ファビアについて現在提示されている情報が少ないので、多分に勝手な設定を入れていることを断っておきます。
「グバアアアア! ギャギャギャギャギャギャ!」
「スパークドールズのほとんどは、ここミッドで確認されてるんですよ」
「ギアァッ! ギギギィッ!」
「被害が拡大する前に、何か手を打たなければ!」
「他の世界での発見数の平均と比べると、実に87倍です」
「直ちに民間人を救出。被害を未然に防ぐぞ!」
『「ごめんな……ここはお前のいるべき場所じゃないんだ」』
「イィィィーッ! サァ―――ッ!」
『ともだちは怪獣』
Xioベースのオペレーション本部に、スバルたちが無数のカプセル入りのアタッシュケースを運び入れた。一つ一つのカプセルの中には、スパークドールズが収められている。
「これで新たに回収された分は全部です」
「このスパークドールズもかなり不安定だな……」
ケースを開いてスパークドールズの状態を確認したクロノがつぶやいた。
「それもダークサンダーエナジーの影響だと思われます」
「発見が遅れて実体化していたら、また多くの犠牲が出るところでしたね……」
ワタルが戦々恐々と語る。ケースを閉じたクロノはその言葉にうなずいてため息を吐く。
「せめて到達点が予測できれば……」
「ダークサンダーエナジーの発生座標は特定できないのか?」
チンクの問いかけに、ダイチは残念そうに返した。
「あらゆる観測機器を使用して調査してるんだけど……漠然とした方角までは絞れるんだけど、どういう訳かそこから先がどうやっても特定できないんだ。宇宙空間から発生してることは間違いないんだけど……」
ダークサンダーエナジーが最初に落下してから、管理局は当然どこから、何から発生しているのかを現在に至るまで調査している。だがその甲斐虚しく、未だにその答えは出せていないのだった。
「不気味っスね……。ダークサンダーエナジーの正体って、何なんだろ……」
思わず身震いするウェンディ。管理局は今日まで幾度も大事件を経験しているが、こんなに分からないことだらけの事件は前例のないことだった。その『未知』が、隊員たちの心理に不安とかすかな恐怖を呼んでいる。
クロノは若干うつむいて、小さく独白した。
「ダークサンダーエナジー……黒き稲妻か……。騎士カリムの預言が、いよいよ現実のものとなろうとしてるのか……」
その頃カミキは、聖王教会本部を訪問してとある人物と面会していた。
「お久しぶりです、カリム・グラシア少将」
「そんなに畏まらないで下さい、カミキ隊長。少将と言っても、あくまで名目上だけのことですから。どうぞ普段通りになさって下さい。あなたの方が年上なのですから」
カミキに敬礼された修道女は、カリム・グラシア。聖王教会騎士団の騎士であると同時に、古代ベルカ式のあるレアスキルを所有しているため、教会と管理局双方にとってその身柄は大きな意味を持っている。
そのレアスキルとは、数年先までの未来に起こる事件を予言する『預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)』。予言の的中率は事件の規模に比例して高まり、かのJS事件の内容もこのスキルは言い当てていた。
『預言者の著書』による予言は、年に一度書き出される。カミキとカリムは、今年の予言について話し合い始めた。
「今年の預言の内容を確かめた時には、それはもう驚きました。いつもは複数の解釈が出来る長大で難解な文章なのに、今年のそれは例になく端的で、かつこれ以上ないほど恐ろしい内容を示唆したものでしたから……。JS事件の時も、管理局崩壊という大きなものでしたが、それをも優に超えてます」
「うむ……聞いてるよ。私も初めて聞かされた時には、今度ばかりは何かの間違いではないかと半信半疑だったが……」
カリムが自身のスキルによって作られた、短冊ほどのサイズの預言書を出して、その内容を読み上げる。
「天より黒き稲妻が降り、それに導かれて滅びが来たりて、世界は消滅する……。たったこれだけの内容が、世界の滅亡を予知してます。そして、『黒き稲妻』の部分は現実のものとなりましたね……」
「ああ。ダークサンダーエナジーだ……」
天より降ってくる黒き稲妻……ダークサンダーエナジーのことに相違あるまい。最初の部分が当たったからには、このままでは以降の箇所も遠からず実現してしまうだろう。
「ダークサンダーエナジー落下後に、グア軍団という異星人たちがミッドを襲ったが……」
「恐らく、『滅び』はグア軍団のことではないでしょう。この預言にはセットで、世界滅亡を回避する手段と思しき文章がありますが、グア軍団撃退の戦いの内容とは一致してません」
カリムはもう一つの、回避の予言を朗読する。
「光の巨人が虹の光と、八つの、数多の命を伴いし時、滅びは消え去る……。光の巨人とは、間違いなくウルトラマンのこと」
「虹の光とは、エックスのあの武器、エクスディッシュのことだろう」
「ですが、後の『八つの、数多の命』の部分が不明のままです。戦闘に参加した人間のこと、とするのはどうもしっくりと来ません。『八つ』をわざわざ強調してるからには、その数字には何か特別な意味があるはずです」
「それにダークサンダーエナジーは今もなお降り続けている……。やはり『滅び』をグア軍団とするのは誤りか……」
そう断定したカミキは、話を先に進める。
「回避の預言の『命』の部分はひとまず置いておくとして、では『滅び』の正体とは何だろうか。それに『世界は消滅する』と言うが、それは具体的にどういう意味なのだろうか? 人間が絶滅してしまうのか、それとも次元崩壊が起きるのか……『世界』とは次元世界全体のことなのか?」
「その辺りも、まだ何とも言えません。が……カミキ隊長は、十五年前のウルトラ・フレア発生後に発見された、三つの不自然な無人世界のことをご存じでしょうか?」
カリムの問いに首肯するカミキ。
「もちろんだ。無人世界は通常、人間がいないだけで他の生物は存在する世界か、もしくは生物が生存できないような環境の世界かのどっちかだが……発見された三つはどれも当てはまらなかった。……生物が発生するのに十分な条件の環境がありながら――一切の生物が世界のどこにも存在していなかった……。こんなことは、管理局の記録上初めてのことだった……」
「ええ。それも一つだけならまだしも、同時に発見された三つ全部が……。これは明らかな異常ですが、それらの無人世界に何が起こったのかは不明のままでした」
そこまで語って、カリムは深刻な顔つきとなる。
「ですが……これは私の憶測でしかないのですが……今の議論の材料である預言と、その三つの無人世界には……関係があるのではないか、と思うのです……」
「生物のいない……いや、いなくなった世界、と言うべきか……」
カミキもまた眉間に皺を寄せる。
「……私たちの生きるこの世界を、絶対にそんな世界にしてはならない」
「ええ……。回避手段は示唆されていますが、絶対とは言えません。あくまでその預言に頼らない方向で、滅びを防ぐように努めましょう」
二人はそのように結論を出して、滅びの預言とダークサンダーエナジーの対策を今後より強化していく方針を決めていった。
――突然だが時間は巻き戻り、新暦79年の春先。ミッドチルダの一地方の、町外れにある野山の中に、人の目から隠れるように建つ屋敷に、一人の女の子が越してきていた。
「プチデビルズ、ここが今日から私たちの新しい住居だよ」
ゲッゲッゲッと怪しい笑い声を上げる使い魔を複数連れた、魔女風の少女。
彼女はファビア・クロゼルグ。現在のミッドチルダでは珍しい、正真正銘の魔女であり、ヴィヴィオやアインハルトの先祖の『聖王』『覇王』と関わりのあったシュトゥラの森の魔女「クロゼルグ」の子孫の一人であった。
クロゼルグの血脈は古代ベルカ全土を巻き込んだ大戦により故郷の森を失ってしまい、それ以来現在に至るまで定住の地を持たない一族となった。ファビアは一族の決まりにより、まだ幼い身でありながら一族の元を離れ、「魔女」として独り立ちの時を迎えようとしていたのだ。
ファビアはプチデビルズを使って荷物を屋敷の中に運び込んでいく。……しかしその最中に、視界の端にあるものが映った。
「?」
屋敷の軒先に、花の束が置かれているのだ。地面から生えているものではなく、明らかに誰かに摘まれてここに持ってこられたもののようだ。
「誰が……」
怪訝に思うファビア。プチデビルズに花を摘んでくるよう命じた覚えはないし、この付近は「赤いオバケが出る」という噂が流れていて、人はあまり寄りつかないという。人づき合いが苦手なファビアは、それだからこそこの場所を選んだのだが……ならば誰が花をここに置いたというのか。
キョロキョロ辺りを見回して犯人を捜していると……建物の陰に怪しいものを発見した。
真っ赤なひだひだのようなものが、ふりふり揺れ動いている。
「……?」
ますます訝しんだファビアが、プチデビルズを連れながらその赤いものに近づいていき……全貌が明らかとなった。
「ホアーッ」
自分とほぼ同等の身長の、見たことのない生き物だった。ひだに覆われた赤い胴体から、白い手と足、尻尾がちょこんと生えている。首は胴体と一体化していて、表情はとぼけているようにも、どことなく愛嬌があるようにも見えた。
「……何、この生き物?」
小首を傾げるファビア。魔女である彼女も、その正体に見当がつかないほどのおかしな見た目の生物だった。
「キュッ、キュッ、キュウッ」
赤い生き物はちょこちょこと飛び跳ねるように歩きながらファビアに近寄ろうとするが、するとプチデビルズがジャキンッ! と槍を向けて威嚇をした。
「ホアッ!?」
赤い生き物はそれに怯え、顔を手で隠してガタガタと震えた。ファビアは直感的に、生き物から敵意や害意、危険がないことを感じ取って、プチデビルズを諌めた。
「大丈夫。武器を収めて」
槍を下げさせると、自分から赤い生き物に近寄って声を掛けた。
「ねぇ、あなた」
「キュウ?」
赤い生き物は恐る恐る顔を上げた。
「あなたはこの土地に住んでるの?」
「キュウウゥッ」
ファビアが尋ねると、赤い生き物は肯定するように鳴き声を上げた。
「そう。今日から私もここに住むの。これからよろしく」
「キュウッ!」
ファビアは赤い生き物の手、と言うよりは指を取り、握手を交わした。
これがファビアと赤い生き物――ピグモンとの出会いだった。
その夜、ファビアは早速ピグモンについて調べ始めた。正体を知ったのは、Xioの公開している怪獣データベースにアクセスしてからだった。
「ピグモン……」
名前を知ると同時に、ピグモンが怪獣であることを知った。
「……」
怪獣は十五年前より何度も大規模な被害、大勢の犠牲を出し続けているため、世界中の人間から良く思われていない。ピグモンももし存在を人に知られてしまったら、どうなってしまうものか。
この時ファビアはXioに通報することも出来たが……それはせずに、データベースを閉じた。
ファビアは元々、一族以外の人間とはあまり関わらないで生きてきた。そのため怪獣に対する嫌悪感は持ち合わせていなかった。彼女にとってピグモンは、予想外の隣人、それ以外の意味はないのだった。
それからファビアとピグモンの日々は始まったのだった。ファビアは最初、ピグモンには無頓着であったが、ピグモンは毎日のようにファビアの屋敷の現れ、彼女に対してアプローチを見せた。
何度も顔を見ていれば、愛着も湧く。いつしかファビアはピグモンにつき合うようになっていき、ともに遊ぶことも珍しくなくなっていった。
「はい……出来たよ」
「ホアー! キュウウゥッ!」
ファビアが手作りの花の冠をピグモンに被せてあげる。二人の周りをプチデビルズが飛び回って、場を盛り上げていた。
しかしピグモンにつき合っている時間は、インターミドル……その席で一族が恨みを抱える『聖王』と『覇王』の子孫の存在を知り、彼女らと無限書庫で一戦交えてから、少なくなっていった。
ヴィヴィオたちとの対話により、一族の誤解が解けたのはいいのだが、ファビアはヴィヴィオたちを攻撃した件で保護観察処分を受けることになったのだ。
ピグモンは怪獣……管理局に存在を知られたら、どんな目に遭ってしまうか。それを危惧したファビアは、観察の目がある内はピグモンを自分の周りから遠ざけた。
「キュッキュウッ!」
「ピグモン……しばらくは、私の側に出てきたらダメ。管理局に見られちゃうから……」
屋敷まで会いに来てしまったピグモンを、ファビアは説得する。だがピグモンは聞こうとしない。
「……プチデビルズ」
やむなく、ファビアは実力行使に出た。プチデビルズたちにピグモンを押させ、山の奥へと追い返していく。
「ホアーッ!」
「ん? 今何か変な音がしたような……」
ファビアの保護観察役のルーテシアがこっちに向かって歩いてくる気配がした。振り返ったファビアはそちらに出向いていき、ごまかす。
「ファビア、今何やってたの?」
「特に、何も……」
木々の向こうへ押しやられたピグモンは、寂しそうに屋敷を見つめた。
保護観察が解かれてからもファビアは、魔女の知識を広く後世に残すために、管理局の嘱託魔導師の進路を選んだ。管理局の役職や勉強に時間を割き、ピグモンと会っている時間はますます少なくなっていった。
「キュウ……」
夜遅く、ピグモンは山の奥深くのねぐらに一人寂しく帰ってきた。
ねぐらにはボールや熊のぬいぐるみなど、古ぼけた玩具がいっぱい転がっていた。ピグモンはその中で岩肌に背を預けて座り込み、そのまま眠り込んだ。
翌朝、ピグモンは出掛けようとしていたファビアの前にひょっこりと現れた。
「キュウウゥッ!」
しかし今日もファビアはピグモンを歓迎しなかった。
「ピグモン……今日は街に買い物に出かけるの。あなたとは遊んでられない」
「ホアーッ! キュウッ、キュウッ!」
しかし今日に限って、ピグモンはファビアにぴったりついてこようとする。それをプチデビルズに押し戻させるファビア。
「ついてきちゃダメ。人がいっぱいいるところに行くんだから……あなたが来たら、大騒ぎになっちゃう」
「ファビアー、いるー?」
ルーテシアの呼ぶ声がした。ファビアは慌ててピグモンに言いつける。
「また今度遊んであげるから。だから、ついてきちゃダメだからね。いい?」
そう言い残して、ファビアはルーテシアの待つ方へと向かっていった。
ファビアの去っていった方向を見つめるピグモン。……だが、その先の上空に黒い影が差したのを、ピグモンは見て取っていた。
「ホアーッ!?」
驚愕の色を浮かべたピグモンは、ファビアの後に視線を戻すと――そちらへと駆け出し始めた。
ファビアとルーテシアの二人は連れ立って、付近の街のショッピングモールに到着した。
「さてと、今日買うのはあれとこれと……そういえば、ファビアって会う度大体同じ服装じゃない? 他に持ってないんでしょ。ついでだから、かわいくてお洒落なの買っていきましょうよ~」
「……別に、お洒落なんていい」
「そんなつれないこと言わないでさぁ。今度ヴィヴィオたちに会う時にでも着たら? 女の子同士友達になるなら、お洒落の話題はきっと必ず出るわよ」
ヴィヴィオの名前が出てきて、ファビアは一瞬目を白黒させた。
「……あの子たちと友達なんて……そんなに馴れ合うつもりはないから」
「そう? ご先祖さまは仲良しだったんだから、あなたたちも仲良しになれると思うんだけどな~」
からかうルーテシアからそっぽを向くファビア。すると、視線の先に平穏な街の景色とは相反するような、瓦礫の山となっている一画があるのに気がついた。
「あそこは……」
「ああ、あそこ?」
ファビアの視線を追ったルーテシアは、廃墟を見つめて眉をひそめた。
「……この前、巨大怪獣が出現したからね。その復旧がまだ取りかかられてないみたいね」
「怪獣……」
「今のミッドには、ああいった場所はあちこちにあるよ。怪獣が街中に出現したら、どうしても建物の被害は出ちゃうからねぇ……。怪獣をやっつけることが必ずしも善だとは私も言わないけど、現実として怪獣が出ると少なくない人が迷惑するんだよね」
ファビアは怪獣と聞いて、ピグモンのことを思い出した。今は大人しく、自分の帰りを待っているだろうか。
しかしピグモンはその時、同じショッピングモールに来ていたのだった。
「ん、あれ……? あれは何だ?」
ショッピングモールの客たちは、視界の端に見えたピグモンの姿を怪訝に感じる。
「あれは、生き物なのか? 見たことのないような奴だけど……」
「どっかの魔導師の使い魔かペットが脱走したのかな?」
「まさか」
「待てよ……あの生き物……」
誰かがピグモンの情報を検索し、種族に行き当たってしまう。
「か、怪獣だぁっ!」
「えっ!? 怪獣!?」
怪獣に対する生々しい恐怖の記憶を刻んだばかりの人々は、その叫び声に一気に騒然となった。その声が連鎖的にパニックを呼び、ショッピングモールはたちまち阿鼻叫喚の図に陥る。
パニックの声は、もちろんファビアたちの元にも届いた。
「何なに? 急にどうしたんだろ?」
「怪獣だー! 怪獣が出たぞー!」
振り返った二人の耳に、誰かが叫んだ「怪獣」の言葉が入る。
「怪獣? そんなのどこにも……」
ルーテシアが思わず辺りを見上げている一方で、ファビアは顔色がさっと青くなった。
「まさか……!」
「あっ、ファビア!?」
駆け出すファビア。その足はすぐに混乱の中心地、つまりピグモンのところへとたどり着いた。
「ホアーッ!」
「やっぱり、ピグモン! ついてきちゃダメって言ったのに、どうして……!?」
ピグモンはファビアの姿を確かめると、彼女へ駆け寄ってピョンピョン飛び跳ねる。
「ホアーッ! ホア、ホア、ホアーッ!」
「騒がないで……! 大人しくしてて……」
ファビアはピグモンをなだめようとその手に触れるが、その行動を周りの人たちに誤解された。
「あぁっ! 子供を襲ってるぞ!」
「大変! 食べられちゃうわ!」
「Xioはまだなのか!?」
「えっ!? ち、ちが……!」
慌てて訂正しようとするファビア。だが言い切る前に、ピグモンがバインドを掛けられて拘束された。
「キュウウゥッ!」
「ピグモン!」
「皆さん、落ち着いて下さい。大丈夫、私は管理局の魔導師です」
バインドを掛けたのはルーテシアだった。人ごみをかき分け、混乱を鎮めながら近づいてきた彼女にファビアは訴えかけようとする。
「あの、これは違うの……!」
しかしルーテシアはファビアを制止して、分かっているという風にうなずいた。
「何か事情があるんでしょ? でもね……こうでもしないと、周りの人たちの混乱は収まらないの」
「えっ……」
「たとえ小さくても、怪獣が自由に動き回ってると、みんな怖がってまともに話も出来なくなるから……。とりあえず、Xioのみんなが来るまで我慢して」
ファビアは周囲を囲む人たちへと目を走らせた。皆が一様に、ピグモンに対して恐怖と警戒の目を向けている。
「怖いわ……あんなに小さくても、怪獣なんて……」
「あんまり近づくな。火を吐くかもしれないぞ」
「バインドを破って、暴れ出したりしたら大変だぞ。もっと離れた方がいいんじゃないか」
「Xioおせぇな……とっととアレ、どっかにやってくれよ」
そんな声もする。ファビアは周りの人たちの、ピグモンに対する反応に、大きな戸惑いを覚えた。