ポケットモンスターXY 神に魅入られた悪使い 作:ヤマタノオロチ
長くお待たせして申し訳ありません。
今年はもっと早く書いて完結できるようにしたいです。
それと設定と記録に新しい手持ちポケモンについて情報を更新しておきました。そちらも是非ご覧ください。
感想と評価をお待ちしております。
ショウヨウシティに向けて旅をしていたカイト達は、その一歩手前にある海辺の町・コウジンタウンに辿り着いた。
その名の通り広大な青い海があって、他にも有名な水族館や博物館などがあり、なかなか興味惹かれる町であった。
特に前者は多くの水ポケモン達がいて、それを見るために毎日大勢の観光客が入場しているのだ。セレナからその説明を聞いて浜辺に行くとサトシがケロマツを出した。
「どうだケロマツ。此処が海だ。せっかくだから楽しんできたらどうだ?」
「ケロ、ケロ!」
水ポケモンだけにケロマツは海を見て嬉しそうな表情となり、ピカチュウやデデンネ、ユリーカ、そしてまた勝手に飛び出したゾロアと一緒に元気良く遊び始めた。
「やっぱり水ポケモンにとって、海は嬉しいようですね」
「うん。此処でケロマツの特訓も良いかもな。カイト、また頼むぜ!」
「あぁ、別に構わないぞ」
「ガウガウゥ!」
「ええっ!?私、行きたい所があるの!」
「それは何処なの?」
サトシに特訓を頼まれた俺は特に断る事もなく承諾する。まぁ、本音を言うなら多くの化石がある博物館に行きたかったのだが、別に今日でなくても明日でいいかと判断した時にセレナの言葉を聞いて全員が見つめ、シノンが代表して訊ねる。
「ジャジャーン!コウジン水族館!!」
「水族館!?」
ニコニコ笑いながら電子ノートに映っている写真と情報をセレナは見せる。それをカイト達は勿論、海で遊んでいたユリーカ達も戻って来て見る。内容を読んでみてとても興味惹かれる所だ。
あのバトル好きなサトシも行きたそうな表情をしている。
「あぁ、いろんな地方の水ポケモンが居るので有名な所ですね」
「そうなの。前から此処に行きたかったんだ!」
「成程、水族館は滅多に行く機会がないから良いかもしれないね。どうします兄様?」
「そうだな・・・シノンの言う通りだし、俺も興味がある」
「あぁ、俺もだ。面白そうだし・・・皆で行こうぜ!」
「うん!じゃあ、決まりね!」
その後カイト達はワクワクしながら水族館に行き、受付で入場料と手続きを済ませてゆっくりと奥へ進んで行く。
中は一面青い世界となっていて、タッツー、クラブ、メノクラゲ、ラブカス、バスラオ、ママンボウ、サクラビス、ジーランス、マッギョ、ランターン、パールルなど様々な地方の水ポケモン達が大きな水槽の中で悠々と泳いでいた。また、水族館に居る事もあって水槽の中に居る水ポケモン達は人慣れしていて、愛想よく挨拶等をしてくれた。
皆が自由に観察していた時、どういう訳かいつの間にかカイトとシノン、サトシとセレナ、シトロンとユリーカとペアが別れていて、特に前者2組はまるでデートみたいであった。そして乙女2人はその状況に気付いて心の中で密かに喜んでいた。
次にカイト達は美しい海中の中に居るように思わせるトンネルの中を暫くずっと歩き続けた。此処は最初の所とは違って神秘的な空間を感じた。
「此処もまた面白いな。この水族館を造った人はかなり水ポケモンへの拘りを持っているみたいだな」
「そうですね」
「ガウッ」
「コーン」
その後トンネルを通り抜けたカイト達は中庭にやって来た。丁度この時間はポッチャマ達がお散歩をしていて、飼育員を先頭に一列に並んで歩いていた。
すると1番後ろに居た1匹のポッチャマが列を離れ、ユリーカの元へ駆け寄って来た。
「ポチャポチャポチャ!」
「わぁ~~可愛い!」
両手を出して笑顔を向けるポッチャマを見て可愛いと思うが、来る場所を間違っているのでセレナが正しい所を指差す。それを聞いてポッチャマは「そうだった」と言うような仕草をした後素直に戻って行った。
「ポッチャマって人懐っこいのね」
「俺の知っているポッチャマはお調子者だったけどな」
「確かにな」
「ピーカチュ」
「ガーウ」
そう言って俺の脳裏に浮かぶのは彼が失敗して慌てふためく姿だ。アレは見ていて本当に面白かったなとクスクスと笑ってしまう。
それを見てセレナ達は不思議に思い、サトシとシノンは苦笑した。
そして次にやって来たのは沢山のコイキングが泳いでいる所だ。
「コイキングだ!」
「ピーカ!」
「他のポケモン達に比べて結構居るな」
『コイキング。魚ポケモン。跳ねているだけで満足戦えない為弱いと思われているが、どんなに汚れた水でも暮らせるしぶといポケモン』
図鑑の説明を聞いて最後のところで失礼な事を言っているなと思ってしまうのは間違いだろうか?
まぁ、目の前に居るコイキング達は恐らく聞こえていたと思われるが、そんな事なんて気にしないかのように勢いよく元気に飛び跳ねている。
「コイツら、よく跳ねるな」
「きっと此処の管理がしっかりしていて、皆健康状態がいいんだろうね」
「此処の湾にはコイキングが生息していてね」
それぞれコイキングの事について感想言っていた時、突然誰かの声がした。そちらに向かって振り向いて見るとそこには、肩にペラップを乗せた灰色の髭を携えた男性が居た。
「貴方は?」
「唯のお節介さ。そんな事より、ポケモンにはいろいろなタイプが居るけれど、意外な事に水タイプが2番目に多いんだよ」
「へぇ~!」
「初めて知りました!」
「確かに図鑑や本で見る限り多いな・・・(それにゲームでも同じだった)」
そして1番多いのは・・・確かノーマルタイプだったと思う。まぁ、新しくフェアリータイプが出て来たから断言はできないけど。
そう思っていた時、男性から「アレを見たかい?」と訊ねられた。一体何の事なのか分からず、首を傾けるカイト達を男性は外のテラスへ案内した。
そこには太陽の光でキラキラと輝くコイキングの像があった。
「コイキングの像?」
「しかも黄金色!」
「でっかーい!」
「これは一体何なんですか?」
「これは見た通り巨大な黄金のコイキングの像でね。この像には多くの夢が詰まってるんだ。詳しくは彼に聞くといい。此処の事なら何でも知ってるよ」
男性がテラスから海を見下ろしながら言う。カイト達も同じように見下ろすと海岸の平らな岩の上で釣りをしている老人がいた。その人は此処の水族館の館長との事だ。
せっかく勧められたから聞いてみようと俺が言うと全員が賛成し、そのまま階段を降りて行った。
カイト達がいなくなった後、建物の中から変装して以前使用した特殊スプレーをかけて臭いを消したロケット団が姿を現した。
彼らは静かに黄金のコイキングの像に近づいた。
「よし!今回はこの黄金のコイキングの像を資金源にいただくニャ」
「何言ってんのよ。どうせこの像は金メッキしてあるだけよ」
「そうそう。もし本物の金ならこんな所に飾らず、警備が厳重な建物の中に飾ってある筈じゃーん」
「それにこんな昼間から盗むなんて・・・愚かな事ですよ」
「じゃあ、ニャんでこの水族館にこんな像が飾ってあるのニャ?」
「う~ん・・・ひょっとしたら、本当に巨大な黄金のコイキングが居る為かもしれないな」
「それならば・・・放っておけませんね」
そう言って眼を怪しく光らせたロケット団は、すぐさまカイト達の後を追いかけて行くのであった。
その頃カイト達は、海岸で釣りをしていた館長と紹介された老人と話をしていた。彼は此処の水族館の館長・ルダンと言い、彼の足元には相棒のウデッポウと言うポケモンがいた。
初めて見るポケモンでサトシが図鑑で調べる。
『ウデッポウ。水鉄砲ポケモン。右腕のアームガンから圧縮した水を発射して、その衝撃で相手にダメージを与える』
「・・・ウポ。ウポ」
なかなかカッコイイポケモンだと思っていたが、ウデッポウは途中岩場から降りて何処かへ消えてしまった。それに声を聞いても分かったが少し不愛想なポケモン・・・と言うよりそいつが気難しい性格のようだ。
まぁ、その話は一旦置いといて、ルダンから昔からの伝説話や目撃情報などを聞かされて黄金のコイキングが存在する事を知った。
余談だが、先程のペラップを連れた男性はお節介な町長である事が分かった。
「儂の夢は本物の黄金のコイキングをこの水族館に連れて来て、全国の子供達に見せてあげる事なんじゃ。そうすればもっともっと水族館を好きになってもらえるからな」
「そうなったら最高でしょうね!」
「ピーカ・・・」
ルダンの夢を聞いてとても良い夢で叶えられたらいいなと思った時、ピカチュウが岩場から姿を出したウデッポウに見つけてサトシの肩から降りて駆け寄る。それに続いてグラエナとキュウコンも一緒に向かう。
「ピカ!ピーカピカ!」
「・・・ウポ!」
「ピ~カ?」
「ガウッ!」
挨拶をするピカチュウだが、ウデッポウは素っ気なく顔を背ける。それを見たグラエナが前足で無理矢理自分達の方に向かせ、そのまま自己紹介する。
「ウポ!ウp「ガウ・・・?」ウ・・・ウポポ」
当然怒り出すウデッポウだが、グラエナの少し低めな声と笑顔を見て恐怖し、少し間を開けながら自己紹介した。
それを見てピカチュウとキュウコンは苦笑しつつも自分達も自己紹介するのであった。
「やれやれ、グラエナの奴め・・・」
「アハハ・・・けどまぁ、なんとか挨拶はできたようですから・・・」
4体のやり取りを見てカイトは溜息をつき、それをシノンがフォローする。その時ルダンの釣り竿が大きくしなりを見せた。
見た感じ的に手応えがありそうで今度こそ釣れるかと見守っていると釣り上がったのはコイキングであった。だが黄金ではなく普通のコイキングである。
「あぁ、普通のコイキングじゃな。さぁ、海にお帰り」
ルダンはそう言ってコイキングを海に戻し、見送ってあげた。
「普通のコイキングの時はゲットせずにリリースしてやるんじゃよ」
「あの・・・!俺も手伝います!」
「私も!」
「僕も良いですか?」
「俺もお願いします」
「私もです!」
「おお、君達も協力してくれるか。それならお願いしようか」
全員が協力してくれる事にルダンは喜び、水族館から5つの釣り竿を持って来て貸してくれた。それにルアーなど釣りに必要な物も一緒だ。
そして荷物を少し離れてすぐに見つけられる場所に置き、奥からカイト、シトロン、シノン、セレナ、サトシの順に並び立つ。
「釣りをやるのは久しぶりだな」
「本当ですね。この感じ、ちょっとワクワクしますね」
「よ~し!巨大な黄金のコイキング!絶対釣り上げるぞ!」
「負けませんよ!」
「お兄ちゃん頑張ってーー!!」
「ピカピ!」
「ガウガウ!」
「コンコーン!」
カイト達は次々とルアーを勢いよく遠くの海面に投げ入れる。けれどセレナだけは戸惑う表情で釣り竿を握ったままだ。
「あれ?どうしたのセレナ?」
「私・・・釣り初めてなの」
「そうか。じゃあ、俺が教えてやるよ」
「お願い!」
サトシは一度ルアーを引いて戻し、ゆっくりした動作で分かりやすいように説明する。
「竿を思いっきり後ろに反らせて、遠くまで投げるんだよ」
「ルアーをね」
「こう?」
「もっと大きく」
「こうっ?」
「そして一気にルアーを飛ばすんです」
「え~い!!」
セレナのルアーは勢いよく遠くの海中に沈んで行った。初めてにしては良い所まで飛んで行ったのを見て俺はつい口笛を吹く。
「良い腕をしているなセレナ」
「とても上手よ」
「そうかな~?」
2人に褒められてセレナは片手を頭に乗せて照れる。そして少し経つと彼女の竿が引っ張られ始めた。どうやらもう獲物がかかったようだ。
「何!?」
「来た!リールを巻くんだ!」
「わ・・・分かった!」
必死にリールを巻くがそれよりも強く引っ張られていき、セレナは徐々に海の方へ行き始める。それを見たサトシとシノンがすぐさま横から竿を持った。
「大丈夫か?」
「一気に上げるよ。せーのっ!!」
シノンの合図と共に竿を勢いよく引いてみると飛び出してきたのはサニーゴだった。
「サニー!」
「あれはサニーゴね」
「可愛い!」
「なぁ、セレナ。バトルしてアイツをゲットしてみたらどうだ?」
「ポケモンを釣り上げたらまずバトルをして、それからゲットするの」
「そうなんだ。よ~し!フォッコ!出て来て!」
「フォーコ!」
2人に促されてゲットする気になったセレナがフォッコをモンスターボールから出す。初めてのゲットでやる気満々のセレナだったが、同じように戦う気満々のサニーゴが先制攻撃とばかりに『水鉄砲』を放ち、それを見てフォッコは戦わずにセレナの後ろに隠れてしまう。
その為『水鉄砲』は彼女の顔に直撃してしまい、サニーゴには逃げられてしまった。
「セレナ、顔大丈夫?」
「う、うん・・・」
びしょ濡れになってしまったセレナにシノンがタオルを差し出す。それを受け取って彼女が顔と服を拭いている間サトシはフォッコに「逃げないでバトルしないと」と言う。
だがフォッコは「いきなりの事だったからと仕方ないでしょう」と言う。
「まぁまぁ。フォッコ、次は頑張ろうね!」
「フォッコー!」
初ゲットに失敗してしまったけど、めげずにやる気を見せた後セレナは再び釣りを開始した。
すると少し離れた所からデデンネの悲鳴とユリーカの慌てる声が響いた。何事かと見てみるとちょうどデデンネがウデッポウに尻尾を鋏で挟まれ、挙句の果てに投げ飛ばされた上に『水鉄砲』を食らって砂浜に顔からダイブしてしまう。
しかしそれほどダメージを受けていなく、ユリーカに助けられた後すぐに立ち上がる。
「こらウデッポウ。お客さんのポケモンを攻撃したらダメだろう」
「ウポ・・・」
「やれやれ、見た通りウデッポウは愛想がなくてな。元々この水族館でお客さんの相手をしてもらおうと思っていたんじゃが・・・アイツは人に見られるのが大嫌いなようでな。ストレスが溜まって食欲がなくなり、日に日に元気がなくなってしまって・・・それで儂のポケモンにしたんじゃよ。儂の元なら平気なようでな」
「成程、それでデデンネを攻撃したんですね」
説明を聞いた後、視線を再び戻すとまたデデンネがウデッポウにちょっかい出そうと近寄ろうとしていた。アレではまた攻撃されて、ウデッポウの機嫌も悪くなってしまうだろう。
「それならグラエナ、デデンネがこれ以上ウデッポウの機嫌を悪くしないように見ていてくれ」
「ガウ!」
「ピカチュウも頼む」
「キュウコンもお願い」
「ピカ!」
「コーン!」
頼まれたグラエナ達はすぐにデデンネの元に行って引き離し、言われた通り監視する。それを見た後カイト達は釣りを再開した。
だがセレナのヒット以降全く反応がない。時々ポイントを変えて釣りを行うが、それも意味がなかった。少し飽き始めたセレナが愚痴を溢し、ルダンが何もせずにのんびり過ごすのも良い事だと言う。確かにいつも皆で騒いでいるから偶にはいいだろう。
「できた!!」
「「「「うん?」」」」
突然シトロンの声が響き、全員が振り向くとシトロンの手にチョンチーの形をしたメカがあった。そして目を眩しく光らせながらメカの名を言う。
「サイエンスが未来を切り開く時!シトロニックギア・オン!!名付けて、『撒き餌いらずチョンチー型コイキングこっち来いマシーン』です!」
「もう、ネーミングそのまんまなんだから・・・」
まったくもってユリーカの言う通りだ。最初の時から本当にネーミングセンスがないなとこの場にいる全員が思うが、シトロンは気にせずに説明する。
「チョンチーのこの触角の部分から人間には聞こえない特殊な音波が海底に向けて発信されます。それはコイキングにとって、とっても心地良いものですから自然とこのチョンチーマシンの所に集まって来るのです!それを僕達が釣り上げると言う訳です!」
「へぇ~!科学の力ってすげーな!」
「天才じゃなぁ」
「まぁ、このまま何もしないよりはマシだからな。シトロン、早速始めてくれ」
「分かりました!それではスイッチオン!!」
褒められて照れつつシトロンはコントローラーを操作して海の上に置いたチョンチーマシンを沖の方に行かせ、ある程度の所で触角を海の中に垂らして特殊な音波を発生させる。
するとすぐに水ポケモンが集まり始め、海面から黒い鰭を覗かせた。
「あっ!あれは・・・コイキングなの?」
「いえ、コイキングの鰭は薄黄色であんな形ではないわ。あの形はもしかして・・・」
シノンが顔を青ざめながら言うとその鰭の持ち主が海面から顔を出した。それを見てサトシが叫んだ。
「サメハダーだ!」
「シャー!!」
叫ぶサトシとセレナに向けてサメハダーは口から勢いよく『水鉄砲』を発射させる。2人は何とか避けて直撃を免れたが、集まったサメハダー達はチョンチーマシンに攻撃して破壊した。それに連動してシトロンの持っていたコントローラーも爆発してしまい、シトロンの顔は真っ黒焦げになってしまった。
その後カイト達は気を取り直して釣りを再開する。
だが今度はカイトが持っていたポケモンフーズをプテラに頼んで広範囲に撒いたおかげで、メノクラゲやシェルダー、タマンタ、バスラオなど様々な水ポケモン達が釣れた。無論コイキングも釣れたが、どれも普通のコイキングで目的のコイキングではなかった。
なかなか目的のものが釣れずに時間ばかりが過ぎていく事に少し焦り出した時、再びシトロンの声が響いた。
「完成で~す!!サイエンスが未来を切り開く時!」
「本日2回目~!」
「シトロニックギア・オン!!名付けて、『今度こそ撒き餌いらずコイキングだけこっち来いマシーン』です!!」
「もう・・・またまたそのまんまのネーミングなんだから」
さっきと同じネーミングセンスにユリーカがやる気のない声を出す。だがシトロンは気にせず、自信満々にメカを見せる。今度の奴はチョンチーではなくランターンの形をしていた。
「進化していやがる」
「まぁまぁ兄様、おそらくシトロンも成長しているから進化したと思いますよ」
「それよりも、コイキングだけが寄って来るの?」
形が変わっている事にツッコミをいれるカイトにシノンがまたフォローする。また先程の失敗もある為、セレナがジト目でメカを見つめる。しかしシトロンは水族館のコイキングで実験して、彼らが好む特殊な音波にしたから大丈夫だと言う。
「このランターン形マシンから特殊な音波が海底に向けて発射されます。以下チョンチーマシンと同じです!」
「やっぱ科学の力ってすげーな!」
「それでは早速始めます!」
「大丈夫なの?」
「今度こそ成功してよね」
「黄金のコイキングよ来たれ!行けええぇーーー!!」
ランターンマシンは勢いよく海に投げ込まれ、触角を海の中に垂らして特殊な音波を発生させる。暫く待つが反応がなく、また失敗かと思い始めた時、ルダンの釣り竿に獲物が掛かった。
「うわっ!来たぞ!」
「こっちもだ!」
「俺の所にも来た!」
「僕のにも来ました!」
「あっ!私にも!」
「私の方にも!」
ルダンに続くように全員の釣り竿に獲物が掛かり、強い力で海中に引っ張られていく。
「うぅ、重い!」
「それに凄い力よ!」
「皆慌てずに足に力を込めて引っ張るんだ!」
「ガウガウッ!」
「ピカピカ!」
「コンコーン!」
グラエナ達がそれぞれ横に来て応援する。するとピカチュウが海面に何かが現れ出したと叫ぶ。全員がそれに気付いて「これはもしかして目的の奴か?」と期待を膨らませる。そして精一杯釣り竿を引くと巨大な黄金のコイキングが釣り上げられた。
「「「「「「「黄金のコイキング!!」」」」」」」
伝説と言われた黄金のコイキングが今目の前にいる。他のコイキングと違う色で、しかもこんなに大きい。そしてそれを自分の手で釣り上げた喜びと興奮が全身に駆け抜ける。
「凄い!本当に居たんだ!」
「ピカァ!」
「これは見事だ!」
「ガウウ!」
「釣っちゃった!釣っちゃったー!」
「なんて綺麗な色・・・!」
「コーン!」
「僕のメカが役に立ちました!」
「やったねお兄ちゃん!」
「逃がすな!ピカチュウ、バトルの準備はいいか?」
「ピカピーカ!」
「グラエナ、お前も行け!出陣だ!」
「ガウガーウ!」
「それなら私も!キュウコン、お願い!」
「コーン!」
3人がそれぞれの相棒に指示を出そうとした時、巨大な黄金のコイキングの鰭の部分が開いた。そしてその中からロケット団が出て来たのだ。
こっそり後を追い掛けて黄金のコイキングの話を聞いた彼らは、自分達が捕まえようと黄金のコイキング型の潜水艦を作り上げ、本物の黄金のコイキングを誘い出そうと今までずっと海の中を泳いでいたのだ。そんな彼らを見てサトシが驚きの声を上げる。
「なんだかんだだと言われたら!」
「黙っているのが常だけどさ!」
「「それでも答えて上げるが世の情け!」」
「「世界の破壊と混乱を防ぐため!」」
「「世界の平和と秩序を守るため!」」
「愛と真実の悪と!」
「力と純情の悪を貫く!」
「クールでエクセレントであり!」
「ラブリーチャーミーな敵役!」
「ムサシ!」
「コジロウ!」
「ミズナ!」
「ロバル!」
「「宇宙と銀河を駆けるロケット団の4人には!」」
「「ホワイトホールとブラックホール、2つの明日が待っているぜ!」」
「にゃーんてニャ!」
「ソォーナンス!」
「イートマ!」
「エアーー!」
サトシの声に反応してお決まりの長い台詞を言うロケット団。だが今のカイト達はそんな台詞すら嫌がるほど怒っていた。そしてロケット団も同じだった。
「なんなのよぉ!せっかく黄金のコイキングを捕まえようとしていたのに!邪魔しないでー!!」
「ソーナンス!」
「それはこっちのセリフだ!」
「あぁ!ホント紛らわしい事すんなよ」
カイトとサトシは怒鳴るムサシに向かってため息をつきながら言う。
「あの人達は?」
「人のポケモンを強奪する悪い奴等です!」
ロケット団について訊ねるルダンにシトロンが説明する。それを聞いてニャースが怒りながらこの場にいるポケモン達を強奪してやると言う。
「今こそアームハンドの力を見せてやるじゃーん」
「おう!まずはあのウデッポウだ!」
「よし、ゲットよ!」
5人が素早く艦内に入るとコイキングの髭の部分がアームとなってウデッポウを捕まえようとする。しかしウデッポウは素早い動きで何度も避ける。
それを見てロケット団は標的を変更し、近くにいたデデンネを捕まえた。
「デネ、ネ~~」
「あぁ、デデンネが!?」
「ピカチュウ、頼む!」
「ピカチュ・・・!」
捕まったデデンネを助けようとピカチュウが飛び出そうとした時、横を何かが通り抜けた。それはウデッポウで、デデンネを掴んでいるアームを右腕の鋏・アームガンで挟み、そのまま回転も加わった力で切り落とした。そして解放されたデデンネを背中に乗せ、素早く上陸した。
「行くのよバケッチャ!」
「行け!マーイーカ!」
「行くじゃん!シシコ!」
「行きなさい!カメテテ!」
「チャチャチャ!」
「マイッカ!」
「シシーー!」
「メ~テ!」
デデンネを奪い返されたのを見て再び潜水艦から顔を出した4人は一斉に手持ちポケモンであるバケッチャ、マーイーカ、シシコ、カメテテを出して『シャドーボール』、『サイケ光線』、『火炎放射』、『水鉄砲』を同時に放って攻撃する。
しかしウデッポウは再び素早い動きで避ける。
「水鉄砲じゃ!」
「ウポー!」
ルダンの指示を受けてウデッポウは、アームガンから『水鉄砲』を撃ち出してマーイーカとカメテテを攻撃し、次に『クラブハンマー』でバケッチャとシシコをブッ飛ばした。そして最後に『バブル光線』で4体同時に攻撃を与える。強烈な攻撃を受けた4体は真下にいたロケット団の上に落ちて、それにより全員が潜水艦の中に入った。
ちなみに余談だが、ウデッポウの連続攻撃にカイト達は驚きのあまり何も言えなかった。
「ガウ!ガウガウゥ!」
「ピカ!ピカピカ!」
「あ、あぁ・・・グラエナ!悪の波動!」
「ピカチュウ!10万ボルトだ!」
グラエナとピカチュウの声で正気に戻ったカイトとサトシは、それぞれ止めの『悪の波動』と『10万ボルト』を指示する。技は見事に潜水艦に命中し、大爆発を起こす。
「「「「「やなカンジ~~~!!」」」」」
「ソォーナンス!!」
ロケット団はいつものように今回も空の彼方へ飛んで消えていった。
撃退したのを確認した後、ユリーカがデデンネを抱えてウデッポウの元に駆け寄る。
「ウデッポウ!デデンネを助けてくれてありがとう!」
「コイツは愛想はないが正義感は強い奴なんじゃよ」
「ウポ~!」
ユリーカに褒められ、ルダンに言われたウデッポウは青い顔にほんのりと赤くさせてそっぽを向いた。これまでにない様子を見てカイト達は笑い声を響かせるのであった。
その後夕方になるまでずっと釣りを続けていたが、お目当ての黄金のコイキングは釣れなかった。
「今日はここまでじゃな」
「なんか変な邪魔が入っちゃってすみません」
「結局釣れなかったわね・・・」
「まぁ、仕方ないさ。釣り竿、どうもありがとうございました」
苦笑しながらカイトが借りていた釣り竿を返そうと渡すが、ルダンは優しい表情で頭を横に振るう。
「それは持っていくといい。また使う事もあるだろう」
「いいんですか?」
「ありがとうございます!」
「とても嬉しいです!」
「大切にします!」
「ありがとうございます!」
思いもよらぬ所で釣り竿を手に入れる事ができたカイト達はお礼を言う。すると海上から何かが飛び跳ねた。全員が振り向いて見てみると、その正体は夕陽に照らされながら全身を黄金に輝かせる伝説の黄金のコイキングであった。
「い、今のって・・・」
「おおおおお~~!!伝説は本当だったーー!!やった!やった!やった!」
猛烈に喜ぶルダンに感化され、カイト達もハイタッチをして喜び合った。
この時ハイタッチした相手が誰であったのかは言うまでもない。
その後カイト達はルダンとウデッポウに別れを告げ、気分良くショウヨウシティに向けて出発するのであった。