ハイスクールD×D 黄昏で君ともう一度 更新停止   作:〇〇〇もげろ

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すみません投稿遅れました。
今回はダルク視点で物語を書かせてもらいました。
それでは本編どうぞ


ep.12

「ふん、行ったか」

 

俺はソフィアとグレイフィアが出ていく後ろ姿を見つめる。四肢を失ったソフィアに対してこれといった感情を抱かなかった。もはや赤の他人のように接することが出来るまでになっていた。以前まではソフィアを自身の息子とは思えず、奴に最大級の侮蔑をぶつけていたというのに。

 

「ルシファー、お前何を考えている」

 

俺の隣に座っているベルゼブブが問う。ベルゼブブが何故憤りを感じているのか分からない。

 

「いや、何も考えてなどいない。それに一体何の事を言っているのだ」

 

「とぼけるな。何故先ほど、彼らに下した処罰の内容があれだけ軽い物になっている」

 

なんだ、その事か。

俺の中には、何故あのような処罰を下したか、という質問の解を持ち合わせていない。今は戦争中だ。どこも人手不足に陥っている。あんな奴でも少なくともヨルムンガンドの餌ぐらいには役に立つだろう。

では、何故そうしなかったのか、強いて理由を挙げてみると単なる気の迷いからであろう。それに奴の仕事はヨルムンガンドを羽化させた時に終わっている。だからソフィアが如何様(いかよう)になろうとも、俺には一切関心がない。

 

「悪魔は相手を前にして逃亡することを許さなかったのではなかったのか。それをあのような罰とも呼べない罰を与えるなんて、他の悪魔に示しがつかないではないか」

 

ベルゼブブの言う事は正しい。確かにこれでは他の悪魔に示しがつかない。

だが―――

 

「確かにその通りだろうな。だがな、ベルゼブブ、俺たちは魔王だ。だからこの悪魔の世界では俺たちがルールだ。だから俺の決定を覆すことなど許さない」

 

「正気か、ルシファー。それでは暴君と同じではないか」

 

「そんなに近くで大声を出すな。耳が痛くてしかたがない」

 

暴君か・・・・・・。

いい響きではないか。今の俺にぴったりの言葉ではないか。

 

「俺のことを暴君と呼ぶか。では、お前にとって魔王とはどのような存在なのだ」

 

「愚問だな。決まっている。私にとって魔王とは民を守り抜く者のことだ。決して、決して、今起きている戦争を自ら引き起こす愚者を指す言葉ではない」

 

ベルゼブブは俺の事を愚者と言った。

いやはや、暴君の次は愚者か・・・・耳が痛いな。しかし俺はベルゼブブの考え方を否定するような真似はしない。魔王に求める像など、悪魔それぞれであろう。

しかし俺が否定せずとも、その考えに否定的な考えの持ち主がいた。

 

「はははははっ!(まった)(もっ)てつまらんな。そんな、誰もが思いつくような定型的な言葉を言いやがって、歯が浮くかと思ったわ」

 

「アスモデウス!貴様、私を侮辱するのか」

 

「別に侮辱などしていないわ。ただ、お前の考えをつまらない、とは思ってるぜ」

 

「貴様!」

 

ベルゼブブが立ち上がりアスモデウスの胸倉を掴んだ。ベルゼブブから怒気と供に膨大な魔力が溢れ出す。

ベルゼブブとアスモデウスの双方が衝突したら、恐らくこの部屋が跡形もなく粉砕するだろう。流石にそれを許容出来るほど、俺は寛容ではない。

 

「お前達、いい加減にしろ。ここでの戦闘に意味はない」

 

「ルシファーの言う通りですよ。私たちが争っても意味がありませんから、ここは私に免じて収めなさい」

 

同じ魔王である俺だけの発言では効果が薄いと思ったのであろう、レヴィアタンが言葉を発した。

 

「分かった、ここは引こう」

 

「ああ、我も引こうではないか」

 

溢れていた魔力が霧散していく。ベルゼブブの表情は不服そうだが、アスモデウスの表情はこれと言って変化はない。奴は度量が大きな男なのかもしれない。だから、そんなアスモデウスが思い描く魔王像が気になった。

 

「アスモデウス、お前にとっての魔王とは何だ。よもや、あれだけの大口を叩いて、ない、ということはあるまい」

 

「そ、そうだ。お前、あれだけ私の事を愚弄したのだ。さぞかし立派な考えが有るんだろうな」

 

「・・・・・・・・・・」

 

意外だな。アスモデウスの事を馬、いや考えず行動に起こすような男だと思っていたのに考えている。あれだけ尊大に吠えたのだ、てっきり自身の魔王への像など決まっていると思っていた。

それだけに、非常に残念だ。熟考されて導き出した答えなど、建前が入っているに違いない。俺が知りたいのは、そんなちゃちな物ではなく、感情のまま本能に従った答えが欲しかった。

所詮この程度の男だったのか、本当に期待外れだ。

 

「何だ、あれほど私の考えを侮辱したというのに、お前は何の考えもなかったのか」

 

先ほどのやり取りで、不完全燃焼だったベルゼブブがこれ見よがしにアスモデウスに言い募る。

 

「はぁー、男ってどうしてそんなことにムキになるのか分からないわ」

 

レヴィアタンがベルゼブブを見て嘆息する。

彼女の言いたい事も理解できるが、その言い回しでは男の俺も含まれてしまうのではないのか。それは勘弁願いたいところだな。こいつらと同列に扱われるのは癪に障る。

 

「おいおい、そんなにいきり立つなよ、ベルゼブブ。別に我に考えがないとは、言っていないであろう。勿論あるとも」

 

アスモデウスはもう既に考えがある、と言った。しかしそれならば何故早々にそれを言わない。言ってしまえば、こんな茶番に付き合う必要がなかったというのに。

 

「それならば言えばいいだろ。それとも自分の考えに自信がないのか」

 

「自信ならある。だが、これは本当に言ってもいいのか悩んでいる」

 

アスモデウスが眉を顰めながらそう言った。奴が悩んでいたのは魔王像の事ではなく、それを言った時の俺たちの反応について悩んでいたようだ。

面白い。アスモデウス、お前の答えを聞いて俺がどのように思うか実に楽しみになってきた。だから聞かせろ、貴様の答えを。

 

「そんなに勿体ぶるなよ。なに、何を言っても別に気になどしない」

 

「そうね。今更あなたの言う事なんて気にもしないわ」

 

「お前達は優しいのか、口煩いのか、一体どっちなんだ」

 

アスモデウスは俺たちの言い分を聞き、眉を(ひそ)めた。

それにしても傑作だな。俺が優しいだと?思い違いも甚だしいな。今の俺には知的好奇心しかないというのに。

 

「まぁ、いいか。一回しか言わないからな。よく聞いておけよ」

 

ここにいるアスモデウスを除いた三人が注目する。その視線の先にはアスモデウスが威厳のある顔つきで立っていた。

一見馬鹿そうな奴でも、こんな顔をするんだな。

そこに立っていたのは紛れもなく一人の魔王だった。先ほどまでのふざけたような雰囲気などなく、空気が重く感じる。

 

「我が抱いている魔王の像は―――」

 

誰かが固唾を飲んだ。それはベルゼブブかもしれないし、レヴィアタン、もしくは俺だったかもしれない。俺たちはアスモデウスが発する雰囲気に飲まれた。

 

 

 

 

「我、自身に他ならない」

 

 

 

 

「・・・・・・・・は?」

 

ベルゼブブとレヴィアタンは状況が呑み込めないらしく呆けている。

だが、俺は違う。アスモデウス、お前は何て面白いことを言ってくれるんだ。おかげで笑いを堪えるのに腹筋がピクピクして地味に辛い。

 

「アスモデウス、貴様ふざけているのか!」

 

アスモデウスの回答が気に入らなかったのか、ベルゼブブが詰め寄る。その光景は、さっきのやり取りと重なって見えるのは仕方がないだろう。

 

「いや、我は別にふざけてなどいない」

 

「ふざけていないのなら、何故そんな事が言える」

 

「今回は私も、ベルゼブブに賛成するわ。あなたの憧れが自身だとすれば、それは単にあなたが自分に酔っているだけ。そんなの自慰以外に他ならないわ」

 

レヴィアタン・・・・さすがに自慰はないんじゃないのか。貴様は一応生物学的には女だろ。もっと恥じらいを持てよ。

 

「えらい言われようだな。これでも我はしっかり考えて・・・・・ああ、面倒臭ぇ」

 

答えろ、と言われて答えたのに、この態様ではアスモデウスが面倒臭がるのも無理はない。

しかし、これでは話の先に進めないではないか。仕方がない、ここは助け船を出してやろうではないか。

 

「二人とも、頭ごなしに否定するのではなく、少しはアスモデウスの話を聞いてやれ。ほら、アスモデウスも続けろ」

 

俺は三人に向かって殺気を放つ。そうすると、三人とも萎縮してしまった。初めからこうしておけばよかった。そうすれば、こんな茶番に付き合わずに円滑に事を運べたはずだ。

 

「分かった、分かった。だからそんなに殺気を振り撒くな。今から我が魔王というものを教えてしんぜよう」

 

俺たちはアスモデウスの発する声に耳を傾けていった。

 

「ベルゼブブよ、お前はさっき魔王とは民を守るものだと言ったな。しかし我はその考えに全くと言っていい程に共感できん。なぜなら魔王とは暴君の象徴である」

 

「話にならないな。王とは民を守るものだ。民あっての王だ」

 

ベルゼブブがアスモデウスの話に介入する。お前の考えは間違っていると頭越しに否定した。

 

「確かに王とは民を守るのも仕事の内かもしれん。だが、唯守ってもらうだけの関係に何の意味があるというのだ」

 

「その関係の何処に不満があるというのだ。意味などなくてもいいではないか。安定した平穏な生活が出来るそれだけでも十分と思うのは間違っているのか」

 

「この戯けが!」

 

アスモデウスが吠える。空気が震え、大気が躍る。今、アスモデウスの中でベルゼブブへの評価が下がり愚者へと認識を改めた。

 

「確かに民を守る姿は、さぞ犯しがたく立派な物であろう。だが、そんな王に民は憧れはせん。貴様は魔王という物を全く理解できていない」

 

「なっ!」

 

ベルゼブブの額に青筋が浮かんだ。しかしその事を意にも返さずにアスモデウスは話を継続する。

 

「折角だ、貴様らにもう一度魔王とはどういう物か教えてやる」

 

アスモデウスはただでさえ巨体な男だ。それがこの時は普段よりも大きく感じられる。そう錯覚するほど奴は自信に溢れていた。

 

「魔王とは暴君のことである。誰よりも強欲で鮮烈に生き、悪魔の頂点に位置する者のことだ。その姿こそ、民や部下に夢を見せ羨望させる。魔王は一方的に守るのではない、民を導いてこそ魔王なのだ。例え、民がその夢半ばで朽ちようとも、我は暴君ゆえ気にしない。故に、我の魔王像とは我、自身以外にはあり得ない」

 

嗚呼そうだな、俺達は魔王だ。他の悪魔達に対して何故、負い目を感じなくて何が悪い。

実に愉快だ。まさかアスモデウスがここまで俺と同じ考えの土俵に立っていたとは。もしかしたら、今集まっている四人の中で一番アスモデウスが魔王として相応しいのかもしれないな。だが無論俺だって負けるつもりはない。アスモデウスが言った通り、魔王とは悪魔の頂点でいなくてはならない。俺は何でも一番がいい。故にアスモデウス、どちらの方がより魔王に相応しいか勝負といこうか。

俺の中からアスモデウスへの対抗心が沸々と湧き上がってくる。それは止まることを知らず、また俺自身もそれを止めようとなど思っていない。

 

「アスモデウス、それが貴様の答えか・・・・・」

 

「そうだ。これが、我自ら導き出した答えだ」

 

「そうか・・・・・」

 

ベルゼブブが言う。その声色は依然として納得などしていない、という思いが込められていた。

 

「それにしても意外ね。脳筋なアスモデウスがそこまで魔王に対してしっかりした考えを持っているなんて」

 

恐らく重苦しい場の空気を一掃しようとしたのであろう、レヴィアタンが言葉を紡いだ。しかしいつもと同じで毒舌だ。誰もがあえて言わなかった単語を的確に射抜いた。

 

「くっくくく・・・・・ぷっぷはははははは。駄目だ、我慢できない。いやはや中々的を射っている事を言ってくれる。そうだ、確かに我は頭で考えるよりも行動する方が段違いに得意である」

 

アスモデウスが笑い出したことにより、場の空気が軽くなった。ほとんど悪口のような物でこの結果まで結びつけた。恐らくこの四人の中で一番口が達者なのはレヴィアタンであろう。いつも冷静な彼女に口論で勝てるイメージが掴めない。

 

「そうよ。あなたはそういう役割なのだから、無駄に場の空気を重くしないでほしいわ。ほら、ベルゼブブもいつまで拗ねているのよ」

 

「私は別に拗ねてなどいない。ただ・・・・」

 

「そう言うのが拗ねてるって言うの。それに私たちがここに集まった理由は魔王についての押し問答では無い筈よ。そうでしょ?ルシファー」

 

そんな事聞かなくても分かっているのにレヴィアタンが俺に確認を取ってくる。彼女の顔には速く事を進めろ、という文字が浮かんでいる。一向に目的の会議が進まないことにご立腹の様だ。

仕方ないか。結構楽しかったんだが、そろそろ脱線した話を元のレールの上に戻すか。

 

「そうだな。二人ともいがみ合うのは、その辺にしておけ」

 

「・・・・・分かりました。それで何処まで話しましたっけ」

 

「おうおう。そうだな、すっかり忘れておったわ」

 

流石、二人とも魔王の名を受け継いでいるだけのことはあり切り替え速い。

 

「場が整ったようだな。それでは会議を再開させてもらう」

 

ソフィアとグレイフィアがここを訪れる以前より、俺たちはある議題について話し合っていた。その内容とは、俺達魔王がどのタイミングで前線に参戦するかという事であった。今、最前線にはヨルムンガンドを配置している。その強大な力で天使、堕天使を何体も葬っている。しかし、俺達悪魔は押され気味だ。確かにヨルムンガンドの力は圧倒的である。だが、戦争とは単騎でするものではない。その証拠に、ヨルムンガンドを配置している区間は優勢だが、他の区間はそうもいかない。はっきり言って、今のままでは魔王軍では天使、堕天使軍に勝てないだろう。現に味方悪魔の数が、かなりのスピードで減少している。毎日、数十数百という悪魔が滅ぼされている。そのせいだろう、悪魔達の士気が日に日に下がっている。だから俺達魔王が自ら戦線に立ち悪魔達を鼓舞する必要が出てきた。

その事を忘れてしまった馬鹿二人に再度伝える。

 

「うーむ、それは一々会議に出すような案件なのか?」

 

「そうだな。どうするかなど初めから決まっているような物ではないか」

 

「ほう・・・・・では、お前たちはどうすると言うのだ」

 

「「勿論、今すぐ最前線に赴き敵を蹂躙する!!」」

 

実はこの二人仲が良いのではないのかと、疑うぐらいに息がピッタリ重なった。

アスモデウスは分かるが、まさかベルゼブブまでもこうも短絡的だったとは。もしかして先ほどのやり取りでアスモデウスの馬鹿が移ったのか。だが、良い。実に良い意志の表れだ。

 

「珍しく、意見が重なったな、ベルゼブブ」

 

「それはこちらのセリフだ、アスモデウス。貴様の先ほどの言い分も確かに正しいのかもしれないが、私にはそのような生き方は出来ない。だから私は、私の領分で出来ることを成し遂げよう」

 

「よかろう。お前には我が出来ない事を任せよう。その代り我はお前が出来ないと言った事をしようではないか」

 

やはり戦争とは素晴らしい。奴らからここまでの意志、決意などを引き出すとは。

ベルゼブブからは民を守るという決意を再度試みさせ、アスモデウスは民を導く魔王になるという強烈な意志を更に強めた。

口の端が吊り上がるのを我慢できない。

 

「ふっぷははははっ!!!」

 

やっと、戦場に立てる建前を得た。味方悪魔の士気を高める、という建前を。

 

「嗚呼そうだな。こんな所に引きこもって俺も些か退屈していた。俺達もそろそろ最前線で天使、堕天使どもを蹂躙しようか」

 

「それが、あなたの考えなら私も従うは、でもこれだけは覚えていて。確かに魔王が戦線に出ることは兵の士気が高まることに繋がっている。でもその逆もあるという事を」

 

今まで会議の内容に口出ししてこなかったレヴィアタンが口を開いた。

 

「もしかしてレヴィアタン心配してくれているのか。だがそんな心配は不要だ。それ位の事は心得ている」

 

「べっ、別に心配なんてしていないわ・・・・・・・いえ、きっとしているのでしょうね。あなた(・・・)ではなく私の部下(・・)の事を」

 

これがもしかしてツンデレというやつなのでは。だって、一々強調しなくてもいいだろ。

 

「ルシファー、いらない事を考えていませんか」

 

「考えてなどいない」

 

「そう、それならいいわ」

 

中々鋭いな、レヴィアタンの勘は。このままではグダグダで終わってしまうな。仕方ない、俺自らこいつ等の気を引き締め治すか。

俺は自身の中にある魔力を荒々しく体外に放つ。

 

「お前達、よく聞け。俺達、魔王は数名の部下を引き連れて最前線に躍り出る。目標は天使、堕天使の抹殺である。一匹も残らずに殺しつくせ!それが悪魔の勝利に繋がる」

 

場の空気が引き締まる。三人の顔を見ると、どいつも此奴も顔が愉悦で歪んでいる。それはレヴィアタンも例外ではない。これから起こるであろう蹂躙について思いを馳せているのだろう。

 

「天使、堕天使を駆逐して、俺達悪魔こそが最強だと示せ!!!」

 

「ああ!!」

 

「おう!!」

 

「ええ」

 

三人各々から返事が返ってくる。

 

 

 

 

 

こうして俺達、魔王が戦場に立つことが決まった。

 

 

 

 

 




ダルクのキャラ崩壊して、主人公ぽくなっている気がする。(汗)

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