ハイスクールD×D 黄昏で君ともう一度 更新停止 作:〇〇〇もげろ
文字うつの遅いから時間がかかって仕方がないでごわす。
あぁ~、誤字脱字が恐ろしい(ーー;)
ところで唐突ですが、聖書の神であるヤハウェの性別ってどっちですかね?もしかしてどっちもとか
私の中では男なんですが・・・・・・
そもそも神に性別なんてあるのでしょうか
まぁ、どっちでもいいか。
それでは本編どうぞ
「はぁはぁ―――よし、これで大丈夫でしょう」
息を荒げながらマリアンヌはダルクの体から離れていく。ダルクにかなりの魔力を注いだのだろう。そのお陰かダルクの顔色は土色だったが、今は少し赤みを帯びている。それでもかなり危険な状況に瀕しているのは、依然と変わらない。血液が絶対的に足りないのである。マリアンヌが施したのは自然治癒力を底上げしただけである。これでは流石に失った血液を今すぐ復元することは出来ない。だが、それでもダルクをここまでの状態まで回復させた事は偉業と言っても可笑しくはないだろう。今ここにいる彼女を抜いた者では誰も成し遂げる事が出来なかった奇跡である。
だが、その奇跡を起こすために払った代償は決して軽い物ではなかった。恐らくだが一番戦闘能力が高いであろうマリアンヌの魔力が枯渇しているのである。これは、もう誰にも目の前に佇んでいるドラゴン達にダメージを与える事が出来ないことに繋がってしまう。
「ほぉら、何辛気臭い顔をしているんですか、ミカエル。まだまだ私は戦えますよ」
マリアンヌが気丈に悪魔特有の蝙蝠の羽を広げる。辛い筈だ。その証拠に彼女の唇や顔色が真っ青だ。
典型的な魔力欠乏症である。
恐らくだがマリアンヌの視界は今グチャグチャに歪んでいるに違いない。そんな状態なのに彼女は立ち続け、膝を地面につかない。
その姿に思わず敵対している悪魔な筈なのに憧憬を抱かずにいられない。彼女の様にどんな敵にも状況にも決して膝をつかない。つく時は、本当に絶望したときだけ。
嗚呼、彼女は悪魔なのにその生き方はあまりに尊く、眩しすぎる。
こんな物を魅せられては彼女を敵と見なす事など到底出来そうにない。それどころか跪きたくなるほどだ。マリアンヌこそが、この冥界で一番尊く偉大な存在かもしれない。
だが、そんな彼女でもこの瞬間に消え去りそうな陽炎の様である。
私はこの偉大な存在が消えてしまうなど、認めるわけにはいかない。ならば如何するべきか。そんな意味のない質疑を己に課す。初めから決まっている。
今は今だけは敵である彼女を支える事を許したまえ、聖書の神よ。
「そうですね。私もまだ戦えますよ。だてに四大熾天使の一人ではありませんよ」
「ああ、まだ戦える。ここまでされて大人しくしているなんてできる筈がない」
「それでは、これから如何するべきか考えましょう。ドラゴン達は向こうでお互いに争っているようですし。まぁ、それでもこちらに気づくのは時間の問題と思いますけど」
マリアンヌの言う通りである。
マリアンヌと私を合わせ今ここに集結しているのはどれも強者である。
まず悪魔側の生き残りは、魔王の座に就いているベルゼブブ、レヴィアタン、そして彼らを優に超越した実力を有していると思われるが消耗しきっているマリアンヌ。そして辛うじて生きているルシファー。
天使側は、私、そしてガブリエル。ここには聖書の神であるヤハウェはいない。彼は今本陣で天使たちに指示を出す指揮官としての役割を果たしている。今回はその役を担ってもらって正解だったと言えよう。いくらヤハウェが強いからと言って最強種であるドラゴンの中でも最強をほこる眼前の二頭のドラゴンを相手取るのは些か以上に不安がある。ヤハウェに今敗れ去ってもらっては、天使側は負けたと同然である。
その恐れを回避できている今の現状は最悪であるが絶望ではない。
最後に堕天使側は恐らくだが上級堕天使が二人。堕天使側はこの対決には過剰な戦力を投下せずにいたおかげか、三大勢力の中では一番軽傷で済んだ。
状況を確認し、今持ちうる戦力では到底勝ち目などない。だが、ここを突破しヤハウェに事の顛末を報告しなくてはいけない。
さて、どうしたものか。悪魔、堕天使を誘導し囮とするか、それとも協力し共にドラゴンに挑むか。生き残る可能性が高いのは勿論前者だが、それは天使である私には到底許容出来るはずもない。だが、後者を選んだとしても確実に未来はない。
簡単な選択なはずだが、その選択が私にはできない。私以外にも同じことを考えている者がいるが、それを口にしようとはしない。
なぜならばそれを言ってしまうと確実に言った本人が囮に抜擢されてしまう。それは絶対に避けたいのであろう。
時間が無駄に過ぎていく。私達にはこんな状況でダンマリを決め込んでいる時間など決してありはしない。
だが、誰も話さない。
他に案が思いつかないのであろう、そう彼女以外は。
「皆さん、どうするのが、一番効率が良いかは理解していますね」
マリアンヌの問いをここにいる全員が頷く。
「ですが、私はそんな作戦を認めません」
マリアンヌのあっけからんとした態度に私達は眉をひそめる。
この最悪な状況でも彼女はまるでいつも通りかの如く振る舞う。緊張感が感じられない。
その事に私は戦慄する。マリアンヌは今の状況を当たり前の如く受け入れている。拒絶や逃避などは一切なく、唯々許諾している。
その異常さが私たちの胸をかき乱す。
「認めないって、それじゃあ代替案があると言うの?今の状況で犠牲なしで生還する。なんて甘い考えを持っているのなら私は怒るわよ」
レヴィアタンがマリアンヌを睨み付ける。その殺気が込められているであろう視線をマリアンヌはもろともせずに微笑んだ。
「勿論この状況でそんな甘い考えを持ち合わせていないわ。死人は出るかもしれないし、怪我人だけで済むかもしれない。そんな仮定を推測しても意味がないわ」
「そこまでは分かっているのであるのなら、どうして否定するのよ。これが一番確実に誰かは助かる。全滅するよりかは絶対にましなはず」
現状ではレヴィアタンの意見は私たちの意見と一致している。
一番足手まといを餌にし、ドラゴンの注意を惹き、その間に戦線を離脱する。
確実に犠牲者を出すであろう、この作戦にマリアンヌは反対意見を抱いている。彼女も理解しているはずなのだ、犠牲なしでこの現状を打破など出来ない事を。
「はぁ、確かに全滅はしないでしょうね。そもそも私は囮作戦の事には反対していない。唯、誰を囮にするか、について反対していの。どうせ皆この中で一番強い私を生かそうと考えている者ばかり。その考えが間違っているわ。強いからこそ私が殿をしなくてはいけない」
マリアンヌは私たちの予想とは斜め上の考えを抱いていた。
私達の考えでは強い者を残し少しでも戦力の低下を防がなくてはならず、一番影響が少ないと思われる者を切り捨て、戦線を離脱する。この状況で犠牲になるのは堕天使の二名が当てはまる。
だが、マリアンヌは私たちの考えに、真向から反発する意見を述べた。だが、それを容易く通す訳にはいかない。
確かに今のマリアンヌの状態は最悪に近いものかもしれないが、それは時間があれば解決する問題だ。ここでこれほどまでの戦闘能力を失うのは今後の対策に影響を及ぼすに違いない。
だから、私はマリアンヌの意見に彼女と同様に反対の意見を挙げる。
「マリアンヌ、分かっているはずです。あなたの命はここにいる誰よりの重みがあることが」
「ええ、そうね。私はこの戦場で誰よりも強い自身があるわ。たとえそれが、あのドラゴンが相手でも揺らぎはしないと思う」
「そこまで分かっているのなら、あなたはこんな所で死ぬべきではない」
マリアンヌさえ生き延びることが出来たのであれば、また何度でも立て直すことが出来るはずだ。彼女は今希望の光なのだ。悪魔なのに希望の光というのは些か以上に不似合だが、そう表現するのが一番しっくりくる。
本人も理解しているからか、苦い顔を浮かべている。
「分かっているわ、そんなこと。頭では理解している。でも心が納得いかないの。どうしてそこまで私に期待をするの?どうして・・・・・・・いえ、これでは唯の我儘ですね。分かりました、あなた方の案で行きましょうか」
今、ほんの少しだけマリアンヌ本音が出てきたように感じた。
だが、今はそんなことを気にしている暇はない。
「皆さん分かっていると思いますが、念のために確認します。私たちがここから撤退するためには囮役がどうしても必要です。その囮役を堕天使の二人にお願いしたい。よろしいですか?」
堕天使は両方とも表情に影を落とし、体を振るわせる。それも仕方がないことだ。なぜならば実質、死ね、と命令したと同じ事である。
死が直前に迫っているのに平然となんていられるはずがない。だが、それでも彼らにはこの役割をやって貰わなくてはならない。
「よろしいですね?」
こちらの質疑に答えようとしない堕天使たちに圧を放って、もう一度確認する。拒否権などないことを相手に意識させる。私がしているのは、お願いではなく命令だ。生き残るためとはいえ、天使である私がこの様な事を強いるのは心が痛む。
彼らの恐怖に歪んだ顔を見ているとより一層に罪悪感を抱いてしまう。
「・・・・・・・分かりました」
「それでは戦線から離脱を開始します。最短距離で離脱するためにもしマリアンヌ以外の誰かが遅れたとしても見捨てます」
誰も私の意見に異議を唱えない。だが、決して不満を抱えていなかったわけではない。表には出さないだけで、その心情は最悪のはずだ。それは私も同じである。
ここにいる全員、生き残るためにその思いの丈を飲み干す。
「それでは行きます」
ゼロ距離からの超加速。砂埃が舞う。
私たちは前に、そして囮役である堕天使はドライグとアルビオンの元へ。
眼前の景色が目まぐるしく変化する。だが、どの景色も砂漠ばかりである。ドライグの放った炎によって何もかも灰燼と化している。
この光景を作り出した相手に戦慄を覚えると同時に不安が広がる。
堕天使たちは一体どれだけの時間を稼ぐことが出来るのだろうか。数十分、数分、もしかしたらほんの一瞬で息絶えているかもしれない。もし、ほんの短い時間しか稼げないというのであれば、それは犬死以外の他ならない。そしてそれを強いたのは私である。
嗚呼、一体こんな短時間で私は一体どれだけの罪を抱えてしまったのであろうか。
罪が私の体を重くしていく。だが、そんな事実を今は誤魔化してでも前に進み続ける。
「このスピードを維持したまま行きます。ベルゼブブ、いけますか」
この中で一番負担がかかっているベルゼブブに声をかける。今ベルゼブブはルシファーを背負って集団に付いてきている。
「ええ。僕はこの中で一番軽傷でしたし、これぐらいならまだ余裕ですよ」
軽傷?余裕?そんなはずはない。ここまで連戦に次ぐ連戦なのだ。きつくないはずがない。
もしもの時はルシファーを捨てさせる事を考えなくてはいけない。
「いや、少し遅かったですかね」
背後から圧倒的な熱量を感じる。振り返ることすらせずに、その正体に気づいてしまう。
火球だ。それもかなり巨大な。
その炎の塊が私達を焼き尽くそうと牙をむけた。
「ぐっ」
突然の方向変化が体を軋ませる。そこまでしないと到底避ける事など出来なかっただろう。
火球が地面に激突した瞬間に天まで届くような火柱と熱風が吹き荒れる。
轟音と熱風が私の視力と聴力を妨げる。
一瞬だけであるが状況が確認できない。その事実が私を焦らせる。状況を確認出来なければ、次の行動に移すことが出来ない。
熱風が収まると同時に急いで状況把握に乗り出す。
焼き払われた台地が更に焼き尽くされる。その跡は唯赤黒く抉られていた。
先ほどの広範囲の攻撃よりも威力と熱量は低いものの、当たってしまえば跡形も残らない事が分かる。
「皆さん大丈夫ですか」
反応が返ってこない。死んでいるのか、それとも喋ることが出来ない状態でないのかどちらかが分からない。
急いで逃げないといけないが出来ない。
「誰かいないのですか!!」
ドゴォォォォォンっ!!!!―――
「っ!!」
爆音が鳴り響く。それも一度ではなく何度も鳴り響く。
その音源のほうに視線を向けると、青白い光が紅いドラゴンの周囲を飛び回っているではないか。ドライグの様子から奴自身その速さに付いていけていない様に見える。無差別に炎を吐き出す事しか出来ていない。
その在り得ない光景に見入ってしまっていたが、今はそれどころではない。ドライグが此方に興味を示さないうちに生存者を確認しなくてはいけない。
「この魔力の残骸が漂っている空間での魔力探知は少し以上に骨が折れますね。でも、やらなくては」
魔力を辿っていく。あたり一面無作為に拡散している魔力から目的の魔力の波動を感じることは非常に難しいことだ。だがそれでもやり遂げなくてはならない。
自身の精神を深く、もっと深く沈めていく。使用されなかった魔力の残骸が嵐の海の様に荒れ狂う。
「くっ」
額から汗が伝い、閉じている瞳の中にまで入ってくる。ピリピリとした痛みが集中している私を妨げてくる。
ノイズが襲い掛かり頭痛と吐き気を催す。あまり長い間この嵐の中を彷徨うことは出来ないようだ。早く見つけ出さなくては。
「ミカエルっ!!危ない!!!」
「やはりそう動くか!!まとめて消え失せろぉぉぉぉぉぉ!!!」
いつの間にか私とマリアンヌが直線状になっていた。ドライグがこの好機を逃す筈がなくその口から炎を吐き出した。
回避は無理、マリアンヌが一直線上にいるが私を助けるには奴のブレスは広範囲過ぎて一人ではカバーしきれない。
嗚呼、これは積という奴ではないでしょうか。どうやっても抜け出すことが出来ない絶望。ここまでですか。
―――Protection―――
―――
「あなたはっ、何を、簡単に、諦めているんですかっ!!」
「―――ぷはっ。はぁはぁはぁ、見つけれてよかった」
「かなりキツイな。これ以上はさすがにもたない」
炎の侵入を拒むかのように光の魔方陣と漆黒の牢獄が眼前に現れる。それと同時に三人の影が私の前に立ち上がる。
純白の羽は煤汚れているが、それでもその美貌はまったく衰えることはなくガブリエルは魔方陣の防壁を張り巡らせる。
それとは目的は同じだが、真逆の印象を放つ牢獄を維持しているベルゼブブ。彼は肩にルシファーを担ぎながらこれを維持しているのだ、今の状況を維持するだけでもかなり厳しいはずだ。
それとベルゼブブと同等以上に限界を超えて膝を付いているのはレヴィアタン。彼女が私の魔力を辿ってここまで来た。あの魔力の嵐の中で正確に把握しての行動だ。私よりも魔力探知の才能は高いことが如実に表れている。だが、そんな彼女もまともに歩くことが出来ないほどまで消耗してしまっている。
さっきまでの状況を最悪と思っていた。だが今の状況はそれに輪をかけて最悪だ。
皆その事が分かっているのか、それぞれの表情に影が落ちている。そのため自ずと顔を下に向ける。
ここまで追い詰められた状況での生還はもはや不可能ではないのか。敵との戦力差は圧倒的にこちらが負けている。地理を利用して勝つ??そんな物を利用したところで無駄である。ドライグの一撃はいとも容易く地形を豹変させてしまう。そんな相手に地理を利用した小細工なんて通用するはずがない。
思考が悪循環に囚われる。どうやっても、何をやっても無意味。
体と心が絶望にどっぷり浸かりこみ、動く気力を根こそぎ奪っていく。
「こらっ!!あなた達。何勝手に諦めているのよ」
眼前に青白い雷撃が広がる。最初私はそれが何か認識することが出来なかったが、雷撃から唐突にこちらを責める様な声が聞こえてきた。
「本当に、何全員死んだような顔をしているの。もうちょっと位頑張ってみなさいよ。そんな様でも、一応はそれぞれ種族の看板を背負っているのですから」
傲岸不遜な言い分である。だが、その言い分にまったくといって言い程に返す言葉が思いつかない。
それだけその言い分は唯、唯正しかった。
「ふふふ、そうですね。諦めるのはまだ早いのかもしれませんね」
「ええ、そうですよ。私の息子ですら、もうちょっとは頑張るはずです」
青白い雷撃が霧散すると中から怪しく、美しく微笑んでいる女性が現れた。
まったく、このお方は。
天使である私ですら酔狂してしまいそうな光だ。
その光は天使である私ですら魅了され堕落させようとしている。まさしく魔性の悪魔と言えるだろう。
私が使えるお方は唯ひとり、聖書の神であるヤハウェだけである。だが今回だけは目を瞑っていてもらいたい。
「それで、マリアンヌはここを切り抜ける手段があるのですか」
マリアンヌの存在のおかげで、先ほどまで暗雲とした雰囲気は払拭出来たとはいえ、この状況を打開できる策がなければ後戻りし、先ほどまでと同じになってしまう。
「勿論ありますよ。とっても単純な事よ。あなた達全員で転移魔法を使用する。その間私がドライグの足止めを務める。どう?単純明快でしょ」
「確かに単純だが・・・・そもそも今のお前であれの足止めが務まるのか。いい加減限界じゃないのか」
さっきまで沈黙を貫いていたベルゼブブが唐突に会話に入り込んできた。
ベルゼブブの言い分は至極真っ当である。
マリアンヌはルシファーに自身の魔力を送り込んで余力などない状態で戦う事になるのだ。そんな状態で足止めなどという役割を押し付けても良いものなのか。
「それは皆同じですよ。皆、限界なんて超えている。そんな体に鞭を打ってここに立っている。それにこんな成りですが、この中では一番強いですから」
「そうか・・・・―――そこまで言うのであれば、僕からはこれ以上は何も言えないよ。だから頼りにしている」
ベルゼブブがマリアンヌを信頼したようにここにいる全員が、唯一人の女性に全幅の信頼を寄せる。
天使、悪魔の最上級の地位である者どもが一体となった瞬間が今この時訪れた。
この時、天使と悪魔という種族の垣根を越えて初めて同盟が築かれた。
まとめ切れなかったので二つに分ける事にしました。
次は戦闘パートになると思います。
勿論、ソフィアのではなくマリアンヌのですよ。
はぁ、早くソフィアには主人公してもらわなくては・・・・