光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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少女の選ぶ道(B)

 

 フェイトからの連絡を受け、なのはが会場前の現場に駆けつけてきた。車から降りるとすぐにフェイトの元へ走り寄る。

 

「フェイトちゃん! ヴィヴィオが誘拐されたって本当!?」

「うん……! アインハルトさんも一緒に……」

 

 くっ、と険しい表情で奥歯を噛み締めるなのは。当然ながら、愛娘をかどわかされたという事実は、彼女にとってそれほどまでに重大な事態であった。

 

「それで、犯人の手掛かりは……?」

「残念だけど、まだ発見できてない。犯行声明も出てないし……」

 

 フェイトが答えたところで、特捜班の方にアルトからの報告が舞い込んだ。

 

『エリアM7-8、未開発区の山間部に不審なエネルギー反応を感知しました! 未確認の宇宙船と思われます!』

「宇宙船!?」

 

 それを聞き止め、特捜班の周囲になのはたちが集まる。

 

「それが一連の事件と関係してるのかな?」

「とりあえず、すぐそっちに行って宇宙船を検挙して、持ち主から洗いざらい聞き出しましょう!」

 

 ノーヴェが今にも駆け出しそうであったが、そこにメフィラス星人の声が響き出す。

 

『その必要はない。その宇宙船の所有者であるこの私が、ミッドチルダ人の娘を巨大化し、かつ諸君の捜している娘たちを連れ去った者です』

「!!」

 

 一同は、声だけをこの場に届かせているメフィラス星人に警戒して周囲に目を走らせた。

 

「何者!? 姿を見せなさいっ!」

 

 ギンガが叫んだが、メフィラス星人はその要求には応じなかった。

 

『諸君には見えなくとも、私には諸君の姿が見えています。それで十分』

「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞテメェっ! 何様のつもりだっ!」

 

 神経を逆撫でされたノーヴェが怒声を発すると――周辺のビルの間に、突如として巨大な宇宙人が出現した!

 

「あっ!? あいつはザラブ星人!」

 

 叫ぶワタルとハヤト。それは以前にXioがやっつけたはずのザラブ星人だった。

 そして別の方角に、異なる宇宙人の姿が現れる。

 

「ナックル星人!」

 

 今度はスバルが声を上げた。

 ザラブ星人、ナックル星人に続いて、ケムール人がビルの間に巨体を現す。

 

「ケムール人も!」

 

 ルーテシアの言葉の後で、メフィラス星人が自慢げに告げた。

 

『如何ですかな? 私は暗黒星団のホスト。ザラブも、ナックルも、ケムール人も! 皆私の命令一つで動かすことが出来る! 私が少し唱えるだけで、諸君は宇宙人の軍団に囲まれて叩き潰されることにもなり得るのですよ』

「私たちを脅すつもりなのか……!?」

 

 チンクが目を吊り上げていると、なのはがメフィラス星人に向かって言い放った。

 

「たとえどれだけの異星人を送り込んでこようとも、わたしたちは決して屈したりはしません!」

「そうだそうだー! それにこいつらみんなやっつけたっスよ!」

 

 ウェンディが言い返すと、メフィラス星人は思い切り笑い飛ばした。

 

『ハッハッハッハッハッ! あなた方は所詮、広い世界の一部分を少し見ただけで全てを理解したつもりになっている、井戸の中のカエルです。自分たちの力を過信してはいけませんねぇ。宇宙には、諸君の想像を優に超える力を持ったものなどいくらでもいるのです! 私の元まで来て、邪魔をしようというのでしたら、諸君に宇宙とのレベルの差というものを教えなければいけませんね』

「……一体、何の目的でヴィヴィオとアインハルトさんの二人をさらったというの!?」

 

 フェイトの問いかけに、メフィラス星人は正直に答えた。

 

『私の目的は、あの娘たち自身! 二人の心を我が物とすることです!』

「二人の心を……!?」

『もう間もなく、二人は我が手に落ちます。それまでは邪魔をしないでいただきたい』

 

 と求めるメフィラス星人にノーヴェが怒鳴り返した。

 

「勝手なことばっか抜かすんじゃねぇ! テメーなんかにヴィヴィオとアインハルトを渡すなんてこと、あってたまるかっ! ぜってー取り返してやるから、そっちが覚悟しやがれっ!」

『あくまで逆らおうというつもりですか。自分たちの命がどうなってもいいのですか?』

 

 メフィラス星人の最後通告に、なのはが毅然と返す。

 

「どんな力を振りかざそうとも、わたしたちは絶対に降伏しません! 最後まで戦い抜いてヴィヴィオたちを取り返す、それだけです!」

『よろしい。ではお望み通り、宇宙の驚異の一端を見せてあげましょう!』

 

 メフィラス星人の宣言を合図とするように、三人の宇宙人の姿が忽然と消える。

 

「えっ? わざわざ出しておいて、何もなしに引っ込めたっスか? とんだこけおどしじゃないっスか」

 

 ウェンディが冷笑を浮かべたが……すぐに彼らの代わりのように、巨大ロボットがこの場に転移してきた!

 

「グイイイイイィィィィィ……!」

 

 武骨な鈍色のボディに、両肩が砲門、顔面部分が三連装ガトリングガンになったロボットの出現に、一同は声もなく驚く。

 

 

 

 オペレーション本部で、巨大ロボットの容貌を目にしたグルマンが叫んだ。

 

「あれはインペライザーだ!」

「インペライザー!?」

 

 聞き返すカミキとクロノ。

 

「恐ろしい大量破壊ロボット兵器だぞ! まさかあんなものまで所有していたとは……!」

 

 モニターの中でインペライザーが行動を開始。両肩の砲門から赤い光弾を発射し、正面のビルを数棟纏めて爆破した!

 

「!!」

 

 カミキは即座に叫んだ。

 

「都市防衛指令発令! タイプMの破壊活動を食い止めろっ!」

 

 

 

「グイイイイイィィィィィ……!」

「攻撃開始ーっ!」

 

 先の戦闘でまだ現場に残留していた武装隊が直ちに魔法攻撃を繰り出し、インペライザーに集中砲火を浴びせる。だがインペライザーの鋼鉄の機体には傷一つつかない。

 

「グイイイイイィィィィィ……!」

 

 インペライザーは上半身を屈めて、武装隊へ砲門を向ける。

 

「うっ、うわぁぁぁっ!?」

 

 今にも光弾を撃ち込まれそうであった武装隊を救ったのは、ディエチの発射した砲撃だった。

 

「グイイイイイィィィィィ……!」

 

 ディエチの方に振り向こうとするインペライザーに、ウェンディとチンクが続けざまに攻撃を加えて撹乱を狙う。

 

「やっぱりロボットだけあって、とんでもない硬さっスね……! さっきから傷一つない……!」

「だがどんな機械も完全無欠ではないはずだ。あきらめずに攻撃し続けるぞ!」

 

 インペライザーを足止めしている間に、カミキはスバルに命令を出す。

 

『スバルはエリアM7-8に向かい、誘拐された二名を救出せよ!』

「この現場を離れて、ですか!?」

『タイプMは時間稼ぎかもしれん。一刻も早い救出が必要だ!』

「スバル、わたしの代わりにヴィヴィオをお願い! アインハルトさんも!」

「あたしからも、二人を頼む! スバル!」

 

 インペライザーと戦わなければいけないなのはとノーヴェもスバルに頼み、スバルはうなずいた。

 

「分かりました! すぐに向かいます!」

 

 命令を受けたスバルにフェイトが告げる。

 

「いくら何でも一人では危険だよ。ティアナ、エリオ、キャロ! あなたたちもスバルと一緒に行って!」

「はいっ!」

 

 ワタルとハヤトもスバルに向けて言った。

 

「急ぐんだろ? ならマスケッティを使いな! そしたらすぐだぜ!」

「えっ!? でもマスケッティがなかったら……」

「何、こっちはエースオブエースが二人もいるんだ。あんな鉄屑ロボットに負けるもんかよ」

 

 ハヤトの軽口に、スバルは目に力を込めてうなずいた。

 

「ありがとうございます! マスケッティ、使わせてもらいます!」

 

 スバルたち四人は直ちにアラミスへ駆けていこうとしたが、その時になのはがダイチに振り向いて言った。

 

「ダイチくんも、スバルたちと行って」

「えっ……!? 俺もスバルもここから離れたら、誰がデバイスゴモラを……」

 

 一瞬面食らったダイチを、なのはは変に神妙な顔つきで制した。

 

「きっと、ダイチくんの力が必要になると思う」

「なのはさん……?」

「カミキ隊長さん、いいですよね」

『……君がそう言うのならば、何か考えがあってのことなのだろう。ダイチ、高町一尉の言う通りにせよ』

「り、了解!」

 

 カミキの命令もあっては逆らう訳にはいかない。反射的に返答したダイチは、スバルたちの後に続いてアラミスへと走っていった。

 その中でスバルたち四人を見つめ、ポツリとつぶやく。

 

「ストライカーが勢ぞろいか……。みんながいれば、きっと大丈夫だ!」

『ダイチ、こんな時だが、そのストライカーとは何だ?』

 

 エックスの質問にダイチは手短に答えた。

 

「エースと一緒で優秀な魔導師を意味するけど、同時にどんな困難な状況も打破してくれるという期待と信頼を寄せられた呼び名だ。なのはさんたちは、スバルたちをそんな魔導師になるように指導してたんだ」

 

 ダイチが最後にアラミスに乗り込むと、アラミスは飛来してきたマスケッティとジョイント。

 

[スペースマスケッティ、コンプリート]

 

 大型ブースターによる急加速で、一直線にエリアM7-8に向かって飛んでいった。

 

 

 

 カミキはギンガに向けて告げる。

 

『デバイスゴモラはギンガ陸曹、君が操作してくれ!』

「了解しました!」

 

 借り受けたジオデバイザーでデバイスゴモラのスパークドールズをリードし、デバイスゴモラをこの場に召喚する。

 

『ギャオオオオオオオオ!』

「ゴモラ! ダイチとスバルのためにも、お願い、私にあなたの力を貸してちょうだい!」

 

 更にルーテシアが究極召喚を行い、彼女の最強の召喚獣、白天王をゴモラの隣に呼び出した。

 

「わたしと白天王も一緒に戦います!」

「ありがとう! ……来るよっ!」

「グイイイイイィィィィィ……!」

 

 インペライザーが攻撃目標をデバイスゴモラと白天王に移し、こちらに接近してきた。ギンガとルーテシアはゴモラと白天王とシンクロし、それを迎え撃たせる!

 

(♪Run through! ~ワンダバ「CREW GUYS」~)

 

「グイイイイイィィィィィ……!」

 

 インペライザーが前進しながら両肩のビーム砲より光弾を連射してくる。ゴモラと白天王はその猛攻をかいくぐりながらインペライザーに肉薄。

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 間合いを詰めたところでゴモラのクローと白天王の鉄拳がインペライザーのボディに叩き込まれる。……が、インペライザーはこれでもびくともしない。

 

「グイイイイイィィィィィ……!」

 

 至近距離からゴモラたちに光弾を浴びせようとするインペライザー。だがそこに背後からなのはたちが攻撃。

 

「エクセリオンバスター!」

「ウルトライザーシュート!」

 

 同時の砲撃の衝撃によってインペライザーの動きが止まる。そこにスピナーをうならせたゴモラの一撃が右肩に決まる。

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 叩き込まれた衝撃波がインペライザーの肩を粉砕!

 

「やった!」

 

 一瞬喜んだなのはたちだが……インペライザーの破損は瞬時に再生して、傷跡一つ残らなかった!

 

「えっ!?」

「再生した!?」

「グイイイイイィィィィィ……!」

 

 インペライザーはその場で上半身だけを高速回転。そして全方位に無差別に光弾を乱射し出す!

 

「わあああっ!?」

「危ないっ!」

 

 周囲のビルが次々破壊されていく! ウェンディたちに飛んできた光弾はフェイトが両断した。

 

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 ゴモラと白天王も後退を余儀なくされる。すると回転を止めたインペライザーが、今度はガトリングガンを回転させて破壊光線を発射!

 ゴモラが両腕よりプロテクションを発して防御しようとしたが、貫かれる!

 

『ギャオオオオオオオオ!』

「あああぁぁっ!」

 

 ゴモラとシンクロしているギンガが倒れかけたのを、ノーヴェが受け止めて支えた。

 

「しっかり! ヴィヴィオたちを助けるためにも、ギンガ、あんたは倒れちゃいけねぇんだ!」

「……ええ! もちろん、負けていられないわ!」

 

 ノーヴェの激励で発奮したギンガが持ち直す。ゴモラは白天王に助け起こされた。

 

「グイイイイイィィィィィ……!」

 

 インペライザーが追撃を掛けてこようとしたが、その隙を突いてソニックフォームとなったフェイトが横から飛び込んできて、左前腕を関節から切り落とした。

 

「はぁっ!」

 

 しかし切断された左腕は剣の形に変化して本体と接合する。

 

「グイイイイイィィィィィ……!」

 

 フェイトに迫るインペライザーの剣を、ゴモラがクローで受け止めて助けた。

 

「あれじゃあ、いくら攻撃しても効果なしだ……!」

 

 ノーヴェが舌打ちした時、この場の皆にシャーリーからの報告が届く。

 

『分析結果出ました! インペライザーは両肩に再生装置を備えてます!』

「再生装置!」

『それを同時に破壊すれば、もう再生はしません!』

 

 それを聞いて、なのはとフェイトが即座にアイコンタクトを取った。

 

「フェイトちゃん、一気に決めよう!」

「うんっ!」

 

 ゴモラと白天王がインペライザーを押さえつけている間に、なのはたちはその左右に分かれて周囲に散った魔力をデバイスの一点に集中していく。

 

「スターライトっ!」

「プラズマザンバーっ!」

「ブレイカァァァァ――――――っっ!!」

 

 見事息の揃った砲撃がインペライザーの両肩に同時に命中し、再生装置を完全に粉砕した。

 

「グイイイイイィィィィィ……!」

 

 インペライザーの動きが極端に鈍る。そこにゴモラと白天王がとどめの一撃を繰り出す。

 

「ゴモラ! 超振動バスター!!」

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 振動波と魔力光線が叩き込まれて、インペライザーは粉々に吹き飛んだ。

 

「やったぁぁぁぁぁっ!!」

 

 皆が勝利に沸き立ち、ノーヴェもぐっと拳を握り締めた。被害は大きいが、敵からの刺客をどうにか倒すことが出来た。

 そう、思われたが。

 

「グイイイイイィィィィィ……!」

「えっ――!?」

 

 直後に新たなインペライザーが、しかも二体が! 彼女らを挟み込むように召喚されてきたのだ!

 

「い、一機だけじゃなかったのか!」

 

 全員の力を合わせてやっと一体倒せたのに。一同は流石に戦慄を覚えた。

 

 

 

 メフィラス星人は戦場のビジョンを見下ろしてほくそ笑む。

 

『愚か者どもめ。どんなに抗戦したところで、インペライザーはいくらでもいる! 奪い合いに勝ち、暗黒大皇帝の遺産を相続した私に勝てるはずがない!』

 

 独白すると、無重力部屋に閉じ込めたヴィヴィオとアインハルトに向けて告げた。

 

『どうだね。あの人間たちの命運も、君たちの返事に掛かっているのだぞ。それでもまだ私の誘いを拒むと言うのかね。彼らを見捨ててもいいと言うのか?』

 

 なのはたちの命を盾にした脅迫をするメフィラス星人。

 それでも、ヴィヴィオとアインハルトは屈しなかった。

 

「ママたちはいつも、どんな状況でもあきらめない! だからわたしたちも、最後まであきらめることはしません!」

『……何と強情な……! 私は他ならぬ君たちの命も握っている! その気になれば今すぐにでも窒息死させることだって出来るのだ! 死んでもいいのか!? 何がそこまでさせるというのだッ!』

 

 しつこく揺さぶりを掛けてくるメフィラス星人に、アインハルトは静かに告げ返した。

 

「……あなたは寂しい人ですね」

『なッ……何だと!?』

 

 予想外の言葉に、メフィラス星人に一瞬動揺が見られた。

 

「人の心とは自分のものに出来るようなものではないのに、力を見せつけて、脅迫をして無理矢理手に入れようとするなんて……。一度でも誰かのことを考えたことがあるのなら、そんなことはしないはずです。――本当に大事なことを、何も分かってない……!」

 

 アインハルトは、生死を握られている状況にも関わらず、全く物怖じせずにはっきりと言った。

 

「あなたにどんな力があろうとも、どんなことが出来ようとも……あなたはひとりぼっちです! 心が、誰ともつながってないっ!」

『――黙れぇぇッ!』

 

 メフィラス星人は逆上し、二人を本当に殺してしまおうと円盤のコントロール装置のボタンに指を伸ばす――。

 その寸前に円盤のどこかで轟音が鳴り響き、部屋全体が揺れる。

 

『何ッ!?』

 

 モニターで船内を確認すると、マスケッティで駆けつけたダイチたち五人が円盤の内部に侵入してきているのを発見した。ヴィヴィオたちに構いすぎて、注意が疎かになって気がつかなかったのだ。

 

『ぐッ、おのれぇ……!』

 

 メフィラス星人は何をしようというのか、別の部屋へと逃げていく。

 その後に部屋の扉が外から破砕され、スバルを先頭に五人がこの場にたどり着いた。

 

「ヴィヴィオ! アインハルト!」

 

 スバルたちは窓で隔てられた無重力部屋に囚われているヴィヴィオとアインハルトを発見。ダイチがコントロール装置にデバイザーを接続することで、二人をこちらに転送させた。

 

「二人とも無事だった!? よかった……!」

「皆さん、わたしたちを助けに来てくれたんですね……。ありがとうございます……!」

 

 無事を喜んだスバルが、感極まってヴィヴィオたちを抱きしめる。しかし安心してはいられなかった。

 円盤内にいきなりアラートが鳴り始め、激しい揺れとともに崩落が始まったのだ。

 

「宇宙船を自爆させようとしてるみたいだ!」

「大変! 早く脱出しましょう!」

 

 ティアナの呼びかけで脱出を図る一同。スバル、エリオ、キャロでヴィヴィオたち二人を安全に誘導し、最後にダイチが部屋から脱しようとしたが――その瞬間に瓦礫が降ってきて出入り口をふさいでしまった!

 

「うわっ!」

「ダイチ!」

 

 スバルが駆け戻ってダイチを救出しようとするも、ダイチに止められる。

 

「もう時間がない! スバルはヴィヴィオちゃんたちの安全を優先して!」

「で、でも!」

「俺なら大丈夫だ! 信じてくれ!」

 

 ダイチの力のある呼びかけで、スバルは躊躇いながらも己の使命を取って離れていく。

 スバルが去ると、ダイチはエクスデバイザーを構えた――。

 

 

 

 ヴィヴィオとアインハルトを連れて、円盤から脱出したスバルたち。山林の中まで退避すると、メフィラス星人の円盤が自爆して木端微塵になる。

 

「ダイくぅぅぅぅぅんっ!!」

 

 思わず絶叫するスバル。だがそれとは裏腹に、彼女らが望んでいない者が爆散した円盤の跡に現れた。

 巨大化したメフィラス星人! しかも青白い鎧で武装している。アーマードメフィラスだ!

 

「っ!!」

 

 こちらに接近してくるアーマードメフィラスにスバルたちは息を呑み、四人がヴィヴィオたちをかばいながら身構える。

 だがその時に、キャロが空を指して叫んだ。

 

「あっ! ウルトラマンエックスです!」

 

 エックスが高空から降下してきていた。ダイチはユナイトして円盤から脱出に成功していたのだ。

 

[ウルトラマンエックス、パワーアップ!]

 

 エックスは空中でエクシードXに変身。メフィラス星人の正面に着地して、ヴィヴィオたちを背にかばった。

 

『メフィラス星人! さっさと自分の星へ帰れ!』

『偽善者がッ!』

 

 エックスが忠告したが、メフィラス星人は聞く耳を持たずに吐き捨てて右腕のアームから直接伸びた剣を構えた。エックスもエクスディッシュ・アサルトを手に構える。

 

「ムゥンッ!」

「ジュワッ!」

 

 互いに一瞬で距離を詰め、エクスディッシュと剣が火花を散らしながら鍔迫り合いする。

 

「セアァッ!」

 

 エックスはメフィラス星人の剣を弾いて一回転し、遠心力を乗せた一打を叩き込もうとする。が、メフィラス星人は即座に剣を差し込んで防御。

 

「フゥゥーンッ!」

 

 間髪入れずにエックスの腹部に膝蹴りを入れた。

 

「グアッ!」

 

 一瞬よろめいたエックスだがこらえて踏みとどまり、ダイチがタッチパネルを二回スライド。

 

「『エクシードスラッシュ!!」』

 

 エクスディッシュの乱撃が叩き込まれる。メフィラス星人は剣で防ぎ切れないが、代わりに鎧で持ちこたえる。

 

「シェアッ!」

 

 最後の切り上げがメフィラス星人を宙に弾き飛ばした。ダイチはすかさずパネルを三回スライド。

 

「『エクシードセイバー!!」』

 

 複数の光刃がメフィラス星人に飛んでいくが、メフィラス星人も剣の切っ先から光線を発射した。

 

「ムアァッ!」

 

 光線がエクシードセイバーを破砕。残った分は剣で切り払われる。

 

「デェェェーイッ!」

 

 メフィラス星人は剣をエックスへ突き立てると、弾丸のようにまっすぐ突撃していく。

 エックスはエクスディッシュを振るい、メフィラス星人の突進を刃で受け止めた。

 

「デッ! グゥッ……! トアァァァッ!」

 

 一瞬押されたエックスだが、渾身の力を振り絞って弾き返した。

 着地したメフィラス星人は再度剣をエックスに向け、今度は刀身にほとばしるエネルギーを纏わせた。光線発射の構えだ。

 ダイチもまたパネルを逆向きにスライドして、エクスディッシュの穂先をメフィラス星人へ合わせる。エクシードスマッシャー発射の用意が整った。

 エックスとメフィラス星人はにらみ合い、互いに隙を窺う。どちらが先に発射するか……。

 ――そう思われたが、メフィラス星人が不意に剣を下ろした。

 

『よそう……。この戦いは無意味です』

 

 メフィラス星人が武器を下げたので、エックスもエクスディッシュを下ろした。

 メフィラス星人はエックスに告げる。

 

『私は既に、あの少女たちに負けました。星を滅ぼすほどの力があっても、小さな子供の折れない心、たったそれだけのものに完敗を喫しました……。こうなった以上は、一からやり直すことにします。暗黒星団は、今日限りで解散です』

 

 訥々と宣言したメフィラス星人は、これ以上の悪行は働かずに退散しようとする。エックスも、戦意をなくした者とこれ以上事を構えようとはしなかった。

 しかし消える寸前にメフィラス星人は、次のことを告げたのだった。

 

『最後に教えておきましょう。私は宇宙で、この星に“滅び”がやってくるのを発見しました。『アレ』がこの地に到達するのも、もう間もなく。だから行動に出たのです』

『滅びだと!?』

 

 一瞬動揺を見せるエックス。

 

『私の目からすれば、滅亡は絶対に避けられぬ運命。ですがあなたたちのあきらめない精神が運命を覆すことが出来るかどうか……宇宙の果てから見させてもらいますよ』

 

 それだけ言い残して、メフィラス星人は足の先から頭頂部へ上っていくようにスゥッと消えていった。

 

「……ジュワッ!」

 

 エックスはしばらく唖然と立ち尽くしていたが……やがて空を見上げてこの場より飛び去っていった。

 

 

 

 メフィラス星人のミッドチルダからの退散とともに、インペライザーもまた地上から消え失せた。ヴィヴィオとアインハルトの精神が、メフィラス星人の侵略を打ち破ったのである。

 救出された二人に、ダイチが呼びかける。

 

「よかった、二人が無事に助かって」

「ダイチさんこそ、ご無事で何よりです」

 

 と返したヴィヴィオは、彼に対して語った。

 

「ほんとはとても怖かったです……。相手の気分次第でいつ殺されてもおかしくない状況で、心の底では震えが止まりませんでした。――でも、これまで築き上げてきたものを、なかったことには絶対に出来ない。その思いで耐えることが出来ました」

「私も、少し前までの自分だったらきっと恐怖に屈してたと思います。けど、たくさんの人からもらったものが、私を最後まで支えてくれました」

「そうか……。二人とも、強くなったんだね」

 

 ヴィヴィオとアインハルトの言葉に、安堵の微笑を見せるダイチ。そして二人と分かれた後に、エックスに呼びかけた。

 

「ところで、メフィラス星人が最後に話してた“滅び”って何だろうね。やっぱり、ダークサンダーエナジーのことかな。彼はその発生源の正体を確かめたのだろうか……」

『……』

 

 だが、エックスは黙したまま返事をしなかった。

 

「エックス?」

『あ、あぁ、すまない。少し考え事をしてたんだ』

 

 ダイチがもう一度呼びかけたことで、エックスは我に返った。それから小さな声で、ポツリとつぶやく。

 

『……まさか……』

 

 

 

 Xioベースラボのダイチのデスク。ダイチが緊急出動する直前に行っていた、宇宙電波のノイズの解析は、そのまま自動で続行されていた。

 やがてその作業が完了する時がやってきた。

 

[ノイズの解析を終了しました。再生します]

 

 解析結果が、無人のラボの中に流れる。

 

『ダイチ……お母さんの声が聞こえますか……? ダイチ……ダイチ……お母さんの声が聞こえますか……』

 

 ダイチがラボに帰ってきた――。

 

 

 

『ダイチの怪獣ラボ!』

 

ダイチ「このコーナーは今回で最終回! 最後の紹介はエクシードXだ!」

エックス『とうとう終わりが来たのか。少し寂しいな』

ダイチ「エクシードXはウルトラマンエックスのパワーアップ形態! 電脳空間で発見されたエクスラッガーの力で変身するんだ!」

エックス『能力が底上げされただけじゃなく、怪獣からダークサンダーエナジーを取り除く能力を持っているぞ!』

ダイチ「けれど通常時の光線技は引き継がれないから、ザナディウム光線を使用するには元のエックスに戻る必要があるんだ」

エックス『これは形態を使い分けさせるために、あえてそうしたとのことだ』

ダイチ「エックスをパワーアップさせるエクスラッガーがどうして電脳空間にあったのか、その答えは最終回で明かされたぞ!」

エックス『その経緯は必見だ!』

ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』

 




 十五年前、エックスが太陽に突き落とした宇宙の脅威。その悪夢の存在が復活、ミッドに襲来した! 生命を無に帰す強敵を前にXio、そして世界が、最大の危機に直面する! 次回、『美しき終焉』。
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