ポケットモンスターXY 神に魅入られた悪使い   作:ヤマタノオロチ

19 / 35
皆様、長くお待たせして申し訳ありません。えっ?遅すぎるって?
本当にごめんなさい。どうか怒らないで!!
今年の目標を達成する為に次こそは早く書き上げます!今回は原作に少しオリジナルを加えております。
感想と評価をお待ちしております。



古代より甦りしポケモン!チゴラスとアマルス!!

海辺の町・コウジンタウンにあるポケモンセンターのバトルフィールドにて、今日もカイトとサトシのショウヨウジム戦に向けての特訓が行われていた。

因みに近くにはシノン達とピカチュウ、グラエナ、キュウコン、今回ジム戦に出るポケモン達がボールから出て一緒に観戦していた。

 

 

「ノクタス!ミサイル針!」

 

「ノーククク!」

 

「ヤヤコマ!影分身!」

 

「ヤーコ!」

 

 

ノクタスが放つ大量の『ミサイル針』をヤヤコマは『影分身』で避ける。

最初の時に比べてスピードと精度がかなり上がっていたが、それでもノクタスの『ミサイル針』の方が速く、威力がある為に必死であった。

 

 

「くっ、このままだといつか当たってしまう。それなら・・・ヤヤコマ!電光石火だ!」

 

「ヤコー!」

 

「良い動きだ。だけど甘い・・・ノクタス!ニードルガード!」

 

 

技を避けながら接近するヤヤコマの動きを褒めながらカイトはノクタスに指示を出す。ノクタスは一旦体を丸めて、ヤヤコマがある程度接近したところで大の字のポーズをする。するとノクタスの全身から鋭い草の棘が出て、それによりヤヤコマは大きく吹っ飛ばされる。これぞ今回のジム戦に対抗する戦術の要である『ニードルガード』だ。

 

 

「ヤコーッ!?」

 

「あぁ!ヤヤコマ!?」

 

「良い技だろ?だが次はさらにとっておきの技を見せてやる。ノクタス!雷パンチ!」

 

 

思わぬ攻撃によって吹っ飛ばされたヤヤコマはダメージが大きかったのか、体勢を整えられずそのまま落下していく。そんなヤヤコマにノクタスはジャンプして接近し、追い撃ちの如く『雷パンチ』を食らわせて地面に叩きつけた。

砂煙が晴れてフィールドが見えるようになると、ヤヤコマは目を回して戦闘不能になっていた。

 

 

「大丈夫か、ヤヤコマ?」

 

「ヤコ~・・・」

 

 

駆け寄ったサトシの問いにヤヤコマは翼を上げて答えるが、ダメージのせいで苦痛の表情になって翼を押さえた。

それを見てサトシは苦笑しつつ「頑張ったな」と褒めて、ヤヤコマをボールに戻した。それと同時にカイトが近づいた。

 

 

「バトルには負けたが、特訓の成果は順調に出ているな。ヤヤコマの技、スピード、前よりも上がっていたぞ」

 

「あぁ、だけどもっと強くならないとザクロさんに勝てない。さらに特訓をして経験を積んでいくぜ!カイト、次はケロマツで頼む」

 

「ならこちらはボスゴドラだ。ボスゴドラ、出陣だ!」

 

「ゴドー!!」

 

 

カイトの呼び掛けを聞いて、観戦していたボスゴドラはドスンドスンと足音を鳴らしながらバトルフィールドへ向かう。それと同時にケロマツもバトルフィールドへ向かった。そして次のバトルが行われようとした時、何処からか拍手が送られてきた。

 

 

「本当に良い動きだったわ!」

 

 

そう言って褒めながらこちらに向かって女性が1人歩み寄ってきた。その人を見て一番早く呼んだのはサトシだった。

 

 

「パンジーさん!」

 

「皆、久し振り!元気そうね」

 

「エリエリィ!」

 

 

やって来たのはポケモンルポライターのパンジーさんと相棒のエリキテルだった。最初のジム戦後に別れてから数日ぶりの再会だ。

パンジーは全員に挨拶した後、出会ったばかりだったシノンとセレナが一緒にいるのを見て少し驚きながら話し掛けた。

 

 

「貴方達もサトシ君達と一緒に旅をしているのね」

 

「はい!色々あって、一緒に行く事にしたんです」

 

「私も同じです」

 

「そうだったの」

 

 

話し合っている最中、肩に乗っかっていたエリキテルが降りて足元でピカチュウと再会できた事を喜び合っていた。そこへグラエナ、キュウコン、デデンネも加わって楽しそうに話し合う光景を見た後、カイトは再びパンジーへ視線を移した。

 

 

「それでパンジーさん、どうして此処へ?」

 

「バトルシャトーでビオラに会ったでしょう?」

 

 

質問したつもりが逆に質問されてしまった。まぁ、別に気にしていないのですぐに頷く。

 

 

「相変わらずビオラさんは強かったです。けどザクロさんに負けてしまいました」

 

「凄く悔しがっていたわ、ビオラ。本当に負けず嫌いなんだから」

 

 

その時の姿を思い出したのか、バンジーは肩を竦めて苦笑する。そこでようやくこちらの質問に答えてくれた。

 

 

「それでビオラが、サトシ君達が次はショウヨウジムを目指してるって言ってたの。丁度私も取材でこっちへ来る事になって、もしかしたら会えるかな~と思って来てみたら、当たりだったわね」

 

「取材というと?」

 

「化石研究所の取材よ」

 

「「化石研究所!?」」

 

 

化石研究所と言う言葉を聞いて、真っ先に飛びついたのはカイトとシノンである。姉の影響でポケモン考古学に大変興味を持っている2人、特にシノンはそれを目指しているから尚更だ。

それとは逆に普段常に落ち着いた態度をとっている2人がこんなにも激しく反応している姿を見てセレナ、シトロン、ユリーカ、パンジーは驚く。

ちなみにサトシはシンオウ地方で何度か見た事があったのでそれほど驚かなかった。

 

 

「あの化石研究所へ取材に行ける・・・とても素晴らしい事ではないですか!」

 

「本当です!あぁ、一体どんな研究をしているのか知りたい!」

 

 

コウジンタウンの化石研究所はとても有名で、ポケモン考古学者やそれを目指す者にとってまさに聖地と言ってもいいくらいだ。興奮気味に話し合う2人を見てセレナとシトロンは少し呆け気味だ。そこへいち早く正気に戻ったユリーカが、シノンの服の袖を引っ張って訊ねた。

 

 

「研究所って何をする所?」

 

「大昔に生きていたポケモン達の化石を調べる事で、ポケモン達がどんな風に生きていたのか研究する所なの!ポケモン考古学を学ぶ人にとって、誰もが喜んで行きたいと思う場所でもあるの!!」

 

「む、難しそう・・・」

 

 

シノンの説明を聞くユリーカだが、内容が理解できない為に苦い表情だ。しかしシノンは気づかずに化石研究所の歴史や実績等を事細かく話し続ける。このまま聞いていてもいいが、流石にこれ以上長引かせるのはマズイと判断したカイトが、一旦話を終わらせてパンジーの方を向かせた。

 

 

「その研究所で2つ大発見があってね。それを記事にする為に来たのよ」

 

「大発見!?何なんですか?教えて下さい!!」

 

「フフフ・・・そうね。これから時間があるようなら一緒に来る?驚くわよ!」

 

「エリ!」

 

「いいんですか!?お願いします!どうしても行ってみたいんです。そうですよね兄様!?」

 

「あぁ、俺からもお願いします!!」

 

 

カイトとシノンは同時に頭を下げて必死にお願いする。それを見てパンジーは誘って良かったと内心思いつつ、サトシ達にも一緒に行くかを訊ねる。この時サトシとシトロン、ユリーカは行きたいと言うが、セレナは骨とか石の化石に興味を持っていなかった為乗り気ではなかったが、シノンの強い説得によって行く事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポケモンセンターから少し遠い所に化石研究所があった。前に行った水族館と同じくらい大きな建物だ。一体どんな化石があるんだろうとワクワクしながらパンジーの後を付いて行くと研究所の中から研究員のタケダが現れた。今回の件で色々とお世話してくれるとの事で全員が挨拶をした後、早速中へ案内してもらった。

研究所の中はカイトとシノンにとって、まさに夢の世界とも言える所だった。カイリューとプテラの全体の骨が吊るされていて、そこら中に古代に生きていたポケモンの化石や植物の化石等が展示されていた。

 

 

「凄い!凄すぎる!ポケモンの化石だけでなく、植物やそれに関する化石もある!」

 

「カロス地方にはこんなにも多くの化石が発見されているのか!シノン、次はあっちだ!」

 

「はい!」

 

 

2人は化石の良さを口に出しながらじっくり観察してメモを取り、研究所の中を見回る。その熱意の凄さにサトシ達はただ見つめる事しかできず、早く大発見を見に行きたい気持ちを抑えて待つ事にした。

そして暫く経った後2人は満足そうに微笑みながら待っていてくれたサトシ達と合流し、再び移動した。タケダが言うに、次に向かう部屋に例の大発見の1つがあるらしい。

 

 

「さて、次の部屋を案内する前にこの防寒服を着て下さい」

 

 

ロッカーから取り出した黄色の防寒服を渡されたカイト達は当然首をかしげるが、言われた通りに服を着る。そして案内された別棟の部屋に入った瞬間理由が分かった。

その部屋の中は一面雪で覆われていて、凍てつく冷気によって川の一部が凍っている等、まるで寒冷地みたいだ。

 

 

「これは堪らない寒さだな・・・」

 

「ガウッ~~」

 

 

防寒服を着ても寒さを感じて震える俺の足元で、グラエナが体を温める為に何度も足に擦り付けてくる。シノン達も同じく寒さを感じて震えている。まぁ、キュウコンだけは平気だった。

 

 

「すみません。此処にいるポケモンに合わせて室温を低く設定しているんです」

 

「此処にいるポケモン?もしかしてそのポケモンは氷タイプですか?」

 

「その通りです。ほら、あそこに・・・」

 

 

タケダが指差す方向を見つめると、木の陰から水色で首が長いのと頭の虹色の鰭が特徴のポケモンが2体現れた。

 

 

「ルース!」

 

「ル~ス!」

 

 

そのポケモン達は何の警戒心も持たずにこちらに向かって来て、目の前にいたサトシとシノンにゆっくりと顔を近づけてきた。

 

 

「冷てぇ!?」

 

「ピカピ!」

 

「このポケモンは一体・・・?」

 

「コーン?」

 

「アマルス!?あのアマルスですか!!」

 

 

初めて見るポケモンにサトシとシノンが疑問の声を上げると、後ろにいたシトロンが驚きの声を背後から出しつつ2人に説明した。

 

 

「このカロス地方のずっと北の寒冷地帯に生息していたと思われる古代のポケモンですよ!」

 

「よくご存じですね!そう、これが古代に絶滅してしまったと言われるアマルスです!」

 

 

古代ポケモン・・・成程、これが大発見なのかとカイトが思った時、突然地響きが起こった。それは段々こちらに近づいて来て、全員が音のする方を見るとそこには大きなポケモンがいた。

 

 

「ルガーーー!!」

 

 

大きく鳴き声を上げるそのポケモンは、頭から首に薄黄色で輝く大きな鰭が特徴で、見た目はアマルスに似た姿をしていた。

 

 

「そしてこちらがアマルスの進化形、アマルルガ!」

 

「大きい!!」

 

「凄い!生きたアマルスとアマルルガだ!」

 

「これが大発見なんだ!化石じゃなくて生きてるポケモン!」

 

「ええ、そうよ、私は彼らを取材に来たの!」

 

「エリ!」

 

 

サトシ達が騒ぎ、タケダがアマルス達が復活した理由を説明する中、カイトとシノンはゆっくり3体に向けて手を伸ばす。すると前にいたアマルス達が、まるで撫でてと言っているかのように頭を出して来た。それを見て2人は嬉しい表情になりながら頭を撫でる。

このアマルス達だが、タケダが言うにカイトの撫でている方は通常サイズで、シノンが撫でている方は少し大きいサイズとの事だ。

説明を聞きながらカイトはじっくり彼らの感触を味わう。冷たい・・・だが、今生きているんだな。それを俺達は感じているんだな。

 

 

「兄様・・・私、今こうして彼らに触れているのがとても嬉しいです!」

 

「俺もだよ、シノン」

 

 

シノンの喜びに俺は同意する。ポケモン考古学に興味を持ち、必死に学んできて本当に良かった。もし学ばなかったらこんな良い気持ちにはならなかっただろう。

シロ姉には本当に感謝するしかない。

そう思っている中、アマルス達は笑顔のままもっと撫でてと言わんばかりにさらに頭を擦り寄せて鳴き声を上げた。

 

 

「随分と人懐っこい子達だ。どちらも遊んでほしいと言っている」

 

「此処にいるから、人慣れしたんでしょうね」

 

「それもありますが、元々彼らは敵の少ない地方に住んでいましたから、警戒心が薄くとても友好的なんですよ」

 

「そうなんですか!」

 

「それは化石だけでは分からない特徴ですね」

 

「ええ。こうして彼らを観察する事で、古代のポケモンの事がより分かるかもしれません」

 

 

話を聞いていて俺は内心納得する。確かにそれはこうやって実際に触れ合って観察しなければ分からない事だ。そんな時アマルス達は遊ぼうと言いながら再び頭を擦り寄せて来た。それを皆に伝えるとサトシが大声で言った。

 

 

「よーし!それなら皆で遊ぼうぜ!」

 

 

駆け出したサトシの後をアマルス達は楽しそうに追い掛ける。俺達もそれに続くように追い掛けた。その様子をアマルルガは穏やかな表情で見つめる。そしてパンジーはタケダに目的である取材を行うのであった。

 

 

 

だがこの時、天井の方に静かに飛びながら部屋の中を監視する小型メカに誰も気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遊び始めてから大分時間が経った。アマルス達は今もなお元気一杯でまだ遊び足りぬ様子だが、カイト達はすっかり体が冷えてしまった。

 

 

「うぅ、凄く冷えてきちゃった・・・」

 

「えっ?そうか?俺はすっごくポカポカしてきたけど!」

 

「ピーカ!」

 

「あれだけ遊び回ってればね・・・」

 

 

セレナが自分の身を抱いて体を震わせながら代表して言う。しかし、サトシとピカチュウだけは違った。遊び続けた事が逆に体を温めたようで、それを見てセレナは少し呆れてしまう。

 

 

「確かに体が冷えてきたかも。ずっとこの室温だもんね。一度外に出て温まりましょうか。それにもう1つの大発見も見たいしね」

 

 

何気なく重要な事を言いながらパンジーは出口に向かって歩いて行く。そんな彼女の後をカイトとシノンが急いで追い掛けて訊ねた。

 

 

「えっ?大発見ってアマルスとアマルルガの事では・・・?」

 

「ううん!彼らとは別の・・・もう1つの大発見があるの」

 

「そうなんですか!?あ、でも・・・」

 

 

もう1つの大発見を見に行こうとするシノンだが、アマルス達の・・・特に最初に自分が触れ合ったもう1体より少し大人しい感じの子の寂しそうに見つめる視線に気が付き、戸惑ってしまう。

そんな彼女を見て俺は少し苦笑しつつ、優しく肩に手を置く。

 

 

「体を温めて大発見を見たらすぐ此処に来ればいい。そしてまた彼らと一緒に遊ぼうぜシノン」

 

「兄様・・・はい。そうします」

 

 

カイトの言葉に理解して頷きつつもまだ心が納得していない為か、シノンは時々後ろをチラチラと振り向いた後、皆と一緒にゆっくり部屋から出て行った。

その後カイト達は温かいお茶を飲んで体を温めた後、タケダの案内によって先程とは別の部屋に着いていた。

 

 

「お待たせしました。この部屋にもう1つの大発見があります」

 

 

そう言われてドキドキしながら中に入ると、沢山の研究員達が様々な化石を手に持ち、骨を組み立てたり、付着している土を小道具で綺麗にする等の作業を行っていた。

だけどそんな事よりもカイト達の目は、奥にある巨大なカプセル状の機械の方に向いていた。

 

 

「これが我が化石研究所が誇る、化石復活マシンであります。このマシンにより先程のアマルス達は復活できたのです」

 

「そうなのですか。ちなみにこの中にはもう何も入っていないのですか?」

 

「いいえ、実は今・・・この中にあるポケモンの化石が入っていて、まもなく復活するのです!」

 

「「「「「「えっ!?」」」」」」

 

 

今何て言った?まもなく復活するだと!?驚くカイトの傍でサトシ達も再び歴史的瞬間が見られると興奮していた。するとマシンからピピッと音が鳴って、蒸気を出しながら扉が開いた。そして中から体が茶色で、見た目が恐竜に似たポケモンが出て来た。

 

 

「このポケモンは・・・」

 

『チゴラス。幼君ポケモン。大顎は自動車をバリバリかじって壊す破壊力を持つ。気に入らない事があると怒って大暴れする』

 

 

ポケモン図鑑で調べ終わった後、再び復活したポケモン・チゴラスを見る。

チゴラスはゆっくりマシンから出て周りをキョロキョロと見渡し、目の前にいるカイト達全員に見られていると分かった瞬間大泣きし始めた。

 

 

「凄い鳴き声!!」

 

「きゅ、急にどうしたんだ!?」

 

「怖がっているんだ。いきなり知らない場所にいて、知らない俺達に見られ恐怖を感じているんだ」

 

 

必死に耳を押さえながらサトシ達に説明をし、懐から笛を取り出して鳴き声を我慢しながら演奏を始める。すると泣いていたチゴラスは笛の音を聞くと徐々に泣き止み、じっとカイトの顔を見つめる。それを見てカイトは演奏を止めて、ゆっくり近付いて刺激しないように手を下から出してチゴラスの頬を撫でた。

 

 

「よしよし、大丈夫だよ。此処にはお前を虐める奴なんていないからな」

 

「・・・チ~ゴ」

 

 

俺の言葉を理解したのか、チゴラスは甘えるように寄り添って来た。誰も1人だと不安になるし、寂しい筈だ。古代から現代に来たら尚更怖いよな。そんな不安を取り除いてあげるように優しく何度も撫でる。

それを見てサトシ達や研究員達から拍手が上がり、タケダが代表してお礼を言った。

 

 

「ありがとうございます!お陰様で助かりました」

 

「いえいえ、俺がただ放っておく事ができず、勝手にやっただけですから」

 

 

そう言いながらチゴラスを撫でていた時、突然大きな物音がした。さらにその後アマルルガの鳴き声が聞こえてきた。その声はとても混乱しているような感じだ。

アマルルガの鳴き声を聞いたカイト達は急いで彼らがいる部屋へ向かった。

ちなみにこの時、彼らの・・・否、正確にはカイトの後を何故かチゴラスが付いて行ったのは余談である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方アマルルガとアマルス達がいる部屋では、ある者達が騒ぎ慌てていた。

その者達はロケット団で、彼らは先程忍び込ませていた小型メカでアマルス達の事を知った。当然手に入れようと、一同は壁を破壊して中に侵入した。

 

 

「何してるのよ!さっさとアマルルガも捕まえなさい!」

 

「早くしないと誰かがやって来るじゃーん!」

 

「そうしたいんだけど・・・!」

 

「お、重すぎて動かないんです~~!」

 

 

最初にアマルス2体を言葉巧みに騙して用意していたトラックの荷台の檻に捕らえる事に成功する。そして次にアマルルガも捕まえようとするが、あまりの重さに動かす事ができない上にアマルルガの鳴き声に気付いた職員が駆け付けて来た為、ロケット団はアマルス達のみ連れ去ろうと急いで荷台の扉を閉めてトラックを発進させてその場から逃走した。

それから少し経ってカイト達が現場に到着した。

 

 

「どうしたんですか!?」

 

「大変です!変な奴らがトラックでアマルス達を連れ去ったみたいなんです!」

 

「アマルス達を!?」

 

 

アマルス達を連れ去られたと言う事を聞いて全員が動揺する。特に1番可愛がっていたシノンは動揺のあまり倒れかけてしまうが、カイトが咄嗟に支えて倒れずに済んだ。

 

 

「いけない!早く捜し出さないとアマルス達が危険だ!」

 

「どういう事です?」

 

 

突然タケダが大声で言い、パンジーが理由を訊ねてみるとアマルスは暑さに弱く、長時間温かい所にいると最悪の場合死んでしまうと言う事だった。

それを聞いて全員が再び動揺し、急いで助けに行こうとカイトがまだ残っているかもしれないトラックとアマルス達の臭いを嗅がせようとした時、部屋の中にいたアマルルガが鰭を薄水色に変えて職員を振り切りながら外に出た。

そして大きな声で鳴き声を上げると空にオーロラが現れた。

 

 

「オーロラが現れた!?」

 

「あれは・・・アマルス達の影響です」

 

「えっ!?」

 

「アマルス達が鳴くと上空の地磁気に影響を及ぼし、オーロラが出現するんです!」

 

「つまりあのオーロラがある方向にアマルス達がいると言う事ですね」

 

 

シトロンが結論を言い終えた瞬間、アマルルガがオーロラの方向に向かって歩き出した。この暑い中でアマルス達を助けに行く気か。まぁ当然の事だよな、とそう思った時シノンが俺の腕を掴んでじっと見つめながら静かに頷いた。それを見て俺は彼女の気持ちを察して行動を起こす。

 

 

「タケダさん、俺達もアマルルガと一緒にアマルス達を助けに行ってきます。その間見つけたらすぐに運べて治療を行えるよう手配をしておいて下さい」

 

「分かりました」

 

「兄様、早く行きましょう!」

 

 

タケダに依頼した後、シノンと一緒にアマルルガの後を追い掛ける。その後に続いてサトシ達も走り出すのであった。

その後川で道が分かれていたり、オーロラが消えて居場所が分からなくなる事態が発生するが、アマルルガの冷気と仲間を想う絆によってカイト達はどんどん先へ進んだ。

周りが暗くなって夜の中の森を抜けて少し広々した所でようやくトラックに追い付いた。何故追い付けたかと言うと途中トラックがパンクしてしまって、犯人と思われる者達が修理していたからだ。

そんな奴らにサトシが怒りを含ませながら言う。

 

 

「お前達がアマルス達を連れ出したのか!?何者だ!?」

 

「何者!?と聞かされt「グラエナ、悪の波動!」・・・ってちょ、ぎゃああぁぁっ!!?」

 

 

いつものように長いセリフを言をうとするロケット団。だが今回は親切に聞く気なんてない。早くアマルス達を助けないといけないからだ!そう思ってカイトはグラエナに『悪の波動』を放つよう指示を出す。グラエナも状況を分かっているのか、ロケット団に容赦なく技を放つ。対するロケット団は、放たれた『悪の波動』を必死に避け、セリフを妨害したカイトとグラエナに激しく怒った。

 

 

「ちょっとダークボーイ!あんた空気読みなさいよ!」

 

「そうニャ!ニャー達のセリフは最後までしっかり聞くのが当然ニャ!」

 

「そんな事はどうでも良い。グラエナ、このままアマルス達を助けるぞ!」

 

「ガウッ!!」

 

「俺達もやるぜ!行くぞピカチュウ!」

 

「ピカ!」

 

「僕も手伝います!行きますよ、ハリマロン!」

 

「ハロー!」

 

「そう簡単にいかせて堪るか!行け!マーイーカ!」

 

「行くじゃん!シシコ!」

 

 

せっかく手に入れたアマルス達を取り返されて堪るかとコジロウとミズナはマーイーカとシシコを出す。そしてグラエナはシシコを、ピカチュウとハリマロンはマーイーカと対峙した。

 

 

「シシコ、頭突きじゃーん!」

 

「躱しながら噛み砕く!」

 

「シシー!」

 

「ガウゥッ!」

 

 

勢いよく走りながらシシコは『頭突き』を繰り出すが、グラエナは素早く横に回って『噛み砕く』でシシコの背中に噛みつく。

 

 

「そのまま地面に叩きつけろ!」

 

「ガウ!グラアアァッ!!」

 

「シシッ!?」

 

 

グラエナは噛みついているシシコを左右に振って勢いをつけた後、思いっきり地面に叩きつけた。シシコは地面を2、3度バウンドした後ミズナの足元まで転がる。だが意外とタフだったようで、ダメージを負ってふらつきながらも立ち上がった。

また横では、サトシとシトロンがピカチュウとハリマロンに的確な指示を出してマーイーカを相手に優勢に戦いを進めていた。

 

 

「チ~ゴ・・・」

 

 

そのバトルの様子をチゴラスはじっと見つめ、自分も戦いたいと内心思い始めるのであった。

激しいバトルが行われている間、シノン達はカイトとサトシが戦っている間にトラックに近寄って救出しようとする。だがそれをニャース、エアームド、イトマルが気付いて立ち塞がる。

 

 

「行かせないのニャ!」

 

「退きなさい!時間がないんだから!フォッコ、目覚めるパワー!」

 

「邪魔をするなら容赦しないわ!キュウコン、火炎放射!」

 

「フォーッコ!」

 

「コーン!」

 

 

セレナはボールから出したフォッコに『目覚めるパワー』を指示し、シノンはキュウコンに『火炎放射』を指示する。

2体は同時に攻撃するが、ニャースの『乱れ引っ掻き』で『目覚めるパワー』は切り裂かれ、イトマルの『毒針』とエアームドの『ラスターカノン』で『火炎放射』は相殺されてしまった。

 

 

「そう簡単にはいかないのニャ!」

 

「くっ!」

 

 

何故か今回においてバトルをするニャースやイトマル達の反撃にシノンはさらに焦り出す。一刻も早く決着を付けなければならない。こうなったら他の子達にも協力してもらうと腰にあるモンスターボールに手を伸ばそうとした時、背後から大きな足音が響いた。振り向くとアマルルガが鋭い眼でニャース達を睨んでいた。

 

 

「アマルルガ!!」

 

「セレナ、早くこっちに!」

 

 

シノンがセレナの手を引いて離れたのと同時にアマルルガが口から『凍える風』を放つ。それによりニャースとイトマルは氷漬けになった。エアームドだけは空高く飛んで躱し、翼を大きく広げて『鋼の翼』で攻撃しようとするが、アマルルガが次に放った『吹雪』で氷漬けになって落ちていった。

邪魔する者がいなくなった後、シノン達はトラックの荷台の扉を開ける。中ではアマルス達が互いに寄り添いながら体を丸めていた。

 

 

「っ!アマルス!!」

 

 

2体の様子を見てシノンは急いで中に入り、檻の間から手を伸ばして触れてみる。

 

 

「体の気温が最初の時よりとても高い。それに鰭の輝きが失っている。このままでは本当に危ない!キュウコン、アイアンテールでこの檻を壊して」

 

「コン!コーン!!」

 

 

シノンは一度アマルス達から離れてキュウコンに『アイアンテール』で檻を壊すよう指示を出す。キュウコンは9つの尻尾全てに力を込めて檻の鉄格子を破壊した。そして全ての鉄格子が壊れた後、シノン再びアマルス達の元に行き、一緒に入ったユリーカとパンジーと協力してアマルス達を外に誘導した。

 

 

「サトシ!カイト!シトロン!アマルス達は助け出したわ!」

 

「よし!それならこっちも終わらせるぜ!」

 

「ああ!」

 

「はい!」

 

 

セレナからアマルス達を助け出す事に成功した事を聞いてカイト達はいくらか気持ちが楽になった。このまま一気に片付けようとロケット団と向き合う。

対するロケット団は、再びアマルス達を捕まえる為自分達の残りの手持ちを出そうとするが、それよりも先に怒りに燃えるアマルルガが先に氷漬けにしたニャース達を彼らの元に投げ飛ばし、続けざまに『凍える風』を放って全員を1つの氷の塊にした。

 

 

「ありがとうアマルルガ!よしグラエナ、悪の波動!」

 

「ピカチュウ、10万ボルト!」

 

「グウゥガアアァァッ!!」

 

「ピカ!ピカチュー!」

 

 

2体が同時に放った技は、途中で交じり合ってさらに強力な技となって迫る。しかしロケット団は氷漬けの為逃げられず命中する。

 

 

「「「「やなカンジ~~~!!」」」」

 

「しもやけになる~~」

 

「ソォーナンス!!」

 

 

ロケット団は今回氷漬けと言うおまけを加えながら空の彼方へ飛んで消えていった。

それを見送った後、カイト達はアマルス達の元へ行く。アマルス達は弱々しく荷台から降りるが、とうとう限界に達してその場に崩れ落ちた。

 

 

「アマルス!!」

 

「いけない!どっちも体温が上がり過ぎて危険だわ!」

 

「そんな!」

 

「しっかりしろアマルス!」

 

「ピカピカ・・・」

 

「早く研究所に戻さないと・・・」

 

「どうしましょう兄様!?」

 

「落ち着けシノン!兎に角アマルス達を冷やすんだ。グラエナ、氷の・・・」

 

 

涙目になりながら焦るシノンを必死に落ち着かせてグラエナに指示を出そうとした時、背後からアマルルガ近づいてきた。

 

 

「アマルルガ!!」

 

「何をする気でしょう?」

 

 

近づいて来るアマルルガを見てカイト達は疑問に思いながら少し離れる。するとアマルルガがアマルス達を囲むように座り、体から冷気を出して2体を冷やし始めた。それを見てカイトはアマルルガの行動の意味が分かった。

 

 

「成程、アマルルガは冷気でアマルス達を冷やし、体温を元に戻しているんだ」

 

 

皆に説明してから少し経つとアマルス達の鰭が元の色に戻り、2体は頭を上げてこちらに向かって鳴き声を上げた。

 

 

「ルース」

 

「ル~ス」

 

「良かった。少し元気になったみたい」

 

「やったなアマルルガ!」

 

 

アマルス達が立ち上がる程元気なったのを見て全員が安堵する。あとは急いで研究所へ戻るだけだと思った時、丁度タイミング良く研究所から迎えの車が何台も到着した。

そして車から職員達が素早く出て来てアマルス達を保護して行った。

 

 

 

 

 

それから数時間後、研究所の彼らの部屋にカイト達が集まるとタケダがアマルス達を連れてやって来た。

 

 

「アマルス達は体温調節もできるようになりました。もう大丈夫です」

 

「そうですか」

 

「良かったわねアマルス」

 

「ル~ス!」

 

 

シノンが彼らに微笑みを浮かべながら近寄ると大きいサイズのアマルスが近寄り、彼女の頬に自分の頬を擦り付けて甘えた。

 

 

「ふふ、冷たいよ」

 

「ルス!ル~ス」

 

 

2人のやり取りを見つめながら俺は内心このままシノンの手持ちになったらいいかもなと思ってしまう。だがそれはきっと無理だ。この3体は家族同然で、きっと付いていく事なんてないだろうな。

そう思っているカイトだが、近々彼らが再び騒ぎを起こす事になるとは思っていなかった。しかもその中にあるポケモンも加わっている事も・・・。

 

 

「・・・・・チ~ゴ!」

 

 

そしてそれは、遠くない未来で起きるのであった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。