おまけは拙作『THE ULTRAM@STER ORB』とリンクした内容です。
VS魔王獣
――ミッドチルダ西部郊外。普段はのどかながらも大勢の人間の生活の息遣いが営まれる町に、今は人の影はどこにも見られなかった。この町に暮らす人々は全員、避難命令によって別の場所に離れているのだ。
そして町の中央には、異常な規模の巨大竜巻が吹き荒れている――が、その竜巻は不意に揺らめいて風速が落ちていく。そして霧散するように消滅すると、中から現れたのは――鳥型の巨大怪獣であった。
「ミィィィィ――――! プォォォ―――――!」
宇宙から飛来し、ミッドチルダを襲い出した七体の怪獣の一体、風ノ魔王獣マガバッサー。それに同等の体躯のサイバーチックな怪獣が取っ組み合ってグルグル円を描くように回転している。
『ギアァッ! ギギギィッ!』
デバイスベムスター。第一号であるデバイスゴモラに続いて近年誕生した、ベムスターのデータと意識を基にしたデバイス怪獣である。
それとユナイトしてコントロールしているのは、フリードリヒに跨って大空を駆っているエリオだ。
「今だベムスター! 撃ち落とせ!」
『ギアァッ!』
エリオの指示でベムスターは頭部の角からビームを放ち、マガバッサーの翼のつけ根を撃った。
「ミィィィィ――――! プォォォ―――――!」
ビームを撃たれたマガバッサーがふらふらと高度を下げていき、ベムスターとエリオがそれを追っていく。
同時刻、東部の貯水池周辺では、同じくデバイス怪獣のデバイスエレキングが周囲に首を振って何かを探していた。
『キイイイイイイイイ!』
その背後の景色が揺らめき――透明になっていた水ノ魔王獣マガジャッパが姿を現しながらエレキングに飛び掛かる!
「グワアアアァァァァァ! ジャパッパッ!」
しかし掴みかかると同時にデバイスエレキングの姿がかき消え、マガジャッパの腕は空を切った。
「グワアアアァァァァァ!?」
『キイイイイイイイイ!』
エレキングはマガジャッパの背後を更に取っている。今のは幻影だったのだ。欺いたつもりのマガジャッパだったが、逆に欺かれていたのであった。
そして幻影を作るよう指示していたティアナが新たに攻撃を指示する。
「ヴァリアブル電撃波――!」
『キイイイイイイイイ!』
エレキングの口から飛ぶ電撃がマガジャッパを捉える。
「ジャパッパッ!!」
感電してガクガク震えるマガジャッパを見やりながら、ティアナは鼻を抑えた。
「ひどい臭いね……。あんなのを水に入れるなんて絶対させないわ。行くわよエレキング!」
『キイイイイイイイイ!』
エレキングがティアナに応じるように首を振り上げた。
また南部では、市街地の上空に出現して熱波を振りまく巨大火球に、ヴォルテールが全身を魔力の膜に包んで防御を固めながら突貫。火の玉の中に全身を突っ込ませて入り込んだ。
そして火球が内側からボコボコと歪んで、破裂。中からヴォルテールが火ノ魔王獣マガパンドンの下半身を捕らえて、地上に引きずり下ろした。
「ガガァッ! ガガァッ!」
ヴォルテールは地表に叩きつけたマガパンドンに馬乗りになって、その双頭を交互に殴りつける。
「ピポポポポポ……」
『ピポポポポポ……』
その背景では、光ノ魔王獣マガゼットンとデバイスゼットンが激しく殴り合っている。
ヴォルテールとデバイスゼットンの二体を指揮するキャロがエールを送る。
「ヴォルテールもゼットンも、頑張って! ミッドを守って!」
ミッドチルダ海洋の真ん中では、ルーテシアの召喚した白天王に、闇ノ魔王獣マガタノゾーアの触手が巻きついて苦しめていた。
「プオオォォォォ――――――――!」
しかし白天王の四肢を封じ込める触手を、フェイトやヴォルケンリッターを初めとした魔導師部隊の攻撃が切断する。
「はぁぁぁぁっ!」
自由になった白天王は魔力砲を放ち、地雷王たちの電撃、マスケッティの砲撃とともにマガタノゾーアに集中攻撃を浴びせる。
「プオオォォォォ――――――――!」
それでもひるまないマガタノゾーアに一部の魔導師たちはたじろぐも、それを指揮官のはやてが鼓舞する。
「あれが地上に上がったら大惨事や! みんな、大勢の人命を守るためにもここで食い止めるんやで!」
そして彼らの士気を上げるように、ストライクカノンを展開しているなのはが全力の砲撃を繰り出す。
「エクサランスカノン、フルバーストっ!!」
なのはの海を割るような勢いの砲撃が、マガタノゾーアの顔面に突き刺さった。
ミッドチルダ北部自然区域の、新たに設けられた怪獣共生区に震動が走り、バードンの親子が飛び上がって逃げ出す。
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
共生区を荒らすのは土ノ魔王獣マガグランドキング。その暴虐によって瀕死の状態になっていた二体のデマーガをかばって対峙するのは、元祖デバイス怪獣のデバイスゴモラ。
『ギャオオオオオオオオ!』
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
ゴモラはウィングロードの上を走ってマガグランドキングの光線をかわしながら接近し、振動波を纏いながら突撃する。
「超振動拳っ!」
『ギャオオオオオオオオ!』
スバルの声とともに繰り出された一撃が、マガグランドキングの装甲にひびを入れる。
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
よろめくマガグランドキングから目を離さずに、スバルはゴモラへ呼びかけた。
「この調子だよ、ゴモラ! 一緒にダイくんの夢を守り抜こう!」
『ギャオオオオオオオオ!』
そしてミッドチルダ中央部では、地上本部前でウルトラマンエックスが魔王獣たちのボスと決闘を繰り広げていた。
「イィィィーッ! シェアァッ!」
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
大魔王獣マガオロチ! マガオロチはXスラッシュをものともせずに口から電撃光線を放ち続け、エックスを激しく攻め立てる。
「ウゥッ!? グアァァァッ!」
マガオロチの光線の尋常ではない破壊力に、さしものエックスも防戦一方であった。そして凄絶な爆発がエックスを呑み込む!
「グアアァァァ! キィィィヤアアアァァァッ!」
勝ち誇るように咆哮を轟かせるマガオロチであったが――立ち込める硝煙から飛び出す影がある!
[ウルトラマンエックス、パワーアップ!]
「ジュワァァァーッ!」
エクシードXがエクスディッシュを前に突き出して電撃光線を切り払いながら、マガオロチへと突撃していった!
――モンスター銀河からミッドチルダに侵入し、星の全てを破壊し尽くそうとした魔王獣の軍団であるが、管理局とXio、そしてエックスの共同戦線の前に撃退された。危機は未然に防がれたのである。
「エックス、また力を貸してくれてありがとう。お陰で地上本部も無傷で済んだよ!」
オペレーションベースXで、スバルがエクスデバイザーの中のエックスに礼を告げた。
『いや、六ヶ所に同時に出現した怪獣を私一人で抑えるのは不可能だった。ミッドを守ったのは私だけの力ではなく、スバルたちの勇気もあってのことだ』
「ふふっ、そうだね。あたしたちみんなで守ったんだよね!」
スバルがエックスと笑い合うが、一方でダイチが眉間に皺を寄せていた。
「ダイくん、どうしたの? 状況は終了したのに、何か心配事が?」
スバルに聞かれると、ダイチは今考えていたことを打ち明ける。
「ミッドの心配じゃないんだ。けど、この前俺たちが行った別世界の地球……律子ちゃんたちの世界がどうなってるかって考えてて……」
「ああ、あそこの……」
スバルは、スパークドールズを持ってレベル3バースの地球に逃げ込んだ異星人犯罪者を追って、大怪獣とともに戦った地球人たち……765プロのアイドルとウルトラマンオーブのことを思い返した。
「今回出現した怪獣たちは、あそこの地球のデータにも存在してた……。つまり、あの大怪獣も向こうでも現れる、いやもう現れた後かもしれない。あれは相当な強さだった……」
『そうだな……。エクシードXでもかなりてこずらされた』
相槌を打つエックス。ダイチはますます皺を眉間に刻む。
「向こうの地球には、ミッドほどの戦力はない。だから、向こうではあの怪獣を相手に無事で済むのかって不安になって……。ちょっと様子を見に行った方がいいんじゃないかな」
『ううむ……』
懸念するダイチとエックスだったが、そこにスバルが言う。
「あたしは、大丈夫だって思うよ」
「え?」
その根拠を口にするスバル。
「だって、あたしたちが出会ったあの子たち……魔法の力はなくても、眼差しにはなのはさんたちやあたしたち、そしてダイくんと同じで、まっすぐな希望の光があったから! ウルトラマンの本当の力になるのは、そういう強い心の光だって、あたしはエックスとダイくんから教えてもらったんだよ!」
スバルの言葉に、ダイチは表情を和らげる。
「ああ、そうだね……。彼女たちの希望とウルトラマンの力が合わされば、きっとどんな危機も乗り越えられる。俺たちがそうしてきたように……!」
『人間の光は無限大、未知数だ! 私も君たちからそれを教わったよ』
と話しているダイチたちの元に、突然エマージェンシーコールが入る。
『エリアT-9上空に未知の魔法陣が出現、未確認の巨大ロボットが出現しました! 特捜班は直ちに現場へ急行して下さい!』
「! また次の事件か……。行こうダイチ!」
「ああ!」
スバルとダイチはすぐに表情を引き締め、エリアT-9に向かって出動していった――。