ハイスクールD×D 黄昏で君ともう一度 更新停止   作:〇〇〇もげろ

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ep.15

グレイフィアが言いたくないが、言わなくてはならない内容なんて初めから分かっていた。

だが、私はあえて触れなかった。

私は臆病だ。だから、心の準備がいる。初めから、こうなる事は覚悟していたが、実際になってみるとやはり私がした覚悟など無意味と化してしまった。

でも、グレイフィアと話す内に再び覚悟が決まった。

だから、私はグレイフィアに話すことを促した。

 

「グレイフィア、私が少しの希望も抱かないようにはっきり言ってくれ」

 

「ソフィア・・・・・そこまでの覚悟を・・・・・」

 

グレイフィアが眉間に皺を寄せて悩む。

本当に言っていいのか、そこまで彼を追い込む必要はないのではないのか。彼が少しでも希望を抱いてもいいのではないのか?

グレイフィアの思いが手に取るように分かる。

そして、私が覚悟した様にグレイフィアも覚悟を決めたようだ。

 

「分かりました、言いましょう」

 

「ああ、頼むよ」

 

「率直に言います。ソフィアの母親であるマリアンヌ様が戦死しました。死因は過度の魔法の使用により脳が負荷に耐えきらなかったのが原因と考えられています」

 

「・・・・そうか」

 

戦争で死ぬ事は当たり前の事だ。私にとって他人がその事象に当て嵌まっても私は何も思わなかっただろう。

だが、身内や知人がその理不尽な事象に曝された時がこんなにも辛いなんて思わなかった。

思わず目尻が熱くなる。

泣くな。今泣くとグレイフィアに見られてしまう。

男の泣き顔程かっこ悪い物はない。今は心を鉄のように鈍くしろ。そういうのは得意なはずだろ?私。

 

「少しだけ意外です」

 

「何がだい?」

 

「あれだけ慕い大切にしていた自身の母親が戦死したのです。それなのにソフィアの反応が淡泊だったので意外だったのです」

 

よかった。

グレイフィアは気付いていないようだ。

本当は痛い、心が痛い。泣きたい、叫びたい。グレイフィアに(すが)りたい。

でも、それはしてはいけないし、する気もない。

全てを吐き出す時、場所は今ここではない。

私は心が叫んでいるのを、強引に押し込み、何気ないように振る舞う。

 

「グレイフィアから生存者の数を聞いた時から薄々分かっていたから」

 

「そうですか。それと、マリアンヌ様からお手紙を預かっております」

 

グレイフィアは懐から一通の手紙を差し出してきた。

 

「お母さまが私に・・・・」

 

私は迷うことなく手紙を受け取り、封を開けた。

中に入っていたのは一枚の手紙のみ。たったそれだけの物がとてつもなく重く感じる。

 

手紙の内容は―――

 

 

 

 

 

『拝啓

この手紙を読んでいるあなたは今どうしていますか。何を感じていますか。

この手紙があなたの元へ届いたという事は、私は恐らくあなたの傍にいないでしょう。

そのことが非常に悲しくて胸が張り裂けそうです。

本当は泣き虫なあなたはどうですか?

私の死をきちんと受け止めきれていますか、きちんと泣けていますか?

私の予想ですけど、きっと我慢して泣けていないでしょうね。なんたってあなたは頑固ですもの。

だからそんなあなたのために私が出来ることは一つ。

私の死を無理して背負わないで。

だって私はこの生を精一杯生きたんですから。

だから、私はこの死に悔いはありません。

それにもしかしたら次はあなたの子どもとして生まれ変わるかもしれませんし。

 

 

 

最後にあなたが昔聞きたがっていた名前の由来を教えておこうと思います。

実は特にないのです。決して軽んじて付けたわけでもないんだけどね。

ただ、名前に込めたい意味がありすぎて(まと)まらなかった。

だから、あなたを初めて見た時に閃いた名前を付けたのよ。

別になんだってよかったの。ただ元気に生きてさえくれていれば。

生き抜いてください。それだけが私の願いです。

でも今の四肢を失ったあなたではそれは難しいでしょう。

だから置き土産をしていこうと思います。

私の手足を使ってもう一度大地に立って戦って。それが、あなたが唯一生き残る方法。

気持ち悪いと思うかもしれないけど、残せるものがこれしかありませんでした。使うか使わないかはあなたの自由です。

それでは少し長くなったけど、もう終わりにします。

 

幸せな日々をありがとう。

   敬具』

 

 

 

 

 

「―ア――ぃあ―――ソ――――」

 

誰かに呼ばれている気がする。そう思い、ふと顔を上げた。

 

「―――ィア、―――ソフィア!!大丈夫ですか」

 

手紙に夢中でグレイフィアの呼びかけに気づかなかった。私の顔に吐息がかかる距離までグレイフィアの顔が傍にあった。

 

「!あっ、ああ。大丈夫だからそんなに近づかないでくれ」

 

私がそう言うと、グレイフィアは顔を赤くし、直ぐに顔を離した。

そのことに少し残念がる私がいたが、あえて触れないでいよう。

 

「そうですか。失礼と思いますが、手紙の内容を(うかが)ってもよろしいですか」

 

「別にいいよ。そうだな・・・・簡単にまとめると、さよならの言葉と置き土産の話だったかな」

 

「置き土産ですか・・・・・それは一体?」

 

多分、これから話す内容をグレイフィアは反対するだろう。だが、四肢を失った私が再び戦場に立ち、勝ち続ける方法はこれしかないだろう。

だから、私はグレイフィアを説得しないといけない。

 

「お母様の遺体だよ」

 

「っ!!ソフィア、まさか」

 

「多分グレイフィアが考えている通りだよ。そう、私はお母様の遺体を使って再び戦場に立つ」

 

「それがどう言う事か理解しているんですか!」

 

他人の肉体を使うのにノーリスクとは絶対にならない。それが例え肉親関係であっても例に漏れることはないであろう。

 

「理解しているつもりだよ、そんな事。それがどれだけのリスクを背負う事になるかなんて」

 

「いいえ、分かっていない。マリアンヌ様はソフィアよりも強い。意志、魔力、管、どれを取っても、マリアンヌ様が上回っている。そんな、人の体の一部を移植すれば無事ではすみません」

 

「そうだろうな。お母様は全ての面で私よりも優れている。恐らくだが、お母様の意志が私の心を蝕むことになるだろう。最悪、私が私でなくなる可能性もある」

 

私が私以外の存在になる。それはとても恐ろしいことである。なぜなら、それは自身の死と等しいのだから。

 

「それでもソフィアはやると言うの?」

 

「ああ。それが生き残る上で必要な事であるのならば」

 

我ながら卑怯な言い回しだと思う。

『生き残るため』と言えばグレイフィアも賛同する他ない。

沈黙が続く。

グレイフィアは頭では納得しているが、それでも心では私の意見に納得していない、と言ったところか。

それでもグレイフィアはどうするか決めたようだ。

 

「分かりました。それがあなたの決めたことならば、私は尊重しましょう」

 

「そうか・・・ありがとう」

 

私は今、上手に笑えているだろうか。恐怖で竦んでいないだろうか。

グレイフィアの前でそんな顔を曝すわけにはいかない。きっとまた悲しんでしまうから。

 

「卑怯です」

 

「うん、知ってる」

 

でも、これだけは確信している。

例え、お母様と混ざったとしても私は私以外にはなれないだろう。

 

「はぁ、これから忙しくなりますね」

 

「嫌だったかい」

 

「いいえ、とても充実していると思っていますよ。それでは手配の準備取り掛かるとしましょう。移植の日時が決まり次第報告に上がります」

 

そう言い残しグレイフィアは部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、やっと一人になれたか」

 

部屋が沈黙に包まれる。グレイフィアには悪いが今は独りにしてほしい。そうしないと甘えてしまう。

これ以上グレイフィアに負担を掛けるわけにはいかない。

だから独りを選んだというのに急に不安と悲しみが泥のように私の体に纏わりつく。

この不安や悲しみを飲み干すには一体どれだけの月日が必要になるのか想像できない。

だが、悩む必要はない。今は戦時中だからそんな時間などありはしないだろう。

 

「お母様、いくら何でも早すぎですよ」

 

お母様がいなくなった。これでは、もう元の日常には戻ることは絶対になくなってしまった。

だから引き返すことはもうない。後は突き進むだけだ。

だが、お母様にこれだけは言いたい。

 

「お母様・・・・嫌なら、嫌と言えばよかったんだ。魔王の妻だからといって辛いのを我慢してまで戦う義務なんてない。そんな事よりも私はもっと一緒にいて欲しかったよ」

 

私が零した言葉は誰にも聞かれることなく消えていく。

 

「少しだけ疲れたな。だから今だけは少しほんの少しだけ休ませてくれ」

 

そう言い残し私は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋の机の上には無造作にマリアンヌからの手紙が置かれている。

手紙にはまだグレイフィアには言ってなかったことがあった。

それはソフィアがマリアンヌの威信を損なわせてしまうのではないかと思ったからである。

グレイフィアが知らない内容とはマリアンヌの心の内を書き殴って綴られていた。

 

 

 

 

 

『嘘。やっぱり嘘だよ、こんなの。

もっとあなたと話したかった。触れ合っていたかった。あなたの弱弱しい体を抱きしめてあげていたかった。

悲しくて、痛くて仕方がないよ。死にたくない。誰かに代わって欲しい。

でも、それは許されない。

だって私は魔王の妻だから。

皆を導き助ける。それが私の役目。それを放棄しては、私は私を許せないだろう。

最後の最後まで私は魔王の妻であろう。そして、皆に私という存在を脳裏に刻もう。勿論その中にはソフィア、あなたも入っているんですよ。

恐らく私は死ぬのだろう。だが、これで寂しくない。

私が死ぬ時、思う存分に私はこの生を完走することが出来るのだろう。

だから、もう行くね。

 

―――さようなら、私の愛しいソフィア』

 

 

 

 

 

確かにこれは魔王の妻として悪魔達を率いていくうえでは些か不味い物があるのだろう。

だが、彼女とて一人の母親にすぎない。そんな心優しい彼女が我が子を残して去らなくてはならないとなると、その胸中にどれほどの葛藤があったのかは想像に難しくない。

だから手紙の中だけでもその思いの丈を零してしまうのは至極当然の事と言えよう。

この手紙は誰にも見せてはいけない。

マリアンヌは誰よりも高潔で悪魔を導いた。そう思い込ませることによって、彼女は誰かの心の中で永遠に残り続けるのだろう。

忘れる事など許さない。彼女が守ろうとした民、彼女が生きた証。それが悪魔には羨望と言う形で、天使、堕天使には畏怖として脳裏に刻まれている。

マリアンヌが本当の意味で消える事はもう二度とない。

だが、それこそが彼女が望んだ結末だったのかもしれない。無論違うのかもしれない。

だが、これだけは言える。彼女はこの世界を、何よりもソフィアを愛していたと―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、また来てしまったか」

 

今の僕では果たして会うことが出来るのだろうか。

眼前には海が広がっている。この世界は僕の心象風景を元に構成されて永久不変、だと彼女は言った。

だが、以前と違っている所がある。

黄金色の空、海がその見る影もなく闇に染まっている。あの黄昏の残滓すら見当たらない。

黄昏は過ぎ去り、夜が訪れる。

これはこれで幻想的で美しいと思うが、何処となく悲しみで満ちている。

 

「これは、僕の心が諦めてしまったという事なのか」

 

僕の一番身近で理解者でもあるお母様が死んだ。その事が僕の心を絶望の淵まで追いやったと考えるのは妥当なのだろうが、僕には到底そうは思えなかった。

 

「違うよ。今は唯休んでいるだけ。だから、あなたは生きるのをまだ諦めてなんかいなよ」

 

背後から彼女が話してくる。

その声は澄み切っており、夜の闇に消えていく。

 

「そうか、それはよかったよ。それから久しぶり、トワ」

 

「久しぶりだね、春。横空いてる?」

 

「もちろん」

 

「それじゃあ失礼するね」

 

シャリと音をたて、トワが隣に座る。

彼女との距離は肩が触れ合う程に近い。触れ合った肩から体温が伝わってくる。

ドキドキと鼓動が高鳴る。それを誤魔化すために僕は彼女に話し掛けた。

 

「それで、どうして今このタイミングで僕に会おうと思ったんだ?」

 

「それは、春が強くなったから。そろそろ頃合いかなと思ったの」

 

僕が強くなっただって?

その言葉には賛同できない。だって、転生してから僕は失ってばかりである。

これでは転生する前と何処が違うと言うのだろうか。

 

「僕は弱いままだよ。誰かを守るどころか、自分すらも守れない」

 

「ううん、春は確かに強くなってる。私が言っているのは腕っぷしの強さじゃないよ。傷ついては治し、磨り減ってはまた治す。そうやって鍛えぬかれた春の意志、心は何者にも負けないほどに強くなった。だからそろそろ頃合いかなと思ったんだ」

 

心の強さか・・・・・それがあったとしても相手を屈服させる力がなければ誰も助けることが出来ないのではないか。

たとえ助けることに成功してもその場凌ぎにしかならないだろう。

その最も顕著な例がこの僕であることは言う必要もない。

 

「ほら、そんなに深く考えない。私が言っているんだよ」

 

「そうだな。それでこんな負け犬の僕に何か用があるの?」

 

「勿論だよ。伝えておきたい事があるんだ」

 

トワとあって少し心が緩んでしまったのであろう、ついつい愚痴を零してしまう。

 

「何だ、僕を笑いに来たんじゃないのか」

 

お母様を守ることが出来なかった。その事実が心を蝕んでいく。

嗚呼、どうして僕って奴はこんなにも卑屈で嫌な生き物なんだ。トワが僕の事を罵り笑い者にすることがないのを分かっていて愚かな事を言う。

 

「いいえ、そんなことしない。頑張った春にそんな事をしても意味がないもの。それともして欲しいの?」

 

「そうだな・・・・少しそう思っている僕がいるのかもしれない」

 

一度、上級悪魔達が話しているのを盗み聞きしたことがある。

その内容とは、お母様、マリアンヌが最前線で戦っていたのに魔王の息子である僕が自身の領地に引っ込み一体何をしていたのか、(役立たず)が呑気に生きているのに、何故マリアンヌ様が死なねばならなかったのか、それ以外にも沢山の僕に対する愚痴ばかりである。

それらの殆どが逆恨みと分かってはいても、辛いものがある。

だって皆、私に直接恨み言を言うのではなく、陰でコソコソと愚痴を零すように言いふらす。

これだったら直接お前のせいでマリアンヌ様が死んだ、と糾弾された方が断然ましと言える。

 

「そう・・・春は誰かに責めて欲しいんだ」

 

「そうだね。誰も僕に直接不満を言わないんだ。だから、なんだか自分が惨めになっちゃった」

 

「別に春がそんなに負い目を感じる必要はないと思うんだけど」

 

トワが僕を見上げる。その顔には少しの怒りが見え隠れしている。

確かにトワの言う通りである。

お母様、マリアンの死に関して、私には直接関わりがない。例え僕が十全の状態だったところで恐らくマリアンヌの死は避けられる物ではなかったに違いない。

だから例え誰かが僕を罵倒してもそれは間違いだとはっきり言える。

その事がトワには分かっているのだろう。

僕が後ろ向な考えをしている事に対して、トワ怒りを抱いているのが理解できる。

 

「ねぇ、春はきちんと泣けている?」

 

ふと、トワから質問を受ける。それは()しくもお母様が最後に残した手紙の質問と同じ類の物であった。

この質問の答えは自身の中でもう答えが出ている。

 

「いいや、まだ泣いていない。それにまだ泣くわけにはいかない」

 

「ふーん、それは何で?」

 

「それは・・・・・今泣いてしまうともう二度と立ち上がれなくなると思ったから」

 

それから僕は何故そう思ったかをトワに話した。

きっと誰かに聞いてほしかったんだろう。

 

「今、僕の生きている時代は戦争の真っただ中だ。誰も彼もが傷つき、涙している。そこで僕は二種類の悪魔がいることに気づいた。唯涙を流して崩れ悲しむ負け犬、そして涙を希望へ変えて懸命に戦い続けるまさに英雄と呼ばれる存在。僕は一体どっちに位置しているトワは思う?」

 

トワが渋い顔をし答えようとしない。

こんな顔を見るのは初めての事だな。

そんな場違いな感想を僕は抱いた。

 

「僕は自身の事を前者だと思っているよ。だから泣かない」

 

「そっか。それは悲しい事だと思うけど。それが春の決断ならそれを尊重するわ」

 

「心配かけて、ごめっ―」

 

謝ろうとしたら、トワが僕の唇に人差し指を押し当てた。

そのことで僕の頬は薄っすらと赤く染まっていることだろう。

 

「春、こういう時は、ごめんなさいじゃなくて、有難うの方が私は嬉しいな」

 

神様も中々べたな事を言う。

僕だったらそんな言葉、恥ずかしくて言えない。でも、僕もトワの考えに賛成だ。やっぱり、謝られるより感謝される方が嬉しいに決まっている。

だから僕はトワに感謝の言葉を言う。

 

「それもそうか。心配してくれてありがとう」

 

「どういたしまして」

 

さっきと打って変わってニパッと笑顔を見せてくる。その笑顔につられて僕も笑ってしまう。

これが現実の世界ではないのは分かっているが、それでも久々に笑った気がする。

心の底から笑う事が出来たのはいつ以来か。現実の世界ではやはりどこか無理をして笑っていた気がする。

 

「うん、いい笑顔」

 

「ッ!!」

 

トワに指摘されて恥ずかしさを覚える。やはり自分の笑っている顔を見られるのは恥ずかしい。それがトワみたいな美少女に、いい笑顔、などと言われたら照れても仕方がないという物だ。

 

「今はその笑顔を見れただけでもいいか。でもね、いつか春が泣いてもいいと思う事が出来たのならば思いっきり泣いてね」

 

「男の僕に向かって泣いてね、って可笑しくないか」

 

「そうかもね。でも春だけは特別。だって見た目が全然男っぽくないんだもん」

 

そう言ったトワに少しムッとしたが、事実僕の今の容姿は男とは見ることが出来ない。だから僕はトワの事を怒ることができないでいる。

 

「さてと、春も元気が出たことだし少しだけ真剣な話をしようか」

 

「なんだ、慰めに来ただけじゃないんだ」

 

「まぁーそれも理由の一つだけど、これからが本命だよ」

 

トワ自ら僕に会いに来るなんて、それだけ今回の要件は重要という事が理解できる。

だが、それだけ重要な内容だというのに、僕はその内容を全く予想出来ていない。

だから当の本人に聞いてみるとしよう。

 

「それで他にどんな用があるんだ」

 

「それわね、春の特典についてだよ」

 

特典・・・・それは転生特典の事を指しているのだろう。

その事についてならば、今更どんな事を言うつもりなのだろか。

貰った特典の内容は、この膨大な魔力だと僕は認識している。

なぜならば、僕が所持している魔力量は他の悪魔と比較して群を抜いているからだ。まぁ、その膨大な魔力も使い切ることが出来ないから、今は唯の飾りとなっているのだけれども。

 

「何か勘違いしているようだけれども、春に与えたのは魔力なんかじゃないよ。そんなつまらない物を与えるわけないじゃない。それはあなたの母親から受け継いだ物だよ」

 

「は?」

 

今まで魔力が特典だと考えていたがトワの言い分により違う事があっさりと判明してしまった。

だか、それならば一体僕が貰った特典とは何なのだろうか。

 

「何で今それを僕に教えてくれるんだ。もっと早く教えてくれてもよかったんじゃないか」

 

トワが意味のない物を与える筈がない。きっとそれは役に立つ物である筈だ。

そうしたら、マリアンヌを助けることが出来たかもしれなのだ。

僕の中で悔しさが憤る。

 

「春、私はね、この力は自分自身のためだけに使ってほしいの。そうじゃないとあっという間にあなたの感情が擦り切れてまう。そういう代物をあなたに与えたの」

 

感情が擦り切れてしまうか・・・・・・。

なるほどだからこのタイミングなのか。

戦争で傷つき、マリアンヌを失った事により、以前よりも僕の心はかなり強くなったと言ってもいいだろう。

今の僕にならその力を使っても大丈夫なほどには成長したのだろう。

 

「今の春は及第点だけれども、一応は使ってもいい程には強くなった。それに次戦う相手はドラゴンときた。だからあなたが生き残るために力の事を教えるね」

 

そうだ。この戦争で生き残るためには今のままでは駄目だ。新しい力がいる。グレイフィアのためにも、まだ僕は死ぬ事だけは許されない。

だったら、少しの危険性は無視してでもその力を使用し続けよう。

 

「それで、僕に与えた力とは一体何なんだ」

 

 

 

 

 

「私があなたに与えた力の正体は―――」

 

 

 

 

 

 




久しぶりの投稿ですね。
いや~主人公のキャラがブレブレですな(汗)
一体どうしたらいいのやら

まぁ、こんな小説ですが読んでくれると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。

感想、評価などお待ちしております。

ああ、誤字脱字が怖い。
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