――スバルは転送装置の上で、ハッと目を開いた。
「スバル! よかった、無事で……!」
シャーリーがほっと安堵しているのにも構わず、スバルはヘッドギアを取り外して飛び起き、カミキたちの元へと駆けていく。
「隊長ーっ! ダイチが帰ってきますっ!」
「スバル!!」
スバルの声に応えるように、カラータイマーの発光が強くなっていき、遂には完全に青く点灯した。
シャマルとなのはがつぶやく。
「エックスの……命の光が戻った……!」
「――ダイチくん……!」
ダイチはジオデバイザーに向けて叫ぶ。
『「エックス! 帰ってきてくれ! もう一度つながろう!」』
ダイチの脳裏によみがえるのは、エックスとユナイトしてきた日々。運命的な出逢いを果たし、いくつもの戦いや危機を乗り越え、時に苦難にぶつかり、より深くつながるようになって……今日まで駆け抜けてきた。
そしてその日々を、ダイチは未来へとつなげようとしている。
『「もう一度……俺とユナイトしてくれぇっ!」』
その呼び声により――ジオデバイザーが輝き、エクスデバイザーへと戻ったのだった!
デバイザーの画面にエックスの胸像が表れ、エックスは完全に意識を取り戻す!
『「エックス!」』
『ダイチ! 君たちの記憶が、想いの強さが! 私をよみがえらせてくれた! ありがとう……!』
『「よし……行くぞエックス!」』
『行こう、ダイチっ!』
ダイチとエックスは声をそろえる。
「『ユナイトだっ!!」』
ダイチはデバイザーを前に突き出し、右手でスイッチを強く押し込んだ。
エックスのスパークドールズが現れ、ダイチはそれをリード。
[ウルトラマンエックスと、ユナイトします]
『「エックスーっ!」』
X字に閃光の中から、ウルトラマンエックスが飛び出していく!
「イィィィーッ! サァ―――ッ!」
[エックス、ユナイテッド]
カラータイマーから肉体が再構築されていったエックスが、ミッドチルダに再降臨した!
ワタルとハヤトが大興奮して絶叫した。
「エェェェェ―――――ックスぅぅぅぅぅ――――――――!! 待ってたぜぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「よっしゃあぁぁぁっ!! やってくれたな、ダイチっ!!」
他の面々も一斉に沸き立ち、フェイトは反射的になのはと手をつないだ。
「なのは! 二人とも、帰ってきたよっ!!」
「うん……!!」
ダイチはすかさずスバルから託されたエクスディッシュで、エクシードXへの二段変身を行った。
「『エクシード、エーックスっ!!」』
エクシードXは額のエクスディッシュを手に取ってアサルトフォームに変形させる。
「『エクスディッシュ・アサルト!!」』
エックスは即座にグリーザへ向けて飛び出していくが、グリーザも彼に対して攻撃を繰り出した。
―キイイイイイイイイ!―
両腕から電撃のムチが伸びて、エックスを襲う!
「ヘアッ!」
電撃のムチを切り払うエックスだが、グリーザは次いで腕を地面に向けて、マグマエネルギーを放出。
―ピッギャ――ゴオオオウ!―
マグマエネルギーが衝撃を伴って地面を這っていく。足元を崩されたエックスがよろめく。
「グアァッ!」
更にグリーザは胸部から火炎弾を噴火のように乱射する。
―グバアアアア!―
大量の火炎弾が降り注ぎ、爆発の連続がエックスに襲いかかった。
「グワァァァァッ!」
グリーザからの猛攻に、さしものエクシードXも一気に追いつめられてしまった。
はやてが愕然とつぶやいた。
「あの攻撃……怪獣たちの能力や……!」
「ちくしょう! 何の嫌がらせだよっ!」
毒づくノーヴェ。カミキが全員に命令する。
「エックスを援護しろっ!」
「了解!!」
全員がウルトライザー・カートリッジを消費して光のエネルギーをチャージ。
「てぇーっ!!」
一斉に砲撃を放ったが、グリーザはそれをあっさりと弾いてダークサンダーエナジーで反撃してきた。
「うわぁぁぁっ!」
カミキたちは後退を余儀なくされ、その間にグリーザがエックスに襲い掛かる。
―ギャオオオオオオオオ!―
背面の四本の剣状の突起から腕へと超振動波を流し、エックスのボディに叩き込んだ。
「グワアアアァァァァァ――――――!」
強烈な一撃に大きく吹っ飛ばされるエックス。
―ピポポポポポ……―
グリーザは高熱火球を発射して追撃。エックスの姿が爆炎の中に隠れる。
「『――エクシード! エクスラッシュっ!!」』
しかしエックスもやられてばかりではなく、黒煙を突っ切ってエクシードエクスラッシュで反撃する。
グリーザはそれに片腕を差し出して――エックスの突撃を止め、はね返した!
「グワァッ!」
地面の上に叩きつけられるエックス。手からこぼれ落ちたエクスディッシュ・アサルトが地面に刺さり、通常形態に逆戻りした。
「ダイチーっ!!」
絶叫するスバル。はやては青い顔でグリーザを見上げた。
「エックスの必殺技が効かなくなっとる……! 実体になりつつあることで、力が上がってるん!?」
「奴にも有利に働いてるということか……!」
クロノが忌々しそうに舌打ちした。
―ギャオオオオオオオオ!―
グリーザはエックスの前に立つと、彼の胸に両腕を突き立てて超振動波で攻撃し始める!
「ウワアアアアアァァァァァァァァァァァッ!!」
エックスの悲鳴が轟く。ウェンディたちは大いに焦った。
「このままじゃまたやられちゃうっスよ!?」
「でも、どうすれば……!」
ディエチが狼狽したその時のことだった。
『ギャオオオオオオオオ!』
「えっ!? 今のはグリーザからじゃない……!」
突然、スバルのすぐ近くでゴモラの鳴き声が聞こえたのだ。スバルは思わず辺りを見回し、鳴き声の発生源が足元からだということに気づいた。
「まさか――マッハキャリバー! 今の、君から!?」
[Yes.]
返答するマッハキャリバー。しかもそれだけではなかった。
『キイイイイイイイイ!』
「きゃっ!? クロスミラージュからも鳴き声が!」
『ギアァッ! ギギギィッ!』
「ストラーダからも!」
『ピポポポポポ……』
「ケリュケイオンからもです!」
ティアナ、エリオ、キャロも声を上げた。この事態にヴィータが目を丸くする。
「どうなってんだ!? 何でグリーザに食われた怪獣たちの声が、スバルたちのデバイスから……」
その疑問にマリエルがハッと気がついて回答した。
「聞こえる声は、デバイスが提供したデータから作ったモンスジャケットの怪獣のものだわ! 怪獣たちは、モンスジャケットを通して元のデバイスとつながりを持ってる。そのつながりを通して、グリーザの中からスバルたちに向けて呼びかけてるのよ!」
スバルはゴモラの鳴き声を聞き止めると、ある考えが天啓のように浮かんで、マッハキャリバーに問いかけた。
「マッハキャリバー! ゴモラたちがどこから声を発してるか、突き止められない!?」
返答は立体モニターによってだった。その中に現在のグリーザの全体像が表示され、胸部のコアの中心が赤く光っていた。そこから声が届いているのだ。
ティアナたちにも同じ結果が現れると、スバルは三人に向かって告げた。
「これをダイチに知らせようっ!」
「ええ!」
四人は直ちに、デバイスたちがもたらした情報をエクスデバイザーへ発信した。
『「うぅぅ……!」』
エックスの中で、ダイチも超振動波に苦しめられている。その面前に四つのビジョンが浮かんだ。スバルたちの送った怪獣たちの居場所だ。
更にスバルたち自身がダイチに呼びかけた。
『ダイくん、聞こえる!? ゴモラたちの声がっ!』
『ギャオオオオオオオオ!』
『みんな、あなたに助けてもらいたいって言ってるわ! その気持ちが伝わってくるの!』
『キイイイイイイイイ!』
『ダイチさんの想いが、怪獣たちにも届いてたんです!』
『ギアァッ! ギギギィッ!』
『立って下さい! そしてみんなを救い出してっ!』
『ピポポポポポ……』
ダイチは八つの声に、目を見開いた。
『「みんな……!」』
ダイチは、怪獣たちと友達になろうと重ねた努力を思い出した。それによって――ダイチに強い力が宿る。
『「ありがとう! みんな――共に生きようっ!」』
ダイチの発奮はエックスにも伝わり、エックスはグリーザを突き飛ばすとエクスディッシュに手を伸ばして拾い上げ、素早く懐に潜り込み――もたらされた情報を元に、コアの一点にエクスディッシュを突き刺した!
「デェヤッ!」
突き刺されたコアがスパークし――デバイザーに直接ゴモラの鳴き声が届いた。
『ギャオオオオオオオオ!』
『「ゴモラっ!」』
『応えてるんだ! ダイチの声にっ!』
エクシードXが解かれて元のエックスの姿に戻り、エクスディッシュが――グリーザの体内に入り込んでいった。
すると――グリーザのコアから膨大な光が噴出し、その光の奔流に乗って奪われたスパークドールズが解き放たれていく。
「やったぁぁぁーっ!」
「成功だわ……!」
そして解放されたスパークドールズは全て、エックスのカラータイマーの中に入っていった。
「テェェェアッ!」
エックスの中に入ったスパークドールズはデバイスカードに変化して、ダイチの周りを囲んで輪を成した。
『怪獣たち……私に力を貸してくれるのか!?』
『ギャオオオオオオオオ!』『キイイイイイイイイ!』『ギアァッ! ギギギィッ!』『ピポポポポポ……』
『グバアアアア!』『ケエエオオオオオオウ!』『ギャアオオオオオオウ!』『グワアァァァ! ピィ――――!』『グアアアアァァァァ!』『グロオオオオオオオオ!』『ガアアアアアアアア!』『グバアアアア!』『グオオオオオオ!』『アアオオウ! アアオオウ!』『グビャ――――――――!』『ウアァァァッ!』『ピッギャ――ゴオオオウ!』『ガガァッ! ガガァッ!』
怪獣たちの声に囲まれるダイチ。そしてなのはたち人間の仲間は、ダイチとエックスに期待と信頼の眼差しを向けていた。
ダイチは顔を輝かせながら唱えた。
『「……みんなで終焉を打破しよう! 一緒にユナイトだっ!!」』
エクスデバイザーに怪獣たちのカードが集まり、一斉にリード。それによってエックスの身体が新たなるジャケットに包まれていく。
右肩と胴体部はゴモラキャリバー、左肩はエレキングミラージュのパーツに覆われた。左手はベムラーダの槍を握り締め、右腕はゼットンケイオンのアームに包まれ、その手でエクスディッシュを掴んだ。そうして完成したのが!
「『ストライカーズジャケット!! セットアップ!!」』
なのはたちはエックスのジャケット姿に驚き、ほれぼれと見上げた。そしてカミキが口を開く。
「そうか……! 預言の『八つの、数多の命を伴いし時』とは、これを指し示していたのかっ!」
「『八つの命』は、ダイチとエックスを導いたスバルたちと四体の怪獣のこと……! 『数多の命』は、あのジャケットを作り上げた怪獣たち……!」
クロノがカミキの後を継いで語った。
―フェッフェッフェッフェッフェッ……!―
グリーザは全身から無数の光弾を放ち、エックスを取り囲ませて一気に攻撃を加える。だが今のエックスは、最早何事にも揺るぎはしない。
「テェェェェェアッ!」
超振動波、電撃、ベムラーダ、ゼットンケイオンの腕が握るエクスディッシュ。持てる武器を全て振るって次々光弾を打ち消していく。
なのはが仲間たちに振り返って告げた。
「『数多の命』は、わたしたちもだよ! 最後の力を出し切って、エックスを援護しよう!」
カミキがうなずいて命令する。
「総員、グリーザの攻撃を狙え! 全て撃ち落とすぞっ!」
「了解!!」
皆が文字通り残された力を振り絞る。はやてとシグナムも今一度リインフォースとアギトとユニゾンし、光弾目掛けて皆が攻撃を繰り出した。
「ディバインバスター!!」
「ヴァリアブルシュート!!」
「ブラストレイ!!」
「スティンガーブレイド!!」
「コメートフリーゲン!!」
「シュツルムファルケン!!」
「フレースヴェルグ!!」
「プラズマスマッシャー!!」
「エクセリオンバスタぁぁぁ―――――っ!!」
様々な魔法攻撃、カートリッジを使い切るまでのウルトライザーシュートの末に、数え切れない量があった光弾は全てかき消された。
「シェアァッ!」
そして辺り一面に散布された魔力は、ジャケットを光り輝かせたエックスへと引き寄せられて集まっていく!
それを見てなのはとスバルが感極まったようにつぶやいた。
「わたしたちの力も、エックスと一つになる……!」
「あたしたちも、ユナイトする……!」
叫ぶダイチ。
『「行くぞみんなっ!!」』
エックスが虹の輝きとともに振りかぶっていき、エネルギーを最大にチャージ!
「『ウルティメイトザナディウムっ!! ブレイカァァァァァ――――――――っっ!!」』
ジャケットの中央から、X状の集束砲撃が一直線に放たれた!
超々エネルギーの極大光線が、グリーザを撃つ!
―ア……アハハハハ……ハハハハハハ……!」
光線を浴びせられるグリーザがガクガク揺れる。
『いけるぞ、ダイチっ!』
『「ああ! そしてこの一投で、未来を切り開くっ!!」』
エックスはその場で一回転しながら、右手のエクスディッシュを、
「『エクスラッガーっっ!!」』
グリーザに投擲した!
投げ飛ばされたエクスディッシュがグリーザを貫いた!
「ハハハハハッ――!!」
グリーザは一瞬姿がはっきりと固定されると、すぐに一点に圧縮されていき――そのまま大爆発を起こした!
凄まじい爆炎が立ち昇り――無になっていた空間が元通りになり、二度と虚無にはならなかった。
「やぁっっっっったああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
エックスの勝利を見届けたなのはたちは大歓声を上げ、跳びはねたり互いに抱きついたりしながら喜びを分かち合った。スバルはエックスを見つめて、満足げにうなずいていた。
エックスの身体からストライカーズジャケットが解除される。そしてダイチの手の中には、ゴモラのスパークドールズが戻っていた。
『「ゴモラ……!」』
またダイチの周囲に、カードから戻ったスパークドールズたちが漂っている。
『やったな、ダイチ!』
『「ああ……!」』
エックスに首肯したダイチは、怪獣たちに胸いっぱいの気持ちを告げた。
『「みんな……ありがとう……!」』
そしてダイチの目の前に現れたのは――。
『「父さん……? 母さん……!」』
懐かしき、両親の姿であった。
『よくがんばったね、ダイチ!』
『いい仲間を持ったな』
両親の言葉にダイチは笑顔でうなずき、ユナイトを解除していった――。
状況が終了すると、なのはの元にヴィヴィオからの通信が入った。
『やっとつながった! なのはママっ!』
「ヴィヴィオ……!」
『なのはママ……戦いは、どうなったの……?』
恐る恐る尋ねたヴィヴィオに、なのはは微笑んで告げた。
「――戦技披露会での勝負、負けないからねっ!」
『!! ――うんっ! こっちこそ!』
ヴィヴィオは感涙を浮かべながらも、力いっぱいにうなずき返した。
半壊したXioベースの瓦礫の山が、かすかに動く。
そして瓦礫が下から押しのけられ、グルマンが飛び出てきた!
「ぶっはぁーっ! 死ぬかと思ったっ!」
「博士ー!! 生きてたんですねー!」
そこにシャーリーが駆け寄っていき、思い切り飛びついた。その後にマリエルも歩いてくる。
「よかったぁ……!」
「わっはっはっ、この天才はそう簡単にはくたばらんさ! ――おおマリー、帰ってたのか」
「はい、ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした」
「なぁーに構わん構わん! ……ん?」
グルマンがふと振り返ると、その方向からダイチが歩いてきた。
「ダイチっ!」
「あっ! ダイチだ!」
「ダイチさん!」
スバルが気づくと、他の面々もダイチの元まで駆け寄っていった。
ダイチは彼らの顔を見渡して、口を開いた。
「スバル……みんな……ありがとう。みんなのお陰で最後まで――」
しかし話の途中でスバルにエクスデバイザーをひったくられた。
「もぉ~ビックリしたよぉエックス。まさか本物のエックスだったなんて」
次いでハヤトがデバイザーを横取りする。
「この野郎、何で俺じゃなくてダイチなんだよ」
「それを言うなら俺だって選んでほしかったぜ!」
ワタルがぶーたれていると、チンクが首を傾げた。
「さっきから疑問だったが、みんな何の話をしてるんだ?」
「ああ、チンク姉は知らなかったんだっけ」
「後でゆっくり教えてあげるね」
ノーヴェとディエチが苦笑し、ウェンディはハヤトからデバイザーを取り上げた。
「エックスー! お次はあたしとユナイトするっスよー!」
『是非とも!』
「えー!? いいんだ! 羨ましいな!」
「わたしともユナイトして下さい、エックスさん!」
エリオが驚き、キャロが手を挙げて主張した。それに便乗するルーテシア。
「だったら私ともお願い!」
「リインともしてほしいですー!」
「だったらわたしともっ!」
「なのは!?」
「なのはさん、案外そういうの好きだったんですか……!?」
なのはまで加わるので、フェイトやティアナが唖然とした。
自分を置いて皆で勝手に盛り上がっているので、ダイチがウェンディからデバイザーを取り返した。
「ちょっと! みんな俺の話聞いてよ!」
しかしカミキとクロノに叱りつけられてしまう。
「ダイチ! お前はまた勝手な行動を取り、チームに多大な迷惑を掛けた! おまけにずっとエックスのことを黙秘していたとは実にけしからん!」
「エックスと出会ってから今までのこと、今日中に全て報告書にして提出するように」
「す、全てぇ!?」
ショックを受けて天を仰いだダイチをスバルが慰める。
「元気出して。あたしが手伝ってあげるから」
そんな風に話していると、不意にエックスが全員に呼びかけた。
『皆さん。こんなダイチですが、これからもお手柔らかに頼みます』
スバルたちはそれに、朗らかに微笑んでうなずいたのだった。
「よし! Xio総員、基地の損害状況の把握と……後片付けだ」
カミキの指示にウェンディがギョッとした。
「えー!? 休憩しましょうよ隊長ー! もうクタクタっスー!」
「文句言うな。基地機能は早く回復しなければならないんだ」
クロノにたしなめられて、ウェンディはとほほと肩を落とした。それで周りが苦笑する。
「よし、行くぞ!」
「了解!」
Xioの隊員たちは半壊した基地に引き返していく。はやてはカミキを追いかけて申し出た。
「どうせだから基地の片付け、わたしたちも手伝います」
「何から何まですまないな。感謝する」
アギトはシグナムにからかい混じりに呼びかけた。
「ところでシグナム、お前ダイチがエックスだってこと、剣の稽古までつけておいて気がつかなかったんだな」
「むぅ……太刀筋で人を見抜けないとは、私も修行が足りないだろうか……」
シャマルはヴィータ、ザフィーラと話す。
「一番に必要なのはメディカルルームの復旧ね。みんなちゃんと手当てしないと。二人とも、お手伝いしてちょうだい」
「オッケー」
「ああ、了解だ」
ルーテシアはエリオとキャロ相手にこう言っていた。
「さて、私はまたインターミドル頑張らないとね。全く休む暇もないわー」
「わたしもまた今晩からトレーニングしなきゃ!」
「もう早速そっちに戻るの?」
「なのはさんはいつだって平常運転ですね」
苦笑するフェイトとティアナ。こんな風に皆で談笑していることに、空間モニター越しにアインハルトとヴィヴィオが微笑んだ。
『私たちの未来は、まだまだ続いていくんですね』
『はい! わたしたちも基地のお片付けに参加しましょう!』
そしてダイチは、エックスに対して告げた。
「エックス、最高のユナイトだったね!」
エックスはダイチにこう返す。
『ダイチ……空を見てみろ』
ダイチが空を見上げると――オペレーションベースXの空に丸虹が架かっていた。
虹の輝きは彼らの行く先をまばゆく照らしているようであった――。
――基地の後片付けの後、スバルにも手伝ってもらってどうにか報告書を纏め上げたダイチは、彼女と基地の屋上に上がって星空を見上げていた。
「ところでダイくん、あたし一つだけ気になってることがあるんだけど」
スバルがふと尋ねかける。
「何? スゥちゃん」
「エクスディッシュのこと。エクスディッシュがダイくんのお母さんが発掘したものだったってのは分かったけど……あんなにすごいもの、そもそもどこの誰が作ったのかな?」
スバルはエクスディッシュの能力と、起こしてきた奇跡の数々を振り返ってそんな疑問を抱いていた。
「無を有に変えるなんて、本当の意味での魔法のような力……いくらロストロギアでも、人間が作ったものとは思えない。しかもそれがミッドから発掘されて、ダイくんたちの手に届いたのは、あたしには偶然じゃなくて運命だったように感じられるの。エクスディッシュを作ったヒトって、もしかしてこうなることが分かって作ったんじゃないのかな?」
「……エクスディッシュに纏わる事実は、もう解き明かすことは出来ないだろう。母さんの研究結果は、虹の彼方に行ってしまったからね」
ダイチはスバルの疑問に答える。
「ただ、これは何の根拠もないことなんだけど……はるか昔にも、エックスみたいなたくさんの人や世界の平和を愛する存在がいたんじゃないかな。その誰かが、母さんみたいに未来からの電波から、未来の危機を知り……俺たちの未来を導くエクスディッシュを用意してくれた。……そんな風に思えてならないんだ」
『ダイチ、私もその意見に概ね同意だ。エクスディッシュには、誰かの優しさと慈しみがこもっている……。私にもそう感じられたんだ』
エックスがダイチの意見を支持した。
「エックスもそう思うんだね。だったらきっと、本当のことだね」
「未来……あたしたちの未来、か……」
スバルがつぶやき、ダイチに呼びかける。
「ダイくん、前に言ってたよね。星はいつも人間を見守ってるって」
「ああ」
「……未来の向こうでは、人間ははるか彼方の星にも行けるくらいに進歩してるかな」
「してるさ。俺たちがつないだ未来なんだから……!」
ダイチは熱を込めて、断言した。
「そうだよね……! あたしたちの未来、今よりももっとすごい、素敵なものにしていこうねっ!」
「ああ……!」
――広大な宇宙を挟んで臨み合う星と大地のように、スバルとダイチは向き合って約束し合うと、まだ見ぬ明日に想いを馳せて星空を見上げた――。
Xioの仲間たち、管理局のみんな、そしてエックス。俺、みんなと一緒に戦えてよかったよ! でもまだ終わりじゃない。俺たちの可能性は、未来にどこまでも続いていくんだ!