ポケットモンスターXY 神に魅入られた悪使い 作:ヤマタノオロチ
今年の最新ポケモン映画を観てきました。やっぱりポケモンは良いですね。今回も素晴らしい感動シーンがたくさんあって、あるシーンでは思わず泣きそうになりました。
そんな感動もあって今回は勢いよく書く事ができました!タイトル通りあるポケモン達をある者達がゲットします!また、リクエストのあったポケモンも登場します。
感想と評価をお待ちしております。
カロスリーグに挑戦する為、ショウヨウジムがあるショウヨウシティに向かって旅をしていたカイト達は、コウジンタウンを出発して途中にあるミュライユ海岸でランチタイムを過ごしていた。
そして食事が終わると、サトシがカイトに特訓相手をお願いした。
「ご馳走様。今日もやるぞ!ショウヨウジムのジムバッジをゲットする為、早くザクロさんの岩石封じに対抗する技を身に付けるんだ。だからカイト、今日も相手を頼むぜ!」
「ケーロ」
「ヤッコヤコ」
「ピーカ!」
「あぁ、俺達もまだ調整が必要だから構わないぞ。だがさっき食べ終わったばかりだ。少し休憩してからな」
「ガーウ!」
「ゴドゴド」
「ノーク」
「ヒート!」
「じゃあその間に、ちょっとこれ使ってみない?」
セレナが自分のバックから取り出したのは、つい先日コウジン水族館で貰った折り畳み式の釣竿だった。
「折角海に来ているんだし、トレーニングばかりじゃ息詰まっちゃうでしょ?」
「賛成!だってだって可愛い水ポケモンが釣れるかもしれないし!」
「ネネ~」
「可愛い水ポケモンなら前にセレナが釣ったサニーゴやタッツー、ラブカス等がいるね」
「それに此処で新しい水ポケモンをゲットできれば、ケロマツも加わって岩タイプのザクロさんに対し、より戦力アップになるかもしれませんよ」
「確かにそれは言えてるな」
「成程な。よ~し!ウォーミングアップ代わりにやるか!」
「ピカチュー!」
そしてカイト達は食器を片付け、各自釣竿を準備して近くの岩場に座り、一斉に釣り糸を海に投げ入れた。また脇にグラエナ達を控えさせて、いつでも戦闘できるようにした。
「どんなポケモンが釣れるかな~?フフッ、楽しみ」
「素敵なポケモンだったら良いね」
雑談しながら釣り糸が動くのを待っていると最初に反応したのはサトシで、その次にカイトの釣竿だった。両者共に力の強いポケモンだろうか、引っ張る力が強くて2人とも苦戦している。
「うぅ・・・コイツ、結構力がある!」
「俺の方も・・・同じだ!」
「おお~~っ!」
「何だろう何だろう?サニーゴかな?それともパールル!?ひょっとしてホエルオーかも!」
「ホエルオーではないかもしれないけど・・・兄様!サトシ!頑張ってください!」
「ああ!任せろ!!」
「絶対に釣り上げてやる・・・!うりゃ~~っ!!」
リールを巻きながら2人は両腕に力を込めて釣竿を引く。そして先に釣り上げたのはサトシで、海から飛び出して来たのは海藻の塊みたいなものだった。
「な~んだ、唯の海藻じゃない」
「いえ・・・確かに何か釣れています!」
釣れた獲物をよーく観察してみると、それは海藻に似たポケモンだった。サトシがもっとよく見ようと顔を近づけた時、その獲物はサトシの顔に飛びついて来た。
「うわあああ~~~っ!?」
「お、おいサトシ、大丈夫か!?」
まだ引っ張り合いをしていたカイトは、早く何とかしようと釣竿を力一杯引いて、勢いよく釣り上げる。するとようやく獲物が海から飛び出して来たが、それはそのままカイトの頭に噛みついた。
「うおっ!?何だ!?急に真っ暗になったぞ!明かりは何処だ!?」
「兄様!?」
「ガウッ!?」
「コンコン!?」
あまりの事にシノン達は一瞬呆然としてしまうが、すぐにハッと正気に戻ってカイトの頭に噛みついたポケモンを引き離そうとする。
必死に引っ張りつつ、何とか傷つけないように注意しながらようやくそれを引き離せてそれを海へ投げ入れた。それと同時にサトシの方も飛びついてきたポケモンを引き剥がした。
「大丈夫ですか兄様!?」
「サトシも大丈夫!?」
「あぁ、大丈夫だよシノン」
「俺もだ・・・それよりもコイツ、ポケモンだったんだ」
「あっ、怪我しているよ。待ってて、絆創膏持ってるから付けてあげるね」
海藻に似たポケモンは、よくよく見ると額に怪我をしていた。
ユリーカが絆創膏を貼ろうとするが、シノンが一旦止めて先に傷薬を塗って手際よく手当てを済ませた。
しかし釣り上げたポケモンは必死に暴れ、サトシの腕から海へ逃れる。だがすぐに海から顔を出してこちらを睨み付ける。しかもその隣には先程カイトの頭に噛みついたポケモンもいた。カイトとサトシはすぐに図鑑を取り出して調べる。
『クズモー。草擬きポケモン。腐った海藻に擬態する。敵の目を誤魔化しながら進化する力を蓄える』
「クズモーって言うのか。そして水・毒タイプか」
『サメハダー。凶暴ポケモン。鉄板も噛み千切る牙を持ち、泳ぐ速度は時速120キロ。海のギャングと呼ばれ恐れられている』
「もう1体はサメハダーか。しかしあのサメハダー・・・もの凄く大きいな」
図鑑の絵や内容と比較してみても今目の前にいるサメハダーは、通常の約3倍は大きい個体だ。この辺りの主かなと思っているとクズモーとサメハダーが容赦なく攻撃を仕掛けてきた。連続で撃ち出される『ヘドロ爆弾』と『熱湯』からカイト達は慌てて岩陰に隠れて避難する。
「何なんだ!?」
「敵だと思われたんじゃない?」
「ズモズモ!」
「シャチャシャチャ!」
「セレナの言う通りだ。クズモーとサメハダー、どちらも完全に俺達を敵だと思ってる」
「そんなぁ~!」
「何とか誤解を解かないと・・・」
「ピカ!」
「あっ!ピカチュウ!」
このままでは埒が明かないと、ピカチュウはクズモーとサメハダーを説得する為に岩陰から出る。サトシの制止も聞かずに必死に2体に呼び掛けるピカチュウだが、クズモーとサメハダーは出て来たピカチュウに狙いを定めて、今度は同時に『毒々』を放つ。
ピカチュウに攻撃が当たるかと思われた時、突然誰かに持ち上げられて『毒々』を躱す事ができた。
「ピ、ピカ!?」
「ガウガウゥッ・・・」
ピカチュウを助けたのはグラエナだった。グラエナは砂浜に着地すると優しくピカチュウを降ろし、クズモーとサメハダーに向けて力強く吠えた。
「グラアアアァァゥゥゥッ!!」
「「ッ!?」」
グラエナの咆哮を聞いて、クズモーとサメハダーは攻撃を止めた。特性:いかくの効果とグラエナから放たれる強者のオーラもあって、2体は本能的に勝てないと悟って逃げるように海へ帰って行った。
「ピカピカ!」
「・・・・・グッガ」
危機が去った後ピカチュウはグラエナにお礼を言う。だがグラエナからの返事がなく、どうしたのかとピカチュウが隣に並んだ時、突如グラエナが倒れた。
その様子はカイト達も見ていて、急いでグラエナに駆け寄った。
「グラエナ、どうした?大丈夫か!?」
カイトが慌てて診てみると、息が荒く表情が青く染まっていた。もっとよく診てみると後ろ足に『毒々』の後が付いていた。さっきピカチュウを助けた時にかすっていたのか。
「くそ、今手元に毒消しやモモンの実がない」
「私も持っていない・・・」
「コンコーン!」
「そんな!」
「早く手当てしなくちゃ!」
「ポケモンセンターへ行きましょう!」
「カイト、急ごうぜ!」
「ああ!」
急いでポケモンセンターへ向かう為に砂浜を出ようとした時、車道の方で1台の車が止まった。そして車の窓が開いて、運転していた男性が問い掛けてきた。
「君達、どうかしたのかい?」
「ええ・・・俺のグラエナが・・・!」
「もしかして・・・猛毒状態なのか!?」
「まぁ大変!急いで手当てしなくちゃ!え~と、確か救急箱に毒消しが・・・」
助手席にいた女性が男性を押し退けてグラエナの様子を見る。そしてすぐに後部座席から荷物を漁って救急箱を取り出す。
中に入っていた毒消しのお陰でグラエナは解毒され、すぐに回復して元気を取り戻した。
「これで大丈夫」
「グッ・・・ガウガーウ!」
「グラエナ!」
「コーン!」
元気になったグラエナをカイトは優しく頭を撫でて抱き締める。そんな彼らに寄り添う者が2体いた。1体は勿論キュウコンで、もう1体はピカチュウだ。だがピカチュウは何処か暗い顔をしていた。どうやら自分を庇って猛毒状態になってしまった事に責任を感じているんだと誰もが悟った。
「ピカピカ・・・」
「ガウガウ。グラーウ」
「ピカ・・・ピカチュ!」
グラエナと少し話し合った後ピカチュウの顔に明るさが戻った。
話を簡単に通訳すると最初にピカチュウが「御免なさい」と謝り、グラエナが「気にするな。もしまだ気になるならこの借りをどこかで返してくれ」と言ったのだ。
「良かったな・・・助けてくれてありがとうございます!」
「私からもありがとうございます!」
「コンコーン!」
場の雰囲気も良くなったのを見計らって、カイトは改めて男性と女性と向き合い、頭を下げてお礼を言った。
シノンとキュウコンも同じようにお礼を言った。特にキュウコンは愛するグラエナを救ってくれたから尚更だ。
「お役に立てて嬉しいよ」
「自己紹介がまだでしたね。俺はカイトと言います。そして相棒のグラエナです」
「グガウッ!」
「私はシノンと申します。こっちはパートナーのキュウコンです」
「コーン!」
「俺はサトシって言います。コイツは相棒のピカチュウ、そして仲間のケロマツです」
「ピカッチュー!」
「ケーロ」
「セレナです。宜しく」
「私はユリーカ。こっちはデデンネで、こっちはお兄ちゃん」
「シトロンと申します」
「僕はエディ、こっちは僕の妻の・・・」
「リンジーよ。私達は水中考古学を研究しているの」
「水中・・・考古学?」
「海底や湖と言った水中に存在する遺跡や沈没船等の遺物を調査し、研究対象にしている考古学の事よ。考古学にもいろんな分野があるの」
「へぇ・・・そんな分野があったのね」
「それで、お2人はこの海を調べているんですか?」
「ああ、今日はあの海域へ潜る予定なんだ」
エディが指差す海には、3つの渦巻きがあった。あの辺りに何があるのかと聞いてみると、あの辺りに昔氷山にぶつかって沈没したカッスラー号と言う豪華客船があるとの事だ。
「でもカッスラー号が沈没したのは、もっと海の沖合の筈です。それがどうしてこのミュライユ海岸へ?」
「恐らく海流のせいだ」
「海流?」
「このミュライユ海岸では、幾つもの海流がぶつかっていてね。複雑な潮の流れを作っているんだよ」
「その影響であそこまで運ばれたと考えられているわ。カッスラー号の正確な位置を確認し、船を運んだ海流の詳細を突き止める。それが今回の調査の目的よ」
「(成程な、確かにそれは水中考古学向けの内容だな。しかし海の調査か・・・まだそれほど経験した事がないから行ってみたいな)」
話を聞いていく内にカイトの心にはその思いが強くなっていった。勿論それはシノンも一緒だ。現に彼女の口元が緩んで笑みを浮かべているからだ。
「あの、その調査・・・私達もご一緒にさせて頂けないでしょうか?私、ポケモン考古学を目指していまして、水中考古学にも興味があるんです!」
「コーン!」
「俺も同じで、考古学に興味があります。是非お願いします」
「ガウ!」
「俺も一緒に行きたいです。ダメですか?」
「ピーカ!」
「何でもお手伝いします!」
「僕も・・・きっとお役に立てると思います」
「ユリーカも行きたい!」
「そうだな・・・お願いしようか。人でも欲しかったところだし」
「だけど、とても危険だから私達の指示には必ず従ってね。約束よ」
「「「「「「はい!!」」」」」」
こうしてカイト達は、水中考古学者のエディとリンジーと共にミュライユ海岸の調査に行く事になった。
だがその話をある者達が盗み聞きしていた事には気づかなかった。
それからカイト達は、必要な物資を船に運び入れて出港し、3つの渦潮が見える位置までやって来た。あの巨大な渦潮は海流による影響で発生し、一定間隔で変化するとの事だ。今の時間だと暫く発生しないとエディが言う。彼の言う通り、渦潮は徐々に小さくなって最後は消えてしまった。
その間にリンジーは甲板にある潜水艇で調査すると言い、乗る準備をする。
「わぁ・・・これで海に潜るんですか?」
「その通りよ」
「是非乗せて下さい!」
「ピーカ!」
「えっ?」
「私も行きます!」
「ねぇねぇ、あたしもー!」
「デネネネ!」
「う~ん・・・困ったわね。この潜水艇は私の他にはどんなに頑張っても3人しか乗れないの」
「それでは!誰が乗るか公平かつ厳正に決めましょう!フフフフッ、サイエンスが未来を切り開く時!シトロニックギア・オン!!名付けて、『恨みっこ無しよくじ引きマシン』です!」
自慢げに言うシトロンだが、どこをどう見ても唯のくじ引きだ。まぁ、全員が潜水艇に乗れなし、公平に決めるにはこれがちょうど良い事だが・・・この場合手書きで作れば良いと思ったのはいけない事であろうか?
兎に角画面の表示された6つのルートからそれぞれ1つ選び、スタートさせた結果3つの当たりくじを引いたのは、サトシ、カイト、シノンの3人だった。
選ばれた3人はセレナ達に見送られながら潜水艇に乗って、海の底へ出発した。
ちなみに潜水艇の中は正面の席にリンジー、左右の席にサトシとシノン、その膝の上にピカチュウとキュウコンがいて、そして後ろの予備席にカイトとグラエナが座っている所だ。
潜水艇は順調に海の底へ潜っていく。その途中リンジーがエディと連絡を取り合い、カイト達は窓から海中を泳ぐ水ポケモン達の群れ等の光景に目を奪われていた。ふとカイトは水深計を見てかなり潜った事に気がついた。
「随分潜ったな」
「ガーウ・・・」
「まもなく海底が見える筈よ」
「コン?コーン!」
「えっ・・・あれ?あのクズモーは・・・?」
キュウコンが窓の外を指差し、その所を見てみるとクズモーの群れが泳いでいた。
しかもその群れの中に、見覚えのある絆創膏を付けているクズモーがいた。
「あ、あの絆創膏。さっきのクズモーだ!」
「どうやら仲間の所に戻ったようだな」
「あぁ、良かったな」
仲間の元へ戻れて喜ぶサトシ、カイト、シノンと一緒にグラエナ達もホッとしていた。すると突然、潜水艇が激しく揺れ始めた。慌てたエディの声が響く。
「リンジー、どうしたんだ!?」
「どうやら海流にぶつかったみたい」
「海流に・・・?やっぱり合っているんだ!」
「えぇ!私達の仮説は正しかったのよ!」
自分達の仮説が証明された事にリンジーは喜びながら巧みに船を操作し、同じ海中に流されてきた難破船を避けて海流の流れから抜け出した。
ほう、と胸を撫で下ろすカイト達はクズモー達が難破船の後を付いて行くのを目にする。その行方を探る為に潜水艇は海流の外からクズモー達を追跡する。
やがて難破船とクズモー達が海流から抜け出し、さらに海の底へ行くとその先には沢山の難破船が積み重なっていた。
その中の中心に1番大きな難破船があった。ライトを点灯させて調べてみるとミロカロスのエンブレムが付いていた。この船こそ昔沈没したカッスラー号だった。
エディとリンジーの2人は水中考古学として大発見したのだ。
「凄いな・・・」
「全くだ・・・」
「まさに海の中の芸術品ね・・・」
遺跡の調査とそれを解き明かしていく・・・以前出会ったアマルスやチゴラスの時とは違った興奮と感覚が全身を駆け巡った。
そんな時、難破船から見慣れないポケモンが出て来た。
「あのポケモンは・・・?」
『ドラミドロ。草擬きポケモン。クズモーの進化形。潮の流れに乗って移動するその姿は、海藻が流されているようにも見える』
出て来たポケモンはドラミドロと言って、クズモーの進化形だった。そして毒・ドラゴンタイプか、なかなか珍しい奴かもしれないな。
そう思いながらドラミドロ達を観察していると彼らに近づく者がいた。それはあの巨大なサメハダーだった。サメハダーはドラミドロ達と何か話した後、難破船に近づいて突起がある部分を噛み千切ってしまった。そして平らになった所をドラミドロが『溶解液』を吹き掛け、カッスラー号にくっつけた。
「えっ?まさかあの子達・・・船を溶接しているの?」
驚いていたリンジーだが、その後さらに驚く光景が目に映った。カッスラー号からラブカスやテッポウオ、チョンチーから出て来て、クズモー達と親し気に話し合い、仲良く泳いでいた。どうやら沈没した船が深海の海流に乗ってここまで運ばれ、サメハダーが余分な部分を取り除き、ドラミドロが『溶解液』を使い。巨大な建造物を作った。それが今ではポケモン達の住処となっているのだ。
「此処のポケモン達は種族関係なく仲良く暮らしているんだな」
「ガーウ」
「とても平和ですね」
「コーン」
「あぁ、それに楽しそうだ」
「ピカチュー」
「まるでポケモン達の楽園だわ。素敵ね・・・ん?あれは・・・?」
カッスラー号の裏側の上の部分から人工的な光が漏れていた。沈没した事で船の電気類は全て壊れている筈だ。摩訶不思議な事に全員が首を捻った。
「どうした?リンジー」
「カッスラー号に謎の光源が!調べるわ」
「了解!気をつけて」
ちょうどその時、ドラミドロ達やサメハダーも謎の光源に気がついて向かって行く。その後を追い掛けてカッスラー号の裏側に回ってみると、そこにはロケット団の巨大なコイキング型の潜水艦が船体の壁をアームを使って壊していた。
「あっ!ロケット団の潜水艦だ!」
「ロケット団?」
「他人のポケモンを狙ってばかりいる悪い連中です!」
「そんな奴らがどうして・・・?」
何故ロケット団が此処にいるのか?その目的は不明だが、奴らが関わると碌な事がない。そう思っている間にロケット団のコイキング型の潜水艦は船の中へ入っていった。
ドラミドロ達とサメハダーもその後を追う。
「アイツら、中に入って行ったぞ」
「追い掛けましょうリンジーさん」
「ええ!」
カイト達もロケット団とドラミドロ達の後を追って船内に入って行った。
中を進んで行くとちょうど浮上できる位置を見つけた。近くにロケット団の潜水艦も止めてあった。サトシがハッチを開けてピカチュウと一緒に外を覗く。
「どうだサトシ?ロケット団はいたか?」
「いや、此処にアイツらはいない」
「と言う事は奴らはこの先に進んだな。ならさっさと後を追う・・・うん?」
潜水艇から降りてロケット団を追うとした時、目の前にいたドラミドロ達とサメハダーが攻撃を仕掛けてきた。
「おっとと!待て待て!俺達は敵ではない!」
「そうだ!俺達はお前達の味方だよ!」
「ピカピーカ!」
「ガウガーウ!」
「ズ?ズモズモ!」
「シャチャ。シャチャー!」
必死に声をかけて敵意はない事を示すとあの絆創膏を付けたクズモーとサメハダーがカイト達に気がついて仲間達に攻撃を止めるように伝えてくれた。
分かってくれた事に安堵しているとクズモーが単身奥へ進んで行く。その後をドラミドロ達とサメハダーが追い掛ける。それに続くようにカイト達も潜水艇から降りて追い掛けた。
その頃ロケット団は、奥の部屋にあった大きな金庫に幾つもの爆弾とロケット噴射機を取り付けていた。
「設置完了!」
「こっちも終わったじゃーん」
「この扉の向こうには・・・」
「金銀財宝が沢山ある筈です」
「ソーナンス!」
彼らがそう言ってワクワクしていた時、突如足元に『ヘドロ爆弾』が放たれた。振り向くとそこにはあのクズモーがいた。
忠告するクズモーにロケット団は返り討ちにしようとした時、その後ろからカイト達がやって来た。
「そこまでだ!見つけたぞ、ロケット団!」
「ピカー!」
「貴方達、何をするつもり!?」
「貴方達、何をするつもり!?と聞かれたら!」
「黙っているのが常だけどさ!」
「「それでも答えて上げるが世の情け!」」
「「世界の破壊と混乱を防ぐため!」」
「「世界の平和と秩序を守るため!」」
「愛と真実の悪と!」
「力と純情の悪を貫く!」
「クールでエクセレントであり!」
「ラブリーチャーミーな敵役!」
「ムサシ!」
「コジロウ!」
「ミズナ!」
「ロバル!」
「「宇宙と銀河を駆けるロケット団の4人には!」」
「「ホワイトホールとブラックホール、2つの明日が待っているぜ!」」
「にゃーんてニャ!」
「ソォーナンス!」
「イートマ!」
「エアーー!」
お決まりの長い台詞を言うロケット団。カイト達は彼らの台詞を聞きながら中の様子を窺い、金庫に設置されている爆弾に気がつく。もしかして・・・奴らの目的は金庫を盗む事か。だが今此処でそんな事をしたらかなり面倒くさい事になる。
「決まっているだろう!沈没船の財宝を頂くのさ!」
「根こそぎ回収して我がロケット団の活動資金にするのニャ!」
「ソ~ナンス」
「何だって?」
「根こそぎ回収・・・そんな事はさせない。此処にある物は貴重な財産なのよ」
「それに此処はクズモー達の住処だ。荒せる訳にはいかない!」
「残念ながらそれを聞くことは難しいです」
「価値ある財産は、使ってこそ価値があるのよ!」
そう言ってムサシが手元のリモコンのスイッチを押す。すると金庫の周りに設置されていたロケットが作動し、勢いよく蒸気が噴射される。
それによって部屋の中は白い煙で充満し、あまりの煙たさにカイト達は身動きできなくなってしまう。その隙にロケット団は逃げてしまった。
「あ、貴方達・・・!」
「待て!」
「ズモズモ!」
「クズモー!?」
僅かに明けた視界の隅を絆創膏を付けたクズモーが駆け抜けていく。余程ロケット団に住処を荒らされた事に怒っているのか、追いかけて行く時に放った言葉に怒りが込められていた。
「ケロマツ!クズモーを追い掛けるんだ!」
「ケェロ!ケロー!」
「ピカピカ!」
「兄様、2体とも大丈夫でしょうか?」
「今はケロマツに任せるしかないな。今の俺達の手元に水ポケモンはいないからな」
ロケット団を追い掛けて行った2体を心配するカイト達。だがリンジーの焦燥を掻き立てる声が新たな危機を知らせた。
「逃げましょう!穴が開けば水圧で一気に海水が入って来るわ!」
「分かりました。全員急いで脱出だ!」
先程よりロケット噴射の勢いが増している。このままでは本当に危険だと誰もが感じて、急いでカッスラー号から脱出する。
ちなみにクズモーとケロマツの2体はロケット団の逃走を必死に阻止していた。
そしてカイト達が潜水艇で海へ出ると、カッスラー号に海水が入った事で船全体のバランスが崩れ、徐々に傾きが大きくなって軋む音が響いた。
「沈没船同士のバランスが崩れた。このままではやがて崩壊するわ!」
「海のポケモンの住処を守らなきゃ!」
「ピーカチュ!」
「ならまずこれ以上傾かないように浸水を止めよう。ドラミドロ、サメハダー、手を貸してくれ!」
カイトの呼び掛けにドラミドロ達とサメハダーは了承し、ラブカスやチョンチー等の他の水ポケモン達を呼び集める。そして全員の力を合わせてカッスラー号を支え、元の位置まで押し上げた。
「リンジーさん!あれで穴の開いた部分に蓋を!」
「了解!」
カイト達が乗っている潜水艇のアームを使って、浸水している穴の部分を塞げるくらいのサイズの鉄板を持ち上げて穴を塞ぐ。
「今だドラミドロ!溶解液発射!」
「ラミー!」
鉄板で塞いだ穴をドラミドロ達が素早く『溶解液』で固める。それによりカッスラー号の浸水が収まって、崩壊を免れる事ができた。
全員が喜んでいるとエディから通信が入った。
「ご苦労様、大変だったね」
「エディ!」
「何よりも、君達が無事で本当に良かった。さぁ時間だ!もうすぐ渦潮が発生する」
「了解!」
再び渦潮が発生する前に浮上し、海面を目指して出発するカイト達。
一方その頃、ロケット団はケロマツとクズモーの追撃を振り切っていち早く海面に浮上した。彼らは強奪した金庫を見て喜びの声を上げる。
「やった!作戦は大成功だぞ!」
「ソ~ナンス!」
「これでニャー達の活動資金に一生困らないばかりか、食糧の心配もなくなったニャ」
「ではさっそく陸を目指して移動しましょう。此処に長居は無用です」
「そうね・・・ん?ねぇちょっと、アレって何?」
ムサシが見つめる先には渦潮が発生していた。しかもロケット団がいた位置はその中心点だったらしく、彼らの潜水艦は渦潮に囲まれてしまった。
「もしかしてアレ・・・渦潮!?」
「ど、どうするじゃーん!?このままじゃ巻き込まれるじゃーん!」
「急いで中に。そして緊急ジェットで空に脱出です!」
「ラジャー!!」
5人が急いで潜水艦の中に入り、中のスイッチを押すとコイキングの鰭の部分と後ろのスクリュー部分からロケット噴射機が飛び出した。そして勢いよく噴射して空高く飛び上がってその場から脱出した。
「やったニャ!上手く脱出できたのニャ!」
「フゥ~、危機一髪じゃーん」
「どんな時にも備えあれば患いなし!」
「全くその通りです!」
「今回の私達って・・・」
「「「「「なんだかとっても良いカンジ~~!!」」」」」
「ソ~ナンス!」
こうしてロケット団は空の彼方へ消えて行った。
そして後に残ったのは、彼らを追い掛けていたケロマツとクズモーで、彼らは木の板に捕まって必死に耐えていた。
その様子をセレナ達や海面に浮上し、潜水艇から出たカイト達が目撃した。
「ケロマツ!クズモー!」
「ケロー!」
「ズモ~・・・」
いくら水ポケモンでもあの渦潮の中を泳げ切るのは不可能で、もし飲み込まれたら唯では済まない。その為サトシは1つの望みに賭けて叫んだ。
「跳べ!跳ぶんだケロマツ!クズモーも一緒に!」
「ピーカー!」
「ケーロ!ケロッ、ケロケロ!」
「ズ、ズモー!」
サトシは両手を大きく広げてケロマツ達が来る事を信じて待つ。ケロマツはそれを見てクズモーに自分に捕まるように言って、沈没船から流れ出た家具の破片を足場にして跳んだ。最後の足場は若干遠い距離であったが、ケロマツが高く飛んでそのままサトシの腕に落ちていく。サトシはケロマツとクズモーをしっかり受け止めた。
「ケロマツ!クズモー!」
「ケロケロ!」
「ズモズモ!」
無事に2体が戻って来てサトシは勿論、カイト達全員が良かったとホッとした。
それから渦潮からある程度離れた所でサトシはクズモーを海に戻した。すると彼の傍に仲間のドラミドロ達とサメハダーが海面から顔を出した。話を聞くと見送りに来たそうだ。
「エディさん。リンジーさん。今日は貴重な体験をさせて頂き、本当にありがとうございました!」
「いやいや、こちらこそ。深海の海流は特定できたし、カッスラー号の正確な位置も把握した。良い調査ができた」
「ポケモン達が一緒に暮らしていたなんて、本当に驚きだったわ」
エディとリンジーがそう言う中、サトシは見送ってきたクズモーとドラミドロ達に別れの挨拶をしていた。
「じゃあな!クズモー!ドラミドロ!」
「これからも海の仲間達と仲良く暮らしてね!」
「ピカチュー!」
ドラミドロ達はサトシ達に見送られながら、海に潜って住処へ帰って行った。
1体のクズモーとサメハダーだけが残らなければ・・・。
「ズモ・・・!」
「シャチャ・・・!」
「ん?お前も元気でな」
「早く行かないと置いて行かれ・・・!?」
カイトが早く仲間の元へ帰るように言うとした時、突如サメハダーがカイトに向かって飛び掛かり、そのまま頭から噛みついた。
「アイタタタッ!い、一体どうしたんだ!?」
「シャチシャチ!」
「な、なんだと!?良いのかそれで?」
「兄様、サメハダーは何て言っているんですか?」
「どうやらコイツ・・・俺の事が気に入ったらしく、仲間になりたいとの事だ」
「えっ!?」
突然の事に驚いている中、サメハダーはさらに噛みつきながら「仲間にしろ」と言い続ける。あまりの痛みに流石のカイトも悲鳴を上げ、グラエナが噛みついて無理矢理引き離した。
「兄様!大丈夫ですか!?」
「コーン?」
「ハァハァ・・・フゥ~・・・やれやれ、抜けた歯がまだ突き刺さっている。まぁ放っておいても良い。それよりも助かったよグラエナ」
「放っておくのはちょっと・・・今抜きますね」
「ガウ・・・。グラァウ!」
「そう呆れるなよ。それよりこの後どうするかって?そんなの決まっているさ!」
首元部分に残ったサメハダーの歯をシノンに抜いてもらいながら問い掛けてくるグラエナに答える。そして海で待っているサメハダーに言った。
「サメハダー!俺もお前の事が気に入った。だが海のギャングと呼ばれ、他のポケモン達から恐れられているその実力・・・俺は知りたい。だからお前にバトルを申し込む!俺が勝ったらゲットさせてもらう。いいか?」
「シャッチャーー!!」
カイトの問いにサメハダーは大きく鳴き声を上げて「望むところだ!」と言う。そんなやり取りを見ていたクズモーは、逆に自分がサトシにバトルを申し込んだ。
「サトシ、クズモーがお前にバトルを申し込んでいるぞ」
「ああ、アイツからそんな気がすると感じていたんだ!売られたバトルは買うのが礼儀!受けて立つぜ!」
「頑張ってねサトシ!」
「兄様もファイトです!」
「では僕達も此処で観戦させてもらうよ。この位置なら渦潮も発生しないし、時間があるから待っていられるし」
「「ありがとうございます!」」
エディとリンジーにお礼を言った後、カイトとサトシのサメハダーとクズモーをゲットする為のバトルが始まった。
フィールドと今の手持ちポケモンから2人が出したのは・・・。
「ヒトツキ、出陣だ!」
「ケロマツ、君に決めた!」
「ヒート!」
「ケロ!」
「えっ?ヒトツキですか!?」
「ケロマツは水タイプだから分かりますが、何故カイトはヒトツキを出したんでしょうか?」
「兄様の事です。何か考えがある筈です!」
シノン達が考えを言っている中、カイトとサトシは互いに少し距離を取ってバトルを開始した。
「ヒトツキ!燕返しだ!」
「ヒートト!」
「サメェェーーー!!」
先手必勝とばかりにヒトツキは『燕返し』で切り裂こうとする。対してサメハダーは『ロケット頭突き』で応戦する。
互いの技がぶつかり合った後、両者共に後退する。だがヒトツキは苦い表情を浮かべる。なぜならサメハダーの特性:さめはだにより、ダメージを受けているからだ。
その隙をついてサメハダーが『アクアジェット』を仕掛けるが・・・。
「ヒトツキ!金属音で動きを止めろ!」
「ヒート!!」
真正面から『金属音』を受けるサメハダー。最初は耐えていたが中間あたりで動きが鈍くなり、とうとう悲鳴を上げて動きを止めてしまう。
今度はカイトがその隙を見逃さない。
「今だヒトツキ!連続切りだ!!」
「ヒートト!!」
動きを止めたサメハダーにヒトツキは素早く接近し、海に落とさないようにしながら『連続切り』で何度も斬りつける。効果抜群の上に攻撃が当たる度に受けるダメージが大きくなっていくので、サメハダーは戦闘不能寸前の状態になってしまう。
「シャ、シャチャーーー!」
しかしサメハダーは諦めず、何とか海の中に逃げ込んで再び攻撃を仕掛けようとするが・・・。
「逃がすか!最大パワーで連続切り!そして斬撃を飛ばせ!」
「ヒートトト!」
ヒトツキは勢いよく体を振って『連続切り』から斬撃を飛ばした。その斬撃は海ごとサメハダーは斬ってしまった。
そしてゆっくり海面に姿を現し、目を回して動かないサメハダーにカイトはモンスターボールを投げる。
「行け!モンスターボール!」
モンスターボールはサメハダーに当たり、モンスターボールは数回揺れた後音を鳴らして止まった。
「よーし、サメハダー、ゲット完了!」
「グガウゥッ!!」
「ヒート!!」
「おめでとうございます兄様!」
「コーン!!」
新たな悪タイプをゲットでき、喜ぶカイト達。また、その横でサトシもクズモーのゲットに成功し、セレナ達と喜びを分かち合っていた。
「カイト、クズモーをゲットしたぜ!」
「こちらもサメハダーをゲットしたところだ。出て来いサメハダー!」
「俺も・・・出て来いクズモー!」
ゲットしたサメハダーとクズモーをカイトとサトシは早速出す。
「これから宜しく頼むぞサメハダー」
「俺もだ。宜しくなクズモー」
「シャッチャー!」
「ズーモ!ズモ?」
元気よく挨拶するサメハダーとクズモー。そんな2体に先程海に帰ったドラミドロ達が見送りにやって来た。
「ラドラド!ドラード」
「カイト、ドラミドロは何て?」
「クズモーとサメハダーを宜しく頼む、とさ。勿論!引き受けたぜ」
「ああ!俺もだ!大事にするよ」
「ガウガウ!」
「ピーカ!」
こうして新たにクズモーとサメハダーを仲間に加えたカイトとサトシ。
さらにサトシは今回のケロマツの跳ぶ姿を見て、ショウヨウジム攻略の糸口を見つけてその特訓を開始するのであった。
次はいよいよ、ショウヨウジムに挑戦だ。
如何だったでしょうか?自分はロケット団の事が好きなので、偶には彼らにご褒美的な事があってもいいかなと思ってこういう流れにしました。
もしまたリクエストなどがありましたら報告の方へお願いします!
次回も楽しみに待っていて下さい。