ハイスクールD×D 黄昏で君ともう一度 更新停止 作:〇〇〇もげろ
グレイフィアが私に修行についてのアドバイスをしてから二年の月日が経った。この二年間、私は徹底的に己の肉体の基礎を作り続けた。
初めの頃は、魔力なしで50メートル走ると倒れるという醜態をさらしていたが今では20キロメートル走り切る自身はある。本当に辛かった、毎日毎日ただ淡々と走り続けるのは、しかし走っている途中から強烈な眠気が襲ってきたことがあった。あの瞬間だけは本当に心地よかった事を覚えている。あのときの気持ち良さを味わいたいがために今でも毎朝走り込みをしている。それ程に気持ち良かったのだ。
その走り込みのおかげか、今では槍を振っても、体が槍に引っ張られるのを踏ん張れるようになっていた。その事に私は大いに喜び槍を振り回しまくっていたら庭が荒れに荒れてしまいグレイフィアに怒られた。
今思い返すと、この二年間グレイフィアに迷惑をかけ過ぎた気がする。
何か贈り物をして機嫌を取った方がいいのかしれないな。
「ソフィア様、ボーっとしないでください。私まで恥をかいてしまいます」
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はぁ、現実逃避はここまでにしようか。
現状、私達は魔王城まで連行された。
「違います。連行ではなく、ダルク様から徴集の命を受けたのです」
「グレイフィア、私の思考を読み取らないでください。後、あの状態では徴集よりも連行の方が正しいと思うのですが」
私達の意思などの有無など関係なくここまで強引に連れてこられた。これでは徴集よりも連行されたと思っても仕方がないのだが、グレイフィアからすればダルクが徴集と言えばそれは絶対に徴集となってしまうらしい。その忠誠心を少しでも私に向けてくれたら嬉しいのだが、今はまだ無理か。
「それで、グレイフィアはこれが何の集まりか知っていますか」
「勿論、と言いたいけれども、私も知りません」
この玉座の間には数多くの悪魔が集結している。どいつも此奴も殺気立ち己以外の悪魔の様子を観察している。二年前はここまで相手を
「もぉー、ソフィアそんな難しい顔をしないで」
「えっ」
後ろから急に抱きつかれた私は思わず声をあげてしまった。この時二種類の驚きを感じた。まず一つ目は急に背後から抱きつかれたことであり、二つ目は・・・・。
「久し振りね、ソフィア。だいたい二年ぶり位かしら、あなたと会うのは」
そう、久しく会っていなかったお母様とこの場で再開した事から来る物である。
「お久し振りです、お母様」
グレイフィアという使用人ができたことにより、私はお母様と離れて暮らさなくなってしまった。お母様は魔王城にそのまま滞在し私はルシファー家の領地の端っこに送られた。それからは一度も会っていない。
私が最後に会った時よりも少しやつれたように見える。これは自惚れではないが、私とお母様は互いに依存して生活を成り立たせていた。そんな中依存していた相手がいなくなると、いままで成り立っていた生活に異変が起きるのは言うまでもないだろう。私はグレイフィアとの接し方で頭が一杯になっていので上手いこと生活のリズムを整えたが、お母様はそうではないらしい。
「ソフィアの髪いい匂いがして落ち着く。シャンプーの匂いかな、柑橘系の匂いがする」
スンスンと匂いを嗅いでいるが、背中に胸の感触が伝わってきてそれどころではない。
「お、お母様!離れてください。周りから注目されてしまいます」
「それもそうですね。ごめんなさい、ソフィア」
お母様が離れると、背中に感じていた胸の感触も同時になくなり少し勿体ない、と思った。
私も一応こんな成りだが男だ。勿論そちら方面の事にも興味がある。仕方のない事だ。これは男の
「ふふふ、ソフィアのムッツリさん」
お母様の顔を直視できない程に滅茶苦茶恥ずかしい。
「変態ですね、ソフィア様。そんな変態のソフィア様は早く死んでください」
「グレイフィア、それは流石に酷くありませんか」
「いいえ、全然そう思いません」
そこから私たちは言い合いになったが、グレイフィアが唐突に中断する。
「皆の者、集まってくれたことに感謝する」
魔王ダルクが突然玉座に現れた。グレイフィアはその事を感じて会話を即座に中断したが、私は気づくことが出来なかった。周りの悪魔たちも気づいている悪魔と気づいていない二種類に分かれていた。この事は強者と弱者を決定的に分ける。グレイフィアは強者、私は弱者という事を突き付けられた。理解していた事だが、
「今回、集まって貰ったのは他でもない、今我々の悪魔社会に異議を唱えている反対勢力の悪魔たちをどのように対処するかを皆の者に聞きたかったからだ。奴らは八年前から同志を
集まった悪魔たちが騒ぎ出す。だが皆言っている言葉が似通っている。どいつも此奴も「殺せ、殺せ」と言う。物騒極まりないが、悪魔の感性で言ったらこの反応がおそらく正しいのだろう。
「そうだ!そんな軟弱な考え方をしている悪魔など、この悪魔の世界に不要だ。ならばどうする。」
―――殺せ!殺せ!
「そうだ!ならば戦争をしようじゃないか。目に付くもの全てを焼き尽くそうではないか」
―――殺せ!殺せ!
「よろしい、ならば俺に付き従え。さすれば貴様らに最高の戦場を用意しよう。俺にお前たちの勇姿を見せてくれ」
―――オオオオオォォォォ
「殲滅しろ。反乱など起こす意思など根本からへし折ってやれ。勝った奴が全てを手に入れ、それ以外など意味がない。だから常に勝者とあれ」
凄まじい熱気だ。暑苦しくて堪らない。どうやら、どの悪魔も戦争に賛成らしい。これから戦争が始まってしまうのか。今まで過ごしてきた日々には、もう戻れないだろう。そう思うと悲しくて堪らない。
いや、落ち込んでいる暇などない。おそらく私達も参加させられるのだろうな。
「マリアンヌ、ソフィア、お前たちは、俺の部隊に入ってもらう」
ほらきた、それもダルクの部隊とか・・・・・・本当に鬱になる。
「各自各々信頼できる部下を選出し自分の配下とし引き連れておけ。俺達以外の悪魔たちはもう既に戦地へ赴いているぞ。戦果を挙げたい者は迅速に行動しろ。」
私に配下などいないんだけど、どうしよう。このままでは間違いなく死ぬだろうな。まぁ、何とかなるか。
「出撃は明日の明朝だ。それまでに各自用意を怠るな。解散せよ」
「地獄だ、これではまるで地獄ではなか」
誰かがそう言った。嗚呼そうだろう。これが地獄以外の表現が私には思いつかない。今なお響き渡る悲鳴が耳をつんざき、鼻に血の臭いがこびり付くかの如く周囲に赤い景色が広がっている。
「これが戦争なのか?これではまるで虐殺ではないか」
誰かがそう言った。嗚呼そうだろう。一方的な侵略が今眼前で行われている。女、子供関係なく捕食されていく。そこには敵味方関係なく、等しく怪物に捕食されている。泣き叫ぶ子供の顔が、叫びが頭から離れない。これは私達の戦場ではなかった。
「ダルク様、これが、こんなのが戦争だと言うのですか」
一人の若手悪魔がダルクに抗議し始めた。
「いいや、違う。これは戦争ではなくただの狩りだ。ヨルムンガンドを成長させるのには、かなりの費用が掛かる。だから今回の殲滅戦は丁度よかったのだ。そのために八年間も泳がせて、ここまでの規模になるまで待ってやったのだ」
「今、何とおっしゃいましたか。あなたにとって私達悪魔は唯の食糧なのですか」
若いな、まだ考え方が若い。まだ十二歳の小僧が何を偉そうに言っている、と思うかもしれないが、この場合に関しては言える。周りを見てみると取り乱しているのは、今ダルクに抗議している若手悪魔のみである。それ以外の悪魔は皆、承知の上だったのであろう。そんな中でこの殲滅戦に反対する事は自身の孤立を意味する。それは不味い、非常に不味い。それが見抜けない彼はまだまだ若いと言うことだ。
「そうだ、彼らには必要な犠牲となってもらう。これはこれからの俺達に必要な事なのだ」
「そんな事が許されるはずがない。お前らもそう思うだろ」
周りに同意を求めるが何の反応も起きない。唯、憐れみと侮蔑の視線を送るだけ。これは中々辛い物があるが、反旗を
「許されなくても別にいい。たとえ誰に許されなくとも、この俺が許してやる。お前みたいな脆弱な考えの奴は、もういらない。疾くと塵となれ」
会話はこれで終わりだ、というばかりに若手悪魔に殺気を向ける。その殺気に反応した若手悪魔は咄嗟にダルクと距離を取ろうと試みたが動けないようだ。
「う、あああぁぁぁぁぁ」
「どうした。俺の事が許せないのだろ、ならば行動に示してみろ。お前のその手足は飾りか」
動くことが出来ない若手悪魔に近づいて行く。その姿は圧倒的強者の貫禄があり、お前は俺に傷一つ付けることが出来ないと語っているようだ。
「ぐぁあああああああああ!」
とうとうダルクの殺気に耐えられなくなり若手悪魔が黒色の魔方陣を発生させ大量の魔力弾を打ち出す。
しかし勝負は一瞬で決した。ダルクが右腕を横に薙いだ。唯それだけで大量の魔力弾を消し去り、若手悪魔の首を
「この程度の実力で吠えていたのか。おい!だれかこの塵を捨てて来い」
今、殺した若手悪魔の死体すらヨルムンガンドの食糧にするつもりであろう。私は不憫と思うのと同時に仕方がない事だと感じた。自身の思想を言うには彼は弱かった。しかしこれは私にも言えることだ。彼は私やグレイフィアよりも強かったが死んでしまった。どうやら意思を貫き通すには、私はもっと力をつけなくてはいけないようだ。果たして、戦争が始まった今、私にそれ程の時間があるのだろうか。いや、恐らくないだろう。だが、無茶をしてでも力をつけないと、これからの戦争で生き抜くのは不可能だろう。だからもっと力を。
「皆の者、ヨルムンガンドの力を見ただろう。どうだった、どう感じた、どう思った。奴の力を利用すれば神すら超える事が出来ると思わなかったか」
ダルクの言う通り確かにヨルムンガンドの力は凄まじい、の一言である。力の底が全く見えてこない。これでまだ成長するのかと思うと不安になってくる。そんな化け物を自分たち悪魔で支配できるのかと。しかしダルクは出来ると信じ込んで、ヨルムンガンドを使い潰す気でいる。
「皆の者、戦争は好きか?私は戦争が大好きだ。弱い者をこの手で捻り潰すのが大好きだ。だが同族同士でするのは悲しい。そこで俺は妙案を思いついた。じゃあ、悪魔以外ですればいい。俺は悪魔こそ最強の種族だと思っている。だから俺と一緒に天使、堕天使と戦争をしよう。これはお願いではなく、命令だ」
言葉が出ないとは、この事だろう。それだけ驚愕を受けた。私の中で王とは民を導くもので、決して戦争を自ら引き起こす愚者でない。だがダルクはそれを平然と行った。狂っているのに、周りの誰もその事に異議を唱えようとしない。みんな理解しているのだ、ダルクに何を言っても無駄だと言うことを。
「哀れな天使よ、堕天使よ、見ているな、感じているな。俺達悪魔こそが最強だ。
「さぁ、情け容赦ない戦争を始めよう」
この日、ダルクは宣戦布告をした。
この日から私たちの日々は壊れ歴史は急速に加速し始めた。
もう後戻りなど出来ないほどに。