東方畢竟訖 〜in Other Worlds.   作:LOORUME

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六話目 『最後の最後の』

幻想郷・YY月20日 13:00、昼過ぎの博麗神社。

 

 

 やばい。爆睡していた。

 

 蚊帳の外に出て外を覗くと、すっかり日が登りきっていた。

 

 昨日の疲れからか、十時間くらい寝ていたかも。おかげで脳みそフル回転だ。頭はサッパリどころか、スッキリ爽快。考え事は何でも捗りそうだ。

 

「さて、霊夢と紫様はー…っと」

 

 起きたてなのにやけにしっかりとした足取りで、お茶の間へ歩いて行った。

 

「ん……?」

 

 居間には誰も居間せん。

 ……ならばと、他の部屋も一通り探してみたが、誰も居なかった。

 

 再び茶の間を探してみると、ちゃぶ台の上に一枚の置き手紙が。

 

 曰く、私達は先に行ってるから朝飯食べたら協力しに来いよ、とのこと。了解。

 

 朝食ではなく昼食になってしまったが、ご飯とお味噌汁と煮物が冷めていること以外は特に問題ない。

 

 空しく響く頂きますとご馳走様。ご飯を食べ終えて、私は霊夢たちの増援に行くことにした。

 

 そして境内から空に飛び上がった時点で気付いた。

 

「……どこ?」

 

 手紙には、場所とかが全然書いてなかったじゃないか。

 

 空中で七転八起していると、彼方の湖の上に龍のような影が。

 

「…あれか」

 

 靄がかかって詳しい姿は見えない。ということは、あの湖は霧の湖。近くにある館の影は紅魔館とも見て取れる。

 

 ということは、だ。もしかしたら紅魔勢とも会えるかもしれないじゃないか。久しぶりに原作キャラ成分を補給できるやもしれぬ。

 

 全身全力で龍の方向へ勢いよく飛んだ。

 

 

 

 

 予想以上に、龍は大きかった。近付くにつれて、その迫力も増して行く。

 

 体全体が黒く、鈍く光っているから実態は掴みづらい。鱗は一枚一枚が手のひらサイズほどもある。

 

 そいつの鉤爪は鋭利で、人間三人くらいは軽く掴めそうなほど大きい。

 眼光はもう、凶器と言って差し支えないほど鋭い。レーザーとか出せそう。

 

 そいつの体長も長いのなんの。大き過ぎて言葉に表しづらいんだけど。そうだね、少なくとも634mよりは長いかな。

 

「デカ、やっと来たのね」

 

 霊夢さんの後ろでそっと観察をしていたら気付かれた。

 

「はい。熟睡してました」

 

 龍を取り囲むように、霊夢含め九人の人影が見える。霊夢さんと、紫様と……。

 

 おお、咲夜さん、日傘を差したレミリア、美鈴。つまり紅魔組だ。パチェは館にでも篭っているんだろう。

 

 あとは妖夢と、早苗、鈴仙、魔理沙。つまり自機組だ。これはこれはこれは。なかなかテンションが上がってきた。夢のようじゃないか。

 

「しょうがないわね…。で、戦えそう?」

「はい、体力全快ですよ!」

「そう。じゃあ、作戦を言うわよ……」

 

 霊夢が言うには、ただ攻め続けるしかないらしい。

 敵の体力の底も検討がつかないし、弱点もわからない。そんな状態では進退極まったも同様だ。だから、力押しの我慢比べという事だ。

 

 ………? だけど……。

 

「いい? 耐え続けるのよ?」

「え、でもちょっと待ってください」

「?」

 

 作戦を伝えて、また弾幕ごっこの前線へ戻ろうとする霊夢を引き止めた。

 何か、見落としてるんじゃないか。

 

「なんで、弱点が無いって決められるんですか…?」

 

「決めてはいないわよ。ただ、探す方法が無いってだけ。文献を参考にするのもいいけど、そこまで時間の余裕は私らには、無い」

 

 キッパリすっぱりと、言ってのけた。

 

「それを決めつけるっていうんですよ。使えばいいじゃないですか、私の能力を」

 

 数秒、思考する霊夢。

 

「……? ああ、忘れてたわ。デカの能力って確か───」

 

『結論を求める程度の能力』

 

 

 ぐおーと雄叫びを上げること度々。黒い龍が反対側を向いているタイミングを見計らって、できる限り近寄る。

 会話のできる距離までだ。

 

 丁度良い間を取り終わると、龍はこちらに振り返った。

 

「……何の用だ」

 

 重低音。腹にグッと響く感じ。全身の皮膚も震わされる。

 

「喋れたんですね」

「当たり前だ」

 

周りにいた紅魔組、自機組の皆さんは既に弾幕は止めている。

 

「ちょっと二つほど、質問がありまして」

「下らん」

「……貴方は、ティラ・カンカルですね?」

「…そうだ」

 

 無視して質問を続けた。

 その名前は、ミギワちゃんが話していた。

 

 私の能力。詳しいことはまだ分からないが、分かっている事だけをまとめよう。

 

 まず、相手から情報を引き出すことができる。

 例は見ての通り。答える気が無かったはずなのに、私に聞かれると素直に答えてしまう。

 ただこれは、相手の知っている情報の中に限られる。当たり前だ。

 

 次に、相手が知っている情報から立てられる推論を、相手から引き出す事ができる。

 

 例としては、わたしが火妖精のピオリちゃんに、この異変の影響について聞いた時だろうか。

 

 確かに彼女は、人間と妖怪が弱体化し、妖精は平常通りだったことを知っていた。

 だがどう考えても、そこから推論を立てられるほど(失礼だが)妖精におつむがあるとは考えられないのだ。

 それも全て、わたしの能力によるものだったということだ。大して賢くなかったよピオリちゃん。

 

 以上が、現時点で判明しているわたしの能力である。

 

 使い勝手に困りそうと思っていたが、むしろその逆だ。

 使い道がありすぎて、持て余す。

 

 もしかしたら、一昨日の晩御飯も思い出せるかも。それは忘れているだけで、本当は知っている情報なのだから……。

 

 あ、そうだ、力うどんだ。

 

 さて、また下らないコトに能力使ったところで問答の続きだ。

 

「では、あなたの弱点はどこですか?」

「背中の黄色い鱗……逆鱗を責められるのが弱いの…」

 

 おっと、急にしおらしくなったじゃない。いくら低音ボイスを出してたとは言え、中身は女の子なのか? さすが幻想郷だ。

 

 まあでも、という事で……。

 

 

「攻めろー!」

 

 わたしの合図である。それと共に、周りでスタンバイしていた九人が一斉に背中に弾幕を撃ち込み始める。わたしを含め十人の弾幕がズドンズドンと炸裂する。

 

 どこに逆鱗があったか、見分けることは出来なかったけど…。まあみんなが攻撃してたから、たぶんそこにあったんだろう。

 

「グオオオオーー!」

 

 悲痛な叫びがこだまする。またもやビリビリと空気が振動している。あまりの音量に、耳を塞いでしまった。

 

「キャアアアーー!!……ぁぁ」

 

 雄叫びはいつの間にか女性の叫び声になっていた。

 思わず瞑っていた片目を開くと、先ほどまで在ったはずの黒い龍が消え去っていた。

 

 代わりにそこに現れたのは、一人の少女だった。

 

 頭の後ろでまとめられた桃色の髪。ふわふわと風になびく黒いローブ。なかなか賢者的な雰囲気がある少女だ。

 

 あとは杖さえ持っていれば完璧なんだけど。いや、賢者だったら服が黒ってのはどうかと思う。

 つまり、ブラックマジシャンガール? いやいや。

 

「いてて…。酷いじゃない。お陰で変化の術が解けちゃった」

 

 先ほどとは打って変わって、可愛らしい声だ。重低音なぞ見る影も無い。

 

 だとしても、一応確認は取っておく。

 

「……貴方は、ティラ・カンカルですね?」

「ま、また? そうだけど…」

 

 この場合、能力を使わなくても彼女は答えてくれてただろう。というか今、自分が本当に能力を使ったのかさえ疑問なんだけど。

 

 彼女はティラ・カンカル。異変の首謀者と言える最後の一人。きっかけを作った張本人だ。

 彼女を倒せば、長かったこの異変もついに終了。幻想郷・鏡源郷、両世界の脅威を完全に退けたことになる。

 

 ではでは、じゃあ。

 

「じゃあ、始めましょうか───」

「……」

 

 ギャラリーは九人。見られていると思うと少し緊張する。

 わたしなんかに倒せるのか、倒せたとしてもわたしで良いのか。なんて思考は投棄(ポイ)

 異変解決は早い者勝ち。それが、幻想郷流だ。常識に囚われてはいけない。

 

 

「───最後の最後の、弾幕ごっこを」

 

 スタートだ。

 




新キャラの描写、難しいです。
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