ポケットモンスターXY 神に魅入られた悪使い   作:ヤマタノオロチ

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まず最初に皆様にお礼を申し上げたいと思います。何故かって?
実はこのポケモン小説のお気に入り数が200を越えました。本当にありがとうございます!こんなにも多くの人に気に入ってもらえて嬉しいです。
これからも頑張って書いていきます。

そして次に長い間遅れてすみません。今年の映画やアニポケ、ゲーム等を見てやる気が満ちていましたが、悲しい事に残業続きで時間がなくて(泣)
それでも必死に時間を作って完成しました。

今回はタイトル通り皆様の愛するセレナメインの話でございます。彼女の様々な服装を見られて良い話でしたな。それと今回はカイトの新しい手持ちポケモンが登場します。
感想と評価をお待ちしております。


ポケビジョン!セレナとフォッコの絆を撮影せよ!!

旅の途中で休憩の為に立ち寄ったポケモンセンターのロビーで、カイト達は大型のモニターであるものを見ていた。それは『ポケビジョンベスト10』と言う番組だ。

内容はポケモンやトレーナーの映像が10位からランキング順に発表されていくものだ。

 

 

「なぁ、ポケビジョンって何だ?」

 

「サトシったらそんな事も知らないの?」

 

 

初めて見た映像についてサトシが訊ねるとセレナが少し呆れつつも説明する。

 

 

「ポケビジョンはトレーナーが自分で作るポケモンのプロモーションビデオの事で、ポケモンを紹介したり、トレーナーとポケモンの仲の良さをアピールしたりするのよ」

 

「そのビデオを動画サイトにアップして人気投票をランキングしたのが、このポケビジョンベスト10なんです!」

 

 

セレナに続きシトロンが今やっている番組について説明してくれたのでサトシだけでなく、カイトとシノンも理解できた。

その間にもランキングは次々と発表され、遂に第1位が発表された。タイトルは『エルとフォッコのアイドルライフ!』と言うもので、赤い髪の女の子とフォッコが水色のリボンを付けている映像だった。それを見てユリーカが嬉しそうに騒ぎ出す。

 

 

「わぁ~!やっぱり1位はエルさんだ!」

 

「ネンネー!」

 

「エルさんか、有名な人なの?」

 

「えぇ、ポケビジョンベスト10の常連だったエルさんとフォッコは、アイドルポケモンユニットとしてデビューして今や大人気なんです!」

 

 

モニターに映っているエルについてシノンが訊ね、シトロンが再び説明する。そして全員がモニターを見るとタイミング良くエルとフォッコが可愛らしくウインクしていた。

 

 

「本当に可愛いな。カイトもそう思うだろ?」

 

「あぁ、確かに可愛いな」

 

「「えっ?」」

 

「「フォッコが!」」

 

 

画面を見ながらサトシとカイトはフォッコを“可愛い”と言う。セレナとシノンは思わず2人がエルの事を言っているのかと思って一瞬不安な表情になるが、すぐに違うと分かって胸を撫で下ろした。

 

 

「サトシもカイトさんも分かってるー!」

 

「可愛さなら私のフォッコも負けてないもんね!」

 

「フォ~~!」

 

「リマッ!?」

 

 

セレナが不機嫌な表情になっているフォッコを抱き上げながら言う。フォッコは自分の主人に可愛いと言われて嬉しそうに鳴き声を出し、そのまま隣で目がハートマークになってメロメロ状態になっているハリマロンを睨み付けた。

 

 

「それにセレナもエルさんに負けてないかも。そうだよね、シノンお姉ちゃん?」

 

「えぇ、セレナもフォッコももっと自分の可愛さに自信持っていいんだよ!」

 

「コンコーン」

 

「ありがとう2人とも!」

 

 

女子達は楽しく会話をして、キュウコンが尻尾でフォッコの頭を優しく撫でるなど彼女達の仲の良さがさらに強まった。その時シトロンがポケビジョン撮影の機材がポケモンセンターに揃っていて、機材の貸し出しもしていると言う。

それを聞いたセレナがフォッコを抱えながら立ち上がる。

 

 

「よ~し!決めた!私もポケビジョンデビューよ!」

 

 

そう宣言した後のセレナの行動は早く、ジョーイにポケビジョン撮影について訊ね、機材一式を借りる許可を得た。

 

 

「私、ポケモン貰ったらポケビジョンデビューしようって思ってたんだ!」

 

「私もデデンネと撮ってポケビジョンデビューしたい!」

 

「ダメだよ。デデンネはユリーカのポケモンじゃないんだから」

 

「ブー・・・!じゃあ、お兄ちゃんのお嫁さん探しの為のビデオを作る!」

 

「ええっ!?」

 

 

突然のユリーカの宣言にシトロンは眼鏡が外れかけてしまう程驚き、必死に止めようとするがユリーカは話を聞かず強制的に流れを進めてしまった。

 

 

「ねぇ、サトシ達もやろうよ!」

 

「あぁ~ごめんセレナ。俺はこれからカイトと一緒にザクロさんとのジム戦に備えて特訓がしたいんだ」

 

「特訓?」

 

「ああ!前に見たザクロさんのイワークの岩石封じに対抗できる技がないとバトルには勝てないからな!」

 

「俺も次のジム戦では別のメンバーで挑もうとさっき手持ちを変えたんだ。彼らの調整と有効的な戦術を考える必要がある。その為にもお互いに協力し合う事になったのさ」

 

「えっ!カイトさん手持ちポケモン変えたの!?ユリーカ見たい見たい!」

 

「あぁ、いいよ。セレナとシトロンのポケビジョンの撮影が終わったら見せてやるよ。ちなみにユリーカがまだ旅で見た事のないポケモンだぞ」

 

 

まだ自分が見た事のないポケモンと聞いてユリーカはさらに明るい表情になり、目をキラキラ輝かせる。それを見て全員が微笑む中、セレナは次にシノンに訊ねた。

 

 

「シノンはポケビジョン撮影しない?」

 

「あ、いや、その・・・私はこういうのあまり興味がなくて。その代わりセレナのポケビジョン撮影に協力するわ」

 

「ありがとう!それじゃ、さっそく始めましょう!」

 

 

話が纏まった後カイトとサトシはジム戦の特訓に、セレナとシノン、シトロン、ユリーカはポケビジョン撮影に執りかかった。

ポケモンセンターから外に出てシノン達と別れたカイトとサトシは、特訓に最適な広い高原を見つけてそれぞれ手持ちポケモンを出した。

今回のジム戦でサトシは今いるメンバーのケロマツとヤヤコマ、そして最高の相棒であるピカチュウの3体で挑むようだ。

 

 

「カイトは今回どのポケモンで行くんだ?」

 

「今見せてやるよ。ヒトツキ、ノクタス、ボスゴドラ、出陣!」

 

「ツーキ!」

 

「ノーク!」

 

「ゴドラー!」

 

 

カイトのモンスターボールから出て来たのはヒトツキに、カカシ草ポケモンのノクタス、鉄ヨロイポケモンのボスゴドラだった。久しぶりにカイトと会えてノクタスは拳を前に突き出して打ち付け合い、ボスゴドラは両手で強く抱き締めた。

この時抱き締められたカイトは危なく背骨が折れそうになったのは余談である。

 

 

「おぉ、ノクタスにボスゴドラ!2体とも懐かしいな!」

 

「ピカピ~カ!ピカチュ!」

 

「ノクノク!」

 

「ゴドゴド!」

 

 

2体を見たサトシとピカチュウは再会できた事に喜び挨拶をする。

実はノクタスとボスゴドラはシンオウ地方でサトシ達と会っており、サトシのポケモン達とは一緒にバトルをしたり特訓したりした事があったのだ。

2体もサトシとピカチュウと再会できて嬉しく思い、ケロマツ達だけでなく新しく仲間になったヒトツキも含めた全員に独自の挨拶をした。そして一同は横に整列する。

 

 

「いいか、あのイワークの岩石封じに対抗するにはスピードだ。ピカチュウは電光石火、ヤヤコマは相手をかく乱する影分身、ケロマツはその両方がある!それぞれの技を磨いて、岩石封じに打ち勝つんだ!」

 

「俺達も同じようにスピードを高めるが、メインはお前達の自慢である防御力による戦術だ。ヒトツキとボスゴドラは鋼の体、ノクタスは草の力を使ったあの技により対抗して勝利を掴むんだ!」

 

 

カイトとサトシの言葉を聞いてポケモン達は一斉に気合いの籠った声を上げる。

 

 

「良い返事だ。それじゃサトシ、まずは各自体力アップの為ランニングから始めるとしよう」

 

「分かった!皆行くぜ!」

 

 

元気よく走り出したカイトとサトシの後に続いてポケモン達も走ったり、空を滑空したりして付いて行った。

走り始めてからすぐに足の速いピカチュウやグラエナはそれぞれカイトとサトシの真後ろに付き、他のポケモン達はその1歩後ろに居て、そのさらに後ろではボスゴドラが地響きを起こしながら走っている。

順調にランニングを続けていると丘の下でシノン達が必死に走り回っている姿が見えた。一旦走るのを止めて眺めてみるとセレナとフォッコがカメラをモデルに作られたと思うロボットに追いかけられていた。

 

 

「おっ、シトロンの発明品で撮影してるんだな。やっぱり科学の力って凄いな!」

 

「ピカピカ!」

 

「だが撮影にしては可笑しくないか?もしかしてまた壊れたのか?」

 

「ガウッ」

 

 

カイトの言う通りで、シトロンの発明したロボットは最初上手く動いて撮影をしていたが少し経つと暴走してしまったのだ。

 

 

「いやー!助けてーー!!」

 

「サトシ何とかして~~!」

 

「兄様お願い!何とか止めて下さい!!」

 

 

セレナとユリーカの悲鳴とシノンの頼みを聞いてサトシも状況を悟り、急いで止めようとする。

 

 

「よしピカチュウ!あのロボットに向かってエレキボールだ!」

 

「ピカピカ・・・!」

 

「待てサトシ!今撃つとセレナとフォッコが危険だ。ここはケロマツで対応するんだ」

 

「ケロマツで?・・・そうか分かった!ケロマツ、ロボットの脚にケロムースだ!」

 

「ケロ!」

 

 

高くジャンプしたケロマツがケロムースを投げつける。ケロムースは一直線にロボットの脚に命中し、それによりロボットはその場から動かなくなる。その隙にカイト達はセレナ達の元に駆け寄る。

 

 

「大丈夫かセレナ?」

 

「うん。ありがとう・・・」

 

「ピカピ~カ?」

 

「ケロケロ?」

 

「フォッコ~~」

 

 

セレナの無事を確かめるサトシの傍で、ピカチュウとケロマツもフォッコに大丈夫かと訊ねる。

2人は息を整えて大丈夫と言い、サトシ達にお礼を言う。

 

 

「しかしこんなロボット、シノンなら何とかなったのではないか?」

 

「すみません兄様、実はモンスターボールを置いてきてしまって。それにキュウコンの技ではセレナとフォッコを巻き込んでしまうかと・・・」

 

「あぁ~、成程な」

 

 

確かにキュウコンの技だとロボットは木端微塵に爆発してセレナ達を巻き込んでしまうだろう。

それに走りながら尻尾を巻き付ける事は難しい。そう考えている間にシトロンも合流し、セレナとフォッコに謝った。

 

 

「すみません。僕のメカがとんでもない事を・・・!」

 

「いいのよシトロン。サトシ達が助けてくれたから」

 

「フォコフォコ!」

 

「ありがとうございます。次こそ完璧に仕上げますから少し待っていて下さい!」

 

「まだやるのか?まぁいい、気合いを込めて頑張り・・・っておい、あのロボット、なんか様子可笑しくないか?」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

 

カイトがそう言って全員が見つめるとロボットが段々と激しく揺れ始める。それを見て全員が慌てて逃げようとするが間に合わず、その場で大爆発が発生した。

そして黒煙が消えた後、その場には全身真っ黒焦げになったカイト達が居た。

 

 

「何で・・・毎回・・・こうなる・・・のだ・・・」

 

「本当に・・・すみません・・・」

 

 

黒焦げになった全員の想いをカイトが代表で言い、それを聞いたシトロンがその場で土下座をしながら謝るのであった。

その後カイト達は真っ黒焦げになった体を洗う為ポケモンセンターに戻り、再び高原に集まって撮影の準備を整えた。だけど先程とは1つ違う点があった。それはセレナとフォッコの服装である。

 

 

「ジャジャーン!」

 

「フォッコー!」

 

 

セレナ達はお揃いのピンク色の洋服を着て、可愛らしくポーズを決めながら皆に見せる。さらにセレナにはフォッコ耳と尻尾が付いていた。

何故この服装かと言うと先程体を洗いに行く時、ユリーカがせっかくだからと提案したのだ。

 

 

「新しい衣装のチャームポイントはこのフォッコ耳と尻尾で~す!」

 

「可愛いー!」

 

「とても素敵だよセレナ」

 

 

セレナ達の服装を見てユリーカとシノンが似合っていると褒める。

 

 

「ねぇねぇ、サトシとカイトさんも撮影手伝ってよ!」

 

「でも俺達特訓の途中で・・・」

 

「偶には息抜きしないと能率上がんないわよ~」

 

「セレナの言葉にも一理あるわね。それに兄様、特訓はいつでもできますから」

 

 

3人の誘いを聞いてどうしようか悩むサトシがカイトに訊ねる。訊ねられたカイトは薄く笑いながら首を縦に振る。それを見てサトシの答えは決まった。

 

 

「そうだな。皆でやるか」

 

「「やったー!!」」

 

「ありがとうございます!」

 

 

こうしてカイトとサトシも参加する事になり、シトロンの撮影の元セレナのポケビジョン撮影が開始された。

最初は高原でフォッコとお揃いの服を着て可愛くポーズを決めて仲の良さをアピールするシーンで、これは何の問題もなく1回で撮影を終わらせる事ができた。

次はキッチンでセレナとフォッコが一緒にスイーツを作るシーンだ。

撮影の準備が整ったのと同時にポニーテールに髪を纏め、お揃いのピンク色の花柄のエプロンを着たセレナとフォッコ、それに特別出演のピカチュウがやって来て撮影が始まった。

だがここでトラブルが発生した。ボール一杯のシュガーパウダーを持って来たピカチュウが途中転んでしまい、ボールを落としてしまった。それにより中に入っていたシュガーパウダーがピカチュウとフォッコに降り注ぎ、2体とも全身真っ白になってしまった。

綺麗好きなフォッコは今の状態にとても怒り、涙目でピカチュウを睨み付けて『火の粉』を放つ。だがそれはピカチュウではなく、後ろにいたサトシに命中し、持っていたレフ版に穴を開けて再び黒焦げになってしまった。

 

 

「何で俺なんだ・・・」

 

「とんだ災難だな・・・」

 

「は~い、カット・・・」

 

 

嘆くサトシを見てカイトは苦笑し、シトロンは溜息を溢しながら撮影を中止した。

その後再び体を洗ってもらいセレナにブラッシングしてもらっているフォッコは、ようやく機嫌を直してくれた。

 

 

「機嫌を直してくれて良かったぜ」

 

「ピカ~~」

 

「フォッコってホント綺麗好きだよね」

 

「いつも綺麗にしているからか、汚れるのが嫌みたいなんだ」

 

「そうなの。私のキュウコンも結構な綺麗好きよ」

 

「コーン!」

 

「そうですか、そう言えばセレナもそう言うところがありますよね」

 

「うん!女の子はやっぱり身嗜みに気を遣って、いつも可愛くしてないとね」

 

「フォー!」

 

 

ブラッシングを終えたフォッコをセレナは優しく抱き上げて微笑む。フォッコも嬉しそうにセレナと同じ事を言う。今の彼女達は誰から見ても良いコンビである。

 

 

その後暫くして全てのシーンを撮り終え、残るは編集と音入れだけとなった。

そしてその音入れだが、ユリーカの提案でカイトの笛の音を使う事になった。さらに笛だけでなく、ポケモンセンターにあった様々な楽器を特別に貸してもらい、その音も使う事になった。

その為カイトは一旦サトシ達と別れ、シノンと一緒に高原に戻って撮影したシーンに合った曲を様々な楽器で奏でてみた。そしてその中から良い曲をシノンがしっかり録音した。

ちなみにその曲を偶然聞いたトレーナーがあまりの素晴らしさにカイトに必死に頼んで曲を録音させてもらい、それによりカロス中に曲が広まってカイトの名がさらに上がったのは余談である。

その後演奏を終えたカイト達は、サトシ達に録音した曲を選んでもらう為にポケモンセンターに戻るが・・・。

 

 

「えっ?此処にはいない?」

 

「えぇ、先程ロケッティアと言うポケビジョン撮影のプロの人達と一緒に出て行きましたが・・・」

 

「そうですか。ありがとうございました」

 

 

ジョーイから詳しい話を聞いた後、カイト達はサトシ達が向かったと思われる場所に行く。少し経って辿り着くとちょうど建物の外にサトシ達とロケッティアとか言う5人組がいた。だが何だか言い争っているような感じで様子が可笑しかった。

 

 

「サトシ、これは一体どう言った状況なんだ?」

 

「あっ!カイト、ちょうどy「はいはい!そこの2人さん!」おわっ!?」

 

 

事情を説明しようとしたサトシを赤髪と紫髪の2人の女性が押し退け、目の前にやってきた途端に問答無用でグラエナとキュウコンをひょいと抱えて取ってしまった。

 

 

「えっ?な、何を!?」

 

「実は今新しくポケビジョン撮影を行う為、先程のピカチュウちゃん達同様この子達を預からせてもらいま~す!」

 

「ま、待ってください。キュウコンは別に撮る必要はないから・・・」

 

「いえいえ、こんなに可愛いですから撮らないと損ですじゃーん」

 

「それでは皆様は暫くの間外でお待ちください。また、撮影中は絶対覗いてはいけませんよ」

 

 

そう言って5人組はドアを閉めてしまった。突然の事に混乱しかけつつもサトシ達に事情を聞くとポケモンセンターの編集と音入れをする機械が壊れて、困っていたところにロケッティアが現れた。サトシ達は彼らに編集を頼もうとするが、彼らはプロだからと言う理由で先程撮影したシーンは使わず、自分達が新しく撮影するからと言ってさっきみたいにポケモン達を勝手に預かってしまったとの事だ。

 

 

「勝手に預かるなんて・・・アイツら本当にプロなのか?いくらなんでも怪し過ぎるぞ」

 

「やっぱりそう思うか。よし、皆追い掛けようぜ!」

 

 

サトシの言葉に全員が頷き、ドアを開けて部屋に入ってみるとそこはただの空き地だった。そこへフォッコの鳴き声が上から聞こえ、顔を見上げてみるとロケット団のニャース気球が浮かんでいて、下の部分にあるガラスの檻にグラエナ達が捕らえられていた。

 

 

「ロケット団!またお前達か!」

 

「くっ!前の時よりも変装に磨きをかけやがって・・・だがどうやってグラエナの鼻を誤魔化した!?」

 

「フッフッフ、それならニャーの開発したこのどんなポケモンの鼻でも誤魔化せる特殊スプレーのおかげニャ!」

 

 

ニャースが自慢するかのように開発したスプレーを見せ、カイトは悔しそうに唸る。その時シトロンが何かを思い出す。

 

 

「もしかして編集と音入れの機械を壊したのも!」

 

「さぁ?どうかしら?」

 

「それより貴方達のポケモン達は先程言った通り私達が預からせてもらいました」

 

「ではバイニャラ!」

 

 

ロケット団はニャース気球から煙幕を放出して姿を消すと逃げ出す。そうはさせないとカイトはプテラ、サトシはヤヤコマ、シノンはビビヨンとウォーグルを出して追い掛けるように言う。そして暫く経つとプテラ達が戻ってきてロケット団を見つけたと言い、カイト達はロケット団が逃げた方向・・・森の中に入って追跡するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃グラエナ達は、ロケット団によって洞窟の中に閉じ込められていた。けど彼らは諦めず薄暗い中で必死にガラスの檻から脱出しようとしていた。

目の前のガラスをグラエナが『氷のキバ』で冷やすとキュウコンが『火炎放射』で温める。それを何度か繰り返した後、ピカチュウとキュウコンが『アイアンテール』で叩く。すると檻にヒビが入り、次にフォッコが『目覚めるパワー』で破壊した。

そしてすぐさま走り出して洞窟を出る。外に出てみると晴れているのに雨が降っていて、入り口前には水溜りができていた。

実は今洞窟の上にて、ムサシが女優姿になって新たなポケビジョン撮影を行っていて、その為に用意した巨大扇風機とホースから出る水が原因なのだ。

 

 

『何で水溜りがあるの?』

 

『分からん。だが今はアイツらに見つかる前に逃げ出すのが先だ』

 

『うん!皆行くよ』

 

 

上でそんな事が起きているとは知らず、ピカチュウを先頭にグラエナとデデンネが水溜りの中を走る。だが途中でグラエナがキュウコンとフォッコが立ち止まっているのに気が付く。

 

 

『どうしたキュウコン?』

 

『ごめんなさいグラエナ。けど・・・その・・・』

 

 

2体の表情を見て暫く考えた後グラエナは思い出した。どちらも汚れるのが嫌いな性格であった事に!

 

 

『ピカチュウ、デデンネ。お前達は先に行け』

 

『グラエナはどうするの?』

 

『俺はキュウコン達を連れて来る』

 

 

そう言ってグラエナは戻って2体の元に駆け寄ると体勢を低くする。

 

 

『キュウコン、フォッコ。俺の背中に乗れ』

 

『で、でも・・・』

 

『早くしないと奴らに見つかる。急げ!』

 

『・・・分かったわ。お願いねグラエナ』

 

 

お礼を言いながら2体はグラエナの背中に乗って尻尾を巻き付けて固定する。2体が乗ったのを確認したグラエナはゆっくり歩き出す。ピカチュウとデデンネが心配そうに見守り、少し体がふらつきながらも進んでいた時、遠くから自分達の名を呼ぶ声がした。

声がした方を見るとカイト達がこちらに向かって走っていた。それに気が付いたピカチュウ達がそれぞれのトレーナーの元に駆け寄って飛びつく。

 

 

「無事だったかピカチュウ?」

 

「デデンネも大丈夫?」

 

「ピカピ!ピカピカ!」

 

「ネネ!」

 

 

サトシとユリーカがピカチュウ達に怪我がない事を確認して安心している間、セレナは未だ水溜りの所にいるフォッコの元に躊躇せずに駆け込む。その後に続いてカイトとシノンが走る。グラエナも一生懸命歩いて彼らの元へ行こうとする。

だがそれを事態に気が付いたロケット団が見逃さなかった。

 

 

「させるか!マーイーカ、アイツらにサイケ光線だ!」

 

「エアームドはラスターカノンです!」

 

「マーイーカー!」

 

「エーア!」

 

 

2体の攻撃が足元に放たれ、セレナは悲鳴を上げながら転んでしまった。それを見たシノンが急いで駆け寄る前よりも早く、セレナは立ち上がって再びフォッコの元へ走り出した。

 

 

「出てらっしゃいバケッチャ!シャドーボール!」

 

「行くじゃーんイトマル!毒針!」

 

「マーイーカ!もう一度サイケ光線だ!」

 

「エアームド!貴方もラスターカノンです!」

 

「ピカチュウ!10万ボルト!」

 

「プテラ!竜の息吹!」

 

「ビビヨンはサイケ光線!ウォーグルはエアスラッシュ!」

 

 

再び放たれる攻撃をカイトとサトシとシノンが防ぐ。技同士がぶつかり合った事で爆発が起こり、それによりセレナはまた泥水がかかって汚れてしまう。だけど彼女は気にせず再び走り出した。

 

 

「(服が汚れたっていい・・・!フォッコはいつも私を守ってくれた!顔が汚れたって構わない!今度は、私が守る番!!)」

 

 

走っている途中、セレナの頭の中にはフォッコと過ごした日々の大切な記憶が思い浮かんだ。大切なものは誰かに守ってもらうんじゃない。自分で守らないとダメだと心の中で叫んだ。

 

 

「・・・クー、フォッコ!」

 

 

そんな彼女の強い想いを感じ取ったフォッコはグラエナの背中から降り、水溜りの中を勢いよく走った。足や体に泥水がついて汚れようと構わずセレナの元へ走る。

そしてセレナは走って来るフォッコを両手を広げて受け止めた。

 

 

「あ~あ、泥だらけ・・・」

 

「フォッコ~」

 

 

再会できた事に喜びつつもお互いに汚れている姿を見て苦笑する。だけどどちらとも笑顔は絶えなかった。

 

 

「俺達を無視しやがって!マーイーカ!」

 

 

コジロウの指示を受けたマーイーカは再び『サイケ光線』を放とうとするが、それよりも早くサトシとピカチュウが動いた。

 

 

「ピカチュウ!エレキボールだ!」

 

「ピカピカピカ・・・チューピ!」

 

 

素早くセレナとフォッコを庇うように前に立った2人は『サイケ光線』を『エレキボール』で防ぐ。それを見たミズナとロバルが指示を出し、イトマルが『吸血』を、エアームドが『鋼の翼』で攻撃しようとするが・・・。

 

 

「グラエナ!悪の波動!」

 

「キュウコン!火炎放射!」

 

 

今度はカイトとシノン、そしてグラエナと彼の背中から降りたキュウコンが『悪の波動』と『火炎放射』で2体を攻撃してブッ飛ばした。

自分の目の前に立つ3人とポケモン達は足元が泥で汚れている。それと以前シノンからキュウコンは自分と同じ綺麗好きだと聞いた事があった。なのに自分達の為に汚れるのを気にせず、助けてくれた事にセレナは嬉しさで一杯だった。

 

 

「若い女優の芽を摘むのは大女優の役目よ。バケッチャ!フォッコとジャリガールに八つ当たり!」

 

「チャッチャチャ!」

 

 

体を真っ赤にさせて『八つ当たり』を繰り出したバケッチャが一直線にセレナとフォッコに迫る。それを見たフォッコがセレナを守るように飛び出して、口の中に炎を溜めて勢いよく放った。その炎について一番よく知っているシノンとキュウコンが驚きながら名を言う。

 

 

「あれは・・・火炎放射!?」

 

「コン!?」

 

 

フォッコの放った『火炎放射』はバケッチャを黒焦げにして倒した。突然の技にロケット団は動揺する。

 

 

「やった・・・凄いよフォッコ!火炎放射を覚えたのね!」

 

「フォッコオ!」

 

「よし!ピカチュウ!10万ボルト!」

 

「グラエナ!止めの悪の波動!」

 

「ピカ!ピカチュー!」

 

「グウゥガアアァァッ!!」

 

 

止めの『10万ボルト』と『悪の波動』が放たれたのを見てロケット団は逃げようとするが間に合わず、全員に命中する。

 

 

「「「「「やなカンジ~~~!!」」」」」

 

「ソォーナンス!!」

 

 

ロケット団はいつものように今回も空の彼方へ飛んで消えていった。

カイト達が戦いが終わった事に安堵の息を吐く中、セレナとフォッコは前より強くなった絆を感じて抱きしめ合いながら微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間経った夕方、ポケモンセンターの宿泊室でお風呂を済ませたセレナはフォッコを丁寧にドライヤーとブラッシングして、綺麗に整えた。

そしてシアター室に集まっていたカイト達と合流し、全員で完成したポケビジョンを鑑賞した。それはどのシーンも素晴らしく、またカイトの楽器の曲も合っていて全員が高評価した。最もセレナにとってはサトシの評価が一番嬉しそうだった。

ちなみにシトロンのポケビジョンも公開されたのだが、内容は最後まで良いものとは言えず、皆からの評価は・・・ご察し頂いてください。

 

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