通報のあった地点の扉を押し破し雪崩れ込む
「うわ、なんやこの臭い...血ぃ?」
むせかえるような血の臭い
人が1人2人死んだけではないと思わせる程に濃い
「みんなはここで待っといて」
飛行甲板の紐を解き、式紙を手に取る
「誰かおるんかー?」
「うっわ...これまたけったいな...」
大量の男女の死体と銃撃戦の跡
壁や床、天井にまで血が飛び散り、血溜まりと乾いた血の足跡で足の踏み場もほとんどないほどだ
血だらけ薬莢と銃が散乱しているのにも関わらず
転がる死体のほぼ全ての死因は刃物でつけられた傷だった
「こう汚れとるとヘタに動けんなぁ」
「みんな~、もうエエで~」
「うわ、内臓みえとる...」
偵察用の艦載機を現場に放ち後を他に任せる
最近似たような事件が多い
通報が有って現場にいくと血溜まりと死体の山があり、通報した者の姿は見えない
現場は何かを探し回ったような痕跡があり
殺された者たちは決まって何かしらの犯罪組織に所属している
解っていることは凶器の刃物が数種類あること位だ
証拠は血によって塗り潰され、凶刃と銃弾に砕かれているのだ
炎で部屋中が焼かれていた事もあった
夥しい死体と臓物を片付けるだけでも大変らしい
組織的な犯罪と言われているが転がる死体の全てが同じ組織に属しており
仮に仲間の死体を回収していたとしても引き摺った跡が一切ない
あの血溜まりの中から跡を着けず、一滴の血も外に垂らさないのは不可能だ
いったいどんな精神状態でどんな力を持てばこの規模の殺しを繰り返すことが出来るのだろう
これもほぼあり得ない話だが少なくとも実行犯は1人と考えるのが自然だ
私が呼ばれたのはここが理由だ
かなり実力をもった艦娘やミリ姫など強化を受けた軍崩れが犯人だと思われており
艦娘の自分が選ばれたのだ
これだけの事をする犯人に勝てるだろうか、
この犯人に殺られたと思われる軍崩れの亡骸も見てきた
現場に犯人が居ないことに少しホッとする自分少なくともいる
BANG! BANG!
二発の銃声がなる
間違いなく本物の銃声だった
三発目の銃声と共に街に小さく悲鳴が木霊した
「銃声...?本物や!?」
音を辿って走る
一つの死体と一つの薬莢がビルの上から落ちてきたようだ
骨が折れ曲がり、身体には剣で斬られたような巨大な傷がある
上を見上げると屋上の縁に人影が見えた
それに向けて艦載機を飛ばす
ふと人影が消えたと思うと艦載機が何機か落とされる
艦載機の落ちるおと以外に金属がアスファルトに当たる音がした
辺りを見渡すと鉛色のナイフが落ちていた
ナイフに手を伸ばすとうっすらと嘘の様に消えてしまった
「うぇ...ッ!消えよった...」
辺りにいる仲間にビルの出入りが無いかを聞く
出入りはないようだ
ビルの中に仲間を侵入させ、自分が先頭になって分散させながら階段を昇る
屋上に着いたがあの人影は無い、仲間も見てないようだ
またもや消えてしまったのだ
他の建物にでも跳び移って逃げたのだろうか
周囲を回った艦載機もあやしい人影を見ていないようだった