光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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インターミドル防衛指令(B)

 

「グロオオオオオオオオ!」

 

 異次元よりミッドチルダに侵入してきたベロクロンは、着地と同時に選考会場へまっすぐと迫りくる。これを映像で見たダイチは慌てて本部へ連絡を取った。

 

「タイプG、ミッド地区第一会場前に出現! 体長約55メートル! 今にも会場に攻撃しそうです!」

『都市防衛指令発令!』

 

 指令を発したカミキからダイチに伝えられる。

 

『マスケッティ到着まで時間が掛かる! それまでどうにかそちらでタイプGを足止めしてくれ!』

「了解!」

 

 指示を受けたダイチはノーヴェらの方に振り向いた。

 

「ノーヴェたちは会場の人たちの避難誘導を! 大至急!」

「分かった!」

「わたしたちも手伝います!」

 

 先ほどまで全ての隔壁が閉ざされていたこともあって、会場には大勢の人たちが残っている。ノーヴェたちは一刻も早く彼らの安全を図るために、即座に行動に移った。その後にヴィヴィオたちが続いていく。

 

「私は怪獣の足止め役に回る! 先に行くぞ!」

 

 ザフィーラは有無を言わさぬ内に守護獣形態に変化して外へと飛び出していった。何せ時間の猶予が全くないのだ。

 彼を追いかけるように駆け出すダイチは、無人の通路でエクスデバイザーを構えた。

 

「エックス、ユナイトだ!」

『よし、行くぞ!』

 

 走りながらデバイザーのスイッチを押し、ユナイトを行う。

 

[ウルトラマンエックスと、ユナイトします]

「エックスーっ!!」

 

 全身が光に包まれ、ウルトラマンエックスの肉体へと変身!

 

「イィィィーッ! トワァッ!」

[エックス、ユナイテッド]

 

 エックスは一旦光に変化し、施設の壁を抜けて一直線に外へ飛び出していく。

 

 

 

「グロオオオオオオオオ!」

 

 先にザフィーラが向かっていったが、彼の到着すら間に合わない。ベロクロンは太い脚を振り上げ、第一会場を踏み潰そうとしている!

 しかしその寸前、ギリギリのところで会場から飛び出てきたエックスがベロクロンに飛びついた。

 

「シェアァァッ!」

「グロオオオオオオオオ!」

 

 エックスはベロクロンを押し倒し、もつれ合いながら広場に倒れ込む。危ないところで、会場を踏み潰されるのは阻止できた。

 

「ウルトラマンエックス……! 助けに来てくれたのか……!」

 

 その時に駆けつけるザフィーラ。すんでのところでエックスが助けてくれたのだと悟り、安堵と共に彼に感謝した。

 

「グロオオオオオオオオ!」

 

 だが勝負はここから。起き上がったベロクロンは標的をエックスの方に移し、先に彼を排除してしまおうと襲いかかる。

 

「トアァッ!」

 

 当然それを迎え撃つエックス。両者は取っ組み合って、激しい押し合いとなる。

 エックスの戦う姿を目の当たりにして、黄色い歓声を上げる者がいた。

 

「きゃあーっ!! ミッドに彗星の如く現れた未知の超人、ウルトラマンエックス! その彼が、こんな間近にいるなんてー! ぜ、是非とも写真を……!」

 

 参加セレモニーで選手代表を務めたエルスであった。鼻息を荒くしてエックスの戦う姿を撮影しようとするのを、隣の少女、昨年度の都市本戦5位のハリー・トライベッカが呆れた視線を向けた。

 

「お前、意外とああいうの好きなのか? アホのエルス」

「誰がアホですかっ! それにいいじゃないですか、別に!」

 

 エルスが言い返していると、一昨年の世界戦優勝者、『チャンピオン』の呼び声を欲しいままにしているジークリンデ・エレミアその人がぼそっとつぶやく。

 

「そんなことより、ウチらも避難せんとエックスにも迷惑かかるんちゃう?」

「そうですわね。流石にあんな大きな怪獣相手には格闘戦なんて申し込めませんし」

 

 同意したのは昨年度都市本戦3位のヴィクトーリア・ダールグリュン。二人の言葉を聞いてエルスは我に返る。

 

「そ、そうでした! でも、せめて一枚くらい写真を撮ってから……」

「つべこべ言ってねーでとっとと行くぞ。お前らそっち持て」

「うっす」

 

 やっぱり我に返っていなかったエルスを、ハリーが取り巻きの三人と一緒に抱え上げて連行していく。

 

「ちょっ、離して下さい! 自分で歩けますから!」

 

 暴れるエルスをそのまま運んでいくハリーたちの構図に呆れたように苦笑しながら、ジークリンデとヴィクトーリアがその背中を追いかけていった。

 

「デュアッ!」

 

 一方のエックスはベロクロンを突き飛ばすと同時に水平チョップを入れ、後退させる。こうしながら会場から引き離すのが狙いだ。

 

「グロオオオオオオオオ!」

 

 だがベロクロンはエックスへ両腕を伸ばしたかと思うと、そこや全身の赤い突起から大量にミサイルを発射した!

 

「怪獣が質量兵器を!?」

 

 驚愕するザフィーラ。ウルトラ・フレア発生から十五年の間に様々な種類の怪獣が出現したが、人工物を体内から発射する怪獣など聞いたことがなかった。

 

「ヌッ!? シェアッ!」

 

 自身の背後を一瞥したエックスは、Xバリアウォールを展開してミサイル攻撃を防ぐ。ここでかわしたりしたら、まだたくさんの人が残っている会場にミサイルが降り注いでしまう!

 

「グロオオオオオオオオ!」

 

 しかしベロクロンは絶え間なくミサイルを飛ばしてきて、バリアも押し切られてしまいそうだ。進退窮まるエックス!

 だが、突如として地面から生えた光の刃がミサイル群を貫き、空中で誘爆させた。

 

「グロオオオオオオオオ!?」

 

 エックスが向けた視線の先には、古代ベルカ式魔法陣を展開させるザフィーラの姿。

 

「エックス、私が援護する! 会場の安全は任せろ!」

「フッ!」

 

 ザフィーラの呼びかけにうなずいたエックスは、ベロクロンへと間合いを詰めて肉弾戦を仕掛ける。接近戦ならば、ミサイル攻撃も封じられるはずだ。

 

「デェアッ!」

「グロオオオオオオオオ!」

 

 ザフィーラの援護もあって戦いを有利に進めるエックス。だが敵は他にいることを忘れていないだろうか。

 

「キュウーキューキュッ!」

 

 そう、ギロン人が巨大化してこの場に出現したのだ!

 

『「ギロン人っ!」』

『ウルトラマン! 貴様ら邪魔者を排除してから、ゆっくりと娘どもを捕まえてくれる! 覚悟しろぉッ!』

 

 ギロン人はベロクロンと戦っていて無防備のエックスの背中に針状の光線を浴びせる!

 

「グワァァッ!」

「グロオオオオオオオオ!」

 

 ひるんだエックスを、ベロクロンが怪力で張り倒す。仰向けに倒れたエックスに、ベロクロンとギロン人が押し寄せて二人掛かりで踏みつけ出す。

 

「グゥゥッ!」

 

 さしものエックスも、二体に押しつけられてそれをはねのけるほどのパワーは持っていなかった。為す術なく蹂躙され、カラータイマーも点滅を始める。

 しかし、モンスジャケットによるパワーアップも見込めない状態にある。

 

『「抑えつけられてたら、ジャケットが装着できない……!」』

 

 ダイチはデバイザーにデバイスゴモラのカードを収めたが、エックスの身体が抑え込まれているので、ジャケットが展開できずエラーが出るだけであった。

 

「やめろっ!」

 

 ザフィーラが助けようとするも、伸ばした鎖は呆気なく振り払われる。ガーゴルゴン戦ではヴォルケンリッター総掛かりで渡り合ったが、流石に彼単独では負担が大きすぎるのだ。

 このままではエックスが危ない! この状況を立体モニターで確認したディードとオットーが焦った様子でノーヴェへと振り返る。

 

「ノーヴェ姉様、ウルトラマンエックスの窮地です!」

「僕たちの誰かが応援に回るべきでは!」

 

 だが、ノーヴェはこの状況で不敵に微笑んだ。

 

「いいや。ちょうど、心強い味方が駆けつけてくれたところだぜ!」

 

 ギロン人とともにエックスを抑え込んでいたベロクロンは少し離れ、口から大型ミサイルを発射する。エックスにとどめを刺すつもりだ!

 

「グロオオオオオオオオ!」

 

 だが――その時に空の彼方から急行してきた飛行物体が放った光弾が、ミサイルを撃ち落とした。

 スカイマスケッティだ!

 

「お前らー! 質量兵器の持ち込みは犯罪だぞー!」

「法を破るから犯罪者なんだけどな!」

 

 冗談めかしたことを発したワタルとハヤトのコンビが、ファントン光子砲を連射してベロクロンとギロン人をはね飛ばした。それによりエックスは解放される。

 

「キューキュキュキュッ!」

 

 即座に起き上がったギロン人はハサミをマスケッティに向ける。針状光線で撃墜するつもりだ。

 だが、駆けつけた味方とはマスケッティだけではなかったのだ。

 

「――エクセリオンバスター!!」

 

 ギロン人の構えた腕を、桃色の魔力砲撃の直撃が弾いた。

 

「ッ!?」

 

 ギロン人が振り返った先に、空中に漂う白いバリアジャケットの勇壮な女性――。

 誰であろう、高町なのはである。彼女は愛娘が何者かに付け狙われている恐れがあると聞き、緊急時の救援役に志願したのだ。「切り札」とは、まさになのはのことであった。

 なのはは通信でザフィーラに呼びかける。

 

「ザフィーラ、ありがとう。ここからはわたしとXioに任せて!」

 

 そう言って、マスケッティとのタッグでギロン人に果敢に挑んでいく!

 

「ハヤト隊員、ワタル隊員! 準備はいい? 攻撃開始だよっ!」

「了解です! 高町一尉っ!」

 

(♪TACのテーマ(コーラス付))

 

「キュウーキューキュッ!」

 

 ギロン人は己の攻撃を妨害したなのはへと迫り、ハサミで叩き落とそうとする。しかしそこにターンしたマスケッティが砲撃。

 

「ファントン光子砲、発射!」

 

 光子砲がギロン人の頭部に炸裂。衝撃で身体がのけ反るギロン人。

 

「キューキュキュキュッ!」

 

 ギロン人の眼前をマスケッティが横切っていく。ギロン人はそれを反射的に目で追う。

 その目が離れた隙に、なのははギロン人の膝裏へと素早く回り込んだ。

 

[Photon smasher]

「ファイア!」

 

 砲撃が膝裏に直撃し、ギロン人は耐え切れず姿勢を崩してその場に膝を突いた。

 

「キュウーキューキュッ!」

 

 なのはを狙って振り向くギロン人だが、なのははその動きに合わせて旋回、相手の背後の位置をキープしながら螺旋を描くように上昇していく。

 

[Sacred cluster]

 

 そして顔面へと拡散射撃魔法を浴びせた! 射撃魔法では巨大宇宙人にダメージを与えられる威力は出ないが、硝煙が目くらましとなる。

 

「トラーイっ!」

 

 ギロン人の視界がふさがっているところに、マスケッティが光子砲の雨を食らわせる!

 

「キューキュキュキュッ!」

 

 なのはとマスケッティを駆るワタルとハヤト。身体は小さくとも巧みな連携、そして大きな勇気を以て巨大なギロン人に互角以上に渡り合う。

 そしてなのはたちがギロン人を引きつけているお陰でベロクロンとの一対一になったエックスも、ダイチの助けを得て大火力を誇る超獣相手に雄々しく立ち向かう。

 

[デバイスベムスター、スタンバイ]

 

 改めてデバイザーにデバイスベムスターのカードをセットして、ベムラーダを展開。

 

『ギアァッ! ギギギィッ!』

[ベムラーダ、セットアップ]

 

 ジャケットを装着したエックスめがけ、ベロクロンはミサイルを全弾発射。

 

「グロオオオオオオオオ!」

「フッ!」

 

 エックスはベムラーダのシールドを構えてミサイルを受ける。シールドはミサイル全弾を防ぎ切り、エックスへのダメージを防いだ。

 

「グロオオオオオオオオ!?」

『「ベムスターアングリフ!」』

 

 エックスは槍を構え直して穂先をベロクロンに向けた。その穂先からロケット噴射が生じ、エックスが突撃していく!

 

「デアァァァッ!」

「グロオオオオオオオオ!」

 

 エックスにはね飛ばされたベロクロンはきりきり舞いしながら横転した。それでもすぐに起き上がり、エックスに肉薄していく。

 一方、ダイチはベムラーダから別のジャケットへと切り替える。

 

[デバイスゼットン、スタンバイ]

 

 ベムラーダを解除して、ゼットンケイオンをエックスに纏わせた。

 

『ピポポポポポ……』

[ゼットンケイオン、セットアップ]

 

 エックスはゼットンケイオンのグローブでベロクロンの爪をガード。反撃に連続パンチをお見舞いする。

 

「セェェェアッ!」

「グロオオオオオオオオ!」

 

 ゼットンの超パワーを宿したゼットンケイオンのパンチは強烈。超獣のベロクロンもたちまちグロッキーになって後ずさった。

 エックスがモンスジャケットの力で善戦する他方で、なのはは遂に動きをギロン人に捕捉されてしまった。飛行するなのはにぴったりと合わせてハサミが向けられる。

 いくらエースオブエースといえども一人の人間。巨大宇宙人からの攻撃を受けるのは非常に危険だ!

 

「今っ!」

 

 が、しかし、なのはが急上昇したとともに、その背後の陰に隠れる形となっていたはるか遠くのマスケッティから光子砲の一点集中砲火がギロン人へ放たれた!

 

「キュウーキューキュッ!」

 

 一直線に飛んできた光子砲をまともに食らい、動きが停止するギロン人。その隙を逃さずに、なのはがカートリッジを消費した極大の砲撃を撃ち込む!

 

「ストライク・スターズ!!」

 

 レイジングハートからの砲撃に、なのはの周囲に浮かんだ複数の魔力球からのレーザーが合わさって大威力の一撃となる。これをギロン人は胸の中央の一点に食らった!

 なのはたちからの集中攻撃には耐えられず、ギロン人は仰向けに倒れ込み、そのまま立ち上がらなくなった。完全にノックアウトだ。

 エックスの方もまた、いいところまで弱らせたベロクロンにいよいよとどめの一撃を繰り出す。

 

『「ブラスト火炎弾!!」』

 

 胸部の前に両腕を水平に置くと、指先の間に膨大な熱量の火球弾が発生。腕を前に伸ばすとともに、それを発射する!

 

「イィィィ―――ッ! シャァ―――――ッ!」

「グロオオオオオオオオ!!」

 

 火球弾の直撃を食らったベロクロンは大爆発! 次いで肉体を圧縮され、スパークドールズとなって芝生の上に転がった。

 

「いよっしゃあぁぁぁっ!」

「やりましたね、高町一尉!」

 

 アトスの助手席で歓声を上げるワタル。ハヤトはなのはへと敬礼を向け、それを視認したなのはも敬礼を返した。

 エックスとXio、なのはの完全勝利……そう見えたが、ここでダウンしたはずのギロン人が起き上がった!

 

「ヘァッ!」

 

 警戒してギロン人へ向き直るエックス。ワタルたちも気を引き締め直す。

 

「ヤロー……まだ戦おうってのか!?」

 

 ワタルはすぐに攻撃を再開しようとしたが、それをなのはが呼び止めた。

 

「待って! 何だか様子が変……」

 

 なのはの言う通り、ギロン人は立ったまま攻撃を行う様子がなかった。果たして、ギロン人はエックスに向けてこんなことを告げていた。

 

『最早これまでか……。しかし、これで勝ったと思うなよ! 我が主ヤプールは、私の補助などなくとも必ずや、宇宙全土に恐怖とともにその名を知らしめた宇宙の帝王を復活なさる!』

『宇宙の帝王だと!?』

 

 唐突に発せられた言葉に驚きを見せるエックス。

 

『宇宙の帝王の復活が果たされた時、全宇宙は恐怖と破壊のどん底に突き落とされるのだ……。この星とて例外ではないッ!』

 

 ギロン人は両腕を振り上げて脅し文句を堂々と宣告する。

 

『この星が破壊し尽くされ、お前たちが宇宙の帝王の軍団に抹殺されるその時を、ひと足先に地獄から待っているぞ! クハハハハハッ!』

『! 何をするつもりだ!』

 

 エックスが止めようとした時には、もう遅かった。胸の前で両腕を組んだギロン人は……何の前触れもなく爆発四散した!

 

「えっ!?」

「じ、自爆した!?」

 

 なのはたち、引いてはこの現場を目にしていた者たち全員が、ギロン人の末路に唖然とした。今まで異星人犯罪者は数いれども、目的に失敗したからといって自ら死を選んだ者はいないからだ。

 エックスもまた、ギロン人の自決を目の当たりにして、手を伸ばしかけた姿勢で固まっていた。

 

『「……エックス、ギロン人が最期に言い残した「宇宙の帝王」というのは、どういうことなの?」』

 

 ダイチの質問に、エックスは回答することが出来なかった。

 

『私にも分からない。しかし恐らくは、どこか別の宇宙にそう呼ばれるほどの強大な存在が封じられていて、奴らはその封印を解いて利用しようと目論んでいたのだろう。そのための手段として、ヴィヴィオを狙った。そういうことだったのだろう』

『「でもあいつの口振りからだと、黒幕は他にいるみたいだ。そいつをどうにかしないことにはまたヴィヴィオちゃんが狙われるかもしれないし……そうでなくとも、ミッドを危機に陥れるような奴が復活してしまうんじゃ!?」』

 

 ダイチはそのことを危惧する。

 

『ダイチ、お前の言うことはもっともだ。しかし……我々では、その「宇宙の帝王」というものがどこの宇宙に存在しているのか、それすら突き止めることは出来ないんだ。つまり、手の打ちようがない』

『「そんな……」』

 

 ミッドチルダスペース以外の宇宙など、それこそ無数に存在する。ウルティメイトゼロジャケットで探しに行こうにも、その中から手掛かりもなしに一つの宇宙を見つけ出すことなど、それこそ砂漠に落とした米粒を探すようなものだ。

 その手掛かりも、ギロン人が自爆した今、完全に失われてしまった。最早「宇宙の帝王」の所在を暴き出すのは不可能である。

 この場の戦いには勝利したが……ギロン人の遺言は、エックスたちの心に大きな不安を残す結果となったのであった。

 

 

 

 ……ミッドチルダスペースからは遠く離れた、ある一つの宇宙。そこに浮かぶ荒廃した惑星、グア。

 ここの地表上で、宇宙の命運を巡るほどのある大きな戦いが行われていた。戦っている勢力の片方は、ギロン人の親玉である異次元の悪魔――異次元超人巨大ヤプール率いる超獣軍団。そしてもう片方は――四人のウルトラマン!

 

「ギギャアアアアアアアア!」

「ギョロロロロロロロロ!」

 

 一角超獣バキシムと蛾超獣ドラゴリーが、角ミサイルと口からの赤黒い電撃光線を放つ。それを跳び越えた真紅のウルトラマン兄弟が、二体の超獣に燃え上がる飛び蹴りを仕掛ける!

 

「デヤアアアァァァァァァァァァッ!!」

 

 二人の飛び蹴りはバキシムとドラゴリーの胴体を貫通。二体はそろって爆散する。

 

「パオ――――――――!」

 

 別の地点では、変身超獣ブロッケンが二本の触手から怪光線を空へ向けて発射。しかし空を飛ぶ両性風のウルトラマンは怪光線をかいくぐり、ひねりをつけながらブロッケンの背後へと回り込む。

 

「トアァァァッ!」

 

 土煙を巻き上げて着地したウルトラマンはピンと伸ばした両腕を上下に開いた勢いで、巨大光刃を放った。

 

「テッ! トワァァッ!」

 

 光刃はブロッケンの肉体を真っ二つに切り裂き、爆発四散させた。

 そして最後の――特に強い力の波動を全身から発する、赤と銀と黒の体色に青とオレンジのV字のクリスタルを全身の各所に有したウルトラマンの内部の超空間で、ある若者が左腕に装着したブレスのターンテーブルを回してスイッチを押した。

 

『ヂャッ!』『デヤッ!』『デュワッ!』『フアッ!』『シェアッ!』『シュアッ!』『セアッ!』『テェェェェアッ!』

 

 すると八人ものウルトラマンの胸像のビジョン――内の二人はゼロとマックス――が次々現れ、ブレスが黄金に輝く。

 光のエネルギーが充填されていき、二人の若者がポーズを取ると、彼らを宿すウルトラマンが八人のウルトラマンのビジョンを取り込んで腕を十字に組んだ。

 

『「「ウルトラフュージョンシュート!!」」』

 

 放たれた光の膨大な奔流を、巨大ヤプールが食らう!

 

『ギェアアアアアァァァァァァァァァァ―――――――――――――ッッ!!!』

 

 ヤプールがこの凄まじい一撃に耐えられるはずもなく、実体を維持できなくなって肉体が激しく揺らぐ。

 

『ヘッヘッヘッヘッヘッ……ウッハッハッハッハッ!!』

 

 そんな消滅間際の状態でありながら、ヤプールは不気味な哄笑を上げる。

 

『これで勝ったと思うなよ……! もう帝王復活は止められん! 全宇宙は、終わりを告げるのだぁッ!!』

 

 捨て台詞を残して爆発するヤプール。――だが、爆発と同時に三つの黒い怨念のエネルギーが上空に飛び上がっていき、空に開いた空間の穴――次元の歪みの中へ吸い込まれていった。

 

『フハハハッハッハッハッハッ……!』

 

 その怨念のエネルギーによって、歪みの中から悪鬼そのものの怪人の姿が浮かび上がる!

 

『「帝王が復活する……!」』

『「間に合わなかったっていうのか……!」』

 

 これを目の当たりにして、ウルトラマンの中の二人の若者が冷や汗とともにつぶやいた。

 歪みの中の怪人は、くすんだ黄金の鎧の姿の、二本角を生やした骸骨の魔王の如き容貌を完全に現した!

 

『我が名は帝王、ジュダ・スペクター! 我は数万年ぶりによみがえった!』

 

 宇宙の帝王、ジュダ・スペクターは地上へ向けてエネルギー波を放つ。地上に降ったエネルギー波は、ジュダ・スペクターの体色のようなくすんだ黄金色の大怪獣へと変貌する。

 

「グルウウウウ……グワアアアァァァァァァァァ!!」

『全てを破壊せよ! スーパーグランドキング・スペクター!!』

 

 ジュダ・スペクターの作り出した恐るべき大怪獣が、ウルトラマンたちに牙を剥く!

 ……だが、ウルトラマンは負けないのだ! どんな絶望が立ちふさがろうとも、どれだけ強大な闇の力が敵だったとしても、彼らの胸の輝きに宿る希望の光が、絶望を打ち砕いて未来の世界を宇宙に作り出すのだ!!

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「今回の怪獣はブラックキングだ!」

ダイチ「ブラックキングは『帰ってきたウルトラマン』第三十七話「ウルトラマン夕陽に死す」から登場した怪獣。全五十一話の中で、唯一ウルトラブレスレットの攻撃が効かなかったとんでもない強敵怪獣だったんだ!」

エックス『そのために、帰ってきたウルトラマンの怪獣の中では、ゼットンを抑えて最強と称されることもあるんだ』

ダイチ「主人のナックル星人の方はとことん卑怯な作戦を張り巡らせた。謀略と力を兼ね備えたこのコンビはジャックを徹底的に追い詰めたぞ!」

エックス『初代ウルトラマンとセブンも助けに駆けつけたりと、一番盛り上がった回の一つだな』

ダイチ「『ウルトラマンX』では第五話にナックル星人バンデロに引き連れられて登場! 頭部の角をドリルに換装したドリルカスタムという形態も披露したんだ」

エックス『ブラックキングとナックル星人のコンビ再来は実に44年ぶりの実現だったぞ』

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 ヴィヴィオちゃんたちはエレミアの手記を求めて、無限書庫の探索ツアーを行うことになった。けれど、彼女たちにまたも魔の手が忍び寄る! みんなを連れていかせたりなんかさせない! エックス、今すぐ助けに行こう! 次回、『魔法少女採集』。
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