○月○日
ギルドからの指令でポッケ村に行くことになった。
話によると雪山のふもとにある小さな村で、ベテランのハンターがいるらしい、おそらく彼のもとで実践経験を積ませるのが目的だろう。
ライセンスを取ったばかりの新米ハンターの私だが、早く一人前になれるよう頑張ろう。
○月□日
今日はポッケ村に行く準備をした。
かなり寒い地域なので防寒具にもなるマフモフ一式と山越え用の道具、それと保存食を買い込んだ。結構な値段になったが、領収書はギルド宛にしたので問題なく経費で落ちる筈だ。
○月△日
ポッケ村に続く雪山の山頂付近に、何か巨大な生き物に食い散らかされたようなポポの死骸が散乱していた。
その惨状を作り出した奴はすぐに見つかった……いや、見つかってしまったと言うべきか、何せ奴は崖の上から私を狙って降りてきたのだから。
情けない話だが奴に睨まれた途端、私の心身は竦んでしまっていた。 翼と一体化した強靭な前足、人間など一飲みにしそうな巨大な口、大地を揺らすかのような咆哮、こちらを射殺すような鋭い眼光、そのどれもが私を恐怖という鎖で縛りつけたのだ。
突進してくる奴に対して、震える腕を押さえ盾を僅かに前に出すことしか出来なかった私は崖下に突き飛ばされ、全身を砕かれるような痛みと僅かな浮遊感とともに意識を失った。
ここからは聞いた話になるが、あの後私は雪山の中腹よりやや下辺りに転がっていたところを、雪山草を取りに来た村の住人に助けられ目が覚めた時には見知らぬ部屋に寝かされていた。
正直な話あの状況から生還してこの日記を書いていられることが、まだ信じられないくらいだ。
まだ数日は安静にしていなければならないようなので、最後に今の偽らざる気持ちを書いて休むとしよう。
生きている、ただそれだけの事がどうしようもなく嬉しい。