骸の島(艦これ二次創作)   作:トウトウ@脳缶

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黒い深海

眼を醒ます、背中に硬いベットの感触がする

瞼を開いても視界は暗い、顔にはまだ帽子が乗っている感触がある

遠くからは微かにな銃声と爆発の音、訓練ではなく実戦の音のようだ

私の寝ている空間には膿や魚介類のような生臭い臭いが立ち込めていおり、野戦病院を想わせた

じんわりと痛む身体を動かし、帽子を外す、視界が明るくなりボヤける

目が少しずつ慣れ、電線の走る岩肌の天井が見えてきた、

野戦病院はあながち間違っていないかもしれない

上半身を起こす、壁には薄汚れた緑の布が打ち付けられ象形文字の書かれた紙が貼られている

窓は無く、灯りは剥き出しの電灯、出入口には魚のような絵の書かれた簾が下がっている

自分に起きた出来事とこの空間の異様な雰囲気、激しい渇きと空腹感に身体を動かせないでいた

 

部屋を見渡し、辺りを手探りしても埃っぽいベットが並ぶだけで自分の装備品は見当たらない

簾が何かに押されると私は思わず身構えた

 

簾の向こうからうっすらと桃色を帯びた白い肌の人型が現れる

人型の脚は途中で途切れ恐ろしい顔を模した黒殼の装置に置き換わっている

駆逐棲姫と分類される深海棲艦だった、今の状態では戦えない

深海棲艦が口を開く

「ひさしぶり、アオバ」

 

何処かで聞いたことのある声、だが深海棲艦に知り合いなどいるはずがなかった

僅かな時間睨み合うと簾の向こうから呼ぶような声が聞こえ、駆逐棲姫が部屋から出ていった

”ひさしぶり”にはどういった意図があったのだろうか

先ほどの駆逐棲姫の姿、今までの記録にない薄い桃色を帯びた深海棲艦だった

うっすらと桃色を帯びた髪はまるで鮫型との戦闘で死亡した駆逐艦"春雨"の亡霊のようで

私の心を掻き乱した

 

 

完全に眠らないように気を付けながら身体を休める

何故引き揚げられたかは検討も付かないが、

今は一時でも早く動けるようにならなければいけない

徐々に身体に力が戻り始めた、上半身を起こし、ベットから出ようとすると音が聞こえる

急いでベットに身体を戻す

 

部屋の中に傷だらけの深海棲艦が運び込まれ血の臭いが強くなる

本当に野戦病院のような施設らしい、運び込まれた深海棲艦達が仲間から手当てを受けている

こう数が居たら動くに動けない、手当てをしていた深海棲艦の中から一匹寄って来た

獰猛な口と黒い艤装で構成された右腕は緑色の光を灯し、特徴的な角の生えた仮面を着けている

左腕ではなく右腕が巨大化している事と緑の光を除けば軽巡棲姫その物だった

「アオバ、ウゴケル?」

私の名前を知っているようだ

その軽巡棲姫が左手を差し伸べ私を立たせる

なんとか立ち上がった私に心配するような声を出す

「ダイジョウブ?」

「...」

「ツライ?」

「貴方達の目的は何ですか...?」

「エ?モクテキ?イマ...シゲンノダッカンサクセン、シテル」

聞き取り辛い喋りだったが資源奪還作戦と言ったのは判った

輸送船の護衛とでも戦っているのだろうか?それにしても戦闘音が大きい気もするが

「何故...私を助けたのですか...?」

「ワカラナイ、ワタシジャナイ」

"私じゃない"

この軽巡棲姫が私を助けた訳じゃないという事だろうか

喋り方が聴きづらいだけではない判りにくさがある

「では...誰が私を...?あ~、私を助けたんですか?」

「ピィ=ノラ、デス」

ピィ=ノラ...名前だろうか...?誰のことかまったく判らない

「ピィ=ノラ...さん?ですか?」

「ソウ、アイタイ?」

"会いたい"だろうかどうやら望めば会えるらしい

「...」

「?」

軽巡棲姫が首を傾げる

どうやら返答を待っている様子だった

「...会いたいです、会わしてください」

「ワカッタ、カエッテキタラツレテクル」

 

...

運び込まれた怪我人の息づかいを聴き、

血生臭い空気の中で横たわっているといつの間にか眠ってしまっていた

それに気付いたのは先ほどの駆逐棲姫に揺さぶられ起こされたからだった

「ッ!」

その白い顔が視界に入り、思わず体を勢いよく起こすと

駆逐棲姫の硬い黒帽子に顔をぶつける

「痛っ!」

「ウワッ!」

「ウウ...ゴメンナサイ」

「いてて...貴方はさっきの...」

「おはよう、アオバ」

「ワタシ、ピィ=ノラ」

「ヨンダデショ?」

 

あの駆逐棲姫がピィ=ノラらしい

「あの...」

「なぁに?」

「...私は何故助けられたのですか?」

「ダッテ、ともだちダカラ」

”ともだち”確かにそう言った、だが深海棲艦に友達などいるはずがなかった

誰かと勘違いしたのだろうか?だが名前はどこで?

私の顔を覗き込みピィ=ノラが言った

「わすれちゃった?わたし」

知らない、思い出せない

わからない

「そっか...」

駆逐棲姫が黒い帽子を外し、白い帽子を被る

「ちょっと...さびしいな」

「でも良かったな....」

”春雨さん”

無意識の内にこんな言葉を発していた

そんなハズはない

「オモイダシテクレタ?」

「春雨さん...?どうして...」

「シラナイ」

「...そうですか」

「アオバ、モウスグカエレルカラ...」

「春雨さんは...?」

「ワタシは...まだやることがたくさんあるの...」

「そうですか...」

 

「ジャア、フゥ、イコ?」

「ワカッタ」

フゥと呼ばれたのは先程の緑光を灯した軽巡棲姫だった

その後ろ姿からも何処か懐かしい雰囲気を感じた、ような気がした

二人が簾の向こうに姿を消していった

黒い帽子を拾いあげて顔に被せる、意外と大きいようだ、あと結構重い

だが除ける気にはならなかった

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