光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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絆 -Unite-(B)

 

 スペースビースト掃討作戦完了後、本部に帰投した特捜班は、作戦中に突如現れた謎のウルトラマンの記録映像を確認していた。

 

「もう一度再生します」

 

 モニターの中で、ウルトラマンが地表から高空へ向けて飛び立ち、ミッドチルダから消失する様子が流された。

 

「巨人はこの後、97管理外世界でベムラーを倒して消え去ったようです」

「まさか、管理外世界に怪獣が現れるとはな……」

 

 深刻な表情になるカミキ。その事例は、実に初めてのことであった。

 アルトは管理局の調査結果を報告した。

 

「97管理外世界は何度か複数の管理世界との交流を行っており、その中でスパークドールズが紛れ込んだものと推察されます。古代遺物管理部は、他にも管理外世界にスパークドールズが存在しないか、過去の交流記録をさかのぼりながら調査を行ってます」

「うむ……。二度とこんなことがあってはならない。調査を徹底するようにと管理部に伝えておいてくれ」

「それはいいんですけど」

 

 ワタルがモニターのウルトラマンを見つめながらつぶやく。

 

「巨人は、何でいきなりそんな場所に……?」

「私が未熟だからだ」

 

 その直後に、本部にクロノが姿を現した。

 

「副隊長! ずっと姿が見えなくて、心配しましたよ」

「今までどこ行ってたんです?」

 

 チンクとノーヴェの質問に答えず、クロノはカミキに面と向かう。

 

「処分して下さい。副隊長の立場でありながら、作戦中に命ぜられた現場を離れ、自分の子の元へ向かいました」

 

 そう告げると、カミキのデスクの上にXio並びに管理局のライセンスを置く。

 

「待て……。話が見えない」

 

 カミキがどういうことか問いただすと、クロノはモニターのウルトラマンへ振り返って告白した。

 

「あの巨人は……私です」

 

 皆が驚きを露わにして、当惑の表情を浮かべた。

 

「副隊長がウルトラマンに変身した……!?」

「マジで……?」

「だからいきなりいなくなったのか……」

「選ばれたのか……!」

 

 クロノは己をウルトラマンに変えた短刀状のアイテム――エボルトラスターを取り出す。彼が手をかざすと、エボルトラスターの発光部が仄かに輝いた。

 グルマンが言う。

 

「その光……まさしくウルトラマンの波長のもの!」

「じゃあ、本当に……!」

「おっどろいた~……」

 

 ディエチ、ウェンディたちが見ている前で、クロノはエボルトラスターに目を落としたまま口を開く。

 

「……ヒカルやショウ、トウマ・カイト……彼らの世界では彼らがウルトラマンに変身していた。それと同様に、このミッドにもどこかにエックスに変身して戦ってくれている者がいる。それは分かっていました。……ですが、私がウルトラマンに変身する日が来るなんてことは、考えたこともありませんでした……!」

 

 ぐっと眉間に皺を寄せ、頭を振るクロノ。

 

「……いえ、これに触れたことで思い出しました。三年前のクラウディア、あの時に私は一度ウルトラマンに助けられていた! 力を使い果たし意識を失った私の代わりに救援信号を発してくれた! そして私はウルトラマンの意志に沿い、ここへ来た……! 恐らく、今日この日に現れるあの未確認生命を倒すために……」

「それじゃあ、副隊長が副隊長になったのは、自分の意志じゃなかったってこと……」

 

 言いかけたウェンディが、チンクとノーヴェに口をふさがれた。

 

「……そして今日、窮地に陥った私の前にウルトラマンは再び現れ、私は彼に変身し……」

「自分の子供を助けるために飛んだという訳か……」

「はい……」

 

 カミキへと顔を上げたクロノには、自責の感情が表情に出ていた。

 

「任務遂行中に独断で現場を離れるなど、許されない命令違反です!」

「待って下さい! お子さんは助かったんですか?」

 

 思わず話に割り込んだダイチに、首肯するクロノ。

 

「副隊長と一緒にいた女性も一命を取り留めました。俺たちも全員無事です。なら何が問題なんですか?」

 

 ワタルとウェンディはダイチの言葉にうなずくものの、彼らにカミキが説く。

 

「次に同じことが起こっても、同じことをする……! 次の結果が同じとは限らない……。そう言いたいんだ」

 

 カミキの言葉を、クロノは無言で肯定。握り締めた手が震える。

 

「恐らく……次も……その次も……私は命令よりも己の子供を優先し……! 今は……副隊長の職務を全う出来ません! 失礼します……!」

 

 カミキに頭を下げ、クロノは早足でオペレーション本部から離れていった。

 

「副隊長!」

「副隊長、待って……!」

 

 それを引き止めようとしたスバルたちをカミキが制止。

 

「何も言うな!」

「でも、クロノさんほどのベテランが……!」

「ベテランだからこそ……! 自分の行動に動揺してるんだ。今はそっとしておいてやれ」

 

 カミキはそう言ったが、ダイチはクロノの去った後をじっと見つめていた。

 

 

 

 オペレーション本部から飛び出したクロノは、基地の屋上で一人空を見上げ、何をするでもなくたたずんでいた。

 そこに立体モニターが開き、フェイトの顔が空中に表示された。

 

『クロノお兄ちゃん』

「フェイトか……」

『アルフとスバルから話は聞いたよ。ウルトラマンになったこと……カミキ隊長に処分をお願いしたってこと』

 

 フェイトの言葉に、クロノは大きくため息を吐いた。

 

「恥ずかしいことを知られてしまったな……。幻滅しただろう。あれほど規律にうるさかった僕が、独断行動に走ったなんて」

『そんなことは……。アルフとエイミィも感謝してたよ。お陰でカレルたちは助かったって。自分の子供でも、人の命を助けることが恥ずかしいなんてこと、あるはずないよ』

「どんな理由があろうとも、規則違反は規則違反だ」

 

 クロノの返しに苦笑するフェイト。

 

『相変わらず真面目だね。私たちのわがままはあんなに叶えてくれてたのに、自分のわがままは一つも許せないなんて』

「僕のような立場の者がいるから、君たちを自由にさせてあげられたんだ。僕が勝手なことをしては、大勢の人間が迷惑を被る。そんなことはあってはならないから、自分を律してたというのに……」

『そうだけど……でも、だからって副隊長を辞めたりはしないで。そんなこと、誰も望んではいないんだから』

 

 思い悩んでいるクロノを説得するフェイト。

 

『ウルトラマンがお兄ちゃんを助けて、自分に変身する相手として選んだのは……きっと、クロノにヒーローの資格を見出したからだよ。ウルトラマンに選ばれた人が副隊長失格だなんてことは、私には信じられないな』

「フェイト……」

『――とにかく元気を出して、いつものように若い子たちをビシバシ指導してやって下さい! みんなそれを待ってますよ、クロノ副隊長!』

「ああ……ありがとう、フェイト執務官」

 

 互いに敬礼し合うと、通信が切れてフェイトの顔が消え去った。

 その後にダイチが屋上に上がってきて、クロノに尋ねかける。

 

「ウルトラマンになった時……どんな気持ちでしたか?」

 

 ダイチに振り返ったクロノは、彼の問いにこう答えた。

 

「やるべきことがある……出来ることがある。そんな確信と使命が、自分の中に流れ込んできたような気がする」

「……」

「ウルトラマンになるということは、その使命を背負うことなのかもしれないな」

 

 クロノの言葉を真剣な面持ちで受け止めているダイチに、クロノは不意に口元を緩めた。

 

「しかし、それは今までの管理局員としての人生でも同じことだった。……いや、人間誰しもが何らかの使命を背負っている。ウルトラマンだからと特別なことではないのだと思う」

「……!」

「何……命を救ったこと、それ自体には何の後悔もないさ。私は、人としては正しいことをした。それだけは確信を持って言える」

 

 ダイチに告げたクロノの元に、彼の家族からの通信が入った。

 

『お父さーん!』

『クロノくん、カレルはもう元気になったよ。安心して』

『うん! もう大丈夫!』

「そうか、よかった……」

 

 安堵の息を吐いたクロノは、ダイチに顔を向けて断りを入れる。

 

「すまない、少し席を外させてもらう」

 

 クロノが離れていくと、エックスがダイチに向けて告げた。

 

『君に戦いを強いたのは私だ……。君には、辛いことの連続だったな……』

「ううん」

 

 自責するエックスに、首を横に振ったダイチは告げ返す。

 

「君のお陰で、怪獣との共存という夢を向き合えたんだ」

 

 

 

 ――翌日、エリアT-1のスペースビーストが出没した地下駐車場に、ダークサンダーエナジーが落下した!

 

「ウギィ――――――!」

 

 そして路面を吹き飛ばし、巨大化して両肩に角を生やしたバグバズンブルードが地上へ飛び上がってきた! 悲鳴を上げて逃避を始める大衆を見回すと、彼らを追いかけ出す。

 

「キィィィィ――――! グワアアアアッ!」

 

 更に同じ穴から、クラインがダークサンダーエナジーによって急激に成長、肥大化したペドレオン・グロースも這い出てきた。バグバズンと同様に市民を狙い、活動を開始する。

 二体の巨大化したスペースビーストに、駆けつけたスカイマスケッティと特捜班が攻撃を加えて牽制を図る。

 

『ダイチ! 昨日の生き残りだっ!』

 

 現場に駆けてきたダイチはエクスデバイザーを持ち上げ、エックスに呼びかけた。

 

「エックス、ユナイトだ!」

『よぉし、行くぞっ!』

 

 ダイチは迅速にユナイトを行い、ウルトラマンエックスに変身する。

 

「イィィィーッ! サァ―――ッ!」

[エックス、ユナイテッド]

 

 街の中に降り立ったエックスだが、そこにいきなりバグバズンが飛びかかってきた!

 

「ウギャアア―――――ッ!」

「ヌァッ!」

 

 エックスに張りついて滅茶苦茶に爪を振るってくるバグバズン。エックスは反撃の暇もなくひたすらに押される。

 

「エックスが危ないっ!」

「援護射撃!」

 

 ウェンディとディエチが魔力弾を発射してバグバズンをひるませる。

 

「ウギギィィィッ!」

「テアッ!」

 

 その隙にエックスはキックを入れてバグバズンを蹴り飛ばしたが、追撃を掛けようとしたところに今度はペドレオンの飛ばした火球を肩に食らう。

 

「グアァァッ!」

「キィィィィ――――!」

 

 エックスを狙うペドレオンにはノーヴェが衝撃波を放ち、注意を引きつけた。

 

「お前の相手はこっちだ、ナメクジ野郎! ぶっ潰してやるっ!」

 

 啖呵を切るノーヴェだが、そこをチンクが制する。

 

「ノーヴェ、奴を下手に刺激するのはまずい!」

「えっ!?」

「解析の結果、奴の体内の可燃物も増加して、ギッシリ詰まってることが判明した。避難が完了してない状態で爆発されたら大惨事だ!」

「くっそ! 厄介な性質してやがるな……!」

 

 ノーヴェたちがペドレオンの相手にてこずっている間に、バグバズンが再びエックスに襲いかかった。

 

「ウギィィ―――――ッ!」

「デアァッ!」

 

 エックスの脚を捕らえ、ビルごとエックスを押し倒した。マウントポジションから鋭い爪をボディに叩きつける。

 

「ウッ! グッ!」

 

 エックスは自分の上からバグバズンを突き飛ばすと、立ち上がって密着態勢からの膝蹴りを見舞う。が、足を刈られて地面に叩き伏せられた。

 

「ウギィィィィィィッ!」

「グアァッ!」

 

 

 

 エックスの苦戦を本部で目撃したクロノ。彼は横に立つカミキに告げた。

 

「やはり私は謹慎です……! また任務を離れますっ!」

 

 それだけ言い残し、クロノは駆け出していく。

 

「クロノぉっ!」

 

 カミキの制止も振り切って、クロノは本部を飛び出していった。

 

 

 

「キィィィィィィィッ!」

 

 バグバズンはエックスに馬乗りになり、腹部に爪を何度も突き刺す。

 

「グアァァァッ! グウウゥゥッ!」

 

 傷口から光の粒子が漏れ出てもがき苦しむエックス。カラータイマーが点滅して危険を知らせる。

 特捜班が引きつけているペドレオンの方は、打倒手段の用意が整った。

 

「凍結準備完了! 奴を凍りつかせたら、スバル、デバイスゴモラで粉砕するんだ!」

「うん! そしてエックスの援護を……!」

 

 チンクにうなずいたスバルがデバイスゴモラをリアライズしようとする。しかしその時、

 

「キィィィィ――――!」

 

 ペドレオンが肉体から二本の触手を伸ばし、それぞれに逃げ遅れている市民を捕獲した。

 

「うわあああ―――――――!?」

「助けてぇぇぇぇ―――――――!」

「グワアアアアッ!」

 

 そして彼らをスバルたちの方に突き出して、己の盾にした!

 

「なっ!? 市民を人質に……!」

「卑怯なっ……!」

 

 スペースビーストは昨日、特捜班が人間を攻撃できないことも学習していたのだ。

 

 

 

 基地の屋上まで駆け上ったクロノは、エボルトラスターを鞘から抜いて掲げる。

 エボルトラスターから光が溢れ出て、クロノの身体をウルトラマンのものへと変貌させた!

 

「ジュアッ!」

 

 クロノの変身したウルトラマンは、左腕に備えたブレード状の武装を輝かせる。

 

「シェアッ!」

 

 するとその銀色の身体が赤く染まる――アンファンスからジュネッスの形態へと二段変身したのだ。

 そしてウルトラマンは、エックスたちが戦っている現場へと一直線に飛んでいく。曇り空に赤い軌道が線となって残った。

 

 

 

「ウギィィィィ―――――ッ!」

「グッ……デアァッ!」

 

 エックスはどうにかバグバズンの隙を見つけ、腹に足の裏を押し当てて力ずくで蹴り上げた。バグバズンは高々と宙を舞ったが、高層ビルの屋上に着地する。

 

「ウギャアアアアッ!」

 

 エックスが見上げる先で、四点着地したバグバズンの肉体に変化が発生した。

 甲殻に突然上下にひび割れが走ったのだ!

 

「ヌッ!?」

 

 バグバズンの甲殻が左右にパックリ割れて――その下から、虫に近づいた細長い身体のビーストが現れた! 首から三本の角が生え、両手はカマ状になっている。

 

「ウギャアァァァ――――!」

『「変態した!?」』

 

 驚愕するダイチ。バグバズンブルードはダークサンダーエナジーによって体組織が急激に変化し、上位種のバグバズングローラーへと変貌を遂げたのであった!

 

『脱皮したことでより力を増したはずだ! 気をつけろ、ダイチ!』

 

 警告するエックス。そしてバグバズングローラーが羽を広げて屋上から飛び立ち、エックスに飛びかかってくる!

 

「ウギャアァァァ――――!」

「ジェアァァァッ!」

 

 ――そこに横から飛び込んできた、クロノの変身したウルトラマンが飛び蹴りを仕掛け、バグバズンを弾き飛ばしてエックスを救った。

 

「ウギャアァァァ――――!!」

『「副隊長!?」』

 

 道路上に倒れ込むバグバズン。一方、着地したウルトラマンはペドレオンに捕らわれている市民に向けて光の帯を飛ばす。

 

「シェアッ!」

 

 光の帯は触手から市民二人をもぎ取り、ウルトラマンの手中に移した。人の命を救う光、セービングビュート!

 

「キィィィィ――――!?」

 

 ウルトラマンは更にセービングビュートで助け出した市民をスバルたちの元へと下ろした。スバルらは即座に二名を避難させていく。

 

「大丈夫ですか!? こちらへ!」

「は、はいっ……!」

 

 スバルはウルトラマンを見上げて、静かに頭を下げた。

 

「キィィィィ――――! グワアアアアッ!」

「ウギャアァァァ――――!」

 

 ペドレオンは起き上がったバグバズンとともにエックスとウルトラマンを警戒。

 

「シュアッ!」

 

 するとウルトラマンは右腕を立てた左腕の武装に重ね合わせる。握り締めた右手に光が宿ると、ウルトラマンは右腕を水平に回していき、宿った光を天高く射出した。

 

「ヘアァーッ!」

 

 空に向かって伸びていった光は途中で傘のように拡散して、ウルトラマンたちとスペースビーストを覆い込む光のドームと化していく。

 

『「これは……?」』

 

 エックスとスペースビーストが戸惑っていると、光のドームは完成と同時に彼らの姿を地上から完全に消し去った。

 

「消えた!?」

「どこへ行ったんだ……!?」

 

 唖然と辺りを見回すワタルとハヤトに、ラボからシャーリーが答えを伝えた。

 

『別位相にウルトラマンと未確認生命の反応をキャッチ! 隔離空間を作り出して、自分ごと未確認生命を閉じ込めたみたいです!』

「別位相ぉ!? 広域結界みたいなもんスか!?」

「そんなことも出来るのか、あのウルトラマンは……!」

 

 それがクロノの変身したウルトラマン固有の能力、フェーズシフトウェーブ。周囲に被害が及ばないように独自の空間――メタフィールドを作り、その中で凶悪な敵と戦うのだ!

 

 

 

「ヘアァッ!」

 

 まさにメタフィールド内では、二人のウルトラマンがバグバズンとペドレオンに突進していって戦闘を続行していた。

 

「シェアッ!」

「ヘアァッ!」

 

 ウルトラマンはスライディングでペドレオンのバランスを崩し、転倒させる。エックスはバグバズンに飛びついて抑え込みながら打撃を見舞う。

 

「キィィィィ――――!」

「ウギャアァァァ――――!」

 

 倒れたところに連続パンチをもらうペドレオン。バグバズンは両手のカマを振り回してエックスを振り払い、羽を広げて上から飛びかかろうとしたが、そこにウルトラマンがすかさず光の刃、パーティクル・フェザーを繰り出して羽を切断した。

 

「シェアァッ!」

「セアッ!」

 

 飛び立てずに落下したバグバズンに、エックスが空中回し蹴りを頭部に叩き込んだ。

 

「グワアアアアッ!」

 

 ペドレオンが起き上がって無防備なウルトラマンの背中に火球を撃とうとしたが、すかさずエックスがタックルして妨害。バグバズンはカマをウルトラマンに突き出すもいなされ、カウンターのキックで吹っ飛ばされた。

 

「キィィィィ――――!」

「シェアァァァッ!」

 

 ペドレオンはなおも火球を放とうとしていたが、そこにウルトラマンが青色の光線を命中させた。するとみるみる内にペドレオンの体表が凍り、体温低下で火球が放てなくなる。

 

「キィィィィ――――!!」

 

 ウルトラマンは自分に変身したクロノの使用する凍結魔法を光線化して、ペドレオンに照射したのだ。更にエックスが全力のXスラッシュを食らわせた!

 

「テヤァァァーッ!」

「ヘアッ!」

 

 ウルトラマンは再度パーティクル・フェザーを放ってバグバズンをひるませると、続くエックスの渾身のミドルキックがクリーンヒットした。

 

「キィィィィ――――!」

「ウギャアァァァ――――!」

 

 ペドレオン、バグバズンが順番にメタフィールドの地面に土砂を巻き上げて倒れ込んだ。

 ここでダイチがエクシードXのスパークドールズをリードする。

 

[ウルトラマンエックス、パワーアップ!]

「『エクシード、エーックスっ!!」』

 

 エックスはエクシードXに二段変身すると、ダイチがエクスディッシュ・アサルトのタッチパネルを上から下になぞり、トリガーを引いた。

 刃部分にエネルギーが集中し、エックスは照準をスペースビーストに合わせる。

 

「シェアッ!」

 

 ウルトラマンは両腕の武装をクロスして重ね合わせて垂直に立てると、両腕の間にスパークがほとばしった。腕を肩の上へ伸ばすとスパークが最高潮になり、そして腕でL字を組む。

 

「『エクシードスマッシャーっ!!」』

 

 発射された虹色の光線とウルトラマンの必殺光線オーバーレイ・シュトロームが、バグバズンとペドレオンに直撃した!

 

「ウギャアァァァ――――!!」

「キィィィィ――――!!」

 

 スペースビーストは超破壊エネルギーに耐えられるはずもなく、一瞬にして爆裂。その跡に、細胞が崩壊して生じた青い光の粒子が宙に分散して消滅していった。

 うなずき合うエックスとウルトラマン。そしてウルトラマンの全身が発光するとともに、メタフィールドが解除されていった。

 

 

 

 元の世界に帰ってきたダイチは、陸橋にたたずむクロノの元へ駆け寄っていった。

 

「副隊長! 大丈夫ですか?」

 

 ダイチに向き直ったクロノは、呆然とした面持ちのまま彼に告げる。

 

「あきらめるな……」

「え?」

 

 そして、クロノの握っていたエボルトラスターが光に包まれて、手中から消え失せていった。

 クロノは顔を上げて、ダイチに続けて言う。

 

「あのウルトラマンが、君に伝えろと……そう言っていた気がする」

「俺に……ですか?」

「いきなりすまない。ただ……私はウルトラマンとつながりを持った。短い時間ではあったが……彼との絆は確かに存在したし、疎遠になっていた家族ともつながっているということも教えてもらった。だから……」

「俺も……怪獣たちとつながってるということでしょうか。それに父さんと母さんとのつながりも、消えていないと……」

「ああ……そういうことじゃないだろうか」

 

 クロノから受けた伝言で、ダイチは苦笑を浮かべた。

 

「何か、ウルトラマンに励まされてる気がします」

「その通りさ。何せ、たった一日だけだったが、この私がウルトラマンだったんだから。――今までの人生、裏方でいることが多かったが……ヒーローになってるのも悪い気分ではなかったな」

 

 おかしそうに笑い合ったクロノとダイチ。ダイチはふとつぶやく。

 

「名前……何て言うんでしょうか。あのウルトラマン……」

「そうだな……」

 

 クロノは少し考えてから、言った。

 

「絆……ネクサス。今頭をよぎった」

「ウルトラマン、ネクサス……」

 

 その時、ダイチはエクスデバイザーから音がするのに気づき、手に取った。

 デバイザーにはいつの間にか、ウルトラマンネクサスのカードが現れていたのだった。

 

 

 

 オペレーション本部に帰投したクロノは、皆の見ている前でカミキに深々と頭を下げ、謝罪をした。

 

「二度に亘る独断行動……弁明のしようもありません。隊長、どうぞ厳格な処罰をお願いします」

「隊長! 副隊長は……!」

 

 ダイチが思わずクロノをかばおうとしたが、カミキに視線で制されて反射的に口を閉ざした。

 そしてカミキは咳払いすると、頭を下げたままのクロノに向けて言い放った。

 

「独断行動? 一体何のことを言ってるんだ」

「は……?」

 

 クロノ、予想外の返事に呆気にとられて顔を上げた。

 

「あの時私は、君に出動命令を下したはずだが。まさか聞いていなかったのか?」

「! 隊長、それって……!」

 

 呆然とするクロノに反し、ダイチたちは一辺に喜色を浮かべた。

 

「た、隊長! それでは皆への示しが……!」

 

 クロノの反論をさえぎって、カミキは言い聞かせる。

 

「部下への手本となる副隊長ともあろうものが、上司の命令を聞き逃したというのはまことにけしからんな! クロノ・ハラオウン、君には反省文を提出してもらおう」

「……!」

「何をぼやぼやしている。副隊長にはやることが山積みなんだ、さっさと書き上げて早く仕事に戻れ」

「……了解です」

 

 苦笑したクロノは、カミキに敬礼して踵を返した。その周りにワタルたちが群がる。

 

「よかったですね副隊長! 反省文で許していただけて」

「も~、隊長の言うことはきちんと聞いてないとダメっスよ~?」

 

 ウェンディが冗談を飛ばすと、クロノは彼女たちを一喝する。

 

「上司をからかうな! お前たちは自分のやることを片づけろ! 今回の事件の報告書はまだなのか?」

「はーいっ! すぐに作成します!」

 

 ダイチたちは安堵した顔で笑い合いながら、散らばって各々の仕事に戻っていった。

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「今回の怪獣はベムラーだ!」

ダイチ「ベムラーは『ウルトラマン』第一話「ウルトラ作戦第一号」に登場した、長きに亘るシリーズで最初にウルトラマンと戦った怪獣! まさに『ウルトラマン』という作品の始まりを告げた記念すべき怪獣だ!」

エックス『最初の怪獣でまだ設定が固まってなかったのか、怪獣なのに囚人などの特異な設定が多く見受けられるぞ』

ダイチ「『ウルトラマンX』でも、映像の中で最初にスパークドールズから実体化した怪獣に選ばれたんだ」

エックス『この個体がどうなったのかは描かれなかったな』

ダイチ「また、別個体がカナダに出現して橘副隊長の娘を襲ったんだ。こっちはネクサスに倒されたと説明があったぞ」

エックス『ベムラーだったのは、最初のスペースビーストのザ・ワン・レプティリアのデザインモチーフがベムラーだからだそうだ』

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 ヴィヴィオちゃんとアインハルトちゃんが、暗黒星団のホストに誘拐された! ホストは二人に、自分と一緒に宇宙へ来ることを要求する。それに対してのヴィヴィオちゃんと、アインハルトちゃんの答えは……。次回、『少女の選ぶ道』。
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