光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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星の記憶を持つ男(B)

 

「キュウゥ――――――!」

 

 テルの操縦がなくなったことで自動防衛システムが作動したルディアンは、両腕のガトリングガンを高速回転させてエックスに発砲した!

 

「デヤァァァーッ!」

 

 弾丸の雨を浴びたエックスが、お返しかのように宙を舞って路面に叩きつけられた。

 そこに飛来するスカイマスケッティ。

 

「エックスが危ないっス!」

「攻撃開始!」

 

 エックスの窮地を見たウェンディとディエチにより、ファントン光子砲がルディアンへと浴びせられた。

 

「キュウゥ――――――!」

 

 攻撃を受けたことでマスケッティも攻撃対象と判じたルディアンがガトリング砲を空に向けるが、立ち上がったエックスがそうはさせまいと詰め寄り、ガトリング砲を蹴飛ばして射線をそらした。

 

「キュウゥ――――――!」

 

 狙いをエックスに戻したルディアンが砲筒で殴り掛かるが、エックスは頭を下げてかわし、体当たりでルディアンの体勢を崩す。

 

「ヌゥオッ!」

「キュウゥ――――――!」

 

 エックスは両脇にルディアンの両腕を抱え込んで、動きを封じ込めた。その間にダイチがルディアン内のテルへと呼びかける。

 

『「君はミウラちゃんの怪我を治し、撃たれても反撃しなかった! 戦いたい訳じゃないだろ!?」』

 

 だが、気を失っているテルに答えることは出来ないのだ。

 

「キュウゥ――――――!」

 

 自動で戦っているルディアンは出力を上げ、ガトリング砲を封じているエックスを押し込んでいく。

 

「ウッ……クッ……デュアッ!」

 

 力で押されるエックスだが、ガトリング砲だけは離さない。そうして押し合いになっていると、エックスの視界にルディアンが元々目指していた先にあるものが映った。

 そこは公園。その中央のモニュメントに違和感を抱いたエックスは、透視でその正体を見極めた。

 地上に見えているモニュメントは全体像の半分だけで、土の中に推進エンジンが隠されていた。

 

『あれは宇宙船だ!』

『「公園の立体アートに偽装した宇宙船?」』

『こいつからは、敵意や凶悪さを感じない。何らかの目的があって、あの宇宙船を目指していたのだろう』

 

 エックスがルディアンと組み合っていると、テルが朦朧としながらも意識を取り戻し、うっすらとまぶたを開いた。

 しかしそれを知る由もないディエチたちが、ルディアンの背面に光子砲を撃ち込む。

 

「キュウゥ――――――!」

 

 そのショックでルディアンは更に力を増し、エックスを振り払った上で殴りつけ、姿勢を崩した。エックスの足が滑り、駐車場の車の列を蹴ってしまって警報が鳴り渡った。

 

「キュウゥ――――――!」

 

 エックスを押し返したルディアンは、ガトリング砲を持ち上げマスケッティに砲口を向ける。マスケッティがウェンディたちにアラートを知らせる。

 

「ロックされたっス!」

「振り切って!」

 

 ロックオンから逃げようとマスケッティを旋回させるウェンディだが、アラートは消えない!

 

『「よせぇーっ!」』

 

 叫ぶダイチ! そしてガトリングガンが火を吹くかと思われた、その瞬間に、

 

「キュウゥ――――――……」

 

 突然ルディアンの双眸から光が消え、両腕がダラリと垂れ下がる。背面からは白い煙が排出され、ルディアンは機能停止した。

 テルが残っている力を振り絞って、自動防衛システムを停止させたのだ。精魂が尽きたテルは、再度気を失ってうなだれた。

 停止したルディアンは光に包まれて縮小していき、元の人形サイズに戻った。そしてテルともども、芝生の上に投げ出される。

 

『……ジュワッ』

 

 もう危険はないと見たエックスは、ユナイトを解除。ダイチの肉体に戻ると、テルの元へと急いで走っていく。

 ダイチとほぼ同時に、スバルとミウラもテルの元へと駆けつけてきた。倒れ伏しているテルを目にしたミウラが真っ青になった。

 

「テルさん、しっかり!」

「動かしちゃダメ! すぐに手当てを! 医療班、急いで!」

「ここからならXioメディカルが近い!」

 

 スバルたちがXioの医療班を要請している間、ミウラはずっと辛そうに失神したテルの顔を見下ろしていた。

 

 

 

 テルがXioベースに担ぎ込まれると、ベースに更なる来訪者があった。

 

「本局統幕議長、並びに首都防衛長官、入室します」

 

 オペレーション本部に入ってきたのは、首都防衛隊の長官の称号が相応しいような威厳と厳格さに溢れた男性と、それとは反対に統幕議長という重々しい呼び名が似つかわしくないほど穏やかな雰囲気の老婆だった。

 しかしその老婆こそが、管理局黎明期を支え、今や伝説の三提督とまで称されるほどの偉人、ミゼット・クローベルその人であった。通常の異星人犯罪とは趣が大きく異なる今回の事態を受けて、この二名が査察のためにXioに来訪したのである。

 統幕議長と防衛長官に対し敬礼したのは、カミキ隊長とクロノ副隊長、そしてテルの保護者であることでXioに呼び出されたはやてである。

 三人の姿を確かめたミゼットは、にっこり微笑みながらカミキに呼びかける。

 

「こうして直接顔を合わすのは久しぶりねぇ、ショータロー坊や。活躍ぶりは聞いてるわよ」

「は……恐縮です、議長」

 

 ショータロー坊や、と呼ばれたカミキは一瞬戸惑いを見せた。Xioの隊長をそんな風に呼べる人物など、ミゼットくらいのものだろう。

 

「クロノ坊やも、はやてちゃんも久しぶりね。元気だったかしら?」

 

 まるで世間話でもしに来た風のミゼットに、防衛長官が咳払いした。

 

「議長、我々はここに重大な案件の査察に来たのです。私事はどうぞ状況終了後にお願いします」

「あら、ごめんなさい。じゃあカミキ隊長、詳しいお話を聞かせてちょうだい」

 

 気を取り直したミゼットの質問に、カミキは姿勢を正して回答した。

 

「ゴールド星人という異星人を保護してます。宇宙船を小型の隕石に偽装し、地球に飛来していたんです」

 

 その宇宙船が、公園のモニュメントである。モニターには、ラボチームが回収した宇宙船を解析している様子が映し出される。

 

「現場に急行したラボチームが、このタイプAの所持していた機械を調べたところ、偶然にもこういったものが投影され始めました」

 

 モニター画面は、宇宙船に記録されていた映像に切り替わる。

 怪獣と思しき巨大な影が、圧倒的な暴力で一個の都市を破壊し尽くしていくものだった。地表は荒涼とした砂漠が地平線の彼方まで広がり、石に変えられた人間が砂塵の中に埋もれている。

 

「まぁ、恐ろしい……」

「これは、異星人の記憶なのか?」

「恐らくは」

 

 防衛長官の問いかけにクロノが肯定を返した。カミキはテル――改め、ゴールド星人tE-rUについてこう語る。

 

「この映像から類推できるのは、タイプAは侵略者ではなく、宇宙難民、あるいは、亡命者だということです」

「侵略目的ではないと言いたいのか?」

「ロボットが暴れた時、彼は既に魔導師から攻撃され、意識のない状態だったようです」

 

 クロノの言葉を肯定するように、XioメディカルでtE-rUの治療を担当しているシャマル医療班長が通信越しに告げた。

 

『彼の脳内ホルモンの状態も、それを裏打ちしてます』

「ロボットが攻撃を受け、乗っていたあの青年を守るために、自動モードで反撃したのでしょう」

 

 後を継いだカミキに、防衛長官は尋ねる。

 

「それでカミキ君、君はこの異星人をどうしろと言いたい」

「宇宙からの難民を保護する。それが我々の義務です」

「こいつは街を破壊したんだぞ! それを保護だと!?」

「まぁまぁ、そういきり立たないで」

 

 怒鳴った防衛長官をなだめたミゼットは、はやてに尋ねかけた。

 

「八神二佐は、異星人の彼を保護していた期間があるんだったわね。あなたの意見はどうかしら?」

 

 それにはやては次にように答えた。

 

「わたしは、テル自身にはやっぱりミッド攻撃の意思はないと思います。記憶喪失中ではありますが、テルはわたしの保護下にいる間、一切の攻撃性を見せてません。テルは平和的な人物だと、わたしは信じます」

「そう……。八神二佐がそう言うからには、きっとそうなのでしょうね」

 

 ミゼットははやての意見を支持するも、防衛長官は別の疑問を提示する。

 

「だが、記憶喪失の男が、何故いきなりロボットを復活させたりしたんだ」

 

 それには、カミキたちは答えられないでいると、宇宙船の解析を行っていたマリエルから連絡があった。

 

『すみません。この宇宙船、短く単純な信号を繰り返し発信し続けてることがわかりました』

「短く単純な……?」

『恐らくは、SOS信号かと……』

 

 マリエルのひと言に、カミキたちは一瞬目を見開く。

 

「……宇宙船が何かの危機を感知して、SOSを発信した」

「それが、彼の記憶を呼び覚ました、ということでしょうか……」

 

 クロノが推測したところ、本部に警報が鳴り渡った。即座に異常の発生した、Xioメディカルの治療室の映像が現れる。

 

「シャマル!?」

 

 思わず叫ぶはやて。治療室では、覚醒したtE-rUがシャマルを背後から羽交い絞めにしているのだ。

 カミキはすぐに待機中の特捜班へ通信越しに命ずる。

 

「タイプAが医療班長を拘束している! 直ちに治療室に向かえ!」

 

 

 

 治療室では、隙を突かれて羽交い絞めにされながらも、シャマルが冷静な声音でtE-rUへ呼びかけた。

 

「落ち着いて、テルさん。ここにいる人たちは、あなたに危害を加えたりしないわ」

 

 シャマルはtE-rUが気を動転させて、人間を敵視しているものだと考えた。しかし、

 

「そうじゃない……!」

「え……?」

「奴が来るんだ……! 奴がこの星へ……! もう時間がない!」

 

 シャマルには、tE-rUの言っていることがよく理解できなかった。彼の言う「奴」とは誰なのか? tE-rUは何を恐れているのか?

 そこに特捜班とグルマンが駆け込んできた。武器を向ける彼らに、tE-rUはこう要求する。

 

「ルディアンは……ルディアンを返せ!」

「あのロボットでまた暴れるつもりかね?」

 

 グルマンが問いかけると、tE-rUは否定も肯定もせず、ただこれだけ言い放った。

 

「ルディアンしか、ガーゴルゴンは倒せない!」

「ガーゴルゴン……?」

 

 ダイチたちにはその言葉の意味がわからず、訝しんだ。

 その時に、治療室にラボチームの様子の映像が現れた。

 

『宇宙船が、ホログラフを!』

 

 tE-rUの宇宙船が、曲がりくねった角を持つ蛇のような怪物の立体映像を表示したのだった。それを見て、tE-rUがひと言つぶやく。

 

「ガーゴルゴン……!」

 

 ガーゴルゴンとは、蛇型の怪物の名前であるらしい。それを受けて、グルマンが述べる。

 

「ゴルゴン……97管理外世界の神話に出てくる、姿を見た者を石に変えてしまうという怪物の名前かね?」

「何で宇宙の彼方の怪物が、管理外世界の神話になってるんだよ……」

 

 ワタルの疑問に答えるtE-rU。

 

「ガーゴルゴンは宇宙空間と次元世界を行き来して星を襲う、悪魔のような怪獣だ。一つの文明を完全に石に変えて、海に沈めたこともある」

「そんな奴が、どうして今ミッドに……」

「ガーゴルゴンはルディアンの秘めてる、惑星ゴールドのエネルギーを狙っている。あのホログラフが出たということは、奴はもうすぐそこまで……」

 

 そこまで言いかけたtE-rUが、ハッと顔を上げてひと言つぶやいた。

 

「来た……!」

 

 

 

 ミッドチルダ中央区の都心の空に、突如として巨大な空間の裂け目が発生した。宇宙が覗く裂け目から、怪光を放つ光球が地上に落下する。

 光球は一瞬にして、ホログラフの怪物――ガーゴルゴンの姿となった!

 

「キュウッ! アァオ――――――――ッ!」

 

 

 

 ガーゴルゴン出現は直ちにXioの知るところとなった。本部で、防衛長官が怒鳴る。

 

「その男を即刻宇宙へ送り返せ! ミッドには何の関係もない話のはずだ!」

 

 カミキはそれに反駁した。

 

「難民を保護せずに、死地に送り出すことなど出来ません!」

「カミキ隊長の言う通りよ」

 

 ミゼットがそれまでの温厚な表情から一転して、威厳に満ちた顔つきで命じた。

 

「Xioは直ちに宇宙怪獣の迎撃を開始なさい」

「了解!」

 

 カミキ、クロノが敬礼。一方で、はやては重々しい顔で映像内のガーゴルゴンに注視していた。

 

 

 

 シャマルを人質に取るtE-rUに、ダイチがルディアンのスパークドールズを突きつけながら要求する。

 

「シャマルさんを放せ。俺が代わりになる!」

「ダイチ!? 本気っスか!?」

 

 ギョッとダイチに顔を向けるウェンディ。だがダイチは構わずにtE-rUに呼びかける。

 

「これが必要なんだろ?」

「……」

 

 tE-rUは警戒しながらも、ゆっくりシャマルを放していき――ワタルたちの方へ突き飛ばしたと同時に、ダイチを代わりに拘束した。

 そしてtE-rUはテレパシーを使い、ダイチにだけ聞こえる声で尋ねかけた。

 

『君の機械に満ちる力はこの星のものじゃない』

『だったら……何?』

『君があの巨人なのか? なら……力を貸してくれ!』

 

 エクスデバイザーから、エックスがそっとダイチに呼びかける。

 

『ダイチ、彼は信じていい』

 

 tE-rUと目を合わせたダイチは、小さくうなずき合う。そうしてtE-rUが念動力で背後の扉を開くと、二人同時に外へ飛び出していった。

 

「ダイチ!?」

 

 特捜班はすぐに追いかけようとしたが、閉まった扉に身体の大きいグルマンが挟まったので、彼が邪魔で外に出られなかった。

 

「博士! そこどいて下さい!」

「痛たたた! 無理に引っ張らないでくれ!」

「何で博士が一番に前に出たっスか!?」

 

 ディエチとウェンディでグルマンをどかそうとする中、スバルはダイチの名前を叫ぶ。

 

「ダイくーんっ!!」

 

 しかしその時には、ダイチたちはもうXioメディカルから脱け出ていた。ダイチがルディアンをtE-rUに渡すと、二人は再度うなずき合う。

 そして二人はそれぞれの力を解放! 光となってガーゴルゴンの出現地点まで急行し、ウルトラマンエックスとルディアンがその眼前に降り立った!

 ルディアンのコックピット内のtE-rUがダイチに告げる。

 

「僕の名前はtE-rU」

『「俺はダイチ。そしてこいつはエックス。ウルトラマンエックス!」』

「よろしくお願いする」

『「ああ!」』

『任せろ!』

 

 エックスとルディアンのコンビが、大怪獣ガーゴルゴンに挑んでいく。

 

「キュウッ! アァオ――――――――ッ!」

 

 ガーゴルゴンの方も両肩から生える蛇の口から怪光線を発射して、エックスとルディアンへの攻撃を開始した。

 ミッドチルダとゴールド星、双方の存亡を懸けた戦いに火蓋が切って落とされた!

 

 

 

 ミッドチルダ地上本部の航空隊。ガーゴルゴンの都心部侵入により厳戒態勢が敷かれたこの部隊の中で、指揮官のシグナムがはやてやシャマル、リインフォースとアギト、他二名の男女と通信を取り合っていた。

 

「では主はやて、エックスとともに現れたあのロボットの中に、テルがいるのですね」

 

 映像の中のはやてがうなずく。

 

『間違いないはずや。あれは基本、テルさんの操縦で動くようやから』

「それで、あの怪獣がテルの故郷の仇と……」

『うん。テルさん、故郷の仇討ちのために無理に飛び出していってしもうたんやね』

『テルの奴、大人しい顔して無茶しやがって……』

 

 紅い髪の、女の子と見紛うばかりの体格の管理局員がつぶやいた。浅黒い肌で、髪の間から獣の耳を生やした男性がはやてに尋ねる。

 

『主はやて、ミウラはそちらにいるのでしたよね?』

『そうやで。オペレーション室にはおらんけどな』

『ミウラちゃん、テルさんのことを心配してるでしょうね……』

 

 シャマルがそっと囁いた。

 

 

 

 シャマルの推測通り、Xioの応接室にいるミウラは、エックス、ルディアンとガーゴルゴンの戦いの映像を、不安な面持ちで見つめていた。

 

「テルさん……」

 

 胸の前できゅっと手を握り、小さくtE-rUの名前をつぶやいた。

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「今回の怪獣はルディアンだ!」

ダイチ「ルディアンは『ウルトラマンX』第六話「星の記憶を持つ男」で登場したロボット怪獣! ゴールド星人tE-rUが操縦してたんだぞ」

エックス『ゴールド星の守り神のようなロボットみたいだな』

ダイチ「エックスとともに強敵ガーゴルゴンに挑んだんだ! スーツはリフレクト星人を改造したものなんだよ」

エックス『丸い胴体を見ればそれがよくわかるな』

ダイチ「tE-rUの記憶の中のゴールド星には、ルディアンの首もガトリング砲になってる砲台のようなロボットが複数配備されてる場面もあったね」

エックス『防衛用の固定砲台かもしれないが、詳しいことは不明だ』

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 ルディアンに秘められた、惑星ゴールドのエネルギーを狙って、石化魔獣ガーゴルゴンが宇宙から襲来する! エックスをも石に変えてしまう力を持つガーゴルゴンが、ミッドに出した猶予は44分! 次回、『星を越えた誓い』。
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