○月×日
私を村まで運んでくれた男が事情を聴きに来た。
彼との話で分かったことだが、私を襲った奴は轟竜の異名を持つ凶暴な飛竜で、ギルドでもまだ生態をほとんど把握していない危険な相手だったみたいで、生息地自体は別の場所で雪山には獲物を狩りに来ていたようだ。そんな奴と遭遇して生き残るあたり私の悪運は相当なものだろう。
まあ、ああいう化け物は私のような新米ではなく例の村付きのベテランハンターが相手をするのだろうが、いずれは私もどんなモンスターだろうと狩れるハンターと成るべく精進するとしよう。
彼は、客観的に見るなら、冗談が過ぎるところがあるが、なかなかいい奴だと思うのだが何故か生理的に受け付けられない男だった。
初対面の時もまだ気を失ったままだった私の様子を見に来た彼を、見知らぬ部屋と目の前の知らない男の顔という状況で不埒な輩と勘違いした私が殴り飛ばしてしまったのだが、物音を聞いて駆けつけてくれた他の村人のおかげで誤解はすぐに解けて、平謝りする私を彼はむしろもっと殴ってほしいなどと冗談を言って私の事を許してくれたのだが……目が本気だったように見えたのはきっと気のせいだろう。
我ながら命の恩人に対して酷い感想だと思う、私はこんな人間だったのかと少し落ち込む。
○月☆日
体が回復したので今日は村長に挨拶して、村を見て回ることにした。
村長はかなり高齢の竜人族の女性で、雪山に倒れていた私の事を随分と心配してくれたみたいだ。
村長の配慮で暫くの間は村の付近で出来る簡単な依頼をこなしながら体を慣らす事になった。
住居に関しては私が寝かされていた家が新しく来るハンターのために用意してあったものみたいで、私がそのまま使うことになった。
ギルドの支部にもなっているこの地域の集会所に、ポッケ村に到着した報告に行くと、そこでトレジャー収集に情熱をささげるトレジィさんという高齢の竜人族の男性と知り合った。話をしていると何故か農場の管理を任されることになった。農場で採取したものは自由に出来る上に基本的な世話は農場のアイルーがしてくれて、農場の拡張等は村にいる彼の弟子に話せばいいようだ。
雑貨店のおばさんに、ベテランという話だった村付きのハンターが既に引退していたことを聞いた……え?
○月▽日
昨日は半端なところで日記を終わってしまったが正直あれ以上は書く気が起きなかった。反省はしている。
村の人に聞き込みを行って得た情報を纏めると、村付きのハンターだった男……というか私を助けた男がそうだったのだが、彼が狩りで利き腕に傷を負って引退する羽目になりギルドに新しい村付きハンターの派遣を要請、そこに私が到着したという流れだったみたいだ。
うん、明らかに新しい村付きのハンターと誤解されているな、実践研修に来た新米相手に待遇が良すぎると思ったよ。ギルド本部とポッケ村ではかなり距離が有るせいで郵便の類は届くまでにかなり時間がかかる……おそらく要請の書類が届いたのは私が出立した後だったのだろう。
村の主要な人物に集まってもらい話し合った結果、新しいハンターが来るまでは私が村付きとして働くことになった。
○月◇日
元村付きの男が来て、自分にはもう必要ないからと狩りに役立つ薬や道具、下級のモンスター素材や鉱石をくれた。
貰えるものは貰う主義なので素直に受け取ったら何故か少し唖然としていたようだが、自分が不甲斐ないせいで私に迷惑をかける事を気にしていた云々と、聞いてもいないのに語りだして鬱陶しかったので家から蹴り出した……その時の表情が恍惚としていたように見えたのは気のせいだと思うことにした。
今日はアイテムの整理で一日が終わった。
○月●日
ギルドの支部に行ったら、支度金としては破格の
明日には大剣の強化も終るようだし、いよいよ村付きのハンターとして本格的に働くことになる、まだまだ未熟な身だが死なないように頑張るとしよう。