ポケットモンスターXY 神に魅入られた悪使い   作:ヤマタノオロチ

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皆様、長くお待たせしてしまってすみません。
アニポケXY&Zが終わって、新シリーズのサン&ムーンが始まりました。こちらも早く追い付くように頑張ります!それと主人公の設定を少し変えましたので注意してくださいね。
今回はシトロンのお話です。どうぞお楽しみに!
感想と評価をお待ちしております


ミアレジム!シトロンの秘密

旅を続けるカイト達は、再びミアレシティに訪れた。

大都会と言う事もあって様々な店がたくさん並んでおり、今はプリズムタワーから少し離れた街道を歩いていた。前回来た時にはじっくり見ていなかったセレナは、シノンと一緒にショーケースに飾ってある沢山のスイーツやお菓子や洋服などを楽しそうに見ていた。

 

 

「この服どうかなシノン?」

 

「そうね・・・色もセレナに合っているし、良いと思うよ」

 

「ありがとう!・・・あっ、この服はシノンにピッタリだと思うよ!」

 

「本当?でもちょっと派手過ぎる様な・・・」

 

 

2人は楽しく互いに良いと思った服の事を見ながら会話する。そしてセレナは少し離れた所に見えるプリズムタワーを眺めて素敵と言う。タワーを見上げたサトシがセレナに言う。

 

 

「あのプリズムタワーには、ミアレジムがあるんだぜ」

 

「なに?ならサトシ、もうバッジをゲットしたのか?」

 

「いや・・・バッジはゲットしていないんだ。実は・・・」

 

 

前にジムにチャレンジしようと行ったが、ジムバッジが4個無いと挑戦できない条件だったために電撃を浴びせられて追い出されたとの事だった。

 

 

「バッジが4つ無いとチャレンジできないジムもあるんだ」

 

「そうか・・・チャレンジしようと思っていたんだがな」

 

「ガウ・・・」

 

 

これまでいろんなジムや施設に行って挑戦してきたが、このような条件があるジムは初めてだなと内心思いながら少し残念な気持ちになる。そんな俺を見てシノンが仕方ないと笑顔で慰める。

 

 

「そんな訳で、とりあえずこの街は素通りしませんか?」

 

「そうそう!」

 

「えっ!?私、じっくり見てみたいんだけど・・・」

 

「私もまだ本を選んでいないし・・・」

 

「そんなに焦んなくてもいいじゃないか?」

 

「ピーカチュ」

 

「コンコーン」

 

 

セレナとシノンがまだいたいと言うがシトロンはセレナとシノンの背中を押して、ユリーカは俺とサトシの手を掴んで引っ張り進もうとする。これは確実に早くミアレシティから立ち去りたいと言っているような行動だ。それに気が付いて尋ねてみる。

 

 

「シトロン、ユリーカ。お前達はこの街に居たくない理由でもあるのか?」

 

「(ギクッ!!)そ、そう言う訳では・・・(汗)」

 

 

俺の言葉を聞いてシトロンとユリーカは肩をビクッと震わせて一瞬固まるが、すぐに笑って誤魔化そうとした時、後ろから誰かに呼び掛けられた。

 

 

「シトロンとユリーカじゃねえか!」

 

「「!!?」」

 

 

声がした方を見るとそこにはバイクに乗った男性とポケモンが居る。その男性を見てシトロンとユリーカは驚きの声を上げる。

 

 

「パパ!」

 

「デンリュウ!」

 

「えっ!パパ?」

 

 

どうやらバイクに乗っていた男性はシトロンとユリーカの父親らしい。その人はデンリュウと一緒にバイクから降りてこっちにやって来た。

 

 

「えっと・・・紹介しますね」

 

「あたし達のパパで・・・」

 

「リモーネだ。俺はこの街でデンリュウと一緒に電気屋を営んでいるんだ」

 

「リュウ!」

 

「ピカピカ!」

 

「ガウガウッ!」

 

「コンコン!」

 

 

デンリュウの挨拶にピカチュウ、グラエナ、キュウコンも挨拶する。このデンリュウは穏やかな性格だったので友好的な感じである。そしてユリーカが俺達を紹介すると突然リモーネが泣き出す。どうやら自分の子に友達ができた事が余程嬉しかったらしい。

少し驚いたが、すぐに我に戻ってサトシから自己紹介を始める。

 

 

「俺はサトシと言います。で、こっちは相棒のピカチュウ」

 

「ピカチュウ!」

 

「俺はカイトです。そして相棒のグラエナです」

 

「グガウッ!」

 

「おお、ピカチュウか!良い電気袋だ!そのグラエナも良く育てられているな」

 

 

電気屋を営んでいるためか元から電気タイプが好きなのか、リモーネはピカチュウを優しく撫でながら褒める。そして俺達の隣にいるセレナとシノンに目を向ける。

 

 

「こちらのお嬢さん達は?」

 

「セレナです!」

 

「シノンと申します。こっちはパートナーのキュウコンです」

 

「コーン!」

 

「ほほぉ、こんな別嬪さん達がシトロンの友達とはな!隅に置けないな、このこの!」

 

「そんなんじゃないよ・・・」

 

 

にやけた表情でシトロンの肘を突っつくリモーネを見て、セレナとシノンは苦笑いする。

 

 

「こっちはデデンネ、あたしのキープポケモン!可愛いでしょ!」

 

「デネデネ!」

 

「おう!お前も電気タイプだな。・・・あぁ、そうだシトロン。偶には家にも顔出せよ」

 

「えっ?いや・・・その・・・」

 

 

リモーネの言葉を聞いてシトロンは黙り込んでしまう。それを見てユリーカが焦りながらリモーネに用事があると言ってシトロンの手を引っ張って歩き出そうとした時、リモーネが真剣な表情でシトロンにある事を言う。

 

 

「何度も言うようだが・・・チャレンジャーに厳しくするのはいいが、厳しいだけでは良いトレーナーは育たない。頼むぞ、街が誇るミアレジムのジムリーダー!」

 

 

今なんて言った・・・ジムリーダーだと!?その言葉を聞いて俺はシトロンを見つめる。サトシ達も驚いて見つめ合う。

 

 

「じゃあ、サトシ君、カイト君、セレナちゃん、シノンちゃん。その2人を宜しくな。後で家の店にも寄ってくれ!」

 

 

そう言ってリモーネとデンリュウはバイクに乗って自分の店に戻って行った。2人の背が遠くなった頃、シトロンとユリーカが恐る恐る俺達の方へ振り向くと・・・。

 

 

「シトロン!」

 

「どういう事だよ!?」

 

「説明をお願いしてもいいですか?」

 

「やはり理由があったか。相談に乗ってやるから話してみろ」

 

 

4人から説明するように問い詰められると2人は観念して、場所を変えて全てを話すと言って広場の噴水の所まで移動して座ると話し出した。

 

 

「正直に言いますね。実は僕、ミアレジムのジムリーダーなんです」

 

「何で黙ってたんだよ・・・」

 

「黙っているつもりはなかったんです!ごめんなさい・・・」

 

「まぁ待てサトシ。シトロン、お前がジムリーダーと言う事は・・・ジムで何かが起こったんだな?」

 

「はい・・・実は色々あって・・・ジムリーダーって忙しくて、大好きな発明の時間とかが殆ど作れないんです。そこで僕と一緒にジム戦のお手伝いをしてくれる優秀なジムリーダーロボットを作ろうと考えました」

 

 

理由を聞いていくうちにその作ったロボット・シトロイドに組み込んだプログラムの設定が手違いな方向に行ってしまい、思い通りに動かないと言う異変が起きてしまったのだ。プログラムを直そうと『ご主人様認識バトルモード』を起動させようと音声コードを入力したが、自分の設定したコードでは認証できず、どうすることもできなくなって追い出されてしまったらしい。

 

 

「そして今ではシトロイドがミアレジムを支配している・・・と言う訳か」

 

「はい。何度かトライしてみたのですが、シトロイドはバトルフィールドに引っ込んだままで、行けるのはジムのエントランスまでなんです・・・」

 

 

シトロンの様子から見てとても深刻な事であると分かる。

 

 

「なあ、取り合えずジムの様子を見に行ってみないか?」

 

「そうね、行ってみましょうよ!」

 

「状況を確かめておくのは大切な事だからな。早いうちに行こうぜ」

 

「私達も一緒に行きますから!」

 

「・・・はい」

 

 

俺達の提案を受けてシトロンは頷いてジムまで案内する。そしてプリズムタワーまでやって来ると3人のトレーナーが居て文句を言っていた。それを見たシトロンが急いでトレーナー達の元に向かって問い掛ける。

 

 

「あ、あの・・・何か?」

 

「このジム、超乱暴でよ!」

 

「もしかして、バッジ4個持ってなくて・・・」

 

「いや、バッジ4個持っていたからジム戦はできたんだけど、変なロボットが相手でめちゃめちゃ強くてよ。おまけに負けたらいきなり電撃されて、床がバーンって抜けて放り出されたんだ!」

 

「ええっ!?」

 

 

トレーナーの説明を聞いてシトロンの表情は青くなって、トレーナー達は悪態を吐いて怒りながら立ち去って行った。シトロンとユリーカは先程リモーネが言った言葉の意味を知ってその場に立ち尽くす。そしてセレナがこれからどうするかの問いに困っていると隣でサトシが容易に答えた。

 

 

「決まってんだろう!その変なロボットを止めようぜ!」

 

 

まったくサトシの言う通りだ。早く止めないとますます大変な事になってしまう。

俺だけでなくシノンもサトシの言葉に同意して頷く。しかしシトロンは、『音声コードが分からない事』と『ご主人様認識バトルモードに勝てる自信がない事』の2つの事を心配して賛成しない。

 

 

「そんなのやってみなきゃ分からないだろう!」

 

「いいえ、シトロイドが使っているのは僕のパートナーポケモンです。まだ未熟なホルビーだけでは勝てないのは明白・・・!」

 

「勝てなくても思いっきり相手にぶつかってみようぜ!」

 

 

その言葉を聞いてハッとしたようにシトロンは何かに気が付いて黙り込む。さらにシトロンがジムリーダーになった話などが続いて行く中で俺は静かにその光景を見続ける。こういう時のサトシは本当に良い影響を及ぼすんだよな。そしてミアレジムがシトロン自信を成長する為の大切な場所だと分かった。それならやる事はただ1つ!

 

 

「じゃあ、その大切なジムを取り返さなきゃ!」

 

「そうさ!シトロンの成長させてくれる大切なジムを取り戻すんだ!」

 

「決まった以上早く行こうぜ!これ以上仲間の困っているところを見たくないしな」

 

「どんな時でも諦めなければ道が見えて来ますから心配ありませんよ。私達も一緒に行きますから!」

 

 

全員が協力してくれると言うとシトロンも元気が出て、迷いを消してジムに行く決意をした。

そして先にミアレジムの中に入ったカイト達の後に続こうとした時にユリーカがこっそり小声で言う。

 

 

「お兄ちゃん・・・サトシとセレナ、カイトさんとシノンが居て良かったね」

 

「ああ・・・!」

 

 

皆が居てくれたおかげで勇気を出せた。シトロンは心の中で4人に深い感謝を込めながらジムに入って行った。

シトロイドの居るバトルフィールドまで行けばチャレンジャーとして認識してもらえると言う事で、シトロンの案内で近道となる狭い通気口から向かう事になった。シトロンを先頭にサトシ、ピカチュウ、グラエナと順に入って次に俺が行くのだが、此処を抜けるのはとても苦労した。

見た時から狭いと思っていたが、予想よりも狭い通気口で慎重に行かないと体中をぶつけてしまう。前を先に行くグラエナの尻尾を掴み、後ろからシノンに押されながら暫く経ってようやく通り抜けられて、薄暗い廊下に辿り着いた。

 

 

「ふぅ~~。シトロン、今度通気口を作る時はもう少し広くしてくれないか?」

 

「アッハハ・・・わ、分かりました・・・」

 

 

もう通気口に入る事はないと思うシトロンはカイトの頼みに苦笑しつつ承諾する。その後、あとからやって来たシノン、セレナ、ユリーカも次々と通り抜けられて、バトルフィールドに行こうとした時に廊下の奥から磁石ポケモンのコイルがやって来た。

 

 

「アイツは僕のポケモンです!コイル、僕です!」

 

「ピリリッ!ピュリリリ~~!!」

 

 

自分のトレーナーだと分かったコイルだが、一瞬動きを止めて次の瞬間には電撃を放って来た。

これを見て俺達は急いで逃げ出す。

 

 

「コイル!止めて下さい!」

 

「何で攻撃してくるんだ!?」

 

「あのコイル・・・侵入者は排除する、と言っているぞ!」

 

「そうか!今はシトロイドが此処の主だから侵入者を排除するように言われているんだと思います!」

 

「そんなぁ!」

 

「シトロン!反撃していいか!?」

 

「止むを得ません!」

 

 

このまま全員やられる訳にはいかないため、サトシだけ立ち止まってモンスターボールを投げてケロマツを出す。

 

 

「ケロマツ!ケロムースでアイツを動けなくさせるんだ!」

 

「ケッロ!」

 

 

コイルが電撃を放つ前にケロマツはケロムースを投げ飛ばす。それに当たったコイルは落下して床に張り付いて目を回して気絶する。少し離れた所で見ていた時に別のポケモンがやって来た。

コイルの進化形ポケモンのレアコイルだった。

そしてレアコイルも同じことを言って『嫌な音』を出して攻撃してきた。耳を塞ぎながらセレナはボールを投げてフォッコを出す。

 

 

「フォッコお願い!火の粉!」

 

「フォーコ!」

 

 

炎タイプの技である『火の粉』をくらえば効果は抜群だが、レアコイルは空中で3方向に分裂してかわす。そしてセレナに『10万ボルト』を放って攻撃するが、当たる直前にキュウコンが『火炎放射』を放って相殺した。

 

 

「グラエナ、床に氷のキバ!レアコイルの動きを封じろ」

 

「グガァアア!」

 

 

直接噛みに行かないで追加効果だけを狙って床に牙を突き刺してそこからできる氷でレアコイルを凍らせて動けなくした。今回はただ凍らせただけでダメージはないが、分厚い氷の為にレアコイルは動けなくなった。

 

 

「これでよし!」

 

「怪我はないセレナ?」

 

「うん!ありがとうカイト、シノン、グラエナ、キュウコン!」

 

「ガウガウッ」

 

「コンコン」

 

 

お礼を言うセレナの足元でフォッコもグラエナとキュウコンにお礼を言っていた。特に同じ狐ポケモンであるキュウコンには尊敬の眼差しで見つめていた。

それから廊下を歩き続けて、ようやく目的地のバトルフィールドに辿り着いた。そしてフィールドに足をついた瞬間、中央にスポットライトが当てられ、そこに1体のロボットが立っていた。

 

 

「ヨウコソ、ミアレジムヘ」

 

「シトロイド・・・!」

 

 

どうやらアレが問題のロボットであった。なるほど・・・姿はあまりカッコイイとは言えないが、あのように高精密な2足歩行ロボットは初めて見た。俺も転生前はロボットが好きだったから興奮している。勿論状況があれなので顔には出さない。

 

 

「シトロイド!ご主人様認識バトルモード起動!」

 

「起動ニハ音声コードガ必要デス」

 

 

シトロイドの前に立ったシトロンがそう言うとシトロイドは音声コードを求めてくる。シトロンは必死に自分を落ち着かせて冷静に思い出そうとするが、思い出せずに焦り出す。その様子を後ろで見ていたユリーカやセレナは心配する。

 

 

「シトロン!分からない時はよく相手や周りの状況を観察する事が大切だ。そうすれば答えが分かってくる。ここでは相手の“頭”をよく観ろ」

 

「頭・・・?」

 

 

俺の言葉を聞いてシトロンはシトロイドの頭を観察する。そして頭にあるヘッコンでいる部分を見て音声コードが変わってしまった原因とその時言った言葉を思い出す。

 

 

「今日からよろしくお願いします!僕はジムリーダー・シトロンです!」

 

「コードOK。ゴ主人様認識バトルモード起動シマス」

 

 

音声コードを認識したシトロイドは目を大きく開けてバトルモードを起動する。起動できたことに皆が喜ぶ。

 

 

「カイト、ありがとうございます!」

 

「どういたしまして。では次に一緒に戦うパートナーをしっかり信じてバトルに勝つんだ!いいな?」

 

「はい!」

 

 

シトロンは自信の籠った声で答えてバトルフィールドに立ち、俺達はフィールドの横の観客席に移動した。

 

 

「行け!ホルビー!」

 

「ホッビ!」

 

「私ハ、コノポケモンデ行キマス」

 

「レザー!」

 

 

シトロンが出したポケモンは唯一手持ちにいるホルビーで、対してシトロイドは繰り出したのは大きなエリマキが特徴で体が黄色い蜥蜴のポケモンだった。そのポケモンもシトロンのパートナーでエレザードと言う。エレザードは久しぶりにシトロンに会えた事に喜びの声を上げていた。

 

 

「余程懐かれているようだな」

 

「エレザードか・・・」

 

『エレザード。発電ポケモン。エリキテルの進化形。エリマキを広げて充電し発電する。その発電力は高速ビルの必要な電気を作れるほど』

 

 

タイプは電気とノーマルか。ホルビーも同じノーマルだが、効果抜群である地面タイプの『マッドショット』や『穴を掘る』を覚えている。それに相手のエレザードの技をシトロンは知っている。普通に考えればホルビーが有利だから大丈夫だと思うが、シトロイドは見た感じ的に人工知能を備えたロボットだから学習しているはずだ。簡単にはいかないなこのバトル。だが俺はそこで考えるのを止めた。これ以上考えると左右にいるサトシ達を不安にさせてしまう。

シトロンの勝利を信じようと思った時にバトルは始まった。

 

 

「行キマスヨ!10万ボルト!」

 

「レッザー!」

 

 

まずはシトロイド側からの先制で、エレザードは『10万ボルト』を放つ。しかしそれはシトロンがプログラミングした挨拶代わりの手順で、予想していたシトロンは冷静にホルビーに指示を与える。

 

 

「ホルビー!耳を使って防御です!」

 

「ホッビィ!」

 

 

ホルビーは長い耳を地面に突き刺すと砂が巻き上がって電撃を完璧に防いだ。それを見てサトシが以前バトルした時に見せた防御技だと言う。まだ未熟と言う割にはしっかり対策しているな。

 

 

「往復ビンタ!」

 

「ドラゴンテール!」

 

 

互いに接近技を出して攻撃する。エレザードはジャンプして上空から『ドラゴンテール』で攻撃してくるが、ホルビーは上手く片耳で防いだ後素早く背後に回って『往復ビンタ』を決めた。そして一気に勝負を決めようとホルビーが『穴を掘る』で地中に潜ってエレザードに迫る。

 

 

「地ならし!」

 

「えっ・・・!?」

 

 

エレザードの右脚が地面に叩き付けられると地中に大きな振動が起こり揺れて、ホルビーは穴から陸上に放り出されてしまった。

 

 

「あんな技、僕は覚えさせていないのに!」

 

 

予想していなかった技にシトロンは混乱して隙ができてしまう。その隙をつかれてエレザードの『ドラゴンテール』を受けてしまう。しかしホルビーはダメージを受けながら態勢を立て直した。

 

 

「兄様、さっきの技・・・此処に挑戦しにやって来たチャレンジャーのポケモン達の技を見てシトロイドが覚えさせたのでしょうか?」

 

「そうとしか考えられないな。まったく・・・シトロンが作った物の中で最高傑作のロボットだな」

 

 

あんなロボット・・・俺も作ってみたいなとつい考えてしまう。今度シトロンに教えてもらうかなと思っている間にもバトルは続き、シトロンはホルビーに『影分身』を指示する。高くジャンプしたホルビーが空中でたくさんの分身を作る。その光景を見てエレザードは動きを止める。

 

 

「マッドショット!」

 

「パラボラチャージ!」

 

 

エレザードの動きが止まった隙をついて放とうとしたホルビーの『マッドショット』よりも早くエレザードはエリマキを大きく広げて全身から電撃を分身全てに放つ、そして分身の中に紛れていた本体も攻撃を受けて地面に落ちる。さらに攻撃した後のエレザードが体力を回復していた。

 

 

「何なのあの技!?」

 

「シノン、分かるか?」

 

「はい。あの技は『パラボラチャージ』と言って、周りにいる全ての相手に攻撃すると同時に自分の体力も回復させる事ができる技です!」

 

 

なるほど・・・厄介だが良い技だな。そう思いながらバトルの状況をよく見る。先程攻撃を受けて倒れたホルビーだが、またすぐに起き上がる。シトロンもまだ闘志が尽きていないから反撃のチャンスはある。

 

 

「10万ボルト!」

 

「レザァ!」

 

 

シトロイドの指示を聞いてエレザードは容赦なく攻撃をする。それを見てサトシ達は焦り、ユリーカとデデンネは泣き言を言うがシノンがユリーカの肩に手を置いて落ち着くように優しく言う。

そしてシトロンは何か思いついた表情でホルビーに『穴を掘る』を指示する。再び穴を掘って地面に潜ったホルビーを見てシトロイドは再びエレザードに『地ならし』を指示する。

それを聞いてユリーカとセレナは驚きの声を上げる。

 

 

「ええっ!?」

 

「これじゃ、また同じだわ!」

 

「もうお終いだよぉー!」

 

「大丈夫だよユリーカちゃん!シトロンを信じなさい!」

 

「2度も同じ手にやられるシトロンではないさ」

 

「その通りだ!シトロン!最後まで諦めるな!」

 

「はい!僕がサトシとカイトから学んだことの1つ、自由な発想と隙がなく先を読んだ高い戦術!ホルビー、地面の中で影分身です!」

 

 

地ならしで地面が揺れて当たる前に穴から分身したホルビーがたくさん飛び出してきたこれを見てシトロイドとエレザードは驚く。だがすぐ本体を見つけ出そうと指示して『パラボラチャージ』で攻撃する。そして空中に居たホルビーは全て消えてしまった。

 

 

「消えちゃった・・・」

 

「消えたと言う事は、あれは全て分身で本物は居なかったと言う事だよ」

 

 

不安の声で言うセレナに俺は本物は無事だと教える。そしてサトシの肩に乗るピカチュウと俺の隣で見ていたグラエナがいち早く気が付いた。

 

 

 

「なかなか面白い戦術だ・・・サトシ、地面を見てみろ」

 

「えっ・・・そうか!」

 

 

サトシも地面を見てすぐに気が付く。するとエレザードの足元からホルビーが飛び出してエレザードを攻撃した。最初からホルビーは地中に隠れていて、相手が空中にいる分身を見ている隙に接近して攻撃したのだ。このトリッキーな戦術と行動にシトロイドは「理解不能」と言ってハテナを浮かべて首元から煙を出す。

 

 

「決めますよ!ホルビー、マッドショット!」

 

「ホルゥッビィイイ!」

 

 

ホルビーは無防備状態のエレザードに止めの『マッドショット』を放ち当てた。電気タイプのエレザードには効果抜群で、地面に落ちて戦闘不能になった。

 

 

「エレザード、戦闘不能だ!」

 

「ピーカ!」

 

「やったわ!」

 

「お兄ちゃんの勝ちよ!良かったね!」

 

「ネネネ!」

 

サトシ達3人はシトロンの勝利に喜びの声を上げ、シノンは俺に抱きついて笑顔になって喜ぶ。

俺も何も言わずシトロンを見て頷く。そしてシトロンは倒れたエレザードの元へ駆け寄る。

 

 

「エレザード。大丈夫ですか!?」

 

「エレザァ・・・」

 

「そうか・・・でもごめんね。エレザード」

 

 

大丈夫だと弱々しくも笑って答えるエレザードにシトロンは安心しつつも謝る。そこへシトロイドもやって来る。

 

 

「ゴ主人様ト認識シマシタ。シトロン、オ帰リナサイ」

 

「ただいま、シトロイド。僕がプログラミングを間違えたせいで君にも迷惑をかけてしまいました。全て僕の責任です・・・ごめんなさい」

 

 

最初会った時とは違って丁寧に挨拶したシトロイドにシトロンは深くお辞儀をして謝る。だがシトロイドはシトロンの言葉の意味が分からないのかハテナを浮かべてカクンと音を鳴らして首を曲げた。そしてシトロンは笑顔で再プログラムに取り組むのであった。

謙虚な姿勢、厳しさの中に優しさ、思いやりの3つの大切な事を新たにプログラミングする。そのやり方を一部始終見てシノンにお願いしてメモを取らせる。

そして新たにプログラミングされ直されたシトロイドとその前に立つシトロンを俺達はコイル達も含めて見つめる。

 

 

「僕も皆に教わってばかりです。共に成長していきましょう、シトロイド!」

 

「了解シマシタ」

 

 

言い終えると照れてしまい、シトロンは手を頭において顔を赤くする。

 

 

「何だか照れ臭いですね。すみません・・・(汗)」

 

「別に良いじゃんか!俺も一緒に成長するからよ!」

 

「ええ!」

 

「あたしもー!」

 

「俺も同じさ!」

 

「皆で一緒に成長しましょうね!」

 

 

サトシがシトロンの肩を豪快に組んだのを機に全員が周りに集まって、シトロイドに挨拶等をして楽しく言い合った。

それから夕方、俺達はシトロイドを連れてシトロン兄妹の家であるリモーネの店に行って今回の事とこれからの事を話しに行った。

ジムを乗っ取られた事を聞いたリモーネは驚き、険しい表情になってさらにシトロン達が旅を出たいと言う事も聞いて腕を組んで顔を下に向ける。怒っていると思って全員で説得しようとしたが余計な事だった。リモーネは感動の涙を流しながら旅を許してくれた。それからシトロン達の旅立ちを祝うパーティーをして楽しく食事を済ませて、寝る時間になると男子と女子に別れてそれぞれの部屋で寝る事になった。

 

 

女子の部屋では、ユリーカはガチゴラスと言うポケモンのパジャマに着替えて、セレナとシノンもパジャマに着替えてユリーカを真ん中に左右にシノンとセレナが寝るようになった。

 

 

「えへへ、こうして皆と寝られるのもいいね~~」

 

「うん。そうだね」

 

「私も!こうして誰かと一緒に寝るのは兄様以外に初めてなの」

 

「えっ!?」

 

 

突然のシノンの言葉にセレナは強く反応する。ユリーカはすでに寝ていたので起きているのは2人だけである。起こさないように小声で話し合う。

 

「シ、シ・・・シノン。本当なの///」

 

「えぇ、本当よ。あの時は兄様に抱きついてその温もりはとっても温かくて安心できたわ。セレナもいずれサトシと2人きりで寝たら分かるわよ♪」

 

「!!///」

 

 

サトシと2人きりと言う言葉を聞いてセレナは顔を真っ赤にして、妄想が大きくなって遂に気絶してしまった。

 

 

「あらあら。しっかり掛け布団を掛けないと風邪ひいちゃうよ」

 

 

その様子を面白く見て薄く笑っていて優しく掛け布団を掛けた後、シノンもゆっくり目を閉じて眠りについた。

 

 

そして男子の部屋ではサトシはソファーの上で掛け布団掛けて寝ていて、シトロンは下で布団を敷いて寝ていて、俺は机の上に毛布を掛けて下を柔らかくして寝ている。そんな時にシトロンが訊ねた。

 

 

「サトシとカイトはミアレジムに挑戦しなくてよかったんですか?」

 

「あんな感動的なところで挑戦するわけないだろう」

 

「そうだよ。それにシトロンはチャレンジャーにバッジ4個を持つくらいの実力が欲しい奴と勝負したかったんだろう?」

 

「えっ?まぁ・・・」

 

「だったら俺も、その実力をつけてからチャレンジするよ」

 

「俺も同じだ・・・ところでシトロン、何故あの時俺から先を読んだ高い戦術を学んだと言ったんだ?」

 

 

シトロイドとのバトルの時に言った言葉を思い出して訊ねると、どうやらいつの間にかビオラさんから聞いていたらしい。意外と抜け目のない奴だ。

 

 

「だからこそ僕ももっと実力を付けて、2人とバトルをしたいんです!」

 

「そうか、なら俺の相手はシトロイドではなくシトロン、お前だ!面白いバトルを期待しているよ」

 

「俺も!約束だぜシトロン!」

 

「はい!約束です!」

 

 

いずれ遠くない未来でバッジを賭けて正々堂々とバトルをする事を俺達は誓い合って、同時に笑い合った明日に備えて眠りについた。

 

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