光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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イージス光る時(B)

 

 ナックル星人バンデロの襲撃後、本部へ急ぎ帰投した特捜班は、全力を挙げて奪われたスパークドールズ、及び連れさらわれたスバルとアインハルトの行方を調べていた。

 

「ナックル星人の開けた次元の穴の先の座標が特定できました!」

 

 その結果を、アルトがカミキらに向けて大声で報告した。

 

「教えて下さい! アインハルトさんたちはどこへさらわれたんですか!?」

 

 大事な友人を誘拐されて、ずっと気を揉んでいたヴィヴィオ、リオ、コロナがすがりつくように尋ねかけた。

 

「未発見の次元世界だけど……」

「次元世界だな。すぐに次元艦を手配しよう。Xioの総力を挙げてスパークドールズ奪還と、スバルとアインハルト君の救出を行う!」

「よっしゃあ! 待ってろよスバル、アインハルト!」

 

 クロノが早速指令を発し、ノーヴェが拳で手の平を叩いて意気込んだ。だが、

 

「いえ、それは現状では無理です……」

 

 ルキノが沈んだ声を出す。

 

「ど、どうしてですか!?」

 

 動揺するダイチ。アルトが理由を告げる。

 

「その次元には……現在の次元船では到着まで最も早くとも六年は掛かるとの計算が出ました」

「ろ、六年!?」

 

 その数字に、全員が衝撃を受ける。

 

「六年も掛かったら、スバルたちがどうなるかわかったもんじゃないっスよ!」

「馬鹿な! そんな遠く離れた世界に、どうやって一瞬で移動したんだよ!」

 

 ワタルの怒号に、グルマンが努めて冷静に告げた。

 

「敵の技術力が、管理局よりもはるかに優れているということだろう。奴の持ってた銃は、世界と世界を直接つなげる機能があるんだ」

「そんな……アインハルトさんにはもう会えないってこと? 嫌だよ、そんなの……」

「一体どうすれば……」

 

 リオとディエチが茫然とつぶやいたところ、ルキノの席の通信装置からか細いがスバルの声が発せられた。

 

『こちらスバル……聞こえますか? 本部、応答願います……』

「スバル!?」

「無事だったのか!」

 

 ハヤトとチンクが思わず叫び、皆がルキノの席へと集まった。ダイチが問う。

 

「スバル、大丈夫か!? アインハルトちゃんは?」

『アインハルトも無事だけど……あんまり大丈夫じゃないよ。相手の隙を見て、どうにかスパークドールズを取り返して逃走してるところなんだけど……どこにも人がいないし、いつまで逃げられるものか……』

 

 顔の見えないスバルの声からは、疲弊の色が見られた。スパークドールズ奪還に、かなりの力を消費したようだ。

 

「でも、この通信はどこから来てるのかしら? いくら何でも、遠く隔てた次元から念波が届くとは考えられないわ」

 

 マリエルが疑問を口にすると、アルトがそれに回答した。

 

「発信源がわかりました! エリアT-9Cです」

「えっ? どうしてそんな場所から……」

「エリアT-9Cって確か……!」

「ダイチ!?」

 

 何かに気がついた風のダイチが、ノーヴェの制止も聞かずに本部から飛び出していった。

 

「とにかくスバル、どうにかこちらで救出の手段を講じる。孤立無援で苦しいとは思うが、それまでスパークドールズと民間人を守っていてくれ」

『了解です……!』

 

 カミキとの応対を最後に、通信が途切れた。それを境に、グルマンが顔を上げる。

 

「こうしてはいられん。シャーリー、マリー、すぐにラボに行くぞ! 一刻も早く救出手段を開発せねば!」

「博士、開発と言っても、どんなものを作るつもりなんですか……?」

 

 シャーリーの質問に、グルマンは一言で答えた。

 

「今の我々に作れるのは、一つしかない」

 

 

 

 Xioベースから飛び出したダイチは、エリアT-9Cへと足を運んでいた。

 

『ここは……』

「かつて母さんの研究所があった場所だ」

 

 ダイチの言った通り、ここは十五年前の怪獣大災害時に消え失せてしまった、宇宙電波研究所の跡地であった。今では何もない、ただの空き地が広がっている。

 

「スバルからの通信は何故この場所から?」

 

 ダイチの疑問に、エックスが答える。

 

『ここは、あらゆる次元世界をつなぐ特異点の一つかもしれないな』

「じゃあここからスバルとアインハルトちゃんを助けに行けるのか!?」

『残念ながらダイチ、我々に超長距離の次元を突破する力はない』

「そんな……」

 

 エックスからの回答に、暗い顔になるダイチ。

 その時、背後から誰かに声を掛けられた。

 

「しけた顔してんなぁ、お二人さん」

「!? あなたは……」

 

 振り返ると、そこにはいつの間にか、青いパーカー姿の青少年が立っていた。

 ダイチは彼の雰囲気が、先ほどのウルトラマンと同じであることを感じ取った……。

 

「ちょっくら、成層圏まで顔貸しな」

 

 青少年は顎をしゃくって、はるか上空を指した。

 

 

 

 変身したエックスは、ミッドチルダの成層圏でウルトラマンゼロと対面する。

 

『お前らがこの世界のウルトラマンか』

『あなたは一体誰なんだ?』

 

 エックスの問いかけにゼロは短く返答する。

 

『俺は、宇宙警備隊のゼロ』

『「宇宙警備隊……?」』

『奴を追って、このミッドチルダに来たのか』

『バンデロは今、惑星ギレルモにいる。あんたの友達の波長でわかった。礼を言うぜ』

 

 それだけ告げて、銀色の鎧――ウルティメイトイージスで『ギレルモ』まで飛んでいこうとするゼロ。それをダイチが呼び止める。

 

『「待ってくれ! スバルを、アインハルトちゃんを……友達を助けたいんだ。一緒に連れてってくれ!」』

 

 と頼むが、ゼロにあえなく断れた。

 

『二万年早いぜ、お前らには。俺に任せな。あばよ!』

 

 すがりつく暇もなく、ゼロは次元の穴を通ってミッドチルダから去っていった。エックスとダイチには、それを追いかける力はないのであった……。

 

 

 

 力のないダイチがラボに戻ると、そこではグルマンたちがある作業に全力で取りかかっていた。

 

「急げ急げぇ……! よぉし、術式のプログラミングはこれでいいだろう。後は……」

「博士、これはどこに置けばいいんですか?」

「量子分析器の隣に頼む」

 

 グルマン、シャーリー、マリエルが何かの術式を構築し、その周りではN2R、ワタル、ハヤトが数々の機材を運んでいる。更に、ヴィヴィオたちがパンケーキの山を持ってきた。

 

「博士ー! パンケーキ焼けましたよー!」

「おお、ありがたい。ちょうど私の脳細胞が糖分を必要としていたところだ」

 

 コロナに口の中にパンケーキを入れてもらっているグルマンに、ダイチが尋ねる。

 

「博士、何を作ってるんですか?」

「戻ったか、ダイチ。私の一世一代の発明だ!」

 

 パンケーキを咀嚼しながらグルマンが答えた。

 

「ウルトラマンゼロの鎧にはナックル星人の銃と同じ、次元の壁を突破する力がある。それを再現するデバイスだ! お前も手伝ってくれ!」

 

 一瞬驚いたダイチだが、すぐに笑みを見せてうなずいた。

 

「はいっ!」

 

 

 

 ミッドチルダから遠く離れた、三つもある太陽が空に輝く次元宇宙の惑星『ギレルモ』。無人の荒野がどこまでも広がる土地に、スバルとアインハルトはいた。しかし、

 

『馬鹿め、逃げ切れるものか。このギレルモにお前らの味方はどこにもいねぇんだよ』

 

 既に追いかけてきたバンデロに追い詰められている状況下にあった。だがスパークドールズを守るために、大人モードのアインハルトが敢然と立ち向かう。

 

「ダイチさんの夢は……あなたなんかには渡さない!」

 

 一瞬の内に距離を詰め、足先から練り上げた力を拳に伝え、一気に振り下ろす!

 

「覇王断空拳!!」

『ふんッ!』

 

 が、バンデロのアッパーと衝突し、押し切られて殴り飛ばされた。

 

「うあっ!!」

「アインハルトっ!」

 

 ボールのように飛ばされたアインハルトを、スバルが受け止めた。

 

「断空拳まで、簡単に破られるなんて……!」

 

 痺れる腕を抑えるアインハルトを嘲笑するバンデロ。

 

『ガキの遊びの拳で、このバンデロ様に勝てるもんかよ』

「遊び……!? わたしの拳が……!?」

 

 格闘と強さに己を捧げるアインハルトにとって、これ以上の侮辱はない。だが手が出ないのも事実なので、アインハルトは悔しそうに歯を食いしばることしか出来なかった。

 

『だがお前ら、筋はいい。戦いと、殺しの才能があるぜ』

「えっ……!?」

 

 バンデロのいきなりの発言に、アインハルトとスバルは一瞬言葉をなくした。

 

『お嬢ちゃんたち、この宇宙にはなぁ、恐ろしければ恐ろしいものほど売れる世界があるんだよ。宇宙に出て戦場を荒らす傭兵をやりゃあ、あんたら巨万の富を得られるぜ。どうだ、俺の下につかねぇか』

 

 と勧誘を掛けるバンデロ。

 

『あんな狭い世界で、遊びで拳を振るうなんて馬鹿らしいぜ。この世界、結局は強い奴が全てを得るんだよ』

 

 そのバンデロの言葉に……アインハルトから手を放し、彼女の前に回ったスバルが返す。

 

「強いことだけが、全てじゃないよ」

 

 ダイチと同じことを話したスバルの後頭部を、アインハルトはハッと見つめた。

 

『何だと?』

「たとえ弱いものでも、命は色んな方向で一生懸命生きてるんだよ。可能性を信じて、努力していく者が明日を作ってる。あたしは命を助ける現場で、それをたくさん見てきたんだ……!」

 

 スバルは熱と力を込めて、語った。

 

「力の強さだけが全てだなんて……聞き分けのない子供が言うことだよ!!」

「スバルさん……!」

 

 アインハルトは感銘を受けたが、バンデロの方は逆上した。

 

『下手に出てればつけ上がりやがって!! テメェらの置かれてる状況、わからせてやるッ!』

 

 こちらへ向かって突っ込んでくるバンデロに、スバルはシューティングアーツの構えを取る。

 

「アインハルト、ケースを持って下がってて! 絶対守るから!」

「は、はい……!」

 

 アインハルトを下がらせると、スバルはバンデロを迎え撃ちに行く!

 

「ナックルダスター!」

 

 魔力で肉体を強化し、リボルバーナックルを突き出すが、バンデロにはいなされる。

 

『おらッ! おらぁッ! ハハハ、消耗した身体でいつまで耐えられるかな!?』

「うっ……!」

 

 逆にバンデロの容赦のない拳の連撃を叩き込まれる。ギリギリ身体の軸をずらして直撃は避けるが、ジリジリと追い詰められていく。

 これにほくそ笑んだバンデロが、銃口をスバルの眉間に合わせた。

 

『死ねぇッ!』

 

 バンデロの指が引き金を引く――!

 それより早く、スバルの膝が銃床を蹴り上げた!

 

『何ッ!?』

 

 弾かれて空を向いた銃口から、弾丸はあらぬ方向へ飛んでいった。

 スバルは反対の足で地を蹴り、動揺して隙を見せたバンデロの顔面へ回し蹴りを入れる!

 

「キャリバーショット!!」

『ぐぼあぁッ!』

 

 バンデロは勢いよく蹴り飛ばされ、土の上を引きずっていった。

 

「これが、命の底力だよ……!」

「スバルさんっ!」

 

 息を切らしながらもバンデロを出し抜いたスバルの姿に、アインハルトは興奮して手を強く握った。

 

『おのれぇぇぇぇッ!!』

 

 だが怒りがヒートアップしたバンデロは巨大化! スバルたちはまともに対抗できなくなってしまった!

 

『このバンデロ様をなめるなよ! 俺は宇宙最強! ちっぽけな貴様らなんぞ、叩き潰して……!』

 

 後ずさるスバルたちに銃を向けたバンデロだが、言葉の途中で空に穴が開いた。そして……。

 

「デヤァッ!」

 

 一直線に飛んできたウルトラマンゼロが、バンデロを殴り飛ばした!

 

『うおあぁぁぁ――――――!?』

 

 吹っ飛んだバンデロは岩山に叩きつけられる。

 

『助けに来たぜ』

 

 着地したゼロは、安心させるようにピースサインを見せた。スバルとアインハルトは、救援の手に喜色を浮かべる。

 一方、強打した頭を押さえるバンデロが叫ぶ。

 

『ブラックキング・ドリルカスタム!』

「グアアアアァァァァ!」

 

 大地を裂いて、ブラックキングが出現。折られた角が、ドリル兵器に置き換わっている。

 

『いい加減鬱陶しいんだよッ! ここで始末してやる!!』

 

 怒りのボルテージが頂点に達したバンデロが、改造されたブラックキングとともにゼロに襲いかかる!

 

『上等じゃねぇかぁッ! ブラックホールが吹き荒れるぜぇッ!』

 

 相手の勢いに全くひるまないゼロは、敢然と迎え撃つ。正面から迫るブラックキングを抑え、バンデロに後ろ蹴りを浴びせる。

 

『食らえ! ドリルバスター!!』

 

 バンデロの指示でブラックキングのドリルから、螺旋状の光線が発射された! 大地を穿ち引き裂くその威力に、ゼロも回避を余儀なくされる。

 

『おぉらぁッ!』

 

 そこを狙って、横に跳びながら銃の光弾を乱射するバンデロ。だがゼロも横に跳び、額のランプからレーザーを発射。

 

『エメリウムスラッシュ!』

 

 激しい撃ち合いの末、両者は転がりながら着地。ブラックキングはゼロの方へ走って打撃を振るう。

 

「グアアアアァァァァ!」

『おっとぉッ!』

 

 ブラックキングの攻撃を両腕で防ぐゼロ。そこにバンデロが飛び蹴りを仕掛けてくるが、ブラックキングをキックで押し返してから打ち落とした。

 前後から襲ってくる凶悪タッグに、ゼロは互角に渡り合う!

 

 

 

 そして、Xioのラボでは皆の尽力により、肝要のデバイスが完成の時を迎えた。

 

「完成です!」

「やったぁっ!!」

 

 ウルトラマンゼロの絵柄のデバイスカードが出来上がり、ヴィヴィオたちが喜びの声を上げた。

 

「これで次元の壁を越えて、アインハルトさんたちを助けに行けるんですね!」

「でもエネルギー供給の問題で、これは同じウルトラマンであるエックスでないと扱えないの」

 

 シャーリーが仕様を説明した。

 

「それで、どうやってこれをエックスに渡すかだけど……」

「さぁて! 一仕事したし、私たちは飯でも食いに行こう!」

 

 マリエルが言いかけた時、グルマンがそんなことを言って皆を強引に引っ張っていく。

 

「ええ!? この状況で!?」

「いいからいいから! 久しぶりにヨーグルトで一杯やるぞ! 後のことはダイチ、後から来たお前がどうにかしろ」

「えっ!?」

 

 グルマンは去り際に、キーボードを指でタッチする。

 ダイチがエクスデバイザーの反応を感じて引っ張り出すと、そこにゼロのデバイスカードが転送されてきた。ダイチは驚いた顔で、グルマンの去った後を見つめる。

 

「博士……」

 

 

 

 外に出たダイチは、エックスに呼びかける。

 

「ユナイトだ、エックス!」

『よぉし、行くぞ!』

 

 ダイチはすぐさまデバイザーのスイッチを押して、ユナイトを開始。

 

「イィィィーッ! トワァッ!」

[エックス、ユナイテッド]

 

 エックスへと変身すると、ゼロのカードをデバイザーにセットした。

 

[ウルティメイトゼロ、スタンバイ]

 

 エックスの右腕に剣が装着され、上半身をあの銀色の鎧――ウルティメイトイージスが覆った。

 

『デェェェヤッ!』

[イージスジャケット、セットアップ]

 

 

 

「グアアアアァァァァ!」

『へへッ、こっちだ!』

 

 ブラックキングの尻尾の横薙ぎを側転でかわしたゼロは、挑発しながら敵をスバルたちより引き離していく。

 

「セヤァァァッ!」

 

 そこに、次元の壁を超越したエックスが飛んできた! ゼロたちが、スバルとアインハルトがエックスを見上げる。

 

「エックス! 来てくれたんだ……!」

「うん! あたしたちのウルトラマンだ!」

『それ俺の……』

 

 エックスの着地の際の風圧で、バンデロとブラックキングは後ろに押される。

 

『何ぃぃぃぃッ!? ここに来てウルトラマンが、二人だと!?』

 

 ゼロはエックスの隣に立って呼びかけた。

 

『よくここまで来られたな』

『二万年も待ってられないんでね』

『へへッ、言うじゃねぇか。そんじゃあ行くぜッ!』

『おおっ!』

 

 二人のウルトラマンは、悪しき宇宙人と怪獣にぶつかっていく!

 

『ちくしょうがッ! 纏めてひねり潰してやるッ!』

『出来るもんならやってみやがれッ!』

 

 エックスの剣がブラックキングのドリルを抑えつける。その間にゼロはバンデロの拳を止め、相手の腹部にキックを入れた。

 ダイチはエックスの鎧を、イージスジャケットからゴモラキャリバーへと切り替える。

 

『ギャオオオオオオオオ!』

[ゴモラキャリバー、セットアップ]

 

 ゴモラキャリバーのクローがブラックキングの体表を切り裂く!

 

「グアアアアァァァァ!」

『「超振動拳!」』

 

 スピナーが猛烈に回転し、クローから振動波が生じる。そしてブラックキングへと飛び込んだエックスが、クローを叩きつけた!

 

「ヘェェェヤッ!」

「グアアアアァァァァ!」

 

 溢れ出る振動波がクレーターを穿つ勢いで、ブラックキングに大きなダメージを与えた!

 ダイチは更にゴモラキャリバーからエレキングミラージュへと鎧を換装。

 

『キイイイイイイイイ!』

[エレキングミラージュ、セットアップ]

 

 二丁の銃から、オレンジ色の電撃を発射!

 

『「ヴァリアブル電撃波!」』

「テェェェェーッ!」

 

 直撃した電撃波が、ブラックキングを中心に爆発を引き起こした!

 エックスがブラックキングを抑えている間に、バンデロと戦うゼロは燃えるように赤い姿へと変身を行った。

 

『ストロングコロナゼロ!』

 

 殴りかかるバンデロだが、ゼロの拳が衝突すると、自身の拳が砕かれ故障してしまう!

 

『ぎゃああああッ!? お、俺の腕がぁぁッ!!』

『ウルトラハリケーン!』

 

 悶えたところをゼロに上体を抱え込まれ、空高くに投げ飛ばされた! その勢いはさながら暴風だ!

 

『ぐはぁぁぁぁッ! おのれぇぇぇ……!』

 

 荒野に真っ逆さまに転落したバンデロだが、まだダウンしていない。無事な方の腕で銃を抜き、ゼロへ銃口を向け、光弾を連射!

 

『ガルネイトバスタァァ―――!』

 

 ゼロはその光弾を、赤く燃える光線で全て相殺した。そして透き通るように青い姿へとまた変貌する。

 

『ルナミラクルゼロ!』

 

 起き上がったバンデロと静かに睨み合うゼロ。両者の間に吹き抜ける一陣の風。そして……。

 

『ミラクルゼロスラッガー!』

 

 バンデロの早撃ちと同時に、分身したスラッガーが奔る。その結果、

 

『……うッ……!』

 

 光弾が脇をかすめたゼロが、その場に片膝を突いた。

 

『フハハハ! 結局は強い者が勝つ! それが宇宙の掟なのだッ!』

 

 勝利を確信したバンデロが豪語し、銃を振り上げる。

 が、自身の身体に違和感を覚え、足元の影を見下ろした。そして絶句。

 

『なッ……!?』

 

 影にはあり得ない位置に細長い穴がいくつも開いている。スラッガーが貫通していたのだ。あまりの切れ味に、「斬られた」ことに気づくのが遅くなっただけであった。

 

『そんな、馬鹿な……!』

「シャッ!」

 

 負傷を自覚したことで動けなくなったバンデロに対し、立ち上がったゼロが自分のカラータイマーにふた振りのゼロスラッガーを接続。そこから超威力の光線を発射する!

 

『ゼロツインシュート!!』

『ぐわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――ッ!!』

 

 凄まじい光の奔流に呑まれたバンデロは、たちまちの内に爆散。宇宙中で暴威を振るいいくつもの争いを巻き起こした死の商人の、因果応報の末路であった。

 ゼロの勝利の一方で、エックスも勝負を決めようとしていた。エレキングミラージュを解除して、右腕を力強く振り上げる。

 

「グアアアアァァァァ!」

 

 ブラックキングがドリルから光線を放ったが、エックスは上半身をひねって光線を回避。そのまま上体を戻す勢いで、とどめの光線を送り返す。

 

「『ザナディウム光線!!」』

 

 ザナディウムを食らったブラックキングがとうとう爆発。肉体が圧縮され、スパークドールズへと変化した。

 地面に転がったブラックキングを回収したスバルとアインハルトが、エックスとゼロに向かって手を振る。

 

「エックスー! ウルトラマンゼロっ!」

「ありがとうございます……!」

 

 二人のウルトラマンは、スバルたちにおもむろにうなずき返した。

 

 

 

 戦いを終わらせ、それぞれのウルトラマンが彼らの世界に帰還する時がやってきた。両者イージスを装着すると、ゼロがエックスに呼びかける。

 

『ウルトラマンエックスか……。また次元のどこかで会える日を、楽しみにしてるぜ』

『ああ……私もだ!』

 

 双方、固く握手。そしてゼロと、スバルとアインハルトを手の平の上に乗せたエックスがギレルモから飛び立ち、次元を飛び越えていったのだった。

 

 

 

 エックスたちのミッドチルダへの帰還後、ヴィヴィオら三人はスバルとアインハルトから、ギレルモでの出来事の話を聞いていた。

 三人が一番関心を持ったのは、ゼロの活躍ぶりであった。

 

「へぇ~、そんなに強かったんだ、ゼロさんって。あんなに手強かった異星人と怪獣を同時に相手にしても、物ともしなかったなんて!」

「かっこよかったんだろうな~。あたしもその戦い、生で見たかったなぁ」

「羨んじゃ駄目だよ、コロナ。アインハルトさんたち、大変な目に遭ったんだから」

 

 三人の感想を傍から聞いたダイチが、ふと問いかける。

 

「ねぇ、みんな……エックスより、ウルトラマンゼロの方にこのミッドを守ってもらいたいって思う?」

「え?」

『おい、何を聞くんだダイチ。私に不満でも……』

 

 思わず抗議を入れるエックス。慌ててデバイザーを抑えたダイチは、質問の真意を語る。

 

「ゼロは無敵といってもいいくらいの実力だった。正直、エックス以上だ。だから、やっぱり強い者がいてくれた方が安心じゃないかって……」

 

 ダイチはゼロの強さを認め、敬意を持つ一方で、若干の劣等感を覚えていた。自分とエックスよりも、ゼロにミッドチルダを守ってもらう方がよかったのではないか……と。

 質問に一番に答えたのは、スバルだ。

 

「どっちが上でどっちが下って言うつもりじゃないけれど……あたしは、エックスの方がいいって思うな」

「えっ、何で?」

 

 思わず虚を突かれるダイチ。スバルは続けて言う。

 

「だってエックスとは、今日まで一緒に力を合わせて戦ってきたんだもの。エックスはあたしたちの大事な仲間だよ! 強さとか関係なく、これからも一緒に歩んでいきたいって思う!」

「あっ……」

 

 スバルの後に、アインハルトはこう語った。

 

「私たちを助けてくれるためにダイチさんたちが頑張ってくれたこと、すごく嬉しかったです。あれだけ打ちのめされて、それでも駆けつけてくれたエックスのことも……。だから私も、エックスにいてほしいって思います。スバルさんも、可能性を信じて努力する者が明日を作るって言ってましたし……すごくいい言葉でした」

「そ、そうかなぁ? 咄嗟に口から出たことだけどね」

 

 まっすぐに称賛されたスバルが恥ずかしがる。

 ヴィヴィオたちもスバルらに賛同した。

 

「わたしも、エックスはもうわたしたちの仲間だって思います!」

「エックスももちろんかっこいいよね!」

「次元世界を守ってくれてること、たくさん感謝してます」

 

 わいわいと語るスバルたちの言葉を聞いて、ダイチもエックスも静かに微笑んでいた。

 

「『……ありがとう」』

 

 

 

 ――ミッドチルダ南部の、とある林の中。

 

「おらおらぁッ!」

「ハハハッ、こいつ全然抵抗しねぇぜ!」

「とっととミッドから出てけよ宇宙人ッ!」

 

 軽薄そうな高等科の学生たち数人が、一人の白い服の青年をよってたかってリンチにしていた。無抵抗のままうずくまる彼に、すくった土を浴びせるなどひどい目に遭わせる。

 

「やめて下さいっ!」

 

 そこに短髪の、一見すると男の子と間違えてしまいそうな外見の少女が割って入ってきて、腕を広げ青年をかばった。

 

「どうしてこんなひどいことするんですか! この人がかわいそうです!」

 

 学生たちはあどけない少女だとわかると、見下した視線を向けて底意地の悪い笑みを顔に張りつけた。

 

「君の方こそやめときなよ~。そいつはミッド人じゃねぇんだぜ。俺ら、魔法なしで光ってるとこ見ちゃったんだよ」

「そんなことすんのは宇宙人だぜ! ミッドを侵略に来た悪い奴なんだよ」

「俺らはそれを退治してるだけなのさ。わかる?」

 

 口ではそう言う学生たちだが、青年が無抵抗なのをいいことに、面白半分でいたぶっているだけだというのが明白であった。

 

「そいつかばってたら、君も悪い奴の仲間だって通報しちゃうよ?」

「保護者は一緒じゃないのかな~? 何だったら、そっちにナシつけてもいいんだぜ」

 

 せせら笑う学生たちに背後から、大柄な人影が掛かった。振り返ると、

 

「……私がその子の保護者だが、何か?」

 

 肌が浅黒く、筋骨隆々な大男がそこに立っていた。髪の間からは獣の耳を生やしており、全身から放つ威圧感もまるで猛獣のそれであった。

 学生たちはそのプレッシャーにあっという間に怖気づき、ガタガタ震える。

 

「あ……その……何でもないでぇーすッ!!」

 

 ピューッと、脱兎の如く逃げていく学生たち。その後ろ姿を見やって、大男は鼻を白けさせる。

 

「ふん、どこの世界でもああいう手合いはいるものだな」

「ありがとうございます、師匠。助けていただいて」

 

 少女はペコリと大男に頭を下げてお礼を言った。

 

「ミウラ、お前なら一人でもどうにでもなっただろうが、インターミドルの直前で問題に巻き込ませる訳にもいかないからな。それより、そこの彼のことだが……知り合いか?」

「いいえ、知らない人です。でも、ここ最近、近くの公園にいるところを何度か見てます」

 

 少女は白い服の青年に手を伸ばす。

 

「もう大丈夫ですよ。ボク、ミウラ・リナルディと言います。あなたのお名前は?」

 

 名乗った少女が尋ねかけると、顔を上げた青年は次のように答えた。

 

「……僕はtE-rU。それ以外のことは、思い出せない……」

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「今回の怪獣はエレキングだ!」

ダイチ「エレキングは『ウルトラセブン』第三話「湖のひみつ」から登場した宇宙怪獣! セブンの怪獣では一、二位を争うほどの人気だよ!」

エックス『元々はピット星人が侵略の手段として繰り出した怪獣だ。ピット星人との共演も何度かあるぞ』

ダイチ「再登場の機会もトップクラス。大怪獣バトルシリーズでもゴモラ同様活躍したぞ!」

エックス『しかしタイラントとの戦いで戦死してしまったのは悲しかったな』

ダイチ「『ウルトラマンX』では直接の登場はないけれど、サイバーエレキングアーマーとしてエックスの力になったんだ」

エックス『電撃の攻撃はかなり見栄えが良かったな』

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 惑星ゴールドから、ミッドにやってきた謎の青年。そして、彼が呼び出した巨大なロボットが、俺とエックスの前に立ち塞がる。待ってくれ! ゴールド星人は他の星を侵略しない、平和な種族のはずだろ!? 次回、『星の記憶を持つ男』。
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