「ファントン光子砲、発射!」
「トラァーイっ!!」
「……諸君の使命は、この次元世界を守ること」
「君は信じることの難しさを知ったはずだ。しかしどんな時でも、誰かを信じる気持ちを持ち続けてほしい。信じ貫く気持ちこそが本当の力になってくれる」
「我々個人がどんなに鍛え、強くなろうが……チームワークに勝る力はない」
「今こそ力を合わせる時だ!」
「ワン・フォー・オール!!」
「オール・フォー・ワン!!」
「Xio、出動!」
『われら星雲!』
スタジアムに、ホイッスルの音が鳴り渡った。
両チームの選手が組んでいるスクラムの下からラグビーボールが取り出され、パスが回される。ボールを取ったのは白いユニフォームの方のチーム。
今日は大学ラグビーの大会の予選、その試合の日だ。
「うおおーっ!」
「行け、行け、行けっ!」
「そこだそこっ! 走れぇーっ!」
観客席からは、試合の観戦に集った来客からの、それぞれのチームへの応援の声が飛ぶ。その中にはワタルの姿もあった。
ワタルだけではない。ダイチとスバルも、休暇を利用して観客席にいる。
「誰がワタルさんの弟さん?」
「10番の選手がそうだよ」
スバルの質問に答えるダイチ。現在ボールを抱えている10番の選手の名は、イサム・カザマ。ワタルの弟である。兄の背中を追いかけて、大学のラグビー部に入ったのだ。
イサムはボールを抱えたままダッシュ。相手の選手を次々抜いていき、ゴール領域へのトライに成功した。
「よぉーしっ!」
イサムが得点を入れたことで沸き立つワタルたち。その後もボールをキックしてゴールに蹴り入れたりなどの活躍を見せる。
しかし相手チームの実力も高く、試合は拮抗。終了直前にイサムはボールを持って敵ゴールへと駆けていくが、その前から三人の屈強な相手選手たちが迫ってくる。
それを見たイサム、思わず怖気づいてしまい、咄嗟に横へパスを流した。が、このパスは失敗。ボールを相手チームに奪われ、そのままトライを決め返されてしまったのだ。
「トライ!」
これが決め手となり、イサムのチームは敗北したのであった。
「あぁ……」
落胆するワタルたち。だが、最も落ち込んでいるのは失態を犯したイサム自身。彼はその場に膝と手を突き、力なくうなだれたのだった。
試合後、イサムは普段着の格好で町中をトボトボとあてもなく歩いていた。と、そこに、フードで顔を隠してジョギングをしている少女がイサムとすれ違う。
すると彼女は振り返り、フードを外してイサムへ呼びかけた。
「イサ兄ぃ、こんなとこで何してるん?」
「えっ……? ジークちゃん!?」
イサムの名を呼んだのはジークリンデであった。イサムは彼女と顔を合わせて、驚きを見せる。
それから二人は道端のベンチに腰を下ろし、言葉を交わす。
「久しぶりだね、ジークちゃん。インターミドルは相変わらず好調に勝ち進んでるみたいだね」
「いやいや、それほど好調ってほどでもないよ。イサ兄ぃは大学でラグビー部に入ったんやったっけ」
「そうだったんだけど……今はもう違うんだよ」
と語るイサムの顔に目を向けるジークリンデ。
「何かあったん?」
「……俺はジークちゃんとは反対さ。肝心な場面で怖くなって、逃げ出しちまって、そのせいでチームを負けさせちゃったんだよ。こんな情けない俺が、この先ラグビーを続けられるはずがない。だから、ラグビー部はもう辞めたんだよ……」
「そんな……何も辞めんでも。失敗くらい、誰にでもあるやろ」
「いや、駄目なんだよ……。俺はもう、ラグビーできない……。やっぱり、俺は兄貴とは違うんだ……」
イサムの落ち込み具合は半端ではなかった。ジークリンデは自分の手に余ると判断し、困り果てる。
「……でも、これから住むところはどうしよう。部活と一緒に大学の寮も飛び出してきちゃったんだけど、他に行くアテがないんだよな。かと言って、実家は大学から遠いし……」
イサムは転居先を見つけられずに途方に暮れていたようだ。するとジークリンデは考えた末に、イサムにこう告げた。
「それやったらイサ兄ぃ、ウチが今お世話になってるシェアハウスに来うへん? ちょうど入居者募集中なんよ!」
「えっ? ジークちゃん……今シェアハウスに住んでるの?」
若干驚くイサム。ワタルからの伝聞なので詳しいことは知らないが、知り合った当時のジークリンデは、事情があって人里から離れたところでテント生活をしていたはずだが……。
しかし、渡りに船とはこのこと。イサムはジークリンデの案内で、そのシェアハウスというところに連れていってもらった。
見た目はやや古びた平屋で、表札には「星雲荘」とある。その軒先から、団扇を煽っているオネェ風の男性が現れる。
「あらぁ~、ジークちゃんお帰りなさぁい。……あら? そちらのお方は?」
「ナクリん! この人はね……」
ジークは男性に、イサムのことを紹介する。
オネェ風の男性は、ジークリンデと星雲荘で共同生活をしているナクリという者ということだった。ナクリは星雲荘に上げたイサムに、シェアハウスの説明をする。
「家賃は一律一万五千! あと、管理費として、五百いただいてま~す! ああこれ、ワタシの宝物。触っちゃダメよ?」
ハンガーに掛けてある種々のドレスやジュリ扇について注意したナクリは、他の住人の紹介を行う。
庭ではのほほんとした雰囲気の男性が鉢植えの花を手入れしている。
「こちら、イカリさーん。近所のコンビニに勤めてるの」
「イカにも、我輩イカリです。よろしく」
「よろしくお願いします」
イサムは礼儀正しく頭を垂れた。
テレビの前では、茶髪で若干軽い感じの男性が電子ゲームをしている。
「こちら、ハルキさん。職人さんなの」
「よろしくお願いします」
イサムはハルキにも挨拶したが、ハルキは彼を叱る。
「シャラップ! 今ミッドを攻撃中なんだよ!」
「ああ、気にしないで。ハルキさん、ゲーム中は怒りっぽいんだから。あっ、改めてワタシ、ナクリ。ジークちゃんともども、これからよろしくね!」
「よろしゅうな、イサ兄ぃ!」
「よろしくお願いします」
この三名がジークリンデの同居人、星雲荘の住人なのであった。
その日の晩、星雲荘ではイサムの歓迎会が行われる。と言ってもまるで華やかなものではなく、酒類やジュース、つまみで乾杯しているだけだ。
「ハルキん、ちょい飲みすぎちゃう? お酒はほどほどにせんとあかんでー」
「固いこと言うなよ~。せっかくの歓迎会なんだぜ~?」
「ほれほれキミ、イカを食べなさいイカを」
「ありがとうございます」
何のダジャレか、イカリにイカを勧められるイサムに、ハルキが質問する。
「ところでユー、なかなかいい身体してるけど、何かスポーツでもやってたのか?」
「やってたのか?」
それでイサムとジークリンデはドキリとする。
「いやいや、僕のことはいいじゃないですか」
はぐらかそうとするイサムだが、ナクリがうなる。
「でもあなた、どっかで見たことあるのよね~。ジークちゃんのお友達だし、ストライクアーツの選手だったりして」
「そ、そうではないですけど……」
冷や汗を垂らすイサム。と、ここでジークリンデが助け舟を出した。
「あっ、もうこんな遅い時間やな。イサ兄ぃも明日早いやろ? 今日はもう寝た方がええんやない?」
「そ、そうだね。それじゃあ、すいませんがこれで失礼させていただきます」
イサムは少し焦った様子で席を立った。それにジークリンデも続く。
「ハルキん、イカリん、ナクリん、おやすみー」
「おやすみなさい」
「おう、グッドナイト!」
「おやすみ~」
「これからよろしくね~」
それぞれの個室へ移っていくジークリンデとイサム。それを見送ったハルキたち……。
二人が離れたのを確認すると……三人はボフンと白い煙を発し、次の瞬間にはそれぞれ異なる怪人の姿に変わり果てていた!
「あー! 疲れたぁ~! 相変わらず、人間の皮を被ってんのはハードだぜぇ~!」
どっとため息を吐いたハルキ――バルキー星人。イカリ――イカルス星人はイサムに関して評する。
「新しい住居者が性格良さそうな青年で、良かったじゃなイカ~!」
だがバルキー星人はこう語る。
「それより、大丈夫なのかぁ? ミーたちのグレイト! な秘密基地に、人間なんかを二人も住まわせてよぉー!」
バルキー星人の発言にナクリ――ナックル星人が呆れる。
「何が秘密基地よ。こうでもしないと、この星雲荘の家賃払えないじゃないの。いつまでもジークちゃんに頼ってる訳にもいかないでしょ?」
「オップス……」
やり込められて息を漏らすバルキー星人。一方、ナックル星人は未だにイサムのことを気にしていた。
「それにしても、やっぱりあの子、どっかで見た覚えあるのよね~……。あっ、そうだ!」
何かを思い出して、一冊の雑誌を探し当ててくる。その中の「イケメンラグビー大学生特集」というコーナーのページを開く。
そこにはイサムの写真が載っていた。
「ワオ! こいつで間違いナッシング!」
「ホントじゃなイカぁ! 彼の心境やイカに!」
イサムがラグビー選手だということを知った三人は、それがどうしてジークリンデに連れられて星雲荘に住まうことにしたのかと気に掛けた。
その頃、Xioにはとある監視カメラの映像が上がってきていた。
「湾岸地区の倉庫街、監視映像を拡大したものです」
アルトがモニターに映像を映す。その中には、倉庫から脱け出てくる四人の宇宙人の集団の姿があった。
四人の内の二名は、ダダとケムール人だ。ノーヴェが指摘する。
「こいつら、この前の無限書庫に侵入してきた奴らじゃねぇか!」
「後の二人はババルウ星人とゼットン星人か。厄介な連中だな……」
ハヤトの言葉の後に、グルマンが発言した。
「これまで捕まえた犯罪者の供述によると、あのババルウ星人が暗黒星団の創設者だという。それが自ら行動をしているとは、何を企んでいるのやら……」
Xioの面々は今のグルマンの台詞で、ババルウ星人たちの動きに警戒心を抱いた。
イサムが星雲荘で暮らし始めてから、早くも数日が経過した……。
「……おかしい。ジークちゃん以外の、ここの人たち……」
イサムはハルキ、イカリ、ナクリの三人に対して、ある疑念を持つようになっていた。それは……「三人が宇宙人ではないのか?」ということ。
イサムの事情を知った三人は、ジークリンデと同じように彼を励まし元気づけてくれた。それがいいのだが……度々、彼らの周りで変なことが起こるのだ。イカリの頭にロバみたいな耳が生えていたり、鏡に映るハルキの姿が明らかに人外のものだったり……。
そして遂にイサムは、決定的な場面を目撃した。庭で鉢植えを囲んでいる三人の様子を密かに監視すると……彼らが真の姿を晒していたのだ!
「宇宙人だ……! Xioに連絡しないと……!」
すぐさまイサムはXioに通報しようとした。
が、空間モニターを開こうとするイサムの手を、ジークリンデが掴んで止めた。
「待って、イサ兄ぃ。通報したらあかん」
「ジークちゃん!? どうして……!」
三人の宇宙人に気づかれないよう、小声でジークリンデに問いかける。
「ジークちゃんはこのこと知ってたのか? でも、それなら何で彼らをかばうんだ。正体を隠して、ミッドに潜り込んでる宇宙人なのに……」
それにジークリンデは、こう答える。
「みんなは悪い宇宙人なんかやないからや」
「えっ?」
「ほら、見て」
ジークリンデが指し示すと、ちょうど道路を見ていたバルキー星人がイカルス星人、ナックル星人に呼びかけた。
「おいぃー! 財布が、落ちてるぞー!」
「えぇー!?」
三人は人間に化け直して、大急ぎで道路へ走っていき、財布を拾い上げた。
「じ、十万もあるじゃないかぁー!」
興奮する三人。そのまま横領するかと思われたが……。
警防官が通りがかると、彼らは財布を差し出したのだ。
「お巡りさん、待って! ……財布が落ちてます」
「あっ、ご協力感謝します」
この一部始終を見ていたジークリンデは、イサムに語りかける。
「ウチも初めは驚いたけど、すぐにみんながええ人たちで、悪いことする気なんかこれっぽっちもないってわかったんや。イサ兄ぃ、このウチに免じて、みんなのことを見逃してあげて」
頼まれたイサムは、一旦手元に目を落としたが……。
その後、星雲荘の五人は机を囲んで温泉まんじゅうに舌鼓を打っていた。
「あーあ。あのマネーがあれば、来月の家賃も大丈夫だったのにな!」
「でも、落とした人も喜んでいたし、お礼のおまんじゅうも美味しいし、まぁいいんじゃなイカ?」
まんじゅうをぱくつきながら、ハルキ、イカリ、ナクリが話す。
「ワタシ、温泉町で働こっかなぁ」
「ここを出てくってのか!?」
「えー!? ナクリんがどっか行っちゃうのは嫌やでー!」
ジークリンデも、彼らが宇宙人と知ってなお自然に話に混ざる。
「しかし、俺たちいつになったら、安心してここで暮らせるんだろうなぁ~」
「何や、そんなこと。お財布のことと言い、家賃ならいつでもウチが何とかしてあげるのに」
「そういう訳にはいかないわよ~。大の大人が三人して、女の子のお世話になりっぱなしだなんて体裁悪いわぁ」
「甘えてばかりなのもイカがなものか」
そう話していたら……唐突に外からまばゆい光が差し込んできた。
「あ?」
ハルキが開け放している窓から外を覗き見たところ……。
ドカ―――――ンッ! と轟音を立てて何かが星雲荘に飛び込んできた。
Xioベースのレーダーが、その落下物を捕捉した。
「エリアT-7に、隕石らしきものが落下!」
「ワタルとスバル、ダイチは至急調査に向かってくれ」
「了解!」
クロノの指令で、三名が席を立った。
星雲荘の居間は、落下物によりもうもうと土煙が立ち込めていた。
「イサ兄ぃ、大丈夫やった?」
「あ、ああ、ありがとう……」
イサムは咄嗟にジークリンデがかばったことで何ともなかった。
「けれど、今のは一体何が……」
土煙が収まると、視界がはっきりとしてくる。居間は滅茶苦茶となっており、宇宙人たちはショックで変身が解けている。そして、落下物の正体は……。
「キイィィーッ!」
50cmほどの、水色の足が生えた魚のような生物。鼻先は角になっている。
これを目にしたバルキー星人が叫ぶ。
「ジョリー……? ジョリーじゃないかぁーっ!」
「ジョリー?」
聞き返すイカルス星人とナックル星人。
「ミーがバルキー星に残してきた、ペットのサメクジラだよぉー! まさかお前、ミーを慕ってこんな遠い星までぇ!」
「げげっ!?」
バルキー星人は感激してサメクジラのジョリーに頬ずりするが、イサムとジークリンデに見られていることに気がついたイカルス星人が二人に呼びかける。
「あ、あのみんな。ところで我輩たち、人間に化けないとイカんのではなイカ……?」
「……オーマイゴーッド!」
思わず立ち上がった三人は、ごまかしようがないと思ったのか、イサムたちに素直に謝罪する。
「黙ってて、ごめんなさーい……」「ごめんなさーい」「ソーリー……」
「ワタシたち……宇宙人なの」「なの」「イエス……」
ばつが悪そうな三人に、イサムが告げる。
「知ってましたよ……」
「……ホントに?」
「うん。というか、あれで隠し通せてると思ってた方がむしろ驚きや」
「ええっ、そうなのぉ!?」
ショックを受けるイカルス星人。一方でバルキー星人は、開き直ったかのように言った。
「ばれちまったら仕方ねぇ……ずらかるぞぉ!」
「あっ、ちょっと!」
脱兎の如く星雲荘を飛び出していく宇宙人たち。イサムとジークリンデは、慌ててその後を追いかけていった。
高架下まで走って逃げてきた星雲荘の宇宙人たちだが、そこに駆けつけたワタルら三人が立ちはだかった。
「動くなぁっ!」
ワタルにジオブラスターを突きつけられて、宇宙人たちはピタリと立ち止まる。
「ああ~……」
「何をするつもりだ」
ワタルとスバル、ダイチは宇宙人を確保しようと身構えるが、そこにイサムとジークリンデが追いついた。
「待ってくれ、兄貴!」
「ダイチさんとスバルさんも待って!」
「イサム!」
「ジークリンデちゃんまで!? 何でこんなところに……」
この二人が宇宙人をかばうので、ワタルたちは思い切り面食らった。
「あなた、Xio隊員の弟だったの?」
「イサム! ジーク! 異星人から離れろ!」
ワタルはイサムたちをどかそうとするも、二人は従わない。
「この人たちは悪い宇宙人じゃないんだ!」
「ウチも保証するで!」
「どうしてそんなことがわかるんだ!」
ワタルの問い詰めに答えるイサム。
「一緒に暮らしてて、わかったんだよ!」「そうだよ」
「はっ!? 一緒に、暮らしてたぁ!?」
ナックル星人が弁解する。
「ワタシたち、侵略なんてしないわ! このミッドで、地味に暮らしたいだけなの」「なの!」
「……ダイチ、どうしよう……?」
「うぅん……」
処断に迷うスバルとダイチ。だが、しかし……。
突然側からスパークが発生し、煙とともに近くの滑り台に新たな宇宙人の集団が出現した! ゼットン星人だけひどく咳き込んだが、ハッと気づいて格好つける。
「あっ! あいつらは、監視映像の……!」
ババルウ星人、ゼットン星人、ダダ、ケムール人。更に十一人のレイビーク星人が控えて光線銃を構えているので、スバルたちも容易に手が出せない。
集団のリーダー格であるババルウ星人が、バルキー星人――正確にはその腕の中のジョリーを指差した。
『やっと見つけたぞ、サメクジラぁッ!』
「サメクジラ?」
ダイチたちもジョリーに視線を向けた。ババルウ星人はサメクジラについて語る。
『そいつは宇宙でも指折りの怪獣兵器。大きく育てば、欲しがる奴はいくらでもいるッ!』
『さっさと僕たちに、渡してもらおう』
一方的な要求を突きつけるゼットン星人。当然ながら、バルキー星人が聞き入れるはずがない。
「渡すかぁっ!」
「い、異星人ども! ミッドで勝手な真似は、許さん!」
ワタルはどっちに銃口を向けたらいいものかとすっかり迷っている。
ババルウ星人はワタルに構わず、バルキー星人に問いかける。
『面白い! 勝負する気かぁ? 武器を選ぶがいい。光線技か? 素手で来るか!? この数相手にやってみるかぁ!?』
数の差にたじろいだバルキー星人は、ふとイサムを一瞥すると、何を思ったかこんなことを言い放った。
「じ、じゃあ……ラグビーで勝負だぁ!」
「はっ!?」
唖然とするイサム。
『ラグビー……? お馬鹿ッ!』
当然受け入れられない……かと思いきや、ゼットン星人がババルウ星人を指して意外なことを言う。
『この方を誰だと思っている! 宇宙ラグビーリーグ連続優勝、暗黒星雲伝説の八番、ババルウ様だぁーッ!!』
ダダの手の平の上に、トロフィーを掲げたババルウ星人の立体映像が現れた。
スバルたちはこれに唖然。
「う、宇宙にラグビーってあるの……?」
「さ、さぁ……」
一方の星雲荘組は、まさかの展開に激しく動揺していた。
「ま、マジかぁ……」
「イカんぞこりゃ」
するとナックル星人がイサムを引き寄せながら言い返した。
「こっちにだってねぇ、ミッドの大学のつよーいナンバーテンがいるのよっ!」
「えぇっ!? ちょっと、待って下さい!」
狼狽えるイサムだが、ババルウ星人は勝手に話を進めてしまう。
『よぉし! ラグビーは一チーム十五人。お前たちはそこの小僧と小娘を入れて五人。勝負は三日後だ! それまでに残り十人集めてこいッ! 逃げるなよぉ!? ハッハッハッハッハッ! ハーハッハッハッハッハァッ! あッバイな』
ババルウ星人たち暗黒星団は、現れた時と同じように煙とともにこの場から消えていった。
バルキー星人はイサムに向き直り、頼み込んだ。
「おい……ミーたちに、ラグビーを教えてくれぇ!」
それでイサムは大弱り。
「勘弁して下さい! 俺……ラグビーは辞めたんです」
「そんなぁ~、殺生なぁ!」
「この通りじゃなイカー!」
イカルス星人を初めとして、星雲荘組は土下座してお願いした。
「プリーズ! プリーズプリーズ! お前も一緒に、ティーチミー!」
「キイィィーッ!」
「頼むぅ」
「イサ兄ぃ、ウチからもお願い! みんなを助けてあげて!」
「そ、そんなこと言われたって……」
弱り果てたイサムは思わずこの場から離れようとしたが……その前にワタルが仁王立ちしていた。
「お前また逃げんのかよ」
「えっ……」
「事情はよく分かんねぇけど、こいつら一緒に住んでる仲間なんだろ」
「仲間じゃなイカ……」
イカルス星人たちは潤んだ視線を向けている。
「見捨てんのか? それでいいのか?」「いいの?」
ワタルに諭され、イサムの出した答えは――。
「俺は……」「俺は?」
「……俺は!」「俺は?」
「……俺は……!」「俺は?」