光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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虹の行く先(B)

 

「グバアアアアアア! ギャギャギャギャギャギャ!」

 

 ダイチが電脳世界へのアクセスを開始した頃、ツルギデマーガが地中から飛び出し再び地上への攻撃を開始していた!

 そこに駆けつけたのはスカイマスケッティ。駆るのはハヤトとワタル。

 

「出たな……! リベンジ戦だ!」

「今度はさっきみたいには行かないぜぇっ!」

 

 地上ではチンクがジオアラミスを走らせ、デマーガの気を引きつける囮役を務めている。離れた地点には、デマーガを左右から挟む形でウェンディとディエチが待機している。

 

「エックスが倒れても、ミッドは私たちが守る!」

「エックスの仇討ちもしてやるっス!」

 

 ディエチは上空の一点を見上げて口を開いた。

 

「お願いします……副隊長!」

 

 マスケッティとともに空に浮き上がっているのは、クロノ。普段はXioの頭脳として司令室から指示を出している彼だが、エックスが倒れた今、恐るべき大怪獣となってしまったツルギデマーガの侵攻を何としてでも阻止するべく、前線に出てきたのだった。

 以上の現在出動できる戦力の全てを用いて、ツルギデマーガを迎え撃つ構えだ。

 

「グバアアアアアア! ギャギャギャギャギャギャ!」

 

 デマーガはビルの上層を砕いてアラミスに瓦礫を降り注がせる。だがチンクは右に左にハンドルを切って瓦礫をかわし切った。

 そうしてアラミスがデマーガを所定の地点まで誘導すると、ビルの影に潜んでいたクロノが飛び出して攻撃を繰り出す。

 

「悠久なる凍土、凍てつく棺の内にて、永遠の眠りを与えよ! 凍てつけ! エターナルコフィンっ!!」

 

 氷結の杖デュランダルを使用した凍結魔法が発動。一瞬にして、ツルギデマーガの全身が氷の内に閉じ込められた。

 

「今だっ!」

 

 クロノの指令により、マスケッティと

 

「ファントン光子砲っ!」

「トラァーイっ!!」

「ウルトライザー・シュートっ!!」

 

 光子砲と光の砲撃が凍ったツルギデマーガに押し寄せ、大爆発の中にその姿を消した。

 

『副隊長、やりましたっ!』

「ああ、よくやった」

 

 興奮するワタルに称賛を向けるクロノ。

 だが、

 

「グバアアアアアア! ギャギャギャギャギャギャ!」

 

 デマーガは硝煙の中から悠々と出てきた。凍らされたところに集中砲火を食らったというのに、ダメージが見られない!

 

「ぜ、全然効いてないっス!」

 

 連携攻撃が全く通用しなかったことに、Xioの一同は衝撃を受ける。謎のエネルギーの影響を受けたツルギデマーガは、ただの怪獣の域をとっくに突き抜けていたのだ。

 

「流石エックスが太刀打ちできなかった相手ってことか……!」

「弱音を吐くなっ! エックスの助けがなくてもやるんだよっ!」

 

 ワタルがハヤトを叱咤し、ツルギデマーガへの攻撃を継続する。その後に続き、他のメンバーもあきらめずに攻撃を再開した。

 

 

 

 洞窟の方では、スバル、ノーヴェ、ギンガの三姉妹が未だギナという女と交戦していた。洞窟内にはウィングロードとエアライナーが張り巡らされ、三人はギナの周囲を駆け回って連携攻撃を仕掛ける。

 

「ナックルダスター!」

「リボルバーシュート!」

 

 ノーヴェ、スバルの攻撃をギナは手で受け止めて弾き返し、またムチを振るって彼女らを空中から叩き落とそうと狙う。

 恐ろしいのは、スバルたちはアームドデバイスを装着した腕で殴り掛かっているのに、ギナはその拳を素手でさばいているのだ。そんなことは、並大抵の魔導師では到底出来っこない。やはり見た目通りのただの人間ではないし、その辺の異星人の戦闘レベルでもないとスバルたちは判断した。

 

「はッ!」

「うぁっ!」

 

 ギナの手の平より闇の波動が放たれ、スバルたち三人を纏めて弾き飛ばした。ギナが構えを取ると、シャアアアと蛇のうなり声のような音が発せられる。

 

「スパークドールズを寄越しなさい!」

 

 ギナはムチをまっすぐシャーリーへと飛ばした。シャーリーが危ない!

 

「ナックルバンカー!」

 

 そこに素早く回り込んだのはギンガ。ムチの先端に拳を突き出すと、そこから発せられた障壁がムチをはね返し、利き腕を引っ張られたギナはボディががら空きになる。

 

「何ッ!?」

「ダブルリボルバーキャノンっ!」

 

 その隙を突いて、スバルとノーヴェが衝撃波を乗せたナックルを撃ち込んだ!

 

「ぐあッ!」

 

 吹っ飛ばされたギナだが、綺麗に着地。向こうも闇の障壁で身体を包んで防御したのだ。

 

「三人掛かりとはいえ、存外にやるものだな」

 

 スバルたちをねめ回してそう評したギナは、ムチから懐より取り出した「あるモノ」に持ち替える。

 

「では、こいつの相手でもしてもらいましょうか」

「それは……スパークドールズ!」

 

 一瞬固まるスバルたち。それはまぎれもなく、古代遺物管理部から奪われたものであった!

 

「行け、ザラガス!」

 

 ギナの瞳が真っ赤に染まり、全身から溢れ出た闇のエネルギーがスパークドールズに注入される。

 

「ガアアアアアアアア!」

 

 スパークドールズは巨大化。頭部や背面を黒い甲殻で覆った巨大怪獣、ザラガスが出現した!

 ギナに操られてこちらへ向かってくるザラガスを前に、洞窟を出たスバルはすぐにXioの仲間たちへ通信を入れた。

 

「怪獣出現! 応援願います!」

 

 しかし、クロノから承諾されなかった。

 

『現在こちらも交戦中! とても応援に向かえる余裕はない!』

「くっ、マジか……!」

 

 舌打ちするノーヴェ。大型怪獣と相性の悪い陸戦魔導師だけでは、怪獣と応戦するのは厳しすぎる。

 するとグルマンからの指示が入った。

 

『スバル、デバイスゴモラを使え!』

「えっ、あたしがゴモラを……!?」

『半身がマッハキャリバーのデータで構築されているデバイスゴモラの力を最も引き出せるのは、スバル、お前以外にいないのだ!』

「ザナディウム粒子は既に搭載に成功してるから、ゴモラでスパークドールズ化できるよ!」

 

 シャーリーがすかさずデバイス怪獣とのシンクロを行うヘッドギアをスバルに被せた。

 

『迷っている時間はないぞ! デバイスゴモラ、転送!』

 

 スバルのジオデバイザーに、デバイスゴモラのカードが召喚された。スバルがそれをデバイザーにセットすると、デバイスゴモラのスパークドールズが構築される。

 

[デバイスゴモラ、スタンバイ]

 

 スパークドールズを手に取ったスバルは、ノーヴェらの見守る中、ゴモラへ呼びかける。

 

「ゴモラ……ダイくんは今、大変なことになってるの。あたしがダイくんの代わりになる訳じゃないけど……あなたと一緒に戦いたい! お願い! あたしにあなたの力を貸して!」

 

 ザラガスが刻一刻と迫る中、スバルは意を決してスパークドールズをリードした!

 

[リアライズ!]

 

 スバルたちの目前まで迫っていたザラガスの目の前に魔力粒子が降り注ぎ、デバイスゴモラが実体化した!

 

「ガアアアアアアアア!」

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 デバイスゴモラの出現に驚いて後ずさったザラガスに、ゴモラは咆哮を発して威嚇する。

 

「スバルがゴモラとつながった!」

「スバル、やったわね!」

「うんっ!」

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 称えるギンガの声に、スバルは満面の笑みでうなずいた。ゴモラもその動作を反映して首を振る。

 

「ガアアアアアアアア!」

 

 初めは動揺していたザラガスだが、落ち着くとゴモラへと襲い掛かってくる。それを真正面から迎え撃つデバイスゴモラ。

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 両腕のスピナーがうなり、衝撃波を乗せたクローがザラガスへ叩き込まれる。

 

「ガアアアアアアアア!」

 

 デバイスゴモラのあまりの破壊力によろめくザラガスだが、踏みとどまって頭突きを繰り出す。硬い甲殻で覆われた頭蓋からの一撃はデバイスゴモラでも危ないだろう。

 

「ウィングロード!」

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 しかしゴモラはウィングロードを駆使して素早くザラガスの背後へと回り込んだ。

 

「ナックルダスター!」

 

 そして攻撃が空振りして隙が生じたザラガスの横面に、強烈な打撃を入れる!

 

『ギャオオオオオオオオ!』

「ガアアアアアアアア!」

 

 それが決まり、ザラガスは大きく横に倒れて口から赤い煙をもうもうと吐き出す。

 

「やったぁっ!」

 

 ザラガスが倒れたことに喜ぶスバル、ノーヴェだが、ギンガは警戒を解かなかった。

 

「いえ、様子が妙だわ!」

 

 倒れたザラガスがむくりと起き上がり、身体を揺すって甲殻を自ら脱ぎ捨てた。その下からは、筒状の突起がびっしりと生えた皮膚が現れる。

 

『ギャオオオオオオオオ!』

「ガアアアアアアアア!」

 

 デバイスゴモラが起き上がったゴモラに衝撃波を食らわせるが、先ほどまでとは一転、ザラガスは少しも動じなくなった!

 シャーリーがザラガスの情報をスバルに伝える。

 

「ザラガスは刺激を受けると急激に肉体の組成を変質させて、抵抗力を得るの! つまり、一度でも与えた攻撃はどんどん効かなくなっていくんだよ!」

「一筋縄じゃいかないってことですか……!」

 

 思った以上の強敵であることを知り、スバルのこめかみに冷や汗が垂れた。

 

 

 

 皆が戦っている一方、ダイチはエックスのデータを捜すために、遂に精神を電脳世界内に突入させていた。

 ダイチは無数のキューブ状のデータが360度全てに漂う電脳の海の中を泳ぎながら一心不乱にエックスを捜すものの、一向に発見することは出来ていなかった。

 

「データが膨大で見つからない……。どこにいるんだよ……!」

 

 その内に、片手が発光してボロボロと指先から崩れ出した。人間の精神をデジタルの世界に入れるのは、グルマンの言った通り大変危険なこと。ダイチの精神が電脳世界の影響を受けてデジタル化を起こしているのだ。このまま進行すると、廃人化の恐れもある。

 

「早くしないと……まずい……!」

 

 焦るダイチだが、それとは裏腹にエックスは見つけられず、時間ばかり過ぎていく。

 

 

 

「ガアアアアアアアア!」

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 ザラガスの背面に並んだ突起から激しい閃光が焚かれ、デバイスゴモラは熱と衝撃を食らってよろめく。そのダメージはシンクロしているスバルにも伝わる。

 

「つぅっ……!」

「スバル、大丈夫……!?」

「うん……!」

 

 案ずるギンガに首肯するスバルだが、戦えば戦うほどにデバイスゴモラは追いつめられていく。

 

「このままじゃジリ貧になるだけだぜ……! シャーリーさん、何かいい手はないんでしょうか!?」

 

 ノーヴェが問うと、シャーリーは次の通り答えた。

 

「ザラガスは新しい攻撃に対して肉体を変化させる一瞬だけ、すごくもろくなるの。そこが唯一の弱点なんだけど……」

「何だ、そういうことは早く言って下さいよ。スバル!」

 

 ノーヴェが呼びかけると、スバルはそれだけで理解し、うなずいてみせた。ノーヴェはウルトライザー・カートリッジをナックルに装填しながらザラガスの方向へ走り出す。

 

「ち、ちょっと!? ホントに一瞬だよ!? あんまり無茶なことは……!」

 

 慌てて呼び止めようとするシャーリーを、ギンガがその肩に手を置いて制止した。

 

「大丈夫です。私の妹たちのコンビネーション、見てて下さい」

 

 駆けていくノーヴェがザラガスの側方に回り込み、射程範囲に収めた。ザラガスはデバイスゴモラに注意が向いており、ノーヴェには気づいていない。

 

「よし、行くぜっ!」

[Charging Ultraman’s Power.]

 

 ノーヴェはザラガスの頭部に照準を合わせ、エネルギーを集中したナックルを突き出す。

 

「食らえ! ウルトライト・バスターっ!!」

 

 発せられた砲撃がまっすぐ飛んでいき、ザラガスの側頭部に直撃した!

 

「ガアアアアアアアア!」

 

 強烈な一撃をもらったザラガスだが、その瞬間に肉体の組織が急速に変化し、ウルトラマンの力にも耐性を持つ肉体へと変身していく。

 

「ゴモラっ!」

 

 しかし離れていてもノーヴェと呼吸を合わせていたスバルが、ノーヴェの攻撃に合わせてデバイスゴモラを走らせていたのだ。

 

「超振動拳っ!!」

『ギャオオオオオオオオ!!』

 

 ザラガスへと一直線に走っていったゴモラがクローと角の三点を相手に突き刺し、振動波を一挙に流し込む!

 

「ガアアアアアアアア!!」

 

 肉体が変化中のところに必殺攻撃を食らったことで、ザラガスの体組織は崩壊。そして肉体が圧縮され、スパークドールズへと戻された。

 

「やったぁっ!」

 

 ザラガスを倒したことで皆が喜ぶのもつかの間、スバルはツルギデマーガと交戦中の仲間へ連絡する。

 

「こちらスバル、すぐそちらにゴモラと向かいます……!」

 

 しかしそれをシャーリーに止められる。

 

「駄目だよスバル! これ以上のシンクロは危険だから!」

「けど……!」

 

 実際、スバルの脳神経には多大な負荷が掛かっていて、スバルは肩で息をしていた。それでもシンクロを続行しようとするスバルだったが、

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 ゴモラが勝手に実体化を解いて、魔力粒子が宙に消えていった。

 

「……! ありがとう、ゴモラ……」

 

 それを見たスバルは、手中のスパークドールズにひと言告げたのだった。

 

 

 

 ダイチの精神のデジタル化は、既に危険な領域にまで達していた。しかし、ダイチは捜索をやめようとしない。

 

「まだだ……エックスを見つけるまで、あきらめる訳には……!」

 

 ギリギリの一瞬まであきらめない覚悟のダイチの前に、突然――電脳世界にも関わらず、虹が架かった。

 

「虹……!?」

 

 呆気にとられたダイチだが、それを目にした瞬間、母の言葉が脳裏によみがえった。

 

『虹の根っこには――幸せや大切なものが埋まってると言われてるの!』

「……そうか!」

 

 ダイチは電脳世界の虹の根本まで泳いでいき、そこへ手を突っ込んだ。

 指が確かな感触を得る。何かを握り締めて、腕を抜くと――。

 

「これは……?」

 

 虹色の剣――とでも形容すべき形状の、ダイチも見たことのない謎の物体が手の中にあった。

 そして虹の剣を手に入れた瞬間に、電脳の海に散らばっていたデータがデバイザーに集まり始めた!

 

「エックスのデータが……エックスっ!」

『ヘアァッ!』

 

 データはどんどん集まっていき……デバイザーから金色の光がX字に溢れ出た!

 

 

 

 三次元世界では、ダイチの精神が戻らないことにグルマンが焦り出していた。

 

「もう時間がない……! ダイチっ!」

 

 このままではダイチの命が危ない。グルマンはやむなくダイチの電脳世界へのダイブを強制終了させようと振り返ったが、

 

「……あら?」

 

 装置の上から、ダイチの姿が消えてなくなっていた。

 

 

 

「グバアアアアアア! ギャギャギャギャギャギャ!」

 

 延々と攻撃を浴び続けても全く勢いが衰える様子のないツルギデマーガを前に、Xio特捜班もいよいよ疲労困憊の色が強まってきていた。

 

「このまんまじゃやばいっスよ……!」

『あきらめるな! 現在ヴォルケンリッターがこちらに加勢に向かっている。それまでの辛抱だ!』

 

 汗だくのウェンディをクロノが鼓舞するが、今のままでは彼らの到着までに街が破壊し尽くされてしまう。

 

「止まれぇーっ!」

 

 どうにかしようとマスケッティがデマーガに接近して砲撃を浴びせるが、それにクロノが警告を発する。

 

「ハヤト、ワタル! 前に出過ぎだっ!」

「グバアアアアアア!」

 

 しかし一歩遅く、デマーガの尻尾がマスケッティに叩きつけられようとする! クロノたちは息を呑む!

 

「――ヘアッ!」

 

 だがマスケッティは落ちなかった。――横から飛び込んできた巨人が、尻尾を受け止めたからだ。

 

「エックス……!?」

「エックスだっ!」

「エックスが……帰ってきたっ!」

 

 特捜班は驚き、そして歓喜に染まった。尻尾を引っ張ってデマーガを転倒させた巨人――まぎれもないウルトラマンエックスだ!

 エックスは、再びユナイトしたダイチに呼びかける。

 

『今度は、ダイチに助けられたな……』

『「心配したんだぞ! この剣が導いてくれなかったら……今頃どうなってたか」』

 

 ダイチの右手には、電脳世界にあった剣がそのまま残っていた。

 

『不思議だ……。前よりもずっと、ダイチを近くに感じる……』

『「俺もエックスを近くに感じる……」』

『今の私たちならもっと、更なる強い力でユナイトできる! ついてこられるか、ダイチ?』

『「もちろん! 俺たちはずっと一緒だ! お前を離さないっ!」』

 

 ダイチは剣の側面の、虹色のラインを指で下から上になぞり、柄のトリガーを引いた。

 

「『行くぞっ!!」』

 

 そして剣をX字に振るうと、虹色の軌道が残り――ダイチとエックスは更なる一体化。同時にエックスの肉体が銀色の新しいものに変身し、額に虹の剣が装着された。

 

「セアァッ!」

 

 エックスの変身に、特捜班は一斉に驚愕。

 

「虹色の……巨人!?」

「おぉぉ……!」

「エックスが、進化した……!」

「超ど派手っス!」

 

 ハヤト、ワタル、チンク、ウェンディがそれぞれ息を漏らした。

 ラボからは、状況を見守っているグルマンが声を発する。

 

「苦難を超えて進化した……! まさに、エクシードX!」

 

 エックスの新たなる領域、エクシードXは起き上がったツルギデマーガに威風堂々と向かっていく!

 

「セイヤァッ!」

 

 側転で相手の懐に飛び込み、前蹴りを食らわす。デマーガの振るう剣は手刀で受け止めて弾き、袈裟斬りの要領で両手のチョップを打ち込んだ。

 エックスの猛攻に、ツルギデマーガは一戦目と反対に押し込まれる。

 

「イィィィーッ! ショアァーッ!」

 

 そしてエックスは相手の腰を捕らえ、背後へ大きく投げ飛ばした!

 

「テヤァーッ!」

 

 それで終わらない。デマーガの落下地点まで走り、再度投げ飛ばす!

 

「すごい……!」

 

 ディエチたちは、新しいエックスのすさまじい実力に圧倒されていた。

 デマーガが倒れている間に、エックスは自身の額に右手を添えた。すると剣が頭部から分離し、右手の中に移る。

 

「セイッ!」

「グバアアアアアア! ギャギャギャギャギャギャ!」

 

 剣を構えて駆けるエックス。デマーガは迎え撃とうとするも、エックスの方が早く、バク転の勢いによる斬撃が決まった。

 

「グバアアアアアア! ギャギャギャギャギャギャ!」

 

 ダメージが蓄積していくデマーガは一発逆転しようと、膨大な熱量の熔鉄光線を発射。

 

「ヘアァッ!」

 

 しかしエックスはそれをも切り払った。真っ二つになった熔鉄光線はあえなく霧散。

 

『今度こそ食い止めるっ!』

 

 ダイチは剣の虹色のラインを三回なぞり、柄頭のスイッチを叩いた。エックスもその動きと連動し、剣のスイッチを叩く。

 そうすると剣の下部の刃がスライドして伸び、膨大な虹色の光が発せられてエックスとデマーガを包み込む!

 

「グバアアアアアア!  ギャギャギャギャギャギャ!」

「セアァッ!」

 

 エックスは光のロードを一直線に飛び、ツルギデマーガにすれ違いざまの斬撃を浴びせた! 更に引き返す際に、もう一撃!

 

「グバアアアア! ギャギャギャギャギャギャ!」

 

 するとどうだろう。ツルギデマーガの刃の部分が消滅し、元のデマーガの姿に戻ったではないか。

 エクシードXもまた、剣を頭部に戻すと元のエックスの状態に戻り、改めてカラータイマーを黄色く輝かせて振りかぶる。

 

「『ザナディウム光線!!」』

 

 放たれたザナディウム光線が命中し、デマーガは一瞬にしてスパークドールズに圧縮されたのだった。

 

「シュワッチ!」

 

 飛び立って現場を去っていくエックスの中で、ダイチの持つ剣が光り、エクシードXのスパークドールズに変化した。

 

『「小さい頃の思い出が、俺を助けてくれた。これが、俺たちの新しい力……!」』

『不思議な剣だな……。名前はあるのか?』

『「分からない。でも……」』

 

 電脳世界で発見し、自分たちの力となったが、正体は全く不明な虹の剣。それを、ダイチはこう名付けた。

 

『「輪郭がフェイトさんのバルディッシュに似てるから、エックスと合わせて……エクスディッシュとでも呼ぼう!」』

『エクスディッシュか……。悪くないな』

 

 エックスは剣の名前を評価した。

 

 

 

 ラボに戻ってきたダイチは、グルマンが背を向けている間にこっそりと装置の上に横になった。

 

「ダイチ……これは私の責任問題じゃあ……」

 

 グルマンが気づかずに呆然としているところに、帰投してきたワタルたちが駆けつけてきた。

 

「ダイチっ!」

「……えっ、ダイチ!?」

 

 ダイチはたった今起きたという風を装って身を起こした。

 

「あれ、さっきまで……いつの間に……」

「デマーガ、どうなったんですか!?」

「お前が寝てる間に助けに来てくれて……」

「虹色の姿にパワーアップしたんだよ!」

「そうですか……エックス、生きてたんですね。俺はグルマン博士の看病のお陰で、この通り元気です!」

 

 白々しく述べるダイチ。しかしふと、この場に人が足りないことに気づいた。

 

「あれ? スバルとノーヴェは……まだ戻ってないんですか?」

 

 問いかけると、ワタルたちは気まずそうに顔を見合わせた。

 

「えっ……まさか、二人に何かあったんじゃ!?」

「いや、その二人にではない」

 

 チンクが重々しい表情で答える。

 

「だが……いいか、心して聞いてくれ……」

 

 

 

 復活したエックスがデマーガを撃破した直後のこと。スバルたちもその様子を、通信映像越しに見ていた。

 

「エックス……よかった、生きてたんだ……」

 

 スバルは感極まった様子で安堵したが、一方でギンガは用心深く周囲に目を走らせる。

 

「ところで……さっきの女性はどこへ……」

 

 そのひと言の直後に、シャーリーの身体にムチが巻きついた!

 

「あっ!」

「しまった! 油断したっ!」

 

 ムチの操り手はもちろんギナ。シャーリーは引っ張られてギナに捕まる。

 

「きゃああっ!」

「やってくれたものだな。なおさらスパークドールズをいただかなければならなくなった!」

 

 ギンガたちはギナを取り押さえようと身を乗り出したが、そこをギナに脅迫される。

 

「動くな! さもなくば、捕らえたこの女の命は保証できないわよ」

 

 冷笑するギナだったが……ギンガに笑みを返された。

 

「いいえ。捕まったのはあなたの方よ」

「何?」

 

 突然、ギナの身体をバインドがきつく縛り上げた!

 

「な、何だとッ!?」

 

 それはギンガの仕掛けたトラップだった。先ほどシャーリーの肩に手を置いた際に仕掛けていて、ギナがシャーリーを捕まえたらバインドが発動できるようにしておいたのだ。

 ギナが束縛されたことで、シャーリーは解放された。

 

「今よっ! 確保を!」

「よっしゃ!」

 

 疲労の残るスバルを置いて、ギンガとノーヴェでギナを完全に取り押さえようとしたが、しかし、

 

「くッ、こんなところで捕まる訳にはいかないわ……! やむを得ないッ!」

 

 ギナの目がまたも怪しく輝くと……空に『歪み』と表現すべきような黒い穴が開いたのだ!

 

「な、何だありゃあ!?」

「シャーリーさんっ!」

 

 危険を感じたギンガが、シャーリーだけでも安全なところへ連れていこうと走る。が、少し遅く、『歪み』から闇の波動が発せられ、それを開いたギナ本人と、シャーリーと接近したギンガに当たる。

 

「えっ……!?」

 

 『歪み』を中心に逆巻く旋風とともに、この三人の身体が浮き上がり……穴に吸い込まれていくのだ!

 

「きゃあああああああっ!!」

「ギン姉!! シャーリーさん!!」

「お、おい待てスバルっ! お前まで吸い込まれるぞ!」

 

 スバルが慌てて助けようと飛び出したが、彼女まで穴に呑まれるのを危惧したノーヴェに引き止められる。

 

「放してノーヴェ! あぁっ!!」

 

 ノーヴェを振り払おうとするスバルだが、その間にギンガたちは瞬く間に『歪み』の中に吸い込まれていって、完全に姿が見えなくなった。

 三人を吸い込んだ『歪み』はあっという間に閉じ、何事もなかったように空は元通りになる。

 

「ギン姉ぇぇぇぇぇ―――――――――――――っ!!」

 

 スバルの絶叫は、青い空に響くだけであった。

 

 

 

 ――ミッドチルダからはるか遠く離れた、『ある世界』。そこのとある街の中に、突如として怪巨人が地鳴りとともに降り立った。くすんだ黄金色の鎧に身を固めた、骸骨の怪物か悪鬼羅刹かを思わせるような凶悪な面構えだ。

 巨人は街中の人間に向けて恫喝する。

 

『よく聞けぇッ! この地にビクトリーという名の者がいるはずだ! 我が前に出てこぉいッ! さもなくば、この街を破壊し尽くしてくれようぞッ!!』

 

 巨人はその言葉の通りに、振りかざした戦斧を振るい、街のビルを粉々に破壊し始めた!

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「今回の怪獣はザラガスだ!」

ダイチ「ザラガスは『ウルトラマン』第三十六話「射つな!アラシ」に登場! 変身怪獣の肩書きを持っていて、攻撃を受けると身体の作りを変えて、同じ攻撃が効かなくなってしまうとんでもない能力を持ってるんだ!」

エックス『これのせいで科特隊は迂闊な攻撃が出来ず、大苦戦を強いられたんだ』

ダイチ「『ウルトラマン』では第二形態までだったけど、『ウルトラマンギンガ』で身体からトゲを生やした第三形態がお披露目されたぞ!」

エックス『第三形態も、元々最初の時点で検討されていたということだ』

ダイチ「そして『ウルトラマンX』ではサイバーゴモラと対戦をしたんだ!」

エックス『ザラガスの着ぐるみはゴモラの改造だから、そのつながりだな。『大怪獣バトル』の映画でもこの対戦があったぞ』

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 巨大な闇のパワーを秘めた敵、モルド・スペクターが現れた! 俺がエクシードXの力を使いこなさなければ、この強敵に勝つことは出来ない。そんな俺の前に駆けつけてくれたのは……ウルトラマンビクトリー! 次回、『勝利への剣』。
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