光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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怪獣は動かない(B)

 

 ヴィヴィオたちに見守られながら、ダイチはハナに近寄っていく。

 

「仲いいんだね」

 

 ダイチはそう切り出して話しかけると、触手を撫でていたハナは振り返る。

 

「ホオリンガに、注射ごめんねって言いたいんだ」

 

 続けて告げると、ハナは何も言わずにダイチの手を引っ張り、怪獣の触手の先端に乗せた。

 

「えっと……ごめんなさい」

 

 ダイチが謝ると、ハナはそれでいいのだ、という風にうなずき、触手を撫でる。

 

「クルルルル……」

 

 遠景で、怪獣が触手を振り上げた。

 それを見たハナが、ダイチに告げる。

 

「いいって!」

 

 それを受けてはにかんだダイチが、怪獣へ向けてもう一度謝る。

 

「ごめんね!」

 

 怪獣はその謝罪を受け入れたかのように、穏やかに立ち続けた。

 ダイチとハナのやり取りをながめて、アインハルトがつぶやく。

 

「何だか、不思議な女の子ですね……。彼女には、あの怪獣の感情が分かる能力があるんでしょうか?」

 

 とアインハルトは考えたが、ヴィヴィオは首を横に振った。

 

「そうじゃないと思います。側にいることで、言葉はなくとも、気持ちは通じ合う……そういうことじゃないでしょうか」

 

 語りながら、ヴィヴィオはセイクリッド・ハートの頭を撫でた。ハナが怪獣の触手を撫でるように。

 自分をじっと見上げるイクスヴェリアにもニコッと微笑む。

 

「それはきっと、特別なものじゃないですよ。みんな忘れてるけれど、誰しもが持ってる当たり前なもの……なんじゃないでしょうか」

「皆が忘れてるけれど、皆が持ってる……」

 

 ヴィヴィオの言葉を復唱したアインハルトは、抱えたアスティオンをじっと見つめる。

 

「にゃっ」

 

 アスティオンは小さく鳴き声を出して、優しく笑った。

 一方でダイチは、ハナに肝心なことを尋ねかける。

 

「ハナちゃんは、ホオリンガは病気じゃないって思うんだね。どうしてかな?」

 

 しかしハナは、次のように答える。

 

「内緒なの。お父さんと、ハナの内緒」

「……そっか……」

 

 ハナはまた触手を撫でる……が、ふと空を見上げて立ち上がった。

 

「あっ!」

 

 彼女の視線の先、怪獣の頭上の座標に、スカイマスケッティが飛んできたのだ。

 

「スカイマスケッティ、トラッピングスタンバイ、オッケーっス!」

 

 マスケッティを怪獣の頭上でホバリングさせたウェンディが報告する。

 地上では、アラミスが怪獣の前方まで走ってきて停止。

 

「ジオアラミス、レビテーションスタンバイ、オーケー!」

 

 ウェンディとディエチからの合図を受けて、カミキが作戦開始を告げた。

 

『怪獣輸送、開始!』

「了解(っス)!」

 

 スカイマスケッティの下部とアラミスの砲塔から、キャプチャー光線が放たれて怪獣の巨体を捕らえた。空と地上の二方向から怪獣を引っ張って、人里離れた場所まで連れていく作戦である。

 

「キュウウゥゥ……!」

 

 キャプチャー光線に引っ張られ、怪獣の足が地面から離れて持ち上がっていく。

 これを見たハナ、ダイチの腕を揺さぶった。

 

「どっか連れてく? そんなのダメ!」

「このままじゃ、村がもっと大変なことになっちゃうんだ」

 

 と説得したダイチだが、ハナは言い返した。

 

「ホオリンガ、あそこにいたいって! あそこがいいって!」

 

 ハナの言葉を肯定するように、怪獣は地面に張った根でキャプチャー光線に抵抗する。

 それでも徐々に持ち上げられていくので、ハナの側の触手が引っ込んだ。

 するとハナは、ダイチに告げた。

 

「あのね! 見てほしいのがね! あるの!」

 

 そう言うと、有無を言わさずダイチを神社の物置へと連れていく。ヴィヴィオたちは一瞬顔を見合わせた後、ダイチの後を追いかけていった。

 物置の中に入ると、ハナは壁の一画を指差す。

 

「あれ!」

 

 壁に掛けられてあるのは、額縁に収められた、古びた古文書であった。そしてその中に……。

 

「あっ!? あの怪獣が描いてある!」

「古文書に、怪獣の姿が……?」

 

 リオとコロナが思わず言葉を発した。額縁の中の古文書には、現在出現している怪獣そっくりの絵が描かれているのだ。

 

「これは……ホオリンガ?」

 

 ダイチも呆気にとられていると、ハナが衝撃の事実を明かす。

 

「お父さんが言ってたの。ホオリンガはずっと昔もここに来たの」

 

 そしてハナが差し出したのは、父親のレポート冊子だった。それをめくったダイチは、ヴィヴィオたちにも聞こえるよう中身を読み上げる。

 

「『サカネ村の土地から発掘された古文書には、どこからともなく現れて山となる巨大生物が描かれていた。自らを自然物に変貌させる生物は他に聞いた覚えがない。それは神の領域であろう。そのため私はこの生物を、我々の祖先が暮らしていた土地の神の名から取って、ホオリンガと名付ける』」

 

 それが、サカネッシーでも、ヤマゴンでもない、ホオリンガに与えられた名前であった。そして古文書には、ホオリンガが山に変化していく様が描かれているのだ。

 ハナはダイチを外へ連れ出すと、サカネ村の風景にそびえる山を指し示した。

 

「あれがお父さん。あれがおじいちゃん」

 

 ハナの話を耳にしたヴィヴィオたちは、サカネ村を囲む山をながめて呆気にとられた。

 

「山となって、土地の一部となる怪獣……」

「な、何て言うか……すっごい幻想的な話だね……」

 

 シャンテはそうつぶやくのがやっとであった。

 アインハルトは語る。

 

「確かにホオリンガは、病気なんかじゃなかった……。身体から栄養を地面に与えて、自分も山となるのがホオリンガの生態……。私たちは、自分たちの常識に当てはめて考えて、それに気づきもしなかった……」

「……ホオリンガは、この村で山になるためにやってきたの?」

 

 ダイチの問いに、ハナはゆっくりうなずく。

 

「みんなと一緒にいたいの!」

 

 一方、マスケッティとアラミスに引っ張り上げられようとしていたホオリンガは、とうとう怒りが発露したようであった。真ん丸の青い双眸が赤く染め上がり、全身から大量の黄色い粉が噴出され始める。

 

「ダメ! 動かさんといて!」

「作戦を中止して下さ……」

 

 ハナの頼みを受けて、ダイチがワタルたちに通信しようとしたところ、黄色い粉が彼らの元まで漂ってくる。

 

「何、これ……?」

 

 訝しんで辺りをキョロキョロ見回すヴィヴィオたち。そしてマスケッティとアラミスの方も粉を被っていた。

 

「ちょっ! 前が見えないっスよぉ!」

「ウェンディ! 持ちこたえろよ!」

「む、無理っス! 粉がエンジンにまで詰まって……出力がどんどん低下していってるっスぅ~!」

 

 マスケッティはホバリングを保っていられなくなり、キャプチャー光線も途切れて消え去る。

 

「アラミスだけじゃ支え切れないっ!」

 

 マスケッティ側の支えがなくなったことでアラミスに耐久値を超えた負荷がかかり、こちら側のキャプチャー光線も消滅した。それでホオリンガは地上に戻るが、怒りは収まらないようで、黄色い粉を絶え間なく噴出していく。

 

「キュウウゥゥゥイ!」

 

 

 

 アルトがホオリンガの異常を知らせる。

 

「怪獣、意思を持って粒子を放出!」

「いかん! あれは、人間に一番効く攻撃だ!」

 

 グルマンの言葉に、目を見開いて振り向くカミキ。

 

「まさか……!」

「花粉だよ!」

 

 

 

「は……は……はっくしゅんっ!」

「くしゅんっ! くしゅんっ!」

「はっくちっ! く、くしゃみが止まらないよぉ~!」

「目がかゆいです~!」

 

 ホオリンガの花粉を浴びるダイチやヴィヴィオたちがくしゃみし続けたり、涙を流したりと苦しめられる。

 たかが花粉、と侮るなかれ。微小な粒子は空気に混ざって飛んでくるので、プロテクションでは防ぐことは出来ない。更に目や喉の器官を攻撃されては普通に立っていることすらままならなくなる。精神衛生にも悪い。

 

「ハナちゃん! っくしゅっ!」

 

 チヅルがハナを逃がそうと慌てて駆けつけるが、ハナはホオリンガを見つめて叫んだ。

 

「ホオリンガ、怒ってる!」

 

 

 

「村から離れたくないと、抵抗している……?」

 

 クロノがつぶやいた時、シャーリーとマリエルからの緊急通信が入った。

 

『現地より報告! ……くしゅっ!』

『怪獣がこのまま、っくしゅ! 放出し続けたら……へぷしっ!』

『人が住めない状況にまで花粉だらけ! っくしょんっ!』

『何とかして……下さぁいっ!』

 

 村長がくしゃみとともに泣きついた。

 

「スバル、ディエチ、ウェンディ、ワタルは住民の避難誘導に当たれ!」

『花粉で視界が完全に覆われてて、動けません!』

『こっちもです~!』

 

 カミキが指示するも、ディエチとワタルがそう返した。

 

『あたしが行きますっ! ……はっ、はっ……』

 

 それでもスバルは走ろうとアラミスから飛び出したが、すぐに花粉に鼻をくすぐられて、

 

『はぁっくしょぉーんっ!!』

 

 身体を折り曲げて大きなくしゃみを発した。

 スバルさえ機能できない状況に、カミキは苦悶の表情を浮かべる。更に、

 

「花粉第二波、来ます!」

 

 ホオリンガはますます花粉を発するのだ。

 

 

 

「キュウウゥゥゥイ!」

「ダメ! ホオリンガー! ダメー!」

 

 ハナがホオリンガへ向けて懸命に叫ぶも、ホオリンガは完全に怒りで我を忘れており、その声が届かない。

 

「……みんなは出来るだけホオリンガから遠ざかって!」

 

 ダイチはヴィヴィオたち皆に避難を指示して、自分はホオリンガの方へと駆けていく。と、その途中でエクスデバイザーを取り出した。

 

「エックス、ユナイトだ!」

『スパークドールズにするのか?』

「違う! ホオリンガの身体を清めたい! ……しゅっ!」

『薬を身体から出すんだな』

「ああまでしてここにいたがってる。それに……」

 

 ダイチの耳に、今もハナの必死な叫びが聞こえる。

 

「ホオリンガ! 大人しくして! ダメー!」

「……ハナちゃんの想いを大切にしたいんだ!」

『君らしいな』

 

 デバイザーの中で苦笑するエックス。

 

『よし、ユナイトだ!』

 

 エックスの同意を得て、ダイチはデバイザーのスイッチを押してユナイトを開始する。

 

[ウルトラマンエックスと、ユナイトします]

「エックスーっ!!」

 

 ダイチの肉体が変化し、ウルトラマンエックスが飛び出していく!

 

「イィィィーッ! トワァッ!」

[エックス、ユナイテッド]

 

 エックスがホオリンガの面前に姿を現すと、ホオリンガは警戒して一瞬動きを止めた。

 

「あぁー! ウルトラマンエックスだぁー! かぁっこいいー!」

 

 エックスの登場に歓喜の声を上げるシャンテは、イクスヴェリアにも促した。

 

「ほら見てイクス! ちょっと花粉で見づらいけど……あれが噂の超人、エックスだよ!」

 

 イクスヴェリアは初めてお目にかかるエックスの勇姿に、ピョンピョン飛び跳ねて喜びを全身で表した。

 

『ダイチ、行くぞ!』

『「ああ! まずは村への花粉被害を抑える!」』

 

 エックスは早速ホオリンガを止めようと、立ち向かい出す。

 

「キュウウゥゥゥイ!」

 

 ホオリンガの伸ばす触手をかいくぐりながら懐に飛び込み、抑え込もうとする。

 が、横薙ぎに振るわれた触手に太ももを叩かれ、足をすくわれて転倒した。

 

「キュウウゥゥゥイ!」

「グッ!」

 

 触手に対抗するだけで、ホオリンガを攻撃しようとはしないエックス。倒すことが目的ではないので、なるべく非暴力で抑えようとしているのだ。

 

「キュウウゥゥゥイ!」

 

 触手をバク転で回避すると、ホオリンガは再び花粉を噴出し始めた。それを見たエックス、天に向けてまっすぐ人差し指を伸ばす。

 

『Xバリアドーム!』

 

 放たれた光線がホオリンガの頭上で弾け、光のドームとなってエックスとホオリンガを覆い込んだ。これにより、花粉はドームに閉じ込められて外へ拡散しないようになった。

 

「あっ、花粉が途切れた!」

 

 花粉の増加が止まったことで、村はくしゃみ地獄から解放された。マスケッティとアラミスも機能回復するが、肝心のエックスとホオリンガはドームの中で、外からは内部の様子が全く見えない。

 

「中はどうなってるんだろう……?」

「今回あたしたちは、戦いに加勢することはできないみたいだね……」

 

 こうなったからには、ホオリンガのことはエックスに任せるしかない。代わりにスバルらは、花粉によって重篤な被害に遭っている人がいないかと村の捜索を開始した。

 

 

 

 Xバリアドームの内部では、エックスがホオリンガの怒りを鎮めようと奮闘している最中であった。

 

「キュウウゥゥゥイ!」

「シュッ!」

 

 ホオリンガが振り回す触手を、縄跳びの要領で跳び越えるエックス。だがその隙を突かれ、別の触手が首に巻きついた。

 

「ウッ!」

 

 更にホオリンガは花弁の中央から花粉を噴き出し、エックスの呼吸器を苛ませる。

 

「ジュッ……!」

「キュウウゥゥゥイ!」

 

 動きが鈍るエックスの腰にまた触手が巻きつき、エックスは強く締めつけられる。

 

「グゥゥゥッ……!」

 

 その上宙吊りにされて、ますます締め上げられる。エックスは本気になれないこともあり、追いつめられる一方だ。

 

「シュッ……! フウアァァッ!」

 

 だがこのままやられっぱなしでもいなかった。エックスは両手を輝かせると、身体をスパークさせて触手伝いに電撃を流す!

 

「キュウウゥゥゥイ!」

 

 電気ショックを食らったホオリンガはたまらずエックスを離した。着地したエックスは、ホオリンガに突き刺さったままのアンプル弾を見やり、手の平を前に伸ばす。

 

「『ピュリファイウェーブ!」』

 

 発せられたのは、鎮静効果のある光の波動。これを浴びたホオリンガは暴走をやめ、アンプル弾も身体から抜け落ちた。

 

「クルルルル……」

 

 過剰な栄養が抜かれ、ホオリンガの目の色が元に戻ったのであった。

 光のドームが解除され、エックスとホオリンガの姿が外に晒される。

 

「あっ、出てきた!」

「よかった……ホオリンガは大人しくなったみたいですね」

 

 胸を撫で下ろすアインハルトであった。

 そして、皆が見ている中で……ホオリンガに「その時」がやってきた。

 その場にうずくまったホオリンガの全身が、淡い光に覆われる。そして……緑が生い茂る、一つの野山に変身を遂げたのだ。

 

「怪獣が、山に……!」

 

 その様子を見届けたシャーリーたち。村長は思わずその場にがっくり膝をついた。

 

「ああ、村の観光資源がなくなってしもうた……」

 

 落胆する村長に、シャーリーは告げた。

 

「あの怪獣……ホオリンガは最初から、観光資源なんかじゃなかったんですよ。村にとって……人にとっても、もっと大事なものを届けにやってきたんです」

「ええ。村長さん、これを見て下さい」

 

 マリエルが調べたところ、ホオリンガが山となって自然の一部となったことで、村の土壌は以前よりもはるかに栄養素が溢れた、豊かなものとなっていた。

 

「ホオリンガのお陰で、村にはいっぱいの作物が実ります。森も山も生い茂ります。そして豊かな自然の中で……これからの子供たちは、健やかに育まれるんじゃないでしょうか」

 

 その言葉を聞いて、村長は顔を上げた。

 

「そんな話を、息子から聞いたことがある……。そうじゃ、村に伝わる神様の伝説の話じゃ。すっかり忘れとったが……そうか……怪獣、ホオリンガは神様じゃったか……。こうするのが一番良かったんじゃな……」

 

 村長の瞳には、希望の光が戻っていた。

 

「そうじゃ……。一時のお金よりも、子供が健やかに育つような、豊かな自然の方がずっと大事じゃあ。ホオリンガはきっと、それをわしらに教えに来たんじゃな……」

 

 ホオリンガが本来の生態を成し遂げたことを見届けたエックスは、空に飛び立って帰還していった。

 

「シュワッチ!」

 

 

 

 ダイチはスバルやヴィヴィオたちとともに、ハナを囲んでホオリンガが変化した山を見つめる。

 

「ホオリンガ……綺麗だね」

 

 ダイチが言うと、ハナはサカネ村の山々を指しながら皆に教えた。

 

「お父さんとね、おじいちゃんとね、ひいひいおじいちゃんと……みんなといるの!」

「うん……。家族みんなと一緒にいるから、ホオリンガはとっても綺麗なんだね。嬉しい、ってことだもの」

 

 語るヴィヴィオ。皆が微笑んでホオリンガの山をながめていると、

 

「おーい、ハナ!」

 

 村長がハナを呼びながらやってきた。

 

「お父さんが、帰ってきたぞ!」

「ほんと!?」

「ああ!」

 

 チヅルがハナに呼びかける。

 

「あの怪獣のこと、話してあげましょう」

「うん!」

「あっ……どうも、お世話になりました」

 

 一礼して、ハナたちはこの場から離れていく。最後にハナはダイチに振り返って、告げた。

 

「ありがとう、お兄ちゃん!」

 

 ダイチたちはにっこり笑って、ハナたちの背中を見送った。

 

 

 

「怪獣の恵みに潤う村……素敵な話だったね」

 

 サカネ村からの帰り際、電車の中でコロナが口にした。ヴィヴィオ、リオ、アインハルトはうなずいて同意する。

 アインハルトはこう言った。

 

「一つ、学んだことがあります。共に生きるということは、自分の価値を押しつけることじゃない。相手の事情を鑑みて、尊重して……相手のありのままを認める、ということなんですね」

 

 それは、アインハルトにとって大きな学習であった。彼女は初め、ヴィヴィオらが自分とは違う性質の人間であるから距離を置こうと思っていたし、最近もインターミドルの件がきっかけとなって、自分は側にいるべきではないと再び離れようとしていた。しかし、その度にヴィヴィオとの対話の末に思い直して、今もともに行動をしているのだ。

 そして今回の件で、他者との共生とはどういうものなのか、ということを確かに学んだ。アインハルトはもう、他者を遠ざけようとすることはないだろう。

 と、この時に、リオがふとつぶやいた。

 

「共生といえば……ダイチさん、デバイス怪獣の件はどうなってるのかな? 作り始めてからもう大分経ったはずだけど、まだ完成には至ってないのかな」

「え?」

「ほら、デバイス怪獣って、エックスのジャケットが元々の目的じゃないでしょ? 本来は、怪獣をデバイスの形で実体化させることだって」

 

 リオの言う通り、デバイス怪獣とはその名の通り、デバイス型での独立した実体化が完成形。モンスジャケットは本来、グルマンの発案による亜流でしかない。

 

「そういえば、そっちはどうなってるんだろうね。最近はそっちの話、あんまり聞かないけど……」

 

 うーん、とうなるヴィヴィオ。

 

「……ダイチさん……」

 

 アインハルトもまた、ダイチがどうなっているのかと案じたのであった。

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「今回の怪獣はホオリンガだ!」

ダイチ「ホオリンガは『ウルトラマンX』第十話「怪獣は動かない」に登場した植物怪獣。サブタイトルの通り、その場から動こうとしないことが特徴だったんだ」

エックス『この動こうとしない理由が、作中の一番重要な部分だったな』

ダイチ「長い根っこの部分も身体に含んでるからか、身長42メートルに対して体重は10万3千トンとかなり重いぞ。参考に、着ぐるみの改造前のペジネラは同じ身長に対して体重4万トンだ」

エックス『20万トンのスカイドンほどではないが、このサイズだと破格の重さだな』

ダイチ「ちなみにさりげなく、作中の村興しのシーンでホオリンガの擬人化の絵が出てきてるよ」

エックス『こ、これが時代というものか……。まぁかわいいからいいか』

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 繰り返されるデバイスゴモラのシンクロ実験。でも、ゴモラは俺たちのコントロールを受けつけようとしない……。デバイス怪獣とつながるために必要なもの、俺に足りないものとは一体何なんだ!? 次回、『未知なる友人』。
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