演習場
「皐月!前に出過ぎじゃないかい?」
「大丈夫!ボクに任せて!」
「さぁ来るよ!」
「まったく、張り切りすぎだよ」
「ボクに挑むなんてカワイイね!」
_
__
___
____
______
________
「いてて...張り切りすぎちゃったかも」
「嬉しいのは解るけどもうちょっと落ち着かないとね」
「だって新しい艦装だよ!使ってあげなきゃ!」
「ふぅ~、提督からも何か言ってよ」
「うん、まぁ大したケガじゃないし良いじゃないか。元気で」
「提督?キミは☆☆の長なんだからもっとしっかりしてくれないと」
「すまない...」
「ふふっ、司令官怒られてる~」
「キミもだよ。皐月」
「げっ、」
その時誰かから声を掛けられた
緑系の着物を着た空母系の艦娘だった
「時雨さん、ちょっといいですか」
「龍鳳じゃないか」
「おや?ボク助かった...?」
「僕に用かい?」
「はい、少々お時間を頂きたくて...」
「?分かった、今行くよ」
龍鳳に連れられ廊下を歩く
「僕に用事があるなんて珍しいね」
「え、えっと時雨さんって強いですよね」
「なんだい急に、悩みがあるなら他に僕より良い相手がいると思うけどね」
「...時雨さんは...どうしてそんなに強いのですか...」
「なんの事を言っているんだい?僕はそんな褒められたような奴じゃないよ」
「私の任務なんかより過酷な戦場に沢山行って...顔色一つ変えずに戻ってきて」
「...勘弁してくれ、そうな上等なモノじゃない、臆病なだけだよ、死ぬ覚悟が無いのさ」
「言われたから戦いに行って、ヘラヘラしてるだけだよ」
「昔だって流されて...自分で決めたのはレールの歩き方だった」
龍鳳が立ち止まる
「自分をそんなに過小評価しないでください、貴女は立派ですよ」
「過小評価か...どうかな...」
「私、貴女に憧れて軽空母になったんです」
「...」
「最近になって空母の艤装を使う様になったんです」
「小さな貴女が最後の一人になっても戦い続けるのを見て...」
「私も皆のために前線で戦いたいって...」
「...それで僕に何を求めているんだい」
「私を強くして下さい、貴女みたいに」
「まいったなぁ...僕は空母でも軽空母でも無いんだけど」
「ふふ、とぼけても駄目ですよ、私見てましたから」
「見たって何を...」
「貴女が艦載機を使っている所ですよ」
「カタパルトコンテナの事か...じゃあキミは...あの時の潜水母艦か」
「いま気付きました?」
「でも装備が手元に無くてね、残念だけどまたの機会に..」
時雨が歩き始める
龍鳳がそれを追いかける
「それならその装備はどこにあるんですか」
「●●鎮守府じゃないかな、確かじゃないけど」
「なんで他の鎮守府にあるんですか?」
「僕は●●から来たからね、まだ装備の一部が置きっぱなしなのさ」
「じゃあ!取りに行きましょう!明日にでも!」
「本気かい?...結構遠いよ?」
「私は本気ですよ、貴女の運転なら直ぐじゃないですか」
「何を運転させる気だい?」
「何でしたっけ...?あの蒼白くて細いヤツ...」
「”リトルレイダー”かい?あれは強撃近接機なんだけど」
「燃費は良いって聞きましたよ?」
「キミは苦手だよ、僕」
龍鳳が笑うと、時雨が首の後ろを掻いた
_
__
___
_____
「二人ならなんとか乗れるかな」
「座席の裏に入れるかい?」
「な、なんとか入れそうですぅ...んっ...ぁ、きっつい...」
「...」
「ど、どうしました...かっ...ぁ...」
「なんでもない...」
時雨が座席の位置を調整する
「ちょっとはマシになったかい?」
「ぁぃ...ありがとうございます...」
「済まないねぇ、本当は座席に座って貰いたかったんだけど」
「ぉ、おかまいなく...」
時雨が身体にコードのような物が繋がれる
「それなんですか?」
「リトルレイダーを脳で動かす為のコードさ」
「へぇ、便利ですね」
「キミもしてみるかい?直ぐに廃人だよ?」
「え?」
「じゃあ行こう、そこは揺れるから命を落とさない様にね!」
「え゛」
「1...2..3、Let's GO!」
「まってーッ!」
「舌噛むよ~」
「んッ!」
吹き飛ぶ様な景色の中
揺さぶられる龍鳳の目に一瞬、口角を吊り上げる時雨が映った
水面ギリギリで機体を真っ直ぐ飛ばしていた時雨が何かに気がついた
「支援マーカーだ、ちょっと揺れが強くなるよ」
「ぐぇ、ま...て....」
機体が急旋回する
その先には黒い靄のかかった軍艦が何隻も並び砲火を撒き散らし、人型の機甲と戦っていた
「ほら、噂のバタリオンだよ、あれ失神しちゃった?」
「フリゲートに空母...まぁどうとでもなるかな、おっと」
船から打ち出された対空ミサイルを躱わす
「キミ達ー!大丈夫かーい?」
機体が次のミサイルを躱わすように急上昇する
砲火の中に飛びこんだリトルレイダーが右手を振ると光線のような光剣が数隻の船を両断した
水面を蹴るように加速すると次々と船を切り捨てていく
[なんだ!?援軍か!]
[助かった...]
左手から放たれた光弾が空母から発艦した戦闘機を撃ち落とし
空母に乗り上げ切断し、次の船に飛び移る
「これで最後かな?」
リトルレイダーが身体を回転させ、一際大きい戦艦を両断する
[どこの誰だか知らないが助かった...]
「まったくだらしないねぇ...たかが船じゃないか」
「龍鳳?生きてるかい?」
「...」
「...」
「う~ん...打撲で済みそうだ...内臓は...無事かな、良かった」
「ほら、起きて」
「イタッ!何!?ここはどこ!?」
「大丈夫かい?」
「クラクラします...」
「頭を打ったのかも...命に関わらなきゃいいけど...」
「え゛」
「早く●●に行こう、医者にも見せないとね」
「さぁ掴まって」
龍鳳の声と共に景色が加速する
「はっはっはっ!舌を噛むよ!」
「ん~ッ!」