魔法少女リリカルなのはジャンパー   作:ファイター

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Fate/zero終わってしまった……だが、私にはMuv-LuvTEがある!


第二話

頬っぺたクリーム事件から一週間後、悠也は自宅のソファーで煙草を吹かしていた。季節は春を終えようとしている。五月も中旬にさしかかっている。

 

 

「ご主人様、またサーチに反応がありました。高町なのは嬢です」

 

 

「またか」

 

 

紫煙を吐きながら悠也はあの日の夜を思い出した。

桃色の光を身に纏った少女、高町なのはが黒いモノを砲撃魔法によって撃破、封印したのだ。その日の夜は結界魔法などは一切使用しておらず、なのははその場所を逃げ出した。それから、なのはは日中であっても夜中であっても青い宝石・ジュエルシードを封印し始めた。これらの知識は、アカレラから教えてもらったのだ。

後は自分で見たり、実際にその現場にも居合わせたことがあるのだが、基本的に悠也は面倒事が嫌いである。これは誰にでもいえることだろうが、意味の解らないジュエルシードに関わりたくなかったのだ。過去のオーバーテクノロジーが詰まったジュエルシード、黒いマントの少女、時空管理局の執務官。それに、自分の生まれやジャンパーとしての能力。厄介極まりない代物だ。

 

 

「どうするのですか?」

 

 

「ま、危険なことになったら教えてくれよ。後始末は出来るから」

 

 

「畏まりました」

 

 

そう、悠也はなのはがジュエルシードを封印している時に一切協力をしなかった。

さっきも述べた通り、面倒事は嫌いなのだが世話になっている高町夫妻の娘。もしなのはが街を破壊している所を一般人に知れば間違いなく数千万の金が動く。それに、この世界には無い魔法という力。下手をすれば高町家は実験対象にされてしまうかもしれないのだ。そこで、悠也が取った行動はアカレラの魔法登録に記されていた唯一の結界系の魔法『人払い』この魔法は空間自体を切り取るなど、そこまで難易度の高い魔法ではなく何故かこの方向に行きたくない、別の道で目的地に行こうとさせる精神的な魔法だ。

もっとも、それ以前に中にいた一般人にはなんの効果もなく悠也が無理なアクションを取ったりなどして気を引かせていたのだ。

と言っても、これは執務官やフェレットが結界をはって意味を無くしたのだが……

 

 

「はぁ、学校か……」

 

 

机の上で振動している携帯を見て、ため息を吐いた。

 

 

==========

 

 

 

 

悠也が通っている公立の中学校に着いたのは10時前だった。

当然のごとく、悠也は自分の教室に着く前に担任の手により指導室に直行。説教の嵐だった。なぜ学校に来ないのか、煙草は止めたのか、喧嘩はしたのか等々、昼前まで説教は続けられた。これが高校なら即時退学という処置を取ったのだろうが、ここは中学校。

義務教育という枷に中学校側は説教という処置を取っただけで、それだけだった。それに悠也の家庭環境は複雑だった。両親は居ない。さらに両親が残した遺産を求めて親戚が悠也に対してどんな行動をとったのか、それは全て担任は知っている。

 

 

「まったく、お前という奴は……」

 

 

「…………」

 

 

「せまて学校に来て、俺たち大人の目の届く範囲にいてくれ」

 

 

「……はい」

 

 

長テーブルを挟んで、担任は立ち上がった。手には携帯電話が握られている。

今の時間は授業中だが、説教の時間が長引いてしまったために四限目は始まってしまっている。こんな時間帯から授業に参加させようとは思わないようだ。

 

 

「お前も何か食うか?」

 

 

「何でも良いですよ」

 

 

「なら、翠屋の昼食セットでも頼もうかな。あそこのランチは美味いからな」

 

 

「あそこ、出前してましたっけ?」

 

 

ニヤリと笑い、携帯の番号を押し始めた

 

 

「お前が居るから頼めるんじゃないか」

 

 

「そうっすか」

 

 

呆れた。あの夫妻はいったい何をしているのだろうか?

そうしている内にも担任は注文していた。そして、悠也に携帯を押し出してきた

 

 

「なんですか?」

 

 

「お前にだとよ」

 

 

頬が若干だが、いきついたと感じ取れた。渡された携帯を取り、耳に当てる

 

 

『やぁ、悠也君。学校にいるんだって?』

 

 

電話の向こうは、高町士郎さん。桃子さんの旦那にあたる人だ

 

 

「いや、まぁ暇だったんで」

 

 

『あまり先生を困らせるなよ?それで、何が食べたい?』

 

 

「じゃあ、コーヒーセットで」

 

 

『君は大人だな。よし、飛び切り美味いコーヒーとオムライスを持って行ってやろう。代金はなのはの家庭教師だ』

 

 

「マジですか?」

 

 

『マジだよ。じゃあ、先生に代わってくれないか?』

 

 

何故かブツブツ言っている担任、八雲に携帯を返した。この人は、まあいい人だ。何かとよくしてくれる八雲は、他の先生からは嫌われているのだが生徒からは高い評価をもらっている。と、言うのも普通の教師なら不良は避けて

通りたい所だが八雲は違う。煙草を吸っている生徒が居れば即座に没収し、説教。授業を受けていない生徒がいれば強制的に参加させるなど、まともに接してくれる大人など滅多にいない不良に、普通の生徒と何ら変わりなく接してくれる大人。

普通の生徒には、よく恋愛相談に乗ってくれる人生の渋い先輩。

詰まるとこ、八雲は子供たちの事を考えて指導しているのでこの大人を嫌う子供など、この中学校にはいないのだ

 

 

「では、よろしくお願いします。えぇ、任せてください。はい、では」

 

 

携帯をポケットに突っ込んだ八雲は、胸ポケットから煙草を取り出した。

 

 

「生徒の前で吸うんですか?」

 

 

「お前は既にヘビースモーカーだろ」

 

 

この指導室は教師陣が喫煙所として決めた部屋として使われている。この部屋が使われている時は別の喫煙室に指定されている部屋を使うのだが……

 

 

「どうだ、チェスでもするか?」

 

 

机の下から取り出したのは、くすんだ色の盤に駒。昔あったチェス部の残り物だそうだ。折り畳み式のチェス盤を開くと一枚の紙切れと鉛筆が出てきた。そこには『Y10K12』と書かれており、これは二人のイニシャルを意味する。

 

 

「俺が勝ったら毎日学校に来てもらうからな」

 

 

「俺が勝ったらこのうっとうしい敬語は無しで。」

 

 

敗者は勝者に従う。シンプルなルールで、開始されたチェス。これまでのボードゲームでは、一回目は悠也の勝利で没収されていた煙草の返却。二度目は八雲の勝利で煙草の没収。三度目四度目は悠也の勝利で高級すし屋で奢ってもらい、四度目は八雲の奥さんに昼食を作ってもらった。そして22回目には悠也は負け、八雲に対し敬語を使うように言われたのだ。そして23試合目が今、始まる……!

 

 

============

 

 

「……なにをやっているんだい?」

 

 

目の前の光景が信じられないといった風に見ているのは、つい三十分前に出前を頼んだ翠屋の店主 高町士郎その人だ。

 

 

「こんにちは士郎さん。いい匂いですね」

 

 

「まぁ、コーヒーだからね。それで、なんで八雲君がこうなったんだい?」

 

 

「これ」

 

 

悠也が指をさした方向にはチェス盤があり、その上にある駒は黒のクイーンが白のキングに対してチェックしていた。その傍にはナイト、ポーンと固められており白のキングに逃げ場はなかった。つまり、白の八雲の敗北。悠也の勝ちで八雲の負け。

ここに敬語の制約はなくなったのだ

 

 

「はい、オムライス。コーヒーは今淹れるよ。ほら、八雲君も淹れてあげるよ」

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

持ってきたバスケットから魔法瓶とカップを取りだし、翠屋で粉末状にした豆を紙に落とした。そしてお湯を少しずつかけ始めた。部屋に広がるコーヒーの香りに、煙草の匂い。

復活した八雲が煙草を吸い始めていたのだ。

 

 

「あ゛~~~~、クソ」

 

 

「子供に負ける大人はかっこ悪いな。奥さんに言いつけてやるよ」

 

 

「ちょ、待てよ!?」

 

 

取り出した携帯を取り上げられてしまい、ついつい舌打ちをしてしまう。それを見て苦笑いを零す士郎さん。カオスな空間は、放送で八雲が呼び出されるまで繰り広げられた。

 

 

 

 

=========

 

 

放課後、悠也は翠屋に訪れていた。理由は簡単だ。食器を返すためだ

カランカランと扉を開けると同時に聞こえてくるベルの音を聞きつけた桃子さんが奥から顔をだした。

 

 

「あら悠也君、いらっしゃい。奥に席があるから」

 

 

と言われても、店内は既に学校を終えた学生が甘味を求めて翠屋に来ている。それも店内の席が全て埋まる様な繁盛ぶりで、普通は席が空いているとは思わないだろう。

実際、外にも待っている学生は数人いる。店の奥に歩みを進めると、一席だけ白い紙が立ててある席がある。紙には予約席と書かれており、それを見た悠也は表情が緩んだのを感じた。席に着くと、二本の明るい茶色の触覚がひょこひょこと店の奥から出てきた。

暫くキョロキョロした触覚は明らかに悠也の方を見て動いた。

 

 

「そして茶色いゴキブリはやってきた」

 

 

「にゃっ!?何言ってるの!」

 

 

「そしてゴキ----」

 

 

「違うってばぁ~~!!!」

 

 

「なのは、皆が注目してるぞ?」

 

 

「はぅっ」

 

 

店内の静けさに気づいたのか、なのはは慌てて悠也が座る向かいの席に座った。

運よく、お盆に乗ったコーヒーは零れなかったようだ。

 

 

「クッ」

 

 

「わ、笑わないで」

 

 

お盆に乗ったコーヒーを取り、一口。やはり、翠屋のコーヒーは美味い。香りもいい。目の前に座り、顔を俯けているなのはは耳まで赤くなっている。

 

 

「ほら、これでも飲んで落ち着け?」

 

 

「あ、うん……って、苦いっ!?」

 

 

当たり前のリアクションだ。ブラックコーヒーを飲める九歳児など地球上に存在しないだろう。コーヒーと一緒に運んできたオレンジジュースを慌てて飲みだし、やっと落ち着いたみたいだ。

 

 

「悠也が意地悪するの」

 

 

「おや、悠也君にはこれから店の手伝いをしてもらおうかな?」

 

 

「おうっ!?」

 

 

ふと気が付けば隣に立っていた士郎さんに驚きながらも、今言った言葉を頭の中で反復する。店の手伝い?

 

 

「マジですか?」

 

 

「マジだよ。今は忙しいからね、はいエプロン」

 

 

手渡されたのは黒いエプロン。逆に取られたのははやての誕生日プレゼントが入った袋と食器。店内には未だ注文した品を待っているお客さん。外には、翠屋に訪れた時よりも増えた女学生の姿が見えた。

 

 

「報酬はシュークリーム三つで」

 

 

「それくらいなら安いモノだよ」

 

 

こうして悠也は店の奥に消え、完成したケーキや飲み物を運んで行った……

 

 

==========

 

 

ドアに掛かっているプレートを裏返したのは、夜9時を過ぎてからだった。

休む間もなく働いた悠也はだらしもなくテーブルに突っ伏していた。流石に5時間も休みなく働けばへばってしまう。これで報酬がコーヒーにシュークリーム3つなど割に合わない。

とは言え、いつも世話になっているのだから何も言わない悠也なのだ

 

 

「お疲れ様。シュークリームは置いておくよ」

 

 

「あぁ、ありがとうございます」

 

 

「それにしても助かったわぁ~。どう?高校生からバイトでもしない?」

 

 

士郎さんと桃子さんがコーヒーとシュークリームが入ったであろう箱を持って悠也の向かいの席に座った。桃子さんの誘いをやんわりと断りながら席を立った。こんな時間だ。

はやても寝てしまっているかもしれない。なのはも7時には家の方に入っていったきりで店には出てこなかった。

 

 

「もう帰るのかい?」

 

 

「えぇ、また来ます」

 

 

「明日も学校に行きなさいよ」

 

 

「はは、頑張ります」

 

 

まだ寝ていないことを祈りながら悠也は八神家に足を進めた。家にはシオンが腹を空かして主の帰りを待っているだろう。

紫煙を吐き出しながら、空に浮かぶ月を見上げる。満月の夜は静かで、不気味とも言えた。頭の中ではやての家の前をイメージ。悠也はジャンプした




Muv-LuvTEの視聴率っていうか収益率が高くなければMuv-Luv/Alternativeが作成されないっていう……。
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