ポケットモンスターXY 神に魅入られた悪使い 作:ヤマタノオロチ
突然ですが皆さん、転生って知っていますか?いやなに変な事を言っているんだと思うけど、実は俺・・・死んでこの世界に来た者なのさ。
元々いた世界では、普通に学校に行ってつまらない授業を受けて、普通に帰って飯を食べて風呂入って勉強して寝るというごく平凡な生活を送っていた。けどある日いつもなら絶対に車が通らない所から突然車が出てきて事故に遭ってしまった。
そのまま天国か地獄に行くかと思っていたら突然目の前にアイドル的な天使様が現れて俺をこの世界・ポケットモンスターの世界に転生させてくれた。しかもアニメの方に!
ポケモン好きな俺にとっては嬉しかった。あの天使様には本当に感謝しても感謝しきれないぜ。
そしてこの世界に転生されたのは良かったけど、最初はいい感じではなかった。
幼い時に親が亡くなるという悲しみに襲われた。そのため暫くの間、暗い感じになってしまったが、シンオウ地方に引っ越した際に出会ったチャンピオンとその妹のおかげで吹っ切ることができた。そして成長した俺はいろんな地方に行って人やポケモンと出会ったり、ゲットしたり、バトルしたり等と様々な体験をしてきた。
「今思えば大変な経験をしたな・・・」
「ガウッ?」
「うん?あぁ、何でもないよグラエナ」
俺の膝の上にいた相棒・グラエナが不思議そうに見つめてきたので、頭を撫でながら大丈夫だと言う。こいつは俺が旅に出た時からずっと付き合ってくれた奴だ。
『皆様、あと1時間後にカロス地方・ミアレシティにご到着します』
飛行機のアナウンスがなって目的地の到着時間を知らせる。
「ちょうど夕暮れ時に着くようだ。着いたら最初にポケモンセンターの宿泊施設に行って休んでから今後の予定を考えるか」
「ガウ!」
今俺達はカロス地方行きの飛行機に乗っている。目的はこの地方のリーグに挑戦するためだ。此処でも必ず優勝してやる!
そして目的地に辿り着き、飛行機から降りて泊まれる場所を探すため街の広場に向かう。だが広場に近づくにつれて人々が慌ただしく動いている。
流石に気になったので近くに居た人に尋ねた。
「あの、何かあったのですか?」
「あぁ、実はこの先でガブリアスが暴れているみたいなんだ」
「ガブリアスが?」
遠くの方を見るとあっちこっちに煙が上がっていた。放っておけないと思い、様子を見に煙の上がっている方にグラエナと共に走る。途中でガブリアスの姿が見え、広場にあるプリズムタワーに降り立った。周りには大勢の人が心配そうに見ている。
「タワーの上だとここからじゃ登れないな。どこかいい所は・・・」
「ガウガウ」
考えていた時にグラエナが足を突っついて人気の少ない場所を指差す。ガブリアスを助けるためにはあそこから忍び込むしかない。
そう考えたカイトはグラエナを落とさないように肩に乗せ、目的の場所に向かうとバッグの中から先端に鉤爪が付いているロープを出し、タワーの端に引っかけて慣れた動きでタワーを登った。幸いにも周りの人達はガブリアスに夢中になって彼らの存在に気づかなかった。
ようやくガブリアスが近くに居る所まで着き、接近しようとした時、途中で人の気配を感じた。警察かなと思いながら覗いてみるとその人は赤い帽子を被って肩にピカチュウを乗せていた。アイツは・・・間違いない。
「サトシ!」
「えっ?カイト!お前、何で此処に!?」
「ピカピカ!?」
「話は後回しだ。それよりもガブリアスはこの近くだ。行くぞ!」
「分かった!」
サトシと共にガブリアスの所へ向かって接近する。
「ガブリアス!!」
サトシが呼びかけた瞬間、ガブリアスは俺達目掛けて『破壊光線』を放ってきた。それを避けて冷静にガブリアスを観察すると首元に変なリングが付いていた。
「あのリングが原因なのか・・・?」
他に異常の物はないから、やはりあのリングが原因なのだろう。なんとか外そうとするが、ガブリアスが暴れているために近づけない。何か方法はないかと考えていると隣でサトシが再び声を掛ける。ピカチュウとケロマツも必死に呼び掛ける。
「ガ、ガァァブ!!」
一瞬サトシの声にガブリアスは反応したが、リングのせいで再び正気を失ってタワーの最上階へ飛んで行ってしまった。後を追うために上に行く階段を見つけて急いで登る。最上階に辿り着くとガブリアスが警戒しながらまた『破壊光線』を放ってきた。それを避け、ピカチュウとグラエナが反撃しようとするのを止め、呼び掛けながら俺達は近づく。
その時、リングが強く光ってガブリアスを苦しめる。それによりガブリアスは後ろへ大きく下がってしまう。このままだと確実に落ちる。
「ガブリアス!!」
サトシが叫んだのと同時にケロマツがジャンプして首元のケロムースを飛ばした。それはガブリアスの足に命中して動けないように固定した。
「今だサトシ!グラエナ行くぞ」
「あぁ!ピカチュウもあのリングを壊すんだ!」
俺達は左右同時にガブリアスに抱きついて動きを止める。そしてピカチュウは『アイアンテール』を、グラエナは『噛み砕く』を繰り出してリングを壊した。壊れたことで苦しみから解放されたガブリアスは眼から涙を流しながら倒れる。
「大丈夫か?」
「待ってろ。今すぐ応急処置をしてやるからな」
バッグから傷薬やハンカチ、回復できる木の実等を取り出して処置をしようとした時、何かが崩れる音がした。振り向くとピカチュウが崩れた足場と一緒にタワーから落ちていた。
「ピカ!?」
「ピカチュウ!!」
「えっ!?ちょ、ちょっと待て馬鹿!!」
サトシはタワーから落ちていくピカチュウ助けようと迷わず追いかけて飛び降りた。その行動にカイトを含めた全員が驚いた。慌てて助けようと手に持った薬を置いて、ロープを投げようとした時に突如炎を纏ったポケモンがサトシとピカチュウを抱きかかえて助け、静かに地面に下ろした。
そして月を背に建物の上に飛んだのはバシャーモがメガシンカした姿・メガバシャーモだった。メガバシャーモは元の姿に戻り、バシャーモに似た仮面を付けたトレーナーと共にその場から立ち去って行った。
その後、俺達は暴走したガブリアスを助けた事でタワー近くに集まっていた報道陣にインタビューを受け、プラターヌ博士の研究所で一夜を過ごした。
そして次の日の朝、旅の支度を整えて研究所の外に出ると既に博士とサトシ達が居て、ポケモン図鑑を貰っているところだった。
「おはようカイト!」
「おはよう。待たせたか?」
「いや、大丈夫だぜ。それよりカイト、お前の分のポケモン図鑑だ」
俺がやって来るのに気が付いたサトシが軽く挨拶して、俺の分のポケモン図鑑を渡す。
何故サトシ達が待っていたのかと言うと昨日話し合ってシンオウと同じように一緒に旅をする事を決めたからだ。
図鑑を受け取ってポケットにしまい、いざ出発しようと足を踏み出すとサトシの顔にケロムースが投げられた。前を見るとケロマツが居て、側にはモンスターボールがある。これを見て俺は瞬時に理解する。
「どうやらケロマツはお前と行きたいみたいだぜ、サトシ」
「えっ!?そうなのか?」
「・・・ケロ!」
力強く返事をするケロマツを見てサトシはモンスターボールを拾って一緒に行くか尋ねる。そしてケロマツの方からモンスターボールに入る。
こうしてサトシに新しい仲間ができ、博士に見送られながら俺達は出発した。