記憶の海 〜Indelible memory〜   作:Ar kaeru Na

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AL/MI作戦編1話目です。

話の流れがアレですが理由があったりなかったりするので温かい目でご覧ください(^^;;

それでは!


3つ目の記憶ーーAL/MI作戦ーー
memory28「エクストラオペレーション」


 

 

memory28「エクストラオペレーション」

 

 

「何故ですか少尉!?何故奄美は作戦に参加しないのですか!?」

 

「私達が実力不足だと?」

 

「ま…待て、待ってくれ2人とも……!これは自分の意見だけじゃどうしようも無いんだ!」

 

「なら提督に直談判に……!」

 

「取り敢えず落ち着けって……!とにかくもう無理だってば……」

 

 

ルナの自室である倉庫部屋。

 

港町で買ってきた簡素な執務机に向かっていたルナの下に、空母艦娘である赤城と加賀が抗議に来ていた。

 

 

 

ーー中央が立案した攻勢作戦『AL/MI作戦』が発動されて既に一週間が経過していたーー

 

 

 

時は数日前、緊急会議直後に(さかのぼ)る。

 

作戦行動不参加を告げた奄美司令、征原トウに様々な非難が浴びせられる。

 

トウはそれに一切応じる事なく会議の解散を言い渡した。上層部の人間たちは不服そうに部屋を出ていき、中にはトウとライラ、そしてルナが残った。

 

「……どうした小僧」

 

「何か……理由があるのですよね?」

 

ルナはハッキリとした口調でトウに問い掛ける。トウは一瞬だけ眉をピクリとさせるとルナの顔を見る。

 

しばらく睨み合いを繰り広げた両者だったが、トウが折れたようにため息をついた。

 

「はぁ……昔っからそうじゃのぅ、その無言の圧力に勝てる気がせんぞ……」

 

「………?それはどういう……」

 

「こっちの話じゃ。それで、不参加の理由じゃが……」

 

ルナが緊張の面持ちで二の句を待つ。隣にいたライラも静かに待っている。

 

「一言で言うなら……アイツらしく無いのじゃよ」

 

「それはどういう意味だジジイ」

 

トウは歯切れが悪そうに話始める。

 

「ワシとあのバカ総司令が昔からの腐れ縁だという事は前にチラと話したじゃろ?

その腐れ縁の経験則から言わせてもらうとだな、アイツは物事1つとっても二手、三手とも言わず、五手、六手とそれをカバーするように幾つもの手段を用意するような奴なのじゃ。

だからワシは将棋でアイツに勝てた事が無い」

 

「それはジジイが弱いだけだろう?」

 

「……まぁつまり、今回の作戦は突然過ぎる。いくら敵基地が発見されたからと言って、ここまで急いで攻撃する事なかろう。もう少し時間を掛けて準備しても良いものを、今までのアイツの様な用意周到さがさっぱり無い。こんな事はウン十年やって来て初めてだ」

 

「何か、一刻も早く敵基地を叩く必要があったのでは?」

 

「うぅ……む、だとしても……」

 

「ジジイの考え過ぎじゃ無いのか?」

 

「ぐぬぬ……だとしても奄美基地は作戦に参加しない!佐世保にもそう伝える!」

 

トウは少しだけ声を荒げると大股で部屋を出て行った。その後ろ姿をルナとライラは驚いたように見つめていた。

 

「………頑固ジジイだな。何がそうさせるのか」

 

「一体、どういう事なんだろう……?」

 

 

 

トウは提督室に戻ると、机の上の無線機に手をかけた。中央直通の秘匿回線に繋げようとするが、どこかと繋げているのか、奄美からは繋がらなかった。

 

トウはしかめ面をすると、椅子にどっかりと腰掛けた。

 

「おかしいのぅ……何か、こう違和感……違和感を……」

 

トウはそういって腕組みをすると黙り込んでしまった。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「だからって!何故!今作戦に参加しないのですか!!」

 

「だから落ち着けって!ここ一週間そればっかじゃねーかお前ら!」

 

ルナも思わず椅子を蹴飛ばして立ち上がる。

確かに、かつてのミッドウェー海戦に参加し、その中核を担った赤城と加賀としては、今作戦に参加出来ない事がどれ程のことか。想像に難くない。

 

「いいか?もう作戦発動から一週間が経っている。今から参加したところでここからはもう間に合わない。

だから、自分たちはいつもの通り、訓練に励むだけだ」

 

「訓練は実践で真価を発揮するために行うものでは無いのですか?」

 

加賀が真顔でルナに迫る。ルナは一瞬うっ…と言葉を詰まらせたが「征原司令の命令だ!」と言って何とかかわした。

 

「はぁ……加賀さん、何で私達だけ留守番なんでしょう……横須賀の私は今頃ミッドウェー諸島で敵部隊と交戦しているでしょうか……」

 

「そうですね、多分そうでしょう。それもこれも、この少尉の所為です」

 

「何でそうなるんだよ!司令が作戦不参加を言い渡したんだから自分たちは動けないだろ!

ホラ!今日は第二訓練海域で演習をやるぞ、早く準備しろ!」

 

そう言って、ルナが赤城と加賀を部屋から追い出す。

 

「毎日毎日朝っぱらから……」

 

ルナはガシガシと頭をかく。まぁ彼女らの気持ちが分からないでも無い。自分が赤城や加賀の立場だったら同じ事をしていただろう。

 

「それにしても……何故、司令はあんなにも……まぁ、いいか。自分たちには影響が無いし、作戦も今の所順調らしいしな」

 

身支度を整えて部屋から出ると、目の前にライラが立っていた。

ルナは慌てて敬礼をする。ライラはそれを手で制すとルナにこう訊ねた。

 

「ジジイを知らないか?」

 

「え?」

 

「え、じゃない。ジジイだ。知ってるだろ。忘れたとしたらとても幸せな事だが」

 

「いや分かりますって。提督室にいるんじゃないですか?いつもあそこから動かないじゃないですか」

 

「それもそうなんだが、返事が無いんだ。日が昇らないうちから起きているジジイだから寝てるという事は無いと思うのだが……別の意味で眠ってくれると嬉しいがな。

とにかく手間を掛けたな」

 

ライラはそれだけ言うとスタスタと行ってしまった。ルナはよくある事と結論付けると自らも訓練場へと向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「おいコラジジイ!居るんだろ、返事くらいしろ」

 

ライラが提督室をドンドンと叩いても、中からの反応は無い。

ドアノブに手を掛けると、鍵はかかっていなかった。

 

何の躊躇(ためら)いも無く部屋の中に入ると、トウが机に地図を広げてブツブツと独り言を呟いていた。

 

「おいジジイ、熱中するのもいいが返事くらいしたらどうだ」

 

「……………」

 

トウは未だに地図に向かってブツブツと何かを呟いている。ライラはノーモーションかつゼロフレームで白髪頭に(こぶし)を叩き込んだ。

 

「あいだっ!な……何事じゃ!?」

 

「何事もあるか!さっきから呼んでいただろう!返事ぐらいしろ!」

 

「おぉ、そうじゃったのか……気付かなくてすまんの」

 

「本気で気付いてなかったのか」

 

「最近耳が遠くての〜」

 

「それで、何をしていたんだ?」

 

「ワシの渾身のボケをスルーしないでおくれ……」

 

「これは……中部から北部太平洋の海図と本土近海の海図か……?」

 

「ことごとく無視するのじゃな……」

 

トウはため息をついて、部屋にある湯呑(ゆのみ)白湯(さゆ)を淹れた。

 

「何だ、あぁ言っておいて作戦が心配なのか?通信によれば何の問題も無く、作戦は順調に行っているそうじゃないか」

 

「問題はそこなのじゃよ、ライラ君。この作戦……”あまりにも上手く行き過ぎている”……」

 

「……何が言いたい?」

 

トウは本土近海の海図を食い入るように見つめる。そしてうーむと唸った後、疲れたように椅子に腰掛けた。

 

「………やはり、目標は硫黄島か。

ライラ君、現在動かせる艦艇は?」

 

「えぇとだな……今だと『かざばな』と『そうせつ』は動かしても問題は無いはずだ」

 

「両艦艇に出撃命令を。それとルナ君たちは今何をしておるかな?」

 

「第二訓練場で演習をするそうだが」

 

「奄美部隊にも出撃命令。防衛隊、CMS部隊ともに目標は小笠原諸島。CMS部隊は先行させて良い。ルナ君にも伝えてくれ」

 

「……成る程、ようやくお前の考えが解った。だとすると……マズイな」

 

「その通りじゃ。各鎮守府の主力部隊が出払っているこの状況で敵に先手を打たれるのは物凄く悪い。せめてそれだけは防がねばならん。

杞憂で済めば良いのじゃが……」

 

「深海棲艦もそれ程バカじゃないだろ。今までの交戦履歴から、敵だってこちらの戦力を把握しているはず。ミッドウェーに殆どを注ぎ込んでいる事を察知しているのなら、本土ががら空きと考えるのは自然だろ?」

 

「とにかく、そうなれば一刻の猶予も無い。ライラ君」

 

「了解した」

 

ライラはそう言うと急いで部屋を出て行った。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

ドック内、出撃ポート。

 

 

「それにしても、突然出撃って……一体何があったんでしょうね?」

 

吹雪が着装した艤装に不備が無いか確かめつつそう言った。

 

「この青葉もさすがに分かりませんねぇ。ただの哨戒任務じゃないんですか?派遣艦隊はみんな出撃しちゃってますから、私たちが代わりって事で」

 

「じゃあなんで護衛艦まで出るんだよ?」

 

隣にいた天龍がそう問いかける。確かにそう言われると何故なのだろう。青葉は黙ってしまった。

 

「talkもそこまでデース。そろそろ出撃シマスヨー!」

 

金剛を旗艦として、吹雪、天龍、龍田、那珂、青葉の6隻は改造護衛艦『かざばな』『そうせつ』とともに奄美基地を出港した。

 

 

「留守番つまんなーい!何で私じゃないのー!」

 

「潜水艦に……出番あるのかな?」

 

部隊を見送った出撃ポート内で島風がそんな風に駄々をこねる。その横で少し寂しそうな顔をするUー511。

 

「赤城さん……」

 

加賀が真剣な表情で赤城の方を向く。赤城も静かに頷く。

 

「そうですね加賀さん。何か……悪い予感がします」

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「艦隊、針路1-1-0。第一戦速に増速。赤黒各自調整してくだサーイ」

 

奄美部隊は旗艦金剛の指示で東へと舵を切る。

 

「この出撃は……哨戒任務でいいのかしら〜?」

 

龍田が首を傾げながら天龍に話しかける。

 

「いや、どうだろうな……これは何か嫌な予感がするぜ龍田」

 

「嫌な予感ってどんな予感なのー?」

 

同じ軽巡洋艦娘である那珂が天龍の隣にやってきてそう訊ねる。

 

「……説明出来ねぇな、嫌な予感ってのは嫌な予感だよ」

 

「ふーん、でも何があってもアイドルは笑顔を絶やさないんだよっ!」

 

那珂はキラーンと星が流れるようなスマイルを天龍に向ける。天龍は頬を引きつらせながら顔を背けた。

 

「でも確かに……護衛艦まで出張るのは気になるデスネ。アオバ、ミッドウェー攻略部隊の通信を傍受出来ないデスカー?」

 

「第三通信系ですか?ちょっとやってみますね」

 

青葉は艤装に取り付けられている無線機をガチャガチャといじって調整を始めた。

 

「そういえば金剛さん、今回はどこに向かっているんですか?」

 

「ン?フブキは聞いてなかったデスカ。今回はオガサワラisland方面に哨戒任務……という名目デスが、テンリューの言うように何か嫌な予感がシマスネ」

 

「小笠原諸島方面へ?そちらは横須賀の管轄のはずでは?」

 

「横須賀管轄小笠原基地が確かあるわね〜。そもそも奄美の哨戒範囲は基地近海の南西諸島方面のハズだから、この時点でもうおかしいわよねぇ」

 

吹雪の言葉に龍田が続く。う〜んと悩むCMS(艦娘)たち。不穏な空気を振り払うように金剛がパンパンと手を叩く。

 

「ヘーイ!そこまでにするデース!何があろうとワタシたちは言われた事をしっかりこなすだけデース」

 

艦隊はレーダーと目視を頼りに静かな海原を進んで行く。

天気は快晴。絶好の航行日和だ。

 

「ふぁあ〜〜何も起こらないねぇ」

 

双眼鏡(メガネ)を覗きながら大きなあくびをする那珂。

那珂の言う通り、今のところはこれといったことは起きていない。ただのんびりと海を駆けているだけだ。

 

「アオバー、通信のほうはどうデスカー?」

 

「ウンともスンとも言いませんね。無線封鎖でもしてるんでしょうか……っと、ちょうど来ました!噂をすれば何とやらですね」

 

青葉は早速、暗号の解読に入る。しばらく乱数表と睨めっこをした後、解読した文面を読み上げる。

 

「通信から察するに、本隊のミッドウェー攻略はどうやら成功したようですね!

同艦隊は周辺海域の制海権を確保するまでミッドウェー諸島に滞在するそうです」

 

「お、やったじゃねぇか!これで深海棲艦の侵攻も少しは弱まるな」

 

「えー!もう終わっちゃったのー!?那珂ちゃんの出番全然ないじゃーん!」

 

全員は一様に安堵の表情を浮かべる。こちらから仕掛ける作戦でこれ程までに大規模なものは初めてであった為、作戦に参加していない奄美のCMS(艦娘)たちも多少なりとも不安を抱えていたのだった。

 

「出番がなかったのは残念ですけど、作戦は無事終了したみたいですし、良かった良かった………ん?」

 

青葉がそういった時、無線にどこかの通信が入ってきた。

 

「どうかしたんですか?」

 

「いえ、どこかの広域通信を拾ったみたいで……」

 

青葉がそのままその通信を傍受し、その内容に耳を傾ける。

 

「な……何ですって!?」

 

突然青葉が驚きの声を上げる。

 

「どうしたんですか青葉さん!?」

 

 

「軍の哨戒艦がトラック基地北西560海里、北マリアナ諸島近辺で敵深海棲艦の大規模艦隊を捕捉したとの情報が……っ!」

 

 

「「「!!?」」」

 

一同は驚愕する。暫しその事実を理解出来ずに思考が停止しかかったが、その中でも吹雪がいち早く立ち直った。

 

「そうか……!敵の狙いはこれだったのでは!?」

 

吹雪の言葉に全員がハッとする。敵基地にCMS(艦娘)の主力を誘引し、その隙に防備が手薄になった本土を強襲する。

 

金剛が弾かれたように艦隊に指示を出す。

 

「アオバ!今の通信を奄美基地に転送!フブキは小笠原基地に通信を入れてくだサイ!」

 

「了解です!」

 

「了解しました!」

 

青葉と吹雪は慌てて動き出す。

 

「くそっ!まんまとハメられたってワケか!」

 

「もしかして……提督はこの事を読んでいたのかしら〜?だから護衛艦も一緒に出撃させた……?」

 

「考えるのは後にするデース!ワタシたち奄美部隊は小笠原基地に向かいマスヨ!

ナカ!小笠原基地にはどれくらいで着きそうデスカ!?」

 

「えぇっとね……ここからだと、巡航速で27時間、30ノットで約16時間かな」

 

「さすがに距離がありますネ……!艦隊、第五戦速!!」

 

「そ、そんなに飛ばしたら燃料が……!」

 

「そんな事を言っている場合じゃないデース!これは、一刻の猶予もありまセン!」

 

一瞬で変わった状況に何とか追いつこうとして、奄美のCMS(艦娘)たちは速度を上げ、海上を疾駆する。

 

「金剛さん!奄美から通信です!」

 

「通信が返ってくるの早過ぎデース。やっぱりテイトクはこの状況を読んでいたようデスネ」

 

 

奄美のCMS(艦娘)たちは冷や汗を流しながら、小笠原基地を目指して進んでいった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

発、奄美大島要塞基地

宛、奄美CMS部隊

 

緊急電文により、AL/MI作戦展開中に敵別働隊の本土近海への来襲を確認した。

部隊は小笠原基地へ急行、敵別働隊を全力迎撃、本土近海を防衛せよ。

 

この電文を受け取った時点より『本土近海邀撃作戦』を発動する。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

to be continued……

 

 

 

 

 




kaeru「元ネタは2014年夏イベント、AL/MI作戦のエクストラオペレーションになります」
ルナ「また変な所を出してきたな」
kaeru「ここまで読んで下さった読者の皆様には理由はお分かりだと思います」
ルナ「次回も宜しく」
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