「父さん、母さん……」
『ウルトラ・フレア……その時行方不明になったんだったな?』
『いつも持ち歩いているのか?』
「父さんが遺してくれたものだから」
「今日こそ頼むぞ、ゴモラ」
「シェエアッ!」
「ウルトラマンエックスのザナディウム光線には未知の粒子が含まれていて」
「あの光線でスパークドールズにしたのか……!」
「スパークドールズを測定器にかければ、その粒子を検出できるはず」
「いつか元に戻す技術を、共存できる方法も発見する」
「俺はそう信じてる」
「――ウゥッ!」
エレキングミラージュを纏ったエックスが、吹っ飛ばされて地面の上に倒れ込んだ。
「ピポポポポポ……」
エックスを吹っ飛ばしたのは――宇宙恐竜ゼットン。ゼットンは顔面の中央の発光体から火球を飛ばして、辺りを破壊する。
「うわあぁぁぁぁっ!」
火球の衝撃は凄まじく、避難している人々が震動に足を取られて転倒した。
「大丈夫ですか!?」
そこに駆けつけて助けるスバル。だがゼットンのもたらす被害は大きく、救助のプロの彼女も手が追いついていない、恐るべき事態になっている。
「ピポポポポポ……ゼットォーン……!」
ゼットン。広い宇宙の中でも特に優れた戦闘能力を有する、大怪獣の中の大怪獣だ。宇宙の中で普通に繁殖している通常種の怪獣においては最強との呼び声も名高い。エックスもまたこのゼットンを相手にして苦戦している。既にベムラーダも、エレキングミラージュも破られた。
『「ゴモラキャリバーなら……!」』
ダイチはエックスのジャケットを、ゴモラキャリバーへと切り替える。
『ギャオオオオオオオオ!』
『「超振動拳!」』
エックスはまっすぐゼットンへと踏み込み、超振動拳を繰り出す。が、ゼットンはその瞬間に己の全身をバリアで覆い、超振動拳を受け止めた。
強力な振動波が出力全開で流し込まれるが、バリアもびくともしない。反対に、振動波が逆流してエックスの方が弾かれた。
「グウゥッ!」
破壊力に特化したゴモラキャリバーの力までもが通じず、エックスは完全に追い詰められてしまった。
『狙われたX』
「……シェエエアッ!」
それでもエックスは諦めずに、果敢にゼットンに立ち向かっていく。キャリバーのクローでゼットンに切りかかるが、ゼットンは易々と防御してエックスを叩きのめす。
「ウッ!」
「ピポポポポポ……」
ゼットンは片膝を突いたエックスを蹴りつけ、エックスは地面を滑っていく。
「グワアアアアッ!」
「ゼットォーン……!」
更にゼットンの連続パンチが叩き込まれる。ガードするエックスだが、ガードの上から殴り飛ばされた。
「ピポポポポポ……」
よろめいたところにゼットンの火球弾が直撃!
「グワアァァァァーッ!」
爆発を食らい、エックスはまたも地面に這いつくばった。
『スバル! ハヤト、ワタル! ウルトラマンエックスを援護しろ!』
一方的にやられるエックスを助けるべく、カミキが指示を飛ばす。
「トラーイっ!」
スカイマスケッティからの砲撃がゼットンの背面に撃ち込まれて、隙を作ったところにウルトライザー・カートリッジをリボルバーナックルに込めたスバルが地上から攻撃する!
「ウルトライト・バスターっ!!」
ウルトラマンの力を宿したバスターが射出されたが、ゼットンはすかさず腕を持ち上げてバスターを受け止めた。
「くっ……もう一発!」
[Charging Ultraman’s power.]
スバルは二つ目のカートリッジをリロードして、再度バスターを発射。
「ウルトライト・バスター!!」
しかし今度は、ゼットンは防御もしなかった。その上でダメージなし!
「ピポポポポポ……」
エックス、Xio双方の攻撃をことごとく寄せつけないゼットン。ゆっくりとエックスに迫っていく。エックス、絶体絶命!
「クゥッ……!」
さしものエックスも万策尽き、自らの終わりを覚悟するほどの状況になる。
「ピポポポポポ……」
しかし……ここにまで至って、ゼットンの様子がおかしくなった。最早いつでもとどめを刺せるにも関わらず、直立したまま。
しかも急に背を向けたかと思うと、一瞬にしてその姿をかき消した。
「!?」
エックスも驚愕して腰を浮かした。それまで大暴れしていたのに、ゼットンは急に静かになってどこへ消えたのだろうか?
だが、いつまで経ってもゼットンが再出現することはなかった。
その日の晩、ダイチはラボのデスクに向かって、一心不乱にゼットンの能力分析、及び対抗策の開発に取りかかっていた。そこへ呼びかけるエックス。
『ダイチ、少し休んだ方がいいな。帰ってからずっと、働き詰めじゃないか』
それにダイチは言い返す。
「何の成果も出さないで、手を止められないよ。いつまたゼットンが出現するかわからないんだから!」
必死なダイチの元に、スバルとノーヴェが紙袋片手にやってきた。
「ダイくん、これ差し入れ」
「ありがとう」
「ダイチお前、何も食べてないって聞いたぜ。頑張るのはいいけど、身体は大丈夫なのか?」
尋ねるノーヴェたちに、ダイチはこう返した。
「あの力に対抗できるジャケットを早く開発して、ウルトラマンエックスをサポートしないと! 二人だって、ゼットンから街の人たちを守りたいだろう?」
「そうだけど……」
気を張り詰めているダイチを案ずるスバルの一方で、ノーヴェがダイチに告げる。
「そのことだけど、朗報だぜ。隊長たちが言ってたんだが、ゼットン対策に一案があるっていうスパークドールズの研究家が名乗り出たんだって。明日、ここを訪れて力を貸してくれるそうだぜ!」
「えっ? 一案……?」
それを聞いて、ダイチは驚いた顔で振り返った。
翌日、その研究家という人物がXioベースにやってきた。クロノがダイチらラボチームと居合わせるスバル、ノーヴェに紹介する。
「みんな、この方はトウマ博士。スパークドールズの研究者だ。昨日現れたゼットン対策に、私たちに力を貸してくれることとなった」
クロノの紹介を受け、スーツの男が口を開く。
「どーもぉ、Xioの皆さん! 私がトウマ博士です。まぁそう固くならないで。君たちとは歳も離れてないし、気さくに接してくれていいからね♪」
格好とは裏腹の明るい口調と雰囲気に、一同は一瞬面食らった。
「何か、博士という割には軽い人だな……」
ノーヴェがそっとスバルに囁きかける。
「まぁ、天才の人って変わり種が多いって聞くし……」
「うーん……まぁ役に立ってくれたらそれでいいか」
スバルたちが話す一方で、トウマに同行していた二人の少年少女がダイチの前に立つ。
エリオとキャロだ。
「ご無沙汰してます、ダイチさん」
「エリオくん、キャロちゃん! 君たちも来てたのか」
「はい。今回はトウマ博士の警護と、このスパークドールズの護送役で」
エリオとキャロは自然保護隊と同時に、各次元世界で発見されるスパークドールズの輸送等の役目も担っているのだ。
「スパークドールズ? 何のでしょうか」
「すぐお見せするよぉ~。驚かないでね?」
エリオがテーブルの上に置いたケースを、トウマが開く。そこに収められていたのは……。
何と、ゼットンのスパークドールズ!
「!? どうしてこのスパークドールズを!?」
「どこでこれを?」
驚愕するダイチとマリエル。その理由を、トウマは語る。
「いつかゼットンが出現すると考えて、前々から管理局に協力を申し出てたのさ。今こそ私の持ってたスパークドールズが役立つ時! と考えて持ってきたの。これを使って、新しいジャケットを共同開発しよう! ダイチ・オオゾラ君!」
呼びかけたダイチに対して、トウマはこんなことを告げた。
「このスパークドールズは、タカシ・オオゾラ博士と一緒に解析してたものなんだよ」
タカシ・オオゾラ。ダイチの父親の名前である。
「えっ!? 父と!?」
「私は今でも博士を尊敬し、目標として今日まで研究を続けてきたんだよ」
「父の話を聞かせてもらえますか!?」
行方不明の父親のことを聞いて、ダイチは興奮を覚える。
「もっちろん! でも、今はジャケット開発が先だねぇ。開発には、君たちの知識が必要不可欠だ! どーぞ、よろしくお願いしますっ!」
「はいっ!」
ラボチームはトウマを迎え、早速ゼットンのモンスジャケット開発に取りかかった。
「まずは、ジャケットの素体となるデバイスの選考からですが……」
「ゼットンは元から多彩な超能力を持つ怪獣。その力を最大限引き出すには、デバイス側は出来るだけ単純なものがいいだろうねっ」
「それじゃあ、ブーストデバイスが最適でしょうね。あたしたちの周りでブーストといえば……」
「キャロちゃん、君のケリュケイオンのデータを使用させてもらっていいかな?」
「はい、もちろんです!」
キャロに協力を頼むダイチ。どことなく嬉しそうに作業する彼の様子をながめて、スバルとノーヴェはそっと微笑んだ。
「……っていうことだったの」
その後二人は、トウマのことをウェンディ、ディエチ、チンクに話した。ウェンディが吐息を漏らす。
「へぇ~、まさかダイチのお父さんと働いてた人だったなんてねぇ。世間って狭いっスね」
「でも、スパークドールズの研究者ならつながりがあっても何も不思議じゃないよ。ダイチのお父さん、その道の第一人者だったそうだから」
「ダイくん、お父さんを知ってる人と出会えて嬉しそうだったなぁ。あんなに張り切っちゃって!」
スバルはニコニコ笑っているが、チンクは対照的に眉間に皺を寄せていた。
「チンク姉? そんな難しい顔してどうしたんだ?」
不審に思ったノーヴェが尋ねると、チンクはこう述べる。
「……皆も私たちの父上から、ダイチの父君の話は聞いたことはあるよな?」
「そうっスよ。パパりん、ダイチのお父さんとお友達だったそうっスからね。でも、それが何か?」
「その中に、トウマ博士のような人物が彼と共同研究をしていたなんて気配はどこにも見受けられない。トウマ博士は、本当にダイチの父君と働いてたのか?」
疑問を呈したチンクを、スバルらは不思議そうな顔で見返した。
「そういえば……それらしい話、一個もないね」
「でもそれって、ダイチの親父さんがトウマ博士のことを話さなかっただけじゃないか? 友達だからって、何でもかんでも話す訳じゃないだろ」
ノーヴェはそう言うものの、チンクは怪訝な顔のままだ。
「そうだろうか……。あんな特徴的な人物を少しも話題にしないものだろうか? そもそも、彼がゼットンのスパークドールズを所有してたということ、少し話が出来過ぎてるような気もする」
「考えすぎっスよ、チンク姉。トウマ博士からしたら、ダイチに嘘吐く理由なんてないじゃないっスか」
「うん。仮に敵だったしても、あたしたちに塩を送るような真似をするとも思えないし」
チンクの疑いをウェンディとディエチが笑って流した。
しかし、チンクの心はすっきりとしなかった。
ラボの方では、ゼットンのモンスジャケット開発が着々と進行していた。
「ダイチ君、ジャケットのパワーを最大限引き出すためには、術式のこの部分はどうしたらいいと思うかな?」
トウマからの質問に、ダイチは術式の構築で答える。
「これで、どうですか?」
「なぉるほど! 流石はオオゾラ博士の息子さんだね、グッジョブ!」
称賛されてはにかむダイチだが、マリエルが術式に対して異を挟んだ。
「でも、これじゃパワーが上がりすぎてしまうんじゃないかしら? ジャケット自体と、これを装着するエックスへの負荷も許容範囲を超えてしまうんじゃ……。そうでなくても、ゼットンのパワーは未知数なんだから、もう少し抑えた方がいいと思うわ」
「確かにそうかもしれませんね……」
シャーリーは同意したものの、ダイチは席を立って反論した。
「でも、他のジャケットよりパワーを上げないと作る意味がないんですよ!」
「だけど、安全も考慮しないと……!」
言い争いになりかけたところに、トウマが割って入る。
「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて~! 喧嘩になるのはダメだよ~。どんな時も、職場には笑顔が溢れてなくっちゃ♪」
トウマが取り成したことで、ダイチたちはクールダウンする。
それからトウマはダイチに語りかけた。
「確かに君のお父さんも、スパークドールズの解析にはとても慎重だったよ。悪用されないかと常に心配してた。だけど……誰かの役に立つと信じて、慎重でありながらも、時には大胆なところがあった」
「誰かの、役に……?」
「大丈夫! 君ならきっと完璧な術式を構築できるさ! 父親の解析したデータを、息子が受け継ぐ。これほど素敵なことはないよ!」
トウマの言葉で、ダイチは一層のやる気を出す。
「はい! ウルトラマンエックスを助けるために、最高のジャケットを一緒に作りましょう!」
作業の合間の休憩中に、エリオとキャロがダイチの元に来て話しかけた。
「ダイチさん、作業は大丈夫でしょうか? さっき、大声がそちらから聞こえましたが……」
若干心配そうな二人に、ダイチは安心させるように笑いかける。
「大丈夫だよ。開発は順調だし、トウマ博士が場を和ませてくれてる。こんなに気分が和らぎながら作業するのも初めてかもしれない」
「トウマ博士、とてもいい人なんですね。わたしたちはちょっと会話したくらいだから、よく知らないんですが」
キャロの問い返しに大きくうなずくダイチ。
「ああ。心は広いし、俺たちのやる気を引き出すのがお上手だ。特に父さんのことを教えてくれて、俺を励ましてくれる」
「博士、ダイチさんのお父さんについてどんなことを話したんでしょうか?」
「父さんは、誰かの役に立つことを信じてスパークドールズを研究してたって……。それを聞いて、父さんはやっぱり偉い人だったんだって思ったよ。俺も、父さんに負けないように頑張って完璧なジャケットを完成させないと!」
父親を思い、瞳をキラキラと輝かせるダイチに、エリオとキャロは表情をほころばせた。
「ダイチさん、頑張って下さい!」
「あたしたちも応援してます!」
「ありがとう、二人とも!」
エリオたちの応援に、ダイチは力強くうなずいて応じた。
その後もダイチたちは、苦心を重ねながらも協力して全力で開発を進めた。その甲斐あり、ゼットンのジャケットはみるみる内に完成に近づいていった。
「デバイスゼットンカード、魔力粒子定着率、70%……80%……90%!」
そしてスバルたちやエリオたちが固唾を呑んで見守る中、ゼットンのカードがだんだんと形成されていった。やがて、
「100%! 完成しました!」
「やったぁぁぁーっ!!」
カードが完全に実体化して、スバルたちが大歓声を上げた。トウマはダイチに片手を差し出す。
「遂に完成したね!」
「ありがとうございます!」
ダイチはその手を取り、固い握手を交わした。
Xioベースにけたたましい警報が鳴り渡った。
『エリアT-8にゼットン出現!』
立体映像内に、街の中心で破壊活動を行うゼットンの姿が映し出された。それを受けて、ラボも色めき立つ。
「遂に現れましたね……!」
「ジャケットが間に合ってよかったわ!」
どうにか完成が先になったことにシャーリーとマリエルは安堵する。しかし、ここから先が本番なのだ。
「ワタルさんとハヤトさんは先にマスケッティで向かったって!」
「よぉし、あたしたちも現場に急行だ!」
スバルら特捜班が真っ先に飛び出していき、その後にトウマに促されたラボチームが続く。
「私たちも行こう!」
「はいっ!」
「博士が行くなら、僕たちも!」
エリオも同行するが、キャロはジャケット開発のために使用したゼットンのスパークドールズの方を向いて、足を止めた。
「あれ? こっちのゼットンは?」
データ採取のために円筒状のケースに入れられていたのだが、いつの間にかその中からゼットンがなくなっていた。首を傾げるキャロだが、
「キャロ! 置いてかれるよ!」
「あっ、今行く!」
エリオに急かされ、慌ててその背を追いかけていった。
エリアT-8では、先行したスカイマスケッティがゼットンと交戦している。しかしやはりゼットンは手強く、マスケッティではダメージを与えられている気配がない。
ダイチは現場に到着すると、皆の間から密かに抜け、エックスとユナイトしようとする。
「行くぞエックス!」
『ユナイトだ!』
「今度こそ……!」
デバイザーのスイッチを押し、エックスのスパークドールズをリード。
[ウルトラマンエックスと、ユナイトします]
「エックスーっ!!」
全身が光に包まれ、ウルトラマンエックスの肉体へと変身!
「イィィィーッ! トワァッ!」
[エックス、ユナイテッド]
巨大化したエックスはゼットンの前に着地。おもむろに振り返るゼットン。
「ヘアァッ!」
「ピポポポポポ……」
すぐにゼットンへとぶつかっていくエックス。だがゼットンは相変わらずの強さであり、格闘でエックスを圧倒。
「ヘアァッ! テヤァッ!」
それでもエックスは食い下がり、マスケッティの援護も加わってどうにかゼットンと渡り合う。
「早く避難して下さい! こっちです!」
「私たちは準備を!」
地上ではスバルたちが市民の避難を誘導し、トウマとラボチームはエックスに完成したばかりのゼットンのカードを送る用意を執り行った。
「これでカードの転送できます!」
マリエルの言葉にうなずいたトウマが、エックスの名を呼んだ。
「ウルトラマンエックス! 新しいジャケットを使ってちょー!」
トウマの元から転送されたデバイスゼットンのカードが、エクスデバイザーの元に届いた。
『「エックス! 俺たちの新しい力だ!」』
早速ダイチはカードをデバイザーにセットした。
[デバイスゼットン、スタンバイ]
エックスの身体が、黒と黄、ピンク色のジャケットに包まれる。両手には黒と青の、ゼットンの手を模したブーストデバイスが装着される。
『ピポポポポポ……』
[ゼットンケイオン、セットアップ]
新たなモンスジャケット、ゼットンケイオンを纏ったエックスの勇姿を、エリオとキャロが見上げた。
「あれがダイチさんたちの作った、キャロのケリュケイオンとゼットンを組み合わせたジャケット!」
「エックスさーん! 頑張ってー!」
キャロが応援の言葉を叫んだ、その時のことであった。
ゼットンケイオンの胸部の黄色い発光体が、突然紫に変色したかと思うと、エックスの様子が俄然おかしくなる。
「グッ……!?」
『「どうしたエックス!?」』
エックスの身体が、見えないバインドに縛りつけられたかのように立ったまま抑えつけられ、その場から一歩も動けなくなってしまったのだ!
『おかしい……身体の自由が……このジャケットに奪われた!』
『「何だって!?」』
エックスは苦しみながらその場に膝を突く。
その間にもゼットンは、火球を辺りに振りまいて街を破壊していく。
ダイチはやむなくゼットンケイオンを解除しようとするが……。
『「駄目だ……ジャケットが外せない!」』
ゼットンケイオンは、デバイザーからの一切のコントロールを受けつけないのだ!
エックスの肉体の自由が効かなくなったことに、地上のスバルたちは愕然としていた。
「ど、どうなってるの!? あれを纏ってから……エックスが一歩も動けなくなった!」
「一体どういうことなんですか、これは!?」
泡を食って問うノーヴェに、シャーリーとマリエルが異常の正体を大慌てで調べながら答える。
「どこかに問題があるのは間違いないんだけど……!」
「やっぱり出力を上げ過ぎたんじゃ……! パワーが抑え切れなくて術式にバグが生じたのかも……!」
「私が確認してみよう!」
トウマがそう言って、ゼットンケイオンの術式に触れようとした。
その時、
「その男を信用するなっ!」
「!?」
どこからか飛んできた光弾がトウマへと迫る!
咄嗟に間に入ったエリオが障壁で光弾を防いだ。スバルたちは一斉に飛んできた方向へとデバイスを向ける。
「えっ……!?」
だがその瞬間に唖然となり、光弾の射手とトウマの顔を見比べた。
光弾を撃ったのは、赤い光線銃を構え、赤を基調としたどこかの組織のものらしい隊員服を身に纏った……トウマと全く同じ顔の人間だったのだ!