「敵の潜んでいる可能性のある場所に、ヒールの高い靴を履いていくなんて、君らしくないミスじゃないか」
『申し訳ありません……』
マブセに化けている女を逃がした経緯について、通信越しにスバルがクロノに謝罪した。次いで、カミキが指示する。
「警戒態勢はフェイズ2を維持。引き続き、逃げた女を追え」
『了解です……』
スバルの声が沈んでいたので、ウェンディとノーヴェがひそひそと言葉を交わす。
「スバル、大丈夫っスかね? 大分落ち込んでたみたいっスけど」
「向こうにはダイチとティアナがいるんだし、どうにかしてくれるだろ。多分……」
ノーヴェたちが気を揉んでいると、グルマンがオペレーション本部へと入ってきた。
「全く、こう忙しいと一日三度の食事もゆっくり食べられん」
「昼寝の時間はきっかり取るくせに……」
「何か言ったか?」
「何でもないっス」
振り向いたグルマンから、ウェンディは目をそらした。
「それはともかく、注文の新型カートリッジが出来上がったぞ」
「おっ! 遂に完成したっスね! 流石っス、博士!」
グルマンがデスクの上に置いた銀と赤のカラーリングのカートリッジに、N2Rの四人は興味津々となる。調子のいいウェンディはグルマンを持ち上げた。
カートリッジを観察したチンクが指摘する。
「このカートリッジの色合い……ウルトラマンに似てますね」
「如何にも! 私がウルトラマンエックスの力を解析して、再現した魔力を込めたものだからな。わかりやすくするために、色取りを似せたのだ」
肯定したグルマンは、カートリッジの名前を告げる。
「名付けて、ウルトライザー・カートリッジ! 使用すると、攻撃魔法にウルトラマンの力が上乗せされて威力が格段に跳ね上がる。やっぱり私は天才だな!」
「おぉー! これでマスケッティに乗ってなくても怪獣にダメージを与えられるって訳っスね!」
「ジオマスケッティ、一機しかないものね」
苦笑するディエチ。
ウルトライザー・カートリッジがあれば、Sランク未満の魔導師が戦力として数えられるようになるということになる。これでXioのますますの活躍が見込めるだろう。
夕方、回復したダイチはティアナにスバルのことを尋ねていた。
「ティアナさん、スバルの様子はどうでしょうか……?」
「結構へこんでますね……。あんなミスしたのを、相当悔やんでるみたいです」
「そうですか……」
スバルを案ずるダイチに、ティアナは呼びかけた。
「スバルのこと、ダイチさんが励ましてやって下さい」
「えっ、俺が? そういうことは、親友のティアナさんが一番適してると思いますが……」
「いいからいいから。スバルのこと、お願いしますね」
半ば強引にスバルのところへと突き出されたダイチは、公園のテラスに腰掛けて沈んだ表情をしているスバルに話しかける。
「スゥちゃん、さっきは俺、役に立てなくてごめんね。早々にやられちゃって……」
「ううん。あたしの方こそ、あんな初歩的なミスしてダイチを守れなくてごめん。あんなことにならないために、あたしがいるはずだったのに……」
スバルはダイチが目の前でやられたことを気に病んでいるようだった。困ったように一瞬目が泳いだダイチは、話を変える。
「ところで、どうして急にハイヒールを履く気分になったの? 今まで興味なんてなさそうだったのに」
すると、スバルはダイチにこう聞き返す。
「ねぇダイくん……あたしって、女らしいって思う?」
「えっ? それは……」
「思わないよね。実はあたし、訓練校時代に、同期があたしについて話し合ってるのをたまたま聞いちゃってさ」
自嘲気味にスバルは語った。
「スバル・ナカジマは女らしさが全然ない、交際相手にはああいうのはごめんだ、って」
「……それは……」
「あたしだって、これでも女性だから、それが割とショックでさ……。機動六課時代は色々大変だったし、思い出さないようにしてたんだけど、日に日にあの時の言葉が気になってきちゃって……それで背伸びしちゃったんだ。そのせいで大失敗しちゃった訳だけど……」
スバルはチラッとダイチの顔を一瞥した。
「ダイくんも、あたしみたいな女らしさのない子は嫌なのかな……?」
そう聞かれて、ダイチは、答えた。
「そんなことないよ」
「えっ……」
「スゥちゃんは人の命を助けるために精一杯頑張ってる、素敵な人だよ。女らしいとからしくないとかなんて表面上だけのことは、その前じゃどうだっていいことさ。だからありのままの自分に、もっと自信を持つべきだよ」
ダイチの言葉に、スバルは少し顔を明るくした。
「ほ、ほんと? あたしって、そんなに素敵なのかな……?」
「もちろん! いつも一生懸命で何があっても諦めないところ、俺は尊敬してるし、スゥちゃんのそういう点が魅力的だと思うよ」
「魅力的……そう、そうなんだ……。えへへ……」
誉めそやされたスバルは、頬を緩めて柔らかくはにかんだ。その表情からは、暗い陰が消えてなくなっていた。
だがこの時に、二人を突然の小刻みな地震が襲う。
「! 今のは……!」
「スバル! ダイチさん!」
すぐに駆けつけてくるティアナ。ダイチとスバルは彼女にうなずき返し、そろって公園から飛び出していった。
完全に日が沈んだ時刻になって、ダイチたち三人は街の中央の路上で件の女を発見した。
「あそこだ!」
「今度は逃がさないわよ! 大人しく投降しなさい!」
ティアナが己の二丁拳銃型インテリジェントデバイス、クロスミラージュを女に突きつけたが、女は無視するかのように言い放った。
「見ろ! この世界を!」
辺りをねめ回す女。周囲の光景にあるのは、いくつもの街灯の輝き、建物の窓から漏れ出る蛍光灯の光。
「毒々しく、騒がしい偽りの光だ。人間は我々から夜を奪おうとしている!」
「な、何を言ってるの……?」
女の奇怪な言動に、スバルたちは不気味なものを感じた。
「夜の闇こそ美しい! 夜は……我々のものだっ!」
女の宣言に応じるように、背後からテレスドンが道路を突き破って飛び出してきた!
「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」
「ゆけ、テレスドン! 地上の全てを破壊し、夜を取り戻すのだ!」
女の命令で、テレスドンが溶岩熱線を吐き、辺りを無差別に破壊し始める!
「やめさせなさい! 撃つわよ!?」
ティアナがクロスミラージュを向け直して脅すが、女は全く応じようとしない。
「二度目はないわよ……!」
女を拿捕するため、ティアナが魔力弾を発射。女はすかさずかわそうとしたが、弾丸がサングラスにかすって、サングラスが弾き飛ばされた。
「ええっ!?」
その下から出てきた素顔を目の当たりにして、ティアナたち三人は唖然となった。
女の両目に当たる部分には――。
「絆創膏貼って隠してるっ!!」
「それは言っちゃダメでしょ!」
スバルにダイチがツッコんだ。
もとい、女には眼球がなかった!
「ハハハハハハ……!」
「ま、待ちなさい!」
異形を目にしたショックでひるんだ隙に、女が逃げる。追いかけようとするティアナとスバルだったが、テレスドンが立ちはだかったので足を止めざるを得なかった。
「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」
「くっ……! あたしはどうにか怪獣の足止めをするわ! スバルとダイチさんは市民の避難誘導と救助をお願い!」
「気をつけてね、ティア!」
「スバルはあっちを! 俺は向こう側へ!」
「うんっ!」
三人は迅速に役割を分担し、別れて行動していく。しかしダイチは人の目から外れた場所で、エクスデバイザーを取り出した。
「エックス、ユナイトだ!」
『よし、行くぞ!』
デバイザーのスイッチを押し、出てきたエックスのスパークドールズをリードする。
[ウルトラマンエックスと、ユナイトします]
「エックスーっ!!」
X字の閃光が発せられ、ダイチはウルトラマンエックスへと変身を果たす!
「イィィィーッ! トワァッ!」
[エックス、ユナイテッド]
巨体のテレスドンに苦戦するティアナの元に、エックスが回転しながら降り立った。
「ウルトラマンエックス!」
「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」
テレスドンは敵意を向ける対象をティアナからエックスに変え、そちらに向けて一直線に走っていく。
「シェエアッ! デヤァッ!」
エックスの方もテレスドンへ目掛けていき、チョップや膝蹴り、正拳を見舞っていった。
「ギャアオオオオオオウ!」
至近距離での殴り合いでは押されるテレスドンだったが、一旦エックスから離れると、前方に向けてジャンプ。同時に全身を高速できりもみ回転させる!
まるでドリルさながらの強烈な体当たりに、エックスもはね飛ばされてしまった。
「ウワァッ!」
テレスドンはそのまま道路に頭から突っ込み、回転の勢いで穿孔して地中に潜っていった。エックスが起き上がった時には、完全に姿が見えなくなる。
『「どこへ行ったんだ……?」』
周囲を警戒するエックス。テレスドンはその背後から飛び出してくる!
「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」
「オワァッ!」
背後からの攻撃で大ダメージを食らうエックス。振り返って反撃しようとするも、テレスドンは再び地中に隠れてしまっていた。
『くっ、見た目にそぐわず素早い……! 地中には手出し出来ないぞ!』
『「ゴモラキャリバーも地中に潜れる訳じゃないし……どうすれば……!」』
戸惑うエックスの足元からテレスドンが顔を出し、足を刈って彼を転倒させた。
「ウワァッ!」
「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」
仰向けに倒れたエックスの上にテレスドンが馬乗りになり、容赦なく攻撃を加えていく! エックスのカラータイマーが赤く点滅し出した!
「あっ! エックスが危ないっスよ、ディエチ!」
「うん。援護攻撃を行う!」
そこに飛来したスカイマスケッティ。搭乗するのはウェンディとディエチだ。ウェンディが操縦手を、ディエチが砲撃手を務める。
ファントン光子砲がテレスドンの背に浴びせられたが、テレスドンは動じもしなかった。
「か、かったーいっスね……!」
「もっと威力のある攻撃じゃないと効果ないか……!」
その時、ハラハラと戦いを見守るティアナの元に、ジオアラミスが駆けつける。降りてきたシャーリーとマリエルは、ティアナにあるものを差し出した。
「ティアナ、カミキ隊長たちからの指示よ! このカートリッジを使って、テレスドンを撃って!」
シャーリーの手にあるのは、グルマンの開発したウルトライザー・カートリッジだ。
「これは例の、新兵器……?」
「早くっ!」
「わかりました!」
ティアナは即座に受け取ったカートリッジをクロスミラージュに装填し、銃口をテレスドンへ合わせる。
[Charging Ultraman’s power.]
急速にクロスミラージュが光り輝いていく。驚くティアナ。
「すごい……! カートリッジ一個を使っただけで、収束型魔法並みのエネルギーが充填されていく……! 攻撃名は……」
[Complete.]
チャージ完了すると、ティアナが意を決して引き金を引いた!
「ウルトライト・ブレイカー!!」
クロスミラージュの銃口から青白い光の奔流が解き放たれた! 想像以上の反動の大きさに一瞬照準がずれたが、ティアナは即座に耐えて射線を戻した。
ウルトライト・ブレイカーが直撃したテレスドンは、エックスの上から豪快に弾き飛ばされた!
「ギャアオオオオオオウ!!」
「今の内よ、シャーリー!」
「了解です!」
テレスドンが倒れている間に、シャーリーがジオデバイザーをエックスへ向ける。
「エックスさーん! このカードを使って下さい!」
シャーリーは新たなデバイス怪獣のデータをエックスへと送信した。
エクスデバイザーに、「DEVICE ELEKING」
『おい、またお前……何だそれ!?』
『「今度はデバイスエレキングか!」』
『私にも心の準備が……!』
と言うエックスだが、ダイチは構わずカードをデバイザーにセットした。
『「頼むぞ……切り札になってくれ!」』
[デバイスエレキング、スタンバイ]
エックスの身体を赤と黒、黄色のバリアジャケットが覆い、両手にはクロスミラージュをそのまま大型化したような二丁拳銃が握られる。そして左肩に、エレキングの頭部型のパーツ。
『キイイイイイイイイ!』
[エレキングミラージュ、セットアップ]
これぞモンスジャケット第二段、エレキングミラージュ。ダイチがエックスに尋ねる。
『「どんな感じ?」』
『まあ、ゴモラキャリバーよりは軽いが……』
『「エレキングだから、電撃が使えるよ! あとは……」』
ダイチはある作戦をエックスに伝授した。
シャーリーは興奮気味にティアナに呼びかける。
「ほらほら見て、ティアナ! クロスミラージュとエレキングが合体したジャケット! かわいいでしょ~!」
だがティアナの反応は微妙だった。
「肩に頭がついてるんですが……」
「そこがいいんじゃなぁいっ!」
「えぇ……」
ティアナとマリエルは思わずシャーリーの顔に目をやった。
「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」
はね飛ばされたテレスドンだが、三度地中に潜ってエックスから逃れる。そしてまたも足下から飛び出してエックスを攻撃!
だがテレスドンの爪は、エックスの身体をすり抜けた!
「ギャアオッ!?」
『こっちだ!』
エックスの姿は二つあり、テレスドンの攻撃した方はゆらめいてかき消えた。
これはティアナが習得し、デバイスエレキングにもデータが入れられた幻術魔法。地中からの奇襲を繰り返すテレスドンを、これで幻惑して地上に引きずり出したのだ。
「ギャアオオオオオオウ! オオオオウ!」
翻弄し返されたテレスドンはエックスへ回転攻撃を繰り出す。だがそれは冷静さを欠いた故の悪手であった。
エックスの握る拳銃から電撃で形成された鞭――まるでエレキングの長大な尾そのもの――が放出され、テレスドンに巻きつく。
「ヌゥオッ! シェエエエエアァッ!」
テレスドンを捕らえたエックスは、ハンマーの要領で己の後方に叩きつけた!
「ギャアオオオオオオウ……!」
この荒業を食らい、さしものテレスドンもふらふらだ。そこにダイチが謝る。
『「ごめんな……ここはお前のいるべき場所じゃないんだ」』
エックスの向けた銃口から、電撃の砲撃が放たれる!
『「ヴァリアブル電撃波!」』
「デヤァァッ!」
オレンジ色の電撃を照射され続けたテレスドンは、大爆発! そのままスパークドールズへと圧縮されていった。
戦いが終わると、ダイチ、スバル、ティアナ、ウェンディ、ディエチはテレスドンの出現地点付近に集合した。スバルとティアナはバリアジャケットを解除している。
「スバル、そっちに負傷者は出なかった?」
「うん、どうにか。ダイチの方は?」
「こっちもエックスが守ってくれたよ」
「ティアナ、一番にカートリッジ使えていいなぁ~! あたしが地上に行けばよかったっスよ~!」
「もう、戦いを羨ましがらないの」
それぞれが話していると、ディエチがダイチたちに問いかける。
「ところで、例の女はどうしたの?」
「あっ、そういえば……!」
その女は――五人のすぐ近くに音もなく現れていた。
女はほくそ笑みながら、スバルへ銃を向ける……。
「!?」
気取ったスバルが振り向いた時には、黒い弾丸は発射されていた――!
だがこの瞬間に、酷使されたスバルのヒールがぽっきりと折れ、スバルは転倒。それが幸いして黒い弾丸から逃れられた。
即座にティアナが魔力弾で反撃。女の銃を弾き飛ばし、女がその場に倒れる。
……が、ティアナらが駆け寄った時には、どういうことか女の姿が消え、サングラスとテレスドンのスパークドールズだけがその場に残されていた。
「……非殺傷設定だったよね?」
「当然じゃない。でも……消えるなんて……」
ディエチに即答したティアナだったが、これを目にしては戸惑いを隠せなかった。
「結局何者だったっスかね? 宇宙人? それとも本当に、地底女……?」
ウェンディも流石に眉をひそめていると、スバルに肩を貸したダイチが告げた。
「例の工事現場から、五百年前の石碑が見つかったそうだ。あそこには、何かが封印されていたのかもしれないね……」
結局……その謎は事件終了後も解き明かされることはなかった。
後日、オペレーションベースXの敷地内の庭園。夜空の星明かりの下、ダイチがスバルに箱を手渡す。
「スゥちゃん、どうぞ」
「これは……?」
中身は、修理されたあのハイヒールだった。
「靴屋で直してもらったんだ」
「……ダイくん、ありがとう。でも、これはもういいかな」
「えっ、何で?」
「ダイくんの言った通り、これからはありのままの自分に自信を持っていこうって決めたの。それに……ダイくんが魅力的って言ってくれたし……」
最後の方はごにょごにょとしていたので、ダイチは聞き取れなかった。
「今何て?」
「な、何でもない! ……ところで、あの地底女の言ってたことだけど……」
スバルは話題を変えるように、消えた女の発言について語る。
「あのヒトみたいに、街の明かりを邪魔に思ってる人って他にもいるものなのかな。確かに、街の明かりは星空を隠しちゃうくらいに強いものだけれど……」
夜空を見上げるスバル。本来夜空には満点の星空が瞬いているものだが……街の人工の明かりによって星の大部分は隠され、黒い空に散らばっているようにしか見えない。
そのことについてダイチは、Xioベースや都市のビル群の明かりを見やりながら言う。
「確かにその通りだけれど……でも、あの明かりの一つ一つには頑張っている人がそこにいるって証明なんだ。だから俺は、あれが毒々しく騒がしいものだとは思わないな」
「頑張っている人が……」
「それに光が見えなくても、星はちゃんとそこにある。宇宙の彼方から、いつも俺たちを見下ろしてるんだよ」
『意外とロマンチックなことを言うな、ダイチ』
「意外とって何だよ、意外とって」
茶化したエックスにダイチが口をへの字に曲げた。
「……そう言えば、スゥちゃんの名前の由来も、97管理外世界の星から来てるんだよね。その星も、人間のことを見守ってるよ」
「……うん、そうだね。きっとそう……」
ダイチの言葉に、スバルは柔らかく微笑んだ。
「ミッドからは見えないけど……その星に恥ずかしくないように、あたしらしく精一杯頑張ろうっと!」
と、スバルはこれからの己の活動に尽力する意気込みを改めて固めたのだった。
……どことも知れぬ謎の空間の中、銀色の頭部が胴体と一体化しているような怪人が、燕尾服にシルクハットの怪しい男から何やら人形を受け取っていた。
「これが例のものです。確かにお渡ししましたよ」
『うむ。感謝するぞ、ホストよ』
五角形の怪鳥のような人形を観察した、明らかにミッドチルダ人とは異なる怪人は、ホストと呼んだ黒ずくめの男に問いかける。
『それで今一度聞くが、我々がこの星、ミッドチルダを滅ぼし侵略したとしても、異論はないな? あとからあれこれと文句をつけられたらたまらん』
それに黒い男はこう答える。
「もちろんです。私たちはネットワークと言っても、基本は自由競争。惑星侵略も早い者勝ち、達成できたものに星をいただく権利があります。それが我らが『暗黒星団』の掟」
『それを聞いて安心した。では存分に暴れさせてもらおうか』
「……しかし、あなた方は本当にミッドチルダを侵略できるおつもりですか? 恐らく、あなた方が思っている以上にこの星は手強いですよ。もう星団の構成員も少なくない数がやられてます」
その忠告を、怪人は笑い飛ばす。
『我々は既にいくつもの星を滅ぼしてきた。今更、脆弱な種族の支配する星なぞに後れは取らん。それにこの宇宙大怪獣……ベムスターがいれば、負けなどあり得ない! 邪魔なウルトラマンも、ベムスターを使って葬ってくれるぞ! ウワハハハハハハ!』
怪鳥の人形――ベムスターのスパークドールズを握り締めた、二人の怪人――グロテス星人とメシエ星雲人を後ろに控えさせた、銀色の頭の怪人――ザラブ星人が傲然と言い放った。
『ダイチの怪獣ラボ!』
ダイチ「今回の怪獣はテレスドンだ!」
ダイチ「テレスドンは『ウルトラマン』第二十二話「地上破壊工作」に登場した王道地底怪獣! 地上征服を狙う悪い地底人の尖兵として暴れたぞ!」
エックス『初代ウルトラマンは、このテレスドンを投げ技だけで倒したんだ。これは実相寺監督が光線による決まり手を嫌っていたからだと言われている』
ダイチ「『ウルトラマンX』でも地底人をオマージュした地底女に操られて地上を攻撃したんだ」
エックス『身体を回転させて突撃するという新技が描写されて、戦闘シーンを盛り上げたな』
ダイチ「続く第四話「オール・フォー・ワン」ではサイバーテレスドンのカードがスペースマスケッティで使用され、ベムスターに吸い込まれたエックスを救う手立てになったんだ!」
エックス『サイバーカードはマスケッティの武装にも使用できることを示したシーンでもあるな』
ダイチ&エックス「『次回も見てくれよな!」』
エックスが食べられた!? 宇宙大怪獣ベムスターの、何でも吸い込む腹に、俺もエックスも大ピンチだ! 頼みます、ワタルさん、ハヤトさん! スペースマスケッティの力を見せて下さい! 次回、『オール・フォー・ワン』。