光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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可能性のかたまり

 

「今から十五年前、『ウルトラ・フレア』が引き起こした次元震によって、『スパークドールズ』の多くが怪獣化してしまうという大災害が起きました」

「そして、管理局は『Xeno invasion outcutters』、『Xio』を設立しました!」

「……自称『覇王』イングヴァルトによる連続傷害事件?」

「貴方にいくつか伺いたい事と、確かめさせていただきたいことが」

「そんな数百年分の後悔が……私の中にあるんです」

「強くなるんだ。どこまでだって!!」

「はじめまして……ヴィヴィオさん。アインハルト・ストラトスです」

「だから……相手への『理解』のこと、もっと私に教えてくれないでしょうか」

「火山怪鳥バードンだ……!」

 

 

 

『可能性のかたまり』

 

 

 

 バードン出現の報を受け、Xio特捜班は直ちにエリアN2-M3へ向けて出動。ダイチとスバルはジオアラミスで、ワタルとハヤトはジオアトスで発進した。

 

「ジオマスケッティ、スタンバイ!」

 

 ジオアトスの方で、運転するワタルがマスケッティの発進を要請した。

 Xioベースは要請を承認。それに従い、Xioベースの格納庫でジオマスケッティがベースの屋上へ向けてせり上がっていく。

 

[ジオマスケッティ、オンザウェイ]

 

 XioベースのX字型の屋上は滑走路となっている。マスケッティは無人で滑走路を走り、大空へと発進した。

 

「ジオアトス、ジョイントゥジオマスケッティ!」

 

 マスケッティが飛んでくると、ジオアトスは空中に浮き上がってマスケッティの後方につく。そしてトラクタービームに導かれてマスケッティのジョイント部分に滑り込み、ジョイント。

 

[スカイマスケッティ、コンプリート]

 

 これぞジオマスケッティのハイテクノロジーシステム。通常時のマスケッティに操縦席はなく、Xioベースの承認後にAIの自動判断で飛行する。しかしマスケッティだけでは火器の使用は出来ない。操縦席となるジオアトス等のXio専用車がジョイントして、初めて戦闘機となる。つまりマスケッティを動かすには、車両側とベース側にそれぞれ人員がいなくてはならない。質量兵器であるジオマスケッティを運用する上での二重のセキュリティシステムなのである。

 

 

 

 スカイマスケッティに先んじて発進したジオアラミスが現場に到着。そこでは、バードンがエネルギー中継の鉄塔を引き抜き、クチバシで激しくつついているところだった。

 山間部のエリアN2-M3には、バードンが集めた鉄塔や家屋などで作られたと思しき瓦礫の山が横たわっている。果たしてあれは何なのか。

 アラミスからは怪獣の分析役のラボチーム、つまりダイチ、シャーリーとマリエル、護衛のスバルが降りる。

 

「ダイチ、バードンの能力は?」

「口から高熱火炎……鋭いクチバシと頬袋には毒がある。どれも強力な武器だ!」

 

 スバルの質問に、怪獣の専門家のダイチは迅速に答えた。

 

 

 

 オペレーション本部では、カミキとクロノが命令を下す。

 

「まずは基本通りの追い払いだ。本来の生息地へ戻らせろ!」

「ラボチーム、バードンの生息地は?」

 

 

 

 クロノの問いに、バードンの情報を検索したマリエルとシャーリーが返答する。

 

「火山の地底、マグマの中です!」

「でも、何でいきなり地上に?」

 

 ダイチはバードンへエクスデバイザーのセンサーを向け、生体情報を調べる。するとサーモグラフィーが、バードンの腹部が異様に冷めていることを表示した。

 

「腹部の温度が低い……」

 

 ダイチのひと言に、マリエルが疑問を抱く。

 

「それは変ね……。生息地がマグマの中なら、体温は高温のはずでしょう。熱を放出しやすい末端より身体の中央の方が低温というのも妙だわ」

 

 シャーリーがデバイザーの情報を分析して、ある事実を突き止めた。

 

「卵ですよ……バードンは卵を抱えてる!」

「そうか! 卵を温めるんじゃなくて、反対に冷やして孵すのね!」

 

 とマリエル。火山内という高温の環境で生きる、超生物ならではの常識外の生態であった。

 

「だから地上に出てきた……産卵するために!」

「あの瓦礫の山は、バードンの巣なんですね……」

 

 バードンが瓦礫の山に、曲げた鉄塔を運んでいくのを見やるダイチとスバル。そこに、スカイマスケッティが空の彼方から到着した。

 同時にハヤトがレーダーで、巣の中に熱源がいくつもあることを発見した。熱源は、どれも人の形をしている。そのまま人間だ!

 

「バードンの巣には民間人が閉じ込められてます!」

 

 ハヤトはその事実を本部へ報告した。

 

 

 

 思わずカミキと顔を向き合わせたクロノは、マスケッティへ指示する。

 

「救出方法を見つけるんだ!」

『近づいてみます!』

 

 マスケッティがバードンの巣へ接近していく中、アルトがカミキとクロノに呼びかける。

 

「あの、隊長、副隊長……」

「どうした?」

「あの子のことなんですけど……」

 

 アルトが目で示した先にいるのは、ダイチを訪ねてやってきたアインハルトであった。戸惑いながらも本部の隅にいる。

 

「どうして民間人の子供がここに?」

 

 クロノの問いかけにルキノが答える。

 

「ダイチ隊員のお客さんで、エマージェンシーの際に本部までついてきちゃったみたいで……大人しくしてますけど、やっぱり外に出した方がいいですよね」

「あ、あの!」

 

 その時に、アインハルトが発言した。

 

「わ、私は大人しくしてますから……ここにいさせてもらえませんか?」

「……どうしてだい、お嬢ちゃん」

 

 カミキがアインハルトに目線の高さを合わせながら尋ねた。アインハルトは次の通り返答する。

 

「ダイチさんたちのことが心配で……ダメ、でしょうか……」

「……」

 

 カミキはしばし考えてから、答えた。

 

「騒がずにじっとしていられるのなら、構わないよ」

「! ありがとうございます!」

 

 バッと頭を下げてお礼を言うアインハルト。モニターの前まで戻ってきたカミキに、クロノが囁きかける。

 

「寛容ですね、隊長」

「……子供の要望は、出来る限り叶えてやりたい」

 

 そのカミキのひと言に、クロノはやや気まずそうに目を伏した。

 

『ケエエオオオオオオウ!』

 

 巣への接近を試みるマスケッティだったが、バードンが目敏く火炎を吐いて攻撃してくるので、とても近づけないでいた。生物の本能として、巣を守ろうとしているのだ。その時の生物は特に凶暴だ。

 

「バードンに攻撃を加えれば、囚われてる民間人に危険が……!」

「どうにかバードンの動きを封じる方法はないものか……ラボチーム!」

 

 カミキがラボチームに問いかけると、シャーリーが案を出した。

 

『新開発の怪獣捕獲用粘着剤があります! 動きを封じるなら打ってつけですよ!』

「粘着剤……トリモチのようなものか。なるほど、使えそうだな」

 

 採用するカミキ。どんなに力が強い怪獣とて、ベタベタ身体にくっつく粘着剤を剥がすのはそう簡単にはいかないだろう。

 

『一旦巣から離したところに、粘着剤を召喚して頭から被せるのはどうでしょうか?』

『誘き寄せるのは、光子砲で威嚇射撃するのがいいと思います!』

 

 シャーリーに続いてスバルも意見すると、カミキはおもむろにうなずいた。

 

「よし、ではスバルがバードンを引きつけ、巣から離れたところで粘着剤を被せる。目標が動けない間に民間人を救出せよ! スカイマスケッティは目標を警戒し、万一の時は翼を攻撃して移動を阻止せよ!」

『了解!』

 

 カミキの作戦通りに、特捜班が行動開始した!

 

 

 

(♪ZATマーチ(コーラス付))

 

「こっちは準備オッケーだよ、スバル!」

 

 シャーリーとマリエルが大量の粘着剤の召喚の用意を手早く済ませた。怪獣相手の現場では何が必要となるかわからないので、Xioベースには大量の物資も魔法陣を介して現場に送り込めるシステムが設けられているのだった。

 

「了解! よーし……!」

 

 スバルはアラミスからジオバズーカを引っ張り出すと、姿勢を下ろして照準をバードンの巣の手前に合わせる。

 

「発射!」

 

 引き金を引くと、バズーカから光子弾が放たれた! 威嚇目的なので何もないところで炸裂するが、爆発が巻き起こす閃光と爆音、硝煙はバードンを驚かすのに十分だった。

 

「ケエエオオオオオオウ!」

 

 攻撃を受けたと思ったバードンは、外敵を排除するために一旦巣から離れ、スバルの方へと飛んでくる。

 

「スバル、隠れて!」

「うん!」

 

 ダイチの呼びかけでスバルはマッハキャリバーで走り、素早く退避。その直後にシャーリーが召喚を行う。

 

「座標をしっかり確認して……今だっ! 特製粘着剤!」

 

 バードンの頭上に大型のミッドチルダ式魔法陣が展開され、その中央からそれこそトリモチのような粘着剤が投下された。粘着剤は綺麗にバードンの脳天に落下し、身体全体に広がってベタベタとくっつく。

 

「ケエエオオオオオオウ!?」

 

 バードンは翼が上手く羽ばたかなくなって飛んでいられなくなり、地上に不時着。身体に貼りついた粘着剤を剥がそうとするも、もがけばもがくほど粘着剤はよりひっついていく。

 

「やった! 成功だ!」

 

 ぐっとガッツポーズを取るダイチ。スバルにはカミキが指示を下す。

 

『今の内だ! スバルは民間人の救助を!』

「了解です!」

 

 バードンが釘付けになっている間にスバルが巣へと走っていく。

 

「ケエエオオオオオオウ!」

 

 バードンはなおももがいているが、粘着剤を剥がせそうな気配はない。スバルによる救出が完了するまでそうしているように、とダイチは願ったのだが、

 

「ケエエオオオオオオウ!」

 

 業を煮やしたのか、バードンは口からの炎を自分に向け、粘着剤を焼き払ってしまった!

 

「ああ!? まずいっ!」

 

 焦るダイチ。巣では、まだスバルが救助活動中なのだ。このままでは彼女が危ない!

 

「攻撃します!」

 

 しかしすかさず攻撃したのはマスケッティ。光子砲を上から翼に浴びせて、巣へ向かわせないようにする。

 

「ケエエオオオオオオウ!」

 

 結局バードンは飛び上がるが、砲撃されたことで標的をマスケッティに向け、そちらを追跡していく。

 

「俺もバードンを追います!」

「あっ! ダイチくん!」

 

 ダイチもまた、バードンを追いかけてアラミスから離れていった。

 

「ケエエオオオオオオウ!」

「このまま巣から引き離すぞ!」

 

 バードンは火炎弾を乱射してくるが、ハヤトの巧みなターンによりかいくぐることに成功。すれ違いざまに光子砲を叩き込む、ドッグファイトを展開。

 光子砲を浴びたバードンは、背景の山々の上空へと飛び去っていく。

 

「逃げた!」

 

 ワタルはそう言うが、オペレーション本部へ駆けつけたグルマンは否定した。

 

『いや! 産卵間近の鳥が巣を捨てるとは思えん。一旦姿を隠してから、マスケッティに奇襲をかけるつもりだろう』

 

 グルマンの意見により、マスケッティは追撃を行う。

 

『ワタル、バードンは見えるか?』

 

 クロノの問いかけでワタルはバードンの行方を確かめるが、

 

「いえ……レーダーにも反応がありません」

 

 気がつけば、バードンの姿がどこにも見えなくなっていた。あれほどの巨鳥が、どこへ隠れたのだ?

 疑問に思ったその時! バードンは地面を突き破って土中から飛び出してきた!

 

「!? 真下だっ!」

 

 マスケッティは咄嗟に回避行動を取るが間に合わず、真下からのバードンのクチバシによる突き上げを食らってしまった!

 

「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 機体を大きく損傷したマスケッティは火を噴きながら墜落していく!

 それを目の当たりにしたダイチが焦る。

 

「まずいっ!」

『ダイチ、ユナイトだ!』

 

 エックスが叫び、ダイチはエクスデバイザーを持ち上げる。

 

「でも俺高いところが……」

『そんなこと言ってる……!』

「場合じゃないよな……!」

『よし……!』

「『行くぞっ!」』

 

 ダイチはエクスデバイザーを前に突き出し、上部のスイッチを押した。するとデバイザーの金縁が開き、X字状になって光の粒子を発生させる!

 光の粒子は一点に集まっていき――ウルトラマンエックスのスパークドールズとなった。それを握り締めたダイチは、デバイザーのリード部分に押し当てる。

 エックスの紋章が生じ、人工音声が唱えた。

 

[ウルトラマンエックスと、ユナイトします]

 

 スパークドールズのデータを読み込んだデバイザーを掲げるダイチ!

 

「エックスーっ!!」

 

 X字の閃光がダイチから発せられて、身体がウルトラマンエックスのものへと再構築、巨大化していく!

 

「イィィィーッ! トワァッ!」

[エックス、ユナイテッド]

 

 変身を果たしたエックスは、急激に落下していくマスケッティをはっしと受け止めた。

 もう駄目だと思っていたワタルとハヤトは、唖然とエックスを見上げる。一方エックスは、ゆっくりとマスケッティを地上に下ろした。

 

「ケエエオオオオオオウ!」

 

 その背景の空では、マスケッティを排除したバードンが巣へと戻ろうとしていた。

 

 

 

 本部では、何が何でも巣で産卵しようとするバードンの姿を見つめたカミキがつぶやいていた。

 

「卵を抱えた個体を相手にする……今回が初めてだ」

「……有害生物は、まずメスの個体を減らすのがセオリーです」

 

 そう語ったのはクロノ。

 

「よく知ってる。卵を抱えているからこそ……我々はそれを駆除しなければならない」

 

 そう言いながらも、重い表情のカミキとクロノ。

 

「……ダイチさん……」

 

 彼らの言葉を聞いていたアインハルトは、困惑した顔つきで現場を映すモニターを見守っていた。

 

 

 

「大丈夫ですか!? さぁ、掴まって!」

「あ、ありがとう……!」

 

 巣ではスバルがウィングロードを張り巡らせながら、救助活動を行っている真っ最中であった。ロードの上を駆け巡って被害者たちを巣の外へ逃がしているのだが、そこにバードンが降りてくる。

 

「ケエエオオオオオオウ!」

「あっ!」

 

 スバル危うし! だがその時、

 

「セァーッ!」

「ケエエオオオオオオウ!?」

 

 エックスが跳躍し、空中でバードンにタックル! それによりバードンを巣から払いのけ、着地点をそらすことに成功した。

 

「ケエエオオオオオオウ!」

「ヌオッ!」

 

 バードンは新たな邪魔者を排除しようとエックスへ襲いかかる。エックスは相手の頭部を両手で抑え、攻撃を阻止しようと試みる。

 

「ウルトラマンエックス……! ありがとうっ!」

 

 助けられたスバルは、エックスがバードンを抑え込んでいる間に救助を完了させようと、ピッチを速めた。

 

「ケエエオオオオオオウ!」

「ヌゥッ!」

 

 一方でバードンにしがみつくようにして食い止めるエックスだが、バードンは筋力にも優れる強敵怪獣。そのパワーに振り回されてしまう。

 更に、鋭いクチバシによる刺突がエックスに襲いかかる! クチバシには猛毒がある!

 

「ウオッ!」

 

 バードンの火炎に並ぶ最大の武器に、エックスも苦しめられ早くも窮地に立たされる。

 

 

 

 本部では、バードンの攻撃に対処するべくクロノがグルマンに尋ねる。

 

「博士、あのクチバシを封じる方法は!?」

「ない! ……いや、待てよ……エックスは身体をデータ化できるとダイチが言ってたな。ならば……」

 

 一度断言したグルマンだったが、すぐに思い直して近くの端末を操作し出した。その画面には、デバイスゴモラのデータが表示される。

 

「デバイス怪獣にはインテリジェントデバイスのデータを流用している。バリアジャケットも然り……。こうやって手を加えれば……」

 

 素早くデータの一部を書き換えたグルマンは、カミキに問いかけた。

 

「デバイスゴモラとエックスを合体させてもいいか?」

 

 予想外の提案に、カミキも一瞬呆気にとられた。

 

「そんなことが可能なのか!?」

「物は試しだ。マリー、シャーリー!」

 

 

 

 グルマンから送られてきたデータを、シャーリーとマリーが受け取る。

 

「シャーリー、データ転送よ!」

「はい! エックスさーん、受け取ってー!」

 

 シャーリーのジオデバイザーがエックスに向けられ、データが飛ばされた!

 データはエックスの中の、ダイチのエクスデバイザーにしっかりと届いた。デバイスゴモラのカードが実体化し、ダイチが手に取る。

 

『何だ、これ?』

 

 エックスはそれが何かわからなかったが、ダイチは当然理解する。

 

『「……すごいなエックス! デバイス怪獣のデータも受信できるのか」』

『これを、どうしろって?』

『「……俺だけでは無理でも、エックスとなら! やってみるぞエックス!」』

『おいおい! だから何を!』

『「頼むぞ、ゴモラ!」』

 

 デバイスカードをデバイザーに挿入するダイチ。するとデバイザーが読み上げる。

 

[デバイスゴモラ、スタンバイ]

 

 即座にエックスの身体を、スピナーつきのクローとローラーブーツ、青いラインと黒い胸部、白い肩部の装甲型ジャケットが覆った!

 

『ギャオオオオオオオオ!』

[ゴモラキャリバー、セットアップ]

 

 それは、ウルトラマンサイズのバリアジャケットであった。

 

『「大成功!」』

『ちょっと、何だよこれ!?』

『「ミッドチルダの魔法技術とウルトラマンのコラボ! 名付けてモンスジャケット、ゴモラキャリバー!」』

 

 ゴモラキャリバーを装着したエックスは、改めてバードンに挑む!

 今のエックスの姿を、スバルが一瞬唖然として見つめた。

 

「あのジャケットは……。マッハキャリバー! 君の兄弟のデバイスがエックスに!」

 

 思わず興奮するスバル。そう、グルマンはデバイスゴモラの中のマッハキャリバーのデータを前面に出すことで、デバイスゴモラをバリアジャケット化したのであった。

 

「ケエエオオオオオオウ!」

 

 バードンはクチバシでエックスに刺突を食らわせるが、ゴモラキャリバーの装甲はバードンの鋭利なクチバシをも弾き返して一切通さない。

 

「セアァッ!」

 

 逆にクローの攻撃がバードンを追い詰めていく。回転するスピナーがパワーを引き上げ、威力は倍増だ!

 

『使えるじゃないか!』

『「ゴモラとマッハキャリバー、いいだろ?」』

『ちょっと重いけどな』

 

 クチバシが効かないなら、とばかりにバードンは火炎を吐いてきた。しかし手甲から発生した魔法障壁が火炎を払いのけた。

 

「ケエエオオオオオオウ!」

 

 手段をなくしていくバードンは大空へ飛び上がって急加速。空からの加速をつけた突進を食らわせるつもりか。

 

「シェアッ!」

 

 するとエックスから、空色の光の道が生じてバードンの前方へと伸びていく。

 スバルの先天魔法ウィングロード。ついでとばかりに入れられたそのデータも、今エックスの武器となっているのだ!

 エックスはブーツの車輪の回転によってウィングロードの上を走っていき、バードンへと自分の方から突っ込んでいく。

 

「ケエエ!?」

 

 バードンは空を走ってくるエックスの姿に目を白黒させた。そこに、エックスがとどめの一撃を繰り出す!

 

『「超振動拳!」』

「イィィィ―――ッ! シャァ――――――――ッ!」

 

 突き出されたクローから強烈な振動波が流し込まれ、バードンは一瞬の内に爆発! そして飛び散った光が集まっていき、バードンはスパークドールズに戻った。

 ウィングロードが消え、着地したエックスからゴモラキャリバーが消失。そしてエックスは大空に飛び立ち、去っていった。

 

 

 

 作戦は終了。民間人は無事に全員救助され、死者は一人も出なかった。事件は見事終息したのであった。

 Xioベースに帰投したダイチの元に、アインハルトが駆けつけた。

 

「ダイチさん!」

「アインハルトちゃん、俺を待っててくれたんだ。ありがとう」

 

 アインハルトは、ダイチの手中にバードンのスパークドールズがあるのを目に留めた。

 

「ダイチさん、それは……」

「バードンさ。エックスはバードンを殺したんじゃなく、この姿に変えたんだよ。この姿でなら、卵と一緒に生きられる。親子一緒に」

 

 と語るダイチだが、アインハルトは疑問を呈する。

 

「でも、人形ですよ。生きてると言えるんですか?」

「確かに、いつまでもこのままって訳にはいかない。でも、いつか元に戻す技術を、共存できる方法も発見する。……豊かな世界なんだ。恵みを分け合える方法はきっとある。俺はそれを探していく。エックスが、時間をくれたんだから」

 

 その言葉を受けて、アインハルトはつぶやく。

 

「倒すのではなく、理解する……その可能性を、ダイチさんは探していくんですね」

「ああ。この世界は可能性のかたまりだからね。俺はそう信じてる」

 

 ダイチの言葉に、アインハルトは思考する。

 

(可能性……私も、本当の強さの可能性を探していこう……ダイチさんみたいに)

 

 アインハルトはダイチの顔を見上げて、己に誓ったのだった。

 

 

 

 エリアT7-Bの、地下道の工事現場。大勢の作業員が開拓中の地下トンネルの中に入っていき、猫車で土砂を運んだりドリルで岩石を砕いたりなどの作業を続けている。

 複数のドリルの振動が合わさり、更に地下深くへと伝わっていく。その先には、ある地底怪獣のスパークドールズ、そして……一個の石碑が埋まっていた。現在の世では、それが何のために作られたのかも忘れられたものだ。

 上から伝わるドリルの振動によって、古ぼけた石碑の表面にひび割れが起こる。

 すると……そのひびから、何か「黒いもの」が、誰にも知られない中、ゆっくりと漏れ出てきた……。

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「今回の怪獣はゴモラだ!」

ダイチ「ゴモラは『ウルトラマン』第二十六、七話「怪獣殿下」から登場した人気怪獣! 大怪獣バトルの主役にも抜擢されたんだ!」

エックス『元々は人畜無害だった怪獣だから、近年では味方の怪獣となることが多いな』

ダイチ「『ウルトラマンX』でも主人公・大地の大切な友達として物語の重要な鍵を握ったんだ。サイバーゴモラというバリエーションも登場したぞ!」

エックス『サイバーゴモラはゴモラアーマーとしてエックスを助けたな!』

ダイチ「第十九話「共に生きる」ではスパークドールズの実体化実験のモニターとして選ばれたけれど、ダークサンダーエナジーとM1号の介入で大変な事態になってしまったんだ……」

エックス『この話は、共存のあり方とその難しさを描き出していたな』

ダイチ「ゴモラは映画でも、その勇姿を見せてくれるのかな」

エックス『うむ、気になるところだ』

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 地底怪獣テレスドンを操る謎の女……その攻撃に、街から明かりが奪われていく! 暴れ回るテレスドンを倒すために出す、新たなモンスジャケット。それは……。次回、『夜を呼ぶ歌』。
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