光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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未知なる友人(B)

 

 グワアッシ……グワアッシ……。

 合体したキングジョーは駆動音を鳴らしながら、地上本部へ向けてまっすぐ進撃を開始した。ビルなどの進路上の障害物は、両目から放たれる怪光線で全て薙ぎ払う。

 ウゥーウゥーと非常サイレンの鳴り響く地上本部前の路面から、三基のアインヘリヤルがせり上がってきた。砲口がキングジョーへ向き、魔力砲撃を撃ち込む。

 大怪獣ガーゴルゴンにもダメージを与えた絶大な砲撃。……だが、キングジョーは微動だにもせずに進み続ける!

 

「ダランビア電磁砲!」

 

 駆けつけたマスケッティから再び電磁砲が発射され、キングジョーに直撃。

 が、これすら通用している様子がない!

 

「効かなくなった……!?」

「伊達に合体した訳じゃないってことか……!」

 

 キングジョーの怪光線が反撃として繰り出された。咄嗟に回避行動を取るマスケッティだが、想定以上の威力の光線は当たらなくともマスケッティの機体に重大な損傷を与えた。

 スカイマスケッティが黒煙を上げ、みるみる高度を落としていく。

 

「エマージェンシー! メインエンジンにトラブル!」

『不時着するんだ!』

 

 クロノからの指示により、マスケッティは開けた地点に緊急胴体着陸した。

 グワアッシ……グワアッシ……。

 キングジョーはマスケッティを確実に潰すつもりか、そちらへと進む方向を変えた。

 

『ハヤト! ディエチ! 早く脱出しろ!』

 

 カミキが叫ぶも、マスケッティはディエチの操作を受けつけない。

 

「緊急脱出装置に異常! アトス、リジェクト出来ません!」

 

 

 

 ハヤトとディエチの危機に、現場のスバルとノーヴェが動く。

 

「あたしたちで強制リジェクトさせよう!」

「ああ! 早くポルトスへ!」

 

 ジオポルトスへと駆け出そうとする二人だったが、そこに何者かが突然空間転移してきた。

 

『動くなッ!』

「!?」

 

 濃い青を基調としたボディアーマーに、顔をフルフェイスヘルメットで隠した兵士の二人が、ライフル型の光線銃をスバルたちに突きつけてきたのだ。スバルとノーヴェは足を止めさせられる。

 

「あなたたちは……!」

『我々はペダン星人。この惑星ミッドチルダ及びミッドチルダ人は、我々が壊滅させる!』

 

 姿を現したペダン星人は、早々にスバルたちに恐ろしいことを宣言した。

 

 

 

 身動きの取れないマスケッティに、キングジョーが地上部隊の援護攻撃を物ともせず着実に迫る。

 この重大な危機にダイチは、無言でエクスデバイザーを構えた。

 

『おい、ダイチ!』

「無茶するなって言いたいんだろ? 分かってる! でも今助けられるのは俺たちだけだ!」

『しょうがない奴だ……。よし、ユナイトだ!』

 

 エックスの了承を得て、ダイチはユナイトを行った。

 

[ウルトラマンエックスと、ユナイトします]

「エックスーっ!!」

 

 ダイチが光に包まれ、エックスへ変身!

 

「イィィィーッ! サァ―――ッ!」

 

 飛び出していったエックスはその勢いのままに、マスケッティを撃ち抜こうとしているキングジョーにきりもみキック!

 強烈な一撃をもらったキングジョーは前のめりに倒れた。

 

[エックス、ユナイテッド]

 

 キングジョーを蹴ってはね返ったエックスは街の中央に華麗に着地した。

 

「助かった……ありがとう、エックス!」

「サンキュー、エックス!」

 

 あわやというところを救われたディエチとハヤトはエックスへ礼を告げた。

 しかし戦いは開始したばかりだ。キングジョーはエックスの飛び蹴りでもさしたるダメージを受けていない様子で、すぐに起き上がって狙いをエックスに固定した。

 

「ジュワッ!」

 

 エックスは迫り来る鋼鉄の大怪物相手に敢然と立ち向かう。自ら接近していって、ジャンプからのパンチを食らわせた!

 エックスとキングジョーの激しい殴り合いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 ペダン星人の片方が、キングジョーと戦い出したエックスを見上げた。

 

『ミッドチルダを守護するウルトラマンか……。だが、奴のデータも既に取得済みだ。我らのキングジョーによってウルトラマンを排除し、この星を滅ぼしてくれる!』

 

 と語るペダン星人に、スバルが問いを投げかけた。

 

「どうしてミッドを、あたしたちをそんなに敵視するの!?」

 

 それに回答するペダン星人。

 

『この星と居住民族のお前たちのデータと歴史を調べ上げさせてもらった。非常に危険な星だッ!』

 

 いきなり言い切られ、スバルとノーヴェは思い切り面食らった。

 

『たった二十年足らずの間に次元を揺るがすほどの事象が三度も発生している! 他にも危険レベルの高い物品が数え切れないほど存在! しかも、それを所有しているお前たちミッドチルダ人は時空管理局なる組織の名の下に、複数の次元に自分たちの価値観を押しつけて抵抗力を奪い、支配及び監視している! これは明白な侵略だ! 放っておけば、我らのペダン星も貴様らの毒牙にかかるやもしれん!』

 

 ペダン星人は、管理局が推し進める質量兵器廃絶と魔法文明の普及を、侵略行為と捉えているようであった。

 

「侵略だなんて、あたしたちはそんなつもりじゃ……!」

『黙れッ! その手には乗らんぞ!』

 

 反論しようとするスバルだが、ペダン星人は聞く耳すら持たなかった。

 

『我々はその前に、危険なミッドチルダ人を根絶やしにすることを決定したのだ! 既にこの星へ向けて、我らペダン軍の大宇宙艦隊が発進している! 艦隊が到着次第、このミッドチルダと時空管理局に連なる次元を総攻撃するのだ!!』

 

 銃とともに宣戦布告を突きつけられ、スバルとノーヴェは顔面蒼白となった。

 

 

 

 スバルたちとの通信越しにペダン星人の目的を耳にしたグルマンがつぶやく。

 

「ペダン星人に何を言っても無駄だ。傲慢で、独善的……! 同じような言いがかり同然の口実で、奴らは七つの星を滅ぼしている!」

 

 カミキとクロノの方は、大宇宙艦隊の総攻撃と聞いて焦りの色を浮かべていた。

 

「あのタイプMは、尖兵と同時に我々の目を地上へ引きつける囮でもあったか……!」

「管理局本部へ通達! 直ちにミッド衛星軌道上に次元艦隊を召集し、敵船団への迎撃態勢を取るように!」

 

 クロノの命令で、アルトとルキノが慌ただしく各方面への連絡を執り行う。

 危惧していた星間戦争の可能性が俄然濃厚となっていき、流石のカミキとクロノも動揺を隠せなかった。

 

 

 

 ペダン星人は更に、管理局とミッドチルダ人を滅ぼした後のことを述べる。

 

『残された資源と文明の遺産は、我々が管理し有効利用させてもらう』

「何だそりゃあ! お前らのやってることが侵略じゃねぇか!」

 

 ノーヴェがいきり立って非難するが、ペダン星人はやはり聞き入れようともしない。

 

『我らペダン星人は、お前たちなど足元にも及ばん科学力を持った宇宙一の種族! 野蛮なお前たちよりも、我々に支配される方がこの星も幸福なのだ! スパークドールズの怪獣たちもなッ!』

「……それは間違ってるっ!」

 

 ペダン星人の言葉を、スバルが力を込めて否定した。

 

「力の強さだけじゃ、心は動かせないっ! 心と心がつながらなくちゃ!」

『心とつながるだと? 怪獣の? 馬鹿馬鹿しい!』

 

 ダイチの掲げる理想を、ペダン星人は一笑に付した。

 

『獰猛で理性なぞない、力しか利用価値のない怪獣の心とつながるなど、出来るはずがないわッ!』

「……!」

 

 傲然とした物言いに、スバルとノーヴェは眉間に深い皺を刻んだ。

 

 

 

 キングジョーと激戦を繰り広げるエックスだが、相手の強固すぎる装甲の前に押され気味であった。こちらの打撃が、少しよろめくだけでまるで通じていないのである。

 

『こいつの装甲は、簡単には破れないぞ!』

『「だったらこれだ!」』

 

 状況打破のためにダイチが選んだのは、デバイスゼットン。

 

『ピポポポポポ……』

[ゼットンケイオン、セットアップ]

 

 ゼットンケイオンを装着するエックス。怪獣の中でもとりわけ優れた破壊力を持つゼットンのパワーを受け継ぐこのジャケットならば、キングジョーの防御も打ち崩せるはずだ。

 

『「ブラスト火炎弾!」』

「シェアッ!」

 

 胸部に灯した火炎弾を、まっすぐキングジョーへ発射!

 ――が、キングジョーはその瞬間に円盤形態に分離。火炎弾を回避した。

 

『「えっ!?」』

 

 円盤は素早くエックスの背後に回り込み、再合体。振り返ったエックスの胸ぐらを鷲掴みにする。

 

「グゥッ!?」

 

 掴まれたゼットンケイオンがミシミシと嫌な音を立てて軋んでいく。とんでもない握力である!

 

『「しまった! ジャケットの耐久値を超える……!」』

 

 キングジョーの握力にゼットンケイオンは耐え切れず、光の粒子となって霧散してしまった。

 これこそがキングジョーの真の恐ろしさ。ロボット形態では驚異的なパワーと耐久を誇るが動作が鈍い。円盤形態では耐久力が落ちる代わりに機動性が大幅に増す。この二つの形態を使い分けることで、弱点を解消しているのだ。ペダン星人が七つもの星を滅ぼせたのもうなずける、戦闘兵器として非常に優れた性能である。

 

『ダイチ、次こそ決めるぞ!』

『「ああ!」』

 

 エックスとダイチは負けじと、次なる必殺技を繰り出す。

 

「『ザナディウム光線!!」』

 

 だがこれも、キングジョーは分離することでかわした。光線は空振りに終わる。

 

『何て奴だ!』

『「俺たちの攻撃が完全に読まれてる!」』

 

 キングジョーは事前にペダン星人が採取したデータにより、エックスの手の内を完璧に見切っていた。

 そして四機の円盤がエックスの周囲を高速で飛び回り、翻弄しながら怪光線の集中攻撃を叩き込む。

 

「グワァッ!」

 

 足を止められたエックスに、合体したキングジョーが飛びかかってのしかかる! エックスは背後のビルを巻き込んで地面に押し潰された。

 マウントポジションからエックスを繰り返し殴りつけるキングジョー。

 

『ダイチ! このままでは、二人ともやられるぞっ!』

『「くっ……!」』

 

 押さえつけられたエックスは身動きが取れず、されるままにキングジョーに叩きのめされる!

 

「エックスが危ないっ!」

 

 叫ぶスバルに、ノーヴェが呼びかけた。

 

「スバル! ここはあたしが引きつける! エックスの援護に行け!」

「ノーヴェ! ……うんっ!」

 

 ノーヴェの心意気を買ったスバルは、マッハキャリバーをうならせてエックスの方角へと走り出す。

 

『行かせるものかッ!』

 

 当然ペダン星人が見逃さないが、スバルへ発射された光弾はノーヴェが発したエアライナーに弾かれた。

 

『何ッ!』

「エアライナーにはこういう使い方もあるのさ。……スバルの邪魔はさせねぇぜ!」

『小癪なッ……!』

 

 スバルの背中を守るため、ノーヴェは単身ペダン星人へと肉薄していった。

 そしてスバルは、キングジョーを射程範囲内に収めるとウルトライザー・カートリッジを装填、エネルギーチャージする。

 

[Charging Ultraman’s power.]

「ウルトライト・バスターっ!!」

 

 放たれたバスターはキングジョーの顔面を捉えた。流石に何ともないとはいかず、キングジョーはのけぞる。

 

「フアッ!」

 

 その隙を突いてエックスはキングジョーを蹴り飛ばし、やっと攻撃から逃れることが出来たが、消耗が大きくてカラータイマーが点滅し始めた。

 一方のキングジョーは、エックスではなくスバルへと怪光線を放った!

 

「あっ……!」

 

 ウルトライト・バスターの反動を受けたスバルはかわせない!

 

『「スゥちゃんっ!!」』

 

 ダイチは咄嗟に身を乗り出し――エックスがスバルの盾となって、怪光線を食らった。

 

「グアアアァァァァァーッ!!」

「エックスーっ!!」

 

 キングジョーは容赦なくエックスに怪光線を浴びせ続けた。大ダメージを受けたエックスはその場に倒れ伏す。

 

『「うあああぁぁぁぁぁーっ!!」』

 

 エックスのダメージはダイチにフィードバックする。ダイチが絶叫を上げた、その時、

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 ダイチは確かに、よく聞き覚えのある咆哮を耳にした。

 

『「この声……ゴモラ?」』

 

 それがゴモラのものだと理解したダイチは、アインハルトに言われたことを思い出し、自らを恥じた。

 

『「アインハルトちゃんの言った通りだ……。俺は、お前の気持ちを何も分かろうとしてなかった。目的を見失って、いつしかお前を、戦いの道具にしようとしてたんだ……。あの時否定した、スカリエッティと同じことを……」』

 

 目尻に涙を浮かべるダイチ。

 

『「ゴモラ……ごめん……!」』

 

 深い謝罪の気持ちを心に宿すダイチ。すると、

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 再度ゴモラの鳴き声。そして――デバイザーに勝手に、デバイスゴモラのカードが収まった。

 そのカードから伝わるものを、エックスがダイチに知らせた。

 

『ダイチ! ゴモラの意思が、君とつながろうとしている!』

 

 デバイザーからまばゆい光が放たれ――ダイチは気がつけば、エックスの中から異なる電脳空間へと居場所を移していた。

 そしてダイチの目の前に現れたのは――十五年前のビジョン。両親が消えた時の自分の姿。

 

『お父さーん! お母さーん!』

 

 それから、デバイス怪獣の実験を行う現代の自分の姿となる。

 

『今日こそ頼むぞ、ゴモラ』

『「これは……ゴモラの記憶……?」』

 

 今見ているのは、ゴモラから見えていた自分の姿だということにダイチは気づいた。つまり、この映像はゴモラの記憶。ということは、この場所は――。

 

『「……そうか!」』

 

 そうしてダイチは、ゴモラの気持ちを理解した。

 

『「ゴモラ、お前がつながるのを拒んでたのは……酷使される俺の身を心配して……!」』

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 ダイチの前に、デバイスゴモラのビジョンが現れる。ゴモラの気持ちを知ったことで、ダイチの心には、感謝と自信が満ち溢れた。

 

『「ありがとう……。けど俺なら大丈夫だ! 俺がやらなきゃ多くの命が失われる……」』

 

 そしてダイチは、ゴモラに願う。

 

『「お願いだ……。力を貸してくれ!」』

 

 

 

 ダイチは、元のエックス内の電脳空間に戻ってきた。

 

『「よし!」』

 

 そしてデバイザーから、ゴモラのスパークドールズが現出した。――いや、少し違う。それは『デバイスゴモラ』のものであった。

 ダイチはそれを手に取ると、力いっぱいにデバイザーにリードさせた。

 

[リアライズ!]

 

 

 

 戦場に魔力粒子が降り注ぎ、それらが固着して一つの形をなしていく。

 裏にローラーを備えた力強い足。長い尾。腕には鋭いクローと二重のスピナー。黄色い双眸が輝きを放ち、『それ』は雄叫びを上げた。

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 デバイスゴモラ――。モンスジャケットのゴモラキャリバーではない、単独で実体化したデバイスゴモラが、本当の意味で実体となったのだ!

 

「デバイスゴモラ……!」

 

 あっと驚いてデバイスゴモラを見上げたスバルは、それがどういうことかを理解して笑顔となった。

 

「ダイくん……! 遂にやったんだ……!」

 

 

 

『な、何だあれは!?』

 

 ノーヴェと戦っていたペダン星人は、事前データにないデバイスゴモラの出現に驚愕し切っていた。そんな彼らに、ノーヴェは言ってのける。

 

「あいつは、怪獣の力と心を宿したあたしたちの味方さ! ダイチとゴモラの心がつながった証拠だよ!」

『ば、馬鹿な! 怪獣の意思とシンクロするなど……怪獣の心と通じ合うなど、ありえんッ! 我らペダン星人に不可能なことが、貴様ら如きに……!』

 

 完全に混乱したペダン星人は、半ば自棄になってノーヴェに銃を向けた。

 

『き、危険だッ! 貴様らは排除しなければならんッ!』

 

 泡を食った態度に、ノーヴェは失笑を見せた。

 

「理解できねーもんは拒まないと気持ちの平静が保てないのかよ。さもしい連中だぜっ!」

 

 駆け出すノーヴェに光弾を乱射するペダン星人たちだが、心を乱した射撃がノーヴェの動きを捉えられるはずがない。ノーヴェは光弾をかわしつつ距離を詰め、リボルバー・スパイクで二人まとめて蹴り飛ばした。

 

「うらぁっ!」

『ぐはぁぁッ! お、おのれぇぇぇぇッ!』

 

 ペダン星人は最早分が悪いと見て、空間転移でこの場から消え去った。

 

「あっ逃げやがった!」

 

 舌打ちしたノーヴェだが、それ以上ペダン星人を追跡しようとはせず、並び立ったエックスとデバイスゴモラの方を見やる。

 

「さてと……ここで決めなきゃ嘘ってもんだぜ、ダイチ」

 

 

 

『ギャオオオオオオオオ!』

「シェエアッ!」

『「行くぞゴモラっ!」』

 

 心を重ね合わせたダイチとゴモラ、エックスがキングジョーへと向かっていく!

 

「ヘェアッ!」

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 エックスとデバイスゴモラのパンチがキングジョーのボディを叩く。キングジョーの超パワーも、ゴモラと同等の力を受け継ぐデバイスゴモラに抑え込まれて反撃に移れない。

 

「テェヤァッ!」

 

 そこに、ゴモラを支えにしたエックスのキックがヒットしてキングジョーはよろめいた。

 

「ヘアァッ!」

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 そこからもエックスとデバイスゴモラの巧みな連携により、先ほどまでとは一転してキングジョーを追いつめていく。特にスピナーをうならせるデバイスゴモラの打撃の威力はすさまじく、キングジョーのボディから激しい火花が散った。

 徐々に押されていくキングジョーは、エックスを仕留めようと怪光線を発射!

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 しかし横から割って入ったデバイスゴモラが両腕を盾にすると、巨大プロテクションが出現。通常の何倍もの強度の盾は、怪光線を完全に遮断した。

 ここでキングジョーはまたも円盤形態に分離し、四方八方からの光線連射で反撃しようとする。

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 するとデバイスゴモラの足元からウィングロードが伸び、ゴモラはローラーでその上を駆け回る。そうして円盤を全て空中から叩き落とした。

 円盤形態も封じられたキングジョーは、エックスとゴモラのダブルパンチを食らって全身から火花を噴出する。

 

『「ゴモラ! 超振動拳っ!!」』

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 ダイチが叫ぶと、デバイスゴモラは両腕のスピナーを超高速回転させ、キングジョーへと一直線に突進していった。そしてクローと鼻先の角が突き立てられる!

 ――スバルのインヒューテントスキル『振動破砕』。発せられる振動波が物体の分子に共振現象を引き起こし、破壊するというもの。それとゴモラの能力「超振動波」と合わさった『超振動拳』は、相手が強固なほど絶大な威力を発揮する!

 キングジョーの何物も受けつけなかった装甲が、遂に音を立てて砕けた!

 

『ダイチ! 今だ!』

『「マックスにもらったこの力で決めるっ!」』

 

 ダイチはウルトラマンマックスのカードをデバイザーにセットした。

 

[ウルトラマンマックス、スタンバイ]

 

 エックスの掲げた右腕に、マックスギャラクシーが装着される。

 

[マックスギャラクシー、セットアップ]

 

 エックスはマックスギャラクシーを、キングジョーに向けて突き出す。

 

『ギャラクシィィィー! カノンッ!!』

 

 発射されたギャラクシーカノンが、キングジョーの砕かれた胸部に命中した!

 キングジョーは直立した姿勢となって背後に倒れ込み、そのままバラバラになるまで爆発四散した。

 キングジョーが撃破された直後、市街の中心からステルス状態で隠れていたペダン星人の円盤が浮上した。内部のペダン星人が喚く。

 

『駄目だぁ……! ミッドチルダ攻撃は一旦中止しよう!』

 

 逃走を図る円盤だが、エックスの目はそれをしっかりと捉えていた。

 

「『ザナディウム光線!!」』

 

 最後のとどめのザナディウム光線が、円盤に直撃!

 

『うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――――!!?』

 

 動力を破壊された円盤は、ふらふらとよろめきながら落下。無人の空き地に墜落したのだった。

 

 

 

 先遣部隊とキングジョーが敗れたことで、ミッドチルダに迫っていたペダン星人の宇宙艦隊は次元航行艦隊との会敵直前に急遽撤退。後に捕縛されたペダン星人の部隊の解放を交換条件に、時空管理局とペダン星の間で不可侵条約が締結された。星間戦争の危機は、エックスたちの奮闘によって無事回避されたのであった。

 

 

 

 キングジョー撃退後、オペレーション本部から退室したダイチにヴィヴィオたち四人が駆け寄ってくる。

 

「ダイチさん!」

「みんな。ハハ、勝手にデバイスゴモラを出したことで隊長と副隊長にこってりとお説教されちゃったよ」

「そのデバイスゴモラ、見てましたよー! とぉってもカッコよかったですっ!」

 

 リオやコロナが興奮気味に告げた。

 

「あの土壇場で成功させるなんて、まるでドラマみたいでした!」

「おめでとうございます、ダイチさん!」

「俺だけの力によるものじゃないさ。ゴモラが俺と心を重ねてくれたから出来たんだ」

 

 ヴィヴィオに祝福されたダイチに、アインハルトが謝罪の言葉を掛ける。

 

「ダイチさん、ごめんなさい。先ほどは分かった風なことを言って……」

 

 頭を下げたアインハルトに、ダイチは首を横に振った。

 

「いや、アインハルトちゃんの言葉で目を覚ませたんだ。俺の方が、ありがとうとお礼を言わなくちゃいけない。君のお陰で、ゴモラの気持ちに気づけたんだから」

 

 ダイチが見せたのはゴモラのスパークドールズ。

 

「……ゴモラは、本当にXioの、ダイチさんの仲間になってくれたんですよね」

「ああ」

 

 アインハルトはおずおずと、ゴモラに触れて告げた。

 

「ゴモラさん……これからもXioのこと、私たち人間のこと、よろしくお願いします」

 

 と話すのを見て、ヴィヴィオたちも微笑んで同じようにゴモラに呼びかけた。

 

「ゴモラ! わたしのことも、どうかよろしくお願いね!」

「あたしのこともよろしくーっ!」

「いつか、あなた自身の身体でお会いできる日を楽しみにしてます!」

 

 少女たちの温かい言葉に微笑むダイチ。彼の手の中のゴモラも、どことなく嬉しそうに見えた。

 

 実験開始から二十八回目、デバイスゴモラはXioの新たな仲間に加わった。

 デバイス怪獣を動かすのは、卓越したテクノロジーではない。人間の脳波でもない。未知なる友人を理解しようとする心……すなわち、つながる心である。

 

 

 

 ――ミッドチルダの未開発地区の山岳地。古代遺物管理部の一団がこの一画に立ち入って、洞窟の地下から発見されたスパークドールズの一体を発掘、移送しようとしていた。

 しかし、それは叶わなかった――。

 

「ぐああぁぁっ!」

 

 発掘を担当していた古代遺物管理部の部隊の最後の一人が、攻撃を受けてその場に崩れ落ちた。攻撃の正体は、風を切り裂くしなやかな鞭の一撃であった。

 

「ふッ、他愛もない」

 

 鞭の操り手は、見た目は人間の女性。だが次元世界のどこにもないような奇抜な戦闘服で身を固めている。そして彼女の周りには、遺物管理部の局員たちが死屍累々と横たわっている。全員、彼女一人で無力化したのだ。

 

「うふふ……」

 

 邪魔者を排除した怪しい女は、発掘されたザラガスのスパークドールズを奪取する。

 

「まずは一つ。戦力は多いに越したことはない。この調子で、得られるものは全て我らのしもべとする。そして……」

 

 洞窟から悠々と脱け出た女は、空を――いや、そのはるか『先』を見上げて薄く笑む。

 

「宇宙の彼方から感じられる、あの闇の波動も我らの力にしてくれる。そうして、今度こその全宇宙の支配と――弟の仇討ちを成し遂げてみせる! フフフフフフ……!」

 

 女は何らかのたくらみを抱いて、独りごちて冷たい笑いを顔に張りつけたのだった。

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「今回はサイバーゴモラだ!」

ダイチ「サイバーゴモラは『ウルトラマンX』で登場した、ゴモラの新しいバリエーション。X世界の地球の技術とゴモラの力が合わさって誕生したものだ!」

エックス『存在は最初から語られたが、本当の意味で物語上に登場したのは十一話からだったな』

ダイチ「サイバーゴモラはXのテーマである、心のつながりの象徴といえる。『未知なる友人』は、このサイバーゴモラの存在自体が話の中心だった」

エックス『最初にシンクロしたのはもちろん大地だが、以降はもっぱらアスナがその役目を担ってたな』

ダイチ「『共に生きる』では、そのことが話の重要な肝になってたね」

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 謎の女戦士に、闇の力を植えつけられたデマーガ。その強大な力の前に、エックスは最大のピンチに陥ってしまう! でもその時、十五年前に見た虹の光が、俺とエックスを新たなステージに導いた! 次回、『虹の行く先』。
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