魔法少女リリカルなのはジャンパー   作:ファイター

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第三十八話

 

 

 

「見つけました」

 

 

 

 

悠也は、その言葉で目が覚めた。部屋の掃除をする前から体が怠く、眠かった為に掃除を終えたら直ぐに眠ってしまったのだ。時刻は朝の六時。ゆっくりとコーヒーを淹れたい所だが、そんな暇はない。

 

 

 

 

「……行こ、う」

 

 

 

 

「はい」

 

 

 

 

足を引き摺るように暖かい服に着替え、靴を履いて悠也はジャンプした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リインフォースは丘の上にある公園でベンチに座っていた。そこから見える物は少ない。

一番目を引く物と言えば、雪だ。真っ白な雪は、自分とは正反対な物。

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

目を閉じると、魔力が抜けていくのがわかる。それはアースラに乗っていた時よりも目に見えて酷くなっている。なにかに吸われる様に、緩やかに、けど確実に。

あの時、意識が闇に乗っ取られる寸前まであった力はない。

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

この名前も、たった一日限りのもの。優しい主が付けてくれた名前。

惜しい、という気持ちはある。それは本心だ。だが、仕方がない。体にある魔力がなくなれば、防衛プログラムが緊急展開されて魔力を補給する。暴走の始まりだ。

だから、私は頼んだ。小さき勇者に。誇り高き騎士に。

 

 

 

 

「リインフォース」

 

 

 

 

小さく呟いた。聞けば聞くほどくすぐったく感じる。永い時を生きてきた私に、こんな名前を着けてくれた主がいただろうか。幸せだ。本当に、幸せだ。だが、少しばかり残念な事がある。それは、騎士達が出来て私が出来なかったもの。主はやてと生活すること。

 

 

 

 

主とゆっくりと喋りたかった。食事をしてみたかった。遊んでみたかった。騎士達とも、ゆっくりと喋りたかった。冗談を言ったりして、楽しみたかった。騎士悠也とも、色々と会話をしてみたい。あの騎士は、見た目以上に知識を持っている。じっくりと話してみたら、面白くなりそうだ。だから、こんな事を思ってしまう。

 

 

 

「まだ、生きたい」

 

 

 

 

主はやての成長を見守りたい。騎士達も、どこに辿り着くのかを見たい。小さき勇者達の成長も、どうなるか見てみたい。思い残している事は、思いのほか多く大きい。どれも興味を引かれるものだらけだ。だから、それだけに残念で仕方がない。

 

 

 

 

 

「だが、それは叶わない望み……ふふ」

 

 

 

 

白い景色が、ぼやけて見える。

 

 

 

 

「どうして」

 

 

 

 

両手で、震える体を抱きしめる。

 

 

 

 

「私に光をッ」

 

 

 

 

永く、闇に侵されていたが故の喜びと悲しみ。寒い闇と、温かい光。全く逆の二つは、リインフォースを苦しめた。生きられるのなら、もしも罪が許されるのなら生きたい。だけど、それ以前に今の状況を何とか打開しなければならない。けど、リインフォースはそんな事はしない。いや、する資格がない。

 

 

 

 

「……無駄な事だ」

 

 

 

 

自分に言い聞かせる様に呟き、リインフォースは立ち上がった。約束の時間が近づいてきている。主はやては眠っているだろう。騎士悠也も、まだ眠っている筈だ。

 

 

 

 

だが、リインフォースの予想は外れる。

 

 

 

 

 

「あ、発見」

 

 

 

 

「ご主人様。執務官から連絡が来ていますが、どうしますか?」

 

 

 

 

「着拒って出来たっけ?」

 

 

 

 

「それは流石に……」

 

 

 

 

「あ、駄目?」

 

 

 

 

「いえ、駄目と言う訳では」

 

 

 

 

チラリ、とリインフォースを盗み見ると目を白黒させていた。いきなり現れた悠也に驚いているのだ。そして、アカレラとのやり取りにも驚いている。当然と言えば当然だ。まだ眠っていると思っていた悠也が目の前にいるのだから。それに、感じられる魔力の大きさにも驚いている。

 

 

 

 

「騎士悠也」

 

 

 

 

「帰ろう、リインフォース」

 

 

 

 

そう言って差し出した右手。左手はポケットの中だ。何時ものように煙草を口に咥えている。煙が漂い、空に消えていく。

 

 

 

 

「(……私の様だな)」

 

 

 

 

「あぁ、もう」

 

 

 

 

「あっ」

 

 

 

 

ジレったい。そんな感じで、騎士悠也は私の手を取った。その瞬間、私の中に入ってくる魔力を感じた。それは、誰の魔力でもない。私の魔力だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アースラのブリッジでは、艦長のリンディと執務官のクロノ以外が慌ただしく手と目を動かしていた。理由は簡単だ。魔法が使えない部屋で眠っていた神崎悠也が、レアスキルで艦内から脱走。そしてリインフォースも脱走。つまり、この二人の捜査だ。

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

「眠そうね、クロノ」

 

 

 

 

「それは母さ…んんっ。艦長が悪いんでしょう」

 

 

 

 

エイミィが体を揺らす。そこまでは、いい。それは僕を起こすためにしてくれたからだ。

だが、どうして僕の上に乗ったんだ。それをネタにされて疲れたんだ。本当に。

その原因は神崎悠也とリインフォースだ。早く見つけて、今度は武装隊員に監視をさせよう。

 

 

 

 

「あ、帰ってきた」

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

「だから、帰ってきたんだってば!」

 

 

 

 

「もう、寝る」

 

 

 

 

「え、クロノ君!?」

 

 

 

 

大きなディスプレイに映っている二人は、抱き合っていた。

 

 

 

 

「(どうしてこの艦には悩みの種が多いんだ)」

 

 

 

 

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