ハイスクールD×D 黄昏で君ともう一度 更新停止   作:〇〇〇もげろ

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ep.4

私が錯乱している間に数日経過してしまった。その間の事はあまり覚えていなかったが、お母様から聞かされた話だと、その間私は情緒不安定で急に泣き出すは叫び出すなどの行為を繰り返していたそうだ。いやはや恥ずかしいばかりです。そんな私でも今は比較的に落ち着きを取り戻していると思う。今回の件で私に苦手な物が増えてしまった。その苦手な物というのは他人の魔力であり、自分が他人の魔法の影響下にいると手が震えだし吐き気を(もよお)してしまう。この事は今私を大変困らせている。なぜなら私には回復魔法などの才能がなく一向に使える兆しが見えなく、そんな私が今大怪我などしたら容易に他人から回復魔法などを掛けてもらうことが出来ないからである。

 

そんな私は今、お母様の監督の元で一向に出来ずに爆発のみ起こす回復魔法の訓練をしている。

訓練の内容は簡単で痛んでしまった魚を回復魔法によって鮮度を戻す地味な訓練となっている。お母様はこの訓練方法が一番適切だそうです。

 

「はぁはぁ・・はぁ・・・・もう一度お願いします」

 

幾度もの爆発のせいで頬は(すす)で汚れてしまったが気にしない。ただ愚直に何度も反復練習をこなす。

 

「んっ・・・あぁっ・・・ん」

 

やはり慣れない魔力操作は体に負担が掛かってしまい、声が出てしまう。

 

「・・・・・・・ねぇ、ソフィア。どうしてそんなに(なま)めかしそうな声が出てくるの?本当に男の子なの?」

 

「キャッ!やめてくださいお母様。今の私は汚れているので汚れが移ってしまいます」

 

お母様が急に私を抱きしめ頭を撫で始めた。

 

「ふふふ、本当に可愛いんだから。それにさらさらの髪・・・・・・シャンプーのいい匂いがする」

 

お母様は私の頭に顔を埋めてクンクンと匂いを嗅ぐ。少し恥ずかしいがお母様と密着(みっちゃく)していると、トクントクンと鼓動が聞こえてきて安心する。

 

「口では、やめてって言ってるのに全く抵抗しないのね、ソフィア」

 

お母様が腕の力を強めて密着することにより私の背中にあたっていた胸が更に強調された。私の心臓の音がトクントクンからドクンドクンと速く力強くなるのが分かる。

 

「ん・・・だって温かくて気持ちいいんだもん」

 

「そう、じゃあ休憩はここまでね。もう一度頑張ってみようか」

 

私は名残惜しいがお母様とのハグを中断し訓練に取り組み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコン―――

 

訓練のノルマが一通り終わり、ベランダで紅茶を飲んでいると、不意にドアの叩く音が聞こえてきた。

 

「失礼します。マリアンヌ様、ソフィア様、ダルク様がお呼びです。至急支度をして玉座までいらしてください」

 

ダルクの名前が耳に入った瞬間体が震えた。ダルクとは先の一件以来一度も顔を合わせていない。この時の私は怖くないと言ったら嘘になるけれども、恐怖よりも不安が頭の中によぎっている状態だった。繭の羽化という任務は完遂したが、あとの行動が悪かった。せっかく羽化した生物を殺そうとした、この事は明らかに処罰対象になる要因になるだろう。その事を理解している私はダルクとの接触は気が気ではなかった。

 

「分かりました。直ぐに支度をし、向かわせて貰います」

 

それから私はお母様の指示に従い身支度を進めていき、今では正装に身を包んでいる。このような服は体が締め付けられて苦手であるが、今回は公の場で魔王に謁見(えっけん)するので我慢することにしよう。

 

「ソフィアよく似合っていますよ」

 

「そうでしょうか。どうも私が着たら馬子にも衣装という感じだと思いますが」

 

普段からこのような豪華な服を着ていない私は着慣れないためが肩に力が入ってしまいかなりぎこちない姿になっていると思われる。

 

「そんなことないわ。何時のも少しだらしない姿は可愛いけど、今はとても凛々しくなって素敵ですよ」

 

面と向かって言われると流石に照れくさく恥ずかしい。

 

「ほら、そんなこと気にしないでこっちに来なさい、髪を()ってあげるから」

 

私は自分自身で髪を(むす)ぶことが出来なく、いつも必要最低限の手入れをして他に何もしないか、お母様に結ってもらっている。一度何もしないで放置しているとお母様に怒られたことがある。あの時は本当に困った。

『こんな綺麗な髪をしているのだから、きちんとオシャレしないと勿体ないじゃないの』って言われた。しかし私には前世を含めてオシャレという物に興味がなかったため、どうすればいいのか見当もつかなかったのを今でも覚えている。この頃からお母様は私におめかしするようになった。

 

「終わりましたよ。今日のソフィアも完璧で可愛いです。思わず抱きつきたくなるほどに」

 

「そ、そうですか・・・・もう既に抱きついていますよ、お母様」

 

お母様は私の髪を結ってから抱きついてきている。

 

「それに私はこんな容姿をしていても男なのです。だからあまり可愛いなどと言われても困ります」

 

そう、私は男なのだ、男なのだよ。ここ重要なことだよ。もし私が女だったとして、私が男と絡み合う小説なんて読みたくないだろう?

だから私は男なのだ。

 

「そんな小さな事を気になくてもいいよ。それよりもソフィア、緊張はなくなったかな」

 

「そんな小さな事って・・・・・・まぁこの際そこは置いとくとします。そうですね、程よくなくなりました」

 

私がそう言うと、それはよかった、と言って離れていきました。

 

「それではソフィア、支度が終わったので行きましょうか」

 

「はい、わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城の中でも一番大きな玉座がある部屋に訪れると呆気にとられてしまった。見渡す限り悪魔、悪魔、悪魔なのである。それもどの悪魔も上級悪魔であり最低でも中級悪魔たちが集まっている。その光景は圧巻である。そんな景色に恐縮しながら私はお母様の後ろに付いて行き、玉座から一番近い所に片膝を立てて座した。

 

「うむ、(みな)(もの)今回我が徴集の命に応じてくれた事に感謝する。今回集まって貰ったのは他ではない、やっとのこと目的の物が手に入った。これで我々の計画は次に段階に移す事かできる」

 

その言葉を聞いた悪魔一同が騒ぎ始め、玉座の間は喧騒に包まれた。

 

「皆の者静まれ!ここは玉座の間であるぞ」

 

ルキフグス家の使用人がその行動は王の前では不敬であると感じ、その場の沈静化を図る。その際に中級悪魔を三人ほど自身の銀色の魔力弾で(ちり)すら残さずに吹き飛ばした。

玉座の間が静寂に包まれると同時に一人の上級悪魔が代表としてダルクに確認をとった。

 

「本当に例の物を手に入れたのですか」

 

「あぁ本当だ。お前達も感じただろう?あの膨大な魔力の波動を」

 

繭が羽化した瞬間、魔界に膨大な魔力の波動が流れたのだ、それに気付かなかった悪魔はいないだろう。

 

「それではあれが・・・・・」

 

「そうだ。こいつが私達が求めた化け物だ」

 

ダルクが言うと上空に魔力で作られたモニターが出現した。

誰もがモニターを直視し固唾をのんだ。

 

「皆の者こいつを見てどう思う。絶望か恐怖かそれとも歓喜か、私は今もなお歓喜しているぞ。何なんだこの化け物は、どれだけのポテンシャル有しているのだ、そればかりを俺は考えている。この様な熱情を歓喜していると言う以外何と言う」

 

 

 

 

相当に興奮しているようだ大勢の悪魔の前なのに一人称が俺に戻っている。しかしそんな事を気にしている場合ではないモニターを見てから体の震えが止まらない。どうやらもう大丈夫だと思っていたが、この恐怖心は相当深く心に根付いてしまっている。

 

「はぁはぁ・・・・うっ」

 

呼吸と心音が激しく雑になっていくのを感じる。不意に横から手を握られた。

 

「大丈夫、大丈夫よ、ソフィア。今あいつはあなたの近くにはいないわ」

 

「そう・・・で、すね。ありがとうございます、お母様」

 

まだ恐怖が心を占めているが体の震えはいつの間にか止まっていた。

 

「もう大丈夫そうだね。それじゃ大人しく聞いていましょうか」

 

この場では大人しくしておくのが良いので、己の恐怖心を抑え込んで待機することに意識を向けることにした。

 

 

 

「ところでダルク様、この化け物の名前をお付けになっているのですか。計画上名前を呼ぶことも多くなるのでいつまでたっても化け物と呼ぶのは不便になってくるのでないのですか」

 

この悪魔の言う通りである。名前がないという事は識別が出来なく計画にも支障をきたすだろう。

 

「勿論決めているとも。こいつの名前は『ヨルムンガンド』だ。こいつは龍のくせに空を飛ぶための翼がなく、まるで大蛇ではないか。だから俺は神をも殺す脅威をかつて持っていたヨルムンガンドから名前を拝借した。と言っても、こいつはまだまだ子供だから成長させなくてはならないがな」

 

ダルクの話姿はまるで自身の子供のように紹介する。

 

「子供でこれ程の(したた)かさですか。これなら何も恐るるに足りませんな」

 

「そうだろう、ヨルムンガンドに掛かれば聖書の神など恐るるに足りん。俺たち悪魔が頂点に立つ時が来たのだ」

 

それからも熱気は冷めずにヨルムンガンドの紹介は続いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてヨルムンガンドの紹介はこれ位にしておくとしよう」

 

唐突に終わらせたダルクを気になったのか一人の若手悪魔がダルクに質問した。

 

「ダルク様、ヨルムンガンドの件以外に何か要件があるのですか」

 

「勿論あるとも。今回の件であるヨルムンガンドを羽化してくれた者に報酬を与えなくてはならない」

 

あの私に全くと言っていい程に興味を持っていないダルクが私に報酬をやる、と言っている事に私は不信感を抱かずにはいられなかった。

 

「確かにそうですね。流石はダルク様です、心がお広い」

 

成程そういう事か、なに簡単なことだよ。私を出汁(だし)に使って若手悪魔の信頼をより強固な物にしてしまった。

筋書きはそうだなぁ・・・・今回の任務、俺自ら報酬をわたしてやる。どうだ光栄だろ、俺の懐は寛大であろう。そんな俺をお前たちは敬えよ。

まぁこんなところだろうか、しかし貰える物は貰っておこう。

 

「今回の報酬を与えるのは我が愚息のソフィアである。さあソフィアよこちらに来い」

 

「はい、分かりました」

 

重い足取りで玉座に続く階段を上る。大勢の悪魔から注目され口々に陰口を言われているような感覚に陥ってしまう。内心の動揺を悟らせないために鉄の仮面をかぶる。上手く出来ている自信がこれっぽっちも()いてこないままに、玉座と同じ高さまで上ってしまいダルクの前で膝を立てて座る。そうするとダルクはこちらに近づき、私の耳元でボソッと呟いた。

 

「ふっ無様だな。貴様が俺の前に(かしずく)く様はなかなか滑稽で清々しい」

 

この下種が。そう思うほどに怒りを抱くが、表に出さないように自信を(りっ)する。

 

「この程度の嫌味じゃ効果薄か、まぁ別にいいか」

 

ダルクに跪くことをここまで屈辱に思ったのは今回が初めてだろう。悔しさのあまりに拳を握り締めすぎて薄らと掌に血がにじむ。

 

「それでは今から報酬をわたそう。今回の件の報酬の内容はお前に専属の使用人を与えよう」

 

「使用人ですか」

 

今私はお母様の専属使用人にお母様のついでに面倒をみて貰っている状態なのだ。だから私専用の使用人はいないので今回の報酬は有難い。

 

「そうだ、使用人だ。今のお前の状態を見るにどうしても一人で生活は無理だろう。だから今回の件の報酬としてルキフグス家の使用人をお前にくれてやろう」

 

「ありがたき幸せでございます。謹んでお受け取りします」

 

感情の籠っていない形だけの言葉を発する。

 

「そうか・・・・・ではこちらに来い『グレイフィア・ルキフグス』よ」

 

「かしこまりました、ダルク様」

 

玉座の間に凛とした声が響く。

後ろを振り向くと私と同じ歳位の銀髪の少女が跪いていた。

 

「初めまして、私の名前はグレイフィア・ルキフグス。これからよろしくお願いします、ソフィア様」

 

 

―――今日私は運命と出会った。

 

 

 

 

 

 

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