ポケットモンスターXY 神に魅入られた悪使い 作:ヤマタノオロチ
今回はポケットモンスターXYの13話からです。今回はあの可愛いポケモンが登場します。あの子を始めて見た時はとても心が癒された。
しかしもっと早く書けるようになりたいけど、本当に時間がない。1日の書く時間がもっとあれば・・・(汗)
ショウヨウシティに向かっていたカイト達だったが、途中森の中で出会った朱色の髪を持つ女性にバトルを挑まれた。バトルと聞いてサトシがすぐに名乗り出る。
「目と目が合ったらポケモンバトル。それがトレーナーのルールよ」
「分かってます!俺はサトシ、こっちは相棒のピカチュウです!」
「ピッカチュウ!」
目と目が合ったらって・・・・いつの間にこの世界はゲームの世界になったのだ?俺が不思議に思っている間も話は進む。初めて聞くルールに驚くセレナにシノンとシトロンが苦笑しつつ説明した。このルールは好戦的なトレーナーに多くて、2人にとっては馴染みのないルールだ。
「私はプルミエ!出てらっしゃい、ニンフィア!」
「フィアア!」
出てきたポケモンは可愛らしい声とリボンの様な飾りから伸びる触角が揺れて、四足歩行であって優雅で水色の瞳が特徴のポケモンだった。この愛らしい姿を見て女子達は揃って頬を緩ませる。
「初めて見るポケモンだ!なんかエーフィに似てるな」
『ニンフィア。結び付きポケモン。イーブイの進化形。大好きなトレーナーにリボンの様な触角を巻き付けて一緒に歩く』
「やはりイーブイの進化形だったんだ」
「ちなみにニンフィアは“フェアリータイプ”のポケモンなんですよ」
「フェアリータイプ?」
「カロス地方で初めて発見されたタイプで、ポケモン学会によって新たにフェアリータイプに分類されるポケモンが多くいるのです。ちなみに私のサーナイトとユリーカちゃんのデデンネもフェアリータイプなんですよ」
「そうなのか。フェアリータイプ、面白いぜ」
ポケモン図鑑の説明に加え、シトロンとシノンの分かりやすい説明を聞いてサトシはすぐに理解し、改めてバトルに集中する。
「初めてのタイプ、初めてのポケモン、この勝負望むところだ!ケロマツ、君に決めた!」
「ケロケロ!」
ボールから出てきたケロマツとニンフィアを見てカイトはどちらも技も相性も五分五分であると判断する。そして互いにポケモンを出して視線を交じり合わせた事でこの場の空気が変わり、バトルが開始・・・ではなく、プルミエがサトシに向かって人差し指を1本立てて見せる。
「1つ約束」
「ん?何ですか?」
「私がこのバトルに勝ったら、付き合ってもらうわよ!」
「えっ?サトシと付き合う!?」
その言葉に激しく反応して驚き動揺する少女がいた。サトシに恋するセレナだ。手で口を隠して胸を押さえつつ何度も身体を左右に振る。それを見てシノンはセレナに落ち着くように言い聞かせてバトルを観戦した。
「いいですよ!でも俺達は負けません!行くぞケロマツ!泡で攻撃だ!」
「ニンフィア!妖精の風よ!」
勢いよく空高く飛び上がったケロマツは大量の『泡』を繰り出すが、ニンフィアの『妖精の風』により全て弾き返された上にケロマツ自身も背後にあった木の幹に背中から叩きつけられた。
「ケロマツ!立てるか!?」
「ケ、ケロ」
「ニンフィア!ムーンフォース!」
「フィアー!」
月のエネルギーを集めて球にしてケロマツ目掛けて放つ。サトシは冷静にケロマツに跳べと指示を出して回避させる。そして技が木の根元に当たった事で起きた衝撃で落ちてくる木の実を利用して攻撃する。いくつかの木の実を蹴ってニンフィアの方へ飛ばす。迫る木の実に対してニンフィアは触角を素早く動かして全て弾き飛ばすが、これは囮であった。攻撃を防いだ隙をついてケロマツはニンフィアの頭上から落下のスピードも加えた『水の波動』を打ち込んでダメージを与えた。
「よーし!一気にフィニッシュだ!」
「ケーロ!」
「ニンフィア!メロメロ!」
「フィー!フィ・・・」
ダメージを負いつつも体に付いた水を払ったニンフィアにプルミエが薄く笑いながら指示を出す。真っ直ぐ走って迫って来るケロマツにニンフィアは可愛い表情でウインクをする。するとニンフィアから出たハート模様がケロマツを取り囲み、吸い込まれる様に体に吸収されてケロマツの体が一瞬ピンク色になると・・・。
「ケロローー!!」
いつもクールな雰囲気を纏って真面目なケロマツとは程遠い、浮かれた高い声に目がハートになってニンフィアに釘付けになって骨抜き状態であった。完全に『メロメロ』の効果を受けてしまったようだ。サトシが必死に呼び掛けるが、これを受けてしまったら相手を倒すか交代しない限り効果が解かれることはない。プルミエが薄く笑ったのは『メロメロ』と言う切り札があったからか。
「今よ、ドレインキッス!」
「フィアー!」
駆け寄って近づいたニンフィアに頬をキスされるとケロマツは全身真っ赤に染まりつつ倒れる。『ドレインキッス』は相手の体力を奪う技で、それによりエネルギーを奪われたケロマツは倒れて戦闘不能になってしまったのだ。それと同時に『メロメロ』の効果も消えた。
「ケロマツ!大丈夫か!?」
「ピカ!」
「ケロ・・・」
「体力を奪われて戦闘不能になったんだ。もうバトルは続けられないな」
そう言ってカイトは鞄から木の実を取り出そうとするが、その前にニンフィアと歩み寄ったプルミエがオレンの実を投げ渡してきたため使わずに済んだ。サトシはお礼を言ってオレンの実をケロマツに食べさせる。その後プルミエがニッコリと笑みを深くしつつサトシに先程の件について言う。
「私の勝ちよ。約束通り、付き合ってもらうわ。あ、それと貴方達にも付いて来てもらうわ」
「俺達も?」
プルミエはサトシだけでなく、カイト達にも「付いて来て」と言う。どうしてなのかと考えるが、カイトが「とにかく付いて行ってみよう」と言って5人はそれに従ってプルミエの後に付いて行った。
それからカイト達が連れて来られた所は森を抜けた先にある幼稚園だった。
「ただいまー!」
「プルミエ先生!」
「お帰りなさい!」
園内の外で遊んでいた子供達はプルミエの姿を見ると一目散に集まって来た。どうやら彼女は此処の先生をやっているようだ。
「皆、良い子にしてた?」
「うん!仲良く遊んでたよ!」
「ねえねえ!今日はどんなポケモンを・・・あ!ピカチュウだ!」
「グラエナにキュウコンもいる!」
園児達はプルミエから離れてピカチュウとグラエナとキュウコンの周りに集まる。突然囲まれて驚いたピカチュウはサトシの体をよじ登って頭の後ろに隠れるが、グラエナとキュウコンはこれまでの経験から慣れていて平気な様子だ。さらに子供達はケロマツにも気づくが、ケロマツは囲まれる前に避難していた。
そしてプルミエと物腰が柔らかい初老の女性・園長先生から此処に連れて来られた理由が、園児達に見せる為のポケモンを探していた時に偶然カイト達に出会って連れてきたと教えてくれた。
「なるほど!」
「そんな事なら最初から言ってくれれば良かったのに。なあ、ピカチュウ?」
「ピカ!」
全員が納得している中、セレナだけは内心ホッとしていた。
「付き合うって、そういう意味だったんだ・・・」
普通に考えてみれば当たり前の事だが、サトシの事が大好きで堪らないセレナだから勘違いしてしまうのは仕方のない事である。
それからシトロンの提案により、折角だから全員の手持ちポケモンを全て出して子供達と遊ばせる事になった。そして空高く投げたモンスターボールから出て来たポケモン達を見て子供達は目を輝かせて興味津々に近づいて行った。
子供達の後ろから観察してみるとやはりグラエナを始めとするカッコイイポケモンには男の子から人気があり、キュウコンを始めとする可愛いポケモンには女の子から人気があった。特に一番人気があったのはゾロアで、可愛いだけでなく化ける能力と言葉を喋れる事もあって大人気だ。本人も子供たちと遊べて嬉しそうだった。
子供達は気に入ったポケモンの頭や尻尾などを触り、ポケモン達も子供達を傷つけないようにしながら相手をしてあげる。
その様子を見て笑っていた時カイトは何処からか視線を感じた。周りを見渡して園舎の柱にニット帽を被っている男の子を見つけた。サトシも気づいたらしく声を掛けようとするが、その前に男の子は慌てた感じで逃げてしまった。
「あの子は?」
「ランディよ。呼んできましょう!」
園長先生が呼びに向かった後、プルミエがカイトの隣にやって来てランディについて話す。
「本当はポケモン大好きなんだけど、ちょっと怖がりさんでね」
「そうですか・・・フム・・・」
あの子の様子を見て俺は過去に何かあったからポケモンが怖くなったんだと予想する。また、俺達以外にランディの事を見ていたポケモンが1体いた。そいつは静かにランディの元へ向かって行った。その頃、別の所でも問題が起きていた。ニンフィアとケロマツである。先程のバトルで『メロメロ』を受けた事にケロマツは不貞腐れて、ポケモンフーズを渡してくれるニンフィアの親切に対してそっぽを向く。
「そろそろ機嫌直せよ、ケロマツ」
「ケロォ」
「この様子ではまだまだ機嫌が悪そうだな」
サトシに慰められてもケロマツは不機嫌な表情のままだった。そこへ園長先生がランディを連れて戻って来た。
「ほら、ポケモンがいっぱいいるよ」
「う、うん・・・」
素直に頷くがランディは顔を俯いてニット帽を深く被ってポケモン達を見ている。あの様子から見てやはり怯えているな。サトシがケロマツを両手に抱えて「友達にならないか?」と優しく話しかけても怖がって断ってしまう。それを見てシノンが優しく笑い掛けながら理由を訊ねてみると以前、ハネッコに突然攻撃された事を教えてくれた。
「(それが原因でポケモンが怖くなったと言う訳か。だがハネッコは人懐っこいポケモンで、何の理由もなしに攻撃する筈がない・・・)」
カイトがそう考えている間にもサトシとシノンが、ポケモンが怖くない事を教えるがランディは全ての言葉を拒絶する。すると突然ランディの背後から鳴き声が聞こえた。
「ハーブ!」
「えっ?」
鳴き声を聞いたランディが恐る恐る後ろを向くとそこにはハブネークがいた。
ハブネークは優しい表情をしながらランディの体に自分の長い体を巻き付けようとする。
「うわあぁ!!」
それに驚いたランディは慌てて走り出し、目の前にいたサトシの後ろに隠れるが肩にいたピカチュウを見て離れて今度はカイトの後ろに隠れた。右側にグラエナがいたから左足に顔を埋める。
カイトは苦笑しつつ足に抱き付いているランディに謝りながら話しかけた。
「驚かせてごめんな。あのハブネークは俺のポケモンで、ランディみたいに1人で寂しくしている子を見るとすぐに近づいて友達になろうとする。自分と同じだと思って・・・」
「えっ・・・?」
顔を上げて見つめるランディの目線に合わせようとカイトはその場に座る。2人の話し合いを見てサトシ達も静かに見つめて聞く。
「ハブネークは俺がゲットするまでは、ずっと1人ぼっちだったんだ。他のポケモン達はハブネークの姿を見て怖がり、時には攻撃までした。また、人間からも見た目から凶暴なポケモンだと思われて近寄って来なかった。その為に今のランディみたいに誰も信じられなくなってしまった・・・」
「今は平気なの?」
「勿論だ。今は俺やグラエナ達と言う信じられる友達がいるからな」
話を聞いたランディはもう一度ハブネークを見つめる。ハブネークは優しい表情のままランディを見つめている。少し警戒心が薄いで、触ろうと恐る恐る手を伸ばそうとするが途中で止ってしまう。それを見てカイトはランディの頭を撫でながら言う。
「それじゃ、ランディ。ポケモンに必死に触れようと頑張る君に俺が勇気を与えよう」
「勇気を?」
不思議に思っているランディに俺はバックから笛を取り出す。その笛は手作り製だが、よく手入れされていてとても綺麗な楽器だった。カイトがそれを優しく吹いて演奏を始める。
~~♪~~♪~♪~
その演奏は優しい音色ながらまるで一歩前に進められそうな気持ちになる感じで、その場にいる全員がとても心地良い気分になった。演奏が終わって周りから拍手が上がり中、カイトがランディにもう一度触るように進めた。
先程の音色がまだ響いている状態でランディがハブネークに向けて手を伸ばした時、突然園内に1台のトラックが入って来た。トラックはカイト達の目の前で停車して、荷台が開くと中には赤い髪と紫色の髪の2人の女性とクマシュンの着ぐるみを着た人(?)がいた。
「はーい!良い子の皆、こんにちはーー!」
「うちら・・・いや、私達は旅のサーカス団で~す!」
「私達の素晴らしいパフォーマンスをどうぞご覧ください!」
楽しい音楽が流れるのと同時に彼女達は、持っていたカラーボールでパフォーマンスを始める。さらにトラックの前にツンベアーの着ぐるみを着た2人の男性がやって来て、カラフルなボールが入った籠を持って子供達を誘い出す。それにより子供達は興味を持ち、トラックの方に走り出す。その後をサトシ達やポケモン達も付いて(一部無理やり)行き、カイトとシノンも続こうとしたが首を捻って不思議に思っている園長先生とプルミエの様子を見て足を止める。
「どうかしましたか?」
「今日はイベントの予定なんて入れていなかった筈なんだけど・・・」
「えっ!?それじゃあの人達は・・・?」
まさかと思いサーカス団の人達をよく観察してみて気づいた。アイツらはロケット団だ。慌ててサトシ達に降りるように言うとしたが遅かった。サーカス団の人達に渡されたカラフルボールを全員が上に投げた瞬間、ボールが破裂して黒煙が発生し、辺りを覆い尽くしてしまった。突然の事に驚いて子供達が騒ぎ出す中、トラックの外にいたカイト達がサトシに声を掛ける。
「サトシ!何が起きたか調べる前に子供達をトラックから降ろすんだ!」
「あぁ、皆足元に気を付けて降りるんだ!」
カイト達の指示に従って子供達を順番にトラックから降ろさせる。そして最後まで荷台に残っていたサトシとピカチュウ、ニンフィアが安全を確認して降りようとした時、真上から網状の特殊なカプセルが飛んで来て2体を捕らえた。その衝撃でサトシがトラックの外へ吹っ飛ばされ地面に体を打ちつける。
「サトシ!大丈夫!?」
「ニンフィアが!」
「今助けます。行け、グラエナ!」
「キュウコン!貴方もよ」
ピカチュウ達を助けようとグラエナとキュウコンが技を放とうとした時、荷台の照明が一斉に光り出した。あまりの眩しさに2体が目を瞑った瞬間、同じカプセルが飛んで来て2体も捕らえてしまった。
「しまった、グラエナ!?」
「キュウコン!?」
「どうなっているんだ!?」
助け出そうとするあまり周りの状況を見ていなかった事に自分を責めたが、それよりも4体を助ける事が先決だと言い聞かせて他のポケモン達に指示を出そうとするとトラックの荷台が閉まり始める。その上には先程のサーカス団の人達・・・に変装したロケット団が正体を現して立っていた。
「どうなっているんだと聞かれたら!」
「黙っているのが常だけどさ!」
「「それでも答えて上げるが世の情け!」」
「「世界の破壊と混乱を防ぐため!」」
「「世界の平和と秩序を守るため!」」
「愛と真実の悪と!」
「力と純情の悪を貫く!」
「クールでエクセレントであり!」
「ラブリーチャーミーな敵役!」
「ムサシ!」
「コジロウ!」
「ミズナ!」
「ロバル!」
「「宇宙と銀河を駆けるロケット団の4人には!」」
「「ホワイトホールとブラックホール、2つの明日が待っているぜ!」」
「にゃーんてニャ!」
「ソォーナンス!」
「イートマ!」
「エアーー!」
お決まりの長い台詞を言うロケット団。初めて見るプルミエにサトシが奴らについて説明する。
「ロケット団!ピカチュウ達を返せ!」
「あら~、それは無理な相談ね」
「その通り!我らは人のポケモンを奪い取る悪い奴らだからな」
「皆さんのポケモンは有効に使わせてもらいますので、ご安心してください!」
そう言ってロケット団はトラックに乗り込んで発進した。
「逃がすか!!」
「待てぇ!!」
走り出すトラックを見てカイトとサトシはすぐに追いかけて、荷台の取っ手にしがみ付く。その後をヤヤコマ、プテラ、ジバコイル、ヒトツキ、ウォーグル、ビビヨンが必死について行く。2人の身を心配してシノン達が叫ぶ。
「サトシ!!」
「兄様!!」
不安な表情をする2人の後ろで園長先生がランディの名前を言う。それに気が付いて全員が探すが何処にもいなかった。そして全員が一斉にトラックの事を頭に浮かべ、プルミエが車で追い掛けると言うとシノン達も一緒に付いて行くと言って車に乗り込むのであった。
その頃、カイトとサトシはスピードを上げるトラックの荷台にずっとしがみ付いていた。これ以上スピードが上がって落ちたりしたら大変だとプテラ達は早く追い付いて助け出そうとする。
だがそれを見逃すロケット団ではない。
「ちょっと、後ろに何かいるじゃーん」
「何?まったくしつこい奴め。これでも食らえ」
プテラ達に気が付いたミズナがコジロウに言うと彼はハンドルのすぐ横にあるボタンを押す。すると荷台の一角に取り付けてある左右のパイプから泥玉を何発も発射される。突然の事でしかも大量の泥玉に避ける事ができなかったプテラ達は顔面に命中されてしまい、飛行バランスが崩れて追跡不可能になってしまった。
「ヤヤコマ達が・・・!」
「こうなったら俺達だけで助け出すしかない。サトシ、そこの扉から荷台に入るんだ」
「あぁ、待ってろよ」
ロケット団にばれない内にと焦る気持ちを抑えてサトシは取っ手を握って扉を開け、中に忍び込む。それに続いてカイトも中に入る。荷台の中を見るとランディ、ケロマツ、ハブネークがいた。
「ランディ、ケロマツ、ハブネーク・・・何で此処に!?」
「まさか3人とも逃げ遅れていたのか?」
「サトシ!カイトさん!」
「ケロケ!」
「ハブブ!」
扉を閉めて彼らに怪我がない事を確認して安心させた後、2人はそれぞれのパートナーの元に寄る。
「ピカチュウ、ニンフィア。すぐに出してやるからな」
「グラエナ、キュウコン。安心しろ。俺達が必ず出す」
彼らの優しい声を聞いてピカチュウとグラエナ、キュウコン、さらに別のトレーナーのポケモンであるニンフィアまでも安心した表情になった。それを見てランディは自然と2人に尊敬の眼差しを送るのだった。そしてカイトはサトシとケロマツとハブネークに言う。
「いいか、合図をしたら全員で一斉にカプセルに体当たりするぞ」
「分かった!行くぞ、ケロマツ!ハブネーク!」
助走をつけて合図を出すと4人は同時にニンフィアを閉じ込めているカプセルに体当たりをした。しかしカプセルは思った以上に頑丈で壊れなかった。
「何て頑丈なんだ!頼む、ランディも手伝ってくれ」
「え、僕?」
サトシがそう言うとランディはとても驚いた表情でこちらを見る。
「・・・でも僕、怖がりだし、役に立つ「お前はもう怖がりではない」えっ?」
ニット帽を掴んで深く被ろうとするランディにカイトが優しく勇気を既に持っていると言う。そう言われて先程の笛の音を思い出したランディは少し震えながらもゆっくりと立ち上がる。
「本当に勇気を、持ったのかな・・・?僕、役に立つ事ができるかな?」
「できるさ。ランディの心にニンフィアを助けたいという強い気持ちがあるなら絶対に力になる」
ランディはニンフィアを見つめる。今のニンフィアは捕まっている状況を不安に思って怯えていた。
「プルミエ先生のポケモンは僕の、皆の友達だ・・・!助けたい!」
「そうこなくっちゃ!」
決心を固めたランディの肩にサトシが手を置く。カイトも優しく頷いて同じように肩に手を置く。迷いが消えたランディはとても頼もしく見えるのであった。
そしてランディも加わった5人で体当たりするとカプセルが壊れてニンフィアを解放させる事ができた。解放されたニンフィアは、リボンの触手でランディの頭を撫でながら嬉しそうに鳴き声を出す。
「えっと・・・」
「ありがとう!と言っているんだよ」
「フィア!」
ニンフィアの言葉の内容を伝えるとランディは笑顔になった。
それからグラエナ達も全員助け出し、彼らにもお礼を言われたランディは嬉しさのあまりか、自分からポケモン達に触りに行った。その様子を見てカイトはもうポケモンを怖がる事はないなと内心思った。
それから少し経つとトラックは森の中にある錆びれた倉庫の中に止まった。運転席から降りて来たロケット団の5人は顔を合わせて作戦の成功を喜んだ。
「ピカチュウ、グラエナ、キュウコン、ニンフィアのゲットを早速サカキ様に報告しないとね」
「だニャー!」
「そして無事にポケモン達を送って任務を終えたら本日は我々の悲願達成を祝すパーティーを開きませんとね」
「最高じゃ~ん!ロバルの作り料理は美味しいから沢山食べたい!」
「俺もだ!絶対にやろうぜ!」
気分良く話し合いながらポケモン達を運び出そうとニャースがトラックの荷台を開かせる。そして全員が荷台の中に視線を移すとそこには予想していなかった者達が居て、さらにポケモン達が解放されている事に驚く。
「あ・・・あぁ!?ジャリボーイとダークボーイ!?」
「ニャニャー!?」
「どうして此処に!?」
「どうやってカプセルを!?」
カイト達は荷台から飛び降りて驚いているロケット団と向かい合った。
「ロケット団!ピカチュウ達は返してもらった」
「それと・・・いつから俺はそんな名前で呼ばれるようになったんだ?」
「あぁ・・・あんたの呼び名はトラックの中で決めたのよ!」
「ミズナ達がいつも悪タイプのポケモンを使うって言ってたからな」
「なるほど・・・それなら納得だ。では答えが分かった以上俺達は帰らせてもらう」
「そうはいかないよ!ここでもう一度捕まえてやるじゃ~ん」
諦める気はないロケット団はそれぞれの手持ちポケモンであるバケッチャ、マーイーカ、シシコ、カメテテを出して『シャドーボール』、『サイケ光線』、『火炎放射』、『水鉄砲』を同時に放って攻撃してきた。
「ハブブ。ハーブネ!」
「フィア!」
攻撃が迫る中、ハブネークはニンフィアを見てランディを守ってくれとお願いする。それを聞いてニンフィアはすぐに承諾し、触角でランディを守るように包む。また同じようにカイトとサトシも2人を守るように前に立ち塞がる。
「ケロマツ、水の波動!ピカチュウ、10万ボルト!」
「グラエナ、悪の波動!ハブネーク、ヘドロウェーブ!キュウコン、火炎放射!」
グラエナ達の技で相手の技を相殺し、それによって発生した煙で何も見えなくなった隙をついてカイトとサトシは同時に指示を出した。
「ピカチュウ、エレキボール!」
「グラエナ、バークアウト!」
強力な雷の玉と怒鳴り声と共に地面の上を猛スピードで放たれた紫色の玉が混ざり合って合体技となり、ロケット団に命中して倉庫の屋根を打ち破って飛ばされた。
「「「「「やな感じーー!!」」」」」
「ソーナンス!」
お決まりのセリフが言い終えた後、倉庫の中にプテラ達がやって来た。ヤヤコマはサトシの腕に止まり、プテラとジバコイルとヒトツキはカイトの目の前に降りて来た。
そして後から車が2台入って来て、セレナとシノンがすぐに飛び出して2人の無事な姿を見て安心する。
「サトシ!無事だったのね」
「兄様!怪我はありませんか?」
「あぁ、皆無事だ」
「よし!皆帰ろうぜ」
サトシの言葉に全員が元気よく返事をして幼稚園に戻る。この時、車の人数が定員オーバーの為にカイトがランディを誘って、一緒にプテラとジバコイルに乗った事はプルミエ達を驚かせたのは余談である。
そして幼稚園に戻った後、ランディがポケモンを怖くなくなった事に園長先生を始め園児達全員が喜んだ。それから別れの時間になって、見送りの際にランディはポケモントレーナーになると決意する。それに対してサトシが次に再会した時はバトルしようと約束して握手する。
すると今度はカイトの所へやって来る。
「カイトさん、今度会ったらまたポケモンに乗せてくれて、バトルしてくれる?」
「あぁ、いいとも。俺は1歩先に進んでいる。お前が強くなるのを待っているからな」
「ガウ!」
「うん!」
別れの挨拶を終えてカイト達は次の目的地に向けて出発した。プルミエ達はカイト達の姿が見えなくなるまで手を振り続けた。
その後園児達はそれぞれに家に帰る為に園内に戻って支度を始める。すると1人の園児がある雑誌を見て声を上げた。
「プルミエ先生!これを見て!」
「どれどれ・・・えっ!?」
園児から渡された雑誌を見てプルミエは驚いた。なんとその雑誌の一面にカイトが映っていたのだ。ランディを始めとする園児達もそれを見て驚く。
そのカイトの写真の隣には『ダークマスター・カイト!カロスリーグに挑戦する!』と書かれていた。これを見たランディはさらにカイトに憧れて、必ずトレーナーになって強くなる事を改めて決意するのであった。
今日の話で設定と記録に手持ちポケモンの情報が更新されました。そちらもご覧ください。