ハイスクールD×D 黄昏で君ともう一度 更新停止 作:〇〇〇もげろ
大体で書いてるけど合ってるかな。
今回は少し長めです。
私たちは無事にとは言えないが、生きて悪魔の拠点まで帰還することが出来た。四肢のない私はその道中ずっとグレイフィアに抱え込まれて移動した。本当に彼女には頭が上がらない。今の私はまさしくおんぶに抱っこの状態だ。
私たちが帰還したその時、私たちを迎えたのは歓声ではなく、非難ばかりであった。べつに誰かに褒められたいなどと思っていたんじゃない。確かに私たちのチームは任務達成という結果は得られなかった。しかしこの光景はあんまりではないか。私たちは命がけで任務に取り組んだ。しかし得られたのは、糾弾や罵声のみ。
「なぜ途中で任務を放棄した」
「死ぬまで戦っとけばいいものの」
その他にも色々な事言われた気がする。
ふざけるな!何なんだ、その態度は。いつの時代でもこの有様だ。力のある者は戦線には出ずに大きな顔をし、出来の悪い部下にはいつも罵声を浴びせる。そのくせ、自分よりも強い奴にはいつもペコペコする。ああ、分かっているとも、そんな奴らは私たち一兵士よりも戦争では重要であり、戦線には出ずに拠点で大きく踏ん反り返ることが役目だと分かっているんだ。だけど今回の事は許容できない。
私の中に怒りが積りに積もっていく。
そんな中をグレイフィアは我関せず、といった様子で私を抱えて素通りしていく。目的地は恐らく悪魔拠点の中心部だろう。そこで今回の事の
「ソフィア様、起きていますよね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐうー」
「もう一度言います。起きていますよね」
もしかしてバレてる?
いやいや、そんなことはない。私の狸寝入りは完璧なはずだ。
「そうですか・・・・・・えいっ」
「イタイ、イタイ、イタタタタタ。ちょっ、止めて、本当に勘弁して」
グレイフィアにわき腹を容赦なく
「いえ、止めません。それでいつから起きていたのですか」
ふむ、これは答えづらい。まさか「グレイフィアが私に告白をし始めた時から気付いていました」、なんて口が裂けても言えない。ここは誤魔化す方針でいこう。
「グレイフィアが私を抱き抱えて、ここまで移動している途中で気が付いた。どうして気付いたの?こう言ってはなんだけど、私の狸寝入りは中々完成度が高かったはず」
「簡単なことですよ。私たちが言葉の暴力に
「それは、あれだけ言われて怒らいような人はいないでしょ」
「ソフィア様が怒ったときに、あなたの体内の魔力がいつもと違って激しく蠢いていましたよ。だから私は気付きました」
まだまだだな、私の魔力操作技術も。感情の高ぶりで魔力を乱すなんて、もっと精進しないと。
「はぁー、気が重いな、これから任務の報告をするなんて」
「そんな事言わないの。戦争で情報がどれだけ重要か知っているでしょう」
「それは分かっているけど・・・・」
戦争で一番重要になってくるのは情報だと、私は思っている。敵の数が味方の兵よりも多くても、相手の不利になる情報により組み立てられた作戦で、いくらでも戦場の盤を引っ繰り返すことが出来る。それでも勝てない時が出てくるが、それは一部の例外だけだ。
だから私たちが報告することによって悪魔側が有利に動くことが出来るかもしれない。
それが分かっているけど、恐らくダルク本人に報告をするので、私は行きたくない。私の今の体を見てダルクがどのような行動を取るのかが手に取るように分かる。
鬱になりそう。
「ソフィア様、着きましたよ。それにしても、さっきからソワソワして落ち着きがないようですが大丈夫ですか」
「ん、ええ、勿論大丈夫ですよ」
何が大丈夫ですよ、だ!
私は今グレイフィアに抱き抱えられている状態、いわゆる赤ん坊が母親に抱っこされている状態と同じで、この格好は非常に危険だ。
まだ女性とは言えないが、それでも美少女と言っても遜色ないグレイフィアが、吐息のかかる距離まで密着しているのだ、私の理性はもはや決壊寸前である。
それに先ほどからずっと、発展途上の胸が私に押し付けられている。自身の心臓の鼓動が通常に比べ大きくて速く聞こえてくる。そして慎まし気なグレイフィアの胸を通じて彼女の鼓動も聞こえてくる。彼女の鼓動も私ほどでないにしろ大きく速くなっていた。
「それでは行きますよ」
グレイフィアは私に確認を取り、魔王たちが集結しているであろう部屋の戸を叩いた。
「今回の任務の結果をご報告するために伺いました。入室の許可を」
「よい、入れ」
部屋の中からダルクの声が聞こえてきた。入室の許可が下りた。いよいよご対面だ。
「はっ!失礼します」
部屋の中には五人の悪魔が何かを喋っていた。五人の内、四人は私が現在いる所よりも上の段に座っている。恐らく魔王たちであろう。彼らが放っている魔力の奔流に私は呆気にとらわれた。
潜在的な魔力量は私よりも少ないはずだ。言ってはなんだが、私の魔力量は魔王を凌駕していると自負している。それなのに魔王が発している膨大な魔力は滝のようである。それに比べて私が体から発している魔力は水道の蛇口みたいに少量だ。
やはり私と彼らとの差は魔力量ではなく、魔力を取り出すための管の太さの違いである。
魔力を取り出す管は訓練次第では太くもできるが、私の場合元が細すぎるためその訓練もあまり期待できないだろう。
もし訓練しても精々二流止まりで終わってしまう。
その事を改めて再確認させられた。
そして最後の一人は私と同じ高さにいるどっかで見たことがあるような、ないような容貌をしている青年である。そんな彼が私の方に視線を移動させ、口元を緩めた。
「おやおや、これは久しぶりじゃーないですか。ねぇー、ソフィアきゅん」
「・・・・・・・・」
誰だ、この馴れ馴れしく私の名前を呼ぶ男は。それに『ソフィアきゅん』は些か無理があるのではないだろうか。
でも、私の名前を呼ぶということは、私と親しい者であるはず。なのに、全く思い出せない。
「んー、無視か?まぁー、おれっちは別に気にしないけど」
その容姿でおれっち、ですか。はっきり言って気持ち悪いですね。
ん?容姿・・・・。
私はこのキモ男の容姿が気になり見つめる。
キモ男の容姿は整っている。髪は銀色で瞳が青色、どっからどう見てもイケメンに属している。
やっぱり、どこかで見たような容姿をしている。
「それにしても・・・ぷぷぷ、魔王の息子であるソフィアきゅんが、これほどまでに無様な姿になるなんて、ソフィアきゅんは、おれっちを笑い殺すつもりなのかな」
我慢できずにキモ男が笑い出す。その笑い声には品がなく、その容姿からは到底思いつかないような下品な笑い方をする。
そんな彼を尻目にし、私の記憶の中でキモ男に該当する人物を発見することが出来た。
「中々の冗談ですね。あなたが笑い如きで死ぬはずがありませんか。それと私から一つ忠告してあげます。自分の事をおれっち、と呼んでいるようですが、傍で聞いていると気持ち悪くて吐き気がします」
キモ男の皮肉に私も皮肉で返す。私の皮肉に大げさに悲しむ素振りを見せ、それが私を更に苛立たせた。
「うわーん、久しぶりに会ったら義弟が
「お久しぶりですね、リゼヴィム義兄様」
あー完全に忘れていた。まぁ仕方がなかったと思う。だって、今まで全然接点なかったもん。
「それで、リゼヴィム義兄様は何の目的でここに訪れたのですか」
私のリゼヴィムの第一印象では気を許してはならない、である。奴が戦争に加担するのであればそれ相応の理由があるはずだ。まぁ、面白いからなどという理由かもしれないが。
「ねぇ、聞きたい?聞きたいよねー。でも教えてあげなぁーい」
リゼヴィムが露骨に私をからかってくる。奴の言動には悪質な物しかない。
「こいつ!」
「落ち着いてください、ソフィア様。魔王様たちの前ですよ」
グレイフィアが腕の力を強めて私を締め付け律する。
でもだからと言って更に強く抱きしめるのは如何なものか。先ほどよりも、グレイフィアの胸の感触が強くなってしまったではないか。
「双方ともいつまでくだらない事をしているのだ。いい加減にしないと、消すぞ」
魔王の一人であるダルクからすさまじい殺気が魔力と供に此方へ送り込まれた。今私たちは、悪魔の頂点と言われている魔王の前にいる。本当なら今のやり取りは不敬罪として罰せられてもおかしくはない。私たちが罰せられていないのは魔王の実の息子だからであろう。
「リゼヴィム、お前は自身のやるべき使命があったはずだが、こんなところで油を売っていていいのか」
「そうだねぇー。それでは
そう言い残しリゼヴィムは退出した。
そんな奴の後ろ姿を見て私の心は歓喜していた。なぜなら、さっきリゼヴィムは自身の一人称を、俺と言った。これは私が言った事を真に受けている証拠ではないだろうか。そう思うと、私の心から鬱屈とした思いはいつの間にか消えていた。
「それでは今からお前たちの任務報告をしてもらうとするか。嘘、偽りがあった場合、どうなるか分かっているな・・・・」
「分かりました。報告は、私がさせていただきます」
今回の報告は最後まで気を失わずにいたグレイフィアの方が途中で気を失った私よりも適切だ。
こうして私たちは今回の任務報告に勤しんだ。
「そうか・・・・・いよいよコカビエルのような聖書に載っている堕天使が姿を現したか」
一通りの報告を終えた私は魔王たちの呟きに耳を傾けた。
どうやら私たちが相手取った堕天使、コカビエルは相当な実力を持っていたらしい。
それもその筈だ。コカビエルが放った光はそこら辺にいる天使、堕天使の雑兵とは格が違った。濃密で無駄の一切がないような高密度な光の槍を作ってみせた、その実力が一兵士のものだとしたら悪魔側の勝利はもはやなくなっていたことだろう。
「コカビエルが相手では今回の任務失敗は仕方がないことだろう」
四人の内の一人が呟いた。
「仕方がなかっただと。それでは俺たち悪魔が堕天使よりも劣っているみたいな言い方ではないか」
魔王の論争が始まろうとしている中、ある男の声が室内に響いた。
「お前たち、いい加減にしろ。少しの間口を閉じることも出来ないのか」
その声の主はやはりダルク。自身の実力から来る自信が滲み出ている彼の声は、恐怖の対象となっているのだろう。
「報告の確認をするぞ。コカビエルと戦闘をし、勝てないと判断した
「それは!・・・・・・いえ、その通りです」
ダルクの言っていることが的を射ているので、言い返す言葉が見つからない。恐らく、私たち二人には処罰が下るだろう。なぜなら私たちが取った行動は敵前逃亡である。そんな私たちがお咎めなし、というのは些か都合が良すぎる話だ。
今から覚悟を決めておくのがいいだろう。最悪、死すらもあり得るのだから。
「お前たち二人は任務を途中放棄した扱いになっている。所謂、敗残兵に等しい。俺たち悪魔は敵を前にして逃げることなど許されない」
非常な現実である。勝てないと分かり切っているのに、それでもなお戦い続けなくてはならないなんて。それが兵士にとってどれだけ残酷な仕打ちなのか、ダルクは恐らく理解していない。彼の中で戦場とは死んで当たり前なのだろう。
それはまだ幼い子供ですら当てはまってしまう。
「だから、お前たち二人にはそれ相応の罰を与えよう」
私は恐らくだが助からないだろう。今の私は四肢が欠損し、戦闘が出来る状態ではない。だから、ダルクの中で何の価値もない。
いや、訂正しよう一つだけある。それはヨルムンガンドの餌だ。戦闘能力が皆無だとしても、私には未だ膨大な魔力が健在だ。これ以上美味しい餌はないだろう。
「お前たちの罰は―――」
それに比べてグレイフィアは軽い罰で済むだろう。何といっても彼女には一度コカビエルを退けたという功績があり、戦闘能力もこれと言って問題がない。だから私は特にグレイフィアのことを心配してはいなかった。
さぁ、どんな罰だ。どんな罰でも受け入れる覚悟は決まった。まぁ、簡単には死んでなんかあげないけど。
「今すぐに、前線を離れて自身の領地に帰れ」
「はぁ?」
意外過ぎるダルクの発言に頭が働かない。
今、こいつ何て言った。私たちに帰れと、家に帰れと言ったのか。いやいや、そんな筈がない。だって、あのダルクがそんなこと言うなんて考えられない。これでは私たち二人とも実際にはお咎めなしではないか。
「なんだ、その態度は。聞こえなかったのか。俺はお前たちに帰れと言ったのだ」
「分かりました。その罰慎んで受けさしてもらいます」
私が反応出来ない代わりにグレイフィアがダルクに対応した。グレイフィアも内心驚いているはずなのに表に出すことはなかった。
「それからグレイフィア、お前には引き続きソフィアの身の回りの世話をしろ。そんな有様では碌な生活が出来るとは思えんからな」
「承知しました。それでは失礼します」
そう言い残して私たちは部屋を後にした。
感想、評価など待ってまぁ~す。