マジで(笑)いや、本当に。
あるぇ~?
私って、あるェー?こんなに……なんでって感じです。
36人って、私からしたら多いです。
この聖王教会に来てから、既に二週間もの月日が流れていた。
手に持っているカードと銀に光り輝く、とある証をボケーッと見ていたら煙草の火が消えた。勿論、それは俺自身が消した筈はない。まだ三分は吸える長さはあった。誰が消すものか。短くなった煙草を咥えながら、火を消した犯人を横目で見る。視線の先には三十代後半の大柄な男が、獲物のハルバードに良く似た槍を肩に担いでいる。そして、彼の視線の先には隣に座る子供。あぁ、つまり子供が近くにいるときには煙草を吸うなと言う事か。哀れリインフォース。今の状態じゃ、どこまでいっても子ども扱いだ。
「何時まで寛いでいるつもりだ。俺とて暇じゃないんだぞ」
「いや、いやいやいや。俺は何も言ってないし」
「えぇい。つべこべ言わずに修練場に行くぞ」
大きな手が肩に触れようとしたところで、俺はリインフォースの脇を下から抱き上げてジャンプした。場所は同じ部屋にあるソファー。突然の事でリインフォースはキョロキョロとして、擽ったそうに身を捩じらせた。
「い、いきなりジャンプしないでください」
「悪い。けどな、そこの騎士が俺を苛めてくるんだ」
「なんと、それは本当ですかロード」
膝の上に座ったこの幼女、実にノリノリである。そして目の前で不機嫌そうに椅子に座り、飲みかけの珈琲を啜っている。子供までに言われれば、管理局の最強も最強ではなくなる。その証拠が目の前でため息を吐いている、魔導師ランクS+のストライカー、騎士としても名高いゼスト・グランガイツだ。
今日も今日とて家でコーヒーを飲みながら煙草を吸う、堕落しきった生活を送っていない。いや、それは非常に魅力的な生活だ。殆ど毎日やっているからわかる。最高の生活だ。例え、皆に何か言われようが最高の生活を止める気は起らない。
咥えた火の点いていない煙草。片手には何時も飲むコーヒーより上等な豆を使っている。ここまではいい。煙草は、まぁ、まだいい。コーヒーに関しては最高だ。問題はここからだ。今現在、俺とリインフォースは聖王教会の一室にいる。対面しているのはカリムだ。
「この前からカリムが言っている戦技保有には協力する」
「ありがとうございます」
二週間前に提案されたものだ。それをゆっくりと考えて、色々な条件を付けてもらったうえでの協力だ。戦技保有。言ってしまえば、古い本を棚から書庫に入れる様なもので、聖王教会に所属している騎士は殆どが協力している。
「だけど、聖王教会には所属しない」
「……そうですか」
目に見えてカリムが肩を落とした。そもそも、カリムの狙いは俺では無く隣に座るリインフォースと、リインフォースが有している全ての知識だろう。後は、今現在、何故か俺の手元にも出せる夜天の書もそうだろう。どうなっているのかを調べたい。そしてあわよくば、自分が使いたい。そんな所だろう。はやてと俺と、所有者が二人もいるのだ。可能性が無いとは言い切れない。
それに、俺は組織と言うものが信用できない。それが大きな組織なら尚更だ。管理局など信用出来たものじゃない。日本の警察でさえ不祥事が続いているというのに、世界を幾つも管理している管理局など、鼻で笑ってしまいそうになる。だけど、個人は信用できる。目の前で肩を落としているカリムは、ここ二週間で仲が良くなったと思う。
彼女は、聖王教会から余り出る事がなくて、よく本を読んでいる。俺も、何かと本を読んでいる。リインフォースと一緒に行動しなくてはならなくなってからは、部屋に本が積める位に読んでいる。共通した趣味、と言うのだろうか。どんなジャンルの本を読むのか、地球の本は読んだことがあるのか、とか。話をしていく内に仲良くなってしまった。リインフォースは、まぁ餌という名のお菓子を前に出されて懐柔されてしまった。
「ロード」
「ん?」
「そろそろ言ってしまうのはどうでしょうか?」
「なにをですか?」
組織は信用できない。だから、個人を信用しよう。
「聖王教会には所属しないけど、外部協力という形でいいかな?」
カリムが勢いよく立ち上がり、俺とリインフォースの手を取って上下に降りだした。勢いよく。
「ありがとうございます!騎士悠也、リインフォース!」
上下に振られる手と、普段お淑やかなカリムの行動に目を白黒させて止まった俺とリインフォースは、シャッハが部屋に入ってくるまで手を振られ続けていた。当たり前の様にカリムは怒られていたのだが……。
カリムとシャッハが落ち着いてから、コーヒーと紅茶を飲みながら話を戻した。これから細かい事を決めていくのだ。俺とリインフォースの処遇を。その他は、俺の技能を調べるらしい。
「では、まずは悠也から決めましょう。リインフォースは色々と面倒なので」
「め、面倒……」
あぁ、そんな言い方するからリインフォースが沈んでしまったじゃないか。
「私にまず、何をしてほしいかを言ってください。可能な限り、それを叶えます」
「じゃあ、まずは俺を……」
「…………」
少し視線を上げながら、私――リインフォース――は悠也と騎士カリムの会話に耳を傾けた。
目の前のテーブルに置いてあるクッキーを咀嚼する。おいしい。香ばしいバターの香りが口に広がって、喉を通った。少し甘めのミルクティーを飲む。食べたクッキーと、いい感じにハーモニーを奏でる。勿論、おいしい。前の体なら、騎士カリムと同じく紅茶をストレートで飲んでいただろう。
何と言うか、精神は身体に引っ張られるとでも言うのか。考えは大人でも、やることは、その、一部の行動が子供に見えてしまう。今の行動だって子供に見えているのだろう。甘い物を食べれば顔が勝手に笑ってしまう。まったく、これではアイスを食べているヴィータと同じではないか。
チラリ、とロードを盗み見る。その横顔は真剣だ。それに、ロードと関わった人間が彼に抱く感情は、優しいの一言に尽きる。小さな気遣いから、自らの命を賭けて私と、主はやて。そして将達を救ってくれた。
「独立させていたとしてもリインフォースが。それに階級も…………」
「リインフォースに関しては俺から離れられない。階級は誰かの直属…………」
ほら、今だって私を護ろうとしてくれている。ロードに特別な力がある。魔力を使わない、完全にロード一人だけの力。対人間なら最強を誇る力。それは、瞬間移動だ。どんな距離からでも一瞬で相手に致命傷を与える事の出来る能力。将でさえ一撃のもとに倒されてしまう。なまじ魔力を使っていない分、騎士、魔導師共に気づくのに遅れて終わってしまう。
それに、初めは勘違いするだろう。超高速移動なのか、短距離転移なのかと。まぁ、考えた所で何もわかる筈がないのだけど。それに、この力はレアスキルとして管理局に登録されない。魔力を使っていないからだ。
「ではまた後日に……」
「大物が釣れるなんて……」
「その言い方は流石に……」
ふと、ロードと目が合った。それが妙に気恥ずかしくもあり、なんだか新鮮な感じがした。そして頭に置かれる手。硬い手は、確かな温かみを持って髪を撫でてくれる。くすぐったい。だけど、どこからか湧き上がる安心感。あぁ、本当に。私は子供になってしまったのだろうか。身体から力が抜けて、ロードにもたれかかってしまった。
「すいません」
「いや、いいよ。このままで」
撫でてくれる手に安心して、瞼が重たくなってきた。あぁ、本当に……私は子供だな。
本当になんでだろう?
まぁいいやw
ロリインフォースは萌えますねw
リインフォースも好きなんですが、はい。いいね。こう、子供っぽいっていうかなんて言うか。