光輝巨人リリカルなのはX   作:焼き鮭

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天と地を結ぶ光

 

 出現したゴーグトーマの姿に、トーマもアイシスも驚愕を露わにした。

 

「えっ!? 俺!?」

「ト、トーマが二人!?」

 

 アイシスを追いかけて階段を下りてきたカルロスも、彼の後に続いてきたスバルも秘書も唖然とする。

 

「えぇっ!? トーマが二人いる!?」

「トーマくん、君は双子だったのか!?」

「いやそんな訳ないでしょ!」

 

 トーマが突っ込んでいると、下の階から上がってきたダイチがゴーグトーマを見とめ、皆に警告した。

 

「気をつけて! そいつは怪獣の分身体だっ! 青い石が狙いだ!」

「怪獣の!?」

 

 トーマがハッと思い出す。ルヴェラでザイゴーグから逃げていた際、ザイゴーグに光を浴びせられたのを。その時は何も起こらなかったと思ったが……。

 

「あの時に……!」

 

 敵と知ったスバルが即座にバリアジャケットを見に纏い、トーマたちの前に回ってゴーグトーマに立ちふさがった。それにジオブラスターを抜いたダイチも続く。

 

「トーマたちは避難してっ!」

「で、でも……!」

「早くっ!」

 

 躊躇うトーマを急かしたスバルだが、彼らを逃がすより早くゴーグトーマが動く。

 

「ガハハハハハハハ!」

 

 右腕と一体化している銃剣を持ち上げ、階段に向けて怪光弾を発射。

 

「うわぁぁっ!」

 

 その一撃で階段は崩落を起こし、下の階へと続く道が瓦礫で埋められた。

 

「しまった! 逃げ道をふさがれた……!」

「ガハハハハハハハ!」

 

 ゴーグトーマが黄色い眼を獰猛に光らせ、青い石を持つアイシスに向かっていこうとする。その前に立ちふさがって、リボルバーナックルを打ち込むスバル。

 

「たぁぁっ!」

 

 ダイチもゴーグトーマの左方に回り込みながら援護射撃を繰り出す。

 

「ガハハハハハハハ!」

 

 しかしゴーグトーマはスバルのナックルを剣で受け止め、彼女をあっさり押し返した。ブラスターの弾丸は、ゴーグトーマの皮膚を貫くことが出来ない。

 

「うっ! 何て力……!」

「トーマの姿をしてても、身体の作りはザイゴーグと同じなんだ! それも当然だ……!」

「スゥちゃん! ダイ兄!」

 

 旗色の悪いスバルとダイチを案じるトーマだが、スバルは少しだけ顔を向けると、安心させるように微笑みかけた。

 

「大丈夫。お姉ちゃんたちに任せて!」

 

 次いでダイチとアイコンタクトを取る。

 

「同時に行くよ! ダイチ!」

「オッケー! スバル!」

 

 ウルトライザー・カートリッジを装填するダイチ。スバルも左手のAEC兵器を起動させた。

 

[ウルトラマンの力をチャージします]

 

 この走り回ることが出来ない狭い空間では、力と防御に優れたゴーグトーマの方が有利。時間を掛けるほど、トーマたちの身も危険になる。そこで短期決戦に臨むつもりだ。

 

「ガハハハハハハハ!」

 

 両腕の刃を振り上げて迫り来るゴーグトーマ。それを見て、スバルの方もゴーグトーマへと飛び込んでいった。

 

「ソードっ!」

 

 右腕の剣が自分に一気に振り下ろされる――その機先を制して、左手で刃を掴んだ!

 

「ブレイクっ!!」

「ウルトライザーシュートっ!!」

 

 左腕に備えられたソード・ブレイカーが剣を粉砕し、左腕の刃もウルトライザーシュートで弾け飛んだ!

 

「やったぁっ!!」

 

 歓声を上げるアイシスたち。両腕の武器を破壊されたゴーグトーマはのけ反る――。

 

「ガハハハハハハハ!」

 

 だが首を戻すと同時に口から腐食光線を吐き出し、スバルとダイチの両方に食らわせた!

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 突然のことにトーマたちは驚愕。ダイチは光線から脱け出すも、

 

「しまった、ブラスターが……!」

 

 ジオブラスターがボロボロに腐食して、使い物にならなくなってしまっていた。

 スバルの被害はそれを超えていた。

 

「あああぁっ!」

 

 ソードブレイカー、マッハキャリバーのみならず、自身の身体も腐食してしまい、全身錆に覆われて倒れ込んだ。

 

「スゥちゃんっ!!」

 

 ダイチとトーマの絶叫がそろった。

 

 

 

 完全に日が落ち、街が夜の暗黒に覆われた中、カルロスタワーの外では、地獄の軍団の前に防衛線メンバーは大いに苦戦を強いられていた。

 

「キャ――――――――オォォウ!」

 

 ザイゴーグを止めようと飛びかかろうとした白天王をアントラーが磁力光線で引き寄せ、大顎で身体を挟み込んで投げ飛ばす。

 

「グギュウウウウウウウウ!」

 

 シルバゴンは剛力でヴォルテールを押し切り、殴り飛ばした。

 

「キャア――――!」

 

 ドラコは空を音速で飛び回って、航空部隊の攻撃を妨害。ソニックフォームになったフェイトの後を追いかけ、カマを光らせる。

 

「振り切れないっ……!」

 

 自分にピッタリとついてくるドラコに、フェイトは苦悶の表情を見せた。

 

「グガアアアア! ギャアアアアアアアア!」

 

 地上部隊の攻撃はゴルザの肉体に阻まれ、超音波光線の反撃によって逆に後退を余儀なくされる。

 

「やべぇっ! ザイゴーグがタワーに……!」

 

 うめくノーヴェ。四体の怪獣に守られるザイゴーグが、遂にカルロスタワーの目前までたどり着いてしまったのだ。

 

「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」

 

 タワーを攻撃しようとするザイゴーグを目にして、ユーノが再度デバイザーにデバイスサンダーダランビアのカードをセット。タワー全体を亜空間シールドで覆った。

 そこにザイゴーグの棍棒が叩きつけられ、伝わってきた衝撃でユーノが絶叫を上げた。

 

「うわあああぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「無茶ですっ! 直接亜空間シールドを展開し続けようなんて……!」

 

 シャーリーが仰天して叫んだが、ユーノはデバイザーから指を離さなかった。

 

「ここで踏みとどまらなくちゃ、青い石だけじゃなくダイチくんたちも潰されてしまう……! 無茶でもやらなくては……!」

 

 そう言いながらもザイゴーグの一撃でひどく消耗するユーノの身体を、後ろからキャロが支えた。

 

「わたしも手伝います! 一人では無茶でも、二人なら……!」

「二人よりも三人がいいに決まってるよ!」

「私たちも!」

 

 はやて、シャマル、ザフィーラ、ルーテシア、ファビアまで加わって、魔力を注ぎ込んで亜空間シールドを維持する。

 それだけの人数が加わっても、シールドはザイゴーグの打撃によって激しく揺らされる。

 

「くぅぅぅぅっ……!」

 

 ザイゴーグの攻撃の度に、七人は衝撃に必死に耐えながらシールドを支えた。

 

 

 

 防衛線メンバーがギリギリまで追い込まれながらも懸命に抗戦しているが、タワー内部でも関節が全く動かなくなったスバルに危機が迫っていた。

 

「ガハハハハハハハハ!」

 

 ゴーグトーマが砕かれた右腕を変形させ、棍棒の形で再生させてスバルに叩きつけようと振り上げる。動くことの出来ないスバルは脂汗を噴き出すことしか出来ない。

 

「やめろぉぉぉぉぉっ!」

[Start up]

 

 遂にたまらなくなったトーマが銃剣型のECディバイダー、シュトロゼック・リアクテッドを出し、戦闘装備姿に変身して飛び出した。

 

[Silver Barrett]

 

 シュトロゼックの銃口からエネルギー弾を発射したが、ゴーグトーマのボディには傷一つつかない。

 

「ガハハハハハハハ!」

「くっ!」

 

 射撃が効かないと見たトーマはスバルの前に回り込んで、振り下ろされた棍棒をシュトロゼックの刃で受け止めた。

 だがトーマは不完全な状態でのリアクト。対してゴーグトーマは彼の潜在能力を発揮した姿を先取りして再現された個体で、かつ怪獣のパワーもプラスされている。オリジナルのはずのトーマはすぐに押されて、その場に片膝を突いた。

 

「うぐぅっ……!」

「トーマっ!!」

 

 トーマを助けようとダイチが飛びかかったが、得物を失った彼は片腕だけで振り払われた。

 

「うわぁっ!」

「ブラックパフュームNo.5! ランブリングスパロー!」

 

 アイシスが黒い鳥型の爆薬を飛ばしてゴーグトーマに爆発を食らわせるも、やはりゴーグトーマには通用していない。何事もなかったようにトーマを押し続ける。

 

「ガハハハハハハハ!」

 

 汗が顔中に噴き出ているトーマに、スバルがかすれた声を出した。

 

「トーマ……あたしのことはいいから、逃げて……!」

「嫌だっ!」

 

 トーマは自分を抑えつける棍棒に必死に耐えながらも、即座に断った。

 

「スゥちゃんは俺に手を差し伸べてくれた人だ! 俺はもう、大事な人を誰一人として失いたくないっ……!!」

 

 歯を食いしばり続けていたトーマの瞳が、一瞬強く決意に輝く。

 

「俺が、守るんだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 口から飛び出た絶叫に合わせて、ゴーグトーマがものすごい勢いで押し返されていき、吹っ飛ばされて壁に叩きつけられた!

 

「ガハァッ!!」

「!? トーマ、今の力は……!」

 

 己から生じたすさまじいパワーに、トーマ自身が驚愕していた。

 しかし懐から光が仄かに漏れ出ていることに気づいて、その「光」を引っ張り出す。

 持ってきていた石器が強く光り輝いている。更にひびが走り――表面を覆っていた石が剥がれ、翼を象ったようなスティック状のアイテムが真の姿を現した。

 

「……!」

 

 アイテムの光を浴びて、アイシスの手の中の青い石も同じほどに発光した。

 それだけでなく、エクスデバイザーも発光する。立ち上がったダイチがデバイザーを手にした。

 

「これは……まさか、これが結びの光……!?」

 

 唖然としていた皆だが、その時に大きな揺れがタワーを襲い、ダイチたちはつんのめった。

 

「うわぁぁっ!」

 

 

 

 シールドがとうとう破られてしまい、ザイゴーグの棍棒がタワーの外壁を破砕したのだ。

 

「わぁぁぁぁぁぁ―――――――――っ!!」

「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」

 

 弾かれて倒れるユーノたち。タワーにとどめを刺そうとザイゴーグが右腕を振り上げるが、そこにどうにかアントラーとシルバゴンを振り切ってきたヴォルテールと白天王が背後から羽交い絞めにして、タワーから力ずくで引き剥がした。

 

「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」

 

 しかしすぐに振りほどかれて張り倒され、ザイゴーグが先に二体へ破壊光線を吐こうとする。

 

「ヴォルテールっ!」

「白天王ぉーっ!」

 

 キャロとルーテシアが絶叫。更にアントラーがタワーに向かって突進していく!

 

「キャ――――――――オォォウ!」

 

 アントラーが激突すればタワーの崩壊は確実だが、止められる者はいない! 全員が声にならない悲鳴を発した。

 

 

 

 破砕された壁から、迫り来るアントラーの姿が見えた。カルロスは絶望して頭を抱えた。

 

「もう駄目だぁーっ!」

 

 更にアントラーとともに、ゴーグトーマがトーマに棍棒を振り上げ飛びかかっていく。

 

「ガハハハハハハハ!」

 

 押し寄せる分身獣を前にして――トーマは銃剣から持ち替えたアイテムを、光に導かれるようにそれを掲げた。

 

「おおおぉぉ―――――――っ!」

 

 アイテムの翼の部分が開き――トーマ自身から光が溢れ出した!

 

「ガハハ――!」

 

 閃光に当てられたゴーグトーマは――輝く拳と衝突し、塵となって砕け散った。

 更にアントラーは輝く手に顎を掴まれ、タワーに激突する寸前で突進を止められた。

 

「キャ――――――――オォォウ……!?」

 

 これと同時に閃光に照らされたスバルと、エクスデバイザーの錆が吹き飛んで元の姿が戻った。

 

「身体が、治った……!?」

『ダイチ! 行けるぞ! ユナイトだ!』

 

 エックスはすかさずダイチにユナイトを呼びかける。

 

「よし! 行くぞエックス!」

『おうっ!』

 

 ダイチは即座に応じ、ユナイトを敢行!

 

「イィィィーッ! サァ―――ッ!」

[エックス、ユナイテッド]

 

 変身したウルトラマンエックスは、守護獣たちにとどめを刺す直前だったザイゴーグにきりもみキックを浴びせて蹴り倒し、光線発射を阻止した。

 

「グギャアアァァァァ――――――!」

 

 ゴルザ、ドラコ、シルバゴンはエックスの登場に驚いたかのように振り返って動きを止める。

 スバルたちはタワーのエントランスから外に飛び出し、ちょうど起き上がったユーノたちとともに、アントラーを押し返した銀と赤と紫色の巨人の立ち姿を見上げる。

 スバルとアイシスが言った。

 

「トーマ……!」

「トーマが、ウルトラマンに……!」

 

 その巨人こそ、トーマが石器の本当の姿――スパークレンスによって光を開放し、変身した古の巨人、ウルトラマンティガであった――。

 ティガを見上げて、スバルがつぶやいた。

 

「トーマ……まだまだ子供だと思ってたけど……いつの間にか、大きくなって……!」

 

 ティガの隣に並び、彼と顔を向き合わせたエックスが唱える。

 

『そうか、そういうことだったんだ……!』

『「どういうこと?」』

『人が人を想い、つながり合おうとする心。その絆が天と地とをつなぐ光なんだ。その光とユナイトするからこそ、私たちは、光の巨人と呼ばれるんだ――!』

 

 エックスとティガに向けて、ゴルザが額から超音波光線を発する。

 

「グガアアアア!」

 

 その瞬間、アイシスが手にしていた青い石が発光して空中に一気に飛び上がり――赤い球となって膨れ上がった。その赤い球が超音波光線を受け止める。

 

「!? あの赤い輝きは……!」

 

 なのはとユーノが、赤い球に思わず目を奪われた。かつての記憶が呼び起こされて。

 巨大化した赤い球がエックスとティガの前に降りてきて――赤と銀の巨人の姿に変化した。

 

 

 

 ラボから戦場の状況を見守っていたヴィヴィオたちもまた、唖然と目を奪われていた。

 

「博士っ!」

 

 マリエルが振り返ると、グルマンがおもむろにうなずいて言った。

 

「全ての始まり、光の巨人!」

 

 

 

「あれは……!」

 

 なのはが咄嗟にユーノへと空間モニターをつないだ。

 

『なのは!』

「ユーノくん!」

 

 ユーノに向かって告げるなのは。

 

「きたよ! わたしたちのウルトラマン!!」

 

 その巨人は、二人が子供時代に見た、巨大なヒーローの姿と寸分も違わなかった――。

 ――三人のウルトラマンの面前で、ザイゴーグが巨体を起こした。その左右にドラコ、ゴルザとアントラー、シルバゴンが並ぶ。

 

「キャア――――!」

「グガアアアア! ギャアアアアアアアア!」

「グギャアアァァァァ――――――! ガハハハハハ……!」

「キャ――――――――オォォウ!」

「グギュウウウウウウウウ!」

 

 三人のウルトラマンたちの元にはヴォルテールと白天王が並び、三機のマスケッティと魔導師たち総員も集った。スバル、ティアナ、エリオ、キャロはMXデバイスの機能を始動。

 

「シェアッ!」

「フゥゥゥゥッ!」

「ヂャッ!」

 

 ミッドチルダの大地の上で、地獄の怪獣軍団に、ウルトラマンと魔導師たちが対峙した――。

 

 

 

「総員に告ぐ!」

 

 本部からカミキが命じた。

 

「三体のウルトラマンと連携し、怪獣たちを撃滅せよっ!」

 

 

 

「了解っ!!」

 

 魔導師たちの応答を合図とするように、両陣営が正面衝突して激闘の火蓋を切って落とした!

 一番にゴルザに向かっていったウルトラマンが前蹴りを浴びせて押し返し、続く白天王がドラコの横面を裏拳で殴りつけた。スカイマスケッティとスペースマスケッティの砲撃の連射を浴びるザイゴーグとアントラーにエックスとティガがぶつかっていき、ヴォルテールが下顎を抑えたシルバゴンにランドマスケッティのレールキャノンが決まる。エックスに殴りかかろうとするザイゴーグにはスバルからの振動波とティアナからの電撃波がうなり、首筋にヒットしてひるんだところをエックスが頭部を抑えつける。守護獣と取っ組み合うドラコとシルバゴンには新たにキャロを乗せたフリードリヒから、エリオからのビームとキャロからの火球が命中して守護獣を援護。エックスを振り払ったザイゴーグが棍棒を振るうが、はやてたちバックの重ねた五重の障壁がクッションとなってエックスを助けた。ウルトラマンたちと格闘中の怪獣の頭上からフェイト、シグナム、ヴィータが飛びかかってバルディッシュ、レヴァンティンとグラディエーター、ウォーハンマーを叩き込んで離脱し、更になのはがフォートレスとストライクカノンからの砲撃を、スカイ・スペースマスケッティとともに各種怪獣に浴びせる。空からの攻撃に首を上げたアントラーとドラコが羽を広げて上空に飛び上がり、なのはたちを狙うもそれをさせまいとティガがスカイタイプに変身して飛翔、白天王も飛び立ってドラコを追跡する。スバルたちとエリオ、キャロの攻撃によりゴルザがひるんだことでウルトラマンは、エックスが棍棒を掴んでいるザイゴーグに背後から飛びかかって左腕を捕らえ、そこにランドマスケッティの砲撃がザイゴーグの正面に命中した。ウルトラマンたちに向かっていこうとするゴルザにヴォルテールが掴みかかって引き戻し、その間にウルトラマン、エックスがザイゴーグにチョップとハイキックを見舞う。シルバゴンがエックスの背後から迫るも鋭く察知したエックスが回し蹴りを入れて迎撃した背景の空では白天王、フェイト、シグナム、ヴィータがドラコと交差し、ティガと編隊を組むマスケッティ二機がアントラーの背面に砲撃を放った。なのはとスバルたちストライカーズがシルバゴンを足止めしている間にゴルザがヴォルテールに超音波光線を撃ち込むも割り込んだエックスがバリアで防ぎ、ヴォルテールとうなずき合う。ウルトラマンと格闘しているザイゴーグにはやてたちが大型のバインドを引っかけて一瞬動きを止め、その隙にエックスとウルトラマンが立ち位置を換えてザイゴーグとゴルザに掴みかかっていき、なのはたちの集中射撃を振り切ったシルバゴンにはヴォルテールがぶちかましを食らわせた。地上の乱闘の間をアントラーと、追いかけるティガたちが通り抜けていく。

 

「キャ――――――――オォォウ!」

「タッ! デヤッ!」

 

 月明かりの下にティガがランバルト光弾を連続発射するが左右に揺れるアントラーに回避された。アントラーは急速旋回してティガの下方を抜けていき、ティガもターンして追跡を続行する。

 

「キャ――――――――オォォウ!」

 

 空中を猛スピードで飛び回って戦場をかき回すアントラーにマスケッティ二機やなのはの砲撃、フェイト、シグナム、ヴィータの武器が何発も何発も叩き込まれるも、アントラーの強固な甲殻の前に全て弾き返されてしまう。

 

「――ワタル、覚悟はいいか?」

「当ったり前よぉっ!」

 

 これを打破すべく、ハヤトがデバイスバードンのカードに手を伸ばして、デバイザーにセットした。

 

「ウェンディ、私たちもやるぞ!」

「了解っス! いつでもどうぞ!」

 

 スペースマスケッティでも、チンクがテレスドンのカードをセットする。

 

[デバイスバードン、スタンバイ]『ケエエオオオオオオウ!』

[デバイステレスドン、スタンバイ]『ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!』

 

 だがこれだけでは終わらない。

 

「デバイス怪獣、リミッター解除!」

[リミッター解除します]

『待って下さい! リミッター解除はあまりにも危険です!』

 

 ルキノが声を荒げて警告したが、ハヤトたちは振り切った。

 

「もうこの手しかないっ!」

 

 スカイマスケッティが灼熱の火炎に覆われ、スペースマスケッティも赤熱化する。

 

「キャ――――――――オォォウ!」

 

 だがそこにアントラーが身の危険を感じたか、二機のマスケッティに磁力光線を放った!

 

「間に合わないっ!」

 

 磁力光線が迫り来るマスケッティ――その前にフリードリヒが回り込んできて、エリオがベムスターのカードをストラーダに読み込ませる。

 

[Limit break.]『ギアァッ! ギギギィッ!』

「スピーアスパウトぉっ!!」

 

 突き出されたストラーダの穂先を中心に五角形のシールドが生じ、磁力光線がその中に吸収されていった。

 マスケッティがフリードリヒを飛び越え、スカイマスケッティがアントラーに猛然と突っ込んでいく。

 

「バードンフェニックスアターックっ!!」

「テレスドンフルパワー熱線っ!!」

 

 灼熱のスカイマスケッティと業火の熱線がアントラーにぶつかり――翅が一瞬にして炭化して弾け飛んだ。

 

「キャ――――――――オォォウ!!」

 

 浮力を失ったアントラーは真っ逆さまに転落していき、地上に頭から激突した。

 着地したティガはパワータイプに変身。見上げた先で、オーバーヒートを起こしたマスケッティたちが滑空して戦場を離脱していく。

 

「後は頼んだぜ……!」

 

 敬礼して不時着していくハヤトたちに、ティガが力を込めてうなずいた。

 

「キャ――――――――オォォウ!」

「ヂャッ!」

 

 アントラーはまだ戦闘不能にはなっておらず、立ち上がってティガに肉薄していく。それを迎え撃つため前に出たティガがストレートパンチを相手の体幹に打ち込む。

 

「キャ――――――――オォォウ!」

 

 パワータイプの腕力に押されながらも大顎を振るおうとするアントラーだが、駆けつけたシグナムとヴィータの剣とハンマーが叩き込まれ、右側の顎が半ばからへし折られた。

 

「四人の命懸けの奮戦、騎士の誇りに懸けて無駄にはせんっ!」

「来いよ怪獣! 地獄に叩き返してやるっ!」

「タァーッ!」

 

 シグナム、ヴィータ、ティガの打撃に押されてよろめいたアントラーをティガが肩の上に担ぎ上げ、そのまま地面に強く叩きつけた。

 ウルトラマンはゴルザに水平チョップや膝蹴りの猛襲を入れてどんどんと追いつめていく。

 

「ヘアァッ! ジェアッ!」

「グガアアアア! ギャアアアアアアアア!」

 

 流れるような連撃に動作の緩慢なゴルザはついていけない――と思われたが、ゴルザは身体を丸めて球状になり、猛然と転がってウルトラマンに激突する。

 

「ウワァァッ!」

 

 重量級のゴルザに全体重が乗った一撃に、さしものウルトラマンも吹っ飛ばされて背後のビルに叩きつけられてしまう。ビルはウルトラマンの重みで崩れ落ちた。

 ゴルザは球状になったまま体当たりを繰り返して、ウルトラマンを苦しめる。

 

「ウワァッ!」

 

 逆にウルトラマンが追いつめられているところに、スバル、ランドマスケッティが駆けつける。

 

「こっちも最後の手段だ! 準備いいかディエチっ!」

「うん……!」

[デバイスレッドキング、スタンバイ]『ピッギャ――ゴオオオウ!』

 

 ノーヴェはレッドキングのカードをセットし、スバルとそれぞれゴモラのカードを手にする。

 

「力を貸して、ゴモラ!」

 

 カードをマッハキャリバーに読み込ませて、リミッターを解除。

 

[Limit break.]『ギャオオオオオオオオ!』

「とっとと地獄に帰りやがれぇっ!」

 

 そしてゴルザがウルトラマンに激突する寸前のタイミングを計って、ランドマスケッティとスバルより、エネルギー弾と振動波が放たれた!

 

「レッドキング超徹甲弾っ!!」

「超振動バスターっ!!」

 

 二種の砲撃が見事ゴルザに命中。弾き飛ばされたゴルザは球状を解かれ、地面に打ち据えられた。

 

「グガアアアア!!」

 

 スバルたちの援護により、ウルトラマンは復活して立ち上がる!

 

「シェアッ!」

「グガアアアア! ギャアアアアアアアア!」

 

 立ち上がったゴルザが超音波光線を撃った瞬間にウルトラマンは放った八つ裂き光輪を縦にして防御。超音波光線が途切れるとゴルザに飛ばして胸部に突き立て、すかさずスペシウム光線を発射!

 

「ヘアッ!」

「グガアアアア……!!」

 

 深々と開いた傷口にスペシウム光線の直撃をもらったゴルザの眼から光が消え、バッタリと倒れると、肉体が崩壊してドロドロに溶けていった。

 遂に怪獣軍団の一体を打ち倒したウルトラマン。だがそこに頭上からドラコが急速に接近してカマを振り上げる。

 

「キャア――――!」

 

 顔を上げたウルトラマンだが、ドラコにはなのはが発したエネルギー弾が集中して撃ち込まれた。

 

「ヴァリアブルレイドっ!!」

「キャア――――!」

 

 エネルギー弾の炸裂で弾かれたドラコのカマはウルトラマンから外れる。攻撃を妨害されたドラコは再浮上して、矛先をなのはに向け直した。

 

「キャア――――!」

 

 猛スピードでなのはへ飛んでいくドラコだが、なのははまるで動じずにフォートレスとストライクカノンの照準をぴったりと合わせた。

 彼女からの事前の指示により、更に上空から白天王が、ビルの屋上に上がったティアナが、同じくドラコを狙っている。ティアナはエレキングのカードをクロスミラージュに読み込ませた。

 

「お願い、エレキング!」

[Limit break.]『キイイイイイイイイ!』

 

 そして三人がタイミングを合わせ、砲撃を放つ!

 

「ヴァリアブル電撃波っ!!」

「エクサランスカノン、フルバーストぉっ!!」

 

 三方向からのエネルギー波が同時に直撃し、ドラコは一瞬にして声もなく弾け飛んだ!

 その肉体が爆ぜた赤い霧が、なのはを吹き抜けていった。

 

「……」

 

 ドラコを撃破して、なのははウルトラマンを見下ろす。すると――ウルトラマンは何かを察したかのように、彼女に重々しくうなずいてみせた。

 なのははウルトラマンの気持ちを感じ取り、少女時代を思わせる天真爛漫な笑顔を咲かせた。

 

「グギュウウウウウウウウ!」

 

 アントラーの片方だけの顎を掴んでボディにパンチを入れているティガの背後から、シルバゴンが接近していく。しかしその前方にヴォルテールとフリードリヒが回り込む。

 エリオの後方のキャロが呼びかける。

 

「ヴォルテール、ゼットン! 行くよっ!」

[Limit break.]『ピポポポポポ……』

 

 シルバゴンが猛然と走ってくるが、キャロとヴォルテールはひるまずにエネルギーチャージ。そして、

 

「ブラスト火炎弾っ!!」

 

 灼熱のエネルギーを真正面からシルバゴンにぶつけた!

 

「グギュウウウウウウウウ!!」

 

 全身が火だるまになるシルバゴン。更にその真上からフェイトがバルディッシュを振り上げて急速に落下してきた。

 

「はぁぁぁっ! ジェットザンバァ―――っ!!」

 

 バルディッシュの刃が焼け焦げたシルバゴンの身体を真っ二つに切り裂き、シルバゴンは溶けながら崩れ落ちていった。

 そしてアントラーには、急接近していくシグナムとヴィータが剣とハンマーの全力攻撃をぶち込む。

 

「煌竜っ!!」

「うおおおおっ! プラズマパイルっ!!」

 

 二人の渾身の一撃がアントラーの胴体を撃ち、甲殻が砕け散った!

 

「キャ――――――――オォォウ……!」

 

 たちまち力を失うアントラーに向けて、マルチタイプに戻ったティガが胸の前でまっすぐ伸ばした両腕を左右に開いていく。それに合わせて光の軌道が生じ……。

 

「ハァッ!」

 

 L字に組み直された腕からゼペリオン光線が照射! 甲殻のアントラーを撃ち、瞬時に爆散させた。落下した破片は溶けて消滅していく。

 四体の怪獣を撃破してヴィータがぐっと手を握り締めた。

 

「やったぜ……! これで分身どもは全滅だ!」

「ああ……。しかし、AEC兵器はもう使い物にならなくなってしまった」

 

 己の得物に目を落とすシグナム。グラディエーターは何度も怪獣たちに叩きつけたことでひび割れており、レヴァンティンのAECコーティングも先ほどの攻撃で完全に剥げていた。

 

「やはり、急ごしらえでは無理があったな……」

 

 他の面々の持つAEC武装も同様の状態で、酷使に耐えられずにボロボロになっていた。マスケッティもMXデバイスも、リミッター解除によるオーバーヒートで機能停止している。もう戦闘続行することは不可能だ。

 ヴォルテールと白天王も、何時間も怪獣を身一つで食い止めていたことで体力に限界が来ていた。

 

「ありがとう、ヴォルテール……!」

「お疲れさま、白天王」

 

 キャロとルーテシアがヴォルテールたちを送り返した。ランドマスケッティを降りたノーヴェはスバルの元へ駆け寄って尋ねかける。

 

「まだ辛うじてでも戦えるのは高町一尉とフェイト執務官、八神司令に……」

「ダイくんとエックスだね……!」

 

 スバルたちは最後に残った地獄の軍団の本体、ザイゴーグと戦い続けているエックスを見上げて、望みを託した。

 

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