼンを構えながら、ヴィータは待っていた。あの白い魔導師を、だ。あの白い魔導師は、それなりに強い。魔力量もそうだし、あの硬いシールドだってそうだ。だが、確実に実戦経験が足りない。

 

 

 

 

「楽勝だな」

 

 

 

 

「Nun」

 

 

 

 

白い魔導師が瓦礫を弾きながら戻ってきた。だが、デバイスは下を向いていた。

 

 

 

 

 

「私の名前は高町なのは!時空管理局の魔導師!君の名前を教えて!!」

 

 

 

 

ヴィータは震えた。ヴィータは、闇の書の主を守護する守護騎士だ。騎士なのだ。遥か昔、守護騎士が闇に囚われていなかった頃。主と共に戦場を歩いたあの頃。戦場では混戦になることが多かった。だが、一対一での勝負では名を名乗り名を名乗られる。それが騎士だ。

誇り高きヴォルケンリッターだ。幾年、幾数千と時を越えようが騎士としての誇りは在る。

 

 

 

 

「紅の鉄騎 鉄槌の騎士ヴィータ!他に言葉は要らねぇ。高町のリンカーコアを貰う!!」

 

 

 

なのはは口を開けて、まだ喋ろうとしたがヴィータは駆けた。言葉は要らない。名乗りを上げたなら口は要らない。戦え。そして勝て。そう言わんばかりにアイゼンを振った。

だが、なのはのシールドに防がれたしまった。

 

 

 

 

「んん!!」

 

 

 

 

「オラァ!!」

 

 

 

 

なのはは眼前にシールドを張りながら落下した。だが、アイゼンを振り切ったヴィータは、手応えのなさに舌を巻いていた。わざと落下したのだ。なるべくダメージを受けない様に。そして、距離を開けるために。

 

 

 

 

「shooting mode」

 

 

 

杖型のデバイスが形を変える。より使い手が使いやすいように。

 

 

 

 

「Divine」

 

 

 

当たれば、普通の魔導師が落ちるだけの魔力が杖の先端に集められる。だが、ヴィータとて呆けて見ているわけではない。

 

 

 

 

「これが終わったら」

 

 

 

シールドを張るヴィータ。既に避けれるものではない。

 

 

 

 

「お話、してもらうから!!」

 

 

 

 

「Buster」

 

 

 

 

桃色の光は、ヴィータに直撃した。

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

ディバインバスターを受けながら、ヴィータの口元には笑みが見て取れた。シールドに魔力を注ぎ込みながら、体をディバインバスターの軌道から少しずつ逸らしてゆく。

そして

 

 

 

「しゃらくせぇええ!!!!」

 

 

 

 

「ふぇっ!?バスターを避けちゃった!?」

 

 

 

 

シールドを斜めに展開し、さらに体をディバインバスターの軌道から逸らした結果。ヴィータは完全に躱していた。

 

 

 

「今度はワタシから行くぜぇ!」

 

 

 

「くっ!」

 

 

 

逃げるなのはを追うヴィータ。なのはの周りには12個の魔力球が生み出されていた。

ビル群を飛び交い、なのはは空へ上がった。既に高速機動の戦闘になっている。

 

 

 

「逃がすかぁ!!」

 

 

 

「アクセルシューート!」

 

 

 

12個のアクセルシューターがヴィータに殺到する。だが、ヴィータは魔力を推進力に変え、全てを躱して見せた。遊撃するのではなく、躱す。ヴィータのポジションは、古代ベルカ式には珍しい全てのポジションに対応している。だが、性格からか接近戦が主体になっていた。そして、そのままの速さでなのはに追いついた。

 

 

 

「喰らえぇ!!」

 

 

 

「くぅっ!?」

 

 

 

シールドに、魔力を十分に込める間もなくアイゼンを受け止めていた。ほとんどレイジングハートで受け止めているようなものだった。

 

 

 

「ぶち抜けええええええ!!!!!」

 

 

 

アイゼンからカートリッジが排出され、ヴィータの魔力が跳ね上がった。そして、なのはの張ったシールドは簡単に破られ再びビルに突っ込んだ。悲鳴を上げながら落ちたなのはを、ヴィータは追いかけた。既に戦意は無いだろう。自分の放った魔法を防がれ、避けられ、圧倒的とはいかずとも正面から全て打ち破って見せたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レ、レイジング……ハート」

 

 

 

「…………」

 

 

 

またビルに落とされたなのはは、朦朧とする意識の中、ボロボロのレイジングハートを見た。

フレームは割れて中の配線が見え、コアには罅が入っていた。なのは自身は、バリアジャケットのおかげで守られていたが、背中側のバリアジャケットが破れてアンダーシャツが見え、ビルに落下した際に頭をぶつけて朦朧としていた。

 

 

 

そこに、ヴィータが降りてきた。彼女はまったくの無傷だ。

だが、こんな所で終わるわけにはいかない。

 

 

 

「(もう…少しだけ)」

 

 

 

コアが点滅しているレイジングハートをヴィータに向ける。その手は情けない程に震え、既に魔法を使えるような状態ではなかった。

 

 

 

「……高町とは、別のところで会いたかった」

 

 

 

「うぅ……レ、れい」

 

 

 

簡単にレイジングハートを弾き飛ばされ、ヴィータの手がなのはの胸を貫こうとした時だった。二人の視界は光に包まれ、ヴィータは体に痺れと衝撃を受けてビルから外へ吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

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