ハイスクールD×D 黄昏で君ともう一度 更新停止 作:〇〇〇もげろ
なかなか文をまとめる事が出来ずにズルズルと引っ張っている感じですね。
次こそは、次こそは主人公視点になるように努力します。
こんな小説ですがよろしくお願いします(´・ω・`)
静かだ。何も聞こえない。俺は死んだのか。
まだだ。体中の痛みが、俺がまだ死んでいないと明確に教えてくれる。だが、それもあと少しと言ったところだろう。痛みが徐々に消えていく。もう一歩も動けない。
周囲の情報を読み取ろうとし、重い瞼を押し上げるが、見えない。
真っ暗だ。光さえ映さない。漆黒の闇に俺は包まれている。
先ほどドライグが放った炎。あれが発する光を俺は直接見てしまった。恐らくその影響で一時的に失明になってしまったのだろう。
だが、それで善かったのかもしれない。今の戦線は先ほどの攻撃により壊滅してもおかしくない程のダメージを受けているだろう。
悪魔、堕天使、天使、皆仲良く丸焦げ、もしくは今なお燃え続けている者がいるかもしれない。
俺はその様な光景など見たくはない。だがその様な事を言っている余裕など俺には皆無であった。
ここで俺は謎に直面した。冥界の全てを軽々しく燃やし尽くすような炎をくらった、と言うのに何故俺は生きているんだ。俺とアスモデウスのダメージは何処を取っても重症な筈だ。それなのに、俺は今なお生きている。
一体どういう事なんだ。
謎が広がっているが、それよりも恐怖よりも知的好奇心が上回った俺は見えない視界で目を凝らしながら現状を確認しようとする。
そうすると、徐々にだが、視界が晴れてきた。だが、視界が晴れたというのに辺りには何も見る事がかなわない。
何も無い。そう、辺りには何も存在しない。見える範囲全てが砂漠の様に砂で覆われている。
いや、訂正しよう。無意識に視界の端っこへ追い込み、見ないようにしていただけだ。
そこには赤と白の巨体を惜しげもなく見せびらかせているドライグとアルビオンが悠然と鎮座していた。
皆、生きた痕跡すら残らずに燃え尽きてしまった。まるで無価値と言わんばかりに消し去られてしまった。
何もかも失った。俺の掌には何もなく、空虚になってしまった。これらが俺の結末とでも言うつもりか。確かに俺にはお似合いなのかもしれない。
今まで、奪って、奪って、奪い続けた。他人を殺すことに奇異など抱くことなど一度もなく、同族を殺しても何も思わなかった。何時も自分を優先し、他人を蹴落とす事ばかり。自分よりも優秀な者には嫉妬と恐れを抱き自身から遠ざけ、自分よりも劣っている者には高圧的に接し見下していた。
今、思えば俺の息子の一人であるソフィアにまで、嫉妬と恐れを俺は抱いていたのかもしれない。だから、突き放していた。
嗚呼、なんて小さい男なのだろうか。
このような結末に至ったのは必然だったのだろうな。
つい数分前までの意志など跡形もなく、この広がる砂漠と同じ様に心の中が更地へと変わってしまった。
眠い。思考が停止しそうになる。だが、それを拒む力などもう何処にもない。
このまま眠ってしまってもいいではないか。俺は十分に頑張った筈だ。それに正直に言ってもう疲れた。これ以上はもう駄目だ、駄目なんだ。
「諦めてしまうのですか。まだ私達は生き残っているのですよ」
聞き覚えのある凛とし優しい声色が耳に届く。
そうだな、そうだったな。俺がまだ生きているのだ、お前が生き残れないはずがない。
―――なぁ、マリアンヌ―――
「ええ、だってあなたより、私の方が断然強いもの」
膨大な魔力が
―――広域連続転移魔法―――
恐らくだが、マリアンヌが使用した魔法であろう。
効果は文字通り、広範囲の転移魔法である。だが、それだけでは、唯の広範囲な転移魔法である。
こんな状態で、その様な単純な転移魔法を使用しては必要のない物すら転移させてしまい無駄に魔力を消費するだけだ。
だから、マリアンヌは選別をした。
「ふぅ、何とか切り抜ける事ができましたね」
「ええ、そのようですね。これもあなたのお陰ですよ」
マリアンヌが金髪で長髪な優男を支えながら、俺の元まで歩いてくる。
背中に純白の翼が付いていることから、その優男が天使だという事が分かる。そんな男が俺の妻であるマリアンヌに支えられている事が気に食わない。
マリアンヌもマリアンヌだ。悪魔にとって天使は最大の天敵であり、倒すべき相手である。それなのに何故助けるのだ。
俺はマリアンヌと天使の男を睨み付けている。
そんな瀕死である俺のその様な格好が滑稽なのかマリアンヌは含み笑いをする。
「はいはい、ダルク、そんなに睨まないの。あなたの思っている事なんて全てお見通しですよ。嫉妬ですか・・・まだまだ子供ですね」
「大丈夫ですよ。私に寝取り属性なんてないですから」
「ぐっ、・・・・ぅ・・・・」
二人に文句を言おうとしたが、喉が潰れているのか声を出すことすら出来ない。だが、先ほどまでの後ろ暗い感情は消えていた。これで気分よく死ねるというものだ。そう自覚し始めてから、ますますこの世とあの世との境界線が希薄になっていった。
俺の変わりはマリアンヌが務めてくれる。だから、大丈夫だろ。俺の出番はここまでだ。
嗚呼、でも、悔いは少しあるな。
勝ちたかったなぁ。天使、堕天使よりも悪魔こそが至高の存在であるのだと、証明してやりたかった。
疲れ切った俺は自分の意志で瞼を下す。もう開ける事は二度となく、また開く必要もない。
闇に包まれる。だがそれは嫌悪するものではく、何故か暖かく心地の良いものだ。誰かに抱き抱えられている様な安心感を抱かずにはいられない。
こう言った物は一体何て言ったんだろうか。もう思い出すことが出来ない。
だが、これは大人になったら自然と忘れていく物だという事は理解できる。それなのに最後に感じられたことは行幸だと言っても過言ではないだろう。
その安らぎの中で俺は消える。
これが死という物なのか。こんなにも安心できるのであれば死と言うものも存外に悪い物ではないのかもしれない。
―――いいえ、ダルクはまだ死ません。私が大人しくそんな事を認ませんよ。だから―――
意識を失う瀬戸際に慈愛に満ちた声が聞こえたが、最後まで聞くことが出来なかった。最後に何て言ったのか少し気になったが、今の俺はこの睡魔に勝てるわけもなく闇に包まれた。
こうして、俺は死んだ。
そう、死んだ筈だったんだがな。
気持ち悪い寝汗と供に意識を覚醒へと導いていく。寝巻が汗を吸収して気持ち悪い。
取り合えずまずはシャワーを浴びるか。十全とは言えないが、それでもかなり快調へと近づきつつある体を動かして浴室までのそのそと移動をする。
浴室の中にある魔石に己の魔力を注ぎ込む。そうすると、あらかじめ記憶されていた事象が起き始めた。暖かくも優しい光は魔石から発せられ、浴室の全体を照らしだす。
それを確認した俺は、汗を吸った寝巻を乱雑に脱ぎ捨て放置し、シャワーの蛇口を捻り温水をだす。
適温よりも熱い水がシャワーから流れてくる。ピリピリとした痛みが体を襲う。その痛みが気持ちいい。覚醒していくのが分かる。体中の血管という血管に新鮮な血液が巡りに巡って不純な血液を交換していく。
だが、そんな状態でも気分は決して優れることはない。
「くそが!!!」
浴室の壁を右手で殴った。ジンジンと拳に痛みが走る。それが、俺がまだ生きているのだと教えてくる。
「俺はあの時死んでもよかった。未練なんてなかったんだよ。それなのに何故こうしてオメオメと生き恥を曝しているんだ」
獣の様な叫びが浴室に響き渡る。その内容は俺が目を覚ましてから、吐き出せずにいた物だ。部下などの前では決して吐き出すことが出来なく蓄えに蓄えてしまった物である。
それが土砂崩れの様に容赦なく流れ出てくる。自分でも止める事など出来る筈がない。
「そしてこれだけは言わせてもらう。マリアンヌ、お前は馬鹿だ」
何故俺が生きているのか、その理由の核心に触れていく。こんな事実を認めろと言うのか。
マリアンヌのある選択が間違いだったのだと罵る。
まだ俺はマリアンヌ選択に納得などしていない。
「なぜ俺よりも強いお前が、俺を生かすために自分を犠牲にしたんだ。それに、ソフィアを頼む、だと??ふざけるのもいい加減にしろ!!」
この世は弱肉強食なはずだ。俺は常にそれを言い続け身に感じていた。それなのに今回の場合はその真逆の結果が起きた。その事態に俺はどの様に対応していいのか分からない。
マリアンヌが行った事は単純だ。
俺に自信が持ちうる全ての魔力を譲渡しただけだ。だが、勿論の事マリアンヌの魔力全てを一遍に注ぐことなどすれば、俺の魔力が流れる管とタンクが損傷してしまう。だから彼女はその繊細な魔力操作で俺の体に負荷が掛からないように多すぎず少なすぎずの量で注ぎ、俺の治癒力を一気に高めた。
本当はここで素直に感謝するところなのだが、俺は出来そうにない。
何故なら、この時すでにマリアンヌも限界を突破していたからに違いないからだ。
それもそうだ。生きている者を選別しそれらを強制的に連続して転移する魔法を使用していたのだ。その緻密で綿密な魔法は一体どれだけの魔力を消費するのか想像に難しくはない。
その消費しきった状態で俺に魔力を供給したのだ、いくらマリアンヌのキャパシティーが高かろうが限界など超えてしまう。
だから、彼女が死ぬ運命はこの時すでに逃れられない程に近くにあったのかもしれない。
そして、死ぬ状況であるにも関わらずにソフィアを頼む、などと
この時、俺はソフィアに嫉妬した。
結局最後までマリアンヌは夫である俺よりも、息子であるソフィアを中心に考え大切にしていた。
これが嫉妬せずにいられようか。ああ無理だ。
俺にソフィアが生き残る礎になれと、マリアンヌは考えていたのだろう。だから、俺はマリアンヌの行為とソフィアという存在を決して認めない。俺の物語はソフィアが中心に回っているのではなく俺が主人公だ。俺は俺だけの為に生きる。
「だからソフィア、お前は目障りだ。この戦場で消えてもらう」
シャワーから流れる水が発した言葉を掻き消していく。
今、俺の表情はきっと他人には見せられない程に歪んでいるのだろう。それはこれから来る未来の事を見据えての愉悦か、それともマリアンヌを失った喪失感から来ている悲哀から生じた物か分からなかった。
「ダルク、失礼しますよ」
シャワーを浴び終わって自室で寛いでいると本妻であるリリスが訪ねてきた。
リリスはリゼヴィムの母親である。彼女は戦争に参加せずに待機していた筈だが、何故こんなところまで出張ってきている。
もし、戦争に参加つもりなら、はっきり言って力不足である。リリスは戦闘向きではなく、その容姿で魔王の妻にまで上りつめた。マリアンヌは美しきも儚いイメージだがリリスのそれは確かに美しいのだが、その中に妖艶さが存在している。
そんなリリスを戦場に立たすわけにはいかない。
「戦争の件ならば聞く耳持たないぞ」
「いいえ、私如きが参戦しても意味がないことなど理解しています」
「では、何のためにこんな戦場にまで赴いた」
ここは後方とはいえ、一応戦場であるには違いない。それなのにリリスはこんな所まで出張って来た。それがどういった思惑なのか俺には分からなかった。
だが、どうやら戦争に参戦する気はないと言っているので一安心だ。マリアンヌが参加するときは特に何も思わなかったのに、リリスにはここまで過剰に心配をする。
何と薄情な男だ、俺は。なるほど、マリアンヌは俺のこういった所を見抜いていたのかもな。自身よりも優れていたマリアンヌには忌避を抱き、自身より劣っているリリスには優越感を抱く。どちらも等しく愛すことが出来ない。だからマリアンヌは俺よりも息子であるソフィアを選んだということか。
そう思う事によりマリアンヌの行いに納得した。
この考えが合っていようが間違っていようが、もう関係ない。なぜなら、もう既にマリアンヌは死んでしまったからだ。死人に口無しとは、この事であろう。
「私はダルクにこれからの予定を伝えに来ました」
「それで何故、お前が来るんだ」
「それは・・・・・・」
リリスの表情が曇る。それで俺は察した。
どうやらマリアンヌを失った俺に気を利かせた、といったところか。いらない心配を。
俺はマリアンヌが死んだというのに今はそれほど喪失感がない。俺にはまだリリスがいる。だからまだ大丈夫な筈だ。
「まぁ別にいい。それよりも報告をお願いする」
「分かりました。三日後の正午に悪魔、天使、堕天使の代表を集めて会談を開く、との事です。いかがしますか」
予想出来なくはない展開になってきたな。
今、危機に直面しているのは何も悪魔だけではない。確かに戦場は冥界ではあるが、天使も堕天使もドライグとアルビオンに敵として認識されてしまった。これにより奴らは共通の敵へとなった。
だから、今回の会談の目的は悪魔、天使、堕天使の三勢力の一時的に協力関係を築く事だろう。
その時、俺は妙案を思いついた。これは利用できる。
そう考えた俺はその会談に参加することを決断した。
「ああ、勿論参加させてもらう」
本当に楽しみだな。
ソフィア、お前がどのような結末を迎えるのかが手に取るように分かるぞ。貴様に残された道は死以外に存在しない。
もし、もしもその運命から逃れる事が出来たのであれば、俺が引導を渡してやる。
再び顔が歪む。それは明らかに邪悪な物であったに違いない。それをリリスに隠すこともせずに曝す。
だが、そんな事は気にしない。それだけこの時の俺は楽しくて仕方がなかった。
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