ここは暴力とネオンの街、死と金の匂いが立ち込める場所
"ネオサイタマ"
自分がここに来たのは、オイランやビジネスの為では無い。古くからの友人に会いに来たのだ。そういえば手土産になるような物を何も持っていなかった、そこらで買っていこう。
自分は"コケシマート"と看板を掲げた店にはいる。流石ネオサイタマと言うべきか、他では絶対に売ってない色合いの食べ物や何を目指して造られたか判らない物ばかりだ、僕は『ヌカコーラ・ビクトリー』と『乾燥苺豆腐』それと幾つかの『人の像』をかごに入れてレジへ持って行き、会計を済ます。
「イヤーッ!」
「グワーッ!」
店を出ると、店の前でビジネスマンがマッポに囲まれて棒で叩かれている。誰もそれを気にしないのを見て此処が"ネオサイタマ"である事を実感させる。僕は乾燥苺豆腐を食べながらそれを最後まで見届けた後、人目のない路地に入りマンホールの蓋を開けて、梯子を降りる。
薄暗い下水道を進んで行くと剣が刺さった焚き火が在り、薄緑の布を身体中に巻き付け、薄緑のボロを羽織った人物が見えてくる。祈りを捧げるような格好をしている。
「やぁ、久し振りだね、ダンジョン・ズールー」
「久しいか?時雨、ここ最近、日の光を浴びていなくてな。」
「大ネズミばかり追い掛けておった。」
「たまには、上に出なよ?」
「しかし、亡者の姿では...」
「はい、」
僕は『人の像』と『ヌカコーラ・ビクトリー』を彼に渡す
「おお、有難い人間性を全て墓王に捧げてしまってな。」
「捧げる?なにか意味があるのかい?」
「さあ?私には解らないことだ。」
「しかし、時雨から訪ねてくるとは何かあったのか?」
「ちょっと”桃色”を貸して欲しくてね。次の作戦で使うんだ。」
「もう私には必要のない物だ、好きなだけ使うといい」
「ありがとね、」
「時雨は娘の身体には慣れたのか?」
「駄目だね、自分の裸も視れないよ。」
「そいつは大変じゃないか?艦隊の皆と風呂に入るのだろう、」
「まぁ、何時も提督のを使うんだ。たまに皆に連れていかれそうになるけど...」
「仲が言いなら良いでないか、出撃はどうだ?」
「いまはゲインズのパイロットさ、次は初めてのMSだけどね。」
「まぁ”桃色”なら心配なかろうて。」
僕は再びお礼を言うと不自然にレンガで造られた壁に蹴りを入れる
すると壁が消え、奥に薄桃色の巨大で歪な人型が見える。
クロスカタナのエンブレムが付いたそれは良く整備されている。
直ぐでも動かせそうだ、僕が乗ろうとすると声が掛けられる。
「これも持っていってくれ。私には関係無い物だが時雨は違うだろう?」
少し汚れた写真を渡される、そこには十字が描かれた戦車や潜水艦が並んでいた。
「モーデン軍...これをどこで?」
「新しいカメラを試そうと大ネズミを追っていたらな」
「そっか...いい写真期待してるよ?」
「ああ、また会おう」
僕は写真を仕舞い、"桃色"のコクピットに入り、垂れるコードを体に接続し、夜空に飛び立つ。
空から見たネオサイタマはとても美しかった。
重金属酸性雨が降り始める...濡れたネオサイタマはもっと綺麗なのだろうか。
そういえば時系列が分かりづらい気がする。
まぁ、いっか。
許しは乞わぬ
ダンジョン・ズールー=サンは意味の無い事をしているが気づいていない