ダイチは怪獣の出現を視認すると、直ちにデバイザーで本部に報告した。
「遺跡から怪獣出現! タイプG、体長約60メートル!」
『フェイズ3! 近隣住民に緊急避難指示!』
ダイチたちが目を向ける先で、怪獣は咆哮を発しながら地響きを鳴らし、前進を開始した。
「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」
「! 見て下さい、あそこっ!」
アイシスが指を差す。その先では……トーマが少女を背負って、怪獣に追われていた!
「トーマぁっ!!」
「あっ、待って!」
思わず飛び出していくアイシス。ダイチはスバルに顔を向けて告げた。
「俺とエックスで食い止める! スバルはその間にトーマたちを頼む!」
「分かった!」
駆け出すダイチ。一方で追いかけられているトーマは、怪獣の眼から放たれた赤い光を浴びせられる。
「うわぁっ!」
思わず身構えたトーマだが……意外にも身体に何かが起きた様子は全くなかった。
「あれ……?」
どういうことか、と思う間もなく、怪獣が足を振り上げてトーマと少女を踏み潰そうとしてきた。
「うわぁぁぁっ!」
トーマたちの危機。だがその時に、ダイチはエクスデバイザーを手にユナイトの構えを取っていた。
「エックス、ユナイトだ!」
『よぉし、行くぞっ!』
デバイザーのスイッチを押し、エックスのスパークドールズをリード。
[ウルトラマンエックスと、ユナイトします]
「エックスーっ!!」
ダイチの身体がX字の閃光に包まれ、ウルトラマンエックスへと変身!
「イィィィーッ! サァ―――ッ!」
[エックス、ユナイテッド]
飛び出していったエックスが怪獣に体当たりして、踏み潰しを阻止した。
「ウルトラマンエックス……!」
間一髪救われたトーマと少女がエックスを見上げた。そこにアイシスとスバルが駆けつける。
「トーマ! 大丈夫だった!?」
『「スバル! 早くトーマたちを安全な……!」』
スバルに呼びかけるダイチだが、そこに怪獣の棍棒がエックスに振るわれる。
「グワァッ!」
エックスはその一撃で宙に吹っ飛ばされ、鉱山の山肌に叩きつけられた。
「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」
よろよろと起き上がったエックスは、拳で地面を叩いて怪獣に向かっていく。
「フアアァァッ!」
怪獣の頭を抑え込んで首元に膝蹴りを打ち込んだが、急所を打たれて怪獣は少しも応えた様子がない。エックスが何度殴っても蹴っても、まるで巨岩を叩いているように揺らがなかった。
「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」
「グワアアアアッ!」
反対にエックスは怪獣の打撃で吹っ飛び、散々翻弄される。
「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」
怪獣の棍棒攻撃にエックスは腕でガードを固めるも、ガードの上から叩き潰されて地に這いつくばらされる。
「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」
「グゥッ! グアァァッ!」
背面に何度も棍棒を振り下ろされるエックス。猛打を食らいながらもどうにか脱け出して、体勢を立て直した。
『ぐっ……凄まじいパワーだ! 並大抵の怪獣じゃないぞ!』
『「全力で行くしかないな……!」』
ダイチはエクシードXのスパークドールズを呼び出して、それをリード。
[ウルトラマンエックス、パワーアップ!]
エクスディッシュのタッチパネルを一回スライドして、X字に振るう。
「『エクシード、エーックスっ!!」』
エックスの身体がエクシードXのものに変化し、そしてエクスディッシュを手に取ってアサルトフォームに変形させた。
「『エクスディッシュ・アサルト!!」』
エクスディッシュで怪獣の棍棒と切り結ぶが、エクシードXの膂力を以てしても押される!
『この状態でも向こうの方が上だとは……!』
『「だったらっ!」』
エックスは一旦怪獣から距離を取り、ダイチがパネルを三回スライドしてボタンを叩いた。
「『エクシード! エクスラッシュっ!!」』
エクスディッシュから発せられた虹の光のロードが怪獣を覆う。
「ジュウワッ!」
光のロードの中を一直線に飛んでいくエックスだが……怪獣は尻尾を振り回してエクスディッシュの刃を受け止め、エックスをも弾き返した!
「ウワアァァッ!?」
エックスが地面に倒れ伏すと、怪獣は背面のトゲを赤くスパークさせて、口に血のように真っ赤な閃光を湛えた。
「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」
そして吐き出した膨大な破壊光線を、エックスに放つ!
「ウワアアアアァァァァァァ――――――――!!」
赤い光に呑まれ、連続爆発を食らったエックスは身体を維持できなくなり、弾け飛ぶ。ダイチはユナイトを強制解除され、地面に向かって放り出された。
『ダイチー!!』
エックスは最後に残された力でウルトラ念力を発動し、ダイチを地面にゆっくり下ろすことに成功した。その後にエクスデバイザーが落下して、乾いた音を立てる。
トーマたちを安全なところまで逃がしたスバルは、その場に急いで駆けつけた。
「ダイくん! 大丈夫!? しっかりしてっ!」
ダイチを助け起こしたスバル。二人が顔を上げた先で、怪獣は光線を己の足元に向けて発した。
「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」
すると地面が血の池のように赤くドロドロに溶け、怪獣はその中に沈んでいく。
唖然としたダイチの目が、地面の上に転がっているデバイザーを捉えた。
「エックスっ!」
すぐに拾い上げたダイチだが……デバイザーの縁はボロボロに腐食し、画面はブラックアウトしていた。
「エックス……エックス! 返事をしてくれエックス!!」
ダイチがいくら呼びかけても、エックスは返答を寄越さなかった。
「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」
エックスを撃破してしまった怪獣は飛沫を上げながら血の池に潜り、完全に姿を消した。
それを見やったトーマが、呆然とつぶやく。
「地獄が、目覚めてしまった……!」
状況終了後、ダイチとスバルはトーマたち三人を連れて、スペースマスケッティでミッドチルダのXio本部を目指す。
次元間飛行中に、スバルはトーマを叱りつけた。
「トーマ……あなたの旅行を許した時、無茶はするなって言ったでしょ!? 本当に心配したんだから……!」
「ごめん、スゥちゃん……」
「スティードも、ちゃんと止めてくれないと困るよ」
[申し訳ありません、スバル]
スバルに怒られ、トーマは力なくうなだれた。その彼に、助手席のダイチが尋ねかける。
「ところでトーマ、その女の子は誰だい?」
「それあたしも気になってた! この子、どうしたの?」
皆の注目が、遺跡に入る前はどこにもいなかった少女に集まった。すると少女自身が名乗る。
『わたしはリリィ・シュトロゼックです。トーマはわたしを助けてくれたんです』
音を介さず、脳に直接伝わってくる言葉に、スバルが面食らった。
「この声、念話? いや違う、精神感応……?」
「声が出せないのかい?」
ダイチの問いかけに、小さくうなずく少女リリィ。
トーマがダイチたちに打ち明ける。
「リリィのことは、俺にもよく分からないんだ。ただ、あの遺跡の中にあった研究施設みたいなところに閉じ込められてて……助けたと思ったら、怪獣が追いかけてきて」
「そうか……。それで、右腕の腕輪は? そんなもの、さっきはしてなかっただろう」
ダイチはトーマの右腕に嵌まっている、銀色の腕輪に目をつけた。どういう訳かつなぎ目がなく、どうなって嵌められたのか不明だ。
そして同じものをリリィも左腕にしている。
「これもよく分からない。気がついたら腕にあって……」
「そうか……。とにかく、詳しいことは帰投してから調べてもらおう」
スペースマスケッティがミッドチルダの空に出て、まっすぐオペレーションベースXに飛んでいった。
トーマとリリィは医療班に回され、Xioはルヴェラ遺跡から出現した怪獣の情報を得るために無限書庫のユーノ・スクライア司書長に依頼し、怪獣のことが書かれた文献を探してもらった。
その結果を、ユーノが通信越しにカミキに報告する。
『カミキ隊長、大変なことが分かりました!』
「怪獣の正体が分かったのですか」
カミキの問い返しにうなずいたユーノは、一冊の古文書を手にしながら説明を開始する。
『怪獣の名は、地獄獣ザイゴーグ。古文書には、世界がまだ高熱に煮えたぎっている、地獄のような環境だった時から生きている生物で、次元世界に人間が現れてからも地獄の軍団を率いて脅かしていたとあります。そこへ光の巨人が降臨し……』
「ザイゴーグを地底深くに封印した」
クロノのひと言にユーノは首肯する。
『その封印は解かれてしまいました。復活したザイゴーグは間違いなく、次元世界中を己の世界、地獄に塗り替えるために行動するでしょう。何としても止めなければなりません』
「ごめんなさい、あたしがカルロスさんを止められなかったから……」
オペレーション本部で同席しているアイシスが謝罪した。
「いや、君が責任を感じることではない。それよりも今は、対ザイゴーグ作戦の立案を急ごう」
「ザイゴーグはエックスをも一蹴した恐るべき怪獣です。生半可な対応策は通用しないでしょう」
カミキとクロノの言葉に、ダイチが持ち帰った石板の内容をユーノが読み上げた。
『碧石によりて、天の光、地の光は結ばれん。結びの光が蘇りし時、闇は闇に還りたり。ザイゴーグ封印のヒントでしょう』
作戦の内容について話し合っているところに、カミキの元にシャマルとグルマンからの緊急通信が舞い込んだ。
『カミキ隊長、大変です!!』
「どうした」
『今しがた検査したのですが、トーマ・アヴェニール君は……エクリプスウィルスに感染してますっ!』
その報告に、本部が一気にざわついた。
「本当か!」
『間違いありません……! 既に発症もしてます!』
「そ、そんな……トーマが……!?」
流石に動揺を隠せずよろめくスバル。彼女をウェンディたちが慌てて受け止めた。
『リリィという少女は、EC兵器の生体型リアクトプラグだ。彼女と接触したことで感染したのだろう』
「でも、リリィはそういうこと何も知らないみたいでしたよ!?」
リリィについて報告したグルマンにアイシスが反論した。
『恐らく、何らかの精神的ショックで失語症とともに自分が何者かの記憶も失ってしまったのだろう。ともかく、このままでは極めてまずい』
とグルマンは言うが、カミキとクロノは目を合わせて相談する。
「……エクリプス感染者も重大ではあるが、今はザイゴーグの対策をしなければならん」
「発症したとしても、殺人衝動はすぐに起こるものではありません。ひとまずは、目先の危機であるザイゴーグから対応すべきかと」
「うむ。特捜班は直ちに消えたザイゴーグの行方を捜索せよ!」
「了解!」
カミキの命令により、特捜班はあらゆる次元レーダーを駆使してザイゴーグの捜索を開始した。
しかしその最中で、スバルはトーマのことを案じて宙を見つめた。
「トーマ……」
その頃ラボでは、ダイチが腐食して機能停止してしまったエクスデバイザーの中のエックスと交信するため、自身のデスクで作業に取り掛かっていた。そこにヴィヴィオとアインハルトが駆け込んでくる。
「ダイチさん、エックスさんが意識不明って本当ですか!?」
「ヴィヴィオちゃん、アインハルトちゃん。ちょうど今、エックスを呼び起こそうとしてるところだ」
ボロボロになってしまったデバイザーを、痛々しそうに見つめるアインハルト。
「ひどい……。エックスさんは無事なんでしょうか……」
「これから確かめる。よし、これで……」
ダイチはデバイザーの左右にはんだごてを当て、電気ショックを与えた。
『あぁっぢっ!? びっくりしたぁ……』
電気ショックは成功して、画面にエックスの顔が映る。
「エックス、無事だったんだね!」
『何とかな……』
「よかった、エックスさんがご無事で……」
エックスの返答を聞けて、ダイチ、ヴィヴィオ、アインハルトは一様に安堵した。
ダイチはデバイザーを手にして、カバーに付着した毒々しい液体に目を落とす。
「この固形化した液体、デバイザー自体を腐食させてるみたいなんだ」
ザイゴーグに掛けられた毒液によって、デバイザーは全機能を阻害されていた。復活した画面にも、絶えずノイズが走っている。
『現状では君とユナイトできない……。このまま腐食が進んだら、私自身もアウトだ』
「そんなこと言わないで下さい……!」
エックスのことを深く心配するアインハルト。ヴィヴィオはダイチに頼み込む。
「ダイチさん、デバイザーを直してエックスさんを助けてあげて下さい!」
「もちろんだ。ラボの力でどうにかしよう」
ダイチはすぐにデバイザーの修理を始める。
ザイゴーグ対策に取り掛かっている間は、いたずらに不安にさせないためにトーマとリリィにはエクリプスウィルスのことは秘密にしておくことになった。
理由をつけてXioベースに留まらせている間、トーマたちは時間潰しにと、シャーリーにラボを案内される。
「ここがXioの誇るラボでーす!」
「わぁ……! ここでXioの兵器の数々やデバイス怪獣が作られたんですね」
トーマとリリィは興味深そうにラボの内装を見渡した。
「そしてこの人が、ラボの主任のファントン星人グルマン博士」
シャーリーが紹介すると、背を向けていたグルマンはクルリと振り返って笑いかけた。
「ニカァッ!」
「!!?」
しかしあまりの大口と人間からかけ離れた大きな顔面にリリィが仰天のあまり、失神してフラリと崩れそうになった。それを慌てて受け止めるトーマ。
「ああっリリィ!」
「えぇー……」
唖然とするグルマンをシャーリーが責める。
「もう博士ったら驚かさないであげて下さいよ! 迫力ある顔どアップにして!」
「迫力ある顔って! これでもファントン星ではイケメンなんだぞ!」
スティードがリリィの気つけをしている合間に、マリエルがグルマンに呼びかけた。
「博士、画像が出ます」
「おお!」
マリエルが空中のモニターに出した画面に、ティガの像の映像が現れた。
「んん……これが遺跡の地下で発見された石像か」
「ダイチくんの話だと、ティガという名前だと」
「なるほど、興味深い」
グルマンが意味深にティガの像を見つめているので、マリエルがまさかと問いかける。
「もしかして博士、このティガのカードも作るつもりですか?」
「もちろんだとも!」
トーマが興味を示して質問する。
「カード? 何のお話しですか?」
「いい質問だな!」
グルマンは五枚のデバイスカードを召喚し、トーマたちに披露した。
「マックス、ギンガ、ビクトリー、ゼロ、ネクサスの力が込められた、ウルトラマンカード! 彼らとつないだ絆の象徴でもある、我々の宝物だ。ここで見たことは内緒だぞ」
「ウルトラマンの力が……! すごいですね!」
トーマとリリィがウルトラマンカードに目を奪われていると、スティードがトーマに申し出る。
[トーマも、これまで発掘したお宝を見せてあげたらどうでしょうか]
「お宝?」
[トーマは遺跡での宝探しが趣味なんです]
「いや、そんな大したお宝なんてありませんよ。素人の道楽ですから」
スティードの説明に、トーマは謙遜して後頭部をかく。
「いやいや、是非とも見せてくれたまえ。次元世界の出土品も面白そうだ」
「そうですか? じゃあ、どれもつまらないものですが……」
グルマンに促されて、トーマはバッグからいくつか各地の遺跡で発見したものをテーブルに並べていった。
「これはカルナログの遺跡にあった銅鏡。これはキャロの故郷で見つけた古代の釣り針。他には……」
「へぇ~。結構色んなところに行ってるんだね」
「ほほう、若いのに大したもんじゃないか。……むっ!?」
グルマンは今トーマが取り出した、棒のような形の石器に目を留めた。
「ああ、これですか? これだけ何なのか分からないんですよ。他に似たようなものがなくって」
「これは……!」
トーマから用途不明の石器を受け取るグルマン。
「……ちょっと、借りていいか!?」
「いいですけど……」
奇妙な反応を見せるグルマンに、一同は怪訝な顔になった。
ザイゴーグの行方を追っていたルキノが、カミキたちに報告した。
「ミッド、ルヴェラ間より、異常電磁波を観測! 非常に大きな熱源がミッドに接近してます!」
「熱源!? まさか……!」
息を呑む特捜班。クロノは眉間に皺を刻みながら指示する。
「熱源をモニターに表示しろ」
「了解……!」
モニターに現れたのは、サーモグラフィーで捉えられたザイゴーグの影だった。
「ザイゴーグ……!」
「次元の狭間を泳いで、ミッドに近づいてきてるの!?」
驚くディエチ。ザイゴーグ接近について、ユーノが述べる。
『青い石を追いかけてきてるのではないでしょうか……! 青い石を破壊すれば、ザイゴーグを止めるものはなくなるから……』
「青い石が怪獣を封印できると?」
『現在ある可能性は、古からの言い伝えだけです。石を動かしたことでザイゴーグが目覚めたのなら、眠りに就かせるのもまた青い石でしょう』
ユーノの推測を受け、クロノがカミキに告げる。
「その石を解析する必要がありますね」
うなずくカミキ。
「問題の石は、今どこに?」
「たった今、カルロス・クローザーのウェブテレビに出されてるっス! カルロスコミュニケーションズ本社ビルっス!」
「カルロスコミュニケーションズ、エリアT-2です」
ウェンディが答え、ルキノがクラナガンの地図をモニターに出した。ハヤトが顔をしかめる。
「首都圏のど真ん中だ!」
「推定到達時間は?」
クロノの問いに回答するアルト。
「約一時間」
「時間がない! スバル、大至急青い石を回収しろ!」
「了解!」
カミキの命令で本部から駆けていくスバル。するとアイシスがカミキに頼んだ。
「あたしにも行かせて下さい!」
「君は民間人だ。ここにいた方がいい」
「いえ、やっぱりあたしがちゃんと止めてたら、こんなことにはならなかったんだから……自分で責任を取りたいんです!」
アイシスの強い訴えかけに、カミキは折れる。
「分かった。ただしスバル隊員の指示には必ず従うように」
「ありがとうございます!」
アイシスがスバルを追いかけていくと、カミキが指令を発する。
「フェイズ4! 都市防衛指令発令! ハヤト、ワタルはスカイマスケッティ、チンク、ディエチはランドマスケッティ、空陸同時攻撃でザイゴーグを迎え撃て!」
「了解!」
「ウェンディはダイチとともに、現地で迎撃作戦のバックアップだ!」
「了解っス!」
刻一刻と迫り来るザイゴーグに対して、特捜班が迅速に出動を開始した。
ラボでエクスデバイザー修理中のダイチに、カミキからの指令が入った。
『ダイチ、出動だ!』
「けどエックスがまだ!」
動かないダイチに、グルマンが告げる。
「デバイザーの修理は私たちに任せておけ!」
「でも!」
それでも迷いを見せるダイチを、エックス自身が説得した。
『今のままでは、私には何も出来ない。しかし、君には出来ることがあるはずだ』
「修理が出来たら、すぐにわたしとシャーリーさんで届けるから」
ファビアが申し出て、ピグモンがコクコクうなずいた。
「……そうだね。行ってくるよ!」
「頑張って下さい、ダイチさん!」
「ご武運を……!」
出動していくダイチを見送るヴィヴィオ、アインハルト。最後にトーマがダイチに呼びかける。
「ダイ兄……!」
「トーマ……」
感染のことはダイチも聞き及んでいた。ダイチは一瞬固い表情を見せたが、すぐにトーマに力強く笑いかけた。
「すぐにザイゴーグを再封印して帰ってくるよ。トーマはそれまで待っててくれ」
そう言い残して去っていくダイチ。トーマはそれでも、不安げな視線をダイチの背中に向けていた。
Xioベースから発進していくアトス、アラミス、ポルトスの三台。更に屋上の滑走路から、ジオマスケッティ三号機と四号機が飛び立った。
「ジオアトス、ジョイントゥジオマスケッティ!」
「ジオポルトス、ジョイントゥジオマスケッティ!」
アトスとポルトスはそれぞれ三号機と四号機とジョイントし、一体化。
[スカイマスケッティ、アンドランドマスケッティ、コンプリート]
アラミスと二機のマスケッティがエリアT-2、カルロスコミュニケーションズビル前に向けて出撃していった。
ダイチたちが出動していってから、デバイザー修理を進めるグルマンの元に駆け込んでくる人物がいた。
「グルマン博士!」
「なのはママ!」
なのはであった。ヴィヴィオが驚いた顔になる。
「高町一尉、作戦現場で直接防衛線に加わるのではなかったのかね?」
聞き返したグルマンに、なのははこう返した。
「ティガという方のデバイスカードと……『ウルトラマン』という方のカードを急遽制作中と聞きました」
「ああ、そうだ。青い石とともにあった石像のウルトラマンと、『始まりの巨人』。その力はきっとザイゴーグを倒す助けになると考えてな」
「そのカードに……」
なのははレイジングハートをグルマンに差し出した。
「この子のデータを使って下さい」
「何?」
「レイジングハートも、きっとお力になるはずです……!」
なのはの訴えに、グルマンは大きくうなずいた。
「術式構築の手間も省ける。ありがたく使わせてもらおう。データをコピーしたらすぐに返すからな」
「お願いします」
どことなく、いつもよりも熱意を宿しているように見えるなのはの横顔に、ヴィヴィオは小首を傾げた。