光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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なまえをよぶ(B)

 

 ダイチがなのはに連れられて海鳴市にいる頃、ヴィヴィオたちチームナカジマはリオの故郷『ルーフェン』を訪れていた。そしてリオの実家である春光拳道場の伝統的な練武場「三岩窟」に挑戦している真っ最中だった。

 三岩窟はその名の通り、「技」「力」「心」を試す三つのルートがあり、アインハルトとリオはその内の「力」のルートの最奥部まで到着した。

 

「はぁぁっ!」

 

 最後の試練として、ゴール地点に立ちはだかる堅牢な扉二枚をリオ、アインハルトの順に攻撃。壮大な轟音と衝撃とともに扉は破壊され、その奥に鎮座してあった宝箱を発見する。

 

「力ルートの宝発見だ!」

「おたから~! 中身は?」

 

 リオが宝箱を開くと、中身は、

 

「最新型の魔力負荷バンドだ! 春光拳道場でも有段者だけが使える本格仕様だってさ! キッツイぞ~」

「いいですね!」

「にゃあ!」

 

 ノーヴェの説明にアインハルトは嬉しそうにしたが、リオは引きつった苦笑い顔だった。

 

「嬉しくないことはないんですが……」

「まぁ喜びづらくはあるかも……」

 

 リオとユミナが微妙な顔をしていたその時、後方からゴトッ、と乾いた音がした。

 

「ん? 何だろ?」

 

 振り返った四人が扉の跡を踏み越えて鍾乳洞の広間に戻ると、先ほどまではなかった宝箱を発見した。

 

「宝箱……? もう一個あったんですか?」

「いや、そんな話は聞いてないけど……」

 

 呆気にとられるノーヴェ。新しく出てきた宝箱は、魔力負荷バンドを入れてあったものとは違ってかなり古ぼけていた。

 洞窟の天井を見上げると、宝箱のちょうど真上が裂けていた。

 

「どうやら、さっきの衝撃で上から落ちてきたみたいだな。随分古いものみたいだし、ずっと昔に運び込まれたまま忘れ去られてたものか……?」

「ってことは、本物の春光拳のお宝ってことですか!? すごーい、大発見っ!」

 

 つい先ほどとは打って変わってテンションを上げたリオが宝箱に飛びつく。

 

「あっ、ちょっと待ってリオちゃん。こっちに紙も落ちてる。宝箱の説明かも」

 

 ユミナが地面に落ちてあった紙を拾い、書かれている文を読み上げた。

 

「何なに……『危険。開けるべからず』。……え?」

 

 ユミナ、アインハルト、ノーヴェがリオの方に振り向いたが、その時には既に遅く、リオは蓋を開いていた。

 

「えっ……!? こ、これって……」

 

 当のリオは、唖然とした顔で宝箱の中身を両手で持ち上げた。

 

「どう見ても……スパークドールズだよね……?」

 

 リオの手にしているもの。それは真っ赤な体色の、首の左右にそれぞれ目とクチバシのついた怪獣の人形であった。

 アインハルトたちは一瞬硬直し、次いでノーヴェがXio隊員の顔になってリオに言いつける。

 

「リオ、そいつを宝箱の中に戻して蓋を閉じろ! ゆっくりとだ! いいな、ゆっくりとだぞ!」

「ご、ごめんなさ~い!」

 

 しかしリオは何故か謝る。その理由は、

 

「もう遅いみたいです~! ドクドク脈打って、ちょっとずつ大きくなってます~!」

「!!?」

 

 ノーヴェは即座に変身。アインハルト、ユミナ、リオを一気に抱え上げてその場から全速力で離れていく。

 

「オットー! ミカヤちゃん! 緊急事態だぁーっ!!」

 

 他の二つのルートのチームに緊急連絡を入れるノーヴェの背後で、宝箱の中に落下したスパークドールズの手足が、内側から箱を突き破ってどんどん大きくなっていく。

 

「ガガァッ! ガガァッ!」

 

 

 

 なのははダイチに向かって、話を続ける。

 

「ダイチくんの目指そうとしているところ……怪獣との共存。怪獣と友達になること……それはわたしの場合よりもずっと難しいことだよね。わたしなんかよりもずっと苦労しなくちゃいけない、すごく大変なこと……。でも、ダイチくんの想いは紛れもない本物だって、わたしが保証する。その気持ちと、どんなことにもあきらめない心があれば、どんな辛い道のりも乗り越えて、共存を実現できる……怪獣と友達になれるよ。友達になるってことは、自分の都合の押しつけなんてことじゃ絶対にない」

 

 確信を持ってダイチに説くなのは。しかしダイチにはまだ迷いがあった。

 

「でも、俺が目指すところというのは、結局は怪獣に本来の生き方をさせないことなんですよ……。それを強いておいて友達だなんて、厚かましいことなんじゃ……」

 

 その言葉に、なのはは静かに首を横に振った。

 

「確かに、怪獣に生き方を変えさせなくちゃいけなくはなるだろうね。でも、仮に怪獣を本当に自由にさせたら街に、人間に大きな被害が出ちゃうんだよ。怪獣にばかり負担を掛けさせるのも共存とは違うけど、人間が一方的に苦しまなくちゃいけないのも、共存として間違ってるよね?」

「あっ……!」

 

 ダイチは、なのはの指摘に得心させられて思わず声が出た。M1号に言われたことが頭を占めるばかりに、その点を完全に忘却していた。

 なのはは今の話に続けて、己の考えを述べる。

 

「人間の都合を怪獣に押しつけるのでもなく、怪獣の好きなようにばかりさせるのでもなく……お互いが一緒にいられるのに一番いい世界を模索して、新しく作っていくことが共存だと、わたしは思う。だって、嬉しい時も苦しい時も寄り添い合って、分かり合っていくのが友達だもの。わたしは、ずっとそうしてきた」

「世界を、新しく作っていく……?」

「そう。人間と怪獣の共存は、この世界のどこにも未だ来てないものなんだから。だから、これから探していくんだよ! 途中で何度も苦しんで、傷ついて、時には泣いたりしたっていいの。それでも折れずに未来を探し続ければきっと……ううん、必ず答えは見つかるよ!」

 

 ぐっ、と手を握って力強く言い切るなのはの語ったことに、ダイチはいつの間にか目が覚めるような気持ちになっていた。

 思えば、M1号の言ったこともあくまで見解の一つでしかないのに、衝撃的だったあまりにそれに振り回され過ぎていたのかもしれない。なのはの言った通りに、これから作っていくものに対しての回答を、過程をすっ飛ばして求めようというのがそもそもの誤りだったのではないか。焦らずに、一歩一歩着実に探している未来に近づいていく……。この地道な道のり以外に、未来への一番近い道なんてあるはずがない。

 しかし、ダイチにはまだ一つだけ、不安なことがあった。

 

「でも、怪獣と友達になると言っても、怪獣は俺のことを「友達」と思ってくれるでしょうか。思い返せば、まぁある意味では当然のことではありますが、働きかけるのはこっちばかりで、向こうが俺をどう思ってるのか確かめたことはほとんどありませんでした……」

 

 それについてはなのはも少し悩む。

 

「うーん、難しいことだね。相手が自分を友達と思ってるのかどうかということに確証を持つのは不可能だからね。相手の頭の中が覗き込める訳じゃないんだから……。だから、そんな時には――」

 

 一旦言葉を区切って、なのはは告げる。

 

「相手を信じる。わたしはそうしてるよ」

「信じる――」

「まずは、名前を呼ぶこと。そこから始めて、一緒にお話しをしていって……相手を信じて続けていけば、いつか見えない絆が感じられる時が来るよ」

 

 そこまでのなのはの話を受けて――ダイチの顔つきは、ここ最近のものからはすっかり様変わりしていた。晴ればれとしたものになっていた。

 

「なのはさん、ありがとうございます。お陰で、見失ってた進むべき道を見つけ出すことが出来ました」

 

 なのはに向かい合って、深々とお辞儀して感謝の意を表す。

 

「うん、元気が戻ったみたいだね。わたしがお役に立てて、本当によかったよ。これからもがんばって! わたしはいつでも応援してるし、また何かあった時はいつでも相談に乗るからね♪」

「はい! ありがとうございます!」

 

 ダイチがもう一度お礼を言ったその時、エックスがいきなり声を張り上げた。

 

『ダイチ! ルーフェンで大変なことが起きているぞ!』

「えっ、ルーフェンで?」

 

 突然の話に、ダイチもなのはも目を丸くした。

 

『ノーヴェからXio本部への通信をキャッチした。詳しくはこれを見てくれ!』

 

 デバイザーに、現在のルーフェンの三岩窟の状況が表示された。

 

『ガガァッ! ガガァッ!』

 

 洞窟を内側から突き破って、真っ赤な双頭の怪獣が出現。左右のクチバシを開いて、辺り一面に火炎を振りまいている。

 

「双頭怪獣パンドンっ!」

 

 思わず叫ぶダイチ。しかもパンドンと火の海に追われている集団の姿が、ダイチたちの目に入る。

 ヴィヴィオたちである。どうにかパンドンが実体化し切る前に洞窟内から脱出することは出来たが、パンドンに追い回されているのだ。

 

「ノーヴェっ! みんなっ!!」

「ヴィヴィオ!!」

 

 仰天する二人に、エックスは続けて告げた。

 

『ルーフェン支部のXioが出動したが、到着まで半刻は掛かるだろう……。今のままでは彼女たちが危ないっ!』

 

 ジオマスケッティがあるのはミッドチルダのXio本部だけ。支部の機動力では、今まさに襲われているヴィヴィオたちを助けるのが間に合うかどうか。

 それを受けて、ダイチは決心を固めた目つきでなのはへ顔を上げた。

 

「なのはさん、今日は本当にありがとうございました。――俺、行きます!」

「行く? 行くってどこに?」

 

 一瞬唖然とするなのは。普通に考えれば、別次元にいるダイチがルーフェンの現場に今から向かって間に合うなんてこと、どう考えても不可能だ。

 

「――このままじっとしてることは、出来ないんです!」

 

 重要な点ははぐらかして告げたダイチに、なのはは少しの間呆気にとられてから、固くうなずいた。

 

「よく分からないけど……何か大切なことをするんだね。分かった、わたしに遠慮しないで行っておいで」

「ありがとうございます! それではっ!」

 

 橋の上から駆け出して、町の中へと消えていくダイチ。それを見送ったなのはの表情が……不意に驚愕に彩られた。

 ダイチの向かっていった方角から、ほんの一瞬の間だけだったが、ウルティメイトゼロジャケットを纏ったウルトラマンエックスが空へと飛び上がるのが見えたからだ。

 エックスは次元を跳躍してすぐに消えた。が、なのははしっかりと彼の姿を捉えていた。

 

「レイジングハート……今の、エックスだったよね?」

[It’s all correct.(間違いありません)]

 

 レイジングハートも認めた。なのはは、呆然としながらつぶやく。

 

「まさか……ダイチくん……」

 

 

 

「ガガァッ! ガガァッ!」

 

 パンドンは辺りの森林に容赦なく火を放ち、瞬く間に火炎地獄に変えていく。ヴィヴィオたちはたちまち四方に逃げ場を失い、火災に巻かれて立ち往生する。その上パンドン本体も迫ってくる。

 

「熱っ! 熱いっ! 灼熱地獄だよぉ~!!」

「怪獣こっちに来る~! 死んじゃうぅぅぅぅ~!!」

「うるさいですわっ! 仮にも武道家の端くれなら、取り乱すんじゃありませんっ!」

 

 パニックになって絶叫するイェン・ランカイとシュエ・ローゼンをアイリン・ハーディンが叱り飛ばしたが、彼女も内心では非常に焦っていた。ルーフェン在住の彼女たちは、怪獣を生で見ることなど初めてだからだ。

 ノーヴェは徐々に近づいてくるパンドンを見上げると、次いで皆に振り返った。

 

「あたしが怪獣の気を引きつける! みんなはその間に避難してくれ!」

「ノーヴェ! 一人では危険だ!」

「私たちも協力します!」

 

 オットーとディードはそう申し出たが、ノーヴェは断る。

 

「囮役なんて一人で十分だ。お前たちはちびっ子たちを安全に避難させろ! いいな!?」

 

 それだけ言い残して、ノーヴェは火炎を突っ切ってパンドンの方へ走っていった。

 

「そ、そんな無茶な!」

「危険すぎるよ、ノーヴェちゃんっ!」

 

 タオ・ライカクとリンナ・タンドラがノーヴェを止めようとしたが、それをヴィヴィオが制した。

 

「いえ、ノーヴェがああ言った以上は任せてあげて下さい。わたしたちはノーヴェの負担にならないように、素早く避難しましょう!」

「ここはノーヴェ先生のことをよく知るヴィヴィオ嬢ちゃんの言う通りにしようではないか」

 

 レイ・タンドラがヴィヴィオに賛同すると、正拳突きの風圧で火炎を吹き飛ばし、火災の中に一本道を作った。

 

「ほれ、今の内じゃ。脱出するぞ」

「わぁっ! すごいです総師範!」

 

 冷静沈着に避難を進めるユミナたちの姿に、イェンとシュエは大分呆然とする。

 

「リ、リオお嬢……お嬢のお友達って、この状況で随分落ち着いてますね……」

「まぁこういうことにも慣れてるからねー」

「流石ミッド民……」

 

 ヴィヴィオたちが逃げていく一方で、ノーヴェはパンドンの顔面めがけて魔力弾を当てて挑発する。

 

「おらっ! こっちに来い! 出来るもんなら、あたしを捕まえてみなっ!」

「ガガァッ! ガガァッ!」

 

 パンドンは挑発に引っ掛かって、エアライナーでヴィヴィオたちとは別方向に走るノーヴェを追いかけ出す。

 ここまでは狙い通りだが、ルーフェンにはプライベートで来たので、ウルトライザー・カートリッジも何もない。Xioルーフェン支部が到着するまで、無事に時間を稼げればよいのだが……。

 

「ガガァッ! ガガァッ!」

「くっ……!」

 

 しかしパンドンの放つ火炎放射は、二つの口から発せられることもあって範囲が広く、あっという間にノーヴェを取り囲んでいく。逃げても逃げても、ノーヴェは火の手に囲まれていく。

 やがて、火炎がノーヴェにまっすぐ飛んできた! 回避は出来ない。

 

「っ!」

 

 防御を全力で固めるノーヴェだが、その時――。

 

「トアァァァァァッ!」

 

 次元の壁を越えて駆けつけてきたエックスが、パンドンに飛びついたのだ! パンドンがもつれ合って倒れたことで火炎はノーヴェからそれる。

 

「エックス!!」

 

 目を見張るノーヴェ。彼女の見上げる先で、エックスは堂々と立ち上がって戦いの構えを取った。

 

「ガガァッ! ガガァッ!」

 

 起き上がったパンドンは即座に狙いをエックスに移し、火炎攻撃を繰り出す。エックスはそれを腕で打ち払いながら距離を詰める。

 

「デヤッ!」

 

 パンドンにぶちかましを食らわせてひるませるエックス。パンドンは右腕を振るって反撃するが、エックスはその腕を止めて首筋に水平チョップ。

 

「セイヤァァァァァッ!」

 

 そしてパンドンの身体をがっしり掴んで、高々と投げ飛ばした!

 

「ガガァッ! ガガァッ!」

 

 地面にまっさかさまに叩きつけられるパンドン。エックスは上半身を振りかぶってザナディウム光線の構えを取ろうとしたが……。

 

「グッ……!?」

 

 途中でその動きが止まった。

 

「どうしたんだ、エックス……?」

 

 ノーヴェは様子のおかしいエックスを、怪訝な顔で見上げた。

 

「ガガァッ! ガガァッ!」

 

 その隙に置き上がったパンドンがエックスに火炎放射を命中させる。

 

「グゥッ!」

 

 うめいたエックスに突進し、頭突きをぶち込んだ。

 

「グワァァッ!」

 

 突き飛ばされるエックス。その中のダイチが、パンドンに向かって呼びかけた。

 

『「やめてくれ! 暴れないでくれ!」』

「ガガァッ! ガガァッ!」

 

 だが怪獣に言葉が通じるはずもない。パンドンはダイチの頼みとは裏腹に、ますます凶暴になって火を吐き続ける。

 エックスはダイチに告げる。

 

『ダイチ! 今のままでは言うことを聞かせるなんてとても無理だ! そのためには、一度スパークドールズにする必要がある』

『「……」』

『いいな?』

 

 エックスは高く跳躍してパンドンの頭上を取り、手足をX字に伸ばす。

 

『アタッカー! エーックス!』

 

 火炎攻撃がパンドンの脳天に炸裂し、更に爆風が辺りの火災を吹き飛ばして鎮火。

 

「ガガァッ! ガガァッ!」

 

 エックスが動きの止まったパンドンの正面に着地すると、ダイチは応じた。

 

『「――ああ! やろうっ!」』

 

 エックスのカラータイマーが黄色く輝いた!

 

「シェアッ!」

 

 そして右腕を斜め上に突き上げ、左脚と腰を後ろへ回して上半身をねじった。光が周囲にほとばしる。

 ダイチはパンドンへと告げた。

 

『「ごめんな……。けど俺は――君と話がしたいっ!」』

 

 エックスはひねった上半身を戻す勢いで、両腕をX状に組んだ。

 

「『ザナディウム光線!!」』

 

 放たれるザナディウム光線! それがパンドンに突き刺さった!

 

「ガガァッ! ガガァッ!」

 

 パンドンの身体が爆発。飛び散った光が一点に集まっていき、圧縮されたパンドンのスパークドールズが焼け野原の上に転がった。

 

「……シュワッ!」

 

 パンドンをスパークドールズに戻したエックスは、両腕を空高く伸ばして、ルーフェンの地から飛び去っていった。

 

 

 

 ――なのはに海鳴市に連れていってもらい、ルーフェンでパンドンを倒したその日の晩。

 

「これでよし……っと」

 

 ダイチはラボの一角で、回収されたパンドンも含めて、Xioベースにある全てのスパークドールズを己の前に並べた。

 

「相手を信じる……。まずは、名前を呼ぶこと、か……」

 

 なのはから言われたことを繰り返したダイチは、ガウリンガルを起動して、口を開く。

 

「ゴモラ。エレキング。ベムスター。ゼットン……」

 

 自分の前に並べたスパークドールズの怪獣の名前を、端から呼んでいく。

 

「デマーガ。バードン。テレスドン……」

 

 全部の怪獣の名前を呼び終えてから、今度は自分の名前を告げる。

 

「改めて、俺はダイチ・オオゾラだ。……こうやってみんなと向かい合うのは、これが初めてだね。本当はもっと早くにこうするべきだったかもしれないね……。でも今更だけど、俺のこと、俺の目指してる夢を、みんなに聞いてほしいんだ」

 

 ダイチは己の抱えているものを、怪獣たちに語っていく。

 

「俺の夢は、みんなと俺たち人間が共に生きる世界を作ること。この夢の始まりは、十五年前、俺が君たちのことを知ってからで……」

 

 ――怪獣は言葉を発しないので、ダイチの語ることがどれほど受け止められているものか、知りようがない。

 しかし、ガウリンガルからは怪獣たちの鳴き声が、まるでダイチに応じるかのように発せられた。

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「今回はM1号だ!」

ダイチ「M1号は『ウルトラQ』第十話「地底超特急西へ」に登場した人工生命! ひょんなことからいまづま号の車内で誕生してしまい、大事故を引き起こしてしまったんだぞ!」

エックス『M1号の発した「私はカモメ」という台詞は、元々は宇宙飛行士テレシコワの名言のパロディだ』

ダイチ「その後長らく出番はなかったんだけど、四十五年後の『ウルトラゾーン』で久々に再登場を果たしたぞ」

エックス『コントコーナーで、主にボケで活躍してたな』

ダイチ「ひょうきんなイメージのM1号だったけど、『ウルトラマンX』ではそのイメージを丸きり覆すようなキャラクターになって登場した! 作品のテーマそのものに疑問を投げかけるシリアスな役どころで活躍したんだ!」

エックス『宇宙人ではなく、まぎれもない地球の生物で、それも人の作った生命体が共存に異を唱えるというところが重要なんだろうな』

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 突然現れた凶暴な怪物、スペースビースト! 同じ時、海鳴市に住むクロノ副隊長の家族に、怪獣ベムラーが迫る! 絶体絶命の状況の中、光とともに、銀色の巨人が舞い降りた! あのウルトラマンは一体……? 次回、『絆 -Unite-』。
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