シグナムと言えば、屈強なベルカ騎士であり、その美しい容姿も相まって剣姫などと言われている。
神崎悠也と言えば、詳細は隠されているが三提督の直接の部下であり管理局最強候補の一人だ。
ゼスト・グランガイツと言えば、時空管理局・首都防衛隊に所属するストライカー級の魔導師であり古代ベルカ式・S+ランクの実力を持つ最強だ。
管理局は、年々増加傾向にある犯罪発生率に頭を痛めていた。それに加えて入局したいという人間は増えるのだが、審査基準を満たさない者が増えているのが現状だ。つまり、手が足りない。人手不足なのだ。だが、その人手不足を解消するために学校があるのだしソレの宣伝もそこそこにしてきた。だが、ついに入局に対して一定ラインを割った為に担当官は相談役に声をかけた。そこで、担当官は一つの答えを得た。
祭りをしよう、と。
この日の為に、管理局の局員が天候すらもコントロールしたと聞いた時には驚きを隠せなかった。それだけこのイベントに力を入れたのだろう。既に騎士甲冑を着こんだ俺は手に持つパンフレットを見ながらため息を零した。そして、なんでだよと呟いた。
「なんで俺が……こんな……」
「まぁ~まぁ~、ええやんか」
「よくない」
「なのはちゃんも楽しみにしとったで?」
「代わってくれない?」
「そんな、私はまだ死にたくありません」
隣で椅子に座るはやてを無言で押し倒した。
「な、なにすんねん!?」
「リイン、両手を抑えて」
「申し訳ありません、はやて」
「リイン!?」
まだ松葉づえを付いて歩くはやての拘束は両手だけを抑えれば簡単にいけるもので、リインに抑えられたはやては顔を赤くして目に涙を浮かばせた。
「や、やさしくしてや?」
「我が必殺の暗殺術を喰らうがいい」
「え、ちょ、なんでそんな指動かして、ちょ、まーッ!?」
数十分後、控室には服の乱れたはやてがグッタリとしてベンチに転ばされていた。今のはやてを、もしも学校の誰かが見れば非常に危うい状況になってしまうのだが、それはベンチの近くで黒いスーツを着込んだザフィーラが許さない。いや、ザフィーラとはやての組み合わせも、主と騎士の関係を知らない人間が見れば即座に通報される可能性がある。
「はふぅ」
「大丈夫ですか、主はやて」
「も、もうお嫁に行かれへん」
「…………」
控室から真っ直ぐ行けば会場に着く。だいたい、その道の半ば程度で大柄な男と鉢合わせした。
彼もまた、悠也と同じように騎士甲冑を身に纏っていた。大きな槍は背負っている。
「久しぶりだな、黒騎士」
「……黒騎士ってなんですか?」
本当に久しぶりに会ったと言うのに、ゼストはニヤリと笑いながら空中ディスプレイを出した。
そこには、何故か俺のデータが入ってあった。
「何故に?」
「いや、局内でも噂になっていてな」
局内でも、と言うのは相談役ミゼット・クローベルが直轄の部下を持ったと言う事だ。ミゼットは、相談役になってからといもの彼女は部下を一切持たなかったのだ。それが、最近になって急に部下を二人も持った。それに、詳細は隠されているが「闇の書事件」の主犯格の可能性のある人間を、だ。
「それに、新型デバイスを造ったんだろう?」
「いや、俺は造ってないです。造ったのは三課の研究員ですよ」
「楽しみにしている」
「話、聞いてます?」
溜め息を吐きながら、会場に進む。もう、喋ることは無いのかゼストは喋らなかった。悠也も、自らの集中力を高めていた。これから戦うのは、陸の切り札。時空管理局・首都防衛隊に所属するストライカー級の魔導師。同じ古代ベルカ式の使い手である騎士ゼストだ。例え模擬戦であろうとも、少し気を抜けば大怪我に繋がる。
やがて、出口が見えてきた。聞こえてくる声量は決して一人では出せるモノではなく、間違いなく大勢の人間がいる事を表していた。
「では、行こうか黒騎士」
「そうですね、ランサー」
「ぬ」
「む?」
『ユニゾン・反転』
目の前が、光に包まれた。
『さぁ、いよいよこの日がやってまいりました。会場の皆!盛り上がっているかァー!』
この日の為に用意された会場は大いに盛り上がっていた。チケットは完売し、生放送で中継もされている。会場の外には屋台が並び、チケットを買えなかった人達は外に設置されている巨大スクリーンを通して会場の中を見ることが出来る。
『今日は管理局主催の祭りだーー!』
『あらあら』
『おっと、今日はスペシャルゲスト、伝説の三提督が一人!ミゼット・クローベルさんが来てくれています!』
『よろしくね』
『解説は私、ティーダ・ランスターが送らせてもらいまーす!』
会場では、既に顔を赤くしたダンディな父が居たり、それを見て笑う家族が居たりと、会場内のボルテージは下がることを知らないかのように上がっている。
『では皆様、入場する際に貰ったしおりをお持ちください。持ちましたか?では説明させていただきます』
1.開催式~魔導師たちによる空中ショー~
2.選手紹介
3.第一回戦・高町なのはVs八神シグナム
4.第二回戦・ゼスト・グランガイツVs黒騎士
5.お昼休み
6.第三回戦・高町なのはVs黒騎士
7.第四回戦・ゼスト・グランガイツVs八神シグナム
8.選手紹介
9.第五回戦・八神シグナムVs黒騎士
10.第六回戦・高町なのはVsゼスト・グランガイツ
11.閉会式
『となっております』
『あら、来たみたいね』
ミゼットの言う通り、南側から白いバリアジャケットを纏った高町なのはと騎士服を纏ったシグナムが入場した。そして北側から、この日の為に新調した騎士服を纏ったゼスト・グランガイツと黒い騎士服を纏った、銀髪の女性が入場した。
特設会場
コロッセオをイメージして頂ければ嬉しいです。
今回は短いです。