ポケットモンスターXY 神に魅入られた悪使い   作:ヤマタノオロチ

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長らくお待たせしました。今回は森のチャンピオンであり、バトルに対して美学を持つあのポケモンが登場します。さらにそれに合わせてもう1体バトルに熱い情熱を込めるポケモンも出ます。
感想と評価をお待ちしております。




熱い漢のバトル!ノクタスVSゴロンダ

ムスト山の件の後でコルニと別れたカイト達は、彼女とジム戦をする為に鍛えながらシャラシティに向けて旅を続けていた。

その途中にある森の中を歩いていた時・・・。

 

 

「見て見てお兄ちゃん!ポケモンがいるよ!」

 

「ネネネ~」

 

 

先頭にいたユリーカがある方向を見て指を差す。カイト達がその方向に目を向けると、そこにはミネズミ、オタチ、パチリスの3体が木の下に空いた穴の中に集めて来た木の実を入れていた。

 

 

「アレはミネズミですね」

 

「それにオタチとパチリスか・・・別地方のポケモン達が一緒とは珍しいな」

 

「ガーウ」

 

「あぁ、それに3体ともとても仲が良さそうだぜ」

 

「ピカピカ!」

 

「本当ね。それにどうやらあの木の穴が彼らの食糧貯蔵庫のようね」

 

「コーン」

 

「ああやって皆で協力して集めた木の実を保管しているのね」

 

「さっ、邪魔しちゃ悪いから行こうぜ」

 

「そうだな」

 

「「「「はい/うん」」」」

 

 

サトシの言葉に同意して、カイト達は静かにソッとその場を後にした。だが少しするとミネズミ達の悲鳴が響いた。

 

 

「なっ、何だ!?」

 

「さっきのミネズミ達の声だ」

 

「何かあったのかしら?」

 

「戻ってみましょう」

 

 

悲鳴を聞いたカイト達は先程ミネズミ達がいた場所に戻ると、3体は木の上で震えていた。そして木の下には冬眠ポケモンのリングマが穴の中に入って、ミネズミ達が集めた木の実を全て持って出て来た。どうやら木の実を独り占めしようとしているようだ。

 

 

「あのリングマ、皆が集めた木の実を持って行こうとしているのね!」

 

「あんな小さな子達から木の実を奪うなんて・・・」

 

「酷い事をしますね!」

 

「見ていて胸糞悪いし、止めに行k・・・ってユリーカ!サトシ!」

 

 

リングマの悪行を止めようとカイトが向かうとした時、それよりも先に居ても立っても居られなくなったサトシとユリーカが飛び出した。

 

 

「ねぇちょっと!返してあげて!!」

 

「デネネネ!」

 

「ピカピッカ!」

 

「よーしピカチュウ!取り返してやろうぜ!」

 

「ピカ!」

 

 

そう言ってサトシとピカチュウがリングマから木の実を取り返そうとした時、森の中から1体のポケモンが飛び出した。そのポケモンは木の枝を軽々と飛び渡って頂上まで登ると、両手を大きく広げたポーズで姿を現した。

 

 

「あっ、あれは・・・!?」

 

 

初めて見るとポケモンだった為、サトシがすぐに図鑑を開いて調べる。

 

 

『ルチャブル。レスリングポケモン。華麗な動きで戦い、華麗な技を極める事に強い拘りを持っている』

 

 

ポケモン図鑑の説明を聞いた後、さらに調べてルチャブルが飛行・格闘タイプである事も分かった。しかし目の前にいるルチャブルは、図鑑の絵と比べて顔が色鮮やかな薄緑色であった。

 

 

「図鑑と顔が違う・・・?」

 

「ピーカ?」

 

「色違い・・・にしてはちょっとおかしいな」

 

「ガウウ」

 

「チャブ!」

 

 

カイト達が首を捻る中、ルチャブルは顔を・・・いや、マスクを空高く投げ飛ばして素顔を見せた。するとマスクは宇宙で弾け、無数の木の葉が周りを包み込んだ。

それによりルチャブルのカッコ良さが魅せつけられた。

 

 

「わぁ!木の葉のマスクだ!!」

 

「デ~ネ!」

 

「ピ~カ!」

 

「へぇ~面白い奴だな」

 

「ルチャブルはリングマからミネズミ達が集めた木の実を取り返そうとしているんでしょうか?」

 

「そうらしいな。勇ましい奴だ」

 

 

そう言っている間にルチャブルとリングマのバトルが始まった。

リングマはルチャブルに飛び掛かるが、効果抜群の格闘タイプの技や飛行タイプのスピードが合わさった連携技で返り討ちにされてしまった。

 

 

「やったぜ!」

 

「ピカ~!」

 

「凄い!空手チョップから飛び膝蹴りの連携技だ」

 

「それに技を出すスピードやパワー、そして体力、どれも見事なものだ。かなりレベルが高いようだ」

 

「ガウガウ」

 

「あの子やるわ!」

 

「本当ね」

 

「コーン」

 

「ルチャブルって強いんだね~!」

 

「ネネネ!」

 

「・・・チャブ!」

 

 

誰もが勝負あったと思っている中、ルチャブルは倒れたリングマから背を向けて再び木の頂上に登る。そして登場した時と同じ両手を大きく広げたポーズをとった。

 

 

「どうしたのかな?」

 

「ネネ?」

 

「あれはいつもの決めポーズだよ。大技の前にアレをするのが彼のポリシーなんだ」

 

 

突然後ろから声が聞こえたのでカイト達が振り向くと、レンジャーのような恰好をした優しい表情の男性がいた。彼はカイト達の傍まで歩くと一緒に見守る。

 

 

「決めポーズ・・・ですか?」

 

「でもポーズなんて決めてたら・・・」

 

 

シノンとセレナが決めポーズなんかしている場合ではないと言うとした時、ルチャブルが勢いよく飛んで大技を仕掛ける。だがポーズを決めている間にリングマは意識を取り戻し、横に転がって技を躱した。それによりルチャブルは地面に激突してしまった。

 

 

「ああ!ルチャブル!!」

 

「いつも最後の最後に大技が避けられちゃうんだ」

 

「ピーカ!」

 

「そうでしょうな。あんな決めポーズをとっていたら・・・(汗)」

 

「ガ~ウ」

 

「でも、なんでカッコつけるのかしら?」

 

「カッコつける暇があるのならば、攻撃して倒せばいいのに」

 

「コンコ~ン」

 

「ネ~ネ」

 

「例え逃げられても、カッコつけずにはいられない。そういう戦い方もあるんだよ」

 

「ふ~ん。やっぱり面白い奴だな」

 

「ルチャブルの戦いの美学って訳さ」

 

 

そうこうしている間にミネズミ達は木の下に降りて集めた木の実を取り戻す事ができ、ルチャブルにお礼を言った後、リングマに二度と盗られない別の隠し場所へ持って行った。そこへ技を躱してその場から立ち去った筈のリングマが戻って来た。しかも両手に大岩を持っていた。

 

 

「グマアアアァァー!!」

 

「アイツ!」

 

「あっ、君!」

 

 

大岩をルチャブル目掛けて落とそうとするリングマを見て、我慢できなくなったサトシがルチャブルの元に駆け寄って庇った。

 

 

「リングマ、それ以上は止めるんだ!!」

 

「グマ?グマーー!!」

 

 

突然現れたサトシにリングマは驚くが、自分の邪魔をした事に怒ってそのまま大岩を落とそうとする。だがそれよりも早くサトシがピカチュウに『アイアンテール』を指示する。そしてピカチュウの『アイアンテール』が大岩を割り、そのままリングマの頭を攻撃した。

 

 

「グゥゥゥマアァァァ・・・・・!?」

 

 

頭に強烈な一撃を食らったリングマはゆっくりと後ろに倒れる。その後痛む頭を押さえながら必死に立ち上がり、今度こそその場から立ち去って行った。

それを見送った後、サトシはルチャブルに手を差し伸ばして立ち上がらせた。

 

 

「大丈夫か、ルチャブル?」

 

「チャブ・・・」

 

「それにしてもお前って熱い奴なんだな。気に入ったぜ!」

 

「チャーブ」

 

 

彼らが良い感じに話し合っていたところへカイト達がやって来る。

 

 

「サトシ、大丈夫?」

 

「ああ」

 

「ピッカ!」

 

「どうなる事かと思いました」

 

「本当だよ~」

 

「ネネ~」

 

「だが無事で何よりだ」

 

「ガウ」

 

「えぇ、ルチャブルも大した怪我ではないようですし」

 

「コーン」

 

 

サトシ達に怪我がない事を確認した後、カイト達は森の奥へ逃げて行くリングマを見つめる。そして姿が消えたのを見て、ルチャブルがその場から立ち去ろうとした時、突如別の方向から大きな鳴き声が響いた。

 

 

「ゴッロンダアアァァーーー!!」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

 

全員がその方向を見ると森の中から1体のポケモンが飛び出してきた。それは以前ショウヨウシティに向かっていた時に森の中で出会ったゴロンダであった。だが今目の前にいるこのゴロンダは、体の所々に古傷があって強者の雰囲気を漂わせていた。

 

 

「あれは・・・ゴロンダ!?」

 

「アイツめ、またやって来たか・・・」

 

「知っているんですか?」

 

「あぁ、彼もこの森に住んでいるポケモンの1体でね。強さを求めていろんな相手と戦い、ある理由で森のチャンピオンであるルチャブルに何度も挑戦し続けている強者だ」

 

「森のチャンピオン・・・?」

 

 

どう言う意味かと訊ねようとした時、ゴロンダはルチャブル目掛けて突進してきた。ルチャブルは迎え撃とうと前に出ようとするが、先程のダメージがまだ残っているのか少しフラついていた。それを見てサトシがルチャブルを庇いつつ、自分が迎え撃とうとする。

しかしそれをカイトが止めた。

 

 

「待て2人とも、ここは俺達に任せろ。ノクタス、出陣!!」

 

「ノーク!」

 

 

カイトが素早くモンスターボールを手に取って投げると、中からノクタスが飛び出して来た。そしてノクタスは素早くゴロンダに接近して、腹に向かって『不意打ち』を食らわせた。

 

 

「ゴッロ・・・・・!?」

 

 

いきなりノクタスが現れた上に、強烈な一撃を腹に食らったゴロンダはその場に膝をつく。だがすぐに立ち上がって、自分の邪魔をしたノクタスを睨み付ける。対してノクタスもゴロンダを睨み付ける。

 

 

「ゴ~ロ~・・・」

 

「ノ~ク~・・・」

 

 

暫く睨み合っていた両者だったが、痺れを切らしたゴロンダが腕を大きく上げて『アームハンマー』を繰り出す。しかしノクタスが素早く『ニードルアーム』で攻撃を防ぐ。拳同士がぶつかって辺りに強い衝撃が発生する中、両者はぶつけ合ったままの姿勢だ。だが突然ゴロンダが拳を離して、クルリと背を向けてそのまま森に向かって歩き出した。

しかし途中再び振り向いてノクタスを睨み付けると、一言鳴き声を上げて今度こそ森の奥へ消えて行った。それを見てノクタスもカイトの元へ戻った。

 

 

「ご苦労だったなノクタス」

 

「ノーク!」

 

「しかし、お前も厄介な奴に目をつけられたな。次会ったら必ず倒す!なんてゴロンダに言われてよ」

 

「ノ~ク・・・ノクク。ノークタ!」

 

「フッ、次会ったら今度こそ叩き潰すか。そうだな、お前ならできる。俺も協力するしさ」

 

「ノーク!!」

 

 

カイトにそう言われて、ノクタスはさらにやる気になって両手の拳を何度も叩いた。最初はいつもの事だと思って黙っていたが、少し経っても続いたのでグラエナが「止めろ」と言って止めさせた。その光景に全員が苦笑する中、ルチャブルは今度こそカイト達の元から去って空高く飛んで行った。

 

 

「あれ?ルチャブルが・・・」

 

「ルチャブルは野生のポケモンだからね。恐らく自分の住処へ帰ったんだろう」

 

「そうですか。それにしてもアイツ・・・カッコイイな!」

 

「ルチャブルを気に入ったのかい?」

 

「あの、ルチャブルに詳しいんですか?」

 

「ピーカ?」

 

「ああ、私はこの森の管理をしている者で、彼らとは長い付き合いだ」

 

「じゃあ、ルチャブルの事をいろいろ聞かせてもらえないですか?」

 

「フフ・・・ええ、いいとも」

 

 

それからカイト達は男性の後を付いて行き、彼が住んでいるウッドハウスにやって来た。そして温かい紅茶を渡され、各々飲んで一息ついたところで自己紹介した。

 

 

「私はカナザワと言う。改めて宜しく」

 

「こちらこそ、俺はサトシです。こっちは相棒のピカチュウです」

 

「ピカチュー!」

 

「シトロンと言います」

 

「私はユリーカ、宜しくです。こっちはデデンネよ」

 

「ネネネ~!」

 

「私はセレナです」

 

「俺はカイトと言います。こっちは相棒のグラエナとノクタスです」

 

「グガウッ!」

 

「ノーク!」

 

「私はシノンと申します。こっちはパートナーのキュウコンです」

 

「コーン!」

 

「こちらこそ宜しく」

 

「あの・・・」

 

「ん?ああ!ルチャブルの事だね。アイツはある日、フラリとこの森にやって来たんだ。この森には格闘自慢のポケモンが多いからね。きっと力試しに来たんじゃないかな?」

 

「力試しか・・・ではあのゴロンダも?」

 

「いや、あのゴロンダはずっとこの森に棲んでいてね。さっき言った通り強さを求めて数多くのポケモン達と戦ってこの森の上位クラスであるんだ。そんなゴロンダを始め強者ポケモン達をルチャブルは次々と倒して、今では森のチャンピオンと呼ばれているんだよ」

 

「チャンピオンですか!」

 

「ピーカ!」

 

「カッコイイですね」

 

「コーン」

 

「大人しいポケモンを虐める乱暴者をやっつけてくれるんで、僕達も助かっているよ」

 

「さっきもそうでしたね」

 

「今日は負けちゃったけどね」

 

「ネネネ~」

 

「攻撃に時間掛かり過ぎかも」

 

「そうだね。アレはちょっとね(汗)」

 

「コン~」

 

「ポーズなんか取らなきゃリングマに勝てたんじゃ・・・」

 

「彼は独自の美学を持っているんだね。例え失敗しても戦いの美学を貫きたいんだろう」

 

「アイツ、人一倍こだわりの強い奴なんですね」

 

「ああ。そうだ、サトシ君が興味あるならルチャブルが特訓している場所へ案内してあげようか?」

 

「えっ!?いいんですか?お願いします!」

 

 

こうしてカイト達はカナザワの案内の元、森の中を進んで滝がある場所へ辿り着いた。

彼が言うにルチャブルはいつもこの場所で『フライングプレス』の練習をしているとの事だ。すると滝の上で技の練習をしているルチャブルの姿を見つけた。

 

 

「あっ・・・いた!よし!」

 

「あっ、サトシ?」

 

 

ルチャブルを発見した途端、サトシは走り出す。そして『フライングプレス』を完成させようと水辺に飛び込み、這い上がるルチャブルへ手を差し伸べた。

ルチャブルはいつの間にかいたサトシに驚きつつも手を掴んで引き上げてもらった。

 

 

「俺はサトシ。そのフライングプレス、受けさせてくれないか?」

 

「チャブ!?チャブル・・・」

 

「心配するなって。俺はお前のその技を一緒に作り上げたいんだよ」

 

 

そう言ってサトシはじっとルチャブルを見つめる。そんな彼を暫く見つめた後、ルチャブルは首を縦に振った。

それから2人は一緒に特訓を開始し、カイト達はそれを少し離れた所から見守る。

 

 

「本当にサトシったら!ポケモンの技を受けるなんて無茶過ぎよ!!」

 

「あぁ、普通ならそう考えるよな。だがセレナ、アレもある意味良い特訓の1つだ」

 

「えっ・・・!?」

 

「何で何で~?」

 

「デネ~?」

 

「動かない的より動く的の方が技の命中率が上がったりしてバトルのシュミレーションがしやすい。そして一緒に特訓する事で一体感が高まり、お互いの絆が深まるしな」

 

「確かに・・・それは言えますね」

 

「けどやっぱりポーズを決めてからだと簡単に避けられてしまうわね。何かもっと良い方法を考えないと・・・」

 

 

シノンの言う通り、ルチャブルが何度も『フライングプレス』を繰り出すが、その度に失敗してしまう。ポーズさえなければ確実に命中するのだが、それではルチャブルの美学を捨てなければならない。美学を貫きつつ、技を決める良い方法は無いかと誰もが考えていた時、サトシとルチャブルの悲鳴が響いた。どうやらルチャブルの『フライングプレス』をまともに受けてしまったようだ。カイト達が駆け寄って怪我がないか訊ねると、サトシは「平気だよ」と軽く笑いながら言う。

 

 

「それより思いついたんだ。逃げる隙を与えず、ルチャブルの美学も貫ける良い方法が!」

 

「ほぉ、それはどんなh「ガルル~!」ッ!どうしたグラエナ?」

 

 

サトシの考えた方法を聞こうとした時、突如グラエナが唸り声を出した。そしてある方向を睨みつける。またノクタスも何かを感じて同様にその方向を睨む。2体が睨みつける方を見ると、森の奥からあのゴロンダが現れた。

 

 

「アレはゴロンダ!もう来たのか!?」

 

「ゴロゴーロ!ゴンダアァーー!!」

 

「ふむ、あのゴロンダの事だ。君のノクタスに挑戦したくて、傷が癒えたと同時にやって来たんだろう」

 

「本当にバトル好きなポケモンね・・・」

 

 

カナザワの言う通り、ゴロンダはノクタスに「リベンジマッチだ!勝負しろーー!!」と叫んでいる。それを聞いてシノンは呆れながら呟き、カイトも苦笑しつつノクタスの傍に寄る。

 

 

「一応聞くが、挑戦を受けるかノクタス?」

 

「ノークタ!!」

 

 

訊ねられたノクタスは「勿論!!」と言わんばかりに鳴き声を上げながら両手の拳を叩く。彼の意思を確認したカイトは頷き、こちらを睨んでいるゴロンダに言う。

 

 

「ゴロンダ!お前の挑戦を受ける!!準備はいいな?」

 

「ゴーロ!!」

 

「よし・・・行けノクタス!!」

 

 

カイトの命を受けたノクタスは勢いよく走り出す。同時にゴロンダも走り出して、2体がぶつかると思った時、別の方から何かの鳴き声が響いた。それを聞いたゴロンダは驚いた表情となりながら足を止めて声がした方を向く。それを見て流石のノクタスも必死に足を止めた。

そして少しすると別方向の森の奥から3体のポケモンが近づいてきた。

1体は先程のリングマ。もう1体は筋骨ポケモンのローブシン。カナザワ曰く、この2体は“森の嫌われ者”との事だ。そしてそんな2体の真ん中で堂々としているポケモン・・・怪力ポケモンのカイリキーであった。

 

 

「リキイイイィィィィッ!!」

 

「ゴ、ゴロ・・・!?」

 

「チャブル・・・!」

 

「カイリキー・・・久しぶりだね」

 

「ご存知なんですか?」

 

「あぁ、実はね・・・あのカイリキーは以前森のチャンピオンで、森の平和を守る役もしてくれたんだ。そんな彼に憧れたのがあのゴロンダで、必死にお願いして彼の弟子になって修行していたんだ。そんなところへ突然森に現れたルチャブルとライバル関係になって何度も勝負した。しかし・・・次第に負けが込んでしまい、森のチャンピオンの座をルチャブルに明け渡し、それ以来姿を隠してしまったんだ。その変わりにゴロンダがルチャブルに勝負を挑むようになった」

 

「成程、そう言う事だったのか・・・」

 

「うん、その後カイリキーは山に籠って修行していると言う噂だったが・・・リングマ達に連れられて、ルチャブルにリベンジマッチと言う事かな?」

 

 

カナザワからカイリキーの事について話を聞いている間、ゴロンダはカイリキーの元へ駆け寄る。彼を見たカイリキーは微笑みながら話し掛け、ゴロンダも嬉しそうに話す。そしてある程度話をした後、カイリキーはゴロンダを下がらせて再びルチャブルに向けて大声で叫んだ。

 

 

「フム、今一度チャンピオンの座を掛けて勝負か・・・これは勝負が終わるまでお前のバトルはお預けだなノクタス」

 

「ノ~ク・・・」

 

 

今の状況に流石のノクタスも空気を読んで大人しく引き下がる。だが彼の顔は明らかに不機嫌であった(汗)

その様子に内心呆れている間に2体は真正面からぶつかっていた。互いに相手の技を受け止め、自慢の技で攻めると言った熱いバトルを繰り広げる。

だが暫くした後、カイリキーの後ろで観戦していたリングマとローブシンが動き出してルチャブルに不意打ちを仕掛けた。

 

 

「何・・・!?」

 

「ガウ!?」

 

「これは一体!」

 

「どう言う事なんだ!?」

 

「ピーカ!」

 

「1対3なんて卑怯よカイリキー!」

 

「待ってセレナ!カイリキーの様子がおかしい。きっと彼も今の状況に戸惑っているのよ」

 

「シノン君の言う通りだ。どうやらあの2体は最初からルチャブルへの仕返し目的だったかもしれない。その為にカイリキーを利用したんだろう」

 

 

その推測は正しかった。リングマとローブシンは戸惑うカイリキーに一瞬ニヤニヤしながら振り向いた後、不意打ちによるダメージで動きが鈍いルチャブルに何度も攻撃した。

 

 

「グマグマ~!」

 

「ローブ~!」

 

「リキ!リキリキ!!」

 

 

今まで散々自分達の邪魔してきたルチャブルに仕返しができて、2体はさらに笑みを浮かべる。それを見てカイリキーは止めるように言うが、2体は全く聞かなかった。そしてルチャブルに止めを刺そうとそれぞれ技を繰り出そうとするが・・・。

 

 

「ノークターーー!!」

 

「ゴッロンダアアァァーーー!!」

 

 

技が決まるよりも先にノクタスとゴロンダが走り出し、2体の頭目掛けて『ニードルアーム』と『アームハンマー』を繰り出した。彼らの卑怯なやり方に我慢できなかった上に、バトルをお預けにされたり、師匠のバトルを邪魔されたり等の怒りが含まれた一撃は強烈で、2体は倒れてそのまま戦闘不能になった。それを見てノクタスとゴロンダは同時に勝利の鳴き声を上げた。その様子に俺はため息をつく。

 

 

「やれやれ、ノクタスの奴め・・・勝手な事をしやがって」

 

「ガルル!ガウウゥゥッ」

 

「あぁ、分かっているよグラエナ。今回は大目に見てやるさ」

 

 

そう呟いている間、カイリキーがノクタス達に近寄って先程のリングマ達の虐めを代わりに止めてくれてありがとう、とお礼を言う。そして全てが丸く収まった後、カイリキーはリングマ達をそれぞれ片腕で抱えて森の方へと歩き出す。しかし途中ルチャブルの方に振り向いて、一言呟いた後再び歩き出した。

 

 

「兄様、カイリキーは何て?」

 

「あぁ、チャンピオンの座を掛けたバトルは改めて行う・・・だとさ」

 

「そうか、カイリキーも熱い奴だったんだな!」

 

 

カイリキーの思いや先程までのバトルを見ていたサトシは、バトルへの熱い心に火が付いてある決意を込めた表情でルチャブルに話し掛けた。

 

 

「ルチャブル、カイリキーとのバトルで決着が付けられず残念だったな。代わりに俺と熱いバトルをしてくれないか?」

 

「ルチャ?」

 

「俺、お前の事気に入ったんだ。だからお前をゲットして、一緒に旅をしたいんだよ」

 

「・・・ルチャ。チャーブル!」

 

「よし!」

 

「ピカ!」

 

「やったねサトシ!」

 

「なら俺達の方も待たされてしまったバトルをするとしよう。いいなノクタス?ゴロンダ?」

 

「ノーク!」

 

「ゴロゴロ!」

 

 

こうしてサトシはルチャブルと、カイトはゴロンダとそれぞれバトルをする事となった。互いに邪魔にならないように広い場所へ移動し、他の者達は邪魔にならないように少し離れた所へ行って見守る事になった。

そしてサトシはケロマツを出すと同時にすぐさまバトルを開始した。

 

 

「もう始めたか・・・全く気の早い奴らだ。まぁこっちも同じだけどな。行けノクタス!ニードルアーム!」

 

「ノークタ!!」

 

 

カイトの指示を聞いたノクタスは勢いよく走り出し、そのまま『ニードルアーム』を繰り出す。それを見たゴロンダは両腕を大きく広げて『辻斬り』で切り裂こうとする。しかしノクタスは前転で躱す。それならばとゴロンダは『アームハンマー』で攻撃しようと迫る。対するノクタスも再び『ニードルアーム』を出して迎え撃った。

 

 

 

ドゴオオオオオオオォォォォォン!!!

 

 

 

2体の拳がぶつかり、周りに大きな音と衝撃波が発生する。しかし両者はそれを受けても揺るがず、そのまま技を再び繰り出して拳をぶつける。その後数回ぶつけても両者は一歩も引かなかった。

 

 

「あのゴロンダ・・・予想以上に粘るな」

 

 

流石はカイリキーの弟子とも言うべきか。だがこのままでは埒が明かない。遠距離技の『ミサイル針』等を使えば有利になるが、ノクタスの奴が卑怯と感じて承諾しないだろう。ならばこの手でいくか。

 

 

「ノクタス!雷パンチ!」

 

 

戦況の流れを変える為、カイトはノクタスに新たな指示を出す。拳をぶつけつつも指示を聞いたノクタスはすぐさま『ニードルアーム』から『雷パンチ』へと変えて繰り出す。そして技が2、3度ぶつかった後ゴロンダに異変が起きた。

 

 

「ゴ、ゴロォ・・・!?」

 

 

突然その場に膝をつくゴロンダ。どうしたのかと自分の手を見ると、電気が僅かに流れてブルブルと痺れていた。これは『雷パンチ』による特殊効果で麻痺状態になったのだ。勿論その隙をカイトは見逃さない。

 

 

「一気に決めろノクタス!渾身のニードルアーム!」

 

「ノークタアアアアアァァァッ!!」

 

 

必死に立ち上がろうとするゴロンダに素早く接近したノクタスは、彼の腹目掛けて全力を込めた『ニードルアーム』を放つ。それは見事に決まり、あまりに高い威力だった事でゴロンダは空高く吹っ飛んで砂煙を舞い上がらせながら地面に落ちた。そして暫くして煙が収まると、その場には目を回しながら倒れているゴロンダがいた。

 

 

「よし!行け!モンスターボール!」

 

 

カイトの投げたモンスターボールは一直線にゴロンダに当たり、モンスターボールは数回揺れた後音を鳴らして止まった。

 

 

「よーし、ゴロンダ、ゲット完了!」

 

「ガウゥッ!!」

 

「ノーク!!」

 

「おめでとうございます兄様!」

 

「コーン!!」

 

 

新たなポケモンをゲットできた事にグラエナとノクタス、さらにシノンとキュウコンと一緒に喜び合うとした時、突如背後から大きな音が響いた。何事かと思って振り返ると、そこにはケロマツとルチャブルが共に目を回して倒れていた。どうやらサトシの方は引き分けで終わったようだ。

 

 

「残念な結果になってしまったなサトシ?」

 

「あっ、カイト。ゴロンダは?」

 

「見ての通り勝ってゲットできたぜ」

 

「そうか、おめでとう。でも俺はあまり残念とは思ってないぜ。だってルチャブルと良いバトルができたんだから」

 

「・・・そうか」

 

 

本当に最初の頃に比べてサトシは成長したな。親だったらきっと感動して泣いているだろうな(笑)そう思いつつも2体を回復させて元気になった後、サトシはルチャブルにお礼と別れを言う。だがルチャブルの表情は何処か迷っている様子だった。それを見たカナザワは優しく言う。

 

 

「ルチャブル、サトシ君と行きたいんじゃないか?」

 

「えっ?」

 

「チャブル・・・」

 

 

やはりそうか。雰囲気的にそう感じていた。だがルチャブルは未だ迷っている様子だった。するとそこへカイリキーの声が響いた。全員が声のした方を向くと滝の上にカイリキーがいて、力強く腕組をしながら頷く。それはまるで「森の事なら私に任せておけ」と言っているかのようだった。そしてカナザワからもさらに勧められた事でルチャブルの決意は決まり、サトシの顔をずっと見つめる。

 

 

「ルチャブル、お前・・・」

 

「ルチャ!」

 

「ありがとう。これからも宜しくな、ルチャブル!」

 

 

そう言ってサトシがモンスターボールを手に取ってルチャブルに向ける。対するルチャブルも腕を伸ばしてモンスターボールに拳を合わせる。そしてモンスターボールの中へ吸い込まれ、そのままゲットされた。

 

 

「ルチャブル、ゲットだぜ!!」

 

「ピッカピカー!」

 

「ケロケロー!」

 

「サトシ君、カイト君。私からもルチャブルとゴロンダを頼んだよ。もっともっと熱いバトルをさせてあげてくれ」

 

「「はい!」」

 

 

戦いの美学を持つルチャブルと、常に強さを求めて己を磨き続けるゴロンダの2体をそれぞれゲットしたサトシとカイト。

新たな仲間と一緒に再びシャラシティのシャラジムを目指して旅は続けるのであった。

 

 

 




皆様、今回は本当に長く掛かってしまい申し訳ありませんでした。
それとここで民様に1つ質問があります。
とあるフォロワーさんから「」の前に話している者の名前を書いた方が分かりやすいと言われたのですが、書くべきでしょうか?よろしければ感想と一緒に応えて下さい。
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