光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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狙われたX(B)

 

 スバルたちは、銃を構えている男がトウマと全く同じ顔であることに激しく混乱していた。

 

「ど、どうなってるの? 博士が、二人!?」

「双子か何かっスか!?」

「まさか! 変身してるのか? でも、何のために?」

 

 ノーヴェらは動揺を隠せない。一方、銃を下げた男はトウマに向かって言い放った。

 

「下手な芝居はそこまでだ! シャマー星人ヴェイラ!」

「シャマー星人!?」

 

 一斉にトウマの方を振り返るスバルたち。そのトウマは、銃の男ただ一人を見つめて歪んだ笑みを浮かべていた。

 

「よぉ~やく姿を現したねぇ~、トウマ・カイト……いや、ウルトラマンマックス!』

 

 トウマの姿が陽炎のように揺らいだかと思うと……一瞬にして青い肌の、おとぎ話に出てくるランプの魔神さながらの容貌に変化した!

 

『ア―――――ハハハハハハハァ―――ッ!』

「!!? 異星人だったのかっ!」

「変身してたのはこっちだったの!?」

 

 これを見たエリオ、キャロらは一気に正体を現した異星人――シャマー星人ヴェイラから離れた。

 

『ククク……我々はあなたが現れるのを待ってたんですよ』

 

 更には新たな声がどこからか発せられ、何か人型のものが恐ろしい速度でこの場に出現した。光沢のある紫色の、どことなく機械的な趣の虫型怪人だ。

 

「もう一人、異星人が!」

「スラン星人クワイラ!」

 

 トウマ・カイトと称された男が、二人目の異星人をそう呼んだ。

 

『この状況を止めることが出来るのはあなただけですよ、ウルトラマンマックス』

「! あの人が、ウルトラマンって……!」

「マックス……!?」

 

 スバルたちはこの急転直下の状況についていけていない。それには構わず、スラン星人クワイラはゼットンへ向けて命じた。

 

『さぁゼットン! もっともっと暴れなさいッ! ヒャーハハハァーッ!』

 

 クワイラの命令により、ゼットンは火球を発してますます街を破壊する。

 そして爆破した建物の瓦礫が、避難中の母娘へと落下していく!

 

「あっ!!」

 

 咄嗟に走るスバル、エリオ。

 だがトウマ・カイトが彼らをも上回る速度で飛び出した! 更に金色の模様の棒状のものを己の左前腕に装着する。

 トウマ・カイトの全身が左腕を中心にまばゆい光に包まれ――光の巨人へと変身した!

 巨人は母娘をそっと掴むと、すんでのところで瓦礫から逃がした。解放された母娘が見上げたその姿は――。

 

「うわぁぁぁ……!」

 

 真紅のボディに羽ばたく鳥の翼のような形状のプロテクター、その中央に青く輝くパワータイマーを備えた――まさしくウルトラマン!

 

「シェアッ!」

 

 新たなウルトラマンは暴れるゼットンに飛び蹴りを仕掛け、格闘戦に持ち込んで街の破壊を阻止した。

 

 

 

 オペレーション本部では、グルマンが新たなウルトラマンの名を叫んでいた。

「あれは! ウルトラマンマックス!」

 

 

 

 ゼットンを蹴り飛ばしたマックスは、身動きの取れないエックスの元へ走り寄ってゼットンケイオンを剥がそうと試みる。

 

『「赤いウルトラマン……!?」』

 

 ダイチも、マックスの登場に驚きを禁じ得なかった。

 

「ゼットーン……!」

 

 だが一方で、ゼットンはスカイマスケッティに向けて火球を発射。これがかすったマスケッティは、高度を維持できなくなって墜落していく。

 

「ぐわあぁぁぁぁぁぁっ!」

「ジュッ!?」

 

 ゼットンが落ちていくマスケッティを破壊しようと狙っているので、マックスはやむなくエックスから離れてゼットンに背後から飛びかかり、攻撃を防いだ。

 そして放置されたエックスの方は……やおら様子がおかしくなる……。

 

「ピポポポポポ……」

「ジュワァッ!」

 

 ゼットンのパンチを食らって殴り飛ばされたマックスの背後にエックスが立ち、その身体を受け止めた。

 

「フッ!」

 

 マックスはうなずいて再度ゼットンに向かっていこうとしたが……エックスが羽交い絞めにしたまま離そうとしない!

 

「フッ!?」

『「何をしてるエックス!?」』

 

 まさかの行動に驚愕するダイチに、エックスが告げた。

 

『駄目だ……! ジャケットに操られている……!』

 

 拘束されてしまったマックスに、ゼットンがチョップの連打をお見舞いして大きく吹っ飛ばした。

 

「ジュワァッ!」

 

 完全に身体の自由を奪われたエックスは、マックスに貫手を振り下ろす。前転して回避したマックスだが、その先に待ち受けていたゼットンが襲いかかる。

 マックスはゼットンを食い止めるも、後ろから迫ったエックスと挟み撃ちにされ、叩きのめされる。流石にウルトラマンといえども、同じウルトラマンとゼットンを同時に相手にするのはきつすぎる!

 マックスの苦戦を見上げて、ヴェイラとクワイラは狂喜していた。

 

『アーハハハハハァッ! いいぞーッ! マックスを袋叩きだぁーッ!』

『この時! この瞬間を待ちわびましたよ!』

 

 この二人を取り囲む特捜班。スバルが問いかける。

 

「あなたたちの狙いはミッド征服なの!?」

 

 振り返ったクワイラたちはこう答えた。

 

『こんな星には興味がありませんねぇ。狙いは飽くまでウルトラマンマックスのみ! 我々はかつてマックスにやられた同胞の仇を狙う者同士で結束したのです』

『そのためにエックスを利用させてもらったって訳ぇ~! ウルトラマンエックスのパワー、プラスゼットンのパワー! イコール最強の戦士が誕生するって計算式さぁー!』

「そういうことだったのか……!」

 

 舌打ちするチンク。事前にこのことを見抜いているべきだったと自省する。

 シャーリーは異星人たちに向けて叫ぶ。

 

「だからあたしたちを使ってジャケットを作らせたの!?」

 

 ヴェイラはそれに、このように返した。

 

『時空管理局のことも、Xioのことも色々と調べさせてもらったよぉ~。それでダイチ・オオゾラの父親のことを知った時に、これは使える! とビビッと来たのさぁ! 案の定、ちょーっと名前を出して持ち上げたらコロリと信用した! あんなに扱いやすい馬鹿は初めてだったよぉ~! 笑いをこらえるのが大変だったねーッ! ア―――ハハハハハハハハァ――――――ッ!!』

「……絶対に許さないっ!」

 

 スバルを始めとした一同は深い怒りに包まれる。

 

「こんの野郎どもっ! 覚悟しやがれぇっ!」

 

 ノーヴェが衝撃波を飛ばしたのを皮切りに、特捜班は一斉攻撃を放った。

 が、クワイラは高速移動で全てかわし切り、ヴェイラに至っては全ての攻撃が肉体をすり抜けた!

 

「なっ……!?」

『フッフッフッ……ゴドレイ星人ファンラ!』

 

 クワイラが叫ぶと、ビルの間から頭部が三角錐状で、顔面の部分に発光体が縦に三つ並んだ奇怪な赤い巨体の異星人が出現した!

 

「三人目がいたの!?」

『そっちは任せましたよ! 我々は余計なことをされないよう、あなた方をきっちり片づけさせてもらいます』

『アハハハハハハハ――――――ッ! アタシたちのために頑張ってくれて、ご苦労シャマー星人ッ!! アッヒャヒャヒャヒャ!』

 

 クワイラとヴェイラは特捜班に自分たちから襲いかかる!

 そしてゴドレイ星人ファンラはマックスへの攻撃に加わり、三人がかりで更にマックスを叩きのめす。

 

「ジュワァァッ!」

 

 操られるエックスの中では、ダイチが己の軽挙妄動を激しく後悔していた。

 

『「俺が騙されたばっかりに……担ぎ上げられて、冷静さを欠いたばっかりに……! すまないエックス!!」』

 

 そのダイチに、エックスが途切れ途切れに呼びかけた。

 

『ダイチ……私の意識は……』

『「どうしたエックス!?」』

『私の意識は……間もなく、完全に取り込まれる……!』

『「! そんなことはさせない! 俺が何とかする!」』

『君を……信じている……!』

 

 その言葉を最後に、ダイチを囲む電脳空間の輝きが停止した。エックスの意識が失われたのだ。

 

『「エックス……エックスっ!!」』

 

 絶叫するダイチ。しかしただ叫んでいるだけでは駄目だと、デバイスゼットンの術式プログラムを開いた。

 

『「……これかっ!」』

 

 その中から、自分たちが組んだ時にはなかった術式を発見した。ヴェイラたちが後から密かに仕込んだ、悪性プログラムである。

 

『「これを削除すれば……!」』

 

 すぐに記述の削除に取りかかるダイチだが、すぐにエラーが生じた。

 こうなることを見越して、デバイザーからの修正は出来ないように手が加えられているのだ。

 

『「駄目なのか……!」』

 

 こうしている間にも、マックスがゼットン、ファンラ、そしてエックスによってますます追い込まれていく。もうこれまでなのか……ダイチが絶望しかけた、その時、

 

「――黒き炎の大地の守護者! 竜騎招来、天地轟鳴! 来よ、ヴォルテール!!」

 

 キャロの詠唱の叫びが聞こえ、同時に巨大な魔法陣から黒く赤い、たくましい巨大竜が召喚された。竜はオオオオオッ! と力強い雄叫びを上げると、ゼットンとファンラに突進をかましてマックスへの攻撃を妨害した。

 

『「あれは、キャロちゃんの竜騎……!」』

 

 乱入してマックスを救った巨竜ヴォルテールに、エックスが殴りかかる。エックスを攻撃する訳にはいかず、ヴォルテールは打撃を受け止めるに留めた。

 ヴォルテールを召喚したキャロは叫ぶ。

 

「エックスさん、聞こえてますか!? わたしたちがあなたを助けますっ! だから、あきらめないで下さい!!」

 

 ゼットンはマックスに味方するヴォルテールから先に倒そうとそちらへ向かっていく。

 

「ピポポポポポ……」

 

 ヴォルテールはゴウッ! と灼熱の魔力砲撃を放った。しかしゼットンはそれを胸部で吸収。光波のエネルギーに変えて撃ち返す!

 反撃をまともに食らったヴォルテールがどうっ! と倒れた。アルザスの大地を守護する巨竜といえども、大宇宙の恐竜ゼットンはあまりに荷が重い。

 しかしヴォルテールは、腕が震えながらもあきらめずに起き上がる。

 キャロがヴォルテールへ叫んだ。

 

「頑張って、ヴォルテール! 今エックスさんを助けられるのは、あなただけなの! わたしたちも戦うから、立ち上がって!」

 

 ヴォルテールを激励するキャロを、ヴェイラが狙う!

 

『あら~! マックスを助けちゃダメよ~!!』

 

 キャロへ向けて、指先から光波を放つ!

 だが、スバルがキャロの盾となって障壁で光波を防いだ。

 

『あらぁ!?』

「キャロには絶対に手出しさせないっ!」

 

 スバル、チンク、ディエチでヴェイラに集中攻撃を繰り出した。だが衝撃波も、投げナイフも、魔力弾もヴェイラの身体を通り抜けてしまう。

 

「全く通用しない……!」

「多分、今見えてる姿は幻影だよ! ティアのと感じが似てるから……! 別の場所から攻撃を操作してるだけ!」

「でもそれなら、本体はどこに……!?」

 

 シャーリーとマリエルが必死にヴェイラの本体の位置を探るが、まるで掴めていなかった。

 

「戦況を正確に把握してるから、近くにはいるはずなんだけど……!」

「全てのセンサーに全く引っ掛からないなんて! どんなトリックを使ってるの……!?」

『ア――――ハハハハハハッ! 無駄無駄ぁ! 何やっても無駄だよぉ~!』

 

 嘲るヴェイラに、スバルは毅然と言い返した。

 

「無駄なんかじゃないっ! あきらめずに戦い抜くことが、勝利につながるって……信じてるっ!」

 

 クワイラの方には、ノーヴェとウェンディが二人がかりで挑んでいる。だがクワイラのスピードは二人を大きく突き放しており、攻撃がかすりもしない。

 

「くそっ、速すぎる……!」

「動きについていけないっス……!」

『フハハハハ! 死になさいッ!』

 

 いつの間にか二人の背後に回り込んだクワイラが、光弾を撃ち込もうと構える!

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

 しかしそこに横からエリオが電光の速度で飛び込んできて、ストラーダで刺突してきた。クワイラは咄嗟に攻撃を取りやめて槍の一撃をガードした。

 

『何ッ!? この私のスピードについてくるとは……!』

 

 エリオは異星人たちに向けて、深い怒りの感情を示していた。

 

「キャロのケリュケイオンを悪用して! ダイチさんのお父さんへの想いまで、自分たちのいいように利用するなんて! 絶対に許されないことだ! 引導を渡してやるっ!」

『小生意気な小僧め! いいでしょう、スピード勝負ですッ! スラン星人にミッドチルダ人なぞは追いつけぬこと、教えてやりましょう!!』

 

 クワイラは恐ろしいことに更に速度を上げて動き回る。だがエリオもまた挙動の鋭さを増して、クワイラを追いかけていく。

 

「僕は負けない! ダイチさんのためにも! 負けてなるものかぁっ!」

 

 仲間たちの戦いを目にして、ダイチの胸の内が熱くなってきた。

 

『「みんな……! 俺も、勝手に絶望してられないっ!」』

 

 気力が再燃したダイチは、最後の手を思いつき、実行に移した。デバイスエレキングのデータをデバイスゼットンのデータの横に浮かび上がらせた。

 

『「頼むぞ……!」』

 

 そしてデバイスエレキングから、電撃を引き出してデバイスゼットンの術式に浴びせる! 電気信号によって、悪性プログラムを力ずくで破損させる荒業だ!

 しかしこんな無理矢理な手段に、危険がないはずがない。溢れた電撃が、ダイチ自身の身体を襲う!

 

『「うわあああぁぁぁぁぁっ!」』

 

 だがダイチは根を上げない。あきらめないことを、仲間たちから授かったから。

 

『「俺がエックスを元に戻してみせるっ!!」』

 

 マックスの方は、ヴォルテールの救援があってもまだ劣勢。ゼットンとエックスの二対一により、未だに追い詰められたまま。

 そしてヴォルテールの方は、既にゼットンに満身創痍にされてしまっていた。それでもなお立ち上がろうとするが、そこにファンラがとどめを刺そうとしている。

 

「ヴォルテールっ!!」

 

 絶叫するキャロ。ファンラの胸部が強く輝いて光線を放とうとしているのだが、弱り切っているヴォルテールはかわすことも出来そうにない。

 

『「ああああああああああああっ!!」』

 

 今にもヴォルテールが撃たれそうなその時に……エックスの首がかすかに動いた。

 とうとうファンラから紫色の光線が放たれる! 殺人光線は容赦なくヴォルテールへと……!

 

「フゥゥゥゥアッ!」

 

 直撃することはなかった。エックスがヴォルテールの前に回り込み、バリアを展開して光線を受け止めたのだ! 光線は反射されて、ファンラ自身に命中する。

 

「ジュッ!?」

 

 ゼットンケイオンの胸部の色が、紫から黄色に戻った。ダイチの捨て身の作戦が功を奏し、悪性プログラムが除去されたのだ!

 

『ダイチ……!』

『「お帰りエックス……!」』

 

 エックスはヴォルテールを助け起こす。

 

『ありがとう、ヴォルテール。私はもう大丈夫だ』

「エックスさん! 元に戻ったんですね……! ヴォルテールも、ありがとう……!」

 

 涙を目尻に浮かべながら喜んだキャロは、傷ついたヴォルテールを労わりながらアルザスの地に還した。

 マックスは単独になったゼットンを突き飛ばし、エックスの隣に並ぶ。二人は顔を合わせ、うなずき合った。

 そして、マックスがファンラへと、エックスがゼットンへと一対一で挑んでいく!

 

『あぁーッ!? ウルトラマンエックスが、元に戻っちゃったよぉー!?』

『ば、馬鹿なッ! どうしてそんなことが……!』

 

 この事態に動揺しているのはヴェイラとクワイラだ。彼らに、スバルとエリオがはっきりと告げる。

 

「言ったでしょ? 無駄なんかじゃないって!」

「これでウルトラマンは大丈夫だ! 後は、お前たちだけだっ!」

『きぃぃぃ――――――ッ! むかつくぅぅぅぅ――――――――ッ!』

『なめるなぁッ! 人間風情がぁぁぁぁッ!』

 

 憤怒したヴェイラとクワイラは攻勢を強める。一方で、シャーリーとマリエルの元に突如何らかのデータが送信されてきた。

 

「えっ、これって……シャマー星人のデータ!?」

「送信主は……ウルトラマンマックス!!」

 

 それを見た二人は唖然。

 

「そ、そういうことだったんだ……」

「よぉーし、だったら……!」

 

 二人は素早く何かの術式を、この場で構築していった。

 スバル、チンク、ディエチは辛抱強くヴェイラと交戦するが、やはりこちらからの攻撃は相手の身体を通り抜けて通用しない。反対に向こうからの光波をこちらは食らうので、徐々に追い詰められていく。

 

『ハァンッ! ウルトラマンが助かっても、お前らが俺に勝てることにはならないだろ!?』

「くっ、一体どこに隠れてるんだ……!」

 

 歯噛みするチンク。ヴェイラ本体のいる可能性がある場所もあらかた攻撃を飛ばしたが、手応えはまるでなかった。まさか肉体が気体で出来ているのでもないだろうが、だとしたらどんな仕掛けがあるのか。

 

「二人とも、頑張って! シャーリーさんたちも頑張ってくれてる! あきらめなければ、きっと逆転の糸口は掴めるよ!」

 

 焦るチンクとディエチを励ますスバル。

 と、その時に、彼らの頭上に魔法陣が瞬いた。そして黒い障壁がカーテンのように辺りに広がっていき、一帯をすっぽりと覆い込んだ。これにより、障壁の内側だけ夜が来たように暗くなる。

 

「? これは……?」

『あぁぁ――――――――!? 暗くなっちゃった! 暗くなっちゃったよぉーッ!』

 

 一体何事かとキョロキョロするスバルたちの一方で、ヴェイラは何故か異常に動揺した。

 かと思えば、その姿がスゥッと消えていった。

 

「消えた……?」

「マックスからのデータ通りだ!」

「即席の遮光魔法、成功ね」

 

 呆然とするスバルたちの元に、してやったりという顔のシャーリー、マリエルが寄ってきた。

 

「シャーリーさん、マリーさん、どういうことですか?」

 

 尋ねたスバルに説明する二人。

 

「シャマー星人の幻影は、光の屈折率を操作して作られるものなんだって。要は蜃気楼の原理の応用だね」

「だからこうやって光を遮れば、幻影は維持できなくなるという訳なの」

「なるほど……。しかし、肝心の本体は結局どこに?」

 

 チンクの問いに、シャーリーはヴェイラの幻影の立っていた場所を指した。

 

「えっ?」

 

 幻影が消えてから、よくよく見てみると――。

 

『うわーッ! 見つかったぁー!』

 

 豆粒ほどの大きさのヴェイラが逃げようとして、こけて倒れた。

 

「……ちっちゃ!!」

 

 そう、シャマー星人の本体は、身長たったの15cmなのだ! センサーで探知できなかったのは、想定を超えた小ささなので反応しなかっただけだったのだ。

 ディエチが逃げようとするヴェイラを捕まえ、小箱の中に入れて蓋をした。

 

『な、何をする! 俺は天才だぞ!? 出せーッ!』

 

 たったこれだけでヴェイラは無力化した。

 

「やったぁっ!」

 

 ヴェイラを攻略したスバルたちは互いにタッチして、健闘を称え合った。

 

(♪DASHのテーマ)

 

 ヴェイラは呆気なさすぎる終わり方だったが、クワイラはエリオと音速に迫るほどの超高速戦を展開していた。

 

「グウオオオオオ!」

「はぁぁぁっ!」

 

 クワイラの手の甲の刃とエリオの振り回すストラーダが何度もぶつかり合い、激しい火花を飛び散らせる。

 その中で、エリオはノーヴェと視線を一瞬合わせた。高速戦闘の合間の本当に一瞬であったが、二人は確かにうなずき合った。

 エリオはストラーダを構え直し、ロケット噴射を生じさせてまっすぐクワイラへ突っ込んでいく!

 

「スピーアアングリフ!」

 

 突撃が決まるかと思われたが、クワイラは残像を残しながら横にそれ、かわした。

 

『馬鹿め! これで終わりだッ!』

 

 クワイラは無防備なエリオの背に光弾を叩き込もうとする。

 だがその瞬間にエリオの前方にエアライナーが伸びてきて、エリオはそれに足を乗せて三角跳び! 宙返りしながらクワイラの光弾を跳び越えた!

 

『な、何ッ!?』

「一閃必中!!」

 

 攻撃後の隙を突き返したエリオが、電撃を纏わせたストラーダを振り下ろす!

 

『ギャアアアアア――――――――――!!』

 

 ストラーダの刃が、クワイラの胴体を切り裂く!

 

『ぐぅッ! こうなればお前たちだけでもぉぉぉぉッ!』

 

 しかしクワイラはしぶとく、やられながらも光弾をノーヴェとウェンディに飛ばした!

 

「あっ!?」

 

 不意を突かれた二人は回避できない――。

 が、そこにジオブラスターの弾が飛んできて、クワイラの光弾を破裂させた。

 

『なッ……!』

「俺たちの活躍が残っててよかったぜ!」

 

 今の弾丸は、駆けつけたワタルとハヤトが撃ったものであった。

 最後のあがきにも失敗したクワイラに、追撃に迫るエリオが拳を固く握り締める。

 

「紫電! 一閃っ!!」

 

 電撃を纏った拳が、怒りを乗せてクワイラの頬を打つ!

 

『ぐぼあぁぁッ!!』

 

 殴り飛ばされ地面に叩きつけられたクワイラは、完全に沈黙。それ以上動くことはなかった。

 クワイラを仕留めたエリオは肩で息をしながらも、ノーヴェやワタルたちにぐっとサムズアップを見せた。ワタルたちもそれにサムズアップで応えた。

 

「セヤァッ!」

 

 人間たちの決着がついたように、ウルトラマンたちの決着の時もまた近づいていた。マックスは一対一だとファンラを圧倒。相手の反撃も許さぬ勢いのラッシュによりファンラを押し込み、頭頂部より宇宙ブーメラン、マクシウムソードを飛ばしてファンラの鉤爪状の腕を斬りつける。

 ファンラの腕はすぐに傷口がふさがって再生したが、この時にマクシウムソードが地中に潜り込んだ。

 ファンラは胸部から光線を乱射してマックスを狙う。だがマックスは回転するバリア、スパークシールドで光線を全て弾き飛ばした。

 

「ジュワッ!」

 

 そしてファンラが光線を撃っているところに、マクシウムソードをその足元から飛び出させた! ソードがファンラの胴体を深々と切り裂く。

 

「シュッ!」

 

 相手が大きくひるんだところで、マックスは空に向けて右手を掲げ、光の波を発した。するとそれに呼応して、光り輝く鳥のような武器が虚空から召喚されてマックスの右腕に装着された。

 これぞマックス最大の切り札、マックスギャラクシーだ!

 

「シュワァァァッ!」

 

 マックスギャラクシーの発光部が虹色に輝くと、先端部から剣の形の必殺光線、ギャラクシーカノンが放たれた! 腕を交差してガードしようとしたファンラだが、ギャラクシーカノンはガードをぶち抜いてファンラを穿つ!

 ファンラはこの一撃に耐えられず、背中から倒れて大爆発した。

 

「ピポポポポポ……」

「セェアァッ!」

 

 エックスの方もゼットンとの熾烈な火球とバリアの応酬の果てに、必殺の一撃を繰り出す構えを見せた。

 

『「俺たちが開発した、本当のジャケットの力を見せてやる!」』

『一気に行くぞ!』

 

 エックスが両腕を顔面の前で交差すると、全身が多角錐型のバリアに覆われ、その状態で高速回転!

 

『「ブーステッドトルネード!!」』

 

 そのまま飛び上がり、ゼットン目掛け突貫! ゼットンはバリアを展開するが、ドリルそのものとなったエックスの突撃は強固なバリアも粉砕した!

 

『「うあああああああああああああっ!!」』

「イィィィッ! シュワァァァッ!」

 

 ゼットンをはね飛ばしたエックスはゼットンケイオンを解除しながら空中で停止。空中に光を走らせ、とどめの光線を発射!

 

「『ザナディウム光線!!」』

 

 直撃を受けたゼットンは爆発、後に肉体を圧縮されて本当にスパークドールズとなったのであった。

 

 

 

 戦いが終わり、街が夕焼けに染まる中、ダイチは「トウマ・カイト」という姿のウルトラマンマックスと向かい合っていた。

 

「あなたは……?」

「私の名前はウルトラマンマックス。かつて共に戦い、未来をその手に掴み取った青年の姿を借りている」

 

 マックスは今の姿をそう説明した。

 

「私のせいで迷惑を掛けてしまった。申し訳ない」

『いえ……助けようとしてくれたこと、感謝してます』

 

 謝罪するマックスに、エックスはそう返した。

 次いでマックスは、ダイチに語りかけた。

 

「君は信じることの難しさを知ったはずだ。しかしどんな時でも、誰かを信じる気持ちを持ち続けてほしい。信じ貫く気持ちこそが本当の力になってくれる。今の君と彼のように」

 

 ダイチはそっとエクスデバイザーに目を落とした。

 

「この星の文明を守るのに必要なら私の力を使ってくれ。私を信じてくれるなら……!」

 

 マックスは手にしたマックススパークから、エクスデバイザーに力を送った。その力は、ウルトラマンマックス自身のカードに変化する。

 ダイチが顔を戻した時には、マックスは本来の姿で空の彼方へ飛び去っていくところであった。

 

『ありがとう、ウルトラマンマックス!』

 

 エックスはミッドチルダを去っていくマックスに、そう呼びかけたのだった。

 

 

 

 マックスとの対話後、ダイチはキャロに対して頭を下げていた。

 

「キャロちゃん、本当にごめん。俺が浅はかだったせいで、君のケリュケイオンを利用されてしまった……」

 

 魔導師が相棒ともいえるデバイスを悪用されるのは、精神的に大きなショックを受けるもの。ダイチはキャロの自分を信頼してくれた気持ちを傷つけてしまったと悔やんでいるのであった。

 しかしそのことについて、キャロは少しも気にしていなかった。

 

「顔を上げて下さい、ダイチさん。ダイチさんに悪気なんてなかったこと、むしろ街を守るために真剣だったってこと、よくわかってます。それに、ケリュケイオンの兄弟を悪い人たちから解放してくれたのはダイチさんなんですよね?」

「あっ、それは……俺のせいだから。褒められたことなんて何も……」

「いいえ。ケリュケイオンの兄弟のために、あきらめずに尽力してくれたことが、わたしには嬉しいんです。これからもその気持ちを持ち続けて、Xioでのお役目を頑張って下さい!」

 

 反対にダイチを励ますキャロに、エリオも同意する。

 

「たくさんの人たちのために一生懸命なダイチさんはとても立派です。今回みたいなことなんかにはめげないで、今後のご活躍を期待してます!」

 

 今のダイチにはまぶしいほどの笑顔の二人に、ダイチは力を込めて首肯した。

 

「……うん! 二人に約束するよ! ありがとう、エリオくん、キャロちゃん!」

 

 どこまでも応援してくれる二人に感謝して、ダイチは己の使命への意気込みを一層強くするのであった。

 

 

 

『……ほぉう。この星には、かなりの量のエネルギーが存在しているようだな』

 

 ミッドチルダと別の次元の「狭間」。「空間」と「空間」の間の「空間」。そうとしか形容できない世界で、緑色の複眼を持った何者かが次々表示されるミッドチルダと次元世界のデータを検分していた。

 ――これらのデータは、時空管理局のデータベース『無限書庫』から、当然無許可で引き出しているものである。この者は今、管理局に不正アクセスを仕掛けているのだ。

 

『近頃宇宙人の間でにわかに騒がれるだけのことはある。――しかし、宇宙の帝王の封印を解くためには、清流よりも澄んだ質のエネルギーでないといかん』

 

 複眼の何者かは、ミッドチルダの情報を調べながら独りごつ。

 

『万一の事態に備え、ビクトリウムコアの代替となるエネルギーを確保する、この重大な任務に妥協は許されない。この星に、ビクトリウムの代わりになれるだけのエネルギーが存在するものか、しかと見極めねば……』

 

 と言っていると、四年前の事件を纏めたデータの、ある部分に目を留めた。

 

『む? これは……ふふふ、これはよさそうだ』

 

 データの内容に詳しく目を通した何者かは、それが大分気に召したのかおどろおどろしい声に愉悦をたっぷり含ませた。

 

『ではこの娘を、我が主ヤプールに捧げるとしよう。待っているといい――この世によみがえった『聖王』とやら!!』

 

 正体の見えない何者かが目をつけたデータとは――四年前の一番の大事件、JS事件の終盤に浮上した『聖王のゆりかご』と、その核であった『現代の聖王』……現在の『高町ヴィヴィオ』のものであった。

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「今回の怪獣はゼットンだ!」

ダイチ「ゼットンは言わずと知れた『ウルトラマン』最終回「さらばウルトラマン」で初登場した、『ウルトラマン』最後の怪獣! それまで無敵といってもよかったウルトラマンを倒すという衝撃的な展開を作り出したんだ!」

エックス『ウルトラマンが倒されて番組が終わるなんて、誰も夢にも思っていなかったことだろう』

ダイチ「そのインパクトから、放送から五十年近くも経った今でも最強の怪獣の呼び声が高いんだ」

エックス『怪獣の人気投票でも上位の常連だ』

ダイチ「『ウルトラマンX』でももちろん強敵だった。その力から作られたゼットンアーマーには当初策略も仕込まれてて、とことんエックスを苦しめたんだ」

エックス『その分、味方につけば心強かったけどな』

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 遂に始まったインターミドル・チャンピオンシップ! だけど時同じくしてヴィヴィオちゃんを狙う怪しい影が見え隠れする。お前の正体は何者だ! ヴィヴィオちゃんをお前の思うようにはさせないぞ! 次回、『インターミドル防衛指令』。
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