記憶の海 〜Indelible memory〜   作:Ar kaeru Na

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今回からたくさん艦娘を出していきたいと思います。
わいわいと楽しいけど、書いてるこっちは大変です(^^;;
それでは!


memory20「トラック泊地」

 

memory20「トラック泊地」

 

 

 

「ここが……トラック泊地……」

 

遥か先の水平線から真っ赤な太陽が顔を出し、長い夜が明けた。

 

先遣対潜部隊の面々はトラック環礁内、(デュブロン)島に上陸していた。

 

吹雪と島風の活躍により、トラック環礁を取り巻いていた敵潜水艦隊の中核、『潜水ソ級』を沈めた事によって、敵潜水艦隊は統率を失い、行動は沈黙しつつあった。

 

ソ級撃沈後も対潜部隊は、何隻かの敵潜水艦を撃沈ないしは行動不能にした。

初動作戦は無事、成功したのだ。

 

「みなさん、お疲れ様です」

 

埠頭には1人の艦娘が出迎えに来ていた。

クリーム色の髪に眼鏡を掛け、大人びた印象を受ける。

 

「中央南遣艦隊旗艦、練習巡洋艦の『香取』です。現在は泊地の全体指揮を任されています」

 

「御出迎え感謝します」

 

五十鈴は香取にそう言いつつ答礼をする。

 

「夜間の対潜掃討、お疲れ様でした。ひとまずみなさん艤装を預けてお風呂の方へ。今ならドックも空いてますよ」

 

「助かるわ、香取。幸いにも大きな被害は無いからお風呂で十分だわ」

 

「分かりました。五十鈴さん、巻雲さんの2人は疲れが取れましたら庁舎の作戦会議室(ブリーフィングルーム)に来て下さい。

佐世保の2人は暫く待機を。奄美の2人は、あと3時間程で栄少尉がこちらに来るそうなので、指示を(あお)いで下さい」

 

「少尉が来る?どーやって?」

 

島風がキョトンとした様子で質問する。

 

余談だが、パラオからトラックまでは1900km近くの距離がある。

CMS(艦娘)の場合、長距離の出撃の時は途中まで専用の高速輸送艦で運んでもらい、そこから戦闘海域を目指して自力で航行する。

 

今回の場合だと、行き帰りで1日と言ったところだろう。

 

「機材のほとんどはこちらにありますので、奄美部隊のみなさんと一緒に高速輸送機で来るそうですよ」

 

香取は島風の質問へそう答えた。

 

「今回の作戦、本番はこれからですので休める時にしっかりと休んで下さいね」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

3時間弱後。

 

夏島の滑走路に一機の飛行機が降り立つ。

中からは夏服(第二種軍装)に身を包んだルナと、奄美のCMS(艦娘)たちが降りてくる。

 

「なんだここ……暑過ぎる……」

 

「パラオだって同じ感じでしたよ?」

 

「向こうは冷房があったから……まぁ同じか」

 

ルナと赤城がそう言いながら、滑走路へと降り立つ。その後ろから天龍と龍田、青葉と金剛が降りてくる。

 

「トラックデスカ、変わったようで変わっていませんネ」

 

「やはり、中部太平洋のジブラルタルと言われるだけありますね!海と空の青がとても綺麗です!」

 

金剛と青葉がそう言いながら海を眺めている。

滑走路には吹雪と島風、香取が来ていた。

 

「お疲れ様です、栄少尉」

 

香取が見事な敬礼でルナたちを出迎える。

 

「君が泊地司令代理の香取か。奄美基地CMS特別部隊指揮官、栄ルナです。よろしく香取」

 

「こちらこそよろしくお願い致します。早速ですが栄少尉、通信室にお越し頂けますか?

佐世保の提督から先程呼び出しがありました」

 

「佐世保……アラン提督から?」

 

「恐らく今後の作戦展開についてだと思いますが……」

 

「分かった。ありがとう香取」

 

ルナは香取に連れられ、通信室へと向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

通常の電波通信だと、深海棲艦に傍受される恐れがある為、本土との通信は海底ケーブルを通した直通回線で通信をする。

 

「回線、開きます」

 

赤い髪に、淡く緑掛かった鼠色のセーラー服のCMS(艦娘)がそう言って、ルナにヘッドホンを手渡す。

 

少しの間ノイズの音が聞こえたが、すぐに繋がった。

 

「こちらトラック泊地の栄です」

 

『………進捗(しんちょく)はどうだ?』

 

佐世保のアランは無愛想に、挨拶をすっ飛ばしてそう訊く。

ルナは相変わらずの態度だなーと思いながらも、これまでの事を報告する。

 

「初動作戦である海域エリアEー1の敵潜水艦隊の中核、潜水ソ級を撃沈。現在は敵潜の活動は目に見えて沈静化しています」

 

『そうか。CMSの方はどうだ?』

 

艦娘(CMS)ですか?佐世保のみんなも、中央のみんなも損害軽微で問題はありません」

 

『………分かった。そちらにいる佐世保のやつらには、引き続き対潜警戒を続けさせろ。

連合艦隊本隊は、現地時間で明日には到着予定だと、横須賀と呉が言っていた。

連合艦隊は横須賀、呉が指揮を()るので口出しは無用だ。

お前は連合艦隊のサポートをメインに、不足の事態が起こった時に指揮を執れ。分かったか?』

 

「了解しました」

 

『…………』

 

「……?まだ何か?」

 

『…………何でも無い、切るぞ』

 

アランのそっけない一言を最後に通信が切断される。

 

「まぁ、なんだかなぁ……」

 

何でかアランと会話していると、変な空気になるなぁと思いつつ、ルナは通信室を後にする。

 

ひとまず、全体指揮の香取に通信の内容を伝えるとルナは外に出た。

 

中央と佐世保のCMS(艦娘)たちは香取が、連合艦隊は横須賀、呉が指揮を執る為、正直なところルナに出来る事はほとんど無い。

 

とりあえず休める時には休もうと思い、海の方へ向かう。

 

トラックに降り立った時に青葉が言っていたが、本当に空の青と海の青が鮮やかだ。空に浮かぶ白い雲と、所々エメラルドグリーンに輝く珊瑚礁の海が、それを更に美しく見せている。

 

ビーチには何人かの子供たち……と思いきや駆逐艦の娘たちがワイワイとはしゃいでいる。

 

彼女たちも来るべき戦いに備えて、英気を養っているのだろう。

 

ルナもトラックの美しい景色に目を奪われていると、背後からドタバタワーッと駆逐艦と思われる少女達が駆けてきて、ルナの背後に隠れるようにしがみついてきた。

 

「わっ!?何だ君たちは!」

 

「助けて下さい!」

 

「追われてるんです!」

 

駆逐艦の少女たちは、ルナにそんな事を言いながらギャーギャーと騒いでいる。

 

「もーっ!何で逃げるのかなー?」

 

駆逐艦娘たちがビクッとして声のする方を見る。駆逐艦娘たちの視線の先には、(だいだい)色の服を着た艦娘らしき少女がこちらへと走ってきていた。

 

「那珂ちゃんはー、みんなに私の歌を聴いてもらいたいだけなんだけどなー?」

 

その少女がそう言うと、駆逐艦娘たちとルナを強引に引っ張っていく。

駆逐艦娘たちは「海で遊びたいのにー!」とか「部屋でゆっくりする予定が……」とか何とか言ってワーワーと騒ぐが、そんな事お構い無しに引っ張っていく。

ルナもされるがままに、その少女に拉致されていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

「艦隊のアイドルー!那珂ちゃんだよー!みんな、よっろしくぅ!」

 

いかにも手作りといったようなステージ(?)に『那珂』と名乗った艦娘が、どこにも繋がっていないマイクを手に持って、こちらに手を振る。

 

(なか)ば強制的に観客にされた数人の駆逐艦娘たちは元気のない声で「わー」と言う。

 

ルナはというと、この展開に追いついていけずにポカーンとしていたが、ハッと意識を取り戻し、ステージ上の艦娘を見る。

 

(那珂……那珂……前に艦艇目録図で見かけたなぁ……確か、4本煙突が特徴的な川内(せんだい)型軽巡洋艦で、第四水雷戦隊の旗艦を務めていた……)

 

ルナはそう思い出しながら「こらー元気が無いぞー?」と呼びかける那珂を見る。

 

「これからこのトラックに、わる~い深海棲艦がやって来るけど、落ち込んでちゃ駄目だよ!那珂ちゃんの歌で、みんなに元気を分けてあげるから、盛り上がっていってねー!」

 

那珂はそう言うと、置いてあったラジカセのような物のスイッチを入れる。ポップなメロディが流れ出し、那珂がステージ上で踊り、歌い始める。

 

駆逐艦娘たちを見ると、また始まったみたいな顔をして、大人しく歌を聴いている。

ルナの視線に気付いたのか、1人の駆逐艦娘がコソコソっとルナに話し掛ける。

 

「静かに聴いていた方がいいよ。那珂さんは怒ると怖いから」

 

「お……うん……」

 

その忠告に鬼気迫るものを感じたルナは、言われた通りに那珂の歌を静かに聴く事にした。

 

「アナタのココロに出撃しちゃうかーらー♪」

 

那珂は気持ち良さそうに歌って踊っている。

声は結構なもので、ルナは素直に上手いなぁと思いながら聴いていた。

 

ふと、肩を誰かに叩かれる。

振り返ると、吹雪が怪訝(けげん)な表情で立っていた。

 

「どうしたんですか少尉?アイドル好きだったんですか?」

 

「いや別に……というか、彼女はアイドルじゃないだろうに」

 

「まぁそれはいいんですけど、香取さんが何か訊きたい事があると……」

 

「おん?そうか。じゃあ行くかな」

 

「え、歌は聴いてなくていいんですか?」

 

「大丈夫、多分」

 

ルナと吹雪はそろ~りとその場を抜け出す。しかし那珂は「あーーー!!」と言って、2人を指差す。

 

「ちょっとぉ!どこ行くのー!」

 

「走れ吹雪ッ!」

 

「何で私まで~!」

 

ルナと吹雪は全力で走り出す。その後ろを那珂が「待てーー!」と言って追いかける。

残された駆逐艦娘たちは、しばし呆然としていたが、揃ってホッとため息をついた。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

作戦会議室(ブリーフィングルーム)

 

「急にお呼び出して申し訳ありません、栄少尉。ところでその……一体何が……?」

 

香取がそう言うのも無理は無い。ルナと吹雪は膝に手をつき、肩で息をしながら、ゼイゼイと荒い呼吸でやって来たからだ。

 

「いや……大丈夫。それで、話って何かな?」

 

「あ、はい。実は先程、早期警戒(ピケット)役の佐世保の娘から通信がありまして。泊地から南東の方角、距離約70,000で深海棲艦の小規模艦隊と少数の攻撃機を確認したと……」

 

「南東?パプアニューギニア方面かい?確か敵の機動部隊は北西にいるって言ってたと思うんだけど……」

 

「その通りです。深海棲艦の侵攻艦隊は中央第六艦隊、潜水艦の娘たちが補足し続けています」

 

「となると……ここで補足された深海棲艦は、何が目的だ……?」

 

ルナはうーんと首を傾げる。

 

「こちらの偵察……という訳でも無さそうだしなぁ。本気で偵察の意思があるのなら、偵察機を泊地上空に飛ばせば事足りるし、空襲するにしては敵機が少な過ぎる。

香取、確認されたのは偵察機じゃなくて攻撃機なんだね?」

 

「通信によれば、爆弾を装備していたのでほぼ間違いないかと」

 

ルナは腕を組み考える。しばらく沈黙すると、顔を上げて、香取に言う。

 

「威力偵察を出そう。こういう事態の時に動くのが、我々奄美だからね。いいだろう香取?」

 

「はい、助かります」

 

香取はそう言って頷く。ルナはポケットから手帳とペンを取り出し、サラサラと出撃の情報を書き込んでいく。

 

「この場合は素早い行動が求められるからなぁ。敵機がいるということは、敵には空母がいるから、旗艦、赤城に、吹雪、島風。砲撃戦を想定して青葉。

不測の事態に備えて、天龍、龍田、金剛は手元に残して置きたいから………うーん、あと1人……香取、現在出撃可能な艦娘で1人こちらに回してくれないか?」

 

「了解です。現在出撃可能な人は……」

 

香取がそう言って確認をとっていると、部屋のドアがバァン!と開いて、1人のCMS(艦娘)が入ってきた。

 

「見つけたよー!逃げ出したお兄さんッ!」

 

軽巡の那珂だ。那珂はルナに歩み寄るとぐわしっと肩を掴んでブンブンと前後に揺さぶる。

 

「何で途中でどっかに行っちゃうのかなぁ!」

 

「わぶっ!あわわわばばわ」

 

CMS(艦娘)の力でブンブンと揺さぶられるルナは、首をガクンガクンさせながら変な悲鳴を上げる。

 

「こらっ!那珂さん!栄少尉に何て事を!」

 

「え?少尉?」

 

那珂はグデングデンになっているルナをまじまじと見る。そして腕に着けている腕章に気付くとパッと手を離した。

 

「なぁ~んだぁ!キミ、少尉さんだったんだぁ!てっきり那珂ちゃんのファンのお兄さんかと思ったよー!」

 

「………香取、コイツを連れてく。大丈夫か?」

 

「大丈夫ですね。那珂さんならトラック周辺にも詳しいですし、頼りになるでしょう」

 

「え?那珂ちゃんロケに出るの?じゃあメイクしなきゃね!準備してきまーす!」

 

那珂はそう言うと部屋を颯爽(さっそう)と出て行く。

 

この切り替えの速さにルナは怒りを通り越して呆れるのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

()くして編成された威力偵察部隊ーー赤城、青葉、吹雪、島風、那珂の5隻は、通信にあったポイントへと向かっていた。

 

「そろそろポイントですかね?」

 

旗艦である赤城が那珂にそう訊ねる。しかし那珂は鼻歌を歌っていて話を聞いていない。

 

「……那珂さん!」

 

「ふふふーん♪……え?なになに?」

 

「話はちゃんと聞いていて下さい……そろそろポイントですか?」

 

「うーん……そうだね、そろそろだよ。あと、私の事は『那珂ちゃん』って呼んでね!」

 

那珂の発言に赤城は苦笑いで返す。青葉はため息をつきながら、

 

「艦艇時代の那珂さんはああじゃなかったのに、CMSになって一体何があったんですかね?」

 

と呟いていた。

 

しばらく航行していると、水平線の彼方に黒いゴマ粒のようなモノが見えた。

 

「赤城さん!敵艦載機です!」

 

「了解、吹雪ちゃん。艦載機、発艦始めっ!」

 

赤城が素早く数本の矢を放つ。

合成風力によって、空高く飛んで行った矢は、一瞬のうちに『零戦五二型』となって敵機へと向かって行く。

 

「報告通り、敵機は攻撃機だけのようですね……でも一体何故……?」

 

赤城がそう疑問を口にすると同時に、敵攻撃機が海に爆弾らしきものを投下し始めた。

 

「ねぇ吹雪、あの飛行機は何してるの?」

 

「爆弾を投下してるように見えるけど……」

 

島風と吹雪がそう言うと、那珂が「あーあれはねー」と話に割って入る。

 

「あれは対潜弾だよ。海中の潜水艦を攻撃するための爆弾。あの敵機は対潜弾を投下してるんだよ。最前線のトラックだと良く見かけるからね~」

 

「………!じゃあ、あそこには……!」

 

青葉が驚いて赤城の方を振り向く。

赤城は深く頷いて、青葉の言わんとしている事を悟った。

 

「あそこに、味方の潜水艦がいる……!」

 

「でも、第六艦隊の皆さんはこっちにはいないはずですよ?」

 

「だとしても、深海棲艦が攻撃を掛けているということは、あの場にいるのは味方の潜水艦!吹雪ちゃん、短距離無線通信で信号を。他の皆さんは戦闘用意を!」

 

「「「了解ッ!」」」

 

その頃、赤城の艦載機が、敵機と接触した。零戦五二型は、その濃緑色の機体を素早い旋回で翻し、一瞬のうちに敵機の背後に移動する。

 

ギンギンギンと金属音を奏で、20mm機関砲2門が火を噴く。

瞬く間に敵機から火の手が上がり海へと()ちていく。

 

爆弾を投下し、軽くなった攻撃機でも、戦闘機に掛かれば何て事は無い。

赤城たちが、その場にたどり着く頃には、敵機の姿は一機も無かった。

 

「那珂ちゃんの目には、敵艦隊は見えないよ~?」

 

「短距離電探(レーダー)にも敵影無いです。どうやら、逃げたようですねぇ」

 

周辺警戒を終了した那珂と青葉が、赤城にそう報告する。

 

「吹雪ちゃん、無線の方は?」

 

「はい、先程から繰り返し広域通信帯で呼び掛けているんですけど、応答ありません……」

 

「もしかして、撃沈されちゃった……?」

 

島風がそう呟く。しばし沈黙した赤城は「もう少し捜索を継続しましょう」と言った。

その時だった。

 

赤城たちの近くの海面に、ブクブクと泡が出てきたのだ。

 

すぐさま艦隊は泡の所へと向かう。ゴポゴポと音を立てて何かが水中から水面へと姿を現した。

 

「………っ!?潜水艦娘!?」

 

青葉は驚きの声を上げた。水中から姿を現したのは、潜水艦は潜水艦でも、潜水艦のCMS(艦娘)だったのだ。

 

赤城はそのCMS(艦娘)に近寄る。

するとそのCMS(艦娘)は形だけの砲を赤城に向ける。

 

「……し、深海棲艦……!」

 

「違うわ、私たちは貴女と同じCMSよ。貴女を攻撃していた深海棲艦は私たちが追い払ったわ。安心して」

 

赤城がそう言うと、その潜水艦娘は安堵の表情を浮かべ水面に倒れ込んだ。

 

「救助!!急いでッ!!」

 

赤城の掛け声に、吹雪と島風がその潜水艦娘を抱えて起こす。

ボロボロにやられ、今にも浮力を失って沈んでしまいそうな状態だった。

 

「赤城さん……この娘……」

 

「ええ、日本のCMSじゃないわね」

 

その潜水艦娘は、日本の潜水艦、伊号潜水艦とは全く違う艤装を身につけていた。

 

「何はともあれ、今は救助が最優先よ。この娘をトラックまで曳航します」

 

「はいはーい!那珂ちゃんが引っ張って行きまーす!こういう事も、アイドルには必要だからね」

 

那珂はその潜水艦娘を背中に背負った。

 

赤城たちはトラックへと(きびす)を返した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「一体奴らは何時になったら動き出すのね?」

 

「ちょっとイク、静かにして。ここで見つかったらここまでの努力が水の泡よ」

 

トラック泊地北西方向の海。中央第六艦隊ーー潜水艦隊のメンバーは、深海棲艦の大艦隊への触接を続けていた。

 

伊号第十九潜水艦、イクが愚痴を口にする。

 

「この海域に停泊して早数日、敵艦隊はまだ動き出さないのね……ひたすら潜って監視し続けるのもそろそろ疲れてきたのね」

 

「まぁまぁイク。もう少しの辛抱でち」

 

ソナーを耳に当てて海上の動きを探っている伊号第五十八潜水艦、ゴーヤがそうイクをなだめる。

 

その会話を聞いて、第六艦隊旗艦、伊号第百六十八潜水艦、イムヤが「確かに……」と呟く。

 

「これだけの戦力があれば、今すぐトラックに攻撃を掛けることは問題無いはず……それなのに、未だここから動こうとしない。

時間を与えれば、こちらは戦力をトラックに集結させてしまうのに……何故……?」

 

イムヤがそう考えていると、ゴーヤが突然顔の色を変えて驚きの声を上げる。

 

「何これ……!?イムヤ大変でち!新たな大規模艦隊がこっちに向かって来てるでち!」

 

「何ですって!?………そうか、この艦隊も新たな戦力を待っていたのね。

そうだとしたら、いよいよトラックが戦場になるわね……!」

 

「ど……どうするのね?」

 

「決まってるでしょ、イク。このままやり過ごしたら、浮上して本土に情報を伝えるわよ。

この戦い……負けるわけにはいかないんだから」

 

「負ければトラックが陥落してしまう……それだけは阻止するでち!」

 

「そーいうこと。それじゃあ、もう少し潜行するわよ。私たちのアドバンテージは、見つからない事にあるんだから」

 

「了解なのね!」

 

「了解でち!」

 

潜水艦隊は、さらに深い水中へと身をひそめる。

 

 

戦いが、始まろうとしていた。

 

 

 

to be continued……

 

 

 

 

 




ルナ「どうして那珂はあーなってしまったんだ?」
kaeru「自分に聞かれても……。日本の擬人化文化だと思って諦めてくれい」
ルナ「〇〇 擬人化で検索すれば大体何でも出てくるからなぁ……」
kaeru「話がそれてるぞ。次回、E2編!」
ルナ「お楽しみに」
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